JP3570028B2 - ラックアンドピニオン形動力舵取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピストンのストロークエンド付近において圧抜きを行えるようにしたラックアンドピニオン形動力舵取装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ピストンのストロークエンド付近において圧抜きを行えるようにしたラックアンドピニオン形動力舵取装置には、例えば、特開平6−270826号公報に示すものがある。
このものは、パワーシリンダ内に挿通されたラック軸の外周にピストン本体を嵌着し、このピストン本体の外周面中央部に形成された凹溝内にOリング,テフロンリングを介して鋳鉄製の剛性リング体を嵌挿し、この剛性リング体の外周面をパワーシリンダの内周面に摺接させるようにし、ピストンがストロークエンド付近に位置した際に、剛性リング体によって区画された左右シリンダ室を連通させる連通溝をパワーシリンダの内周面に形成したものである。ここで、剛性リング体は、外周の一部が切欠かれたピストンリングからなっている。
【0003】
これによれば、ピストン摺動部の耐久性向上及び信頼性を確保できる効果がある。
上記動力舵取装置の組付け時に、上記剛性リング体の外周をパワーシリンダの内周面に摺接させるために、上記剛性リング体は、所定の厚さの帯状であってわずかに楕円の無端リング状に成形し、その後、剛性リング体200の外周の一部を、例えば、カッタを用いて、図12に示すように、端部が互い違いになった段部310a,310bと幅方向に対向する合せ面320a,320bとを有する段付き形状に切断して、切欠部300を設け、その後、上記剛性リング体200をパワーシリンダの内周に組付け、剛性リング体200の外周面を真円形状に変化させる。
【0004】
これにより、剛性リング体200の外周面はスプリングバックによりパワーシリンダの内周に摺接される。ここで、前記切欠部300における合せ面320a,320bは周方向に摺接する合い口部となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにして、剛性リング体200の切欠部300を形成するため、剛性リング体200の幅方向において、前記段部310a,310bの各々に対する段部幅A1’,A2’と、段部310a,310b以外の残り幅B1’,B2’との寸法関係は、各々周方向に対向するもので、B2’<A1’,B1’<A2’となっており、剛性リング体200の全幅(A1’+B1’)(=A2’+B2’)と、寸法B1’(またはB2’)の2倍との差が、寸法C1’(=A1’−B2’=A2’−B1’)となっている。
【0006】
ここで、この寸法C1’はカッタの厚みによって生じるカッタ送り公差であって、このカッタ送り公差C1’だけ剛性リング体200の幅方向で両端が対向する合せ面320a,320bが離間した状態となってしまう。このため、ハンドルが操舵されて、例えば、図13に示すように、矢印方向に油圧力が剛性リング体200の左側端面200aに作用しても、右側端面200bがピストン本体170の端面に押し付けられているため、合せ面320a,320b間にカッタ送り公差C’だけ隙間が生じ、この切欠部300における隙間を経て圧油が供給された一方のシリンダ室から他方のシリンダ室へと油漏れが多くなるという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の動力舵取装置は、上述した問題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明では、ハンドル操舵により回転されるピニオン軸と、このピニオン軸に噛合するラック軸と、このラック軸を挿通するパワーシリンダと、前記ラック軸上に固着され前記パワーシリンダ内を2つのシリンダ室に区画するピストンと、前記パワーシリンダの内周面の周方向に複数形成され前記ピストンのストロークエンド付近で前記2つのシリンダ室を連通する連通溝とを備え、前記ピストンを、前記ラック軸上に固着されたピストン本体と、このピストン本体の外周に弾性シール部材を介して設けられるとともに軸方向移動を規制され、前記パワーシリンダの内周面に摺接する摺接部を有する剛性リング体とから構成したラックアンドピニオン形動力舵取装置において、前記剛性リング体に、その外周の一部を切り欠いた切欠部を形成し、この切欠部の形状を前記剛性リング体の一方の側端面から他方の側端面に向かって所定角度でもって鋭角に傾斜したアングル形状とし、このアングル形状の互いに対向した各アングル端面を所定量摺接可能に合わさる合い口部として構成したことを特徴とするものである。
【0008】
これによれば、例えば、一方のシリンダ室に圧油が供給されると、剛性リング体の一方の側端面に油圧力が作用し、剛性リング体の他方の側端面はピストン本体の端面に押し付けられる。
この時、剛性リング体の内周面に径方向の油圧力が作用し、この剛性リング体の内周面に作用する径方向の油圧力及び剛性リング体の側端面に作用する油圧力とによって、切欠き部における両アングル端面が所定量摺接され、剛性リング体の摺接部とパワーシリンダの内周面との間のクリアランスを極小とすることができる。
【0009】
この結果として、両アングル端面における幅方向のずれ量が変化するが、この変化によって剛性リング体の周方向におけるシール機能には変化なく、剛性リング体の切欠き部において油漏れは生じない。また、請求項2に記載の発明では、ハンドル操舵により回転されるピニオン軸と、このピニオン軸に噛合するラック軸と、このラック軸を挿通するパワーシリンダと、前記ラック軸上に固着され前記パワーシリンダ内を2つのシリンダ室に区画するピストンと、前記パワーシリンダの内周面の周方向に複数形成され前記ピストンのストロークエンド付近で前記2つのシリンダ室を連通する連通溝とを備え、前記ピストンを、前記ラック軸上に固着されたピストン本体と、このピストン本体の外周に弾性シール部材を介して設けられるとともに軸方向移動を規制され、前記パワーシリンダの内周面に摺接する摺接部を有する剛性リング体とから構成したラックアンドピニオン形動力舵取装置において、前記剛性リング体に、その外周の一部を切り欠いた切欠部を形成し、この切欠部の形状を端部が互い違いとなった段部と幅方向に対向する合せ面とを有する段付き形状にて構成し、前記段部に連続する側端面に各々幅方向に所定量削除された除去部を形成し、前記合せ面を周方向に摺接する合い口部として構成したことを特徴とするものである。
【0010】
これによれば、例えば、シリンダ室の一方に圧油が供給され、剛性リング体の一方の側端面に油圧力が作用すると、剛性リング体の他方の側端面はピストン本体の端面に押し付けられる。これによって、除去部によって確実に両合せ面が密着し、十分にシールされる。
一方、同様に、剛性リング体20の内周面にも径方向の油圧力が作用し、この径方向の油圧力によって、両合せ面が周方向に所定量摺接され、剛性リング体の摺接部とパワーシリンダの内周面との間のクリアランスを極小とすることができる。
【0011】
このようにして、剛性リング体の切欠き部で油漏れが生じない。また、請求項3に記載の発明では、ハンドル操舵により回転されるピニオン軸と、このピニオン軸に噛合するラック軸と、このラック軸を挿通するパワーシリンダと、前記ラック軸上に固着され前記パワーシリンダ内を2つのシリンダ室に区画するピストンと、前記パワーシリンダの内周面の周方向に複数形成され前記ピストンのストロークエンド付近で前記2つのシリンダ室を連通する連通溝とを備え、前記ピストンを、前記ラック軸上に固着されたピストン本体と、このピストン本体の外周に弾性シール部材を介して設けられるとともに軸方向移動を規制され、前記パワーシリンダの内周面に摺接する摺接部を有する剛性リング体とから構成したラックアンドピニオン形動力舵取装置において、前記剛性リング体を前記ピストン本体移動方向に並列して設けられた第1剛性リング体と第2剛性リング体とから構成し、これら第1及び第2剛性リング体に外周の一部を切り欠いた切欠部を各々形成するとともに、前記各切欠部が周方向で異なる位置で前記第1及び第2剛性リング体の対向する各側端面を当接させたことを特徴とするものである。
【0012】
これによれば、例えば、シリンダ室の一方に圧油が供給され、第1剛性リング体の一方の側端面に油圧力が作用すると、第2剛性リング体のピストン本体側の側端面はピストン本体の端面に押し付けられる。これによって、第1及び第2剛性リング体の対向する側端面はさらに強固に押し付けられて十分にシールされる。
【0013】
一方、油圧力は径方向にも作用し、この径方向への油圧力が第1及び第2剛性リング体の内周面に作用し、第1及び第2剛性リング体の外周面とパワーシリンダの内周面との間のクリアランスが極小となる。
第1剛性リング体の切欠部には、圧油が供給されるが、両側端面との間と、第2剛性リング体の外周面とパワーシリンダの内周面との間で十分なシールがなされる。
【0014】
このようにして、第1及び第2剛性リング体から構成される剛性リング体において、一方のシリンダ室から他方のシリンダ室への油漏れが防止される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態について図1乃至図5に基づいて説明する。図1において、1はギヤハウジングで、このギヤハウジングにはラック軸2が摺動可能に貫通されている。ラック軸2の両端は図略のボール継手等を介して操向車輪に連結されている。また、ラック軸2の一端外周にはラック歯2aが形成され、このラック歯2aはギヤハウジング1に回転可能に軸承されたピニオン軸3に噛合している。ピニオン軸3はサーボ弁4を介して図略のハンドルに連結されている。
【0016】
前記ラック軸2上にはピストン5が設けられ、このピストン5はパワーシリンダ6に摺動可能に嵌挿されている。
パワーシリンダ6の一端は前記ギヤハウジング1の一端に嵌着され、他端には図略のシリンダエンドが固定されており、パワーシリンダ6内は前記ピストン5によってシリンダ左室6aとシリンダ右室6bとに区画されている。
【0017】
前記各シリンダ室6a,6bの端部付近には、圧油の導入または排出を行うためのポート7,8が設けられている。このポート7,8は各々管継手9,10及び配管11,12を介してサーボ弁4に接続されている。
サーボ弁4は、ハンドルに一端が連結された図略の入力軸と、前記ピニオン軸3に連結された図略の出力軸との相対回転により作動され、ポンプ13から供給される作動油をパワーシリンダ6のシリンダ室6a,6bの一方へ分配し、他方から作動油をタンク14へ還流させるようになっている。
【0018】
前記ピストン5は、図2に示すように、ピストン本体17と、弾性シール部材に相当するOリング18と、鋳鉄等のピストンリングからなる剛性リング体20とで構成されている。
前記ピストン本体17には、所定量軸方向移動可能に前記剛性リング体20の軸方向移動を規制する第1環状溝26と、Oリング18の軸方向移動を規制し前記第1環状溝29の軸方向幅より小の第2環状溝27とが形成されており、第1環状凹溝26には剛性リング体20が、第2環状凹溝27にはOリング18が嵌装されている。
【0019】
前記第1環状溝29は、剛性リング体20の一方向の軸方向移動を規制するための第1係止壁23と、剛性リング体20の他方向の軸方向移動を規制するための第2係止壁24とから構成されている。ここで、前記第1及び第2係止壁23,24が剛性リング体20の側端面と当接するピストン本体17側端面を構成している。
【0020】
前記剛性リング体20の外周面は、パワーシリンダ6の内周面6cに摺接する摺接部28となっており、剛性リング体20の内周面は前記Oリング18によりシールされ、このOリング18によって、ラック軸2に生じる振れを吸収し、剛性リング体20の摺接部28を常に適正にパワーシリンダ6の内周面6cに摺接させるようになっている。
【0021】
前記ピストン5のストロークエンド付近のパワーシリンダ6の内周面には各々軸方向に、前記剛性リング体20の軸方向幅より長く延びる連通溝15が周方向の複数位置に形成されており、この連通溝15に対応する位置に剛性リング体20が位置した際に、連通溝15を介してパワーシリンダ6の両シリンダ室6a,6bを連通し、圧油が供給されたシリンダ室6a(もしくは6b)内の圧抜きを行うようになっており、これによりピストン5のストロークエンド付近でシリンダ室内6a(もしくは6b)の圧力がリリーフ圧まで達しないようになっている。
【0022】
ここで、本実施例によれば、パワーシリンダ6の内周と摺接するピストン5の摺接部に鋳鉄等からなる剛性リング体20を用いた構成であるので、前記連通溝15上を繰り返し摺動しても、連通溝15の縁によって摩耗しにくく、ピストン5の摺接部の耐久性と信頼性を確保できる。
前記剛性リング体20には、図3,図4に示すようにその外周の一部を切り欠いた切欠部30が形成されている。本発明における切欠部30の形状は、剛性リング体20の一方の側端面20aから他方の側端面20bに向かって所定角度でもって鋭角に傾斜したアングル形状となっており、この切欠部30全体が互いに対向したアングル端面30a,30bで所定量摺接可能に合わさる合い口部となっている。
【0023】
前記剛性リング体20は、その外周面を前記パワーシリンダ6の内周面に摺接させるために、次のようにして成形される。
先ず、所定厚さの帯状であってわずかな楕円の無端リング状に成形された剛性リング体20の外周の一部を、剛性リング体20の外周を真円に変形させた時の周方向長さとなるように、図3に示す所定の管理寸法tでもって、図略のカッタを用いて、剛性リング体20の一方の側端面20aから他方の側端面20bに向かって所定角度でもって鋭角に傾斜したアングル形状で切断し、切欠部30を形成する。
【0024】
次に、図4に示すように、剛性リング体20の両端におけるアングル端面30a,30bが合わさるようにして、パワーシリンダ6に組付け、パワーシリンダ6の内周面に摺接させて、剛性リング体20の摺接部28(外周面)を真円形状に変形させる。これによって、剛性リング体20の外周面は、両アングル端面30a,30bは幅方向にずれ量T1だけずれる。
【0025】
次に、上述した構成に基づいて、本発明の第1の実施の形態の作動を説明する。
図略のハンドルが操舵されることにより、サーボ弁4が作動され、例えば、ポンプ13からの作動油がポート7からパワーシリンダ6のシリンダ左室6aに供給され、ピストン5が図1の一点鎖線に示す中立位置から実線に示す位置の方向(右方向)に移動される。これにより、ラック軸2が図1の右方向に移動される。
【0026】
この時、本発明では、剛性リング体20の外周の一部をその側端面20aから他方の側端面20bに向かって所定角度でもって鋭角に傾斜したアングル形状で切欠き、その両アングル端面30a,30bを合い口部として所定量摺接可能に合わせているので、図5に示すように、シリンダ室6aに供給された圧油により、剛性リング体20の左側端面20aに油圧力が作用した場合、剛性リング体20の右側端面20bはピストン本体17の端面(第2係止壁24)に押し付けられる。
【0027】
一方、油圧力は径方向にも作用し、この径方向への油圧力がOリング18に作用することによって、剛性リング体20の内周と第2環状凹溝27(の底部)の間に十分なシール機能が発揮される。同様に、剛性リング体20の内周面にも径方向の油圧力が作用し、この剛性リング体20の内周面に作用する径方向の油圧力及び前述した剛性リング体20の左側端面20aに作用する油圧力とによって、切欠き部30における両アングル端面30a,30bが所定量摺接され、剛性リング体20の摺接部28(外周面)とパワーシリンダ6の内周面6cとの間のクリアランスを極小とすることができる。
【0028】
この結果として、両アングル端面30a,30bにおける幅方向のずれ量は、図5に示すように、T1’(T1’<T1)となる。このずれ量T1’の変化によって剛性リング体20の周方向におけるシール機能には変化なく、剛性リング体20の切欠き部30において油漏れは生じない。
このようにして、ピストン5がストロークエンド付近以外の位置では、シリンダ左室6aに供給される全ての作動油によって、ハンドル操舵にパワーアシストが付与され、ラック軸2の両端の図略の操向車輪は所望の向きに偏向される。
【0029】
ピストン5がストロークエンド付近に達すると、シリンダ左室6aに供給された高圧の作動油が連通溝15を介してシリンダ右室6bに供給され、シリンダ右室6bのポート8からタンク14に作動油が還流される。
これによって、高圧側であるシリンダ左室6aの圧抜きがなされ、ピストン5がストロークエンドに達した状態においてポンプ13の圧力がリリーフ圧まで上昇しない。
【0030】
ここで、本発明では、剛性リング体20の外周の一部に、その側端面20a,20bに対して所定角度でもって鋭角に傾斜したアングル形状で切欠いて切欠き部30を設け、この切欠き部30における両アングル端面30a,30bを合い口部として摺接させるようにしたので、圧油が供給された一方のシリンダ室6a(6b)から他方のシリンダ室6b(6a)への油漏れを防止することができるとともに、径方向への油圧力によってOリング18が剛性リング体20の内周面に押し付けられたとしても、切欠き部30に対してOリング18が食い込むことがないので、従来のように、Oリング18の食込み防止用のテフロンリングを介在させる必要がなくなり、部品点数削減によるコスト低減に寄与できるとともに、組付け工程数削減による組付け作業性向上に寄与できる。
【0031】
また、テフロンリングの廃止によって、ピストン本体17を2分割方式にして組付け性の向上を図る必要もなくなるため、図2に示すように一体型のピストン本体17とすることができ、さらに部品点数削減によるコスト低減に寄与できる。
なお、上記の切欠き部30のアングル端面30a,30bにおけるアングルは、厳密な意味での直線的に傾斜したアングル(角度)に限られることなく、直線に近似した円弧あるいは二次曲線的に傾斜したものでもよく、請求項におけるアングル形状とはこれらを包含するものである。
【0032】
次に、本発明の第2の実施の形態を図6乃至図8に基づいて説明する。
なお、第1の実施の形態と相違する部分について詳述し、第1の実施の形態と同一もしくは均等構成と考えられる部分には同符号を付して重複する説明は省略する。
本発明における切欠き部30の形状は、図7,図8に示すように、段部31a,31bが互い違いとなるように形成された段付き形状となっており、幅方向に対向する合せ面32a,32bで摺接するようになっている。この合せ面32a,32bが合い口部となっている。
【0033】
さらに、段部31a,31bに連続する側端面20a,20bには各々幅方向にカッタの厚みによって生じるカッタ送り公差C1相当量削除された除去部33a,33bが形成されている。
この除去部33a,33bは図7に示す例では、側端面20a,20bに平行するように斜線部が除去されるようになっているが、端部からその除去量が徐々に減少されるテーパ状に形成するようにしても良い。
【0034】
また、第1の実施の形態と違って、Oリング18と剛性リング体20との間には、切欠き部30に対してOリング18が食い込むことを防止するためのテフロンリング19が介在されている。
このようにテフロンリング19が介在されることから、第2の実施の形態においては、ピストン本体17が、第1ピストン本体21と第2ピストン本体22とから構成されており、これによって、テフロンリング19及び剛性リング体20の組付けが容易にできるようになっている。
【0035】
また、前記第1ピストン本体21には剛性リング体20の一方の軸方向移動を規制するための前記第1係止壁23が形成され、第2ピストン本体22には剛性リング体20の他方向の軸方向移動を規制するための前記第2係止壁24が形成されている。従って、この第1及び第2係止壁23,24によって前記第1環状溝26は、第1ピストン本体21に設けられた第1係止壁23と、第2ピストン本体22に設けられた第2係止壁24とによって構成されている。
【0036】
なお、第2の実施の形態においては、Oリング及びテフロンリング19が弾性シール部材を構成する。
前記剛性リング体20は、その外周面を前記パワーシリンダ6の内周面に摺接させるために、次のようにして成形される。
先ず、所定厚さの帯状であってわずかに楕円の無端リング状に成形された剛性リング体20の外周の一部を、剛性リング体20の外周を真円に変形させた時の周方向長さとなるように、例えばカッタを用いて、図8に示すように端部が互い違いとなった段部31a,31bと、幅方向に対向する合せ面32a,32bとを有する段付き形状に切断する。これにより、幅方向に対向する合せ面32a,32bとの間にはカッタの厚みによってカッタ送り公差C1だけ隙間が形成される。
【0037】
次に、段部31a,31bに連続する側端面20a,20bにカッタ送り公差C1相当量削除された除去部33a,33bを同様に図略のカッタにより形成する。これにより、剛性リング体20の幅方向において、段部31a,31bの各々に対する段部幅A1,A2と、段部31a,31b以外の残り幅B1,B2との寸法関係は、各々周方向に対向するもので、A1<B2,A2<B1となっている。
【0038】
次に、図8に示すように、剛性リング体20の両端における合せ面32a,32bが合わさるようにして、パワーシリンダ6に剛性リング体20を組付け、パワーシリンダ6の内周面6cに剛性リング体20の外周面を摺接させ、剛性リング体20の摺接部28(外周面)を真円形状に変形させる。
ここで、段部31a,31bに連続する側端面20a,20bに除去部33a,33bを形成するようにしたので、カッタの厚みによるカッタ送り公差C1だけ両合せ面32a,32b間に生じた隙間が吸収され、両合せ面32a,32bは完全に閉じられる。
【0039】
従って、第1の実施の形態と同様に、例えば、シリンダ左室6aに圧油が供給され、図8の矢印に示すように、剛性リング体20の左側端面20aに油圧力が作用すると、剛性リング体20の右側端面20bはピストン本体17の端面(第2係止壁24)に押し付けられる。これによって、両合せ面32a,32bはさらに強固に押し付けられて十分にシールされる。
以上
【0040】
一方、油圧力は径方向にも作用し、この径方向への油圧力がOリング18及びテフロンリング19に作用することによって、剛性リング体20の内周と第2環状凹溝27(の底部)の間に十分なシール機能が発揮される。同様に、剛性リング体20の内周面にも径方向の油圧力が作用し、この径方向の油圧力によって、両合せ面32a,32bが周方向に所定量摺接され、剛性リング体20の摺接部28(外周面)とパワーシリンダ6の内周面6cとの間のクリアランスを極小とすることができる。
【0041】
このようにして、第2の実施の形態においても、剛性リング体20の切欠き部30での油漏れを防止することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態を図9乃至図11に基づいて説明する。
なお、第2の実施の形態と相違する部分について詳述し、第2の実施の形態と同一もしくは均等構成と考えられる部分には同符号を付して重複する説明は省略する。
【0042】
本実施の形態においては、鋳鉄等のピストンリングからなる剛性リング体20が、前記ピストン本体17の移動方向に並列して設けられた2つの幅狭の第1剛性リング体35,及び第2剛性リング体36から構成されている。
第1剛性リング体35及び第2剛性リング体36は同一形状であって、幅が従来のほぼ2分の1となっており、これらはともに、図10に示すように、その外周の一部を切り欠いた切欠部37,38が各々形成されている。
【0043】
これら切欠部37,38の形状は、一方の側端面35a(36a)から他方の側端面35b(36b)に向かって、端面に直交するストレート形状となっており、各々の剛性リング体36,36は、その切欠部37,38において周方向で閉じられていない。
これら第1及び第2剛性リング体35,36は、各々の対向する側端面35b,36aで当接している。
【0044】
前記第1及び第2剛性リング体35,36は、その外周面を前記パワーシリンダ6の内周面6cに摺接させるために、次のようにして成形される。
先ず、所定厚さで幅狭の帯状であってわずかな楕円の無端リング状に成形し、その後、外周の一部を、図略のカッタを用いて、一方の側端面35a,36aから他方の側端面35b,36bに向かって、端面に直交するストレートで切断することによって、切欠部37,38を各々形成する。
【0045】
次に、図10に示すように、第1剛性リング体35の側端面35bと第2剛性リング体36の側端面36aとを当接させ、かつ切欠部37,38の周方向位置が180°異なる位置として、パワーシリンダ6に組付け、パワーシリンダ6の内周面6cに第1及び第2剛性リング体35,36の外周面を摺接させ、第1及び第2剛性リング体35,36を真円形状に変形させる。
【0046】
前記第1及び第2剛性リング体35,36の外周面は、スプリングバックにより、パワーシリンダ6の内周面6cに押圧されるため、第1剛性リング体35と第2剛性リング体36との間には周方向の相対運動がほとんど生じない。これによって、前記各切欠部37,38が組付け後に周方向で同じ位置となることはない。
【0047】
上記のように構成される第3の実施の形態は、第2の実施の形態と同様に、例えば、シリンダ左室6aに圧油が供給され、図11の矢印に示すように、第1剛性リング体35の左側端面35aに油圧力が作用すると、第2剛性リング体36の右端面36bはピストン本体17の端面(第2係止壁24)に押し付けられる。これによって、対向する側端面35b,36aはさらに強固に押し付けられて十分にシールされる。
【0048】
一方、油圧力は径方向にも作用し、この径方向への油圧力がOリング18及びテフロンリング19に作用することによって、第1及び第2剛性リング体35,36の内周と第2環状凹溝27(の底部)の間に十分なシール機能が発揮される。同様に、第1及び第2剛性リング体35,36の内周面にも径方向の油圧力が作用し、この径方向の油圧力によって、第1及び第2剛性リング体35,36の外周面とパワーシリンダ6の内周面6cとの間のクリアランスを極小とすることができる。
【0049】
なお、前記第1剛性リング体35の切欠部37には、圧油が供給されるが、合い口部を構成する両側端面35b,36aとの間と、第2剛性リング体36の外周面とパワーシリンダ6の内周面6cとの間で十分なシールがなされる。
上記のように、幅狭で外周の一部に切欠部37,38を有する鋳鉄等のピストンリングからなる第1及び第2剛性リング体35,36を前記切欠部37,38の周方向位置が異なるようにして並列に設けるようにしたので、同様に、一方のシリンダ室6a(6b)から他方のシリンダ室6b(6a)への油漏れを防止することができる。
【0050】
さらに、本実施例においては、第1及び第2剛性リング体37,38の対向する側端面35b,36aを当接させるとともに、一方剛性リング体35(36)の切欠部37(38)におけるシール不足を他方の剛性リング体36(35)で補うようにしているため、切欠部37,38の形状を一方の側端面35a,36aから他方の側端面35b,36bに向かって、端面に直交するストレートで切断した単純形状とできるため、切欠部を段付き形状や特定の所望する形状に切断する場合に比べて、加工が容易となり、加工コストを低減することができる。
【0051】
なお、上記実施の形態においては、切欠部37,38を一方の側端面から他方の側端面に向かって、端面に直交するストレートで切断して形成するようにしたが、上記した切欠部37,38の形状に限定されるものではなく、各剛性リング体において各周方向の両端部は特に係合関係を持たせても、持たせなくともどちらでも良く、種々の形状が適用できる。
【0052】
また、上記では、第1及び第2剛性リング体35,36を同一形状としたが、ピストン本体の移動方向に並列して設けられるこれら剛性リング体は、各々パワーシリンダの内周面に摺接する外周面と、かつ対向して当接する側端面を各々備えておれば良く、上記した同一形状のものに限定されるものではなく、例えば、移動方向における幅が各々異なるものであっても良い。
【0053】
また、上記では、第1剛性リング体35,36の切欠部37,38の周方向位置が180°異なる位置としたので、組付け誤差によって切欠部37,38が同じ位置となることを、確実に防止できるといった利点がある。
しかし、前述したように各剛性リング体は組付けられた時には各々の外周面においてパワーシリンダの内周面に対してスプリングバックによって押圧され、合い口部としての各側端面間においてほとんど相対運動が生じないため、特に本発明は各切欠部を180°異なる位置に設定することに限定されるものではなく、切欠部37,38の周方向位置は、この切欠部37,38において両シリンダ室が連通しない位置、即ち互いにラップしない異なる位置であれば良い。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたように本発明は、請求項1に記載の発明においては、剛性リング体の外周の一部に、その側端面から他方の側端面に向かって所定角度でもって鋭角に傾斜したアングル形状で切欠いて切欠き部を設け、この切欠き部における両アングル端面を合い口部として摺接させるようにしたので、圧油が供給された一方のシリンダ室から他方のシリンダ室への油漏れを防止することができるとともに、径方向への油圧力によって弾性シール部材が剛性リング体の内周面に押し付けられたとしても、切欠き部に対して弾性シール部材が食い込むことがないので、従来のように、弾性シール部材の食込み防止用のテフロンリング等の別部材を介在させる必要がなくなり、部品点数削減によるコスト低減に寄与できるとともに、組付け工程数削減による組付け作業性向上に寄与できる。
【0055】
また、請求項2に記載の発明においては、段付き形状に形成された切欠部で、剛性リング体の一端と対向する他端側に形成された段部に連続する側端面に各々幅方向に所定量削除された除去部を形成したので、剛性リング体の端部で幅方向に対向する合せ面が確実に摺接する合い口部として構成することができ、切欠部で圧油が供給された一方のシリンダ室から他方のシリンダ室への油漏れが生じることを防止することができる。
【0056】
また、さらに、請求項3に記載の発明においては、剛性リング体の周方向において一方の切欠部でのシール不足を、第1及び第2剛性リング体の対向する両側端面の当接によるシールと、他方の剛性リング体の外周面のスプリングバックによるシールとによって補うので、圧油が供給された一方のシリンダ室から他方のシリンダ室への油漏れが生じることを防止することができる。
【0057】
さらに、切欠部において対向する剛性リング体の両端部に係合関係を持たせる必要がないため、切欠部の加工の容易化、及び加工の容易化による加工コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すラックアンドピニオン形動力舵取装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】図1におけるピストン周辺の拡大断面図である。
【図3】真円形状に成形前の剛性リング体の切欠部を示す部分拡大図である。
【図4】真円形状に成形後の剛性リング体の切欠部を示す部分拡大図である。
【図5】ピストン本体に対する剛性リング体の押接状態を示す作動状態図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を示すピストン周辺の拡大断面図である。
【図7】真円形状に成形前の剛性リング体の切欠部を示す部分拡大図である。
【図8】ピストン本体に対する剛性リング体の押接状態を示す作動状態図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態を示すピストン周辺の拡大断面図である。
【図10】真円形状に成形後の剛性リング体の切欠部を示す部分拡大図である。
【図11】ピストン本体に対する剛性リング体の押接状態を示す作動状態図である。
【図12】従来における真円形状に成形前の剛性リング体の切欠部を示す部分拡大図である。
【図13】従来におけるピストン本体に対する剛性リング体の押接状態を示す作動状態図である。
【符号の説明】
1 ギヤハウジング
2 ラック軸
3 ピニオン軸
6 パワーシリンダ
6a,6b シリンダ室
6c 内周面
15 連通溝
17 ピストン本体
18 Oリング(弾性シール部材)
19 テフロンリング
20 剛性リング体
20a,20b 側端面
28 摺接部
30 切欠部
30a,30b テーパ端面
31a,31b 段部
32a,32b 合せ面
33a,33b 除去部
Claims (3)
- ハンドル操舵により回転されるピニオン軸と、このピニオン軸に噛合するラック軸と、このラック軸を挿通するパワーシリンダと、前記ラック軸上に固着され前記パワーシリンダ内を2つのシリンダ室に区画するピストンと、前記パワーシリンダの内周面の周方向に複数形成され前記ピストンのストロークエンド付近で前記2つのシリンダ室を連通する連通溝とを備え、前記ピストンを、前記ラック軸上に固着されたピストン本体と、このピストン本体の外周に弾性シール部材を介して設けられるとともに軸方向移動を規制され、前記パワーシリンダの内周面に摺接する摺接部を有する剛性リング体とから構成したラックアンドピニオン形動力舵取装置において、前記剛性リング体に、その外周の一部を切り欠いた切欠部を形成し、この切欠部の形状を前記剛性リング体の一方の側端面から他方の側端面に向かって所定角度でもって鋭角に傾斜したアングル形状とし、このアングル形状の互いに対向した各アングル端面を所定量摺接可能に合わさる合い口部として構成したことを特徴とするラックアンドピニオン形動力舵取装置。
- ハンドル操舵により回転されるピニオン軸と、このピニオン軸に噛合するラック軸と、このラック軸を挿通するパワーシリンダと、前記ラック軸上に固着され前記パワーシリンダ内を2つのシリンダ室に区画するピストンと、前記パワーシリンダの内周面の周方向に複数形成され前記ピストンのストロークエンド付近で前記2つのシリンダ室を連通する連通溝とを備え、前記ピストンを、前記ラック軸上に固着されたピストン本体と、このピストン本体の外周に弾性シール部材を介して設けられるとともに軸方向移動を規制され、前記パワーシリンダの内周面に摺接する摺接部を有する剛性リング体とから構成したラックアンドピニオン形動力舵取装置において、前記剛性リング体に、その外周の一部を切り欠いた切欠部を形成し、この切欠部の形状を端部が互い違いとなった段部と幅方向に対向する合せ面とを有する段付き形状にて構成し、前記段部に連続する側端面に各々幅方向に所定量削除された除去部を形成し、前記合せ面を周方向に摺接する合い口部として構成したことを特徴とするラックアンドピニオン形動力舵取装置。
- ハンドル操舵により回転されるピニオン軸と、このピニオン軸に噛合するラック軸と、このラック軸を挿通するパワーシリンダと、前記ラック軸上に固着され前記パワーシリンダ内を2つのシリンダ室に区画するピストンと、前記パワーシリンダの内周面の周方向に複数形成され前記ピストンのストロークエンド付近で前記2つのシリンダ室を連通する連通溝とを備え、前記ピストンを、前記ラック軸上に固着されたピストン本体と、このピストン本体の外周に弾性シール部材を介して設けられるとともに軸方向移動を規制され、前記パワーシリンダの内周面に摺接する摺接部を有する剛性リング体とから構成したラックアンドピニオン形動力舵取装置において、前記剛性リング体を前記ピストン本体移動方向に並列して設けられた第1剛性リング体と第2剛性リング体とから構成し、これら第1及び第2剛性リング体に外周の一部を切り欠いた切欠部を各々形成するとともに、前記各切欠部が周方向で異なる位置で前記第1及び第2剛性リング体の対向する各側端面を当接させたことを特徴とするラックアンドピニオン形動力舵取装置。
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- 1995-08-10 JP JP20412895A patent/JP3570028B2/ja not_active Expired - Fee Related
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