JP3570118B2 - 液体封入式防振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部に封入された流体(液体)の流動に基づいて防振効果の得られるようにした液体封入式防振装置に関するものであり、特に、液体の流動に伴って発揮される防振特性を、簡単な構造をもって複数段に切換えることができるようにするとともに、高周波数域においても低動バネ特性の得られるようにした、液体封入式防振装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
防振装置のうち、特に、自動車用のエンジンマウント等にあっては、動力源であるところのエンジンが、アイドリング運転の状態から最大回転速度までの間、種々の状況下で使用されるものであるため、広い範囲の周波数に対応できるものでなければならない。そのため、内部に二つの液室を設け、その間をオリフィスをもって連結するようにした、いわゆる液体封入式のエンジンマウント(防振装置)が、すでに案出されており、例えば、特開平4−60231号公報等により公知となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公知のものは、低周波数域における2種類の入力振動に対処するため、二つのオリフィスを有するようになっており、これらのオリフィスを作動させることによって、2種類の振動、例えば、エンジンアイドリング振動と、エンジンシェークとに対応(振動遮断)することができるようになっているものである。しかしながら、これらの振動は、その周波数が10Hzないし30Hz前後のものである。ところで、自動車用エンジンは種々の状況下において使用されるものであり、当該エンジン及び当該エンジンを支持するエンジンマウントを介して車室内に伝播される振動・騒音の周波数域も広範囲のものとなっている。特に、最近においては、上記アイドリング振動やエンジンシェークの外に、これらよりも高周波数域の振動であるこもり音等のエンジンノイズに関する振動・騒音が問題とされている。これらの比較的高周波数域の振動の遮断を図るために、これら高周波数域においても低動バネ定数を形成することのできるようにした液体封入式の防振装置を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明においては、振動体に取付けられる連結金具と、車体側に取付けられるホルダと、これら連結金具とホルダとの間にあって上記振動体からの振動を吸収及び遮断するインシュレータと、当該インシュレータに連続して設けられるものであって、非圧縮性流体である液体の封入される液室を備えてなる防振機構部と、からなる液体封入式の防振装置において、上記防振機構部を、インシュレータの一部にてその室壁が形成されるものであって液体の封入される主室と、当該主室にオリフィスを介して上記液体が流動するように連結される副室と、上記主室内の一部にダイヤフラムを介して設けられるものであって、その室内容積が変化するように形成された平衡室と、上記副室の周りに別のダイヤフラムを介して設けられるものであって常時空気の導入される空気室と、からなるようにするとともに、このような構成からなる上記平衡室に、負圧または大気圧のうち、いずれか一方のものを、連続的に、あるいはエンジン振動に同期させ交互に導入させるように切換作動をする切換手段を設け、更に、当該切換手段の切換作動を制御する制御手段を設けるようにした構成を採ることとした。
【0005】
上記構成を採ることにより、本発明においては次のような作用を呈することとなる。すなわち、本発明においては、主室の内部にダイヤフラムを介して平衡室が設けられるようになっているとともに、当該平衡室内には負圧または大気圧が適宜導入されるようになっているものである。そして、この負圧または大気圧の導入に関しては、制御手段にて制御される切換手段を介して行なわれるようになっているものである。すなわち、この切換手段の作動によって、上記平衡室内へは、負圧が特定の周波数をもって周期的に導入されたり、あるいは一定の負圧が連続的に導入されたりするようになっている。また、場合によっては、平衡室は大気開放の状態に保持されるようになっている。従って、例えば、振動体を形成するエンジンのアイドリング振動に対しては、上記切換手段のON/OFF作動によって、上記平衡室の圧力(容積)を変化させ、これによって、上記インシュレータを介して入力されるアイドリング振動によって生ずる上記主室内の液圧変動を吸収するようにしている。その結果、上記インシュレータ及び本防振機構部にて形成されるバネ系の動バネ定数が低下することとなる。これらによって、アイドリング振動の吸収及び遮断を図ることとしている。
【0006】
一方、車両の走行中に問題とされるこもり音の原因となる100Hzないし600Hz程度の高周波数の振動に対しては、上記切換手段を作動させて、上記平衡室を大気開放の状態にする。これによって、上記平衡室は、上記インシュレータ及び液室内の液体を介して入力される上記高周波数の振動に対して、その室内容積が自由に変化をすることとなる。その結果、上記インシュレータ及び液室内の液体は自由に振動をすることができるようになり、本防振機構部が形成するバネ系の動バネ定数は低く抑えられることとなる。従って、高周波数域の振動に対する、その遮断効果が高められることとなる。このように、本発明のものにおいては、切換バルブ等からなる切換手段、及び一個のオリフィス、更には一個の平衡室を設けることによって、複数種類の振動を吸収及び遮断することができるようになる。
【0007】
また、上記アイドリング振動よりも更に低周波数の振動であるエンジンシェークに対しては、上記主室と副室との間を連結するオリフィス内を、上記液体が流動するようにし、これによって、本エンジンシェークの吸収及び遮断を行なうこととしている。すなわち、このエンジンシェークに関する振動は、約10Hz前後の周波数を有するものであるので、これに対して、動バネ定数を低くすることによって振動遮断を図ることは困難である。そこで、本発明においては、上記防振機構部を形成する上記平衡室に一定の負圧を導入し、当該平衡室の容積をゼロの状態にするようにしている。これによって、上記主室と副室との間に形成されるオリフィス内を上記液体が流動するようにし、この液体の流動に伴なう粘性抵抗によって、所定の減衰力を生じさせるようにしている。そして、この減衰力によって、上記エンジンシェークの減衰を図ることとしている。
【0008】
次に、請求項2記載の発明について説明する。このものも、その基本的な点は、上記請求項1記載のものと同じである。その特徴とするところは、防振機構部を円筒型の形態からなるようにしたことである。すなわち、振動体に取付けられる連結金具を形成するものであって円筒状の形態からなる内筒と、車体側に取付けられるホルダを形成するものであって円筒状の形態からなる外筒と、これら内筒と外筒との間であって上記内筒の周りに設けられるインシュレータと、当該インシュレータの周りに設けられるものであって非圧縮性流体である液体の封入される液室を備えてなる防振機構部と、からなる円筒型の液体封入式防振装置に関して、上記防振機構部を、インシュレータの一部にてその室壁が形成されるものであって液体の封入される主室と、当該主室にオリフィスを介して上記液体が流動するように連結されるものであって上記主室との間が剛体からなる仕切板にて隔てられた副室と、上記主室内の一部にダイヤフラムを介して設けられるものであって、その室内容積が変化するように形成された平衡室と、上記副室の外側に、別のダイヤフラムを介して設けられるものであって常時空気の導入される空気室と、からなるようにするとともに、このような構成からなる上記平衡室に、負圧または大気圧のうち、いずれか一方のものを、連続的に、あるいはエンジン振動に同期させ交互に導入させるように切換作動をする切換手段を設け、更に、当該切換手段の切換作動を制御する制御手段を設けるようにした構成を採ることとした。このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては、上記請求項1記載のものに加えて、更に、小形化及び軽量化を図ることができるようになる。また、振動体の支持に当っては、省スペース化を図ることができるようになる。
【0009】
次に、請求項3記載の発明について説明する。このものは、液室等からなる防振機構部を、インシュレータに対して直列に設けるようにしたものである。すなわち、液体封入式防振装置において、防振機構部を、インシュレータに対して直列に設けられる液室からなるものであって、上記インシュレータの一部にて、その室壁が形成される主室と、当該主室にオリフィスを介して上記液体が流動するように連結されるとともに、上記主室との間が、剛体からなる仕切板にて隔てられた構成からなる副室と、上記主室と仕切板との間にダイヤフラムを介して形成されるものであって、大気圧及び負圧のうち、いずれか一方のものが導入されるように形成された平衡室と、上記副室の下方部に別のダイヤフラムを介して設けられるものであって常時空気の導入される空気室と、からなるようにした構成を採ることとした。このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては、上記請求項1記載のものに加えて、上記振動体からの振動が、インシュレータ及び主室内の液体へと直接伝播されるようになり、振動の遮断効果がより高められることとなる。また、従来の縦型の液体封入式防振装置を基礎に、上記主室内に平衡室を有する防振装置が形成されることとなり、防振装置全体の組立性(組付性)の向上等が図られることとなる。
【0010】
次に、請求項4記載の発明について説明する。このものも、その基本的な点は、上記請求項3記載のものと同じである。その特徴とするところは、平衡室を形成する仕切板のところに、同じく平衡室を形成するダイヤフラムが吸着等することの無いようにしたことである。すなわち、インシュレータに対して直列に設けられる液室等からなる液体封入式の防振装置において、上記防振機構部における平衡室の一部を形成する仕切板のところであって、同じく平衡室を形成するダイヤフラムと接触するところに、上記仕切板側接触面の表面部と上記ダイヤフラム側接触面の表面部との間において空気の流通が可能なように形成された無数の凹凸部を有する構成を採ることとした。
【0011】
このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては、上記請求項3記載のものに加えて、更に、次のような作用を呈することとなる。すなわち、上記平衡室内に、負圧または大気圧が導入され、これによって、当該平衡室の一部を形成するダイヤフラムが振動(変形)をするに際して、本ダイヤフラムが上記負圧によって上記仕切板側に吸引されて上記仕切板と接触するようになったときに、当該仕切板と密着するようなことが無くなる。具体的には、上記仕切板の表面部である上記ダイヤフラムと接触する側に、微視的に見て、無数の微細な凹凸部が設けられるようになっているものである。そして、これら微細凹凸部の間に形成される谷の部分(溝部)は、全体的に連続した形態となっているものである。従って、このような形態からなる微細凹凸部を有する仕切板の表面上に上記ダイヤフラムが負圧にて吸引されて接触したとしても、両者の間には多くの隙間が形成されることとなる。そして、これら隙間にて形成される溝部は、ダイヤフラムの存在するところ以外の空間部に連通するようになっている。従って、上記ダイヤフラムは上記仕切板の表面に密着あるいは吸着するようなことが無くなる。その結果、上記ダイヤフラムは、切換手段からの負圧または大気圧の導入に応じて円滑に作動(変形)をすることとなり、当該ダイヤフラムによって形成される平衡室の容積変化も円滑に進められることとなる。
【0012】
次に、請求項5記載の発明について説明する。このものも、その基本的な点は、上記請求項1記載のものと同じである。その特徴とするところは、その防振機構部の構成を、一つの液室と、一つの空気室兼用の平衡室と、からなるようにしたことである。すなわち、振動体側に取付けられる連結金具と、車体側に取付けられるホルダと、これら連結金具とホルダとの間にあって上記振動体からの振動を吸収及び遮断するインシュレータと、当該インシュレータに対して直列に設けられるものであって、非圧縮性流体である液体の封入される液室及び当該液室の下方部にダイヤフラムを介して設けられる空気室を備えてなる防振機構部と、からなる液体封入式の防振装置に関して、上記防振機構部を、上記インシュレータの一部にて、その室壁が形成されるものであって、上記インシュレータからの振動が直接伝播される液体をその内部に有する液室と、当該液室に対して直列に、ダイヤフラムを介して設けられるものであって負圧及び大気圧のうち、いずれか一方のものが導入される空気室兼用の平衡室と、からなるようにするとともに、このような構成からなる上記平衡室に、負圧または大気圧のうち、いずれか一方のものを、エンジン振動に同期させ交互に導入させるように切換作動をする切換手段を設け、更に、当該切換手段の切換作動を制御する制御手段を設けるようにした構成を採ることとした。このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては、簡単な構造にて、アイドリング振動の遮断と、走行中に問題となるものであって、こもり音の原因となる100Hzないし600Hz程度の高周波数域の振動の遮断を図ることができるようになる。
請求項6記載の発明は、振動体に取付けられる連結金具と、車体側に取付けられるホルダと、これら連結金具とホルダとの間にあって上記振動体からの振動を吸収及び遮断するインシュレータと、当該インシュレータに連続して設けられるものであって、非圧縮性流体である液体の封入される液室を備えてなる防振機構部と、からなる液体封入式の防振装置において、上記防振機構部は、インシュレータの一部にてその室壁が形成されるものであって液体の封入される主室と、当該主室にオリフィスを介して上記液体が流動するように連結されるとともに、上記主室との間が剛体からなる仕切板にて隔てられた副室と、上記主室と上記仕切板との間にダイヤフラムを介して設けられるものであって、大気圧及び負圧のうちいずれか一方のものが導入されることでその室内容積が変化するように形成された平衡室と、を備えてなり、このような構成からなる上記平衡室に、負圧または大気圧のうち、いずれか一方のものを、連続的に、あるいはエンジン振動に同期させて交互に導入させるように切換作動をする切換手段を設け、更に、当該切換手段の切換作動を制御する制御手段を設けるようにしたことを特徴とする液体封入式防振装置である。
請求項7記載の発明は、振動体に取付けられる連結金具を形成するものであって円筒状の形態からなる内筒と、車体側に取付けられるホルダを形成するものであって円筒状の形態からなる外筒と、これら内筒と外筒との間であって、上記内筒の周りに設けられるインシュレータと、当該インシュレータの周りに設けられるものであって非圧縮性流体である液体の封入される液室を備えてなる防振機構部と、からなる円筒型の液体封入式防振装置において、上記防振機構部は、インシュレータの一部にてその室壁が形成されるものであって液体の封入される主室と、当該主室にオリフィスを介して上記液体が流動するように連結されるものであって、上記主室との間が剛体からなる仕切板にて隔てられた構成からなる副室と、上記主室内の一部にダイヤフラムを介して設けられるものであって、その室内容積が変化するように形成された平衡室と、を備えてなり、このような構成からなる上記平衡室に、負圧または大気圧のうち、いずれか一方のものを、連続的に、あるいはエンジン振動に同期させて交互に導入させるように切換作動をする切換手段を設け、更に、当該切換手段の切換作動を制御する制御手段を設けるようにしたことを特徴とする円筒型の液体封入式防振装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1ないし図5を基に説明する。まず、本発明の第一の実施の形態について説明する。本第一の実施の形態に関するものの、その構成は、図1に示す如く、振動体側に取付けられる連結金具を形成する内筒77と、車体側に取付けられるホルダの役目を果たすものであってブラケット9に取付けられる外筒66と、これら内筒77と外筒66との間に設けられるものであって振動体に連結される上記内筒77の周りの設けられるインシュレータ2と、当該インシュレータ2の周りに設けられるものであって、非圧縮性流体である液体の封入される主室11及び副室12等の液室にて形成される防振機構部1と、当該防振機構部1の上記主室11内に設けられるものであって、負圧または大気圧の導入される平衡室13と、当該平衡室13に導入される上記負圧または大気圧の切換作動を行なう切換手段3と、当該切換手段3の切換作動を制御する制御手段5と、からなることを基本とするものである。
【0014】
このような基本構成において、上記インシュレータ2は、防振ゴム材からなるものであり、上記内筒77に加硫接着手段等により一体的に結合されるようになっているものである。そして、このような構成からなるインシュレータ2の周りには、主室11等からなる防振機構部1が設けられるようになっているものである。この防振機構部1は、図1に示す如く、上記インシュレータ2に連続して、かつ、当該インシュレータ2の一部にて、その室壁の形成される主室11と、当該主室11の反対側であってリング状の仕切板14にて隔てられたところに設けられる副室12と、これら主室11と副室12との間を連結するものであって上記外筒66の内側に沿って設けられるオリフィス16と、上記副室12の外側に、別のダイヤフラム17を介して設けられるものであって常時空気の導入される空気室18と、上記主室11内であって上記主室11を形成する空間内にダイヤフラム15を介して形成される平衡室13と、からなることを基本とするものである。
【0015】
このような基本構成において、上記主室11と副室12との間には、オリフィス16が設けられるようになっており、上記主室11と副室12との間の液体を流動させるようになっているものである。また、上記主室11内には、ゴム状弾性体からなるストッパ8が設置されるようになっているとともに、当該ストッパ8の下方部には剛体状のプロテクタ88が設けられるようになっているものである。そして、これらストッパ8及びプロテクタ88によって、上記振動体からの大振幅の振動が入力した場合に、上記平衡室13を形成するダイヤフラム15が保護されるようになっているものである。このような構成からなるインシュレータ2及び当該インシュレータ2を中心に形成される防振機構部1が外筒66内に設置されるとともに、当該外筒66が車体側のメンバ等に連結されるブラケット9に取付けられるようになっているものである。
【0016】
また、これら構成からなる防振機構部1を形成する上記平衡室13のところには、連通路19が設けられており、この連通路19の一端は、切換手段3を形成する切換バルブ31に連結されるようになっているものである。そして、この切換バルブ31は、三方弁からなるものであり、適宜切換えられることによって上記平衡室13を負圧源または大気中に連通させるようになっているものである。なお、これら切換手段3の切換作動は、一体的に設けられたソレノイド32によって行なわれるようになっているものである。すなわち、本切換手段3はソレノイドバルブにて形成されるようになっているものである。また、このような構成からなる切換バルブ31の大気圧導入ポート側には、大気圧の導入速度と負圧の導入速度とをバランスさせるための絞り弁33が設けられるようになっている。
【0017】
このような切換手段3の切換作動を制御する制御手段5は、マイクロプロセッサユニットを基礎として形成されるマイクロコンピュータ(CPU)等からなるものである。これら構成からなる制御手段5の制御作用により、上記切換手段3が駆動され、これによって、エンジンの吸入負圧等にて形成される負圧、あるいは大気開放によって形成される大気圧が、上記平衡室13に導入されるようになっているものである。そして、このような切換手段3を介しての負圧または大気圧の導入によって、上記平衡室13の一部を形成するダイヤフラム15が駆動され(変形をし)、上記主室11内に生じる液圧変動を吸収するようになっているものである。
【0018】
次に、このような構成からなる本実施の形態のものについての、その作動態様等について説明する。すなわち、振動体側からの振動は、図1に示す如く、内筒66を介して、ゴム材等からなるインシュレータ2へと伝播される。これによって、当該インシュレータ2は振動あるいは変形をして、上記入力振動の大部分を吸収あるいは遮断する。従って、大半の振動は、このインシュレータ2の部分で遮断されることとなるが、一部のものは、当該インシュレータ2のところでは遮断されず、次の防振機構部1のところで遮断されることとなる。次に、この防振機構部1における具体的な作用について説明する。まず、アイドリング振動に対しては、上記切換手段3を作動させることによって、上記主室11内であって、その下方部のところに設けられた平衡室13内へ、負圧または大気圧を特定の周波数をもって交互に導入させるようにする。すなわち、上記切換手段3を特定の周波数にて作動させることによって、上記平衡室13内の圧力(容積)を変化させ、これによって、上記インシュレータ2を介して入力されるアイドリング振動によって生ずる上記主室11内の液圧変動を吸収するようにする。その結果、上記インシュレータ2及び本防振機構部1にて形成されるバネ系の動バネ定数が低下することとなり、アイドリング振動の吸収及び遮断が行なわれることとなる。
【0019】
次に、上記アイドリング振動よりも更に低周波数の振動であるエンジンシェークに対しては、当該振動が約10Hz前後の低周波数を有するものであるので、これに対して、動バネ定数を低くすることによって振動遮断を図ることは困難である。そこで、本実施の形態のものにおいては、上記防振機構部1における減衰特性の向上によって、上記エンジンシェークに関する振動を抑え込む(減衰させる)こととしている。すなわち、上記防振機構部1を形成する上記平衡室13に、一定の負圧を導入し、当該平衡室13内の容積をゼロの状態にする。これによって、上記主室11と副室12との間に形成されるオリフィス16内を上記液体が流動するようになる。そして、この液体の流動に伴なう粘性抵抗によって、所定の減衰力を生じさせるようにしている。この減衰力によって、エンジンシェークの減衰が図られることとなる。
【0020】
一方、車両の走行中に問題とされるこもり音の原因となる100Hzないし600Hz程度の高周波数域の振動に対しては、上記切換手段3を作動させ、上記平衡室13を大気開放の状態に保持する。これによって、上記平衡室13は、上記インシュレータ2及び主室11内の液体を介して入力される上記高周波数の振動に対して、その室内容積が自由に変化をすることとなる。その結果、上記インシュレータ2及び主室11内の液体は、自由に振動をすることができるようになり、本防振機構部1にて形成されるバネ系の動バネ定数は低く抑えられることとなる。従って、高周波数域の振動に対する、その遮断効果が高められることとなる。
【0021】
次に、本発明の第二の実施の形態について、図2ないし図4を基に説明する。本実施の形態に関するものの、その構成は、図2に示す如く、振動体側に取付けられる連結金具7と、車体側に取付けられるホルダ6と、これら連結金具7とホルダ6との間にあって上記振動体からの振動を吸収及び遮断するインシュレータ2と、当該インシュレータ2に対して直列に設けられるものであって、非圧縮性流体である液体の封入される液室等からなる防振機構部1と、当該防振機構部1を形成する主室11内に設けられるものであって、容積変化のする平衡室13に、負圧または大気圧を交互に導入させるするように切換作動をする切換手段3と、当該切換手段3の切換作動を制御する制御手段5と、からなることを基本とするものである。
【0022】
このような基本構成において、上記インシュレータ2は、防振ゴム材からなるものであり、上記連結金具7に加硫接着手段等により一体的に結合されるようになっているものである。そして、このような構成からなるインシュレータ2の下方部に、当該インシュレータ2に対して直列に設けられる防振機構部1は、図2及び図3に示す如く、主室11及び副室12からなる液室と、これら液室を形成する副室12の下方部に、別のダイヤフラム17を介して形成される空気室18と、上記主室11と副室12との間を仕切る仕切板14の、その上方部であって上記主室11を形成する空間内にダイヤフラム15を介して形成される平衡室13と、からなることを基本とするものである。
【0023】
このような基本構成において、上記主室11と副室12との間には、図1及び図2に示す如く、オリフィス16が設けられるようになっており、上記主室11と副室12との間の液体を流動させるようになっているものである。また、上記平衡室13には、連通路19が設けられており、この連通路19の一端は、切換手段3を形成する切換バルブ31に連結されるようになっているものである。なお、これら構成からなる切換手段3は上記第一の実施の形態のところで説明したものと同じものであり、従って、当該切換手段3の切換作動を制御する制御手段5も、上記第一の実施の形態のところで説明したものと同じマイクロプロセッサユニットを基礎として形成されるマイクロコンピュータ(CPU)等からなるものである。
【0024】
なお、このような構成からなる本実施の形態のものにおいて、その平衡室13を形成する仕切板14のところの表面構造を変えたもの(変形例)について、図4を基に説明する。このものは、上記仕切板14の表面部のところに、空気の流通が可能なように形成された微細な凹凸部145を有する構成からなるものである。そして、この微細凹凸部145は、ショットブラスト手段あるいは表面シボ加工手段等により、その表面部の粗度が粗くなるように表面処理されることによって形成されるようになっているものである。また、これら仕切板14の表面部と接触する上記ダイヤフラム15の接触面側には、ウレタン系塗料またはシリコン系塗料の塗布等によって形成される滑性層が形成されるようになっているものである。
【0025】
このような構成を採ることにより、本実施の形態のものにおいては、上記平衡室13内に負圧または大気圧が導入されて、上記ダイヤフラム15が振動をして、上記仕切板14と接触するようになったときに、当該仕切板14と上記ダイヤフラム15とは密着するようなことが無くなる。すなわち、上記仕切板14の表面部である上記ダイヤフラム15と接触する側には、微視的に見て、無数の微細な凹凸部145が設けられるようになっているものであり、そして、これら微細凹凸部145の間には連続した溝部が形成されるようになっているものである。従って、このような形態からなる微細凹凸部145を有する仕切板14の表面上に上記ダイヤフラム15が負圧にて吸引されて接触したとしても、両者の間には多くの隙間が形成されることとなる。そして、これら隙間にて形成される溝部は、上記ダイヤフラム15の存在するところ以外の空間部に連通するようになっているものであるので、上記ダイヤフラム15は上記仕切板14の表面に密着あるいは吸着するようなことが無い。その結果、上記ダイヤフラム15は、切換手段3からの負圧または大気圧の導入に応じて円滑に作動(変形)をするようになり、当該ダイヤフラム15によって形成される平衡室13の容積変化も円滑に進められることとなる。
【0026】
次に、本発明の第三の実施の形態について図5を基に説明する。このものは、上記防振機構部1が、一つの液室111と一つの平衡室(空気室兼用)13とを基礎にして形成されるようになっているものであり、その構造が簡略化されているものである。すなわち、本実施の形態に関するものの、その防振機構部1の構成は、図5に示す如く、上記インシュレータ2の下方部に設けられるものであって当該インシュレータ2からの振動が直接伝播される液室111と、当該液室111とダイヤフラム15を介して設けられるものであって、負圧及び大気圧のうち、いずれか一方のものが導入される空気室兼用の平衡室13と、からなるものである。そして、当該空気室兼用の平衡室13内に上記負圧または大気圧のうち、いずれか一方のものが周期的に導入されるように切換作動をする切換手段3と、当該切換手段3の切換作動を制御する制御手段5と、が設けられるようになっているものである。このような構成からなる本防振機構部1の上方部にインシュレータ2が設けられ、更には、これら防振機構部1及びインシュレータ2を保持するように、その上下に連結金具7及びホルダ6が設けられることによって、簡易型の液体封入式防振装置が形成されるようになっているものである。このような構成を採ることにより、本実施の形態のものにおいては、上記ソレノイドバルブからなる切換手段3の切換作動によって、アイドリング振動及び走行中に問題となる比較的高周波数域の振動の両方の振動に対して、低動バネ定数を形成させることができるようになる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、振動体側に取付けられる連結金具と、車体側に取付けられるホルダと、これら連結金具とホルダとの間にあって上記振動体からの振動を吸収及び遮断するインシュレータと、当該インシュレータに対して連続して設けられるものであって、非圧縮性流体である液体の封入される液室等にて形成される防振機構部と、当該防振機構部に負圧または大気圧を導入させるように切換作動する切換手段と、当該切換手段の切換作動を制御する制御手段と、からなる液体封入式の防振装置に関して、上記防振機構部を、上記インシュレータの一部にて、その室壁が形成されるものであって上記インシュレータからの振動が直接伝播される液体を、その内部に有する液室と、当該液室に連続して、かつ、ダイヤフラムを介して設けられるものであって、負圧及び大気圧のうち、いずれか一方のものが導入される平衡室と、からなるようにした構成を採ることとしたので、上記切換手段をON/OFF作動させることによって、上記平衡室の容積を変化させ、これによって、上記インシュレータを介して入力されるアイドリング振動によって生ずる上記液室内の液圧変動を吸収することができるようになり、その結果、アイドリング振動の吸収及び遮断を図ることができるようになった。
【0028】
また、一方、車両の走行中に問題とされるこもり音の原因となる100Hzないし600Hz程度の高周波数域の振動に対しては、上記切換手段を作動させて、上記平衡室を大気開放の状態にし、これによって、上記平衡室を、上記インシュレータ及び液室内の液体を介して入力される上記高周波数の振動に対して、その室内容積を自由に変化させるようにし、本防振機構部が形成するバネ系の動バネ定数を低く抑えることができるようになった。その結果、高周波数域の振動に対する、その遮断効果を高めることができるようになった。
【0029】
また、エンジンシェークに対しては、上記液室を形成する主室と副室との間にオリフィスを設けるようにするとともに、この間を液体が流動するようにし、この液体の流動に伴なう粘性抵抗によって、所定の減衰力を生じさせるようにし、この減衰力の作用によって、上記エンジンシェークの抑制を図ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態にかかるものであって円筒型の液体封入式防振装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第二の実施の形態にかかるものであって縦型式液体封入式防振装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態に関するものの、その作動態様を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態にかかるものの、その平衡室の構造を変えた変形例の全体構成を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第三の実施形態に関するものの、その全体構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 防振機構部
11 主室
111 液室
12 副室
13 平衡室
14 仕切板
145 凹凸部
15 ダイヤフラム
16 オリフィス
17 ダイヤフラム(別のダイヤフラム)
18 空気室
19 連通路
2 インシュレータ
3 切換手段
31 切換バルブ
32 ソレノイド
33 絞り弁
5 制御手段
6 ホルダ
66 外筒
7 連結金具
77 内筒
8 ストッパ
88 プロテクタ
9 ブラケット

Claims (7)

  1. 振動体に取付けられる連結金具と、車体側に取付けられるホルダと、これら連結金具とホルダとの間にあって上記振動体からの振動を吸収及び遮断するインシュレータと、当該インシュレータに連続して設けられるものであって、非圧縮性流体である液体の封入される液室を備えてなる防振機構部と、からなる液体封入式の防振装置において、
    上記防振機構部を、インシュレータの一部にてその室壁が形成されるものであって液体の封入される主室と、当該主室に、オリフィスを介して上記液体が流動するように連結される副室と、上記主室内の一部にダイヤフラムを介して設けられるものであって、その室内容積が変化するように形成された平衡室と、上記副室の周りに別のダイヤフラムを介して設けられるものであって常時空気の導入される空気室と、からなるようにするとともに、このような構成からなる上記平衡室に、負圧または大気圧のうち、いずれか一方のものを、連続的に、あるいはエンジン振動に同期させ交互に導入させるように切換作動をする切換手段を設け、更に、当該切換手段の切換作動を制御する制御手段を設けるようにしたことを特徴とする液体封入式防振装置。
  2. 振動体に取付けられる連結金具を形成するものであって円筒状の形態からなる内筒と、車体側に取付けられるホルダを形成するものであって円筒状の形態からなる外筒と、これら内筒と外筒との間であって、上記内筒の周りに設けられるインシュレータと、当該インシュレータの周りに設けられるものであって非圧縮性流体である液体の封入される液室を備えてなる防振機構部と、からなる円筒型の液体封入式防振装置において、
    上記防振機構部を、インシュレータの一部にてその室壁が形成されるものであって液体の封入される主室と、当該主室にオリフィスを介して上記液体が流動するように連結されるものであって、上記主室との間が剛体からなる仕切板にて隔てられた構成からなる副室と、上記主室内の一部にダイヤフラムを介して設けられるものであって、その室内容積が変化するように形成された平衡室と、上記副室の外側に、別のダイヤフラムを介して設けられるものであって常時空気の導入される空気室と、からなるようにするとともに、このような構成からなる上記平衡室に、負圧または大気圧のうち、いずれか一方のものを、連続的に、あるいはエンジン振動に同期させ交互に導入させるように切換作動をする切換手段を設け、更に、当該切換手段の切換作動を制御する制御手段を設けるようにしたことを特徴とする円筒型の液体封入式防振装置。
  3. 請求項1記載の液体封入式防振装置において、上記防振機構部を、上記インシュレータに対して直列に設けられる液室からなるものであって、上記インシュレータの一部にて、その室壁が形成される主室と、当該主室にオリフィスを介して上記液体が流動するように連結されるとともに、上記主室との間が、剛体からなる仕切板にて隔てられた構成からなる副室と、上記主室と仕切板との間にダイヤフラムを介して形成されるものであって、大気圧及び負圧のうち、いずれか一方のものが導入されるように形成された平衡室と、上記副室の下方部に別のダイヤフラムを介して設けられるものであって常時空気の導入される空気室と、からなるようにしたことを特徴とする液体封入式防振装置。
  4. 請求項3記載の液体封入式防振装置において、上記平衡室の一部を形成する仕切板のところであって、上記平衡室を形成するダイヤフラムと接触するところに、上記仕切板側接触面の表面部と上記ダイヤフラム側接触面の表面部との間において空気の流通が可能なように形成された無数の凹凸部を設けるようにしたことを特徴とする液体封入式防振装置。
  5. 振動体側に取付けられる連結金具と、車体側に取付けられるホルダと、これら連結金具とホルダとの間にあって上記振動体からの振動を吸収及び遮断するインシュレータと、当該インシュレータに対して直列に設けられるものであって、非圧縮性流体である液体の封入される液室及び当該液室の下方部にダイヤフラムを介して設けられる空気室を備えてな 防振機構部と、からなる液体封入式の防振装置において、
    上記防振機構部を、上記インシュレータの一部にて、その室壁が形成されるものであって、上記インシュレータからの振動が直接伝播される液体を、その内部に有する液室と、当該液室に対して直列に、ダイヤフラムを介して設けられるものであって負圧及び大気圧のうち、いずれか一方のものが導入される空気室兼用の平衡室と、からなるようにするとともに、このような構成からなる上記平衡室に、負圧または大気圧のうち、いずれか一方のものを、エンジン振動に同期させ交互に導入させるように切換作動をする切換手段を設け、更に、当該切換手段の切換作動を制御する制御手段を設けるようにしたことを特徴とする液体封入式防振装置。
  6. 振動体に取付けられる連結金具と、車体側に取付けられるホルダと、これら連結金具とホルダとの間にあって上記振動体からの振動を吸収及び遮断するインシュレータと、当該インシュレータに連続して設けられるものであって、非圧縮性流体である液体の封入される液室を備えてなる防振機構部と、からなる液体封入式の防振装置において、
    上記防振機構部は、インシュレータの一部にてその室壁が形成されるものであって液体の封入される主室と、当該主室にオリフィスを介して上記液体が流動するように連結されるとともに、上記主室との間が剛体からなる仕切板にて隔てられた副室と、上記主室と上記仕切板との間にダイヤフラムを介して設けられるものであって、大気圧及び負圧のうちいずれか一方のものが導入されることでその室内容積が変化するように形成された平衡室と、を備えてなり、
    このような構成からなる上記平衡室に、負圧または大気圧のうち、いずれか一方のものを、連続的に、あるいはエンジン振動に同期させて交互に導入させるように切換作動をする切換手段を設け、更に、当該切換手段の切換作動を制御する制御手段を設けるようにしたことを特徴とする液体封入式防振装置。
  7. 振動体に取付けられる連結金具を形成するものであって円筒状の形態からなる内筒と、車体側に取付けられるホルダを形成するものであって円筒状の形態からなる外筒と、これら内筒と外筒との間であって、上記内筒の周りに設けられるインシュレータと、当該インシュレータの周りに設けられるものであって非圧縮性流体である液体の封入される液室を備えてなる防振機構部と、からなる円筒型の液体封入式防振装置において、
    上記防振機構部は、インシュレータの一部にてその室壁が形成されるものであって液体の封入される主室と、当該主室にオリフィスを介して上記液体が流動するように連結されるものであって、上記主室との間が剛体からなる仕切板にて隔てられた構成からなる副室と、上記主室内の一部にダイヤフラムを介して設けられるものであって、その室内容積が変化するように形成された平衡室と、を備えてなり、
    このような構成からなる上記平衡室に、負圧または大気圧のうち、いずれか一方のものを、連続的に、あるいはエンジン振動に同期させて交互に導入させるように切換作動をする切換手段を設け、更に、当該切換手段の切換作動を制御する制御手段を設けるようにしたことを特徴とする円筒型の液体封入式防振装置。
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