JP3571205B2 - タービン軸受油温度制御装置 - Google Patents

タービン軸受油温度制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力発電所・原子力発電所或いはコンバインドサイクル発電所等に設置されるスティームタービン或いはガスタービン等の軸受に供給され、この軸受を潤滑すると共に冷却するタービン軸受油の温度制御装置の改良に関し、特にタービン軸受油温度制御装置により制御される軸受油の温度がオーバーシュートするのを防止する軸受油温度オーバーシュート防止回路を備えたタービン軸受油温度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
発電用に供されるスティームタービン或いはガスタービン等(以下タービンと記す)は、その容量においては最大級の大型機であり、そのため、運転停止時にもロータの熱変形を防止するために、毎分数回転の極めて低速度で回転させるターニングを行い、さらに起動から運転に向けて数時間かけて極めて徐々に昇速させ、運転時においては毎分数千回転の高速度で回転する横軸回転機である。
【0003】
上記理由から、その軸受に供給して軸受を潤滑すると同時に冷却するタービン軸受油の温度は、温度により変化する軸受油の粘度が最適値となるように、タービンの回転速度に応じて定められた適正な値に厳密に制御する必要がある。
【0004】
図示はしないが、従来のタービン軸受油温度制御装置においては、タービンの回転速度の上昇時に於ける軸受油の温度制御に際して発生する軸受油温度のオーバーシュートを防止するためのオーバーシュート防止回路は設けられておらず、温度制御のための制御器としては、単にPID制御[(P)比例動作+(I)積分動作+(D)微分動作の3動作制御]のみにより制御ゲインを遅くし、軸受油温度の異常上昇時に軸受油冷却水の送水流量を制御するようにして、軸受油温度が異常に上昇するオーバーシュートを防止していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、PID制御だけでは軸受油温度のオーバーシュートを完全に防止することはできず、無理にオーバーシュートを防止しようとして、制御ゲインを調整すると、タービンにより回転駆動される発電機の負荷運転時における定値制御が不安定となったり、軸受油冷却水の流量が過流量になって軸受油を過冷却し軸受油温度が異常に低下してしまうという問題があった。
【0006】
上記のように、従来のタービン軸受油温度制御装置には軸受油温度のオーバーシュートを防止するための回路は無く、PID制御の制御ゲインを調整すると、発電機の負荷制御時の定値制御が不安定となったり、軸受油冷却水の過流量が発生していた。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸受油温度のオーバーシュートを防止する回路を付加し、PID制御のパラメータの設定値に関係なく軸受油温度のオーバーシュートを防止することのできるタービン軸受油温度制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、タービンの軸受に給油されるタービン軸受油の流量を軸受油温度調節弁の開度制御によって流量調整される軸受油冷却水により冷却するタービン軸受油冷却器と、前記タービン軸受油の温度を検出して軸受油温度を出力する軸受油温度検出器と、前記タービンの回転速度を検出して回転速度を出力する回転速度検出器と、前記回転速度を入力され、前記タービンの回転速度が予定の範囲内にあるとき入力された回転速度に応ずる前記タービン軸受油の最適温度設定値を出力する第1の関数変換器と、前記軸受油温度と前記最適温度設定値とを入力され、両入力の温度偏差信号を出力する比較器と、前記温度偏差信号を入力され、この温度偏差信号に比例+積分+微分の演算を行い、前記軸受油温度調節弁の操作信号を出力するPID演算器と、前記軸受油温度を入力され軸受油温度が予定の範囲内にあるとき前記軸受油温度調節弁の開度を入力された軸受油温度に応じて予定の最小開度から予定の開度まで開制御する最適開度信号を出力する第2の関数変換器と、前記軸受油温度調節弁の予定の最小開度制限値が設定され最小開度制限値を出力する最小開度設定器と、前記第2の関数変換器の出力する最適開度信号と前記最小開度設定器の出力する最小開度制限値とが入力され、前記第1の関数変換器の出力する最適温度設定値が予定値に達し且つ前記軸受油温度が予定値未満のときには前記最小開度制限値を出力し前記第1の関数変換器の出力する最適温度設定値が予定値に達し且つ前記軸受油温度が予定値以上になると切換えられて前記最適開度信号を出力する切換器と、前記PID演算器の出力する操作信号と前記切換器の出力とが入力され、両入力の中の高い方の値を有する入力を通過させて前記軸受油温度調節弁へ出力する高値優先回路とから成ることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、軸受油温度のオーバーシュート防止回路を付加することにより、タービンの回転上昇時にタービンの回転速度が例えば3000rpmに達し、軸受油温度設定値が例えば46度Cになり、軸受油温度が例えば43〜46度Cの間のときに、軸受油温度調節弁の最適開度値を例えば0〜15%の間で変化させ、PID制御による軸受油温度調節弁への開操作信号が発生する前に軸受油冷却水を通水することによりPID制御のパラメータの設定値に関係なく軸受油温度のオーバーシュートを先行的に防止することが可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は、本発明のタービン軸受油温度制御装置の実施の形態を示す図である。
【0011】
図1において、10はタービン、10aはタービン10の軸受、11はタービン10の回転速度を検出して出力する回転速度検出器で、この場合の検出値は例えば0〜3600rpmである。
【0012】
13は、図示しないタービン軸受油槽から軸受油ポンプ15により汲上げられ、給油配管16を介してタービン10の軸受10aへ供給される軸受油を冷却するための軸受油冷却器であり、17は軸受給油の温度を検出して出力する軸受油温度検出器である。なお、軸受10aへ供給された軸受油の軸受函内における温度は通常最高80度Cまで上昇する。
【0013】
19は、図示しない軸受油冷却水温度制御装置により制御されて予定の一定温度に調整された軸受油冷却水を、軸受油冷却水配管20を介して軸受油冷却器13に送水する軸受油冷却水ポンプであり、21は、軸受油冷却水配管20に設けられ、後述のタービン軸受油温度制御装置によりその開度が制御されて、軸受油冷却水の流量を調整する軸受油温度調節弁である。
【0014】
25は第1の関数変換器であり、上記の回転速度検出器11により検出されたタービン10の回転速度が入力され、この回転速度が予め定められた範囲内にあるとき、入力されたタービン回転速度に応ずる軸受油の最適温度信号(最適温度設定値)を出力する。
【0015】
26は比較器であり、上記の第1の関数変換器25の出力である最適温度設定値と上記の軸受油温度検出器17より得られた軸受油温度とがそれぞれ入力され両入力温度の温度偏差信号を出力する。
【0016】
27は、入力として上記の比較器26の出力である温度偏差信号が与えられ、この温度偏差信号に対して、比例(P)+積分(I)+微分(D)の演算を行って、上記の軸受油温度調節弁21の操作信号を出力するPID演算器である。
【0017】
その全体を一点鎖線で囲み符号30を付した部分は、本発明により追加したタービン軸受油の温度が異常上昇するのを防止するための軸受油温度オーバーシュート防止回路である。
【0018】
このオーバーシュート防止回路30は、第2の関数変換器31と、固定端子aとbおよびこれらの固定端子a、b間を切換えて固定端子cとの間を接続する切換接触子Tとを有する切換器32と、軸受油温度調節弁21の最小開度制限値が設定される最小開度設定器33と、異なる値を有する2つの入力が与えられると、2つの入力の中の高い方の値を有する入力を通過させて出力するHVG(高値優先回路)34とから構成される。
【0019】
第2の関数変換器31は、軸受油温度検出器17により検出された軸受油温度が入力され、軸受油温度が予め定められた範囲内にあるとき入力された軸受油温度に応ずる軸受油温度調節弁21の最適開度信号を出力する。
【0020】
切換器32は、その固定端子aには軸受油温度調節弁21の例えば0%の最小開度制限値が設定される最小開度設定器33の設定値出力と、固定端子bには第2の関数変換器31の出力とがそれぞれ入力される。そして軸受油の最適温度設定値が例えば46度Cで、且つ軸受油の温度が例えば43度C以上の時には、切換接触子Tは図示のように固定端子b−c間を接続し、上記以外のタービンのターニング時および昇速時、降速時等(軸受油の温度が例えば43度C未満)には、切換接触子Tは自動的に固定端子a側に切換えられて、固定端子a−c間を接続する。
【0021】
高値優先回路34には、その一方の入力として切換器32の出力と、他方の入力としてPID演算器27が出力する操作信号とがそれぞれ入力されて、高い方の値を有する入力を通過させて出力し、この出力は軸受油温度調節弁21に加えられる。
【0022】
次に、上記構成の本発明の作用を図1〜図3を参照して詳細に説明するが、本発明においては、下記の2項が前提条件となっている。
【0023】
すなわち、(1) 図示しないタービン軸受油槽から軸受油ポンプ15により汲上げられ、軸受油冷却器13により冷却されて給油配管16を介してタービン10の軸受10aへ供給されるタービン軸受油の流量は、予定の一定値に保持されている。
【0024】
(2) 軸受油冷却水ポンプ19から吐出され、軸受油温度調節弁21の開度に応じその流量が調整されて上記の軸受油冷却器13に送水され、軸受油を冷却する軸受油冷却水の温度は、本発明には関係のない軸受油冷却水温度制御装置により調整されて、予定の一定値に保持されている。
【0025】
図2および図3は、本発明の作用を説明するための曲線図である。
【0026】
図2は、横軸に時間を、縦軸に軸受油温度(度C)をとり、実線で示す曲線aは、軸受油温度曲線であり、一点鎖線で示す曲線bは、軸受油の最適温度設定値曲線である。
【0027】
また図3は、横軸に時間を、縦軸に軸受油温度調節弁21の開度(%)をとり、曲線cは軸受油温度オーバーシュート防止回路30による軸受油温度調節弁21に対する開度制限曲線である。
【0028】
さて、タービン10の起動前のターニング中においては、タービン10は毎分数回転の低速で回転している。この時、軸受油温度調節弁21の最小開度制限値を設定する最小開度設定器33には、図示のように、例えば最小開度制限値0%が設定されている。
【0029】
第1の関数変換器25から出力されるタービン軸受油の最適温度設定値は、図示のように、例えば、入力されるタービン10の回転数が800rpm未満においては30度C一定とし、800rpm〜3000rpmの範囲においては回転数にほぼ比例して直線的に変化させ、3000rpm以上においては46度C一定とする。また、第2の関数変換器31から出力される軸受油温度調節弁21の最適開度信号は、図示のように、例えば、入力されるタービン軸受油の温度が43度C未満においては0%とし、43〜46度C未満の範囲においては温度にほぼ比例した開度とし、46度Cにおいては15%一定とする。
【0030】
したがって、ターニング中におけるタービン10の回転数は毎分数回転であるから、第1の関数変換器25は30度Cの最適温度設定値を出力し、この最適温度設定値は比較器26にその一方の入力(減算値)として加えられる。また、軸受油温度検出器17により検出された軸受油の温度は、比較器26にその他方の入力(加算値)として加えられるが、このとき軸受油温度は未だ30度Cに達していないから比較器26の出力である両入力温度の温度偏差信号は負となり、この負出力は制御に関与しない。
【0031】
軸受油温度検出器17により検出された軸受油の温度は、さらに上記の第2の関数変換器31に加えられるが、この時の軸受油の温度は43度Cに達していないから、切換器32の切換接触子Tは図示とは反対の固定接点a側に切換えられa−c間が接続されている。そのため、第2の関数変換器31の出力は制御上無関係となり無視されて、最小開度設定器33に設定された軸受油温度調節弁21の最小開度制限値0%が高値優先回路34にその他方の入力として加えられる。
【0032】
したがって、高値優先回路34は、出力を生じないから軸受油温度調節弁21の開度制御は行われず、軸受油冷却器13には軸受油冷却水は給水されない。
【0033】
次に、タービン10がターニングを離脱して起動し、順次昇速してその回転速度が800rpmに達し、さらに昇速すると、第1の関数変換器25が出力する軸受油の最適温度設定値も、30度Cから回転速度に応じて次第に上昇する。タービン10の回転速度の上昇につれて、軸受油の温度も次第に上昇して行く。さらにタービン10の回転速度が上昇して、その回転速度が3000rpmに達すると、第1の関数変換器25は、軸受油の最適温度設定値として46度Cを出力する。
【0034】
斯くして、軸受油の最適温度設定値が46度Cに達するが、この時、軸受油の温度は未だ43度Cに達していないから、切換器32の切換条件(軸受油の最適設定温度が46度Cで且つ軸受油の温度が43度C以上)は成立せず、a−c間が接続されたままである。
【0035】
さらにタービン10が3000rpmを超えて昇速して行くと、軸受油の温度も更に上昇して43度Cに達する。すると切換器32の切換条件(軸受油の最適設定温度が46度Cで且つ軸受油の温度が43度C以上)が成立し、その切換接触子Tは固定接点aから固定接点bに切換えられ、図示のようにb−c間が接続される。
【0036】
したがって、高値優先回路34には、第2の関数変換器31から軸受油の温度が例えば43度Cを超える温度上昇に応じて例えば0%から次第に上昇し最大15%までの軸受油温度調節弁21への最適開度信号が加えられることになる。これにより、軸受油の温度か例えば43〜46度Cの間のときに、軸受油温度調節弁21の最適開度値を0〜15%の間で変化させ、PID演算器27の演算による軸受油温度調節弁21への開操作信号が発生する前に、第2の関数変換器31からの出力により軸受油温度調節弁21を開操作して軸受油冷却水を通水し、軸受油温度のオーバーシュートを先行的に防止する。このようにして、PID演算器27による制御のパラメータの設定値に関係なく軸受油温度のオーバーシュートを防止することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明によれば、タービン軸受油温度制御装置に、軸受油温度調節弁の予め定められた最適開度信号を出力する第2の関数変換器と、軸受油温度調節弁の全閉開度値が設定される最小開度設定器と、これらの最適開度信号と全閉開度値とが入力され、タービン軸受油の最適温度設定値が46度C以上で且つ軸受油温度値が43度C以上のときには最適開度信号を出力し、それ以外のときには全閉開度値を出力する切換器と、この切換器の出力とPID演算器の操作信号出力とが入力される高値優先回路とから構成される軸受油温度オーバーシュート防止回路を付加し、高値優先回路の出力により軸受油温度調節弁の開度制御を行うようにしたから、PID制御による軸受油温度調節弁への開操作信号が発生する前に軸受油冷却水の通水が可能となり、PID制御のパラメータの設定値に関係なく軸受油温度のオーバーシュートを防止することができる。これにより軸受油温度の異常上昇を伴うことなく容易に軸受油温度の調整が可能となるタービン軸受油温度制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタービン軸受油温度制御装置の実施の形態を示す図である。
【図2】本発明の作用を説明するための軸受油温度曲線図である。
【図3】本発明の作用を説明するための軸受油温度調節弁の開度制限曲線図である。
【符号の説明】
10 タービン
10a タービン10の軸受
11 回転速度検出器
13 軸受油冷却器
15 軸受油ポンプ
16 給油配管
17 軸受油温度検出器
19 軸受油冷却水ポンプ
20 軸受油冷却水配管
21 軸受油温度調節弁
25 第1の関数変換器
26 比較器
27 PID演算器
30 軸受油温度オーバーシュート防止回路
31 第2の関数変換器
32 切換器
33 最小開度設定器
34 高値優先回路

Claims (1)

  1. タービンの軸受に給油されるタービン軸受油の流量を軸受油温度調節弁の開度制御によって流量調整される軸受油冷却水により冷却するタービン軸受油冷却器と、前記タービン軸受油の温度を検出して軸受油温度を出力する軸受油温度検出器と、前記タービンの回転速度を検出して回転速度を出力する回転速度検出器と、前記回転速度を入力され、前記タービンの回転速度が予定の範囲内にあるとき入力された回転速度に応ずる前記タービン軸受油の最適温度設定値を出力する第1の関数変換器と、前記軸受油温度と前記最適温度設定値とを入力され、両入力の温度偏差信号を出力する比較器と、前記温度偏差信号を入力され、この温度偏差信号に比例+積分+微分の演算を行い、前記軸受油温度調節弁の操作信号を出力するPID演算器と、前記軸受油温度を入力され軸受油温度が予定の範囲内にあるとき前記軸受油温度調節弁の開度を入力された軸受油温度に応じて予定の最小開度から予定の開度まで開制御する最適開度信号を出力する第2の関数変換器と、前記軸受油温度調節弁の予定の最小開度制限値が設定され最小開度制限値を出力する最小開度設定器と、前記第2の関数変換器の出力する最適開度信号と前記最小開度設定器の出力する最小開度制限値とが入力され、前記第1の関数変換器の出力する最適温度設定値が予定値に達し且つ前記軸受油温度が予定値未満のときには前記最小開度制限値を出力し前記第1の関数変換器の出力する最適温度設定値が予定値に達し且つ前記軸受油温度が予定値以上になると切換えられて前記最適開度信号を出力する切換器と、前記PID演算器の出力する操作信号と前記切換器の出力とが入力され、両入力の中の高い方の値を有する入力を通過させて前記軸受油温度調節弁へ出力する高値優先回路と、から成ることを特徴とするタービン軸受油温度制御装置。
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