JP3571285B2 - Crtの映像動揺低減装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般のテレビジョン受信機やパソコンのディスプレイなどの表示装置に用いられるCRT(陰極線管)の磁気シールド装置に関し、特に、電力設備などから発生する磁束密度に変化を伴う三次元の外部磁界の影響により生ずる映像動揺障害を低減する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、テレビジョン受信機やパソコンのディスプレイなどの表示装置に用いられるCRTには、静電収束、電磁偏向形のCRTが用いられている。このCRTは、真空容器(ガラスバルブ)の前面の内側にけい光膜を設けたスクリーン(けい光面)に対して、バルブの後半の細くなったネックに収めた電子銃から電子ビームを高速でぶつけ、ネックのつけ根に配置された偏向コイルに流す電流によってできる磁界によって、電子ビームを上下,左右に曲げ、けい光面に映像を映し出す電子管である。
【0003】
ところで、配電用変電所や配電線等の電力設備の近くの民家や事務所などに置かれたテレビジョン受信機やパソコンの表示装置は、電力設備を誘導源とする磁界の影響を受けて映像動揺障害を起こす場合がある。
【0004】
従来、CRTの映像動揺を低減する磁気シールドとしては、CRTを高透磁率材料の容器中に収容し、外部磁界がCRTに及ばないようにする磁気遮蔽手段(以下、本明細書では、磁気シールドボックスと呼ぶ。)がある。
【0005】
しかしながら、従来の磁気シールドボックスでは、電力設備から発生する50Hzまたは60Hzの低周波数磁界に対する遮蔽は困難である。例えば、筐体の材質を高透磁率磁性体とし、外部磁界が強い場合は筐体を厚くしたり、幾重にも重ねたり、箱の形状を変えたり、さらに高いシールド効果を得るために筐体に取付けた遮蔽板を隙間なくつなぎ合わせたりする必要がある。このような磁気シールド構造は、複雑で高価となり、外観上も問題となる。また、磁気シールド強化を施しても、CRTの使用目的上、CRTのけい光面を磁性材料で覆うことができないため、けい光面に対して、主として垂直方向(CRTの前後の軸方向)に入射する外部磁界に対しての磁気シールド効果が不十分となる。
【0006】
これに対し、特開2000−125317号では、けい光面を高透磁率材料で覆うことなく、CRTに入射する三次元の外部磁界を消磁する補償コイルを備えた磁気シールド装置が開示されている。
【0007】
一方、特開平5−218678号の従来技術において示されている、磁気シールド空間(磁気シールドの対象となる空間)の外部磁場雑音を低減する技術としてアクティブシールドという考え方がある(図17)。磁気シールド空間を取り囲む面には、X軸コイル102a,102b、Y軸コイル103a,103b、Z軸コイル104a,104bが配置されており、各軸のコイルには電流源106X,106Y,106Zが接続されている。又、磁気シールド空間の略中央部には、X,Y,Zの各方向の磁束を検出するための磁束計107X,107Y,107Zが配置されており、各軸コイルの電流源106X,106Y,106Zと帰還増幅器105X,105Y,105Zを介して接続されている。磁束計107X,107Y,107Zで内部磁場を測定しながら各軸コイル102a,102b,103a,103b,104a,104bに電流を流し、外部からの雑音磁場を打ち消すような磁場を発生させ、低磁場空間を実現しようとするものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2000−125317号においては、三次元の外部磁界を消磁するために、如何にして補償コイルに電流を流し駆動するかについては開示されていない。
【0009】
CRTの映像動揺を引き起こす外部磁界は一方向一定に作用するものではなく一般に三次元である。また、潮流の大きい配電線近傍の民家が映像動揺が生じるレベルで磁界暴露されるとき、その磁界は強さと方向が時間変化する回転磁界となることがある。この回転磁界を三軸方向成分に分割した各成分の強さと位相差は,配電線から引き込まれている家庭用電源からは推測することはできない。また、配電線に対する家庭内のCRTの設置位置や方向は任意であり移動することも考えられる。
【0010】
そこで、三次元の外部磁界に追従して外部磁界を消磁するように補償コイルを駆動するためには、従来のアクティブシールドの考え方を適用して、三軸磁界センサにより、互いに直交する三軸方向の外部磁界の強さと位相差を独立に検出することが考えられる。
【0011】
しかし、この場合、三軸磁界センサは、各軸方向用磁界センサが他の軸方向用の補償コイルから発生する磁界の影響を受けないものでなければならない。また、CRT自身も磁界を発生するため、三軸磁界センサが外部磁界のみを検出できるようにCRT自身の磁界を排除する必要がある。
【0012】
一方、従来あるアクティブシールドの考え方は低磁場空間を実現するためのものであり、磁気シールド空間を取り囲むように全面にコイルを配置し、また磁気シールド空間の略中央部に磁束計を配置する構成のため、当該構成のままでは、CRTのけい光面を確保し、またテレビジョン受信機やパソコンのディスプレイ等を当該磁気シールド空間に容易に出し入れするといったことはできない。
【0013】
即ち、CRTの映像動揺低減装置として、変化する外部磁界に追従して外部磁界を消磁するように補償コイルに電流を駆動できる装置は従来ない。
【0014】
そこで本発明は、変化する外部磁界に追従して外部磁界を消磁できるCRTの映像動揺低減装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載のCRTの映像動揺低減装置は、CRTのけい光面を正面としてCRTを囲む上下左右の四面に配置され且つCRTの偏向ヨークを優先的に補償するように偏心巻きに配線されてなる第一組の補償コイルと、CRTの上下の二面に配置される第二組の補償コイルと、CRTの左右の二面に配置される補償磁界を発生させる第三組の補償コイルと、第一,二,三組の補償コイルで囲まれる空間の中心軸上かつ後端に配置されて三次元の外部磁界を三軸成分に分割して検出する三軸磁界センサと、三軸磁界センサの検出信号から消磁対象の外部磁界のみを抽出するフィルタと、フィルタを介した三軸磁界センサの検出信号に対応して外部磁界を消磁する電流を第一,二,三組の補償コイルに流す補償コイル駆動部とを備え、該補償コイル駆動部は、第一組の補償コイルに対して左右面で逆方向且つ上下面で逆方向に電流を流し、第一組の補償コイルを流れる電流により、CRTの前後方向の軸周りに周回する電流を形成してCRTの前後方向の外部磁界成分を相殺する補償磁界を発生させ、第二組の補償コイルに対して上下面で同方向に電流を流し、CRTの上下方向の外部磁界成分を相殺する補償磁界を発生させ、第三組の補償コイルに対して左右面で同方向に電流を流し、CRTの左右方向の外部磁界成分を相殺する補償磁界を発生させるようにしている。
【0016】
したがって、三軸磁界センサは、CRTや別軸方向の補償コイルから生じる磁界の影響を受けることなく、CRTの映像動揺を引き起こす三次元の外部磁界を直交三軸成分に分割して検出し、補償コイル駆動部により、変化する三次元の外部磁界に逐次自動追従してその逆位相出力信号を増幅し当該外部磁界を消磁する三軸成分の補償磁界を発生させることができる。さらに、第一組の補償コイルは、CRTの偏向ヨークを優先的に補償するように偏心巻きに配線されてなるものとしているので、CRTが最も外部磁界の影響を受けやすい偏向ヨークを優先的に補償して、CRTの映像動揺障害を効果的に低減することができる。
【0018】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のCRTの映像動揺低減装置において、CRTの動作時のみ補償コイル駆動部を動作させる不要動作排除回路を備えるようにしている。したがって、映像動揺低減装置の低消費電力化を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1から図8に本発明のCRTの映像動揺低減装置の実施の一形態を示す。このCRT17の映像動揺低減装置20は、CRT17のけい光面1(スクリーン)を正面としてCRT17を囲む上下左右の四面に配置されてCRT17の前後方向(図中Z軸方向)の外部磁界成分を相殺する補償磁界Bzを発生させる第一組の補償コイル2,…,2と、CRT17の上下の二面に配置されてCRT17の上下方向(図中Y軸方向)の外部磁界成分を相殺する補償磁界Byを発生させる第二組の補償コイル3,…,3と、CRT17の左右の二面に配置されてCRT17の左右方向(図中X軸方向)の外部磁界成分を相殺する補償磁界Bxを発生させる第三組の補償コイル4,…,4と、第一,二,三組の補償コイル2,…,2,3,…,3,4,…,4で囲まれる空間の中心軸O上かつ後端に配置されて三次元の外部磁界をX軸,Y軸,Z軸の三軸成分に分割して検出する三軸磁界センサ13と、三軸磁界センサ13の検出信号から消磁対象の外部磁界のみを抽出するフィルタ14と、フィルタ14を介した三軸磁界センサ13の検出信号に対応して外部磁界を消磁する電流Iを第一,二,三組の補償コイル2,…,2,3,…,3,4,…,4に流す補償コイル駆動部15とを備えるようにしている。
【0021】
本実施形態では、CRT17の前面(けい光面1)と背面が開放される箱型のケース18の内面に補償コイル2,…,2,3,…,3,4,…,4を配線するようにしている。ケース18の有する空間18aは、テレビジョン受信機やパソコン用ディスプレイ等、CRT17を収容した表示装置を収納可能な大きさである。本実施形態では例えばケース18は木製としている。なお、ケース18を用いて補償コイル2,…,2,3,…,3,4,…,4を配置するものに限定されず、CRT17が収容される筐体の外側または内側に補償コイルを配置するようにしても良いのは勿論である。一方、本実施形態のように、ケース18を用いて補償コイル2,…,2,3,…,3,4,…,4を配置することで、所望のテレビジョン受信機やパソコン用ディスプレイを容易にケース18に出し入れすることが可能であり、汎用性のあるCRT17の映像動揺低減装置20を実現することができる。なお、ケース18には、もう一つの空間18bが設けてあり、補償コイル駆動部15を構成する回路を収容した筐体19が収納できるようにしている。
【0022】
図3から図5中、aはCRT17を収容した表示装置の筐体の外側の幅の最大値でX軸方向(左右方向)の長さを示し、bはCRT17を収容した筐体の高さの最大値でY軸方向(上下方向)の長さを示し、cはCRT17を収容した筐体の軸方向(前後)の奥行きの最大値でZ軸方向の長さを示す。なお、本実施形態では、21インチ型CRT17に適用するものとして、a=b=c=50cmとしている。
【0023】
図3は、本実施形態の第一組の補償コイル2,…,2の配置を説明する模式図である。この第一組の補償コイル2,…,2は、けい光面1と直交するZ軸方向の外部磁界成分による映像動揺障害を軽減するものである。第一組の補償コイル2,…,2は、例えば、本実施形態では、CRT17の上面に配置された補償コイル2aと、CRT17の左側面に配置された補償コイル2bと、CRT17の底面に配置された補償コイル2cと、CRT17の右側面に配置された補償コイル2dとにより構成される。また、補償コイル2aの電流Iの入出力端子5a,5bと、補償コイル2bの電流Iの入出力端子6a,6bと、補償コイル2cの電流Iの入出力端子7a,7bと、補償コイル2dの電流Iの入出力端子8a,8bとは、それぞれ補償コイル駆動部15に接続される。各補償コイル2a,2b,2c,2dに補償コイル駆動部15から電流Iが供給されると、Z軸方向の外部磁界成分を相殺して打ち消すための逆向きの補償磁界Bzが発生する。なお、この際、X,Y軸方向の磁界はCRT17の上下面及び左右側面でそれぞれ相殺され、Z軸向の磁界Bzのみが生じる。
【0024】
また、CRT17において外部磁界の影響を最も受けやすい箇所は偏向ヨーク付近である。そこで、本実施形態の補償コイル2a,2b,2c,2dでは、CRT17の偏向ヨークを優先的に補償するように偏心巻きの配線がなされている。例えば、補償コイル2a,2b,2c,2dは、それぞれほぼ同じ構成を有するようにし、補償コイル2aは、一方の端子3に接続された第1の巻き線(単巻き線または複数巻き線)はCRT17を収容した筐体の上面の周縁に沿った奥行きと幅を有し、この第1の巻き線に連続する次の第2の巻き線は幅が同じで奥行きは第1の巻線の40%の長さであり、さらに連続して次の第3の巻き線は幅が同じで奥行きは第1の巻線の約25%の長さであり、さらに連続する次の第4の巻き線は幅が同じで奥行きは第1の巻線の約10%の長さであり端子4に接続されている。実際には(0.38〜0.42)c、(0.24〜0.26)c、(0.09〜0.11)cが好ましい。このように、本実施形態の補償コイル2a,2b,2c,2dは、連続する第1〜第4の巻き線の筐体の背面側をほぼ一致させ、幅が同じで奥行きの比が、背面側から20:8:5:2となるように構成する。
【0025】
図4は本実施形態の第二組の補償コイル3,…,3の配置を説明する模式図である。この第二組の補償コイル3,…,3は、CRT17の上下方向すなわちY軸方向の外部磁界成分による映像動揺障害を軽減するものである。第二組の補償コイル3,…,3は、例えば、本実施形態では、CRT17の上面に配置された補償コイル3aと、CRT17の底面に配置された補償コイル3bとにより構成される。また、補償コイル3aの電流Iの入出力端子9a,9bと、補償コイル3bの電流Iの入出力端子10a,10bとは、それぞれ補償コイル駆動部15に接続される。各補償コイル3a,3bに補償コイル駆動部15から電流Iが供給されると、Y軸方向の外部磁界成分を相殺して打ち消すための逆向きの補償磁界Byが発生する。
【0026】
また、本実施形態の補償コイル3a,3bは、それぞれほぼ同じ構成を有しており、CRT17を収容した筐体の上面,底面の周縁に沿って複数巻きの第1の巻き線(大コイル)と、それに連続して、中心が同じで奥行きが大コイルの約80%と幅が大コイルの約80%の大きさの相似形で、かつ、第1の巻き線の1/3の巻き数を有する第2の巻き線(小コイル)とで形成されている。すなわち、巻き数比が、3:1の大コイルと小コイルとからなる同心の補償コイル3a,3bがCRT17の上下二面に対向配置される。
【0027】
図5は本実施形態の第三組の補償コイル4,…,4の配置を説明する模式図である。この第三組の補償コイル4,…,4は、CRT17の左右方向すなわちX軸方向の外部磁界成分による映像動揺障害を軽減するものである。第三組の補償コイル4,…,4は、例えば、本実施形態では、CRT17の右側面に配置された補償コイル4aと、CRT17の左側面に配置された補償コイル4bとにより構成される。また、補償コイル4aの電流Iの入出力端子11a,11bと、補償コイル4bの電流Iの入出力端子12a,12bとは、それぞれ補償コイル駆動部15に接続される。各補償コイル4a,4bに補償コイル駆動部15から電流Iが供給されると、X軸方向の外部磁界成分を相殺して打ち消すための逆向きの補償磁界Bxが発生する。
【0028】
また、本実施形態の補償コイル4a,4bは、ほぼ同じ構成を有しており、CRT17を収容した筐体の側面の周縁に沿って複数巻きの第1の巻き線(大コイル)と、それに連続して、中心が同じで、高さが大コイルの約80%、奥行きが大コイルの約80%の相似形で、かつ、第1の巻き線の1/3の巻き数を有する第2の巻き線(小コイル)とで形成されている。すなわち、巻き数比が、3:1の大コイルと小コイルとからなる同心の補償コイル3a,3bがCRT17の左右二面に対向配置される。
【0029】
上述のように、本実施形態のCRT17の映像動揺低減装置20では、3組8巻の補償コイル2a〜2d,3a,3b,4a,4bをCRT17の上下左右に配置することにより、CRT17の映像動揺を引き起こす三次元の外部磁界に対して、三軸方向の外部磁界成分に応じた補償磁界Bx,By,Bzを発生し,映像動揺を低減するようにしている。なお、CRT17の下部に配置する補償コイル2c,3bはCRT17との摩擦や圧縮荷重により断線する可能性があるため、例えば木材により段を設けて、補償コイル2c,3bとCRT17は直接触れないように工夫することが好ましい。
【0030】
本実施形態の三軸磁界センサ13は、X軸,Y軸,Z軸の三軸方向の磁界を夫々検出する3つのセンサ部13a、13b、13cを備える。例えば、本実施形態では、各センサ部13a、13b、13cにより夫々各三軸方向の磁界の磁束密度の大きさと磁界の波形の位相(ゼロクロス点)を検出して電気信号に変換し、フィルタ14を介して補償コイル駆動部15に夫々入力するようにしている。センサ部13a、13b、13cはX軸,Y軸,Z軸の夫々の軸方向に対応して設けられており、例えばセンサ13aがX軸、センサ13bがY軸、センサ13cがZ軸に対応する構成となっている。
【0031】
なお、三軸磁界センサ13の形状や材質は、特に限定されるものではなく、三次元の外部磁界をX軸,Y軸,Z軸の三軸成分に分割して検出できるものであれば良い。例えば、図示しないが、X軸,Y軸,Z軸の方向にそれぞれ向けたX軸コイルとY軸コイルとZ軸コイルとを備え、これらのコイルを同一の絶縁体等のコアに巻回して構成されるものとしても良い。なお、低い磁束密度を感度良く感知するために線径を細くしてコイルの巻き数を増加させる、または、地磁気などの直流磁界の影響を受けないような構造とする等の公知の工夫を施すことが好ましい。
【0032】
ここで、CRT17において外部磁界の影響を最も受けやすい箇所は偏向ヨーク付近である。このため、三軸磁界センサ13により、偏向ヨーク部に印加される外部磁界を検出することが望ましいが、この場合CRT17を分解して内部に三軸磁界センサ13を取り付ける必要があるため、現実的には不可能である。CRT17の内部は無理として、外部磁界はその磁束密度分布に勾配があるため、三軸磁界センサ13はCRT17のできるだけ近傍に設置する必要がある。一方、これに対し、CRT17の働作中はCRT17及び補償コイル2,…,2,3,…,3,4,…,4からも磁界が発生するため、三軸磁界センサ13がこれらの影響を受けないように設置する必要がある。
【0033】
そこで、本実施形態では、図2(A)に示すように、補償コイル2,…,2,3,…,3,4,…,4で囲まれる空間の中心軸O上で、けい光面1に対して最後部に三軸磁界センサ13を設けるようにしている。本願発明者は、当該位置においては、三軸磁界センサ13の各軸方向用のセンサ部13a、13b、13cが自ら補償する磁界の軸方向成分しか発生しないこと、即ち当該位置においては、各軸方向用のセンサ部13a、13b、13cが他の軸方向用の補償コイル2,…,2,3,…,3,4,…,4から発生する磁界の影響を受けないことを実験により確認した。
【0034】
X=a/2(本実施形態では25cm)のYZ平面(図2(B)にハッチングで示す領域V)において計算した、各三軸成分が10μTである外部磁界を補償するX軸方向の補償コイル4,…,4、Y軸方向の補償コイル3,…,3、Z軸軸方向の補償コイル2,…,2による各磁界の磁束密度分布を図6に示す。図6から明らかなように、X軸方向の補償コイル4,…,4からはX軸成分の磁界のみが発生している。また、Y軸方向の補償コイル3,…,3からはY軸成分とZ軸成分の磁界が発生するが、三軸磁界センサ13の設置位置である(X,Y)=(a/2,b/2)=(25cm、25cm)の軸上はBz=0である。そして、Z軸方向の補償コイル2,…,2からも同様に、Y軸成分とZ軸成分の磁界が発生するが、(X、Y)=(25cm、25cm)の軸上はBy=0である。すなわち、三軸磁界センサ13が存在する当該位置では、各軸方向用のセンサ部13a、13b、13cが自ら補償する磁界の軸方向成分しか発生しない。したがって、三軸磁界センサ13が検出する外部磁界と補償磁界の合成値と補償コイル2,…,2,3,…,3,4,…,4に流れる電流Iの関係が明らかであれば、補償コイル電流Iは容易に決定することができる。
【0035】
本実施形態では、当該箇所に三軸磁界センサ13が位置するように、ケース18に支持部材21を設けて三軸磁界センサ13を取り付けている(図2(A)及び図7参照)。この場合、CRT17設置後はCRT17前面から三軸磁界センサ13は見えないため、特に利用者が邪魔に感じることはない。
【0036】
フィルタ14は、例えば、本実施形態では、三軸磁界センサ13によって検出された磁界のうち所望する帯域の周波数のみを通過させる機能を有するものである。また、本実施形態では、配電用変電所や配電線等の電力設備を誘導源とする外部磁界を三軸磁界センサ13により検出すべく、商用周波数(関東地域)50Hz成分のみを抽出するフィルタ14を備えるようにしている。これにより、例えばテレビジョン受信機の場合の垂直同期パルスの周波数は59.94Hzであるから、当該CRT17から発生する磁界の影響を受けずに外部磁界を検出することができる。なお、フィルタ14は、50Hz成分のみを抽出するものに限定されず、例えば、商用周波数(関西地域)60Hz成分を抽出するものとしても良い。また、例えば、50Hzと60Hzとを切り替え可能であるようにフィルタ14を構成しても良い。また、例えば、抽出する任意の周波数を設定できるようにフィルタ14を構成しても良い。
【0037】
ここで、電力設備による外部磁界の周波数は商用周波数だが、電力の需要と供給のアンバランスに起因して、微妙に変動することがある。このため、電力設備を誘導源とする外部磁界を適切に消磁するためには、この商用周波数の変動を考慮する必要がある。そこで、本発明の映像動揺低減装置20では、例えば、補償コイル駆動部15において、家庭用電源から補償コイル2,…,2,3,…,3,4,…,4を駆動するための電源を得る際に、併せて、家庭用電源の周波数即ち商用周波数の情報も得るようにしている。これにより、フィルタ14では当該商用周波数情報を参照して適宜商用周波数の変動に対応して電力設備を誘導源とする外部磁界を抽出することができる。家庭用電源から商用周波数情報を得ることにより、例えば装置20本体に発振器を内蔵してフィルタ14において当該発振器の周波数を参照する場合よりも、消磁対象の外部磁界のみを抽出する精度を高めることができる。また、三軸独立に商用周波数を検出する回路を別途設ける必要はなく、映像動揺低減装置20の回路構成を単純化することができる。
【0038】
補償コイル駆動部15は、三軸磁界センサ13のセンサ部13a、13b、13cからフィルタ14を介して三軸独立に入力される電気信号に対応して、逆位相検出信号を増幅し、三次元の外部磁界を消磁する三軸成分の補償磁界を発生させるべく、三軸独立の補償コイル2,…,2,3,…,3,4,…,4に電流Iを流すための制御回路である。即ち、補償コイル駆動部15では、外部磁界の変化に追従して、補償コイルに流す電流Iを自動的に逐次変化させる。なお、補償コイル駆動回路15は放熱性を考慮して回路実装するようにし、また、可能な限りコンパクト化している。
【0039】
また、補償コイル駆動部15では、家庭用電源から補償コイルを駆動するための電流Iを得る。本実施形態では、映像動揺低減装置20の低消費電力を実現するため、CRT17の動作時のみ補償コイル駆動部15を動作させる不要動作排除回路16を備えるようにしている。不要動作排除回路16では、例えば、CRT17の電源E2がオンでなければ、家庭用電源から補償コイル駆動部15に電源E1が供給されないようにしている。
【0040】
以上のように構成された本発明のCRT17の映像動揺低減装置20によれば、CRT17や別軸方向の補償コイル2,…,2,3,…,3,4,…,4から生じる磁界の影響を受けることなく、三軸磁界センサ13によりCRT17の映像動揺を引き起こす三次元の外部磁界を直交三軸成分に分割して把握することができる。また、補償コイル駆動部15により、変化する三次元の外部磁界に逐次自動追従してその逆位相出力信号を増幅し当該外部磁界を消磁する三軸成分の補償磁界Bx,By,Bzを発生させることができる。
【0041】
したがって、軸成分ごとに位相差を持つ外部磁界中や、磁束密度の強さや方向がめまぐるしく変化する外部磁界中であっても、映像動揺障害を回避して、CRT17の映像を快適に鑑賞することができる。
【0042】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0043】
例えば、テレビジョン受信機やパソコンのディスプレイなどの表示装置に、CRT17の映像動揺低減装置20を組み込んで一体化させるものとしても良い。この場合、例えば、図9に示すように、補償コイル2,…,2はCRT17の偏向ヨークを優先的に補償するような偏心巻きの配線とするようにしても良い。
【0044】
また、補償コイル駆動部15には放熱性を考慮してファン等の冷却装置を組み込むようにしても良い。
【0045】
また、コイル形状は二次元的な配置であるから、補償コイル2,…,2,3,…,3,4,…,4を、導体の薄膜を表面にもつプリント基板等の絶縁物シートのエッチング処理等によるプリントで製作しても良い。この場合、コイルの多層化が容易に行える利点がある。
【0046】
【実施例】
本発明のCRT17の映像動揺低減装置20の性能を評価するため,高透磁率材料で構成された従来の磁気シールドボックスとの比較による映像動揺低減効果の確認を行った。
【0047】
映像動揺現象をもたらす実際の外部磁界には磁束密度分布に傾斜があり,不均一である。また,各軸方向成分の位相差を有する三次元磁界も確認されている。そこで、三相3線式模擬送電線22による磁界暴露試験を行った。図10に、当該試験の設備の配置の概略を示す。当該試験では、CRT17のZ軸方向(前後方向)と模擬送電線22の線方向とを平行とし、CRT17を収容する筐体と最も近い模擬送電線22との距離Lを50cmとする。また、当該試験では、当該距離Lの測定点(CRT17を収容する筐体前面の図中右下点)をX軸,Y軸,Z軸の原点とする。磁界レベルは模擬送電線22近傍ほど高くなり、その距離減衰も大きくなる。CRT17に暴露する磁界分布を図11に示す。図10に示す座標系に従うと、磁界は主にX,Y軸方向の二軸成分が存在し、CRT17設置範囲にはX軸方向成分で約7μTの磁束密度の傾斜も見られる。また、図12に示す磁束密度波形で確認できるように、二軸成分の間には約80度の位相差も存在する。測定点は三軸磁界センサ13の設置位置である。
【0048】
そして、比較は図13に示すCRT17のけい光面1の測定点の位置における映像のX軸方向とY軸方向の動揺振幅値の測定により行う。
【0049】
比較結果を図14に示す。測定点により異なるが、映像動揺低減装置20は磁気シールドボックスよりも映像動揺を低減しており、映像動揺低減装置20は傾斜や位相差を有する磁界に対しても有効であることが明らかとなった。補償コイル駆動部15の制御、駆動方式や三軸磁界センサ13の設置位置も上述の実施形態のものが適当であると考えられる。
【0050】
次に、映像動揺低減装置20では外部磁界の変動に合わせて、補償コイル駆動電流Iを制御するため、磁界変動に対する制御の追従特性を把握する必要がある。そこで、一様磁界発生装置を用い、周期的に振幅値が変動する50Hzの磁界暴露試験を行った。図15に暴露する磁界波形例を示す。磁界は数式1に従い変動する。
【数1】
B = Basin(2πfat)・sin(2πft)
B:暴露磁界の磁束密度瞬時値
Ba:磁束密度の振幅値
fa:振幅値の変動周波数
f:基本周波数(本実施例では、50Hzとする)
t:時間
比較は、動揺振幅量の測定が困難であったため、被験者による動揺認識をもって行った。試験は被験者が、映像動揺低減装置20と磁気シールドボックスを装着した磁界暴露中のテレビ放送をそれぞれ鑑賞し、動揺の有無をアンケート用紙に答える方法で行った。被験者は10代から60代までの男女15名であり、試験は複数回行っている。
【0051】
比較結果を図16に示す。平均的に映像動揺の認識者は磁気シールドボックスを使用したときが多く、映像動揺低減装置20が磁気シールドボックスよりも動揺を低減していることが確認できる。なお、振幅値の変動周波数が高いときほど、映像動揺低減装置20(図16ではアクティブ磁気シールドと表示している。)使用時の動揺認識者は多い傾向が見られるが、映像動揺低減装置20が有効である50Hz磁界の振幅値の変動周波数は数Hz以下であるため、緩やかな磁界の変化には装置20の制御は十分に追従可能である。
【0052】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載のCRTの映像動揺低減装置によれば、CRTや別軸方向の補償コイルから生じる磁界の影響を受けることなく、三軸磁界センサによりCRTの映像動揺を引き起こす三次元の外部磁界を直交三軸成分に分割して把握することができる。また、補償コイル駆動部により、変化する三次元の外部磁界に逐次自動追従してその逆位相出力信号を増幅し当該外部磁界を消磁する三軸成分の補償磁界を発生させることができる。したがって、軸成分ごとに位相差を持つ外部磁界中や、磁界の強さや方向がめまぐるしく変化する外部磁界中であっても、映像動揺障害を回避して、CRTの映像を快適に鑑賞することができる。さらに、第一組の補償コイルは、CRTの偏向ヨークを優先的に補償するように偏心巻きに配線されてなるものとしているので、CRTが最も外部磁界の影響を受けやすい偏向ヨークを優先的に補償して、CRTの映像動揺障害を効果的に低減することができる。
【0054】
さらに、請求項2記載のCRTの映像動揺低減装置では、CRTの動作時のみ補償コイル駆動部を動作させる不要動作排除回路を備えるようにしているので、映像動揺低減装置の低消費電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCRTの映像動揺低減装置の構成の一例を示す、概略構成図である。
【図2】(A)は本発明のCRTの映像動揺低減装置の補償コイルの配置の一例を示す概略斜視図であり、(B)は同補償コイルの配置における最適な三軸磁界センサの配置位置を説明するための概略斜視図である。
【図3】前後(Z軸)方向用補償コイルの配置の一例を示す概略斜視図である。
【図4】上下(Y軸)方向用補償コイルの配置の一例を示す概略斜視図である。
【図5】左右(X軸)方向用補償コイルの配置の一例を示す概略斜視図である。
【図6】最適な三軸磁界センサの配置位置を説明するための磁界計算結果を示す。
【図7】本発明のCRTの映像動揺低減装置をCRTが収納されるケースに適用した場合の一例を示す概略正面図である。
【図8】上記ケースにCRTが収納された場合の一例を示す概略正面図である。
【図9】本発明のCRTの映像動揺低減装置の補償コイルの配置の他の例を示す概略斜視図である。
【図10】本発明のCRTの映像動揺低減装置の性能を評価する実施例において、不均一磁界試験における設備の配置を示す概略斜視図である。
【図11】同試験における暴露磁界分布を示すグラフである。
【図12】同試験における磁束密度波形を示すグラフである。
【図13】同試験におけるけい光面の測定点を示す図である。
【図14】同試験における本発明のCRTの映像動揺低減装置(図中ではアクティブ磁気シールドと表示)と従来の磁気シールドボックスとの映像動揺振幅の比較結果を示し、(a)はX軸方向を、(b)はY軸方向を示す。
【図15】本発明のCRTの映像動揺低減装置の性能を評価する実施例において、変動磁界試験における磁束密度波形を示す。
【図16】同試験における本発明のCRTの映像動揺低減装置(図中ではアクティブ磁気シールドと表示)と従来の磁気シールドボックスとの映像動揺認識の比較結果を示す。
【図17】従来のアクティブ磁気シールドの構成図を示す。
【符号の説明】
1 けい光面
2 第一組の補償コイル
3 第二組の補償コイル
4 第三組の補償コイル
13 三軸磁界センサ
14 フィルタ
15 補償コイル駆動部
16 不要動作排除回路
17 CRT
20 映像動揺低減装置
Claims (2)
- CRTのけい光面を正面として前記CRTを囲む上下左右の四面に配置され且つ前記CRTの偏向ヨークを優先的に補償するように偏心巻きに配線されてなる第一組の補償コイルと、前記CRTの上下の二面に配置される第二組の補償コイルと、前記CRTの左右の二面に配置される第三組の補償コイルと、前記第一,二,三組の補償コイルで囲まれる空間の中心軸上かつ後端に配置されて三次元の外部磁界を三軸成分に分割して検出する三軸磁界センサと、前記三軸磁界センサの検出信号から消磁対象の外部磁界のみを抽出するフィルタと、前記フィルタを介した三軸磁界センサの検出信号に対応して前記外部磁界を消磁する電流を前記第一,二,三組の補償コイルに流す補償コイル駆動部とを備え、該補償コイル駆動部は、前記第一組の補償コイルに対して左右面で逆方向且つ上下面で逆方向に電流を流し、前記第一組の補償コイルを流れる電流により、前記CRTの前後方向の軸周りに周回する電流を形成して前記CRTの前後方向の外部磁界成分を相殺する補償磁界を発生させ、前記第二組の補償コイルに対して上下面で同方向に電流を流し、前記CRTの上下方向の外部磁界成分を相殺する補償磁界を発生させ、前記第三組の補償コイルに対して左右面で同方向に電流を流し、前記CRTの左右方向の外部磁界成分を相殺する補償磁界を発生させることを特徴とするCRTの映像動揺低減装置。
- 前記CRTの動作時のみ前記補償コイル駆動部を動作させる不要動作排除回路を備えることを特徴とする請求項1記載のCRTの映像動揺低減装置。
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