JP3572178B2 - 印刷機のインキ供給制御方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷機(オフセット印刷機)のインキ供給制御方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
連続印刷を行なう際、インキ供給量制御は画像の印刷に影響を与える可能性が最も高い。このインキ供給量制御は、画像と共に印刷された測色用区域の目視評価により、又はその測色用区域の色濃度計による解析によって実施されている。後者の一例は、ドイツ特許公開公報OS2728738に開示されている。
【0003】
実際の場合、色濃度計を用いた測定のみを基礎とするだけのインキ供給量制御では、しばしば不十分な場合があることが知られている。よって、同一のフルトーン濃度(ベタ濃度)を設定する場合には、校正刷り又は仮校正刷りそれぞれと本刷りとの間にかなりの色差(色の違い)があらわれることがしばしば起こる。このような色差が感知されたときは、インキ供給量制御を止めて手動でインキ供給量を調節することにより色差を修正しなければならない。なお、印刷された色にそのような差異が生じる原因は、校正刷り或いは仮校正刷り及び本刷りの一般的に異なる印刷製造方法の相違(校正刷り或いは仮校正刷りの印刷機械が本刷りの印刷機械と異なる等)、並びに、使用材料の相違(使用されたインキの発色の違い)に起因して色差異を生じることにある。さらに、一定インキ濃度印刷、とくにフルトーン濃度一定でインキ供給量を制御して印刷した場合に、色調値(網点で形成された色調)の変動が、インキ温度或いは湿し水供給量の変動によるドットゲイン(網点の太り)の変化及び紙粉のパイリング(堆積)によるインキ転移不良による結果として起こるので、安定した印刷物の色調を得られる保証はない。
【0004】
従って、校正刷り或いは仮校正刷りと本刷りとの間の高精度の合致が得られるように、印刷機におけるインキ供給量制御を改良することが必要である。インキ供給量制御の改良例の1つとして、例えば特開昭62−146633号公報に記載の方法及び装置がある。この公報に記載の発明は、印刷機におけるインキづけ(インキ供給量)制御方法、該制御方法を実施するのに適した印刷装置及びそのような印刷装置の制御データを発生するための測定装置に関するものであり、その目的は、インキ供給に対して本刷りを安定状態に維持することであり、さらには、色の変動が見分けられるようにすることであると記述されている。
【0005】
ここで、前記公報の要約を以下に述べることとする。
図6は特開昭62−146633号公報に記載の装置の構成を示すものであって、各装置の相互関係について簡単に説明すると、次の通りである。
(1) 印刷機300によって印刷された印刷済みシート400は、図外の光電手段によって測定される。すなわち、印刷済みシート400中の一連の測色用区域、例えば印刷された画像の中の概ね予め選択された位置、又は同時に印刷された測色区域410の部分が、光電手段によって測定される。
(2) 個々の印刷帯域を印刷するのに用いられた印刷インキの色差に対応する制御データ110は、前記(1)で得られた測定値に基づいて測定値取得装置100において決定される。
(3) この制御データ110は、入力値として制御パネル200に給送される。
(4) 制御パネル200は、前記制御データ110に基づいて、色差が最小になるような方法で印刷機300のインキ制御要素を調整するための制御データ調節信号210を発生する。
【0006】
次に、上述の目的を達成するための方法について述べると、次の通りである。
(1) 測定値(各測色用区域の分光反射率)を色座標に変換する。測定される測色片は、主にラスター色調(各色の網点による色調)が用いられ、特に画像にとって重要な色調に適合する測色片を選択することも可能である。
(2) 予め設定しておいた色座標(目標色座標)値と前記測定値の色座標(参照色座標)値とを比較する。
(3) 前記(2)で発生した色差ベクトル(目標色座標値と参照色座標値との偏差)を最小にするようにインキの供給量を制御する。すなわち、色差ベクトルに経験的に決定される変換マトリックスを掛け、その結果、色濃度差ベクトルを得る。前記色濃度差ベクトル成分は、印刷色の各色の濃度差或いはインキ膜厚差から成っている。よって、前記色濃度差ベクトル(制御データ)が求まれば、インキ制御要素の設定を変化させるように作用するので、色差は最小になる。
(4) 前記方法で満足できると判断された印刷シート(OKシート)が得られた時、本刷りは、前述の制御手法(色差を最小にするインキ供給量制御)を止めて、各色の印刷物・色濃度を一定に保つための方法(ドイツ特許公開公報OS2728738で開示された方法)によるインキ供給量制御に切り替える。但し、色濃度は別途に測定器を設けることなく、分光反射率を濃度計に対応するフィルタ色濃度に変換して測定濃度として利用する。
(5) 前記濃度制御に切り替えて印刷運転中に、色差が何らかの理由で許容濃度範囲を逸脱した場合には、制御方式は色差制御に切り替えられる。
(6) 許容色差に到達すると、設定色濃度値が更新され、再び前記濃度制御に移行する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
(ア) ある分光反射率値から求められるCIE国際照明委員会の各種色座標(L*a*b*,L*u*v*等がある)値は1点に写像されるが、同じ色座標値となる分光反射率値は無数にある。従って、従来技術による色座標一致による制御方法では、ある標準光源或いは視野で規定された色座標上でのみ色見本(校正刷り或いは仮校正刷り)と本刷りシートの色は一致するが、光源の種類或いは視野が変化すれば、色差が発生し、同じ色に見えないこととなる。
(イ) 前記(ア)で述べたように、ある色座標値を表現する分光反射率値は無数に存在するため、計測された色座標値を目標の色座標値に一致させる方法によりインキ供給制御を行うと、各色のインキ供給量の自由度は無数に存在する。このことにより、印刷シート上の色調検査領域の測定された色票片の色が目標値に対して色座標上で一致しても、印刷帯域の絵柄部分の色調が印刷帯域毎に変化してしまう可能性がある。
(ウ) 従来技術のように、インキ付着面積率を製版用フィルム或いは刷版の値に応じて固定する方法では、ドットゲイン或いはダブリによるインキ付着面積率の変動が無視されてしまい、正確なインキ供給制御が行えない。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、全ての光源及び視野で色見本(校正刷り或いは仮校正刷り)と本刷りの色を一致させることができ、各色のインキ供給量のアンバランスを防止し得て印刷帯域の絵柄部分の色調が印刷帯域毎に変化するようなことを防止でき、しかもドットゲイン或いはダブリによるインキ付着面積率の変動に対しても正確なインキ供給制御を行い得る印刷機のインキ供給制御方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明では、多色印刷機により印刷された印刷シート上の複数の色票片毎に可視光領域の分光反射率を計測し、この計測分光反射率と予め定められた目標分光反射率とに基づいて制御データを演算し、この制御データによりインキ供給量を制御する印刷機のインキ供給制御方法において、
(a) 多色印刷機により印刷された印刷シート上の複数の色票片毎に可視光領域の分光反射率を計測する工程と、
(b) 前記各色票片毎の計測分光反射率より網点面積率を演算する工程と、
(c) 前記各色票片毎の計測分光反射率に基づいて、インキのベタ濃度を演算する工程と、
(d) 前記網点面積率及び予め定められた3色重ねハーフトーン色票片の目標分光反射率に基づいて、目標とするインキのベタ濃度を演算する工程と、
(e) 前記目標とするインキのベタ濃度と前記演算されたインキのベタ濃度との偏差を演算する工程と、
(f) 前記インキのベタ濃度偏差からインキ増減信号を演算する工程と、
をそれぞれ有し、
前記演算結果から得られるインキ量増減信号に基づいてインキ供給装置を制御するようにしている。
【0010】
また、本発明では、シアンの網点面積率c,マゼンタの網点面積率m,及びイエローの網点面積率yを、下記の式(1)のΔRを最小にする演算で求めるようにしている。
【数4】
但し、
ΔR(λ)=R(λ)−R’(λ)
【数5】
Rc’(λ)=(1−c)Rp(λ)+cRc(λ)
Rm’(λ)=(1−m)Rp(λ)+mRm(λ)
Ry’(λ)=(1−y)Rp(λ)+yRy(λ)
但し、
λ:可視光領域の光の波長(nm)
R(λ):重ねハーフトーン色票片の計測分光反射率
Rp(λ):紙の分光反射率
R’(λ):近似計算により求めた重ねハーフトーン色票片の計算分光反射率
Rc(λ):シアンのベタ分光反射率
Rm(λ):マゼンタのベタ分光反射率
Ry(λ):イエローのベタ分光反射率
【0011】
また、本発明では、シアン,マゼンタ及びイエローの目標とするインキのベタ濃度Dc’,Dm’,Dy’を、下記の式(2a),(2b)及び(2c)を利用して求めるようにしている。
【数6】
log10{Rp(λ)/Rc(λ)}=kc(λ)Dc………(2a)
log10{Rp(λ)/Rm(λ)}=km(λ)Dm………(2b)
log10{Rp(λ)/Ry(λ)}=ky(λ)Dy………(2c)
但し、
Dc:シアンインキのベタの色票片から計測された分光反射率を基に計算されたインキのベタ濃度
Dm:マゼンタインキのベタの色票片から計測された分光反射率を基に計算されたシアンインキのベタ濃度
Dy:イエローインキのベタの色票片から計測された分光反射率を基に計算されたイエローインキのベタ濃度
kc(λ),km(λ),ky(λ):直線近似の係数
【0012】
また、本発明では、多色印刷機により印刷された印刷シート上の複数の色票片毎に可視光領域の分光反射率を計測し、この分光反射率と予め定められた目標分光反射率とに基づいて制御データを演算し、この制御データによりインキ供給量を制御する印刷機のインキ供給制御装置において、
(a) 多色印刷機により印刷された印刷シート上の複数の色票片毎に可視光領域の分光反射率を計算する手段と、
(b) 各色票片毎の計測分光反射率より網点面積率を演算する手段と、
(c) 前記各色票片毎の計測分光反射率に基づいて、インキのべタ濃度を演算する手段と、
(d) 前記網点面積率及び予め定められた3色重ねハーフトーン色票片の目標分光反射率に基づいて、目標とするインキのベタ濃度を演算する工程と、
(e) 前記目標とするインキのベタ濃度と前記演算されたインキのベタ濃度との偏差を演算する手段と、
(f) 前記インキのベタ濃度偏差からインキ増減信号を出力する手段と、
をそれぞれ具備し、前記インキ増減信号によってインキ供給量を制御するように構成している。
【0013】
前記複数の色票片が、
(a) シアンとマゼンタとイエローの重ねハーフトーン色票片、及び
(b) シアン、マゼンタ、イエローのベタ色票片、
であるようにしている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例について図1〜図5を参照して説明する。図1は本発明に係るインキ供給制御方法を施行する印刷機のインキ供給制御装置1の構成を概略的に示す図であり、図2は本発明に係るインキ供給制御方法を施行する際の流れを示す図である。図1に示すように、本例のインキ供給制御装置1は、多色印刷機にインキを供給するインキ供給装置2と、この多色印刷機により印刷された印刷シート3上の色調検査領域4内の複数の色票片5(図3に示すような3種の単色ベタ色票片,及び1種の3色重ねハーフトーン色票片の計4種)毎に可視光領域の分光反射率を計測する分光反射率測定装置6と、目標とする色の分光反射率のデータが予め入力される目標値入力装置7と、上述の分光反射率測定装置6及び目標値入力装置7からの出力が演算要素として供給される演算装置8と、前記演算装置8の演算結果を表示する表示装置9とをそれぞれ具備しており、演算装置8からの演算出力がインキ供給装置2にインキ増減信号(制御信号)21として供給されるようになっている。
【0015】
また、上述の演算装置8は、前記分光反射率測定装置6から出力される計測分光反射率がそれぞれ供給される網点面積率演算部10及び計測インキベタ濃度演算部11と、前記目標値入力装置7及び網点面積率演算部10からの出力信号が供給される目標インキベタ濃度演算部12と、この目標インキベタ濃度演算部12及び前記計測インキベタ濃度演算部11からの出力がそれぞれ供給されるベタ濃度偏差演算部13と、このベタ濃度偏差演算部13における演算結果に応じたインキ増減信号21を前記インキ供給装置2へ供給するインキ制御データ演算部14とから構成されている。
【0016】
かくして、本例においては、〈a〉各色票片5毎の計測分光反射率より網点面積率を求め、〈b〉この求めた網点面積率及び各色票片5毎の目標分光反射率を用いて目標とするインキベタ濃度を演算し、〈c〉次に目標とするインキのベタ濃度Dc’,Dm’,Dy’と、インキのベタの色票片から計測された分光反射率を基に計算されたインキのベタ濃度Dc,Dm,Dyの偏差ΔDc,ΔDm,ΔDyを演算し、〈d〉インキのベタ濃度偏差ΔDとインキ増減信号との関係を予め求めておくことによりインキ供給量を制御するようにしている。なお、本例の装置の具体的な機能・動作を説明する前に、上述の〈a〉〜〈d〉項に記載の演算原理を項目別に説明すると、次の通りである。
【0017】
〈a〉 各色票片毎の計測分光反射率より、以下の手順で網点面積率を求める。
【0018】
▲1▼ シアンとマゼンタとイエローの重ねハーフトーン色票片の分光反射率R’(λ)のうちシアン成分Rc’(λ)は、公知のミュレイ−デービス方程式(Murray−Davies方程式(Murray,1936))から、計測シアンベタ色票片の分光反射率Rc(λ)を用いて次式で表される。
【数7】
Rc’(λ)=(1−c)Rp(λ)+cRc(λ) ………(3a)
同様に、マゼンタ及びイエロー成分R’m(λ)及びR’y(λ)は、次式となる。
【数8】
Rm’(λ)=(1−m)Rp(λ)+mRm(λ) ………(3b)
Ry’(λ)=(1−y)Rp(λ)+yRy(λ) ………(3c)
但し、
λ:可視光領域の光の波長(nm)
R(λ):重ねハーフトーン色票片の計測分光反射率
R’(λ):近似計算により求めた重ねハーフトーン色票片の計算分光反射率
Rp(λ):紙の分光反射率
Rc(λ):シアンのベタ分光反射率
Rm(λ):マゼンタのベタ分光反射率
Ry(λ):イエローのベタ分光反射率
c:シアンの網点面積率
m:マゼンタの網点面積率
y:イエローの網点面積率
【0019】
▲2▼ シアン & マゼンタ & イエロー 重ねハーフトーン色票片の分光反射率R’(λ)は、上記Rc’(λ),Rm’(λ)並びにRy’(λ)を用いて次式で近似できる。
【数9】
【0020】
▲3▼ 計測シアン、マゼンタ、及びイエローの重ねハーフトーン分光反射率R(λ)と上述の計算シアン、マゼンタ、及びイエローの重ねハーフトーン分光反射率R’(λ)の偏差ΔR(λ)は次式となる。
【数10】
ΔR(λ)=R(λ)−R’(λ) ………(5)
【0021】
▲4▼ 上記の式(5)の2乗、即ち下記の式(1)のΔRを最小にする網点面積率c,m,yを求める。
【数11】
【0022】
〈b〉 次に、各色票片毎の目標分光反射率及び前記〈a〉で求めた網点面積率を用いて、目標とするインキベタ濃度を下記の手順で演算する。
【0023】
▲1▼ 先ず、シアンインキのベタ分光反射率Rcとシアンインキのベタ濃度Dcの関係を次式で近似する。
【数12】
log10{Rp(λ)/Rc(λ)}=kc(λ)Dc ………(2a)
同様に、マゼンタインキのベタ濃度Dm,イエローインキのベタ濃度Dyは次式となる。
log10{Rp(λ)/Rm(λ)}=km(λ)Dm ………(2b)
log10{Rp(λ)/Ry(λ)}=ky(λ)Dy ………(2c)
但し、
Dc:シアンインキのベタの色票片から計測された分光反射率を基に計算されたインキのベタ濃度
Dm:マゼンタインキのベタの色票片から計測された分光反射率を基に計算されたインキのベタ濃度
Dy:イエローインキのベタの色票片から計測された分光反射率を基に計算されたインキのベタ濃度
kc(λ),km(λ),ky(λ):直線近似の係数
また、シアンのベタ濃度Dcは次式で求められる。
【数14】
同様に、マゼンタのベタ濃度Dm,イエローのベタ濃度Dyは次式となる。
【数15】
但し、
Fc(λ):シアンインキのフィルタ特性
Fm(λ):マゼンタインキのフィルタ特性
Fy(λ):イエローインキのフィルタ特性
【0024】
▲2▼ 上記の式(6a),(6b),(6c)のRc(λ),Rm(λ),Ry(λ)に、計測されたシアンのベタ分光反射率(シアンインキのベタの色票片から計測された分光反射率),計測されたマゼンタのベタ分光反射率(マゼンタインキのベタの色票片から計測された分光反射率),計測されたイエローのベタ分光反射率(イエローインキのベタの色票片から計測された分光反射率)をそれぞれ代入して、シアンのベタ濃度Dc,マゼンタのベタ濃度Dm,イエローのベタ濃度Dyを求める。
【0025】
▲3▼ 上記の式(2a),(2b),(2c)の左辺のRc(λ),Rm(λ),Ry(λ)にシアンのベタ分光反射率,マゼンタのベタ分光反射率,イエローのベタ分光反射率をそれぞれ代入し、右辺のDc,Dm,Dyに前記▲2▼で計算したシアンのベタ濃度Dc,マゼンタのベタ濃度Dm,イエローのベタ濃度Dyを代入して、直線近似の係数kc(λ),km(λ),ky(λ)を求める。
【0026】
▲4▼ 上記の式(5)のR(λ)に目標とするシアン、マゼンタ、及びイエローの重ねハーフトーン分光反射率を代入する。
【0027】
▲5▼ 上記の式(3a),(3b),(3c)のc,m,yに前記〈a〉項に記載の演算で求めた網点面積率をそれぞれ代入する。また、上記式(3a),(3b),(3c)のRc(λ),Rm(λ),Ry(λ)に上記の式(2a),(2b),(2c)の関係式を代入すると、上記の式(3a),(3b),(3c)の右辺は、Dc,Dm,Dyの関数となる。
【0028】
▲6▼ 上述のように計算された上記の式(2a)〜(2c),(3a)〜(3c),(4)及び(5)式を利用して、上記の式(1)のΔRを最小にする、目標とするインキ(シアンインキ、マゼンタインキ、及びイエローインキ)のベタ濃度Dc,Dm’,Dy’を求める。
具体的には、
(i) まず、式(2a) , (2b),(2c)により、ベタ濃度Dc,Dm,Dyとベタの分光反射率Rc(λ),Rm(λ),Ry(λ)との関係が既知となる。
(ii) ベタの分光反射率Rc(λ),Rm(λ),Ry(λ)が既知となれば、式(3a),(3b),(3c)により、3色重ねハーフトーン色票片のシアン成分分光反射率Rc ’ (λ),マゼンタ成分分光反射率Rm ’ (λ),イエロー成分分光反射率Ry ’ (λ)が既知となる。
(iii) 従って、3色重ねハーフトーン色票片の分光反射率は式(4)で近似される。
(iv) 式(5)のR(λ)に3色重ねハーフトーン色票片の目標分光反射率を代入する。
(v) 式(1)により、最小二乗近似法等の数学的手段を用いて、3色重ねハーフトーン色票片の目標分光反射率に一致する目標ベタ濃度Dc ’ ,Dm ’ ,Dy ’ が導かれる。
【0029】
〈c〉 次に、目標とするインキのベタ濃度Dc’,Dm’,Dy’と、インキのベタの色票片から計測された分光反射率を基に計算されたインキのベタ濃度Dc,Dm,Dyの偏差ΔDc,ΔDm,ΔDyを下記の式(7a),(7b),(7c)により演算する。
【数16】
ΔDc=Dc’−Dc ………(7a)
ΔDm=Dm’−Dm ………(7b)
ΔDy=Dy’−Dy ………(7c)
【0030】
〈d〉 次に、予めインキのベタ濃度偏差ΔDとインキ増減信号との関係を求めておくことにより、インキ供給量を制御する。
【0031】
ここで、本例のインキ供給制御装置1の具体的な機能・動作について、図1の構成図、図2のフローチャート及び上述の演算過程を参照しつつ説明する。
【0032】
(I) 多色印刷機により印刷された図3に示すような印刷シート1上の色調検査領域2内の複数の色票片5(3種の単色ベタ色票片,及び1種の3色重ねハーフトーン色票片の計4種)毎に分光反射率測定装置6により可視光領域の分光反射率を計測する(図2におけるステップS1 )。
(II) 目標値入力装置7にはOKシート或いは校正刷り,仮校正刷りのような目標とする色の分光反射率のデータを予め入力しておく。
(III) 各色票片5毎の計測ベタ分光反射率Rc(λ),Rm(λ),Ry,(2)を上記の式(2a),(2b),(2c)に代入し、計測重ねハーフトーン分光反射率R(λ)を上記式(5)に代入して網点面積率c,m,yを計算する(図2におけるステップS2 )。なお、計算(演算)方法は前記〈a〉で述べた各式(1)〜(5)を用いる。
(IV) 各色票片5毎の目標重ねハーフトーン分光反射率R’(λ)を上記の式(5)に代入し、前記(III)で求めた網点面積率c,m,yを上記の式(3a),(3b),(3c)に代入して、△Rを最小にする目標とするインキのベタ濃度Dc’,Dm’,Dy’を演算する(図2におけるステップS3 )。但し、インキのベタ濃度を求める際に、本実施例で使用したフィルタ特性Fc(λ),Fm(λ),Fy(λ)は、図4に示す特性である。なお、計算方法は前記〈b〉で述べた上記の式(1)〜(6)を用いる。
(V) 目標とするインキのベタ濃度Dc’,Dm’,Dy’と、インキのベタの色票片から計測された分光反射率を基に計算されたインキのベタ濃度Dc,Dm,Dyの偏差△Dc,△Dm,△Dyを上記の式(7)により演算する(図2におけるステップ(S4 )。なお、計算方法は前記〈c〉で述ベタ上記の式(7)を用いる。
(VI) インキのベタ濃度偏差△D(制御データ)と図5に示すようなインキ・ヰ・一開度20との関係を求めておき、前記関数を用いてインキ供給装置2のインキ・キー開度20を計算する(図2におけるステップS5 )。なお、図5において、30はインキ・キー、31はインキ元ローラ、32はインキ呼出ローラ、33はインキローラ群であり、図中のQ=M×hにおいて、Qはインヰ・供給量、Mはインキ元ローラ回転量、hはインキ・キー開度量である。
(VII) 前記(VI)で計算されたインキ・キー開度20はインキ増減信号21(図1参照)としてインキ供給装置2に送られ、各印刷帯域22(図3参照)に応じたインキ・キー開度20を制御する。
【0033】
【発明の効果】
(1) 本発明による方法では、目標分光反射率(校正刷り或いは仮校正刷りの分光反射率)と計測された分光反射率(本刷りの分光反射率)の一致を目指すようにインキ供給量を制御するため、目標値及び計測値の分光反射率値が一致した場合、全ての光源及び視野で色見本(校正刷り或いは仮校正刷り)と本刷りシートの色は一致することとなる。
(2) 本発明による方法では、印刷シート上の色調検査領域の測定された色票片の分光反射率データと目標分光反射率データを一致させる方法でインキ供給制御を行なうようにしているので、各色のインキ供給量は一義的に決定され、インキ供給量のアンバランスは起こらない。
(3) 本発明の方法及び装置では、公知のミュレイ−デービス(Murray−Davies)方程式によって、印刷シート上の色調検査領域の測定された色票片の分光反射率データより、各構成色のインキ付着面積率を演算する。このことにより、ドットゲイン或いはダブリによるインキ付着面積率の変動に対しても正確なインキ供給制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る印刷機のインキ供給制御装置の一実施例を示す概略ブロック図である。
【図2】図1の装置を用いて本発明に係るインキ供給制御方法を施行する際の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施例に用いられる色票片の配置図である。
【図4】本発明の一実施例においてインキ濃度を求めるために使用されるインキフィルタの特性図である。
【図5】本発明を枚葉印刷機に適用した場合のインキ供給機構を示す概念図である。
【図6】従来の印刷機のインキ供給制御装置の概略ブロック図である。
【符号の説明】
1 インキ供給制御装置
2 インキ供給装置
3 印刷シート
4 色調検査領域
5 色票片
6 分光反射率測定装置
7 目標値入力装置
8 演算装置
9 表示装置
10 網点面積率演算部
11 計測インキベタ濃度演算部
12 目標インキベタ濃度演算部
13 ベタ濃度偏差演算部
14 インキ制御データ演算部
20 インキ・キー開度
21 インキ増減信号
22 印刷帯域
Claims (6)
- 多色印刷機により印刷された印刷シート上の複数の色票片毎に可視光領域の分光反射率を計測し、この計測分光反射率と予め定められた目標分光反射率とに基づいて制御データを演算し、この制御データによりインキ供給量を制御する印刷機のインキ供給制御方法において、
(a) 多色印刷機により印刷された印刷シート上の複数の色票片毎に可視光領域の分光反射率を計測する工程と、
(b) 前記各色票片毎の計測分光反射率より網点面積率を演算する工程と、
(c) 前記各色票片毎の計測分光反射率に基づいて、インキのベタ濃度を演算する工程と、
(d) 前記網点面積率及び予め定められた3色重ねハーフトーン色票片の目標分光反射率に基づいて、目標とするインキのベタ濃度を演算する工程と、
(e) 前記目標とするインキのベタ濃度と前記演算されたインキのベタ濃度との偏差を演算する工程と、
(f) 前記インキのベタ濃度偏差からインキ増減信号を演算する工程と、
をそれぞれ有し、
前記演算結果から得られるインキ量増減信号に基づいてインキ供給装置を制御することを特徴とする印刷機のインキ供給制御方法。 - シアンの網点面積率c,マゼンタの網点面積率m,及びイエローの網点面積率yを、下記の式(1)のΔRを最小にする演算で求めることを特徴とする請求項1に記載の印刷機のインキ供給制御方法。
但し、
ΔR(λ)=R(λ)−R’(λ)
Rc’(λ)=(1−c)Rp(λ)+cRc(λ)
Rm’(λ)=(1−m)Rp(λ)+mRm(λ)
Ry’(λ)=(1−y)Rp(λ)+yRy(λ)
但し、
λ:可視光領域の光の波長(nm)
R(λ):重ねハーフトーン色票片の計測分光反射率
Rp(λ):紙の分光反射率
R’(λ):近似計算により求めた重ねハーフトーン色票片の計算分光反射率
Rc(λ):シアンのベタ分光反射率
Rm(λ):マゼンタのベタ分光反射率
Ry(λ):イエローのベタ分光反射率 - シアン,マゼンタ及びイエローの目標とするインキのベタ濃度Dc’,Dm’,Dy’を、下記の式(2a),(2b)及び(2c)を利用して求めることを特徴とする請求項1に記載の印刷機のインキ供給制御方法。
【数3】
log10{Rp(λ)/Rc(λ)}=kc(λ)Dc………(2a)
log10{Rp(λ)/Rm(λ)}=km(λ)Dm………(2b)
log10{Rp(λ)/Ry(λ)}=ky(λ)Dy………(2c)
但し、
Dc:シアンインキのベタの色票片から計測された分光反射率を基に計算されたインキのベタ濃度
Dm:マゼンタインキのベタの色票片から計測された分光反射率を基に計算されたシアンインキのベタ濃度
Dy:イエローインキのベタの色票片から計測された分光反射率を基に計算されたイエローインキのベタ濃度
kc(λ),km(λ),ky(λ):直線近似の係数 - 前記複数の色票片として、
(a) シアンとマゼンタとイエローの重ねハーフトーン色票片、及び
(b) シアン、マゼンタ、イエローのベタ色票片、
を用いることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の印刷機のインキ供給制御方法。 - 多色印刷機により印刷された印刷シート上の複数の色票片毎に可視光領域の分光反射率を計測し、この分光反射率と予め定められた目標分光反射率とに基づいて制御データを演算し、この制御データによりインキ供給量を制御する印刷機のインキ供給制御装置において、
(a) 多色印刷機により印刷された印刷シート上の複数の色票片毎に可視光領域の分光反射率を計算する手段と、
(b) 各色票片毎の計測分光反射率より網点面積率を演算する手段と、
(c) 前記各色票片毎の計測分光反射率に基づいて、インキのべタ濃度を演算する手段と、
(d) 前記網点面積率及び予め定められた3色重ねハーフトーン色票片の目標分光反射率に基づいて、目標とするインキのベタ濃度を演算する工程と、
(e) 前記目標とするインキのベタ濃度と前記演算されたインキのベタ濃度との偏差を演算する手段と、
(f) 前記インキのベタ濃度偏差からインキ増減信号を出力する手段と、
をそれぞれ具備し、前記インキ増減信号によってインキ供給量を制御するようにしたことを特徴とする印刷機のインキ供給制御装置。 - 前記複数の色票片が、
(a) シアンとマゼンタとイエローの重ねハーフトーン色票片、及び
(b) シアン、マゼンタ、イエローのベタ色票片、
であることを特徴とする請求項5に記載の印刷機のインキ供給制御装置。
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| JP26629897A JP3572178B2 (ja) | 1997-09-30 | 1997-09-30 | 印刷機のインキ供給制御方法及び装置 |
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