JP3573858B2 - 熱可塑性樹脂シートの模様現出方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂シートの模様現出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂シートの模様現出方法に関する。
【0002】
【従来技術】
熱可塑性樹脂とくに塩化ビニル系樹脂よりなる床材や壁材は広く普及しており、とくに床材の分野においてはかつての主流であったリノリウム床材をはるかに凌駕しているのが実情である。
【0003】
しかし、熱可塑性樹脂とくに塩化ビニル系樹脂よりなる床材で実現できる模様は制約されている。実現できる模様のひとつは、いわゆるマーブル模様でありもうひとつは雲形模様といわれるものである。塩化ビニル系樹脂のような熱可塑性樹脂を用いると、リノリウムとの熱流動性の差異に起因するのか、模様が筋状に流れる傾向(大理石模様)が強く出てしまい、流れの少ない模様を形成できないのが実情であった。
【0004】
従来の塩化ビニル系樹脂を用いた大理石模様の代表的な作り方としては、混練ロールでベース色となるシートをつくり、これをオープンロールに移し、ベース色シートの上に加熱された熱可塑性樹脂製模様材をふりかけながら軽く練って切り出し、カレンダで圧延することにより大理石模様とするものであるが、どうしても模様の流れが強く、単調な模様となることはさけられない。一方、雲形模様は、前述の大理石模様シートをさらに直角方向に圧延することによって得られるが、これとてリノリウムの雲形模様にくらべればはるかに劣っている。
【0005】
熱可塑性樹脂製タイルの場合は、長尺物の熱可塑性樹脂とくに塩化ビニル系樹脂製の床材や壁材の場合に較べてフィラーの含有量が多く、樹脂成分の含有量が約10〜15wt%程度であるため、組成物が流れにくく、カレンダ処理にあたりほとんどバンクを作ることがない状態で、この面では物性的にやゝリノリウムに近い傾向を有するため、前記従来方法によってもある程度雲形に近い模様を現出できる。
【0006】
しかし、長尺物の熱可塑性樹脂よりなる床材や壁材を製造する場合には原料組成物中のフィラーが少なく、樹脂分が25〜40wt%、通常は30〜35wt%といったようにタイルの場合に較べて樹脂量が多いため、カレンダ処理をするとバンクを作り、熱可塑性樹脂製模様材が大きく流れ、とても雲形模様とは言えない模様になってしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、圧延ロールで模様を現出する場合において、従来の大理石模様や雲形模様とは異なる新規な熱可塑性樹脂シートの模様現出方法を提供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
各層の色合が異っている2層以上の繊維含有熱可塑性樹脂積層体を予定表面の側からエンボスするかあるいはその一部を切削することにより、その部分の予定表面層を形成している材料を移動または削除して予定表面側に凹凸を形成する第一工程と、第一工程で得られた予定表面側に凹凸を有する積層体を圧延する第二工程よりなることを特徴とする熱可塑性樹脂シートの模様現出方法に関する。
【0009】
本発明の第2は、各層の色合が異っている2層以上の繊維含有熱可塑性樹脂層と繊維を含有しない熱可塑性樹脂層とを有する積層体を繊維含有熱可塑性樹脂層の側からエンボスするかあるいはその一部を切削することにより、その部分の予定表面層を形成している材料を移動または削除して繊維含有熱可塑性樹脂層側に凹凸を形成する第一工程と、第一工程で得られた凹凸を有する積層体を圧延する第二工程よりなることを特徴とする熱可塑性樹脂シートの模様現出方法に関する
【0010】
前記熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン、エチレンとC〜Cのα−オレフィン類との共重合体、ポリプロピレン、プロピレンとC〜Cのα−オレフィン類との共重合体などを挙げることができる。もっとも一般的なのが、ポリ塩化ビニルや塩化ビニル系樹脂である。
【0011】
繊維を配合する理由は、繊維を配合すると組成物をカレンダーロールで圧延するさい、組成物の流動を繊維が抑制し、組成物がカレンダーロール面ですべりを生じ、ほとんどバンクを作らず成形できるので、従来から言われている熱可塑性樹脂の流れやすさにより、模様が流れすぎたり、表層シートと下層シートがまざりすぎて模様がボケた感じになるという欠点を解消することができ本発明の特異な模様を現出できる。
【0012】
前記繊維としては、単繊維、撚り糸などいずれの形態でもよいがとくに断面が扁平な繊維が好ましい。繊維の長さは0.2〜5.0mm程度とくに0.3〜2.0mm程度、太さは3〜300デニール程度のものが好ましい。また、これらの繊維の材質は天然、合成いずれでもよく、また、有機あるいは無機のいずれの材料であってもよい。具体的には、レーヨン、ナイロン、ポリアクリル系、ポリエステル系、綿、麻、岩綿、ガラス繊維などを挙げることができる。たゞし、これら繊維の融点はカレンダリングのさい溶融しないものであることが必要である。その使用量は樹脂分に対し、2〜40重量%、とくに5〜30重量%程度が好ましい。
【0013】
前記熱可塑性樹脂には、必要に応じて安定剤、可塑剤、充填剤、着色料あるいはその他の添加剤を配合することができる。
【0014】
前記多層シートの少なくとも一層は、流れ模様シートであってもよい。この流れ模様シートは例えば複数の色をもつチップを混合し、これをバンクに入れて圧延することにより得ることができる。この場合のチップの大きさは縦が1〜30mm、好ましくは2〜5mm、横が1〜30mm、好ましくは2〜5mmである。
前記積層体はそのまゝ凹凸付与処理にかけてもよいが、この裏面に繊維を含有しない熱可塑性ベースシートを積層しておいてもよい。これによりコスト低減の効果が得られる。
【0015】
第二工程においては、圧延ロール間でバンクを形成するような状態になると、熱可塑性樹脂の流れやすさが強調されるし、表層シートと下層シートが練られすぎて、凹凸に起因する模様が不鮮明になってしまったり、全く模様が形成できなくなるので、できるだけバンクを形成せず、圧延ロールに供給される加熱された熱可塑性樹脂のシートまたは板が、圧延ロールでむしりとられてゆく感じで圧延されていくのが重要である。
【0016】
対向する圧延ロールの回転速度は同一であってもよいが、速さが同一でない方が供給シートまたは板がむしりとられていきやすいので、好ましい。
【0017】
そして、このむしりとられるように圧延される過程において、全く新規な模様が形成される。この積層体をむしりとるように圧延する時、凹凸またはエンボスが形成された部分と、そうでない部分とでは、表層と下層のむしりとられ方が変わり、その結果、表層と下層の混ざり具合が変化し、この不完全な練込み状態が複雑な練込み模様となって、表面に現出する。したがって、本発明においてはシートの層構成、各シートの厚みはもちろんのこと、凹凸の深さ、大きさ、形状、位置関係などによって、模様が全く異ったものとなり、従来のマーブル模様、雲形模様とも異なり、また印刷では実現できないような、また言葉では表現できないような独特の模様が現出できる。
【0018】
そして、本発明において、下層の下面側は、その上の層とは混練されずに残る。すなわち下層は、練込み模様が形成されずに前の状態のままであるのも本発明の特徴である。下層までの全体をまき込んで混練してしまうと、表層に設けた凹凸に起因する不完全練込み模様は得られなくなる(バンクをつくった混練になるので)。従来、熱可塑性樹脂組成物をカレンダーロールで圧延する際に、バンクを造らないで圧延するためには、フィラーを多量に用いる場合以外には困難と考えられてきた。本発明においては、この点を組成物に繊維を配合することにより、解決し、その結果、独特な模様を有する熱可塑性樹脂シートおよびその製法を提供するにいたったのである。
【0019】
カレンダリングの温度は、使用する熱可塑性樹脂がカレンダリング可能なできるだけ低い温度で行うことが好ましい。これも熱可塑性樹脂の流れすぎを抑制するためである。とくに供給される第一工程で得られた凹凸を有する積層体の温度より圧延ロールのロール温度が低い方がよい結果が得られる。
【0020】
先にも述べたように、得られる模様は、凹凸やエンボスのパターンにより全く異なったものになる。一定の規則性の凹凸やエンボスパターンを設ければ、得られる不完全練込み模様も、ある程度規則性をもった練込み模様が得られるし、ランダムな凹凸パターンからはランダム模様が得られる。
得られる模様の一例を示す。図2および図4は、それぞれ図1および図3のある程度規則性をもった凹凸ないしエンボスパターンから得られたもので、図6は、図5のランダムエンボスパターンより得られた模様の一例である(出願と同時に提出した物件提出書参照)。
【0021】
凹凸又はエンボスの深さは各シートの厚さ、層構成にもよるが、0.1mm〜5.0mm(好ましくは0.2〜2.0mm)ぐらいである。
【0022】
ポリ塩化ビニルまたは塩化ビニル系樹脂を用いた場合の好ましいロール温度と凹凸積層体の温度は下記のとおりである。
上ロールの温度 100〜120℃
下ロールの温度 100〜120℃
凹凸積層体の温度 100〜110℃
【0023】
エンボスまたは一部切削する前の段階の厚みは積層体の積層の程度にもよるが通常0.1〜2.0mm、好ましくは0.3〜1.0mmであり、これに重ねて用いるベースシートの厚みは通常0.5〜5.0mm、好ましくは1.0〜3.0mmである。
【0024】
第一工程で得られた凹凸積層体の圧延の程度は、とくに制限するものではないが、このときの圧延比によって模様の流れ程度に変化を生じる。一般的には圧延比を(1/2〜1/20)、好ましくは(1/4〜1/10)程度になるような条件が好ましい。
【0025】
以下に実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0026】
Figure 0003573858
よりなる組成物に、着色料A(必要量)およびナイロン繊維(太さ30d、長さ0.5mm)10wt%を均一に混合し、常法によりチップ化した。チップの大きさは厚さ2mm、縦×横が10×10mmとした。このようにして得られた2色のチップを不均一に混ぜ、下記の条件のカレンダーに供給した。
上ロール温度 150℃
下ロール温度 150℃
チップ層加熱温度 140℃
かくして、比較的密度の粗な状態の厚さ0.5mmの圧延シートAが得られた。別途、着色料Aを着色料B、C、Dにかえた以外は同一の方法により圧延シートB、C、Dを作った。
前記圧延シートAとB、C、Dがまだ熱い間にこれらを積層して熱さ約2.0mmの積層体を得た。
この積層体の表面に、シートの長手方向(圧延方向)と直角の方向に、表層および下層の一部を直線状に多数個所切除(図1)(長さ数cm)した後、圧延ロールでバンクを形成しないように下記の温度条件で圧延し、複雑な練込み模様が現出された床材を得た。この模様はあたかも連続波状模様に似た独特な模様を有していた(図2)(出願と同時に提出した物件提出書参照)。
上ロール温度 110℃
下ロール温度 110℃
凹凸積層体の温度 105℃
【0027】
実施例2
図3に示すエンボス模様を付与した積層体を圧延ロールでバンクを形成しないように圧延して(圧延条件は実施例1と同一)図4に示す独特の練込み模様をもつ床材を得た(出願と同時に提出した物件提出書参照)。
【0028】
実施例3
実施例1の積層体の凹凸を図5に示すエンボス模様に代えたほかは実施例1と同一の積層体を圧延ロールでバンクを形成しないように圧延して(圧延条件も実施例1と同一)図6に示す独特の練込み模様をもつ床材を得た(出願と同時に提出した物件提出書参照)。
【0029】
【効果】
本発明により、今までの熱可塑性樹脂シートには発現できなかった複雑な模様を形成できるので、これを用いて、床材、壁材、天井材、ブックカバー、テーブルカバーなどいろいろの用途に有用な模様シートが提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の原材料の組織を示す写真である。
【図2】実施例1の製品の組織を示す写真である。
【図3】実施例2の原材料の組織を示す写真である。
【図4】実施例2の製品の組織を示す写真である。
【図5】実施例3の原材料の組織を示す写真である。
【図6】実施例3の製品の組織を示す写真である。

Claims (4)

  1. 各層の色合が異っている2層以上の繊維含有熱可塑性樹脂積層体を予定表面の側からエンボスするかあるいはその一部を切削することにより、その部分の予定表面層を形成している材料を移動または削除して予定表面側に凹凸を形成する第一工程と、第一工程で得られた予定表面側に凹凸を有する積層体を圧延する第二工程よりなることを特徴とする熱可塑性樹脂シートの模様現出方法。
  2. 各層の色合が異っている2層以上の繊維含有熱可塑性樹脂層と繊維を含有しない熱可塑性樹脂層とを有する積層体を繊維含有熱可塑性樹脂層の側からエンボスするかあるいはその一部を切削することにより、その部分の予定表面層を形成している材料を移動または削除して繊維含有熱可塑性樹脂層側に凹凸を形成する第一工程と、第一工程で得られた凹凸を有する積層体を圧延する第二工程よりなることを特徴とする熱可塑性樹脂シートの模様現出方法。
  3. 前記各層の色合が異っている2層以上の繊維含有熱可塑性樹脂の少なくとも1層が流れ模様層である請求項1または2記載の熱可塑性樹脂シートの模様現出方法。
  4. 繊維の含有量が熱可塑性樹脂に対して2〜40重量%である請求項1、2または3記載の熱可塑性樹脂シートの模様現出方法。
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