JP3577066B2 - バーナ・ランスおよび精錬方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素を含む支燃性流体を噴出させつつ、燃料を燃焼させて被加熱物を加熱するバーナ・ランスおよび精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸素を含む支燃性流体(酸素、空気、酸素富化空気等)を噴出させつつ、燃料を燃焼させて被加熱物を加熱するバーナは、様々な生産プロセスで用いられている。
例えば、電気炉製鋼プロセスにおいては、鉄屑等の原料を電気炉内で加熱し、溶融させる際に、原料にコールドスポットといわれる低温部分が生じ、この部分において原料が溶融しにくくなることがある。
このため、この低温部分の原料を加熱し、その溶融を促進することを目的として、補助的にバーナが使用される。
バーナの使用によって、原料の加熱効率を高め、原料溶融のための電力使用量を低減し、溶融コストを削減することができる。
また、支燃性流体によって原料の一部を酸化・溶融させ、切断を促し、原料に対する加熱効率を高めることができる。
さらには、支燃性流体の供給によって、未燃焼流体(一酸化炭素等)の燃焼を促進することができる。
バーナは、支燃性流体の流速を高めるほど、被加熱物の切断速度を高め、加熱効率を高めることができるため、支燃性流体の流れの高速化が要望されている。
【0003】
しかしながら、支燃性流体の流れを高速化する(例えば音速を超える速度とする)と、この流体の流れによって燃料の燃焼炎が不安定になり、かえって加熱効率が低下することがあった。
燃焼炎の安定化を図ることができるバーナとしては、特許文献1、2に記載されたものがある。これら公報に記載されたバーナは、酸素ガス供給管の外周側に、燃料ガス供給管が設けられ、さらにその外周側に、二次酸素を供給する二次酸素供給管が設けられた三重管構造を有する。
また、特許文献3には、酸素を供給する中央導管の外周側に、燃料供給用の管と、二次酸素供給用の管が設けられ、燃料および二次酸素をバーナ先端の噴出孔から噴出させることができる三重管構造のバーナ・ランスが提案されている。
これらのバーナでは、酸素ガス供給管から高速の酸素ガス流を噴出させるとともに、二次酸素を用いて燃料ガスを燃焼させることができるようになっており、二次酸素によって燃焼炎を安定化させることができる。
このため、燃焼炎の不安定化による加熱効率の低下を引き起こすことなく、酸素ガス流を高速化することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−75364号公報
【特許文献2】
特開平10−9524号公報
【特許文献3】
特開平10−259413号公報
【0005】
また、一般に、液体燃料を燃焼させる場合には、液体燃料を微粒化し霧状にするのが好ましい。この微粒化には、油圧法または高圧気流法が用いられている。
油圧法は、液体燃料を高圧化して噴霧する手法であり、高圧気流法は、空気や水蒸気などの高圧の霧化媒体を用いて液体燃料を微粒化する方法である。
【0006】
しかしながら、これらのバーナでは、三重管構造とされていることから、構造が複雑である上、全体のサイズが大きくなってしまう。このため、メンテナンスが難しく、しかも取り扱いがしにくい問題があった。
また、被加熱物が溶融金属等である場合には、被加熱物の一部がガス流によって飛散し、飛散物が燃料ガスや二次酸素の噴出孔を閉塞させることがあり、メンテナンスに手間がかかる問題もあった。
【0007】
また、液体燃料を用いる場合には、油圧法と高圧気流法のいずれを採用してもノズル構造が複雑化し、取り扱い性およびメンテナンス性の点で不利となる問題があった。
【0008】
また、鉄鋼精錬プロセスにおいては、高炉などで製造した溶鉄(例えば溶銑や、溶銑を脱炭して得られた溶鋼)を効率的に精錬するため、酸素などの支燃性流体の供給は重要である。
支燃性流体は、溶鉄中の珪素、燐、炭素などの除去や、別途添加される炭素、珪素、アルミニウムなどが酸化する際の発生熱を溶鉄に着熱させる(熱付加)ために用いられる。
支燃性流体を溶鉄に作用させる際には、上記除去反応や熱付加の効率を高めるために、溶鉄を攪拌し混合することが好ましい。
このため、支燃性流体を供給するには、支燃性流体供給管に、内径が先端方向に向けて徐々に大きくなるテーパ部が形成されたラバールノズルを有するランスが用いられている。
このタイプのランスを用いると、支燃性流体の初速が超音速となり、効率よく溶鉄を攪拌することができる。
支燃性流体に与えられたエネルギーを効率よく攪拌力に変換するためには、浴面(溶鉄表面)に対し、ランスをできるだけ低く配置することが有効であるが、ランスを低く配置すると、輻射熱などによりランスが劣化しやすくなる問題がある。
そのため、ランスを高く配置せざるを得ず、高い精錬効率を得るのは難しい。また、支燃性流体の流量などに応じて、ノズル形状や供給圧力の適正化などが行われているが(例えば特許文献4を参照)、支燃性流体を十分に高速化するのは難しく、高速化を実現できる精錬方法が要望されている。
【0009】
【特許文献4】
特開平10−30110号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その課題は次に示すとおりである。
(1)燃焼炎の不安定化による加熱効率の低下を防ぎ、かつ支燃性流体を高速化することができ、しかも取り扱い性およびメンテナンス性に優れたバーナ・ランスを提供する。
(2)精錬効率を向上させることができる精錬方法を提供する。
(3)液体燃料を用いる場合でも、取り扱い性およびメンテナンス性に優れたバーナ・ランスを提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のバーナ・ランスは、酸素を含む支燃性流体を供給する支燃性流体供給管の外周側に、燃料流体を供給する燃料流体供給管が設けられた二重管構造を有し、これら供給管の隙間が燃料流体流路とされ、前記支燃性流体供給管に、前記燃料流体をこの供給管の内部に導く燃料流体噴出部が形成され、前記支燃性流体供給管が、先端に向けて内径が大きくなるテーパ部と、このテーパ部より先端側に設けられ、ほぼ一定の内径を有する直胴部とを有し、該直胴部が、燃料流体噴出部より先端側に形成され、その内面に、周方向にわたって溝が形成されていることを特徴とする。
本発明のバーナ・ランスは、前記溝の深さL1が、次式で表される範囲内であることが好ましい。
【数2】
本発明のバーナ・ランスは、燃料流体噴出部の直径の総和L4と、支燃性流体供給管の出口の内周縁長さπD2との比L4/πD2が、次式で表される範囲内であることが好ましい。
L4/πD2≧0.1
本発明のバーナ・ランスは、前記溝が断面矩形状に形成されていることが好ましい。
【0012】
本発明の操業方法は、上記バーナ・ランスを用いて、酸素を含む支燃性流体と燃料流体との混合流体を燃焼させつつ冷鉄源に向けて噴出させることによって、冷鉄源を溶解し、精錬する炉の操業方法であって、冷鉄源が溶解する溶解工程と、冷鉄源が溶落ちした後の精錬工程とにおいて、それぞれ独立に燃料流体供給量を設定することを特徴とする。
溶解工程においては、混合流体を、1≦酸素比<3とし、溶落ちした後の精錬工程においては、混合流体を、酸素比≧3とすることができる。
本発明の操業方法は、脱珪、脱燐、脱硫、脱炭、昇温、熱付加、スクラップ溶解、合金溶解、還元処理のうち1種以上を対象とすることができる。
支燃性流体としては、純酸素ガス、工業用酸素ガス、空気のうち1種または2種以上を用いることができる。
【0013】
本発明の精錬方法は、上記バーナ・ランスを用いて、酸素を含む支燃性流体と燃料流体との混合流体を燃焼させつつ溶鉄に向けて噴出させることによって、この溶鉄を精錬することを特徴とする。
混合流体は、酸素比>5であることが好ましい。
本発明の精錬方法では、脱珪、脱燐、脱硫、脱炭、昇温、熱付加、スクラップ溶解、合金溶解、還元処理のうち1種以上を対象とすることができる。
本発明では、精錬にあたって、固体炭素源、炭化水素源、石灰源、マグネシウム源、アルミニウム源、鉄鉱石、マンガン鉱石、合金のうち1種以上を溶鉄に添加することができる。
本発明では、炭素濃度が0.6mass%以下である低炭素域において、溶鉄の精錬を行うことができる。
支燃性流体としては、純酸素ガス、工業用酸素ガス、空気のうち1種または2種以上を用いることができる。
本発明の精錬方法では、精錬の際に発生する排ガスから顕熱または潜熱を回収することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のバーナ・ランスの一実施形態を示すもので、ここに示すバーナ・ランス1は、酸素を含む支燃性流体を供給する支燃性流体供給管2の外周側に、燃料流体を供給する燃料流体供給管3が設けられ、さらにその外周側に、管状の水冷ジャケット4が設けられたノズル5を備えている。
すなわち、このノズル5は、支燃性流体供給管2と燃料流体供給管3とからなる二重管構造物の外周に、水冷ジャケット4が設けられた構成となっている。
【0015】
支燃性流体供給管2は、酸素を含む支燃性流体を、その内部に流通させることができるようになっている。以下、支燃性流体供給管2の内部を支燃性流体流路6という。
支燃性流体供給管2には、他の部分に比べ内径が小さい細径部2aが形成されている。以下、この細径部2aにおける支燃性流体流路6をスロート部7という。
【0016】
スロート部7の内径(細径部2aの内径)D 1 は、次のようにして設定するのが好ましい。
一般に、ラバールノズルのスロート部の断面積A L1 、および出口断面積A L2 は、以下に示す式(1)、(2)より求めた値で設計される。
【0017】
【数3】
【0018】
【数4】
【0019】
図1に示すバーナ・ランス1におけるスロート部7の断面積をA 1 とし、供給管2の先端における支燃性流体流路6の断面積(出口断面積)(直胴部9の流体流路断面積)をA 2 とすると、これら断面積A 1 、A 2 の比率(A 2 /A 1 )は、式(2)に示すラバールノズルの断面積比(A L2 /A L1 )以上となるように設定されるのが望ましい。
この断面積比A 2 /A 1 を、ラバールノズルの断面積比A L2 /A L1 以上に設定することによって、支燃性流体の流れを、若干、過膨張状態とし、供給管2内の圧力を低くし(例えば大気圧以下)、支燃性流体が燃料流体の流路に流入することによる逆火を未然に防ぐことができる。
【0020】
細径部2aの先端側には、テーパ部2bが形成されている。
テーパ部2bは、供給管2の内径が先端方向に向けて徐々に大きくなるように形成されている。
供給管2の中心軸方向に対するテーパ部2bの傾斜角度θ 1 は、3〜10°とするのが好ましい。この傾斜角度θ 1 をこの範囲とすることによって、支燃性流体の流れを高速化することができる。この傾斜角度θ 1 が上記範囲未満である場合、および上記範囲を越える場合には、支燃性流体の流速が低下する。
【0021】
テーパ部2bの先端付近の供給管2には、燃料流体を供給管2の外部から内部に導く燃料流体噴出孔8が形成されている。燃料流体噴出孔8は、供給管2内に向けて開口するように形成されている。
燃料流体噴出孔8(燃料流体噴出部)は、供給管2の周方向にわたって複数形成され、供給管2からの支燃性流体の流れをほぼ囲むように、燃料流体を噴出させることができるように構成するのが好ましい。図示例において、燃料流体噴出孔8は、周方向に等間隔に8つ形成されている。
燃料流体噴出孔8は、供給管2の外側から内側に向けて先端方向に傾斜して形成されており、燃料流体として液体燃料を使用する場合、供給管2の中心軸方向に対する噴出孔8の傾斜角度θ 2 (噴出孔8の中心軸の傾斜角度)は、5〜90°とするのが好ましい。
傾斜角度θ 2 が上記範囲未満であると、供給管2内において燃料流体と支燃性流体の混合が不十分になりやすくなる。傾斜角度θ 2 が上記範囲を越えると、燃料流体の流量が低下しやすくなる。
燃料流体として気体燃料を使用する場合、噴出孔8の傾斜角度θ 2 は、60°以下とするのが好ましい。傾斜角度θ 2 が上記範囲を越えると、燃料流体の噴出により支燃性流体の流れが乱され、混合流体の流速が低下する。
【0022】
テーパ部2bの先端側には、ほぼ一定の内径を有する直胴部9が形成されている。
この直胴部9の内面(燃料流体噴出孔8より先端側の支燃性流体供給管2の内面9a)には、周方向に沿って溝10が形成されている。
溝10は、燃料流体の燃焼炎を安定化するためのもので、直胴部9の全周にわたって形成されている。
溝10の深さL 1 は、次に示す式(3)を満たすように設定するのが好ましい。
【0023】
【数5】
【0024】
溝10の深さL 1 が上記範囲を下回ると、燃料流体の燃焼炎が不安定になりやすくなる。
溝10の幅L 2 は、L 1 と同等以上にすることが好ましい。
この幅L 2 が上記範囲未満である場合には、燃料流体の燃焼炎が不安定になりやすい。
【0025】
燃料流体供給管3は、LNG(液化天然ガス)等の燃料流体を、供給管2、3の隙間(以下、燃料流体流路11という)に流通させることができるようになっている。
燃料流体供給管3の先端と、支燃性流体供給管2の先端との間には、これら供給管2、3間を閉止する閉止壁部12が設けられており、これによって、燃料流体の全量を噴出孔8に導くことができるようになっている。
【0026】
水冷ジャケット4は、その内部に冷却水を流通させることができるようになっており、この冷却水の流通によって、供給管2、3の内部温度を調節することができるようになっている。
【0027】
次に、バーナ・ランス1の使用方法について説明する。
支燃性流体を支燃性流体供給管2に供給し、先端側から噴出させる。
支燃性流体としては、酸素含有流体(空気、酸素、酸素富化空気など)を用いることができる。
支燃性流体供給管2には、テーパ部2bが形成されているため、このテーパ部2bにおいて、支燃性流体流路6の断面積が先端方向に向けて徐々に大きくなっている。このため、テーパ部2bにおいて支燃性流体を適度に膨張させ、支燃性流体の流れを高速化することができる。
【0028】
この際、LNG(液化天然ガス)等の燃料流体を、燃料流体流路11(供給管2、3の隙間)に供給し、燃料流体噴出孔8を通して供給管2内に噴出させる。
なお、燃料流体としては、LNGのほか、LPG(液化石油ガス)、CO、H 2 、CO/H 2 混合ガスが使用できる。また、重油、灯油などの液体燃料を用いることもできる。
【0029】
燃料流体は、支燃性流体とともに直胴部9内を先端方向に流れ、燃焼しつつノズル5の先端から噴出する。
直胴部9内面には、溝10が形成されているため、燃焼しつつ流れる燃料流体の一部は、一旦溝10内に流入し、溝10から流出した後、直胴部9内面に沿って先端方向に流れる。
【0030】
本実施形態のバーナ・ランス1は、以下の効果を得ることができる。
(1)燃料流体噴出孔8より先端側の支燃性流体供給管2の内面9aに、溝10が形成されているので、燃料流体がこの溝10内に流入する。このため、支燃性流体の流速にかかわらず、溝10内で燃料流体を安定的に燃焼させることができる。
よって、支燃性流体を高速化した場合でも、燃焼炎を安定化することができる。
従って、燃焼炎の不安定化による加熱効率の低下を防ぎ、かつ支燃性流体の流れを高速化することができる。
(2)支燃性流体供給管2の外周側に燃料流体供給管3を設けた二重管構造を有するので、構造を簡略化し、全体を小型化することができる。
従って、メンテナンス性を向上させるとともに、取扱いを容易にすることができる。
(3)燃料流体噴出孔8が、供給管2内に向けて開口するように形成されているので、被加熱物が溶融金属などのように飛散しやすいものである場合でも、飛散物が噴出孔8内に侵入しにくい。
これは、供給管2からの支燃性流体の流れによって、供給管2内への飛散物侵入が妨げられるためである。
従って、上記飛散物による噴出孔8の閉塞を未然に防ぎ、メンテナンスを容易にすることができる。
(4)燃焼炎を安定化させることができるため、この燃焼炎によって、支燃性流体の流れ方向の乱れを抑え、支燃性流体の流速が噴射の過程で減衰するのを防ぐことができる。
従って、支燃性流体の流速を高く維持し、加熱効率をさらに高めることができる。
(5)燃料流体噴出孔8の先端側に、ほぼ一定内径の直胴部9が設けられているため、燃料流体を、直胴部9の内面に沿って、先端方向に向けて流すことができる。
このため、燃料流体の流れが径方向に拡がるのを防ぎ、燃焼炎を先端方向に向け、加熱効率をさらに高めることができる。
【0031】
図2は、本発明のバーナ・ランスの他の実施形態を示すものである。
ここに示すバーナ・ランス21において、燃料流体噴出孔8(液体燃料噴出孔)は、供給管2の周方向にわたって複数形成され、供給管2からの支燃性流体の流れをほぼ囲むように、燃料流体を噴出させることができるように構成するのが好ましい。図示例において、燃料流体噴出孔8は、周方向に等間隔に8つ形成されている。
【0032】
バーナ・ランス21では、燃料流体噴出孔8の直径D 3 の総和L 4 と、支燃性流体供給管2の出口の内周縁長さπD 2 との比L 4 /πD 2 が、次式で表される範囲内であることが好ましい。
L 4 /πD 2 ≧0.1
この比L 4 /πD 2 がこの範囲未満であると、燃料流体として液状物(液体燃料)を用いた場合に、支燃性流体をほぼ囲むように液体燃料を噴出させるのが難しくなり、支燃性流体の速度減衰が大きくなる。また微粒化された液体燃料の粒径が大きくなり、液体燃料の燃焼効率が低下する。
供給管2の出口径D 2 はテーパ部2bの最大内径に相当する。また出口径D 2 は直胴部9の内径に相当する。
【0033】
バーナ・ランス21は、液体燃料を用いた場合に、その噴出流速を1.0m/s以上とすることが好ましい。
噴出速度がこの範囲未満であると、微粒化された液体燃料の粒径が大きくなり、液体燃料の燃焼効率が低下する。
【0034】
噴出孔8の傾斜角度θ 2 は、5〜90°とすることができる。傾斜角度θ 2 が上記範囲を越えると、燃料流体の噴出により支燃性流体の流れが乱され、混合流体の流速が低下する。
【0035】
バーナ・ランス21では、支燃性流体をほぼ囲むように液体燃料を供給し、支燃性流体によって液体燃料を微粒化することができるため、液体燃料の加圧や霧化媒体が不要であり、ノズル構造を簡略化することができる。
従って、取り扱い性およびメンテナンス性の点で優れている。
【0036】
上記実施形態では、支燃性流体供給管2内に支燃性流体のみを供給する方法を例示したが、本発明では、支燃性流体に、コークス、廃棄物燃料等の粉体を混入させることもできる。
この場合には、溶融金属などの被加熱物を加熱する際に、粉体を燃焼させつつ被加熱物に吹き込み、加熱効率を高めることができる。
また、本発明における流体とは、気体状態、液体状態、および気体中にミスト状の液体が含まれる状態の流体を含む。
【0037】
次に、本発明の冷鉄源の溶解・精錬炉の操業方法について説明する。
固体原料(冷鉄源)を溶解させるには、電気炉を用いて、固体原料を炉内へ装入し、アーク加熱により溶解させる。
炉内には供給熱の不足によりコールドスポットが生じることがあるため、本発明の操業方法では、バーナ・ランスを、コールドスポットを加熱できるように設置することができる。
電気炉溶解では、主に固体原料を溶解させる工程(溶解工程)と、それが溶落ちし液体状態となった液状物(溶鋼など)を昇温、精錬する工程とがある。
【0038】
本発明の操業方法では、バーナ・ランスを用いて固体原料を溶解し、精錬するに際して、固体原料が溶解する工程と、固体原料が溶落ちした後の精錬工程において、それぞれの工程に適した条件となるように、独立的に燃料流体供給量を設定する。
本発明のバーナ・ランスは、支燃性流体と燃料流体の混合流体を、火炎とともに高速で噴出させることができるため、優れた溶断能力を有する。
溶解工程においては、固体原料を溶断しつつ加熱することができるため、加熱効率を高めることができる。このため、燃料への着熱効率を高め、より多くの燃料を燃焼させ、電力原単位を低減することができる。
【0039】
一方、溶落ち以降の精錬工程では、炉内は、底部に溶鋼やスラグなどがあり、その上方は空間部となるため、多量の燃料を供給したとしても、その着熱効率は低くなる。
このため、流体流速が減衰するのを抑止する効果が得られる範囲で最小限の燃料を供給することによって、炉壁から浴に向けて効率よく支燃性流体(酸素)を吹き込み、脱炭反応やスラグフォーミングを促進させる。
【0040】
溶解工程では、1≦酸素比<3を満たすようにするのが好ましい。これによって、固体原料の溶断、溶解を促すとともに、炉内で発生する一酸化炭素などの可燃成分を燃焼させることができる。
なお酸素比とは、燃料流体の完全燃焼に必要な酸素量に対して供給する酸素量の比をいう。
溶落ち以降の精錬工程では、燃料流体供給量を大幅に低く、好ましくは酸素比が3以上となるようにし、支燃性流体(酸素)を高速で吹き込むことによって、脱炭反応およびスラグフォーミングを促進しつつ、固体原料を溶解させることができる。
【0041】
このように、固体原料が溶解する溶解工程と、固体原料が溶落ちした後の精錬工程において、独立的に燃料流体供給量を設定する方法によれば、燃料流量のみを調整するという単純な方法によって、各工程の効率化を図ることができる。
【0042】
次に、本発明の精錬方法について説明する。
本発明の精錬方法は、バーナ・ランスを用いて、酸素を含む支燃性流体と燃料流体との混合流体を、燃料流体を燃焼させつつ、溶鉄(溶銑や溶鋼)に向けて噴出させることによって溶鉄を精錬する方法である。
一般に、高炉から出銑された溶銑は、溶銑鍋などの搬送用器に受銑され、脱珪、脱燐、脱硫などの予備処理が施された後に、転炉に装入され、必要に応じて予備処理された後、脱炭される。脱炭された溶鋼は、溶鋼鍋などの搬送容器により搬送され、二次精錬工程に供される。
本発明の精錬方法は、溶鉄(溶銑や溶鋼)を受容する容器、例えば転炉、溶融還元炉、脱炭炉、二次精錬炉などの精錬炉において実施することができる。本発明の精錬方法は、高炉鍋、混銑車(トピードカー)、装入用の鍋などの輸送用容器において実施することもできる。
上記容器は、支燃性流体の排ガスを処理する処理装置を有するものであることが好ましい。
【0043】
以下、本発明の精錬方法を転炉内の溶鉄に対して適用した例を説明する。
一般に、転炉に装入された溶銑は、ランスからの酸素供給(送酸)によって脱炭され、溶鋼として次工程に供される。この際、スラグや溶鋼の成分調整を目的として、精錬剤(CaO、ドロマイトなど)、鉱石類(鉄鉱石、マンガン鉱石など)、合金類などが添加される。
また、鉄スクラップの溶解、昇温などを行う際には、十分な熱量が必要となる。またマンガン鉱石などの鉱石類を還元処理する際には、十分な還元熱が必要である。このため、溶鉄中の炭素などの量が十分でない場合には、酸素の供給が十分であっても熱補償が必要となり、コークス、土壌黒鉛、石炭などの炭材が添加される。
酸素供給には、通常、深冷法などで製造された純度99%以上の酸素ガスが用いられる。酸素供給流量の上限は、脱炭で生成する、一酸化炭素を主成分とする排ガスを排気する設備の能力に応じて定めることができる。酸素供給流量は、通常、処理される溶鉄1トンあたり100〜300Nm3/hとされる。
【0044】
転炉内の溶鉄に対し酸素供給を行う際には、例えば、昇降台車に設置された水冷式の酸素供給用ランスが用いられる。
このランスとしては、例えば図1に示すバーナ・ランス1を用いることができる。
バーナ・ランス1を、排ガスフードのランス孔から炉内に導入し、バーナ・ランス1を用いて、支燃性流体と燃料流体との混合流体を、燃料流体を燃焼させつつ溶鉄に向けて噴出させる吹錬を行う。
この際、溶鉄に対し上方から混合流体を噴出させる上吹きを採用してもよいし、側方から噴出させる横吹きを採用してもよい。
【0045】
脱炭反応などの際にはスラグの生成や浴温度の上昇が起こるため、スラグや温度の調整を目的として、ランス高さや酸素供給量が適宜調整される。転炉における吹錬の際には、酸素だけでなく種々の副原料が添加されることがある。副原料は、通常、上方から自然落下させることによって添加される。
【0046】
吹錬の際には、次の反応が起きる。
(1)1/2O 2 +Fe=FeO
(2)C+FeO=CO(ガス)+Fe
(3)C+O=CO
(4)1/2O2+CO=CO 2
このほか、石灰を添加する場合には、石灰の溶解反応も起きる。
【0047】
この際、バーナ・ランス1による酸素供給速度が高速であるほど、副原料、溶鉄、酸素の攪拌が効率よく行われ、上記反応(2)が遅滞なく起こる優先脱炭の条件となり、低炭素濃度になっても効率よく脱炭でき、鉄の歩留まりを高くすることができる。
特に、酸素吹錬中の転炉内環境は、酸素の反応挙動の違いから、高炭素域([C]>0.6mass%)と低炭素域([C]≦0.6mass%)とに大別することができる。
高炭素域では、供給される酸素はほぼ全量が脱炭に費やされ、高い酸素供給速度で吹錬が行われる。この際、反応は酸素の供給律速となる。
一方、低炭素域では、反応は炭素の移動律速となり、酸素の一部が鉄の酸化にも費やされるため、鉄の酸化を抑制して脱炭酸素効率を高めるため、通常、酸素供給速度は低く抑えられる。
【0048】
吹錬末期においては、浴中への酸素溶解が増大しスラグの酸化度は高くなり、酸素供給量の抑制による動圧の低下などで、スラグの酸化度は増大する傾向がある。
転炉の吹錬末期に、上記バーナ・ランス1を適用することで、酸素流量を低下させても酸素を浴に高速で添加することができるため、反応効率が改善され、スラグの酸化度が低減し、鉄の歩留まり向上、溶鋼の酸化度の低位安定化、さらにはマンガンの酸化が抑制され、マンガンの歩留まりの向上がもたらされる。
支燃性流体が高速となると、浴中への進入深さが大きくなるが、支燃性流体が炉底に達すると、炉が劣化することがあるため、支燃性流体の速度は、これらが炉底に達しない程度に調整するのが好ましい。
【0049】
本発明の精錬方法は、脱珪、脱燐、脱硫、脱炭、昇温、熱付加、スクラップ溶解、合金溶解、還元処理のうち1種以上に適用することができる。
熱付加は、鉄源や合金源添加時の熱補償のために行われる。還元処理は、鉄鉱石、マンガン鉱石などを用いる場合に行われる。
精錬の際に用いる精錬剤は、精錬の目的に応じて選択使用すればよい。例えば、脱珪や脱燐では、酸素との反応で生成する珪酸や燐酸をスラグとして安定化する必要があるため、安定化効果のある石灰源などを精錬剤として用いるのが好ましい。
石灰源は、CaOとCaCO 3 のうち少なくとも一方を主成分とするものを用いると、迅速に溶融、スラグ化させることができるため好ましい。
本発明の精錬方法では、石灰源などの精錬剤を支燃性流体とともに供給することもできるし、支燃性流体とは別に溶鉄に直接添加してもよい。
精錬剤を粉体として使用する場合には、供給の際に飛散などにより失われる精錬剤量と、精錬剤の粉体化処理(粉砕処理)に要するコストとを経済性の点で考慮する必要がある。
精錬剤の添加量は、精錬処理量、要求される精錬度、許容される精錬時間などの条件によって設定することができる。
【0050】
脱珪においては、供給された酸素や、生成した酸化鉄との反応によって、溶銑中の珪素が珪酸になる脱珪反応が重要である。
この反応が遅滞すると、酸化鉄の蓄積が起こったり、溶銑中の炭素との反応によって酸素が消費されるようになり、脱珪効率が低下し、珪素濃度を低くすることが難しくなる。
バーナ・ランス1を使用することによって、支燃性流体を高速で供給することができるため、優先脱珪反応を、珪素濃度が低くなるまで継続させることができる。
【0051】
脱燐においては、反応原理上、燐酸を固定する溶融石灰と、酸素ポテンシャルを高位に保つ酸化鉄が共存するスラグを、溶鉄と強攪拌することが必要である。バーナ・ランス1を使用することによって、支燃性流体を高速で供給することができるため、生成する高温の酸化鉄を石灰と混合でき、石灰の溶解を促進でき、さらに生成するスラグの攪拌も可能となる。また浴面への噴流の衝突圧を高めることができ、生成したスラグの浴中への叩き込みによる分散や溶鉄流動増加でスラグの巻き込みも増大でき、スラグの反応界面積の飛躍的な増大が可能となる。
【0052】
また、鉱石を還元処理する際には、鉄鉱石、マンガン鉱石、その他の鉱石に対し、媒溶剤(石灰など)、コークス、石炭などが還元剤や熱付加用の燃料源として添加されることがある。
バーナ・ランス1を使用することによって、鉱石の還元時やスクラップ溶解時の降温の補償や、単なる浴の昇温のために、燃料源を効率的に燃焼し、発生した熱を効果的に着熱させることが可能である。
【0053】
本発明の精錬方法においては、コークス、石炭などの固体炭素源:プラスチックなどの炭化水素源:CaO、CaCO 3 等を含む石灰源:MgO、MgCO 3 等を含むマグネシウム源:Al、Al 2 O 3 等を含むアルミニウム源:鉄鉱石:マンガン鉱石:合金のうち1種以上を溶鉄に添加することができる。
固体炭素源、炭化水素源、アルミニウム源は、燃料源として作用する。
本発明の精錬方法では、これらの燃料源や、燃料として作用する溶銑中の炭素や珪素を効率よく燃焼させることができ、スラグを含む浴を効率的に攪拌し、浴への発生熱の着熱を促進することができる。
【0054】
本発明の精錬方法では、支燃性流体を高速化するため、バーナ・ランスの燃料(燃料流体)の燃焼を適切に調整したり、燃料と支燃性流体との比率を適正化することが重要である。
燃料と支燃性流体との比率に関しては、燃料が一部しか燃焼しないように設定することもできるし、燃料がすべて燃焼するようにすることもできる。
この比率については、支燃性流体を溶鉄に効率よく作用させ、かつ高速化を達成するため、酸素比>5とするのが好ましい。
支燃性流体としては、純酸素ガス、工業用酸素ガス、空気、これらの混合ガスなどの気体酸素含有ガスを用いることが可能である。
このほか、気体状態に限らず、液体状態、および気体中にミスト状の液体が含まれる状態の気液混合体であってもよい。
また、燃料に関しては、LPG、LNGなどの炭化水素系ガスのほか、製鉄所内で回収される高炉ガス、転炉ガスなども使用できる。
また、本発明では、精錬の際に発生する排ガスから、熱交換器などを用いて顕熱または潜熱を回収することができる。
【0055】
本発明の精錬方法では、支燃性流体を高速化することができるため、従来より浴の深部まで支燃性流体を吹き込むことができ、精錬効率を高めることができる。
【0056】
【実施例】
(実施例1)
図1に示す構成のノズル5を有するバーナ・ランス1を作製した。装置仕様を表1に示す。
スロート部7の断面積A1と、支燃性流体流路6の出口断面積A 2 との比率(A 2 /A 1 )は、式(2)に示すラバールノズルの断面積比(A L2 /A L1 )の1.05倍に設定した。
【0057】
(比較例1)
ラバールノズルを有するバーナ・ランスを作製した。
装置仕様を表1に併せて示す。このバーナ・ランスは、直胴部、溝が形成されていない点で実施例1のものと異なる。
【0058】
【表1】
【0059】
実施例1および比較例1のバーナ・ランスを用いて、燃焼試験を行った。
支燃性流体としては酸素を使用し、燃料としてはLPGを使用した。試験結果を図3に示す。図3において、横軸はノズル先端から供給管中心軸方向の距離を示し、縦軸は支燃性流体の流速を示す。
図3より、実施例1のバーナ・ランスでは、噴出する支燃性流体の流速が高くなり、流体流速の減衰が起こりにくかったことがわかる。
【0060】
(実施例2)
図1に示す構成のノズルを有するバーナ・ランスを作製した。装置仕様を表2に示す。燃焼試験結果を表3に示す。
【0061】
(実施例3)
L 4 /πD 2 と、燃料流体噴出孔8の数が異なること以外は実施例2と同様にしてバーナ・ランスを作製した。装置仕様を表2に示す。燃焼試験結果を表3および図4に示す。
【0062】
(比較例2)
直胴部、溝が形成されていないバーナ・ランスを作製した。装置仕様を表2に示す。燃焼試験結果を図4に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
表3より、実施例2は未燃分が多かったが、実施例3では、未燃の液滴が飛散することなく、高燃焼効率が達成でき、また火炎長も長くなったことがわかる。
したがって、L 4 /πD 2 は、0.1以上にすることが望ましい。
実施例3と比較例2で噴流速度の減衰を調べた。
図4より、実施例3では、比較例2に比べ、噴流速度の減衰を大幅に抑制することができたことがわかる。
【0066】
(実施例4)
350kgスケールの誘導溶解炉にて、温度1500℃、炭素濃度[C]が2.5重量%となるように溶鉄200kgを溶製した。
図1に示す構成のバーナ・ランス1を、溶鉄の浴面から高さ350mmの位置に配置し、支燃性流体および燃料を溶鉄に向けて5分間噴出させた。支燃性流体としては酸素を使用し、燃料としてはLPGを使用した。
同時に、粒径10mm以下の粒状コークスを炉内に連続的に添加した。添加速度は15kg/hrとした。また、攪拌のため、炉底のポーラスノズルよりArガスを炉内に供給した。供給速度は3Nm3/hrとした。装置仕様および試験結果を表4に示す。
【0067】
(比較例3)
直胴部、溝が形成されていないこと以外は実施例4のものと同様のバーナ・ランスを用いて、実施例4と同様の精錬試験を行った。装置仕様および試験結果を表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】
表4より、実施例4の精錬方法では、加炭効率を高めることができたことがわかる。
【0070】
(実施例5)
珪素濃度が0.20〜0.21重量%の溶銑26.5トンを鍋に装入した。
実施例1で用いたものと同様のバーナ・ランス1を用いて、上部から純酸素ガスを6分間供給し脱珪処理した。純酸素ガスの供給速度は450Nm3/hrとした。
装入前の溶銑の[C]は4.5〜4.6重量%、温度は1385℃であった。攪拌のため、鍋底のポーラスプラグより窒素ガスを炉内に供給した。供給速度は10Nm3/hrとした。燃料としてはLPGを使用し、その供給速度は12.8Nm3/hrとした。試験結果を表5に示す。
【0071】
(比較例4)
比較例1で用いたものと同様のバーナ・ランスを用いて、実施例5と同様の試験を行った。試験結果を表5に示す。
【0072】
【表5】
【0073】
表5より、実施例5の精錬方法によれば、脱珪効率を高めることができたことがわかる。これは、純酸素ガスが高速で溶鉄に対し吹き付けられるため、溶銑中の珪素と効率よく反応した結果であると考えられる。
また、実施例5の精錬方法によれば、脱炭よりも優先的に脱珪を行うことができ、珪素濃度を低くすることができる。このため、溶銑中の炭素の燃焼による溶銑温度の過度の上昇が起こりにくい。
【0074】
(実施例6〜9)
[C]が4.7〜4.8重量%、[Si]が0.01重量%以下であり、[Mn]が0.2重量%である溶銑4トンを転炉に装入した。
実施例1で用いたものと同様のバーナ・ランス1を用いて、上部から純酸素ガスを供給し吹錬を行った。
純酸素ガスの供給速度は、試験開始時に650Nm3/hrとし、[C]が0.5重量%以下となった時点で450Nm3/hrとした。燃料としてはLPGを使用し、その供給速度は12.8Nm3/hrとした。
また、攪拌のため、炉底のポーラスプラグよりArガスを炉内に供給した。供給速度は36Nm3/hrとした。
吹錬中に、マンガン鉱石を表6に示す条件で添加した。マンガン鉱石の添加は、試験開始から6分間のあいだに行った。マンガン鉱石は上方から炉内に連続投入した。
マンガン鉱石としては、マンガン50重量%、珪酸5重量%を含有する粒状物(粒径20〜60mm)を用いた。
マンガン鉱石中の珪酸量などを考慮して、スラグ塩基度が約3となる量の生石灰を試験開始時に添加した。吹錬中に冷材として鉄鉱石を添加し、処理後の温度が1650℃となるようにした。
終点(試験終了時)の精錬生成物の成分と、マンガン還元効率を表6に示す。マンガン還元効率とは、溶銑とマンガン鉱石による全装入マンガン量に対し、脱炭後の溶鉄中のマンガン量の割合である。試験結果を表6に示す。
【0075】
(比較例5〜8)
比較例1で用いたものと同様のバーナ・ランスを用いて、実施例6〜9と同様の試験を行った。試験結果を表6に示す。
【0076】
【表6】
【0077】
表6より、実施例6〜9の精錬方法では、マンガン還元効率を高め、マンガン濃度を高めることができたことがわかる。
さらに、吹錬末期に酸素供給量を低くした低炭素域においても、酸素ガスが高速で溶鉄に吹き込まれ、反応効率が高く維持される。
よって、脱炭反応が優先的に行われることから、スラグ中の酸化鉄(T.Fe)との反応が抑えられ、マンガン酸化反応が抑制され、マンガン還元効率を高めることができることがわかる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のバーナ・ランスは、以下の効果を得ることができる。
(1)燃料流体噴出部より先端側の支燃性流体供給管の内面に、溝が形成されているので、支燃性流体の流速にかかわらず、燃料流体を溝内で安定的に燃焼させることができる。
従って、燃焼炎の不安定化による加熱効率の低下を防ぎ、かつ支燃性流体の流れを高速化することができる。
(2)支燃性流体供給管の外周側に燃料流体供給管を設けた二重管構造を有するので、構造を簡略化し、全体を小型化することができる。
従って、メンテナンス性を向上させるとともに、取扱いを容易にすることができる。
(3)燃料流体噴出部が、支燃性流体供給管内に向けて開口するように形成されているので、被加熱物が溶融金属などのように飛散しやすいものである場合でも、飛散物による噴出部の閉塞を未然に防ぎ、メンテナンスを容易にすることができる。
(4)燃焼炎を安定化させることができるため、この燃焼炎によって、支燃性流体の流れ方向の乱れを抑え、支燃性流体の流速が噴射の過程で減衰するのを防ぐことができる。
従って、支燃性流体の流速を高く維持し、加熱効率をさらに高めることができる。
(5)燃料流体噴出部の先端側に、ほぼ一定内径の直胴部が設けられているため、燃料流体の流れが径方向に拡がるのを防ぎ、燃焼炎を先端方向に向け、加熱効率をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバーナ・ランスの一実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明のバーナ・ランスの他の実施形態を示す断面図である。
【図3】試験結果を示すグラフである。
【図4】試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1、21・・・バーナ・ランス、2・・・支燃性流体供給管、3・・・燃料流体供給管、6・・・支燃性流体流路、7・・・スロート部、8・・・燃料流体噴出孔(燃料流体噴出部)、9・・・直胴部、9a・・・燃料流体噴出孔より先端側の支燃性流体供給管、10・・・溝
Claims (15)
- 酸素を含む支燃性流体を供給する支燃性流体供給管の外周側に、燃料流体を供給する燃料流体供給管が設けられた二重管構造を有し、これら供給管の隙間が燃料流体流路とされ、
前記支燃性流体供給管に、前記燃料流体をこの供給管の内部に導く燃料流体噴出部が形成され、
前記支燃性流体供給管が、先端に向けて内径が大きくなるテーパ部と、このテーパ部より先端側に設けられ、ほぼ一定の内径を有する直胴部とを有し、
該直胴部は、燃料流体噴出部より先端側に形成され、その内面には、周方向にわたって溝が形成されていることを特徴とするバーナ・ランス。 - 請求項1または2に記載のバーナ・ランスにおいて、燃料流体噴出部の直径の総和L4と、支燃性流体供給管の出口の内周縁長さπD2との比L4/πD2が、次式で表される範囲内であることを特徴とするバーナ・ランス。
L4/πD2≧0.1 - 請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のバーナ・ランスにおいて、前記溝が断面矩形状に形成されていることを特徴とするバーナ・ランス。
- 請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のバーナ・ランスを用いて、酸素を含む支燃性流体と燃料流体との混合流体を燃焼させつつ冷鉄源に向けて噴出させることによって、冷鉄源を溶解し、精錬する炉の操業方法であって、
冷鉄源が溶解する溶解工程と、冷鉄源が溶落ちした後の精錬工程とにおいて、それぞれ独立に燃料流体供給量を設定することを特徴とする冷鉄源の溶解・精錬炉の操業方法。 - 溶解工程においては、混合流体を、1≦酸素比<3とし、溶落ちした後の精錬工程においては、混合流体を、酸素比≧3とすることを特徴とする請求項5記載の冷鉄源の溶解・精錬炉の操業方法。
- 脱珪、脱燐、脱硫、脱炭、昇温、熱付加、スクラップ溶解、合金溶解、還元処理のうち1種以上を対象とすることを特徴とする請求項5または6に記載の冷鉄源の溶解・精錬炉の操業方法。
- 支燃性流体として、純酸素ガス、工業用酸素ガス、空気のうち1種または2種以上を用いることを特徴とする請求項5〜7のうちいずれか1項記載の冷鉄源の溶解・精錬炉の操業方法。
- 請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のバーナ・ランスを用いて、酸素を含む支燃性流体と燃料流体との混合流体を燃焼させつつ溶鉄に向けて噴出させることによって、この溶鉄を精錬することを特徴とする精錬方法。
- 混合流体は、酸素比>5であることを特徴とする請求項9記載の精錬方法。
- 脱珪、脱燐、脱硫、脱炭、昇温、熱付加、スクラップ溶解、合金溶解、還元処理のうち1種以上を対象とすることを特徴とする請求項9または10に記載の精錬方法。
- 精錬にあたって、固体炭素源、炭化水素源、石灰源、マグネシウム源、アルミニウム源、鉄鉱石、マンガン鉱石、合金のうち1種以上を溶鉄に添加することを特徴とする請求項9〜11のうちいずれか1項記載の精錬方法。
- 炭素濃度が0.6mass%以下である低炭素域において、溶鉄の精錬を行うことを特徴とする請求項9〜12のうちいずれか1項記載の精錬方法。
- 支燃性流体として、純酸素ガス、工業用酸素ガス、空気のうち1種または2種以上を用いることを特徴とする請求項9〜13のうちいずれか1項記載の精錬方法。
- 精錬の際に発生する排ガスから顕熱または潜熱を回収することを特徴とする請求項9〜14のうちいずれか1項記載の精錬方法。
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