JP3596331B2 - 電波到来方向推定装置及び指向性可変受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアレーアンテナを用いて電波到来方向を推定する電波到来方向推定装置、及び方向推定結果を基にアンテナ指向性を可変する指向性可変受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の素子アンテナからなるアレーアンテナを用いて、電波の到来方向を高精度で推定を行う一つの方法として、文献R.O.Schmitdt、“Multiple emitter Location and Signal Parameter Estimation”、IEEE Trans.,AP−34、3,pp.276−280(1986)に開示されているMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法がある。これは同一周波数帯の複数波を同時に高精度に方向推定することができるアルゴリズムである。以下、図7、図8を用いて、従来のMUSIC法を用いた電波到来方向推定装置について説明する。
【0003】
図7は、従来の電波到来方向推定装置の構成を示すブロック図である。M個(ただし、M>1)の素子アンテナ71―1〜Mで受信した受信信号72―1〜Mは、各素子アンテナ71―1〜Mに接続された周波数変換部73―1〜Mにおいて、周波数変換された後、位相検波され、直交するI、Q信号からなる複素ベースバンド信号74―1〜Mに変換される。各複素ベースバンド信号74―1〜Mは、アナログ/ディジタル変換器75―1〜M(以下、A/D変換器と呼ぶ。)により、アナログ信号から複素ディジタル信号76―1〜Mに変換される。
【0004】
データ転送部77は、複素ディジタル信号76―1〜Mからそれぞれ得られるサンプル時刻kΔT(ΔTはサンプリング間隔)における複素ディジタル信号x1(k)、x2(k)、...、xM(k)を、所定サンプル間、一時的に蓄積した後、所定のタイミングで一括的に方向推定処理部78にデータ転送を行う。
【0005】
方向推定処理部78は、データ転送部77の出力データからMUSIC法に基づく演算を行い方向推定を行う。
【0006】
図8は、従来の方向推定処理部78の構成を示すブロック図である。分散行列演算手段79は、データ転送部77の出力から得られる複素ディジタル信号76―1〜Mを用いて、(数1)で示される受信ベクトルX(k)を作り、サンプル時刻k=1〜Nまでの受信ベクトルX(k)を用いて、(数2)の共分散行列Rを求める。ただし、Tは転置、Hは複素共役転置を示す。
【0007】
【数1】
【0008】
【数2】
【0009】
固有値演算手段80は、共分散行列Rの固有値を降順に算出した固有値λ1 〜λM を求める。固有ベクトル演算手段81は、固有値λ1 〜λM に対応する固有ベクトルe1 〜eM を算出する。到来波数がS個の場合、方向評価関数演算手段82は、(数3)の関係にある雑音固有ベクトル空間に属する(M−S)個の固有ベクトル行列EN =[es+1 、...、eM ]を用い、固有ベクトルe1 〜eM が張る信号固有ベクトル空間Es =[e1 、...、eM ]とEN は直交する性質を利用する。すなわち、方位θに対するアレイアンテナの複素応答を表すa(θ)(ステアリングベクトルと呼ばれる。)におけるθを0〜360度まで可変した時のEN との直交性を評価する方向評価関数F(θ)を(数4)のように定義する。
【0010】
【数3】
【0011】
【数4】
【0012】
これにより、θが到来角に等しくなる場合、理想的には方向評価関数F(θ)は無限大の値をとることになる。従って、θを可変した時のF(θ)の計算結果のピーク方向を到来波の到来方向推定値とする。
【0013】
なお、一般に到来波数Sは未知であるため、到来波数を判定するために、固有値の分布や文献M.Wax and T.Kailath,“Detection of Signals by Information Theoretic Criteria”,IEEE Trans.On Acoustics,Speech and Signal Processing,Vol.ASSP33(2),pp.387−392,February(1985)に記載されている信号個数判定基準を設けて、判定を行う。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
以上のMUSIC法のようなアレイ受信信号の共分散行列の固有値展開を行うアルゴリズムを用いて、信号処理により高精度に到来方向推定する電波到来方向推定装置においては、共分散行列で求まる素子アンテナ間の受信信号の相互相関値を求めるが、統計的に観測時間が長くなる程、その精度が高まり、その結果として到来方向推定精度が向上する。そのため、到来方向推定精度をある程度確保するためには、各素子アンテナで得られる受信信号をA/D変換器によりディジタル信号に変換した受信データ信号を多量に扱う必要が生じ、到来方向推定に使用する受信データ数が多くなり、データ転送部におけるデータを一時蓄積するメモリ量が増大するという課題を有する。
【0015】
また、移動体に搭載された送信機の到来方向を推定する場合は、想定される移動体の移動速度に応じて、データ転送部の転送速度及び信号処理装置の演算能力が要求される。
【0016】
さらに、MUSIC法では到来波間の相関が高い場合、共分散行列のフルランク性が保証されず、推定精度が劣化する。その対処方法として、アレーアンテナをサブアレイ化し、空間スムージング法を適用することで、相関波に対する精度劣化は改善されるが、この場合、素子アンテナ数が少ない場合はアレーの自由度が減少するため、実質的な効果が得られないという課題がある。
【0017】
本発明は、電波到来方向推定装置の装置構成の簡易化を目的とするものであり、信号処理装置へのデータ入力となるデータ転送部の転送速度と一時的な蓄積用のメモリ容量を低減すると同時に、計算量の低減による信号処理装置の演算能力の軽減を可能とする装置を提供することを目的とする。
【0018】
また、複数到来波のすべての到来方向ではなく、複数到来波のうち最大レベルの到来波のみを推定する用途に限定適用することで、素子アンテナ数が少なく、到来波間の相関が高い場合でも、複数到来波のうち最大レベルの到来波方向を精度良く検出する電波到来方向推定装置を提供することを目的とし、さらに、この電波到来方向推定装置の推定結果を利用して、アンテナ指向性制御を行うことで受信品質改善を行う指向性可変受信装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために本発明は、複素ベースバンド信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、複素ディジタル信号の高周波成分を減衰させた複素低域信号を出力する低域通過フィルタと、複素低域信号をAD変換器のサンプリング間隔の整数倍でダウンサンプリングし複素ダウンサンプル信号を出力するダウンサンプル部と、各素子アンテナから得られた複素ダウンサンプル信号を一時的に蓄積しデータ転送を行うデータ転送部と、データ転送部の出力データを基に電波到来方向推定を行う方向推定処理部とを有する構成としたものである。
【0020】
これにより、到来方向推定精度の劣化を最低限に抑えた上で、到来方向推定処理に必要とするデータ量を減らすことができ、システム全体の低コスト化をはかることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、複数の素子アンテナを用いたアレーアンテナと、前記各素子アンテナから得られる高周波信号を周波数変換及び位相検波して複素ベースバンド信号を出力する周波数変換部と、前記複素ベースバンド信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の高周波成分を減衰させた複素低域信号を出力する低域通過フィルタと、前記複素低域信号を前記AD変換器のサンプリング間隔の整数倍でダウンサンプリングし複素ダウンサンプル信号を出力するダウンサンプル部と、前記各素子アンテナから得られた前記複素ダウンサンプル信号を一時的に蓄積しデータ転送を行うデータ転送部と、前記データ転送部の出力データを基に電波到来方向推定を行う方向推定処理部とを有することを特徴とする電波到来方向推定装置であり、到来方向推定精度の劣化を最低限に抑えた上で、到来方向推定処理に必要とするデータ量を減らすことができ、システム全体の低コスト化をはかることができるという作用を有する。
【0022】
請求項2に記載の発明は、低域通過フィルタの通過帯域が、電波到来方向推定を行う到来電波の3dB帯域の10〜50%であることを特徴とする請求項1記載の電波到来方向推定装置であり、方向推定処理の特性を最適化するという作用を有する。
【0023】
請求項3に記載の発明は、各素子アンテナから得られた複素ダウンサンプル信号を用いて共分散行列を求める共分散行列演算手段と、前記共分散行列から固有値を求める固有値演算手段と、前記固有値に対応する固有ベクトルを求める固有ベクトル演算手段と、前記固有ベクトルを用いて到来波方向を推定する方向評価関数演算手段とを有することを特徴とする請求項1または2記載の電波到来方向推定装置であり、到来方向推定精度の劣化を最低限に抑えた上で、到来方向推定処理に必要とするデータ量を減らすことができ、システム全体の低コスト化をはかることができるという作用を有する。
【0024】
請求項4に記載の発明は、方向評価関数演算手段は、固有ベクトルの中で最大固有値を除く固有値に対する固有ベクトルに対する直交性を評価する方向評価関数を演算することで最大レベルの到来波方向を推定する最大レベル方向評価関数演算手段であることを特徴とする請求項3記載の電波到来方向推定装置であり、素子アンテナ数が少なく、到来波間の相関が高い場合でも、複数到来波のうち最大レベルの到来波方向を精度良く検出するという作用を有する。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の電波到来方向推定装置と、異なる主ビーム方向をもつ複数のセクタアンテナと、最大レベル方向評価関数演算手段の演算結果から前記複数のセクタアンテナから1つのセクタアンテナを選択するセクタ制御信号を出力するセクタ制御部と、前記セクタ制御信号に基づきセクタアンテナを択一的に接続するセクタスイッチと、前記セクタスイッチの出力信号に対し復調動作を行う受信部とを有することを特徴とする指向性可変受信装置であり、電波到来方向推定装置の推定結果を利用して、アンテナ指向性制御を行うことで受信品質改善を行う作用を有する。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図6を用いて説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、電波到来方向推定装置の構成を示すブロック図である。M個(ただし、M>1)の素子アンテナ1―1〜Mで受信した受信信号2―1〜Mは、各素子アンテナ1ー1〜Mに接続された周波数変換部3―1〜Mにおいて周波数変換された後、位相検波され、直交するI、Q信号からなる複素ベースバンド信号4―1〜Mに変換される。各複素ベースバンド信号は、アナログ/ディジタル変換器5―1〜M(以下、A/D変換器と呼ぶ。)により、アナログ信号から複素ディジタル信号6―1〜Mに変換される。ここで、A/D変換器5―1〜Mのサンプリング周波数fsは、電波到来方向推定を行う送信変調波の帯域WB(Hz)に対し、fs≧2WBとなるサンプリング定理を満たす条件で行う。
【0028】
低域通過フィルタ7―1〜Mは、複素ディジタル信号6―1〜Mの高周波成分を低減し、時間的に平滑化した複素低域信号8―1〜Mを出力する。ダウンサンプル部9―1〜Mは、サンプリング間隔ΔT(=1/fs)でサンプルされ低域化された複素低域信号8―1〜MをNdサンプル毎にダウンサンプリングを行い、複素ダウンサンプル信号10―1〜Mを出力する。
【0029】
データ転送部11は、複素ダウンサンプル信号10―1〜Mから得られるx1(k)、x2(k)、...、xM(k)を方向推定処理部12に転送する。ただし、kはダウンサンプル時刻k×Nd×ΔTを表す。
【0030】
方向推定処理部12は、データ転送部11の出力データからMUSIC法に基づく演算を行い方向推定を行う。方向推定処理部12は図8と同様の構成であり、従来例での説明と同様の処理を行う。
【0031】
以上のような構成では、ダウンサンプル部において複素ディジタル信号をNdサンプル毎にダウンサンプリングを行う点が従来例と異なる。すなわち、複素ディジタル信号6―1〜Mのサンプル数N個に対し複素ダウンサンプル信号9―1〜MはN/Ndとなるため、従来例では(数2)で示されていた方向推定処理部78における共分散行列演算手段79での共分散行列の演算が、(数5)のように示される。
【0032】
【数5】
【0033】
この結果、ダウンサンプリングによりデータ数が減るため演算量は低減されるが、逆に、各素子アンテナ1−1〜Mによる受信信号2−1〜Mの相互相関値に精度劣化が生じる。しかしながら、A/D変換器5の出力を低域通過フィルタ7により平滑化をしているため、その精度劣化を最小限に押さえる効果をもつ。
【0034】
図2は、計算機シミュレーションにより方向推定処理部11における処理結果を、従来のMUSIC法と比較した特性図である。図2は4素子円形アレーアンテナに到来角0°と100°の2波が到来した場合の推定結果を示しており、複素ディジタル信号6−1〜Mをダウンサンプル部9により1/100にデータ量を削減している。ダウンサンプルにより方向評価関数のピークのダイナミックレンジは減少しているが、ピーク方向は誤差1°以内で一致しており、精度的には大きな劣化がないことが確認できる。
【0035】
図3は、複素ディジタル信号6−1〜Mをダウンサンプル部9により1/100にデータ量を削減した場合の伝送3dB帯域Wで正規化した低域通過フィルタ7のカットオフ周波数f(=fc/W)の関係を示す。3dB帯域Wの10〜50%範囲内で低域通過フィルタ7のカットオフ周波数fを最適化することで、ダイナミックレンジの改善効果が得られる。
【0036】
以上のように本実施の形態では、アレーアンテナ1により受信された複素ディジタル信号6を低域フィルタ7通過後にダウンサンプルすることで、方向推定精度劣化を最小限に抑えた上で、推定処理で扱うデータ量を削減でき、必要とする一時的データ格納メモリ量とデータ転送速度の低減ができ、データ転送部11の低コスト化が実現できる。また、同じくデータ量の削減により方向推定処理部12における共分散行列演算手段79での計算量の低減がはかられ、必要とされる計算処理能力を低減することができ、方向推定処理部78の低コスト化がはかれる。
【0037】
なお、以上の説明では、方向推定処理部78においてMUSIC法により方向推定した例を示したが、他の共分散行列の固有値展開に基づく方向推定アルゴリズムに対しても同様に実施可能である。
【0038】
(実施の形態2)
図4は方向推定処理部40の別な構成を示すブロック図である。データ転送部出力は、(実施の形態1)の図1を用いて説明したものと同様であり、以下、図4における方向推定処理部40の動作を説明する。
【0039】
共分散行列演算手段41は、ダウンサンプル部9でダウンサンプルされたNs個の複素ダウンサンプル信号10を蓄積した受信ベクトルX(1)からX(Ns)を用いて、共分散行列Rを求める。ただし、k=1〜N、Tは転置、Hは複素共役転置を示す。
【0040】
【数6】
【0041】
【数7】
【0042】
固有値演算手段42は、共分散行列Rの固有値を降順に算出した固有値λ1 〜λM を求める。固有ベクトル演算手段43は、固有値λ1 〜λM に対応する固有ベクトルe1 〜eM を算出する。最大レベル方向評価関数演算手段44は、最大固有値を除く(M−1)個の固有ベクトルで張られるベクトル空間行列Es=[e2 、...、eM ]を用いて、(数4)の方向評価関数F(θ)を用いて最大レベルの到来波の到来方向を推定する。これは最大固有値の固有ベクトル最大固有値に対応する固有ベクトル以外のすべての固有ベクトルは雑音固有空間を張るものと見なすことに対応する。θを0〜360度まで可変した時の方向評価関数F(θ)を求め、その結果からピークサーチすることで到来波の到来方向を推定する。
【0043】
図5は、MUSIC法と本実施の形態による実施例の4素子円形アレーでの到来方向推定シミュレーション結果をそれぞれ示す。図5のシミュレーション条件は以下の通りである。帯域6MHzのQPSK変調に対し、低域通過フィルタ7のカットオフを100kHzとし、S/N=10dBで相互相関値が0.7である2波が到来した場合。第1波は到来角0°、信号レベル0dB、第2波は信号レベルが−3dBで10°毎に−180°から180°に到来角を変化。A/D変換器5のサンプル周波数fsはシンボル周波数fsymbolの4倍で、ダウンサンプリングはfs/100としている。
【0044】
図5より明らかなように、最大レベル波の推定誤差が20°を越える確率は、MUSIC法に比べ、本実施例の方法が小さくなっており、推定精度の改善効果が得られている。
【0045】
以上のように本実施の形態では、(実施の形態1)で説明した効果に加え、方向推定処理部40における最大レベル方向評価関数演算手段44をもうけることで複数の到来方向の中で最大レベル到来波方向を精度良く推定することができ、複数到来波のすべての到来方向ではなく、複数到来波のうち最大レベルの到来波のみを推定する用途に限定適用することで、素子アンテナ1が少なく、到来波間の相関が高い場合でも、複数到来波のうち最大レベルの到来波方向を精度良く検出する効果が得られる。
【0046】
(実施の形態3)
(実施の形態2)において、最大レベル方向を推定する到来方向推定装置について説明したが、その推定結果を基に主ビーム方向の異なる複数のセクタアンテナの選択を行ない、指向性を可変にする指向性可変受信装置として適用可能であり、受信品質の改善に多大な効果を有する。
【0047】
図6は指向性可変受信装置の構成ブロック図を示し、(実施の形態2)で示した方向推定処理部40の機能を有する到来方向推定装置と、主ビーム方向の異なるm本(m≧2)のセクタアンテナ60―1〜m、セクタスイッチ61、セクタ制御部62、受信部63とを有する。
【0048】
以下に、図6における動作を説明する。複数の素子アンテナ1―1〜Mからなるアレーアンテナから得られた受信信号2―1〜Mを使用して電波到来方向推定する動作は、(実施の形態1)における図1及び(実施の形態2)における図4を用いて行った説明と同様である。そして、到来方向推定処理部40において最終的に得られた最大レベル方向推定結果がセクタ制御部62に入力される。
【0049】
セクタ制御部62は、推定結果から、最大レベル方向に主ビーム方向を持つ第ms 番目のセクタアンテナを複数セクタアンテナ60―1〜mから選択し、受信部63に接続するようにセクタスイッチ61を制御する。
【0050】
セクタスイッチ61は、セクタ制御信号64に基づき、第ms 番目のセクタアンテナを受信部63に接続する。受信部63は、接続された第ms 番目のセクタアンテナによる受信信号2に対し復調動作を行う。
【0051】
以上のような動作により、複数のセクタアンテナ60―1〜mから最大レベル方向に主ビーム方向をもつ最適なセクタアンテナを選択することができ、高い信号対雑音レベル比の受信信号が得られる。また、選択されたセクタアンテナの主ビーム方向以外の多重波が抑圧され、符号間干渉を低減できるという効果が得られる。
【0052】
なお、本実施の形態では、到来方向推定処理部40における最大レベル方向推定結果に合致するようにセクタアンテナの選択を行うが、複数の素子アンテナの位相制御を行うことで、主ビーム方向を到来方向推定処理部40における最大レベル方向推定結果に合致するよう制御する構成でも同様な効果が得られる。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、アレーアンテナにより受信された複素ディジタル信号を低域フィルタ通過後にダウンサンプルすることで、方向推定精度劣化を最小限に抑えた上で、推定処理で扱うデータ量を削減でき、必要とする一時的データ格納メモリ量とデータ転送速度の低減ができる。
【0054】
また、データ量の削減により方向推定処理部における共分散行列演算手段での計算量の低減がはかられ、必要とされる計算処理能力を軽減することができ、その結果、方向推定処理部の低コスト化がはかれるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における電波到来方向推定装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態における方向推定処理部の動作シミュレーション結果とMUSIC法による結果との比較特性図
【図3】本発明の実施の形態における低域通過フィルタカットオフ周波数と到来方向推定レベルとの関係を示す特性図
【図4】本発明の実施の形態における方向推定処理部の構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態における方向推定処理部の動作シミュレーション結果とMUSIC法による結果をそれぞれ示す特性図
【図6】本発明の実施の形態における指向性可変受信装置の構成を示すブロック図
【図7】従来の電波到来方向推定装置の構成を示すブロック図
【図8】従来の方向推定処理部の構成を示すブロック図
【符号の説明】
1 素子アンテナ
2 受信信号
3 周波数変換部
4 複素ベースバンド信号
5 A/D変換器
6 複素ディジタル信号
7 低域通過フィルタ
8 複素低域信号
9 ダウンサンプル部
10 複素ダウンサンプル信号
11 データ転送部
12 方向推定処理部
40 方向推定処理部
41 共分散行列演算手段
42 固有値演算手段
43 固有ベクトル演算手段
44 最大レベル方向評価関数演算手段
60 セクタアンテナ
61 セクタスイッチ
62 セクタ制御部
63 受信部
64 セクタ制御信号
71 素子アンテナ
72 受信信号
73 周波数変換部
74 複素ベースバンド信号
75 A/D変換器
76 複素ディジタル信号
77 データ転送部
78 方向推定処理部
79 共分散行列演算手段
80 固有値演算手段
81 固有ベクトル演算手段
82 方向評価関数演算手段
Claims (5)
- 複数の素子アンテナを用いたアレーアンテナと、前記各素子アンテナから得られる高周波信号を周波数変換及び位相検波して複素ベースバンド信号を出力する周波数変換部と、前記複素ベースバンド信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の高周波成分を減衰させた複素低域信号を出力する低域通過フィルタと、前記複素低域信号を前記AD変換器のサンプリング間隔の整数倍でダウンサンプリングし複素ダウンサンプル信号を出力するダウンサンプル部と、前記各素子アンテナから得られた前記複素ダウンサンプル信号を一時的に蓄積しデータ転送を行うデータ転送部と、前記データ転送部の出力データを基に電波到来方向推定を行う方向推定処理部とを有することを特徴とする電波到来方向推定装置。
- 低域通過フィルタの通過帯域が、電波到来方向推定を行う到来電波の3dB帯域の10〜50%であることを特徴とする請求項1記載の電波到来方向推定装置。
- 各素子アンテナから得られた複素ダウンサンプル信号を用いて共分散行列を求める共分散行列演算手段と、前記共分散行列から固有値を求める固有値演算手段と、前記固有値に対応する固有ベクトルを求める固有ベクトル演算手段と、前記固有ベクトルを用いて到来波方向を推定する方向評価関数演算手段とを有することを特徴とする請求項1または2記載の電波到来方向推定装置。
- 方向評価関数演算手段は、固有ベクトルの中で最大固有値を除く固有値に対する固有ベクトルに対する直交性を評価する方向評価関数を演算することで最大レベルの到来波方向を推定する最大レベル方向評価関数演算手段であることを特徴とする請求項3記載の電波到来方向推定装置。
- 請求項4記載の電波到来方向推定装置と、異なる主ビーム方向をもつ複数のセクタアンテナと、最大レベル方向評価関数演算手段の演算結果から前記複数のセクタアンテナから1つのセクタアンテナを選択するセクタ制御信号を出力するセクタ制御部と、前記セクタ制御信号に基づきセクタアンテナを択一的に接続するセクタスイッチと、前記セクタスイッチの出力信号に対し復調動作を行う受信部とを有することを特徴とする指向性可変受信装置。
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