JP3597724B2 - 吸着処理用部材の製造方法 - Google Patents

吸着処理用部材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルデヒド類やケトン類のようなカルボニル基含有化合物等の臭気成分や無臭の有害気体成分等の被吸着成分を、簡便にしかも効率よく吸着除去することのできる単層または複層の吸着処理用部材を製造する方法に関するものであり、この技術は、特に自動車や住宅・家屋等の室内における吸着処理に有効に活用することができる。
【0002】
【従来の技術】
ガス中の臭気成分を除去する方法として、汚水処理設備や都市ごみ焼却設備のような大規模設備の場合、臭気成分との反応性を有する薬剤を溶解した洗浄水等を用いた散水洗浄装置等が使用されている。しかし、トイレや室内、あるいは車輛室内のように限られた空間内において吸着処理を行う場合には、大規模な散水洗浄設備等を付設することができないので、通常は活性炭等の物理的吸着剤を利用した吸着処理法が広く活用されている。
【0003】
一方、自動車等の車輛室内には、燃料やオイル等の分解ガス、タバコに由来する燃焼生成物、内装用ボード類や車内装備の接合等に用いられる接着剤や断熱用発泡樹脂等から揮散する有機化合物等の悪臭または無臭有毒な気体成分が存在していることが確認されている。また住宅・家屋においても、タバコに由来する燃焼生成物はもとより、断熱材や合板材、接着剤等から揮散してくる有害物質によるシックハウスが問題になっているように、有害気体成分が存在している。
【0004】
これらの悪臭または無臭有毒な気体成分(以下単に気体成分ということがある)中には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド等のカルボニル基含有化合物が含まれている。しかし、通常、空気清浄機等に用いられている物理的吸着剤である活性炭単独では、これらの化合物の吸着除去能が不充分であった。
【0005】
また、活性炭等の物理的吸着剤は、吸着サイト内に被吸着成分を捕捉することにより吸着除去能を発揮するが、被処理ガス中の湿分(水分)も吸着してしまうため、吸着剤の吸着サイトが水分で飽和されると、それ以上、吸着性能が発揮されない。
【0006】
そこで、水分が存在する屋内や自動車室内等でも、気体成分を吸着除去できる吸着剤について種々の検討が行われている。本願出願人は、上記カルボニル化合物と、水分存在下で反応し得るフェノール系化合物を見出し、この化合物を担持させるための吸水性物質を含む組成物について既に出願した(特願平10−271386号)。
【0007】
上記吸着処理用組成物は、吸着処理に必要な表面積を確保するためには粉末状や粒状物であることが好ましいが、粉末状や粒状物では吸着処理装置や空気清浄用フィルタに適用しにくいため、通常、不織布等の気体通過性素材に挟持して使用される。このとき、気体通過性を考慮して、坪量(単位面積当たりの重量:g/m2)の小さい(目の粗い)気体通過性素材を用いると、吸着処理用組成物が微細な場合には気体通過孔から脱離してしまい、商品価値がなくなったり、充分な吸着性能を発揮できなくなる恐れがあるという問題があった。
【0008】
吸着処理用組成物を大粒径の2次粒子とすることも試みられているが、大粒径にすると吸着処理に必要な表面積が少なくなって吸着効率が低下する上に、粒状化のためのバインダー樹脂が吸着処理用組成物の表面を覆うことによって吸着性能が阻害されることがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このため、吸着処理に必要な表面積を確保しながら、吸着剤粒状物の脱離が起こらず、かつフィルタ等に使用することのできるシート形状に成形する手法の確率が望まれている。
【0010】
そこで本発明では、吸着性能を阻害せずに、簡単にシート状にすることのできる吸着処理用部材の製造方法を確立すると共に、良好な吸着性能と接着性を両立し得る吸着処理用部材を提供することを課題として掲げた。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、散布用基体上に、平均粒径400〜600μmのゼオライト系の第1の吸着剤を散布すると共に、第1シート状部材に接着剤を塗布し、この接着剤が塗布された第1シート状部材を、散布された第1の吸着剤上に載置して接着剤と第1の吸着剤を接着させることによって、第1シート状部材とゼオライト系第1吸着剤が固着された吸着処理用部材を製造する方法であって、第1シート状部材に塗布された接着剤重量が、第1シート状部材上に固着されたゼオライト重量の10〜60重量%となるように、接着剤量とゼオライト量を調整するものである。
【0012】
この構成の採用によって、ゼオライト系吸着剤を強固にシート状部材に接着することができた。また、吸着剤表面を覆って吸着性能を阻害するような余分な接着剤が存在しないため、良好な吸着性能を発揮する。
【0013】
上記第1シート状部材が繊維製の不織布であることが好ましく、この場合、不織布を形成する繊維の平均径をX(μm)、不織布の坪量をY(g/m2)とするときに、接着剤重量Wは下記式を満足するように調製することが推奨され、吸着性能と接着性を両立させることができる。
W=W0×(Y/30)×(18/X)
ただし、W0は、10〜60g/m2
【0014】
上記吸着処理用部材は、そのままケーシングに入れて使用することもできるが、第2のシートを用いて複層タイプの吸着処理用部材とすることもできる。複層タイプの吸着処理用部材としては、上記単層タイプの吸着処理用部材に、第2の吸着剤と第2シート状部材とが積層されることにより、第1および第2シート状部材によってゼオライト系の第1の吸着剤と第2の吸着剤とを挟持した構成を有すると共に、第1および第2シート状部材のうち少なくとも一方が通気性を有しているものである。2種類の吸着剤の併用と、挟持構成の採用によって、簡単な構成で、多種の被吸着成分を吸着することができる吸着処理用部材となった。
【0015】
ゼオライト系の第1の吸着剤が、ゼオライト表面に、水分の存在下で被吸着成分と反応する吸着性化合物が担持されて形成されているものである構成、さらに、被吸着成分がカルボニル基含有化合物であり、吸着性化合物が、一価フェノール、多価フェノール、およびこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である構成、ゼオライトがH型ゼオライトである構成は、いずれも第1の吸着剤の好ましい実施態様である。
【0016】
第2の吸着剤が物理的吸着剤である構成、特に、活性炭、シリカゲル、アルミナ、ベントナイト、ケイソウ土およびボーキサイトよりなる群から選択される1種以上である構成は、第2の吸着剤の好ましい実施態様である。
【0017】
複層タイプの吸着処理用部材においては、第1および第2シート状部材のいずれかが通気性を有していれば吸着処理は可能であるが、両方とも通気性素材であれば、吸着処理効率の向上が図れるため好ましい。さらに、安価であり、用途に応じて種々の強度や坪量のものを幅広く選択できる点で、第1および第2シート状部材として不織布を使用することが推奨される。また、吸着処理用部材の強度を高めるために、シート状部材同士が間欠的に接合している構成の採用が好ましい。
【0018】
複層タイプの吸着処理用部材を製造する場合は、上記製造方法において、散布用基体として、第2の吸着剤が予め固着されている第2シート状部材を用いる方法の採用が簡便である。また、予め第2の吸着剤が固着され、ゼオライト系の第1の吸着剤が散布された第2シート状部材の上に、接着剤が塗布された第1シート状部材を載置した後、加熱および加圧することにより、第1および第2シート状部材を間欠的に接合する方法を採用すれば、第1および第2シート状部材が剥がれにくく、高強度で加工性に優れた吸着処理用部材を提供できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法により製造される吸着処理用部材は、単独で、またはケーシング等に装填して、吸着処理装置や空気清浄用フィルタとして利用できるように、シート状を呈している。吸着処理効率を考慮すると、吸着剤は表面積が大きい微細な粒状物であることが好ましい。しかし、粒状物をシート状にするために接着剤を用いると、吸着剤の表面が接着剤に覆われて吸着性能が損なわれてしまう。
【0020】
そこで本発明者らは、第1吸着剤をゼオライト系に限定して、吸着効率と平均粒子径の関係、適切な接着剤量でシート状部材に固着し得る粒径条件等を検討した結果、平均粒径400〜600μmのゼオライト系吸着剤を、そのゼオライト重量の10〜60重量%の接着剤でシート状部材に固着することによって、良好な吸着効率と接着性能が得られることを見出し、本発明に想到した。以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
本発明の製造方法により製造される吸着処理用部材は、第1シート状部材とゼオライト系第1吸着剤からなる単層タイプと、第1および第2シート状部材に第1および第2吸着剤が挟持された構成の複層タイプに分かれている。
【0022】
単層・複層いずれのタイプでも、ゼオライト系の第1の吸着剤は、第1シート状部材に、ゼオライト重量の10〜60重量%の接着剤で固着される。第1シート状部材に塗布された接着剤重量が、第1シート状部材に固着されたゼオライト重量の10〜60重量%でなければならない。この範囲に入っているか否かは、吸着処理用部材の任意の面積(厚みを考慮しないで)を切り取ったときに、切り取られた部分に存在しているゼオライトの重量と接着剤量を測定することによって判定することができる。
【0023】
接着剤量がゼオライト重量の10重量%より少ないと、第1吸着剤の第1シート状部材に対する接着力が弱く、所望する量の第1吸着剤を第1シート状部材に固着させることができず、結果として吸着能力が劣った吸着処理用部材しか得られない。60重量%を超える接着剤を用いると、余分な接着剤が第1吸着剤表面に付着して、吸着サイトであるゼオライトの開孔を塞いでしまうため、やはり吸着能力が低下する。なおゼオライト系第1吸着剤の量は、用途や処理対象物質の濃度等に応じて、適宜増減可能であるが、第1シート状部材の単位面積当たり30〜300g/m2程度とすることが好ましい。
【0024】
図1には、単層の吸着処理用部材の代表例の断面説明図を示した。吸着処理用部材1は、第1シート状部材31の上に、ゼオライト系第1吸着剤21が接着剤41によって固着されて構成されている。第1吸着剤21が吸着処理用部材1の厚み方向(図1の上下方向)に複数段重なると、処理対象気体が流れにくくなると共に、吸着剤の表面を覆わずに接着剤で接着することが不可能となるので、本発明の吸着処理用部材では、第1の吸着剤は第1シート状部材表面に1段のみ固着する構成の採用が推奨される。ただし、第1吸着剤が部分的に2段以上重なっていることは製造上許容される。さらに、複層吸着処理用部材の場合は、第1シート状部材と第2シート状部材およびこれらの間の空間の存在により、吸着剤が2段以上となっても不都合はない。
【0025】
単層の吸着処理用部材1では、第1吸着剤21が部材1の表面に出ているので、ケーシング等に装填して使用することで、第1吸着剤21と被処理気体が直接接触し得るため、第1シート状部材31が通気性である必要はない。従って,プラスチックシート、種々の板材等も使用可能であるが、吸着処理効率を考慮すれば第1シート状部材41側からも被処理気体が通過して第1吸着剤21と接触することができる方が好ましい。従って第1シート状部材41としては、紙、不織布あるいは種々の素材の網状体等の通気性素材の使用が推奨される。
【0026】
特に、安価であり、軽量であると共に、用途に応じて種々の強度や坪量のものを幅広く選択できる点で不織布素材の選択が好ましい。不織布としては、坪量(目付)10〜200g/m2のものを用いるとよく、特に除塵用フィルターグレード等が好ましい。不織布の素材としては、天然繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維、これらの素材を芯鞘あるいはサイドバイサイド等に複合した複合繊維等のポリマー繊維や、非ポリマー繊維(金属、炭素等)からなるものを用いることができる。
【0027】
図1においては、接着剤41が間欠的に第1シート状部材31に塗工されている例を示したが、上記量限定を満足する限り、第1シート状部材全面塗工でも、筋塗りでも、ドット状塗工でも構わない。塗工法は特に限定されず、ロールコーティング、スプレーコーティング、ノズルコーティング、バーコーティング法が採用可能である。
【0028】
接着剤としては、ポリ酢酸ビニルや酢酸ビニル−エチレン共重合体(EVA)等の酢酸ビニル樹脂;(コ)ポリ(メタ)アクリル酸エステル等のアクリル樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;SBSやSIBS等のスチレン樹脂;天然ゴム、合成ゴム等のゴム;ポリビニルアルコール;その他公知の接着剤が使用できる。なお、本発明の接着剤には、熱硬化反応等によって完全硬化する接着剤はもとより、感圧性接着剤、いわゆる粘着剤も含まれるものとする。接着剤は、エマルジョン型、溶剤(水または有機溶剤)型、無溶剤型、ホットメルト型のいずれでもよい。
【0029】
第1シート状部材として不織布を選択した場合は、不織布の中に接着剤が浸透してしまい、吸着剤の接着に寄与しない場合があるが、接着剤の量がゼオライト量の10〜60重量%であれば、良好な接着性を示す。またゼオライトは、第1シート状部材の単位面積当たり30〜300g/m2塗布されることが好ましいので、これを基準に不織布に塗布すべき接着剤量の目安を示せば、下記式のようになる。
W=W0×(Y/30)×(18/X)
ただし、W0は、10〜60g/m2
【0030】
ここで、Xは、不織布を形成する繊維の平均径(μm)であり、繊維の断面が円形ではない場合は、繊維の外接円の半径とする。またYは、不織布の坪量(g/m2)である。W0は、Xが18μm、Yが30g/m2の不織布を用いて、アルデヒドの除去性能を調べたときの最適接着剤量である。10g/m2より少ないと接着力が不足し、60g/m2を超えるとアルデヒド除去性能が劣るものとなる。この基準条件から上記式が導かれ、この式を利用すれば、不織布の種類が変わっても、良好な接着特性と吸着性能とを両立し得る接着剤量が簡単にわかる。
【0031】
ゼオライト系の第1の吸着剤としては、平均粒径400〜600μmのものを用いる。400μmより小さいと、本発明の好ましい製造方法で製造したときに第1シート状部材に接着しにくいため不適である。粒径が小さいと接着面積が小さくなるためであると考えられる。しかし600μmを超えるものは、表面積が小さくなるため、吸着処理効率が劣るため、好ましくない。この粒径範囲にするために、必要に応じて公知の造粒手段を用いてもよい。
【0032】
第1吸着剤としては、ゼオライト単独で用いるよりも、ゼオライトを吸水性のある担持用物質として利用して、このゼオライトに、水分の存在下で被吸着成分と化学的に反応して、この被吸着成分を吸着することのできる吸着性化合物を担持した構成のものが好ましく使用される。ゼオライトは、担持用物質ととして働くと共に、その吸水性によって空気中の水分を吸収することができるので、反応媒体となる水分を外部から補わなくても、水分存在下で行われる吸着性化合物と被吸着成分との化学反応の場として働くため、吸着性能の向上と吸着処理用部材のコンパクト化の両方を達成することができる。ゼオライトは、イオンタイプによってNa型とH型(プロトン型)に分類できるが、被吸着成分との反応性が高いという観点からは、H型ゼオライトが好ましい。被吸着成分としては、悪臭または無臭有毒な気体成分中に含まれているホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド等のカルボニル基含有化合物を対象とすることが、本発明の目的に合致する。
【0033】
吸着性化合物としては、水分の存在下で吸着処理能を発揮する化合物を用いる。特に、上記被吸着成分が有するカルボニル基に対して付加反応性を示す活性水素を有する化合物を用いると、化学反応によってこれらの化合物を吸着除去することができる。カルボニル基含有化合物に対して、付加反応性を示す吸着性化合物としては、一価フェノール、多価フェノール、およびその誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種が代表的に挙げられる。
【0034】
具体的には、ヒドロキシ安息香酸、オイゲノール、3,5−,2,5−,3,4−キシレノール等の1価フェノール;レゾルシン、ビスフェノールA、カテコール等の2価フェノール;ピロガロール、プルプリン、ナリンギン等の3価フェノール;ルチン等の4価フェノール等のフェノール類が挙げられる。
【0035】
これらの吸着性化合物のうち多価フェノールに属するレゾルシンは、カルボニル基含有化合物に対して非常に優れた反応性を示すことから、吸着性化合物として極めて好ましく用いられる。また、レゾルシンと共に、修酸等の弱酸性物質や炭酸ナトリウム等の弱塩基性物質を併用すると、アルデヒド等に対する捕捉効果が一段と高められ、一層優れた吸着処理効果を発揮する。これは、上記弱酸性物質や弱塩基性物質がレゾルシンとホルムアルデヒドとの反応の触媒として作用するためと考えられ、こうした効果は、レゾルシン以外の一価フェノールや多価フェノールを吸着性化合物として使用する際にも同様に有効に発揮される。
【0036】
本発明の製造方法により製造される吸着処理用部材では、上記吸着性化合物をゼオライトに担持させて第1の吸着剤として用いることにより、被吸着成分の代表であるカルボニル基含有化合物に対して、高レベルの吸着処理効率が得られる。また、一旦吸着処理した後は、反応物がゼオライト中に取り込まれるため、被吸着成分が単独で再放出されることはない。さらにこの吸着反応は、水の共存下で進行するため、空気中の湿分(水分)によって吸着性能が阻害されることもない。しかも、従来技術で採用されていたアミン系またはアンモニア系の吸着性化合物のように、薬剤自体に臭気問題があったり、腐食性の高い酸イオンを生成したり、また昇華性がある等の問題も有していない。
【0037】
ゼオライトに吸着性化合物を担持させる方法は、吸着性化合物が液状である場合は両者を混合して、必要であれば前記所定範囲になるように造粒し、吸着性化合物が固体である場合は、水やメタノール等の適当な溶媒に溶解してから、両者を混合し、加熱処理して溶媒を除去すればよい。水は、反応媒体となるので粒状体中に残存していても良い。なお、水が残存していなくても、ゼオライトが空気中の湿分を吸収するため、あえて補給する必要はないが、吸着処理の初期から高レベルの吸着処理活性を発揮させるには、当初から適量の水分をゼオライトに吸収させておくことが望ましい。
【0038】
吸着性化合物の量としては、吸着処理活性や飽和担持量、求められる吸着性能などを考慮して適当に選定すればよいが、ゼオライト重量に対し、0.1〜50重量%とすることが好ましい。0.1重量%より少ないと吸着性能が充分発揮されず、50重量%を超えて加えても、それ以上の吸着性能の向上が見られないからである。より好ましい吸着性化合物量は、ゼオライトに対して5〜20重量%である。
【0039】
図2には、本発明の製造方法により製造される複層吸着処理用部材2の代表例の断面説明図を示した。複層の場合は、これまで説明した単層の吸着処理用部材1の第1吸着剤21が固着されている面側に、第2の吸着剤22と第2シート状部材32とが積層された構成となっている。すなわち、第1シート状部材31と第2シート状部材32によって、第1吸着剤21と第2吸着剤とを挟持した構成の吸着処理用部材2となっている。ここで、5は、間欠接合部であって、第1シート状部材31と第2シート状部材が、間欠的に溶着あるいは接着等して接合している部分であって、複層吸着処理用部材2の強度を増す機能を有する。
【0040】
第1吸着剤は、化学反応を利用するものであるので、第2の吸着剤として物理的吸着剤を用いることが好ましく、例えば、活性炭、シリカゲル、アルミナ、ベントナイト、ケイソウ土およびボーキサイトよりなる群から選択される1種以上の化合物を使用することができる。悪臭成分を吸収する性能の点では、活性炭が好ましい。
【0041】
第1・第2シート状部材31および32のうちいずれかが通気性であれば、吸着処理が可能であるが、いずれのシート状部材も不織布である構成が最も好ましい。第1シート状部材31、第2シート状部材32のいずれもが熱可塑性繊維を用いた不織布であれば、間欠接合部5は、ヒートシール等の溶着手段を用いて接合することにより簡便に形成できる。
【0042】
第2シート状部材32に第2の吸着剤22を固着させる手段は特に限定されない。例えば、第1シート状部材31に第1の吸着剤21を接着剤41で固着させたのと同様に、接着剤を用いてもよい。また、第2シート状部材32を例えばポリエチレン性不織布等の熱可塑性素材で形成すれば、第2シート状部材32を加熱溶着させながら第2の吸着剤22を接触させて、両者を固着させることができる。
【0043】
以下に上記吸着処理用部材を簡単に効率よく製造することのできる本発明の製造方法について説明する。
【0044】
まず、単層吸着処理用部材の製造方法は次の通りである。
【0045】
散布用基体上に、平均粒径400〜600μmのゼオライト系の第1の吸着剤を散布すると共に、第1シート状部材に接着剤を塗布し、この接着剤が塗布された第1シート状部材を、散布された第1の吸着剤上に載置して接着剤と第1の吸着剤を接着させる。もちろん、第1シート状部材に塗布された接着剤重量が、第1シート状部材上に固着されたゼオライト重量の10〜60重量%となるように、接着剤量とゼオライト量を調整する必要がある。
【0046】
散布用基体としては、その上に第1の吸着剤を散布できればよく、特に限定されない。連続製造する場合は、走行可能なコンベアベルトを用いることもできる。また、第1シート状部材の接着剤が落下する不都合を考慮すれば、離型処理されたプラスチック板等が好ましい。吸着剤を散布するには、ホッパー等から散布用基体の上に落下するような手法等、公知の散布方法を採用する。
【0047】
接着剤は前記した方法で第1シート状部材に塗布し、この接着剤面を下側に向けた状態で、散布されている第1吸着剤の上に載せる。第1吸着剤と接着剤が接触することによって両者が固着することとなる。従って、吸着剤の散布パターン(模様)と接着剤塗布パターンを合致させておけば、第1の吸着剤が存在している部分と非存在部分とに簡単に分けることができる。
【0048】
複層の吸着処理用部材を製造する場合は、上記単層タイプを製造し、単層タイプの場合と同様にして、第2の吸着剤が固着した第2のシート状部材を製造して、両者を重ね合わせて、接着・溶着する方法が採用できる。
【0049】
また、単層タイプを製造する場合に、散布用基体として、第2の吸着剤が予め固着されている第2シート状部材を用いる方法は、さらに簡便である。すなわち、予め第2の吸着剤が固着され、ゼオライト系の第1の吸着剤が散布された第2シート状部材の上に、接着剤が塗布された第1シート状部材を載置すれば、第1シート状部材と第1の吸着剤が固着するので、複層吸着処理用部材が製造される。載置後に、例えば120℃で10秒程度加熱および加圧すれば、第1シート状部材に塗布された接着剤によって、第1シート状部材と第2シート状部材が接合する。この接合は全面であると吸着性能が低下するので、図2のように間欠的であることが好ましい。この構成の採用によって、第1および第2シート状部材が剥がれにくく、高強度で加工性に優れた複層吸着処理用部材となる。
【0050】
本発明の吸着処理用部材は、適当なケーシングに装填したり、そのままで、あるいは賦形して、吸着処理装置や空気清浄用フィルタとして利用することができる。また、被処理ガスを積極的に通過させることを前提とした通過型吸着処理に用いる以外にも、例えば建材や壁紙または置物等の表面に付着担持させて吸着処理させる方法(接触型吸着処理)に用いてもよい。
【0051】
【発明の効果】
本発明は、吸着効率と平均粒子径の関係、適切な接着剤量でシート状部材に固着し得る吸着剤の粒径条件等を検討した結果、平均粒径400〜600μmのゼオライト系の吸着剤を、ゼオライト重量の10〜60重量%の接着剤でシート状部材に固着することによって、良好な吸着性能と接着性を兼ね備えたシート状吸着処理用部材を提供することに成功した。また、接着剤量とゼオライトの粒径および重量との関係を見出したことによって、簡単に吸着処理用部材を製造する方法も提供することができた。さらに複層吸着処理用部材は、簡単な構造で、多種の非吸着成分を処理できる。
【0052】
本発明によれば、取り扱いやすいシート状の吸着処理用部材を提供できたので、そのまま、あるいはケーシング等に装填した状態で、特に自動車や住宅・家屋などの室内の吸着処理等に有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単層タイプの吸着処理用部材を示す断面説明図である。
【図2】本発明の複層タイプの吸着処理用部材を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 吸着処理用部材(単層)
2 吸着処理用部材(複層)
21 ゼオライト系第1吸着剤
22 第2の吸着剤
31 第1シート状部材
32 第2シート状部材
41 接着剤
5 間欠接合部

Claims (10)

  1. 散布用基体上に、平均粒径400〜600μmのゼオライト系の第1の吸着剤を散布すると共に、第1シート状部材に接着剤を塗布し、この接着剤が塗布された第1シート状部材を、散布された第1の吸着剤上に載置して接着剤と第1の吸着剤を接着させることによって、第1シート状部材とゼオライト系第1吸着剤が固着された吸着処理用部材を製造する方法であって、第1シート状部材に塗布された接着剤重量が、第1シート状部材上に固着されたゼオライト重量の10〜60重量%となるように、接着剤量とゼオライト量を調整することを特徴とする吸着処理用部材の製造方法。
  2. 散布用基体として、第2の吸着剤が予め固着されている第2シート状部材を用い、第2の吸着剤と第2シート状部材とが積層されることにより、第1および第2シート状部材によってゼオライト系の第1の吸着剤と第2の吸着剤とを挟持した構成を有すると共に、第1および第2シート状部材のうち少なくとも一方が通気性を有したものである請求項1に記載の吸着処理用部材の製造方法。
  3. 予め第2の吸着剤が固着され、ゼオライト系の第1の吸着剤が散布された第2シート状部材の上に、接着剤が塗布された第1シート状部材を載置した後、加熱および加圧することにより、第1および第2シート状部材を間欠的に接合するものである請求項に記載の吸着処理用部材の製造方法
  4. 上記第1シート状部材が繊維製の不織布であって、この不織布を形成する繊維の平均径をX(μm)、不織布の坪量をY(g/m2)とするときに、接着剤重量Wが下記式を満足しているものである請求項に記載の吸着処理用部材の製造方法
    W=W0×(Y/30)×(18/X)
    ただし、W0は、10〜60g/m2
  5. ゼオライト系の第1の吸着剤が、ゼオライト表面に、水分の存在下で被吸着成分と反応する吸着性化合物が担持されて形成されているものである請求項1〜のいずれかに記載の吸着処理用部材の製造方法
  6. 被吸着成分がカルボニル基含有化合物であり、吸着性化合物が、一価フェノール、多価フェノール、およびこれらの誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項に記載の吸着処理用部材の製造方法
  7. ゼオライトが、H型ゼオライトである請求項1〜のいずれかに記載の吸着処理用部材の製造方法
  8. 第2の吸着剤が物理的吸着剤である請求項に記載の吸着処理用部材の製造方法
  9. 物理的吸着剤が、活性炭、シリカゲル、アルミナ、ベントナイト、ケイソウ土およびボーキサイトよりなる群から選択される1種以上である請求項に記載の吸着処理用部材の製造方法
  10. 第1および第2シート状部材のいずれもが不織布である請求項またはまたはに記載の吸着処理用部材の製造方法
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