JP3598246B2 - 光コネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバを接続するために光ファイバケーブルに取り付けられる光コネクタ、更に言えば、光コネクタの構成部品に様々な改良を施した光コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
図11、図12に、光コネクタの一例として組立て段階の図を示す。図12は図11よりも後の組立て段階を示している。
【0003】
これらの図から明らかなように、一例として、光コネクタ構成部品には、光ファイバ31を保持するフェルール21を有した光ファイバ保持部材2、光ファイバケーブル3の中間に位置するカシメ座4、カシメ座4と光ファイバケーブル3にかしめられるカシメリング5、光ファイバ保持部材2を前方に付勢するスプリング6、カシメ座4にかしめられたカシメリング5を内部に保持し且つスプリング6の後端側を支持するストップリング7、ストップリング7の後端側に取り付けるブーツ8が含まれる。更に、これらの図には示されていないが、挿入されたストップリング7の先端側を内包した状態でストップリング7に固定されるプラグフレーム9(図1参照)と、これらプラグフレームとストップリング7を内包した状態でそれらの外側を覆うように固定されるツマミ10(図1参照)も含まれる。
【0004】
ここで、図11は、特に、カシメリング5とカシメ座4が光ファイバケーブル3に固定される前であって、且つ、光ファイバ31の先端が切断研磨される前の組立て段階を、また、図12は、カシメリング5とカシメ座4が光ファイバケーブル3に固定された後であって、且つ、光ファイバの先端が切断研磨されたときの組立て段階を、それぞれ示す。
【0005】
図11から明らかなように、光ファイバケーブル3は複数の要素から成る。即ち、その最も内側の光ファイバ31と、この光ファイバ31を覆う光ファイバ心線32と、この光ファイバ心線32を覆うひも状の抗張力線33と、更に、この抗張力線33を覆う最も外側の外被34である。
【0006】
これらの各要素は、光コネクタの組立て時に、光コネクタの所定の構成部品にそれぞれ固定される。即ち、光ファイバケーブル3は、その外被34において、カシメリング5によって外部からかしめられることによって固定され、抗張力線33は、カシメ座4とカシメリング5の間にそれを挟み込んだ状態の下で、カシメリング5の外壁を外部からかしめられることによって固定され、カシメ座4を貫通させた光ファイバ心線32の先端側は光ファイバ保持部材2の後端側に固定され、光ファイバは光ファイバ保持部材先端のフェルール21に固定される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
先ず、ストップリング7における問題に着目する。ストップリング7は後にプラグフレーム9に挿入され固定されることになるが、従来のストップリング7は金属で形成されていたことから、切削加工が複雑で製造コストが高く、また、硬い金属製のストップリング7によって柔らかい樹脂製のプラグフレームが破壊される危険があった。また、ストップリング7の内部に保持したカシメリング5がストップリング7にしっかりと固定されていなかったために、ストップリング7内部でカシメリング5が外れてしまう危険もあった。
【0008】
次に、カシメ座4とカシメリング5における問題に着目する。例えば、配線盤に差し込まれた光コネクタを後方に引っ張ることによって、光コネクタを配線盤から引き抜く場合を想定する。この場合、光ファイバケーブル3とカシメリング5の間、或いは、抗張力線とカシメリング5およびカシメ座4との間に、相当の力が加わることから、それらの間はしっかり固定されていなければならない。しかしながら、従来は、それらを何ら特別な処理を施すことなく固定していたため、それらが光ファイバから外れる危険が大きかった。
【0009】
これに関連して、複雑に絡み合った複数の光ファイバケーブルのその奥に存在する配線盤から光コネクタを引き抜く場合、逆に、そのような配線盤に光コネクタを取付ける場合を想定する。これらの場合、従来の光コネクタのようにその後端側や前端側にエッジ部が存在すると、このエッジ部が光ファイバケーブル3や隣接配置された他の光コネクタに引っかかって、光コネクタをスムーズに引き抜くことができず、また、光コネクタをスムーズに取付けることができない。更に、これらのエッジ部によって、光ファイバケーブル3を誤って傷付けてしまったり、逆に、コネクタ部品を破損させてしまう恐れがある。
【0010】
本発明は、これら従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、ストップリングとプラグフレームをスムーズに且つそれらを互いに破損させることなく、固定することができる構成を提供することを目的とする。また、ストップリングの製造コストの削減を目的とする。更に、ストップリングとカシメリングとの固定、或いは、光ファイバケーブルとカシメリングとの固定、或いは、抗張力線とカシメリングおよびカシメ座との固定をより強固にする構成を提供することを目的とする。更にまた、例えば、複雑に絡み合った複数の光ファイバケーブルのその奥に存在する配線盤から、この配線盤に差し込まれた光コネクタを引き抜く場合、或いは、そのような配線盤へ光コネクタを取付ける場合にも、光コネクタをスムーズに着脱することができる光コネクタを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の一つの観点によれば、光ファイバを接続するための光コネクタであって、光ファイバを保持するフェルールを有した光ファイバ保持部材と、光ファイバケーブルと光ファイバケーブル内の抗張力線をかしめるカシメ部材と、光ファイバ保持部材を光コネクタの前方に付勢するスプリングと、カシメ部材を内部に保持し且つスプリングの後端側を支持するストップリングと、更に、ストップリングの先端側が挿入されてそこに固定される挿入穴を有したプラグフレームを少なくとも備え、前記ストップリングと前記プラグフレームは樹脂で形成されており、前記ストップリングと前記プラグフレームを固定するため、前記ストップリング先端側の外側表面係合突起が、これに対応して前記プラグフレームの挿入穴に対応係合穴が、それぞれ設けられており、前記ストップリングの係合突起両側に前記プラグフレームの挿入穴に対する前記ストップリングの挿入方向に沿って所定長さの溝が並列に設けられており、前記係合突起は前記ストップリングの内側に向かって弾性変位可能であって、前記プラグフレームの挿入穴に前記ストップリングが挿入されるときに弾性変位された状態で前記プラグフレームの挿入穴へ挿入され、前記対応係合穴に導かれて、そこに固定され得ることを特徴とする光コネクタが提供される。
【0012】
本発明の別の観点によれば、光ファイバを接続するための光コネクタであって、光ファイバを保持するフェルールを有した光ファイバ保持部材と、光ファイバケーブルの外側と光ファイバケーブル内の抗張力線をかしめるカシメ部材と、光ファイバ保持部材を光コネクタの前方に付勢するスプリングと、カシメ部材を内部に保持し且つスプリングの後端側を支持するストップリングと、更に、ストップリングの先端側を内包した状態でストップリングに固定されるプラグフレームとを少なくとも備え、前記カシメ部材に、該カシメ部材がかしめられたときに内壁に窪みを形成し得る凹部を設け、前記窪みによって光ファイバケーブルのための引っ掛かり部を形成し、前記カシメ部材は、第1カシメ部材とこの第1のカシメ部材を内包し得る第2カシメ部材から構成され、前記第2カシメ部材がかしめられたとき、前記第2カシメ部材は、光ファイバケーブルの外側を外部からかしめるとともに、前記第1カシメ部材との間に光ファイバケーブル内の抗張力線を挟み込んだ状態で前記第1カシメ部材の外壁を外部からかしめるようになっており、前記ストップリングは、前記第2カシメ部材を内部に保持し且つスプリングの後端側を支持するようになっており、少なくとも、前記光ファイバケーブルの外側又は前記第1カシメ部材の外壁と接触する前記第2カシメ部材の内壁に、突起が形成されていることを特徴とする光コネクタが提供される。
【0014】
本発明の更に別の観点によれば、光ファイバを接続するための光コネクタであって、光ファイバを保持するフェルールを有した光ファイバ保持部材と、光ファイバケーブルと光ファイバケーブル内の抗張力線をかしめるカシメ部材と、光ファイバ保持部材を光コネクタの前方に付勢するスプリングと、カシメ部材を自身の貫通穴に保持し且つスプリングの後端側を支持するストップリングと、更に、前記ストップリングの先端側を内包した状態でこのストップリングに固定されるプラグフレームとを少なくとも備えており、前記ストップリングの貫通穴に対する前記カシメ部材の挿入方向に沿って設けた前記カシメ部材の径より大きな径の第1の抜き穴と、この第1の抜き穴と整列した状態で前記カシメ部材の挿入方向に沿って設けた前記カシメ部材の径より小さな径の第2の抜き穴と、前記カシメ部材の挿入方向と交差する方向に設けた前記第1の抜き穴と前記第2の抜き穴の境界に達する第3の抜き穴と、を利用することにより、前記第1の抜き穴と前記第3の抜き穴の境界付近にて内方に突出して前記第1の抜き穴の径より小さな径の一部小径部分を形成し得る凸部が前記第1の抜き穴に沿って設けられており、前記カシメ部材には、前記凸部に対応して、抜け防止用の突出部と、該突出部が前記カシメ部材の挿入方向において前記凸部を乗り超えたときに前記凸部と嵌合し得る抜け防止用の凹部と、が設けられていることを特徴とする光コネクタが提供される。
【0015】
上記光コネクタにおいて、前方から後方に向かって先細断面の傾斜面を有するように面取りされた後端部を有していてもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の一実施形態による光コネクタの半断面図を示す。ここには、図11、図12には表されていなかったプラグフレーム9とツマミ10を加えた完成品としての光コネクタ1が示されている。
【0017】
この光コネクタ1は、光ファイバ(31)(図11参照)を保持するフェルール21を有した光ファイバ保持部材2、光ファイバケーブル3の中間に固定されるカシメ座4およびカシメリング5、光ファイバ保持部材2を前方に付勢するスプリング6、カシメ座4をかしめたカシメリング5を内部に保持し且つスプリング6の後端側を支持するストップリング7、ストップリング7の後端側に取り付けられるブーツ8、ストップリング7の先端側を内包した状態でストップリング7に固定されるプラグフレーム9、プラグフレーム9とストップリング7を内包した状態でそれらの外側を覆うように固定されるツマミ10から成る。尚、図11、図12に相当する部材にはそれらの図中で用いた番号と同じ番号が付されている。
【0018】
プラグフレーム9とストップリング7を固定するため、ストップリング側面の対角側に一対の係合突起78(図面には一方しか表されていない)が、更にこれらの突起に対応して、プラグフレーム9の挿入穴93の対応位置に一対の係合穴91(図面には一方しか表されてない)が、それぞれ設けられている。光コネクタの組立て時に、これらの係合穴91と係合突起78を係合させることによって、プラグフレーム9とストップリング7を互いに固定することができる。
【0019】
また、プラグフレーム9とツマミ10を固定するため、プラグフレーム側面の対面側に一対の段差部92(図面には一方しか表されていない)が、更に、これに対応して、ツマミ10内壁の対応位置に突出部11が、それぞれ設けられている。光コネクタの組立て時に、プラグフレーム9の段差部92にツマミ10の突出部11を引掛けることによって、プラグフレーム9をツマミ10に固定することができる。
【0020】
先ず、ストップリング7の材質における改良について説明する。図面上は明らかでないが、本発明のストップリング7は金属ではなく、プラスチック等の樹脂で形成されている。樹脂製とすることにより、より複雑な形状を一体モールド成形で形成することが可能となっている。この結果、金属製とした場合に必要であった切削加工が不要とされ、複雑な形状をより安価に製造できる。また、プラグフレームと同材質となるため、ストップリング7がプラグフレームに固定される際に、プラグフレームを破壊してしまう危険も少ない。この点については後に付言する。
【0021】
次に、光コネクタの外形における改良について説明する。例えば、複雑に絡み合った複数の光ファイバケーブルのその奥に存在する配線盤から、この配線盤に差し込まれた光コネクタを引き抜く場合に、逆に、そのような配線盤に光コネクタを取付ける場合に、光コネクタをスムーズに引き抜き、取付けできるように、また、これらの作業中に、光ファイバケーブルを傷付けてしまったり、他の光コネクタ部品を破損させてしまうことがないように、本発明の光コネクタには、その後端部と前端部に面取り12、12a、72が設けられている。即ち、ツマミ10とストップリング7の後端部にそれぞれ、それらの前方(図面左側)から後方(図面右側)に向かって先細断面の傾斜面を持つ面取り12、72が設けられ、更に、ツマミ10の前端部に、その後方(図面右側)から前方(図面左側)に向かって先細断面の傾斜面を持つ面取り12aが設けられている。
【0022】
これらの面取り12,72を設けたことにより、光コネクタの引き抜き時に、光ファイバケーブルをこれらの面取り12、72上でスライド移動させることができ、複数の光ファイバケーブルの間をすり抜けていくように光コネクタを移動させることができる。この構成によれば、光コネクタによって光ファイバケーブルが傷つく危険は少なく、光コネクタを破損させる危険もほとんどない。
【0023】
次に、図2、図3を参照して、カシメリング5の改良について説明する。ここで、図2は、本発明による円筒状カシメリング5と円筒状カシメ座4それぞれの中心線断面を、また、図3は、これらカシメリング5とカシメ座4を用いて抗張力線を圧着固定したときの状態を示す図である。
【0024】
特に、図3から明らかなように、光ファイバケーブル3は、その外側を外部からカシメリング5(請求項中の「第2カシメ部材」に対応し得る)によってかしめられることによってカシメリング5と固定され、抗張力線33は、カシメ座4(請求項中の「第1カシメ部材」に対応し得る)とカシメリング5との間に挟み込まれた状態で、カシメ座4の外壁を外部からカシメリング5によってかしめることによってカシメ座4の上に圧着固定される。尚、後述する実施形態と異なり、このカシメリング5は、そのほぼ全体をかしめられる。
【0025】
また、図2から明らかなように、カシメリング5は、それがかしめられる以前に、その外壁の一部に(環状の)凹部51を有する。この凹部51は、カシメリング5が外部からの圧力によってかしめられたときに、光ケーブルの挿入位置でその内壁に窪み52を形成し得る。この窪み52は、カシメリング5からの光ファイバケーブル3の抜けを防止するための引っ掛かり部として利用される。このような引っ掛かり部52を形成することによって、光ファイバケーブル3とカシメリング5の固定が強化されている。尚、この凹部51は、カシメリング5の内壁に設けられていてもよい。この場合にも、上と同様に、引っ掛かり部を形成することができる。
【0026】
図4に、カシメリング5の他の改良例を示す。この図は、上に説明した図3に相当する。ここでは、カシメリング5の内壁に、光ファイバケーブル3の外側又はカシメ座4の外壁と接触し得る複数の固定強化用の突起、例えば、めねじ53が形成されている。カシメリング5がかしめられた際、これらのめねじ53は、光ファイバケーブル3の外被に食い込んで光ファイバケーブル3とカシメリング5との固定を強化し、また、カシメリング5の抗張力線やカシメ座4に対する固定を強化する。
【0027】
次に、図5乃至図10を参照して、本発明の他の実施形態、特に、カシメリングとストップリングの他の実施形態を説明する。この実施形態は、カシメリングとストップリングだけが上の実施形態と異なり、その他の部材については上の実施形態と実質的に同様と考えてよい。
【0028】
図5に、この実施形態に用いるカシメリング5Aを示す。ここで、図5のa)は、カシメリング5Aの中心線半断面図を、図5のb)は、このカシメリング5Aの正面図を、それぞれ示す。
【0029】
図5のa)から明らかなように、カシメリング5Aはその一部に、図2や図3に示したカシメリング5と同様の環状の凹部54を有する。ただし、この凹部54は、図2や図3に示した引っ掛かり部を形成するための窪み用の凹部51とは全く異なる。即ち、凹部54は、引っ掛かり部を形成するためではなく、カシメリング5のストップリング7からの抜けを防止する抜け防止用の凹部として形成されている。これについては後述する。
【0030】
また、カシメリング5Aでかしめられる部分は、図2や図3のカシメリング5でかしめられる部分と異なる。即ち、図2や図3のカシメリング5では、そのほぼ全体がかしめられていたのに対し、図5のカシメリング5Aでは、凹部54よりも先端側(図面左側)の部分55だけがかしめられ、凹部54やこの凹部54よりも後端側(図面右側)の部分56はかしめられない。したがって、カシメリング5Aは、これらの部分でその元の形状が維持される。
【0031】
更に、図2や図3のカシメリング5では、その全体が略円筒状とされていたが、図5のカシメリング5Aでは、かしめられる部分、即ち、凹部54とこの凹部54よりも先端側(図面左側)の部分55のみが円筒状とされ、かしめられない部分、即ち、凹部54よりも後端側(図面右側)の部分56は、図5のb)に示されているように矩形断面とされている。
【0032】
矩形断面とされたカシメリング5の後端側は4方向に突出している。後述するように、これらの突出部57のうち、対角位置に位置づけられたいずれか一方の一対の対角突出部57a、または、57bは、ストップリング(図6の7A)内部にカシメリング5Aを固定するために使用される。これらの突出部57の突出の程度は、先端側の円筒状部分58の円内に収まる程度、更に言えば、一対の対角突出部57aまたは57bの端から端までの最も長い部分58が円筒状部分58の直径と略同じ長さとなるように設定されている。したがって、このカシメリング5Aの端部断面は、突出部を有するにもかかわらず、ある所定の大きさの円内に収まっていることになる。
【0033】
図6、図7に、図5のカシメリング5Aと対にして用いるストップリング7Aを示す。ここで、図6は、このストップリング7Aの横面図、図7は、ストップリング7Aの正面図を、それぞれ示す。
【0034】
ストップリング7Aの後端部71(図面右側)には、後にブーツ8(図1参照)が固定される。ストップリング7Aにブーツを確実に固定するため、ストップリング後端部71の対向位置に一組の環状凹部81が設けられている。これに対応して、ブーツの先端内側にこれらの凹部81に嵌まる一組の凸部(図示されていない)が設けられている。ブーツはストップリング後端部71の略全体を外部から覆うような方法でそこに取付けられ、この結果、凹部81と凸部が嵌合される(図11等参照)。尚、ブーツ固定部71は、ブーツ8の大きさに対応して、他の部分に比して細くされている。
【0035】
ストップリング7Aの中間部72のやや後方下側には、抜き穴73が形成されている(図9参照)。ストップリング7Aの断面の対角側(即ち、ストップリング7Aの中間部のやや後方上側の紙面裏側)にも、同様の抜き穴が設けられており、したがって、計2個の抜き穴73が存在する。後述するように、これらの抜き穴73は、ストップリング7Aに、抜け防止用の凸部(図9の79)を形成するために必要とされる。
【0036】
ストップリング7Aの先端部74(図面左側)には、後にプラグフレーム9(図1参照)が固定される。ストップリング7Aをプラグフレームと固定するため、プラグフレーム固定部の側面に、プラグフレームとの固定に用いる係合突起78と、プラグフレームにおける向きを決定するための位置決め突起75とが、それぞれ一対ずつ互いに90度離間された状態で設けられている(図8参照)。
【0037】
係合突起78は、光コネクタの組立て時に、プラグフレーム9の対応する係合穴91(図1参照)と係合する。一方、ストップリング7Aの位置決め突起75は、この位置決め突起75の形状に対応して設けられた、プラグフレーム9の後方に開放されたU字溝(図示されていない)に案内されつつ、プラグフレーム9の後方から前方に向かってプラグフレーム9に固定される。ここで、プラグフレーム9のU字溝部分は片持ち梁状とされていることから、その強度は比較的弱い。このため、ストップリング7Aの固定時にこのU字溝部分に所定以上の力が加わると、このU字溝部分は容易に破損してしまう。にもかかわらず、本発明のストップリング7Aは、プラグフレーム9と同じく樹脂製とされていることから弾性を有し、したがって、ストップリング7Aの取付時に、ストップリング7Aによってプラグフレーム9を破損させてしまう危険は非常に少ない。
【0038】
ストップリング固定時におけるプラグフレームの破損をより有効に防止するため、ストップリング7Aの長手方向に、ストップリング7Aの各係合突起78の両側にそれぞれ1本ずつ、係合突起78に対して直交方向に、計4本の弾性変位用の溝76が切られている。溝76の形状をより明確に示すため、図8に、図6のA−A線断面を示す。係合突起78の両側に、これらの溝76を設けたことにより、ストップリング7Aがプラグフレームの挿入穴93(図1参照)に挿入されたときに、ストップリング7Aの係合突起(係合部)78を、挿入穴93(図1参照)の内部に収まるように、挿入穴93の直径よりも更に内側に弾性変位させる、更に言えば、弾性的にへこますことができる。この構成により、プラグフレーム9に無理な力をかけずに、ストップリングの係合突起78をプラグフレームの係合穴(対応係合部)91(図1参照)にまで導いてそこに固定することができ、したがって、プラグフレーム9の破損を有効に防止することができる。尚、これとは逆に、ストップリング7Aに係合穴(係合部)を設け、プラグフレーム9(図1参照)に係合突起(対応係合部)を設けても、上と同様の効果が得られる。また、係合穴の代りに凹部を設けても同様の効果が得られる。
【0039】
ストップリング7A内部の貫通穴には、光ファイバケーブル3が通され、或いは、スプリング6が保持され、或いは、カシメリング5が保持される。図9に、この貫通穴を、図6のB−B線断面とC−C線断面とを重ね合わせた状態で示している。図9の中心付近に示された2本の環状線のそれぞれが貫通穴の内径に相当する。
【0040】
これらの環状線のうち、より内側の環状線は、C−C線断面よりも後方(図6の右側方向)に存在する貫通穴、正確には、ブーツ固定部に設けられた貫通穴77a(後述する図10にもよく示されている)を示す。この貫通穴77aの直径は、B−B線とC−C線の間に延びるカシメリング5の固定に用いる貫通穴77b(貫通穴77aと区別するため、この貫通穴77bを以下「カシメリング固定穴77b」と呼ぶ)の直径よりも小さくなっている。尚、カシメリング固定穴77bは、B−B線とC−C線の間だけでなく、その先端側の挿入口から貫通穴77aに至るまで、以下に述べるカシメリングの抜け防止用の凸部79を除いて、ほぼ同じ大きさおよび形状とされていると考えてよい。
【0041】
一方、外側の環状線のうち、特に、実線で示した部分は、B−B線断面におけるカシメリング固定穴77bを示し、一方、点線および実線で示した部分は、C−C線断面におけるカシメリング固定穴77bを示す。C−C線断面の特に点線で示した部分は、傾斜状の凸部79(後述する図10によく表されている)となっている。このような凸部79を設けることにより、カシメリング固定穴77bは、この部分において他の部分に比べて小さくされている。これらの凸部79は、ストップリング7Aからのカシメリング5Aの抜けを防止するために設けられたものであり、カシメリング5Aの対角突出部57a、57b(図5参照)に対応して対角位置に設けられている。
【0042】
次に、図10を参照して、ストップリング7Aとカシメリング5Aとの固定方法を説明する。この図10は、図6のD部における、図7のE−E線断の概略図であるが、ここでは特に、ストップリング7Aにカシメリング5Aが既に保持された後の状態が示されている。尚、理解容易のため、この図10には、図6中のB−B線およびC−C線に相当するB’−B’線およびC’−C’線が書き加えられており、更に、これに関連して、図9には、図7のb)のE−E線に相当するE’−E’線が書き加えられている。
【0043】
図10は、上に説明した貫通穴77aや、カシメリング固定穴77b、カシメリング5Aの抜け防止用の凸部79の形状をよく表している。特に、抜け防止用の凸部79が、カシメリングの挿入方向に向かって貫通穴の内側方向に傾斜する傾斜状凸部79として形成されていることも、この図10から理解することができる。
【0044】
カシメリング5Aをストップリング7Aに固定するにあたり、先ず、カシメリング5Aがストップリング7Aのカシメリング固定穴77bに挿入される。この結果、4つの突出部57a、57bを有したカシメリング5の後端が、カシメリング5の抜け防止用の一対の凸部79a、79bに達し、4つの突出部57のうち、対角位置にある一対の突出部57a、57bの一方が、それらの先端において、凸部79a、79bと衝突する。その後、カシメリング5Aをより強い力でストップリング7Aの内部に押し込んで、カシメリング5Aの一対の突出部57a、57bがストップリング7Aの凸部79を乗り越えたときに、カシメリング5Aはストップリング7Aにパチンと嵌まる。また、これと同時に、カシメリング5Aの抜け防止凹部54はストップリング7Aの抜け防止凸部79にパチンと嵌まる。図10は、この嵌合状態を示している。このとき、ストップリング7Aはカシメリング5Aと2個所で固定されることになる。一旦、カシメリング5Aの突出部57a、57bがストップリング7Aの凸部79を乗り越えた後は、その突出部57a、57bが再びストップリング7Aの凸部79を乗り越えない限り、この結合が外されることはない。したがって、カシメリング5Aはストップリング7Aから容易には抜け落ちることはない。
【0045】
尚、特に図示しないが、ストップリング7Aのカシメリング固定穴77bには、カシメリング5Aの突出部57a、57bとストップリング7Aの凸部79が確実に対応付け(衝突)されるように、ストップリング7Aの凸部79に対するカシメリング5の接近角度を微調整することができる案内傾斜面が設けられている。たとえカシメリング5Aがどのような回転角度でカシメリング固定穴77bに挿入されても、この案内傾斜面とカシメリング5Aの突出部57a、57bとの接触を通じてストップリング内部でカシメリング5Aは適当に回転し、これにより、カシメリング5Aの突出部57a、57bとストップリング7Aの凸部79は所定の向きで確実に対応付けされることになる。尚、この技術は周知の技術であるためこれ以上は説明しない。
【0046】
最後に、図9、図10を参照して、本発明のストップリング7Aの製造方法について説明する。本発明のストップリング7Aは金型を用いて形成されている。更に言えば、予めストップリング7Aの形状を形成するように設けた金型に、加熱して柔らかくなった樹脂を流し込み、その後、冷えて固まったストップリング7Aを金型から抜き取ることによって形成されている。
【0047】
この方法で本発明のストップリング7Aを形成するには、実質的に3種類の金型が必要となる。1つは、カシメリング5Aの挿入方向に沿って一部小径とされたイ)の方向に抜き取られる先細金型(図示されていない)、1つは、貫通穴77aを形成するためにロ)の方向に抜き取られる円筒金型(図示されていない)、1つは、カシメリング5Aの挿入方向と反対の方向から一部小径部分に達するハ)の方向から抜き取られる抜き穴金型(図示されていない)である。
【0048】
明らかなように、イ)の方向に抜き取られる先細金型は、カシメリング5Aの抜けを防止するための凸部79の傾斜面を形成し、ハ)の方向に抜き取られる金型は、貫通穴77aを形成し、ロ)の方向に抜き取られる抜き穴金型は、カシメリング5Aの抜けを防止するための凸部79の最も突出した部分80を形成するために用いられる。
【0049】
ここで、ロ)の方向に抜き取られる抜き穴金型を設けていないと仮定する。この場合、イ)の方向に抜き取られる先細金型は、カシメリング5Aの抜けを防止する凸部79をストップリング7に形成するために、カシメリング5Aの形状に相当する形状にする必要があるが、このような形状の金型は、イ)の方向にもハ)の方向にも抜き取ることができない。したがって、この仮定は採用できない。
【0050】
故に、本発明のように金型を用いてストップリング7Aに凸部79を設ける場合には、ロ)の方向に抜き取られる抜き穴金型を設けることが必須となる。この結果、ストップリング7Aには、必ず抜き穴73が必要となる(形成されることになる)。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、ストップリングとプラグフレームをスムーズに、且つ、それらを互いに破損させることなく、固定することができる。また、ストップリングの製造コストを削減することができる。更に、ストップリングとカシメリングとの固定、或いは、光ファイバケーブルとカシメリングとの固定、或いは、抗張力線とカシメリングおよびカシメ座との固定を強固にできる。更にまた、例えば、複雑に絡み合った複数の光ファイバケーブルのその奥に存在する配線盤から、この配線盤に差し込まれた光コネクタをスムーズに引き抜くことができ、光ファイバケーブルを誤って傷付けたり、コネクタ部品を破損させる危険の少ない光コネクタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による光コネクタの半断面図。
【図2】本発明による円筒状カシメリングと円筒状カシメ座それぞれの長手方向における中心線断面を別々に示す図。
【図3】図2のカシメリングとカシメ座を用いて抗張力線が圧着固定された状態を示す図。
【図4】カシメリングの他の改良例を示した図3に相当する図。
【図5】カシメリングに関する本発明の他の実施形態を示す図。
【図6】図5のカシメリングと対にして用いられるストップリングの横面図。
【図7】図6のストップリングの正面図。
【図8】図6におけるA−A線断面。
【図9】図6のB−B線断面とC−C線断面を重なり合わせた状態で示す図。
【図10】図6のD部における、図7のE−E線断面の概略を示す図。
【図11】従来光コネクタの一組立て段階を示す図。
【図12】従来光コネクタの一組立て段階を示す図。
【符号の説明】
1 光コネクタ
2 光ファイバ保持部材
3 光ファイバケーブル
4 カシメ座
5 カシメリング
6 スプリング
7 ストップリング
8 ブーツ
9 プラグフレーム
10 ツマミ
12 面取り
31 光ファイバ
32 光ファイバ心線
33 抗張力線
34 外被
51 窪み形成用の凹部
52 窪み
53 めねじ
54 抜け防止用の凹部
57a、57b 突出部
71 係合突起
72 面取り
73 抜き穴
79 抜け防止用の凸部
75 位置決め突起
76 弾性変形用の溝
77a 貫通穴
77b カシメリング固定穴
91 係合穴
92 段差部

Claims (4)

  1. 光ファイバを接続するための光コネクタであって、光ファイバを保持するフェルールを有した光ファイバ保持部材と、光ファイバケーブルと光ファイバケーブル内の抗張力線をかしめるカシメ部材と、光ファイバ保持部材を光コネクタの前方に付勢するスプリングと、カシメ部材を内部に保持し且つスプリングの後端側を支持するストップリングと、更に、ストップリングの先端側が挿入されてそこに固定される挿入穴を有したプラグフレームを少なくとも備え、前記ストップリングと前記プラグフレームは樹脂で形成されており、前記ストップリングと前記プラグフレームを固定するため、前記ストップリング先端側の外側表面に係合突起が、これに対応して前記プラグフレームの挿入穴に対応係合穴が、それぞれ設けられており、前記ストップリングの係合突起両側に前記プラグフレームの挿入穴に対する前記ストップリングの挿入方向に沿って所定長さの溝が並列に設けられており、前記係合突起は前記ストップリングの内側に向かって弾性変位可能であって、前記プラグフレームの挿入穴に前記ストップリングが挿入されるときに弾性変位された状態で前記プラグフレームの挿入穴へ挿入され、前記対応係合穴に導かれて、そこに固定され得ることを特徴とする光コネクタ。
  2. 光ファイバを接続するための光コネクタであって、光ファイバを保持するフェルールを有した光ファイバ保持部材と、光ファイバケーブルの外側と光ファイバケーブル内の抗張力線をかしめるカシメ部材と、光ファイバ保持部材を光コネクタの前方に付勢するスプリングと、カシメ部材を内部に保持し且つスプリングの後端側を支持するストップリングと、更に、ストップリングの先端側を内包した状態でストップリングに固定されるプラグフレームとを少なくとも備え、前記カシメ部材に、該カシメ部材がかしめられたときに内壁に窪みを形成し得る凹部を設け、前記窪みによって光ファイバケーブルのための引っ掛かり部を形成し、
    前記カシメ部材は、第1カシメ部材とこの第1のカシメ部材を内包し得る第2カシメ部材から構成され、前記第2カシメ部材がかしめられたとき、前記第2カシメ部材は、光ファイバケーブルの外側を外部からかしめるとともに、前記第1カシメ部材との間に光ファイバケーブル内の抗張力線を挟み込んだ状態で前記第1カシメ部材の外壁を外部からかしめるようになっており、前記ストップリングは、前記第2カシメ部材を内部に保持し且つスプリングの後端側を支持するようになっており、少なくとも、前記光ファイバケーブルの外側又は前記第1カシメ部材の外壁と接触する前記第2カシメ部材の内壁に、突起が形成されていることを特徴とする光コネクタ。
  3. 光ファイバを接続するための光コネクタであって、光ファイバを保持するフェルールを有した光ファイバ保持部材と、光ファイバケーブルと光ファイバケーブル内の抗張力線をかしめるカシメ部材と、光ファイバ保持部材を光コネクタの前方に付勢するスプリングと、カシメ部材を自身の貫通穴に保持し且つスプリングの後端側を支持するストップリングと、更に、前記ストップリングの先端側を内包した状態でこのストップリングに固定されるプラグフレームとを少なくとも備えており、
    前記ストップリングの貫通穴に対する前記カシメ部材の挿入方向に沿って設けた前記カシメ部材の径より大きな径の第1の抜き穴と、この第1の抜き穴と整列した状態で前記カシメ部材の挿入方向に沿って設けた前記カシメ部材の径より小さな径の第2の抜き穴と、前記カシメ部材の挿入方向と交差する方向に設けた前記第1の抜き穴と前記第2の抜き穴の境界に達する第3の抜き穴と、を利用することにより、前記第1の抜き穴と前記第3の抜き穴の境界付近にて内方に突出して前記第1の抜き穴の径より小さな径の一部小径部分を形成し得る凸部が前記第1の抜き穴に沿って設けられており、
    前記カシメ部材には、前記凸部に対応して、抜け防止用の突出部と、該突出部が前記カシメ部材の挿入方向において前記凸部を乗り超えたときに前記凸部と嵌合し得る抜け防止用の凹部と、が設けられていることを特徴とする光コネクタ。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の光コネクタにおいて、前方から後方に向かって先細断面の傾斜面を有するように面取りされた後端部を有する光コネクタ。
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