JP3601103B2 - 光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、光ファイバ型回折格子の作製に好適な光ファイバ製作用の光ファイバ母材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学素子の一種である回折格子には種々の態様のものがあるが、光通信システム等に利用する場合には、通信用光ファイバとの接続が容易で、挿入損失の低い光ファイバ型回折格子が好適である。
【0003】
従来の光ファイバ型回折格子の作製方法としては、特許出願公表昭62−500052に記載のものが知られている。これは、酸化ゲルマニウムを添加して高屈折率のコアを形成した石英系ファイバに強力な紫外光を照射することより、コアに屈折率変化部を光軸に沿って等間隔に配列して、回折格子を形成する方法である。そして、紫外光を照射する光ファイバの製作は、酸化ゲルマニウムが添加された高屈折率のコアと成るべき部分と、酸化ゲルマニウムが添加されず、コアとなるべき部分よりも低屈折率のクラッドとなるべき部分とを備える光ファイバ母材を加熱線引することによりなされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の製造方法では、得られる回折格子の反射率は必ずしも十分でない。すなわち、回折格子が作り込まれた光導波路では、その反射率が重要な特性であるが、この反射率は以下の式(1)のように、回折格子長(コア内において、屈折率が周期的に変化している領域の長さ)と光誘起屈折率変化に依存する。
【0005】
R=tanh2(L・π・ΔnUV/λ) …(1)
ここで、Rは反射率、Lはコア内に作り込まれた回折格子長、ΔnUVは紫外光に対する屈折率変化(光誘起屈折率変化)、λは反射波長である。
【0006】
紫外光照射による屈折率変化はガラス中のゲルマニウム関連のガラス欠陥に起因することが知られているが、従来のように通信用光ファイバを用いたのではクラッド部分でのガラス欠陥が少ないために、この部分における紫外光による屈折率変化ΔnUVはコアでの屈折率変化ΔnUVに比べて小さい。したがって、導波路全体として十分な反射率が得られない。
【0007】
さらに、紫外光が照射されると、その部位のコア(回折格子が作り込まれた部位)の屈折率は高くなるため、この部位のモードフィールド径は他の紫外光が照射されていないコアのモードフィールド径より小さくなる。このモードフィールド径の変化がコア内に生じると、モードミスマッチによりコア内を伝搬している光がクラッド側へ放射され、伝送損失が増加するという。
【0008】
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、高い反射率を有する光ファイバ型回折格子の作製に好適な光ファイバ製作用の光ファイバ母材の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造方法は、(a)外層クラッドとなるべき、中空のガラス管を用意する第1の工程と、(b)ガラス管を加熱しながら、これにガラス原料ガス、ゲルマニウム、およびフッ素を含むドーパント原料ガスを導入して、ガラス管内に内層クラッドとなるべき第1のガラス微粒子を堆積後、更にガラス管を加熱して第1のガラス微粒子を透明化する第2の工程と、(c)ガラス管を加熱しながら、これにガラス原料ガスおよびゲルマニウムを含むドーパント原料ガスを導入して、ガラス管内にコアとなるべき第2のガラス微粒子を堆積後、更にガラス管を加熱して第2のガラス微粒子を透明化する第3の工程と、(d)ガラス管を加熱して中実化する第4の工程とを備える。
【0010】
ここで、第4の工程は、前記ガラス管内に酸化物を還元する還元剤を導入しながら、ガラス管を加熱して中実化する工程であることが好適である。還元剤としては、塩素、フッ素、四塩化ケイ素、四塩化ゲルマニウム及び四フッ化ケイ素のいずれか一つ以上を成分とする気体を用いることができる。
【0011】
また、第2の工程および第3の工程における透明ガラス化は、ガラス管内に四塩化ゲルマニウムを導入しながら行うことができる。
【0012】
また、第4の工程におけるガラス管の中実化において、ガラス管に還元剤とともに不活性ガスを導入することもできる。不活性ガスとしては、ヘリウム、アルゴン及びネオンいずれか一つ以上を成分とする気体を用いることができる。
【0013】
また、第5の工程における前記ガラス管の中実化を、ガラス管内を約1700℃から約2100℃までの温度にして行うことが好適である。
【0014】
また、第4の工程の後、内層クラッドとなるべきガラス層の外径は、コアとなるべきガラス層の直径の6倍以下とすることが実用的である。
【0015】
【作用】
本発明の光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造方法では、まず、外層クラッドとなるべき、中空のガラス管を用意する(第1の工程)。
【0016】
次に、ガラス管を加熱しながら、これにガラス原料ガス、ゲルマニウム、およびフッ素を含むドーパント原料ガスを導入して、ガラス管内に内層クラッドとなるべき第1のガラス微粒子を堆積後、更にガラス管を加熱して第1のガラス微粒子を透明化する(第2の工程)。こうして、加熱線引されて光ファイバの内層クラッドとなった場合に、紫外光が照射されると屈折率が効率的に変化する、内層クラッドとなるべき部分のガラス層が形成される。
【0017】
引き続き、ガラス管を加熱しながら、これにガラス原料ガス、およびゲルマニウムを含むドーパント原料ガスを導入して、ガラス管内にコアとなるべき第2のガラス微粒子を堆積後、更にガラス管を加熱して第2のガラス微粒子を透明化する(第3の工程)。こうして、加熱線引されて光ファイバのコアとなった場合に、紫外光が照射されると屈折率が効率的に変化する、コアとなるべき部分のガラス層が形成される。
【0018】
次いで、ガラス管を加熱して中実化(第4の工程)して光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材を得る。
【0019】
以上のようにして得られた、光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材を加熱線引して光ファイバを製作し、この光ファイバに紫外光を照射すると、コアと内層クラッドとで効率的な屈折率変化が発生する。
【0020】
すなわち、酸化ゲルマニウムがドープされたコアを備えるガラス光ファイバに紫外光を照射すると、コアに紫外光が入射し、紫外光が入射した部分の屈折率が変化(上昇)する。
【0021】
紫外光の入射によりガラスの屈折率が変化するメカニズムは、完全には解明されてはいない。しかしながら、屈折率変化の重要な要因として、ガラス中のゲルマニウムに関連した酸素欠損型の欠陥が考えられており、Si−GeまたはGe−Geなどの中性酸素モノ空孔が想定されている。
【0022】
屈折率変化のメカニズムとして提案されているクラマース・クローニッヒ機構によれば、屈折率変化は以下のように説明される。すなわち、上記の欠陥は波長240〜250nmの紫外光を吸収し、この吸収によりSi−GeまたはGe−Ge結合が切れて、新たな欠陥が生じる。この新たな欠陥は、波長210nmおよび280nm付近を中心に吸収帯を形成する。その結果、クラマース・クローニッヒの関係に従いガラスの屈折率が変化する。
【0023】
また、中実化にあたって、ガラス管に還元剤を導入しながら中実化を行うこととすれば、還元剤の還元作用により、ガラス微粒子に含まれるSiO2 のSi−O結合や、GeO2 のGe−O結合が切れて、Si−Ge結合やGe−Ge結合を有する酸素欠損型の欠陥構造が形成されやすくなる。これにより、酸素欠損型の欠陥の数が増加するので、紫外光の吸収による屈折率変化量も大きくなる。この結果、こうして製造された光ファイバ母材を出発材として光ファイバ型回折格子を作製すれば、屈折率が大きく変化した屈折率変化部を光ファイバが形成され、高い反射率を有する光ファイバ型回折格子を作製することができる。
【0024】
ここで、前記ガラス管内に四塩化ゲルマニウムを導入しながら透明ガラス化を行なうと、ガラス管の内壁に堆積したガラス層から揮散する酸化ゲルマニウムが補充され、酸化ゲルマニウムのドーパント濃度が高まる。
【0025】
これにより、ガラス中に含まれる酸化ゲルマニウムが増加すれば、酸素欠損型の欠陥の数が増加するので、紫外光の吸収による屈折率変化量も大きくなり、作製される光ファイバ型回折格子は高い反射率を有する。
【0026】
また、本発明者らの知見によれば、中実化の際に還元剤とともに不活性ガスを導入すると、作製される光ファイバ型回折格子の反射率が上昇しやすくなる。
【0027】
また、本発明者らの知見によれば、高い反射率を得るには、コア径の小さなシングルモードファイバであってもコア径に対して6倍の外径の領域に回折格子を形成すればよい。また、クラッド全体を紫外光の照射による屈折率変化が発生する酸化ゲルマニウムの添加状態にすると光導波路の強度が低減することが知られている。そこで、本発明では、ゲルマニウムが添加された内層クラッドとなるべき部分の外側に実質的にゲルマニウムを添加しない外層クラッドとなるべき部分を設けている。
【0028】
【実施例】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0029】
以下に説明する実施例では、一般的なMCVD装置を用いて作製した。以下、作製方法について説明する。図1は、本実施例の光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造工程図である。
【0030】
まず、略円筒状の天然石英管100を用意する。ここで、天然石英とは、天然に産する水晶を粉砕し、これを酸水素炎やアーク炉やカーボン発熱体の電気炉などで溶融して作製される透明な石英ガラスである。
【0031】
次に、石英管100を回転させながら管の内部にガラスの原料ガスとドーパントの原料ガスとを導入するとともに、石英管100を外側から酸水素炎バーナ120を用いて加熱し、石英管100の内壁に石英(SiO2 )ガラスの微粒子110を堆積させる(図1(a)参照)。
【0032】
ガラス原料ガスは、コアになるべき石英ガラスの原料たる四塩化ケイ素(SiCl4 )と、この搬送ガスである酸素とからなる。また、ドーパントの原料ガスは、四塩化ゲルマニウム(GeCl4 )と、フッ素(F2 )ガスと、この搬送ガスである酸素とからなる。これらは、図示しないサチュレータからガス管を通じて石英管100に送り込まれる。
【0033】
これにより、次のような熱酸化反応が石英管100の内部で生じる。
【0034】
【化1】
【0035】
上記の反応により管内で生成した石英ガラスの微粒子110は、石英管100の内壁に付着して堆積する。管内で生成した酸化ゲルマニウム(GeO2 )の微粒子も同時に堆積する。そして、これらの微粒子の間にフッ素原子が混入する。
【0036】
バーナ120を石英管100の軸に沿って原料ガスの流れの方向にゆっくり移動させると、バーナ120の移動に応じて継続的にガラス微粒子110が堆積されてゆく。石英管100は回転しているので、石英菅の内壁全面にガラス微粒子110が堆積する。そして、堆積が終了したら、ガラス及びドーパント双方の原料ガスの供給を停止する。
【0037】
引き続き、ガスの導入を止め、石英管100を酸水素炎バーナ120を用いて内部温度を1700℃〜1800℃に加熱して、石英ガラスの微粒子110を透明化し、内層コアとなるべきガラス層111とする(図1(b)参照)。ここでは、MCVD法で一般的に行われているように、石英管100内に気体の塩素 (Cl2 )と酸素(O2 )を送り込んでもよい。塩素は脱水作用を有しており、管内の水分を除く働きをし、また、酸素は、酸化ゲルマニウムの揮散を抑えて、ドーパント濃度の低下を抑制する作用を有する。なお、透明ガラス化は、管内に四塩化ゲルマニウムを導入しながら行うことも可能である。
【0038】
次いで、石英管100を回転させながら管の内部にガラスの原料ガスとドーパントの原料ガスとを導入するとともに、石英管100を外側から酸水素炎バーナ120を用いて加熱し、石英管100の内壁に石英(SiO2 )ガラスの微粒子115を堆積させる(図1(c)参照)。
【0039】
ガラス原料ガスは、コアになるべき石英ガラスの原料たる四塩化ケイ素(SiCl4 )と、この搬送ガスである酸素とからなる。また、ドーパントの原料ガスは、四塩化ゲルマニウム(GeCl4 )と、この搬送ガスである酸素とからなる。これらは、図示しないサチュレータからガス管を通じて石英管100に送り込まれる。
【0040】
これにより、図1(a)と同様の熱酸化反応が石英管100の内部で生じる。
【0041】
この反応により管内で生成した石英ガラスの微粒子115は、石英管100の内壁に付着して堆積する。
【0042】
バーナ120を石英管100の軸に沿って原料ガスの流れの方向にゆっくり移動させると、バーナ120の移動に応じて継続的にガラス微粒子115が堆積されてゆく。石英管100は回転しているので、石英菅の内壁全面にガラス微粒子110が堆積する。そして、堆積が終了したら、ガラス及びドーパント双方の原料ガスの供給を停止する。
【0043】
引き続き、ガスの導入を止め、石英管100を酸水素炎バーナ120を用いて内部温度を1700℃〜1800℃に加熱して、石英ガラスの微粒子115を透明化し、内層コアとなるべきガラス層116とする(図1(b)参照)。ここでは、MCVD法で一般的に行われているように、石英管100内に気体の塩素(Cl2 )と酸素(O2 )を送り込んでもよい。塩素は脱水作用を有しており、管内の水分を除く働きをし、また、酸素は、酸化ゲルマニウムの揮散を抑えて、ドーパント濃度の低下を抑制する作用を有する。なお、透明ガラス化は、管内に四塩化ゲルマニウムを導入しながら行うことも可能である。
【0044】
次いで、通常のMCVD法と同様の手順で、石英管100の中実化を行なう (図1(e)参照)。本実施例では、石英管100内に塩素のみを導入しながら中実化を行った。流量は、約500cc/minとした。
【0045】
バーナ火炎の温度を上げて、管の中心付近の温度が1800℃〜2100℃となるように調節し、石英管100を回転させながら加熱する。これとともに、MCVD装置を操作して石英管100の管内圧力の減圧度を調節すると、減圧度に応じて管の両端から引張張力が加えられ、バーナ火炎の当たっている箇所で石英管100の空洞がつぶれる。こうして、石英管100が中実化される。なお、本実施例では、減圧度は約5mmH2 Oであった。
【0046】
バーナ120を軸方向に沿って移動させると、石英管100は連続的につぶれてゆき、最終的には、棒状体のガラス(ガラスロッド)になる。このガラスロッドは、酸化ゲルマニウムがドープされた石英ガラスからなるコアロッドと、このコアロッドを被覆する純石英ガラス層からなる。
【0047】
なお、中実化の際のバーナ火炎の温度は、約1800℃以下では石英管100がつぶれず、約2100℃以上ではガラスが溶融してしまうことから、石英管100の中心付近の温度が約1800〜2100℃となる温度であることが好ましい。
【0048】
以上のようにして、中実化の後、コアとなるべき部分の径が3mm、内層クラッドとなるべき部分の外径が15mm、外層クラッドとなるべき部分の外径が45mmの光ファイバ母材を得た。
【0049】
なお、クラッドの厚さの調整のため、更に、上記の光ファイバ母材をクラッドチューブに挿入し、真空中で加熱してガラスロッドとクラッドチューブを融着させて、光ファイバ母材(プリフォーム)とすることも可能である。なお、クラッドチューブは、石英管100と同じ屈折率の純石英ガラスとすることが好適である。
【0050】
こうして得られた光ファイバ母材を電気炉で2000℃程度に加熱して溶融状態にした後、線引きする。これにより、光ファイバが得られる。この光ファイバでは、(コア径):(内層クラッド外径):(外層クラッド外径)が、光ファイバ母材における(コアとなるべき部分の径):(内層クラッドとなるべき部分の外径):(外層クラッドとなるべき部分の外径)と略一致するので、コア径≒8μm、内層クラッド外径≒40μm、外層クラッド外径≒125μmとなる。なお、この光ファイバは、石英ガラスに6wt%の酸化ゲルマニウム(GeO2 )が添加されたコアと、石英ガラスに6wt%の酸化ゲルマニウム及び1wt%のフッ素(F)が添加された内層クラッドと、実質的に石英ガラスのみから成る外層クラッドとを備えている。
【0051】
図2は、光ファイバ型回折格子の作製方法の一例の説明図である。図2に示す方法では、ホログラフィック干渉法により紫外光を干渉させて光ファイバに照射する。この方法では、干渉手段20は、ビームスプリッタ21aと反射鏡21b、21cとから構成される。また、紫外光光源10には、アルゴンレーザ光源11を用いた。
【0052】
アルゴンレーザ光源11は、244nmのコヒーレントな紫外光を連続発振する。この紫外光は、ビームスプリッタ21aにより透過光と反射光の2光束に分岐される。分岐された各光束は、それぞれ反射鏡21b及び21cによって反射され、コア41の軸方向に対し互いに補角の関係にある74゜(図2におけるα)、106゜(図2における180゜−α)の角度をもって光ファイバ40に照射される。
【0053】
分岐された各光束は干渉領域30にて干渉し、所定間隔の干渉縞を形成しつつ、光ファイバ40に照射される。そして、照射された紫外光は、外層クラッド45を透過し、内層クラッド42およびコア41に入射して、入射した部分の屈折率を変化させる。
【0054】
図4は、光ファイバ40への紫外光の照射を示した図である。光ファイバ40の径方向に対する紫外光の入射角度θ(=90°−α)と紫外光の波長λとを用いると、干渉縞の間隔Λは、
Λ=λ/(2sinθ) …(2)
のように表される。したがって、コア41及び内層クラッド42の紫外光が入射した領域には、屈折率の変化した部分が干渉縞の間隔Λを周期として光ファイバ40の光軸方向に沿って配列されるので、ピッチΛの回折格子43,44が、それぞれコア41、内層クラッド42に形成されることになる。こうして、コア41及び内層クラッド42に回折格子を有する光導波路としての光ファイバが得られた。
【0055】
コア41の屈折率n1 と回折格子43のピッチΛを用いると、周知なブラッグの回折条件により、この回折格子の反射波長λR は、
のように表される。なお、本実施例では、この反射波長λR を1300nmに設定した。
【0056】
なお、紫外光の照射中は、LED光源からの光を光ファイバ40の一端から入射させ、他端に接続されたスペクトルアナライザでこの光の透過スペクトルを測定して、回折格子43、44の形成をリアルタイムでモニターした。ここで、スペクトルアナライザは、回折格子43、44を透過した光について波長と透過率との関係を測定する。
【0057】
紫外光の照射が開始されると回折格子43、44の形成が進むので、透過スペクトルにおいて透過光の強度が反射波長を中心に減少する。透過スペクトルに変化がなくなれば、回折格子43、44の形成が飽和したと考えられるので、この時点で紫外光の照射を停止する。なお、本実施例では、飽和時間は約40〜50分であった。
【0058】
反射率は、100%から透過率を差し引いて求まるので、回折格子43、44の形成が飽和した時点の透過スペクトルから、波長と反射率との関係を示した反射スペクトルを求めることができる。その結果、本実施例で作製された光ファイバ型回折格子の反射率は90%以上であり、良好な結果を得た。
【0059】
なお、ホログラフィック干渉法を用いて紫外光を光ファイバ40に照射したが、代わりに位相格子法を用いることもできる。
【0060】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、中実化の際に導入する還元剤としては、塩素以外にもフッ素、四塩化ケイ素、四塩化ゲルマニウム、四フッ化ケイ素等の気体を用いることができる。また、これらの気体のうち数種類を同時に導入しても良い。
【0061】
また、上記の還元剤と同時に導入する不活性ガスとして、ヘリウムの代わりに、気体のアルゴンやネオンを用いることができると考えられ、これらの気体のうち数種類を同時に導入しても良い。
【0062】
また、公知のMCVD法と同様に、光ファイバ母材の内層クラッド作製にあたっては、ドーパントの原料ガスとして本実施例の四塩化ゲルマニウム(GeCl4 )及び酸素に加えて、他のドーパント原料ガスを同時に導入することができる。例えば、酸化ゲルマニウムに加えて酸化ボロン(B2 O3 )がコアにドープされた光ファイバを作製する場合は、四塩化ゲルマニウムと搬送ガスたる酸素に加えて、臭化ボロン(BBr3 )とこの搬送ガスたる酸素を石英管に導入する。他のドーパントをドープする場合も、このようにMCVD法に準じてドーパント原料ガスを導入すれば良い。
【0063】
また、当初に用意する石英管にもゲルマニウムがドープされていてもよい。
【0064】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した通り、本発明の製造方法で製造された光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材は内層クラッドとなるべき部分にもGeO2が添加されているので、この光ファイバ化後に紫外光を照射すると、コア及び内層クラッドの双方に回折格子が形成されるので、この回折格子が形成された領域ではコアを伝搬する導波光のみならず、導波光のうちクラッド側へ放射される光も反射され、モードフィールド全域にわたって導波光が反射されるとともに光導波路の強度が維持される。したがって、高い反射率を有する光ファイバ型回折格子を実現できる。
【0065】
また、還元剤を導入しながら中実化を行って製造すれば、光ファイバに紫外光を照射したときのガラスの屈折率変化量が大きくなる。したがって、屈折率が大きく変化した屈折率変化部を光ファイバに形成して、高い反射率を有する光ファイバ型回折格子を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造工程図である。
【図2】光ファイバへの紫外光の照射による回折格子の形成の説明図である。
【符号の説明】
10…紫外光光源、20…干渉手段、21a…ビームスプリッタ、21b,21c…反射鏡、22…位相格子、30…干渉領域、40…光ファイバ型回折格子、41…コア、42…内層クラッド、43,44…回折格子、45…外層クラッド、100…天然石英管、110,115…石英ガラスの微粒子、111,116…透明化ガラス層、120…酸水素炎バーナ。
Claims (8)
- 外層クラッドとなるべき、中空のガラス管を用意する第1の工程と、
前記ガラス管を加熱しながら、これにガラス原料ガス、ゲルマニウム、およびフッ素を含むドーパント原料ガスを導入して、前記ガラス管内に内層クラッドとなるべき第1のガラス微粒子を堆積後、更に前記ガラス管を加熱して前記第1のガラス粒子を透明化する第2の工程と、
前記ガラス管を加熱しながら、これにガラス原料ガスおよびゲルマニウムを含むドーパント原料ガスを導入して、前記ガラス管内にコアとなるべき第2のガラス微粒子を堆積後、更に前記ガラス管を加熱して前記第2のガラス粒子を透明化する第3の工程と、
前記ガラス管を加熱して中実化する第4の工程と、
を備えることを特徴とする光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造方法。 - 前記第4の工程は、前記ガラス管内に酸化物を還元する還元剤を導入しながら、前記ガラス管を加熱して中実化する工程であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造方法。
- 前記還元剤は、塩素、フッ素、四塩化ケイ素、四塩化ゲルマニウム及び四フッ化ケイ素のいずれか一つ以上を成分とする気体であることを特徴とする請求項2記載の光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造方法。
- 前記第2の工程および前記第3の工程における前記透明ガラス化は、前記ガラス管内に四塩化ゲルマニウムを導入しながら行うことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造方法。
- 前記第4の工程における前記ガラス管の中実化において、前記ガラス管に前記還元剤とともに不活性ガスを導入することを特徴とする請求項1記載の光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造方法。
- 前記不活性ガスは、ヘリウム、アルゴン及びネオンいずれか一つ以上を成分とする気体であることを特徴とする請求項5記載の光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造方法。
- 前記第4の工程における前記ガラス管の中実化を、前記ガラス管内を約1700℃から約2100℃までの温度にして行うことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造方法。
- 前記第4の工程の後、内層クラッドとなるべきガラス層の外径は、コアとなるべきガラス層の直径の6倍以下であることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ型回折格子作製用光ファイバ母材の製造方法。
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