JP3602013B2 - 強磁性トンネル接合素子の製造方法 - Google Patents

強磁性トンネル接合素子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高密度磁気ディスク装置における再生用磁気ヘッドや高密度磁気メモリ(MRAM)に適した磁気抵抗効果素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
強磁性トンネル接合素子は、二つの強磁性層の間に数nm厚の薄い絶縁体からなるトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ。この素子では、強磁性層間に一定の電流を流した状態で強磁性層面内に外部磁界を印加すると、両磁性層の磁化の相対角度に応じて抵抗値が変化する磁気抵抗効果現象が現れる。この磁化の向きが平行である場合には抵抗値は最小となり、反平行である場合には抵抗値が最大となる。したがって、両磁性層に保磁力差を付与することによって、磁界の強さに応じて磁化の平行及び反平行状態を実現できるため、抵抗値の変化による磁界検出が可能となる。
【0003】
近年、トンネルバリア層にAlの表面酸化膜を用いることによって、20%近い磁気抵抗変化率を示す強磁性トンネル接合素子が得られるようになったことから、磁気ヘッドや磁気メモリへの応用の可能性が高まってきた。こうした大きな磁気抵抗変化率を報告している代表例として、「1996年4月、ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス、79巻、4724〜4729頁(Journal of Applied Physics, vol.79, 4724〜4729, 1996)」がある。
【0004】
この技術を図面を用いて説明する。図8に示すように、蒸着マスクを用いてガラス基板81上にCoFeからなる第1の強磁性層82を真空蒸着し[図8(a)]、引き続き、マスクを交換して1.2〜2.0nm厚のAl層83を蒸着する[図8(b)]。このAl層83表面を酸素グロー放電に曝すことにて、Alからなるトンネルバリア層84を形成する[図8(c)]。最後に、このトンネルバリア層84を介して第1の強磁性層82と重なるようにCoからなる第2の強磁性層85を成膜して、十字電極の強磁性トンネル接合素子を完成させる[図8(d)]。この方法では、磁気抵抗変化率として最大18%という大きな値が得られている。
【0005】
その他の例として、特開平5−63254号、特開平6−244477号、特開平8−70148号、特開平8−70149号、特開平8−316548号、及び、「1997年、日本応用磁気学会誌、21巻、493〜496頁」等の報告がある。ここでは、トンネルバリア層の形成方法として、Al層を成膜した後、大気中に曝してAlを成長させる方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
強磁性トンネル接合素子を磁気ヘッドや磁気メモリ等のデバイスに適用するには、熱雑音の影響を低減する為に実用素子寸法である程度低い抵抗値が必要であるが、従来のトンネルバリア形成法ではその実現が困難であった。また、高密度化に対応した磁気ヘッドへの応用では、信号出力電圧の大きさが鍵を握るが、従来技術では素子特性を損なうことなく十分な電流密度が得られないという課題もあった。さらに、従来技術ではウェハ内やロット間の素子特性のばらつきが大きく、実用に供するだけの十分な製造歩留まりを得ることは難しかった。
【0007】
これらの課題は、主に従来のトンネルバリア層の形成方法に起因すると考えられる。すなわち、酸素グロー放電を用いる方法では、イオンやラジカル状態の活性酸素を導電層の酸化に用いるので、薄い酸化膜厚の制御すなわち素子抵抗の制御が難しいといった問題や、同時に発生する活性化された不純物ガスによってトンネルバリア層が汚染され接合品質が劣化するという問題がある。一方、大気中における自然酸化による方法では、大気中の粉塵でトンネルバリア層にピンホールを生じたり、水分、炭素酸化物、窒素酸化物等の汚染を受けることによって酸素グロー放電と同様に多くの問題を抱えている。
【0008】
本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、実用に必要な抵抗値及び信号出力電圧特性を備え、製造歩留まりを改善した強磁性トンネル接合素子の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的に従い、本発明の強磁性トンネル接合素子の製造方法は、第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合素子の製造方法において、前記第1及び第2の強磁性層は、Fe、Co、Ni又はそれら元素を含む合金であり、第1の強磁性層を成膜した後、バックグランド圧力1×10-7Torr以下まで排気して、Al、Mg、又は、ランタノイドに属する金属の何れかよりなる導電層を成膜した後、純酸素を導入し、該導電層表面を自然酸化してトンネルバリア層を形成する工程を含み、かつ第1の強磁性層、トンネルバリア層、第2の強磁性層を不純物ガスにさらすことなく同一スパッタ装置内で連続形成することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、第1の強磁性層を成膜した後、バックグランド圧力1×10 -7 Torr以下まで排気した環境中に純酸素を導入して該第1の強磁性層表面を酸化し、酸素を該導電層中に拡散する工程を含むこと、またさらに純酸素の酸素分圧が20mTorr〜200Torrであることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、バックグランド圧力1×10 −7 Torr以下まで排気した環境中に純酸素を導入し、導電層表面を自然酸化してトンネルバリア層を形成するので、不純物ガスの影響を受けない清浄な雰囲気で熱平衡状態を保ったまま酸化層の成長が可能であり、高品質のトンネルバリア層を制御性良く形成することができ、上記目的を達成できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の強磁性トンネル接合素子の製造方法に関する第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、第1の強磁性層11、導電層12を真空中で連続成膜し[図1(a)]、その後真空を破ることなく純酸素を導入し、導電層12の表面を自然酸化してトンネルバリア層13を形成する[図1(b)]。なお、図1(b)には導電膜12の酸化後でも第1の強磁性層11との界面に導電層12の未酸化部分が残されている場合を示しているが、酸化条件次第で完全に酸化させることも可能である。次に、酸素を排気した後、第2の強磁性層14を成膜して強磁性トンネル接合素子の基本構造を完成させる[図1(c)]。
【0014】
強磁性層11、14に、Fe、Co、Ni又はそれら元素を含む合金を用いた場合には、導電層12として強磁性層よりも小さな表面自由エネルギーの値を持つAlを選択することにより、特に下地となる第1の強磁性層11に対して良好な被覆性を呈する。その結果、完成された素子ではピンホールによる強磁性層間の電気的ショートの無い良好な特性が得られる。また、Alの酸素一原子あたりの生成自由エネルギーは、Fe、Co、Niよりも大きいので、トンネルバリア層となるAlは接合界面で熱的に安定である。
【0015】
導電層12に、Mgやランタノイドに属する金属を選択した場合には、同様な理由から下地となる第1の強磁性層11に対する良好な被覆性とともに、さらに熱的に安定なトンネルバリア層が得られる。
【0016】
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。図2に示すように、第1の強磁性層11を成膜し[図2(a)]、次いで真空中に酸素を導入して、第1の強磁性層11の表面に酸化層21を形成する[図2(b)]。この工程を加えると、次の工程で導電層12を成膜する際に第1の強磁性層11から導電層12に酸素拡散が起こり、第1の強磁性層11に還元領域22が形成されると共に、導電層12の下部表面に酸化層23が形成される[図2(c)]。
【0017】
この工程によれば、少なくとも強磁性層に接する両方の界面(図2(d)では全領域)に導電層12の酸化膜が形成されるので、より熱安定性に優れた素子が実現される。導電層12側に安定な酸化層を形成するには、導電層12の酸素一原子当たりの生成自由エネルギーが第1の強磁性層11を構成する元素よりも大きくすればよい。強磁性層にFe、Co、Ni又はそれらを含む合金を用いた場合には、導電層12としてAl、Mg、ランタノイドに属する金属を用いることが有効である。
【0018】
引続き、第1の実施の形態と同様にして、トンネルバリア層24、第2の強磁性層14を成膜すれば、強磁性トンネル接合素子の基本構造が得られる[図2(e)]。
【0019】
【実施例】
<実施例1>
本発明の第1の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
まず、図3(a)に示すように、表面を熱酸化したSi基板31上に50nm厚のAl膜からなる第1の配線層32、10nm厚のFe膜からなる第1の強磁性層33、2nm厚のAl層からなる導電層34を連続してスパッタ蒸着した。この成膜には、4インチ直径のターゲット4基を備えた高周波マグネトロンスパッタ装置を用いた。スパッタ条件は、すべてバックグランド圧力1×10−7Torr以下、Ar圧力10mTorr、高周波電力200Wとした。次に、スパッタ装置内に純酸素を導入し、酸素圧力を20mTorr〜200Torrの範囲で10分間保持して、Al導電層34表面を酸化してトンネルバリア層35を形成した。酸素を排気してバックグランド圧力に到達した後、20nm厚のCoFe膜からなる第2の強磁性層36をスパッタ蒸着し、結合構成層を完成した。
【0021】
次に、通常のフォトリソグラフィ技術とイオンミリング技術を用いて、接合構成層の全層を下部配線形状に加工した[図3(b)]。第2の強磁性層36上に接合寸法を規定するためのレジストパターン37を形成し、第1の強磁性層33までイオンミリングした[図3(c)]。このレジストを残したまま300nm厚のAl膜からなる絶縁層38を電子ビーム蒸着した後、レジストのリフトオフを行った[図3(d)]。次に、上部配線を形成するためのレジストパターン39を形成し[図3(e)]、その後第2の強磁性層36と第2の配線層40間の電気的な接触を得るために露出した試料表面の逆スパッタクリーニングを行った。引き続き、200nm厚のAl膜からなる第2の配線層40を蒸着し、最後にレジストをリフトオフすることによって上部配線を形成し、強磁性トンネル接合素子を完成した[図3(f)]。
【0022】
図4に、このようにして作製した強磁性トンネル接合素子の代表的な磁気抵抗曲線を示す。この素子の接合面積は40×40μmであり、トンネルバリア層を形成する際のAlの酸素圧力は20Torrとした。印加磁界を−300 0eから300 0e に、さらに逆に300 0e から−300 0e に変化させることにより、抵抗値はA→B→C→D→E→F→G→H→Aの曲線上を移動する。B、Fの立ち上がりと、D、Hの立ち下がりは、それぞれFeとCoFeの保磁力に対応している。A、EでFeとCoFeの磁化の向きが平行状態、C、Gで反平行状態が実現されていることを意味している。この磁気抵抗曲線から読み取った磁気抵抗変化率は約5%であり、接合面積(2×2μm〜40×40μm)に関係無くほぼ同一の値が得られた。一方、抵抗値は、図5に示すように、接合面積に対してきれいな逆比例の関係を示した。最小二乗法から求めた傾きは−1.004であり、非常に制御性よく素子が作製されていることが分かる。接合面積で規格化した抵抗値は1.5×10−5Ωcmであり、トンネルバリア層形成時の酸素圧力を20mTorrまで低下させることによって、さらに一桁以上小さな抵抗値が得られた。これらの抵抗値は従来の方法で得られた最も小さい抵抗値よりも二桁から三桁小さな値である。
【0023】
図6に10×10μmにおける抵抗値及び磁気抵抗変化率の電流密度依存性を示す。抵抗値、磁気抵抗変化率共に電流密度を増加させても10A/cmまでは全く変化が認められなかった。5×10A/cmでも抵抗値の変化はほとんど無く、磁気抵抗変化率も約10%の減少に止まっている。しかも、この値は電流密度を減少させるともとの状態に復帰した。これらの結果から、磁気抵抗効果素子としての強磁性トンネル接合素子の信号出力電圧を求めると、10A/cmの電流密度で約1mV、5×10A/cmで約3mVであった。この素子を再生磁気ヘッドに用いた場合、後者は10Gb/in以上の記録密度に対応できると考えられる。
【0024】
<実施例2>
次に、本発明の第2の実施例を説明する。
【0025】
実施例1の図3(a)の工程で導電層34として2nmのAl膜の代わりに、同膜厚のMg膜を用いた。その他の工程は実施例1と全く同じとした。得られた磁気抵抗変化率は約8%であり、接合面積(2×2μm〜40×40μm)に関係無くほぼ同一の値が得られた。接合面積で規格化した抵抗値は、トンネルバリア層形成時の酸素圧力20Torrでは1.6×10−5Ωcmであり、20mTorrまで低下させることによって、さらに一桁以上小さな値が得られた。これらの抵抗値は、従来の方法で得られた最も小さい抵抗値よりも二桁から三桁小さな値である。抵抗値及び磁気抵抗変化率は共に、電流密度10A/cmまで全く変化が認められなかった。この条件での信号出力電圧は約1.3mVであった。
【0026】
<実施例3>
次に、本発明の第3の実施例を説明する。
【0027】
実施例1の図3(a)の工程で導電層34として2nmのAl膜の代わりに、同膜厚のLa膜を用いた。その他の工程は実施例1と全く同じとした。得られた磁気抵抗変化率は約6%であり、接合面積(2×2μm〜40×40μm)に関係無くほぼ同一の値が得られた。接合面積で規格化した抵抗値は、トンネルバリア層形成時の酸素圧力20Torrでは2.7×10−5Ωcmであり、20mTorrまで低下させることによって、さらに一桁以上小さな値が得られた。これらの抵抗値は、従来の方法で得られた最も小さい抵抗値よりも二桁から三桁小さな値である。抵抗値及び磁気抵抗変化率は共に、電流密度10A/cmまで全く変化が認められなかった。この条件での信号出力電圧は、約1.6mVであった。
【0028】
本実施例では、導電層34に用いるランタノイドに属する金属としてLaを用いたが、代わりに、Nd、Sm、Luなど同族の金属を用いてもほぼ同様な結果が得られる。
【0029】
<実施例4>
本発明の第4の実施例を説明する。
【0030】
まず、図7(a)に示すように、表面を熱酸化したSi基板31上に50nm厚のAl膜からなる第1の配線層32、10nm厚のFe膜からなる第1の強磁性層33を連続してスパッタ蒸着した。この成膜には、4インチ直径のターゲット4基を備えた高周波マグネトロンスパッタ装置を用いた。スパッタ条件は、すべてバックグランド圧力1×10−7Torr以下、Ar圧力10mTorr、高周波電力200Wとした。次に、スパッタ装置内に純酸素を導入し、酸素圧力200Torrで10分間保持して、Fe膜表面にFeOx層71を形成した。酸素を排気してバックグランド圧力に到達した後、2nm厚のAl膜からなる導電層34をスパッタ蒸着した[図7(b)]。その際、Fe膜表面のFeOxの酸素がAl膜へ拡散し、この界面にAl層73が形成された。もう一度、スパッタ装置内に純酸素を導入し、酸素圧力を20mTorr〜200Torrの範囲で10分間保持して、Al導電層34表面を酸化してトンネルバリア層74を形成した。酸素を排気した後、20nm厚のCoFe膜からなる第2の強磁性層36をスパッタ蒸着し、結合構成層を完成した[図7(c)]。本実施例では、トンネルバリア層74とするAl膜が完全に酸化された。
【0031】
次に、通常のフォトリソグラフィ技術とイオンミリング技術を用いて、接合構成層の全層を下部配線形状に加工した[図7(d)]。第2の強磁性層36上に接合寸法を規定するためのレジストパターン37を形成し、第1の強磁性層33までイオンミリングした[図7(e)]。このレジストを残したまま300nm厚のAl膜からなる絶縁層38を電子ビーム蒸着した後、レジストのリフトオフを行った[図7(f)]。次に、上部配線を形成するためのレジストパターン39を形成し[図7(g)]、その後第2の強磁性層36と第2の配線層40間の電気的な接触を得るために露出した試料表面の逆スパッタクリーニングを行った。引き続き、200nm厚のAl膜からなる第2の配線層40を蒸着し、最後にレジストをリフトオフすることによって上部配線を形成し、強磁性トンネル接合素子を完成した[図7(h)]。
【0032】
得られた磁気抵抗変化率は約10%であり、接合面積(2×2μm〜40×40μm)に関係無くほぼ同一の値が得られた。接合面積で規格化した抵抗値は、トンネルバリア層形成時の酸素圧力20Torrでは5×10−5Ωcmであり、20mTorrまで低下させることによって、さらに一桁以上小さな値が得られた。これらの抵抗値は従来の方法で得られた最も小さい抵抗値よりも二桁から三桁小さな値である。抵抗値及び磁気抵抗変化率は共に電流密度1.5×10A/cmまで全く変化が認められなかった。この条件での信号出力電圧は約7.5mVであった。この素子を再生磁気ヘッドに用いた場合、20Gb/in以上の記録密度に対応できると考えられる。
【0033】
<実施例5>
次に、本発明の第5の実施例を説明する。
【0034】
実施例4の図7(a)の工程で導電層34として2nmのAl膜の代わりに、同膜厚のMg膜を用いた。その他の工程は実施例4と全く同じとした。得られた磁気抵抗変化率は約9%であり、接合面積(2×2μm〜40×40μm)に関係無くほぼ同一の値が得られた。接合面積で規格化した抵抗値は、トンネルバリア層形成時の酸素圧力20Torrでは6×10−5Ωcmであり、20mTorrまで低下させることによって、さらに一桁以上小さな値が得られた。これらの抵抗値は従来の方法で得られた最も小さい抵抗値よりも二桁から三桁小さな値である。抵抗値及び磁気抵抗変化率は共に、電流密度1.5×10A/cmまで全く変化が認められなかった。この条件での信号出力電圧は約8.1mVであった。
【0035】
<実施例6>
次に、本発明の第6の実施例を説明する。
【0036】
実施例4の図7(a)の工程で導電層34として2nmのAl膜の代わりに、同膜厚のLa膜を用いた。その他の工程は実施例4と全く同じとした。得られた磁気抵抗変化率は約12%であり、接合面積(2×2μm〜40×40μm)に関係無くほぼ同一の値が得られた。接合面積で規格化した抵抗値は、トンネルバリア層形成時の酸素圧力20Torrでは4×10−5Ωcmであり、20mTorrまで低下させることによって、さらに一桁以上小さな値が得られた。これらの抵抗値は従来の方法で得られた最も小さい抵抗値よりも二桁から三桁小さな値である。抵抗値及び磁気抵抗変化率は共に電流密度1.5×10A/cmまで全く変化が認められなかった。この条件での信号出力電圧は約7.2mVであった。
【0037】
本実施例では、導電層34に用いるランタノイドに属する金属としてLaを用いたが、代わりに、Nd、Sm、Luなど同族の金属を用いてもほぼ同様な結果が得られる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、不純物ガスの影響を受けない清浄な雰囲気で熱平衡状態を保ったまま酸化層の成長が可能なので、高品質のトンネルバリア層を制御性良く形成することができる。また、酸素圧力や基板温度の制御等によって磁気ヘッドや磁気メモリなどのデバイス応用に必要な低抵抗値及び高電流密度の素子を容易に得ることができる。さらに、ウエハ内の素子特性の均一性やロット間の再現性に優れた素子を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は本発明の第1の実施の形態を説明する為の工程図である。
【図2】(a)〜(e)は本発明の第2の実施の形態を説明する為の工程図である。
【図3】(a)〜(f)は実施例1を説明する為の工程図である。
【図4】実施例1で作製した強磁性トンネル接合素子の磁気抵抗曲線図である。
【図5】実施例1で作製した強磁性トンネル接合素子の抵抗と接合面積の関係を示す図である。
【図6】実施例1で作製した強磁性トンネル接合素子の10μm角接合における抵抗及び磁気抵抗変化率の電流依存性を示す図である。
【図7】(a)〜(h)は実施例4を説明する為の工程図である。
【図8】(a)〜(d)は従来の強磁性トンネル接合素子の製造方法を説明する為の工程図である。
【符号の説明】
11 第1の強磁性層
12 導電層
13 純酸素の自然酸化により形成したトンネルバリア層
14 第2の強磁性層
21 第1の強磁性層の表面酸化膜
22 第1の強磁性層の還元領域
23 導電層下部表面の酸化層
24 純酸素の自然酸化により形成したトンネルバリア層

Claims (3)

  1. 第1の強磁性層と第2の強磁性層の間にトンネルバリア層を挟んだ構造を持つ強磁性トンネル接合素子の製造方法において、前記第1及び第2の強磁性層は、Fe、Co、Ni又はそれら元素を含む合金であり、第1の強磁性層を成膜した後、バックグランド圧力1×10-7Torr以下まで排気して、Al、Mg、又は、ランタノイドに属する金属の何れかよりなる導電層を成膜した後、純酸素を導入し、該導電層表面を自然酸化してトンネルバリア層を形成する工程を含み、かつ第1の強磁性層、トンネルバリア層、第2の強磁性層を不純物ガスにさらすことなく同一スパッタ装置内で連続形成することを特徴とする強磁性トンネル接合素子の製造方法。
  2. 第1の強磁性層を成膜した後、バックグランド圧力1×10-7Torr以下まで排気した環境中に純酸素を導入して該第1の強磁性層表面を酸化し、酸素を該導電層中に拡散する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の強磁性トンネル接合素子の製造方法。
  3. 純酸素の酸素分圧が20mTorr〜200Torrであることを特徴とする請求項1または2に記載の強磁性トンネル接合素子の製造方法。
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