JP3610472B2 - 連設する集成要素よりなる軸方向積層構造ロール - Google Patents

連設する集成要素よりなる軸方向積層構造ロール Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、各種プロセスに用いられる軸方向積層構造ロール(いわゆるリンガーロール、脱液ロール等)に関し、不織布或いは不織布に架橋弾性体等を付与し得られた各種機能性複合材(ロール素材)より部分構成片を形成し、この部分構成片で円環状集成要素を構成し、これの円環状集成要素ブロック、円環状要素ブロックを軸本体に装填(積層)し、筒状のロール構造体とする、軸方向積層構造ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の軸方向積層構造ロールの中でも進歩した形態の不織布系ロールは、従来一般的であったラバーロールに比し、液体の除去性が高く、効率の高い処理が可能となる等の特徴があり、鉄鋼、フィルム、基板関係の他に、他業種分野での利用が拡大している。例えば、ロール素材を積層しロール本体となした絞りロール構造、又は本出願人の提案による特許第1608098号「不織布よりなるロール本体を備えた吸液ロールを製造する方法」、同特許第1644324号「ガラス、板材の加工処理における不織布ロール装置」等の如く、ロール素材を積層しロール本体部となし、このロール本体部の吸液、給液機能を真空、与圧作用等により積極的に制御、機能維持する構造を備えるものも有るが、何れも素材は必要なサイズの円環状に打ち抜いている。それが為、不使用部分の面積が非常に高くなり、その利用率(歩留まり)が下がる。勿論、ロール径、円環部幅によっても、その利用率は大幅に変わるものの、何れにしても、この例では、略70%以上のロス率となることも有り得る。無論、種々のロールサイズがあり、内径側部分を小径用に用いる等の理想的な組み合わせが可能な場合には、相当程度の改善となる。しかし、ロール本体の機能維持、適切な組み合わせとなる状況が少ないこと等から十分な成果が上がっていないのが現況である。従って、ロール素材が高コストとなる経済ロス及び利用分野が限定され兼ねない等の問題、又は高いロス率のまま生産が余儀無くされる問題、等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ロール素材を打ち抜き、単一の円環状要素を作成する場合における材料ロスは、主にその基本的な形状(円形)に由来する。殊に、ロールでの使用態様は、必要部分が環状の幅部分に限定されることと相俟て、そのロス率は一般に極めて高くなる。特に高度な特性・機能性を備えたロール素材を用い、かつ能力を最大限に引き出して制御し、かつこのような状況を維持するロール構造、例えば、リンガーロール・機能性ロール等(以下、機能性ロールとする。)では、従来不可能であった、高水準の給液・排液能力、機能を実現したことにより、種々の工業プロセス分野にて高い注目を集める。当然のことながらこの分野で、品質、効率化等に大きく貢献している。以上のような先端的な機能性ロールでは、そのロール素材のコストウェイトが極めて高いため、ロス分もまた相当額に上るものになっている。
【0004】
本発明は、一般的といえるロールを始めとして、前記先端的な機能性ロール等に関する固有の背景に基づくものであって、ロール本体を構成する素材要素の基本的な形態について、従来の既成概念を打破し、全く新しい形態を提供し、かつ技術的な裏づけを提供するものでもあり、以下にその内容を説明する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ロール素材よりロール構成用の部分構成片(100)を作成し、この部分構成片を数枚連設してなる円環状集成要素(110)と、この円環状集成要素を多数枚積層処理して構成するロール本体と、このロール本体が套嵌される軸本体とで構成される。従って、素材利用率の向上を図り得ること、製品のコストダウンが図れること、又はより広範な用途への普及を可能とすること、等の特長がある。また素材資源の無駄な消費を最小限とすることによって社会的なニーズにも応える。更には作業者の熟練を含む高度な圧縮成形技術、特殊な設備等への依存度が低く、合理的で管理が容易な生産体系の実現を可能とするものでもあり、かつ作業者の熟練を含む高度な圧縮成形技術、特殊な設備等への依存をなくして製品の品質の維持、高水準化にも寄与できる。
【0006】
請求項2の発明は、ロール素材よりロール構成用の部分構成片(100)を作成し、この部分構成片を数枚連設してなる円環状集成要素(110)と、この円環状集成要素を多数枚積層処理して構成する円環状集成要素ブロック(110’)と、この円環状集成要素ブロックが数個套嵌される軸本体とで構成される。従って、請求項1の発明と略同効が期待できる。
【0007】
請求項3の発明は、円環状集成要素を多数枚積層するときに、円環状集成要素間に異種の接合用低融点繊維、同フィルム、同プレート材等の異種材を介在する構成である。従って、軸方向積層構造ロールにさらに機能的効果が付与される。
【0008】
請求項4の発明は、部分構成片を連設して円環状集成要素とし、円環状集成要素を多数枚積層するときに、部分構成片の連設箇所が重なり合わない構成である。従って、軸方向積層構造ロールにさらに機能的・実用的な効果が付与される。
【0009】
請求項5の発明は、軸本体の両端にそれぞれ側板を設ける構成である。従って、構造の簡略化、低コスト化、製造・作業等の合理化、迅速化等に役立つ。
【0010】
請求項6の発明は、円環状集成要素を加圧、加熱して接合一体化する構成である。従って、軸方向積層構造ロールの実用化に役立つ。
【0011】
請求項7の発明は、円環状集成要素を接合剤、絡合等の接合手段を介して接合一体化する構成である。従って、円環状集成要素・軸方向積層構造ロールの一体化の強化、又は軸方向積層構造ロールの機能の向上及び充実に役立つ。
【0012】
請求項8の発明は、ロール素材より部分構成片を作成し、部分構成片を多数枚積層して構成する部分構成片ブロックと、部分構成片ブロックを数個連設した円環状集成要素ブロックと、円環状集成要素ブロックが数個套嵌される軸本体と、軸本体の両端の側板とで構成される。従って、請求項1の発明と略同効が期待できる。
【0013】
請求項9の発明は、ロール素材を多数枚重畳した状態でロール構成用の部分構成片ブロックを作成し、部分構成片ブロックを数個連設して構成する円環状集成要素ブロックと、円環状集成要素ブロックが数個套嵌される軸本体と、軸本体の両端の側板とで構成される。従って、請求項1の発明と略同効が期待できる。
【0014】
請求項10の発明は、ロール素材間に異種の接合用低融点繊維、同フィルム、同プレート材等の異種材を介在する構成である。従って、軸方向積層構造ロールにさらに機能的効果が付与される。
【0015】
【発明の実施の形態】
ロール素材1より一体型円環状要素101’を得るに、図2(a)にその一例を示すような不使用部分60を生ずる。同図(b)、(c)は、内外側の不使用部分60a、60bと、打ち抜き後の一体型円環状要素101’を示し、同図不使用部分斜線部位によって示されるように、原材料面積に対する有効使用部分面積の比率(利用率)は低いものとなる。例えば、外径200mm、内径140mm(w=30mm)の一体型円環状要素101’を、200mmの正方形ロール素材101より得る場合、その有効利用率は40.1%となるに過ぎない。この値は、円環部の幅wによっても相当程度変動し、w=20mmとなるケースでは、更に28.3%に低下する。この関係は、円環部の幅wを素材外形寸法(正方形寸法)に対する%値(w’)で表した場合、下記の関係で表される。
【0016】
有効利用率(%)
η1=(π(1−(1−(2w’/100)))/4)×100
一方、本発明では、ロール本体をなすロール素材1より形成した部分構成片100を複数枚連設して円環状を構成する集成要素(円環状集成要素110)よりなる。図1(a)はこうした円環状集成要素110を示し、同図(b)はその部分構成片100を示す。図1(c)は、ロール素材1より部分構成片100を打ち抜く、又は切り抜き等する(以下、打ち抜きで説明する。)。この打ち抜きの反復パターンを示しており、部分構成片100を作成するときに生ずるロスが極めて低いことが理解できる。同図(e)は、その単位反復形状と、同図5に示す打ち抜き後の部分構成片100を得る場合における不使用部分50を斜線部位として示す。この場合の有効利用率(%)は、直径Dを1とし、円環部の幅wとして表した場合、下記の関係で表される。
【0017】
Figure 0003610472
式中、θは部分構成片100を含む扇形の中心角(開角)を表し、部分構成片100は必ずしも等分割である必要はないが、図1(a)に示すのと同様の四等分片よりなる構成の場合、θ=90゜となる。円環部の幅wの形状条件を、前述の一体型円環状要素101’を作成し、これを用いる場合の例と同様とすると、w=30mmでは、40.1%、同20mmでは、28.3%等となる。之に対して、本発明の構造、方法では、以下に示すような極めて高い効率の達成が可能になる。
【0018】
Figure 0003610472
前記されているように、従来のものでは、円環部の幅wの減少に伴って、その利用効率が大幅に低下(w=20mmにて、η1=28.3%に達するなど)してい。これに対して、本発明の場合は、図1(a)に示すような部分構成片100よりして円環部の幅wの減少に伴い、扇形の内外径曲率の差は減少し、その不使用部分面積(図1(e)、斜線部50)はむしろ少なくなる。この他、ロール素材1には所定の幅があり、必ずしも打ち抜き形状寸法の整数倍とはならないため、一体型円環状要素101’では、その形状寸法の上昇に従い、かなりの端材が発生する。これに対して、本発明では、円環部の幅w方向が最小打ち抜き単位寸法となること、及び配列、配置の自由度も高いため、ロスが少なく、端材の発生も少なくなる(最小限となり得る)。
【0019】
尚、図3には部分構成片100の形状多様性の一部例を示す。図3(a)は、図1に示す部分構成片連設部形状(円環の中心点と外周を結ぶ直線により規定される)110aに対し、やや傾斜角(図示では30゜)を有する部分構成片連設部形状110a’とする。これにより、積層構造ロールが被処理物に触れる際その接触圧により連設する境界が更に閉じられる構造となり、その作用面の均質連続性が助長される。同図(b)は、嵌め合い部形状110a’’により、集成組立の際に自律的な位置決め機能を生じ、精度、作業性に寄与する連設部形状、構造を示し、同図(c)は、より保持性の高い嵌め合い部形状110a’’’として、精度の確保、取り扱い性等、更に向上を図り得る連設部形状、構造を示す。図3の各例では、軸本体2との一体化を意図する嵌合部100aを部分構成片100の内周側に備える形状を示す。
【0020】
このロール素材1の一般的な例としては、繊維系ウェッブ材をニードルパンチ法、水流を利用したウォータジェットパンチ法等で絡合した構造体、又は紡糸から直接絡合体ウェッブを生成するダイレクトファブリケーション法による構造体等、いわゆる不織布系素材、又はこの構造体と樹脂、高分子架橋弾性体等との複合化によって得られる人工皮革系材料等もこの中に含まれることから、種々の複合材系素材、機能性素材等がある。更には、前記のような構造体に、低融点の繊維、付加物等の如く、異種の素材を加えたもので、溶解により絡合し、かつその特性を本発明の手段のひとつとして利用可能な特性を備える素材等の如く、多様な選択も可能である。
【0021】
図4、図5は、複数の部分構成片100を連設し、円環状集成要素110を形成する局部構造の他の例を示す。図4(a)は、連設部位端面での接合111aを示し、同図(b)は、接合面が剪断力方向に作用するものとなり、より高い接合力を発揮しやすい構造となる、積層方向に立体的に隣接する他の構成片の非連設部100b積層面での接合111bを示す。同図(c)は、接合剤を積層面間に用いる場合の付与形態(塗布等)の分布パターン例を示す。同図(c−1)は、比較的高い接合強度が得られやすい全面塗布例を示し、同図(c−2)は、素材層間方向の機能性を維持し接合する格子状 パターンを示し、同図(c−3)は、接合剤介在の素材機能性面での影響を最小限にとどめ有効な接合を維持する一例としてドット状パターンを示す。同図(c−4)は、格子状の特性を備え且つ接合部の構造的安定性も高い、ハニカム状パターンを示す。図5(a)は連設部位の縫合による接合111cを示し、同図(b−1)、(b−2)(断面)は、連設部位の接合具による接合111dを示す。同図(c)は、積層方向に隣接する他の構成片の非連設部100bをも立体的に絡合し、接合する、より高い接合力を発揮しやすい構造を示す。同図では、積層方向に隣接する他の構成片の非連設部も立体的に接合111eした場合の一例を示すが、縫合等他の方法によっても可能である。
【0022】
部分構成片100から、ロール本体121を構成するプロセスを示す。図3、図4、図5の如く、部分構成片100を連設して、円環状集成要素110を構成し、この円環状集成要素110を多数枚積層加圧等処理する方法、前記円環状集成要素110を多数枚積層加圧等処理してブロック化して円環状集成要素ブロック100’’とし、この円環状集成要素ブロック100’’を数個積層する方法、円環状集成要素110を多数枚積層又はブロック化するときに、この円環状集成要素110と、円環状集成要素間に異種の接合用低融点繊維、同フィルム、同プレート材等の異種材を介在する方法、又は図4(b)、図5(c)の如く、円環状集成要素110を複数枚積層又はブロック化するときに接合剤を介在又は含浸する方法、等の方法と、又は図10(a)、(b)の如く、部分構成片100を、ブロック化して部分構成片ブロック100’を構成し、この部分構成片ブロック100’を連設して円環状集成要素ブロック100’’とし、この円環状集成要素ブロック100’’を数個積層する方法、図10(c)、(d)の如く、ロール素材1を複数枚積層して部分構成片ブロック100’を打ち抜き、この部分構成片ブロック100’を連設して円環状集成要素ブロック100’’とし、この円環状集成要素ブロック100’’を数個積層する方法、等が考えられる。
【0023】
尚、図示しないが、他の特性、例えば、ロール素材1に本来備える含有物の特性を生かし、特定の加圧、加熱等処理条件を整えることによって、円環状集成要素110を接合して円環状集成要素ブロック120を作成し、この円環状集成要素ブロック120を数個積層する方法、又は同様に部分構成片100を部分構成片ブロック100’とする構成の方法、またロール素材1より部分構成片ブロック100’とする構成の方法、等にも採用できる。
【0024】
前記図1、同3、同5に示す円環状集成要素110は、図6〜図8に示すような方法により更に集積され、積層構造ロールを成すものとなる。図6は円環状集成要素110(図6(a))、或いはこれら複数層をもって立体的にも相互に連設した構成をなす円環状集成要素110’(図6(b))を軸本体2に集積、装填し、プレス装置上にてロール本体121を形成する態様(図6(c))を示す。同図(c)において、図左半部は、非加圧開放、装填作業状態の態様を示し、右半部は加圧、ロール構造体形成完了時態様を示す。同6の図中3はロール本体121の端保持用の側板を示す。図7は円環状集成要素110(図7(a))を多数積層し、ブロック状の円環状集成要素ブロック素材110’’(図7(b))を準備し、一体化処理のための中間工程(図7(c))を経、立体的或いは筒状のブロック形態をなす円環状集成要素ブロック120を得る態様を示す。同図(c)を含む中間工程では、条件に応じ、加圧、加熱、薬剤等の付与の他、容器、型冶具等による成形等、必要な一体化のための加工処理が行なわれ、例えば、加圧、加熱条件を、3kg/cm、100℃とする等の処理によって、ブロック形態をなす円環状集成要素ブロック120が得られる。このブロック形態をなす円環状集成要素ブロック120を、図8に示すように軸本体2に順次集積、装填することによってもロール本体121を形成し得る。同図中3はロール構造体端保持部を示し、一般には、両端を側板3により固定し、軸本体2とともに、ロール素材1とするが、側板3を必要としない構成もある。この側板3なしの構成、又はブロック形態を成す要素による構成・方法等では、製造、組立工程作業内容のより進んだ合理化(作業内容の単純化、形式化)が可能となり、これによりさらに効率の向上(迅速化)も達成され易くなり、これらの結果及びその方式上の特性より、品質、精度等の維持、安定性が図れる。さらに設備上も、図6(c)に示すようなプレス装置設備に比較簡略な設備によることが可能になって、設備面の合理化、普及等にも寄与し得る利点を備え、実用的に役立つ特長を有している。
【0025】
図9は、帯状を成すロール素材1’をもって円環状要素200(図9(b))を構成する態様、又は複数層をもって立体的にも相互に連設した構成を成す円環状要素ブロック210(図9(c))とする態様を示す。この方法は、円環状を構成する分部構成片100を用いないが、素材の変形性が良好な場合等に可能であり、円環状の要素を異形材より構成し、これらの集成をもってロール本体121を形成する点において同一の概念に基づくものであって、円環状集成要素110、又は円環状集成要素110’を作成以降のロール本体121の態様は、ブロック形態として構成する場合を含め、前述の図6、7、8等と略同様の内容になる。
【0026】
図10は、部分構成片ブロック100’を利用して円環状集成要素ブロック120を構成する一例を示しており、同図(a)、(b)は打ち抜かれた部分構成片100を多数積層して構成する例を示しており、この部分構成片100を積層するに際しては、前記加圧処理、異種材の介在等が採用される。この部分構成片ブロック100’より円環状集成要素ブロック素材110’’及び円環状集成要素ブロック120を作成し、ロール本体121とすることは前述の例と同様である。また同図(c)、(d)は円環状集成要素ブロック120を構成する部分構成片ブロック100’を得る態様を示す。この場合、ロール素材1を複数枚積層し、この積層した状態のロール素材1よりブロック化した部分構成片ブロック100’を打ち抜く等の方法により得る。この部分構成ブロック100’より円環状集成要素ブロック120を構成することは前述の例と略同様である。尚、ロール素材1間に接合剤を介在又は含浸する方法、絡合等の方法は、前述の例と略同様である。
【0027】
尚、軸本体2は図8(a)がむく構造、図8(b)が孔(符号付けず)を備えた吸引・給付(塗布、塗着等)機能構造(真空等のポンプを設ける。)であり、適宜選択できる。
【0028】
【実施例】
「実施例1」
ロール素材として、東レ(株)製人工皮革系材料であるエクセーヌ/GSフェルト(商品名)系素材を用い、ロール構造体部外径250mmのロール製作に適用する。この素材は、0.12デニール級のバンドル状超極細繊維及び弾性架橋構造体をなすエラストマーよりなる機能性複合材であって、種々の機能上の特性を有する反面、製造コストが極めて高くなるため、これを用いた製品(ロール)も高額とならざるを得ない。こうした製品は、高度な機能が求められる分野では極めて高く評価されている一方、より一般的な使途等では、詳しく費用対効果の判定を行う必要を生ずるなどの問題を有している。
【0029】
本実施例では、分部構成片100(図1)をロール素材1より得る。この分部構成片100を集成して円環状集成要素110(図1)となし、これより円環状集成要素ブロック素材110’’を得る。尚、加圧、加熱処理(図7(c))等の処理を経由して円環状集成要素ブロック120とし、ロールの軸本体2に集積、装填しロール本体121(図8)を形成してロール単体を完成する。図2にも示されるように、従来、実際に一体型円環状要素101’を得る際のロス率は60%を超えることも少なくないが、本実施例では、90%以上の利用率を達成している。また本実施例に用いられる機能性素材の場合、弾性体積変化率が大きく取扱いにくい特性を有す反面、均等な密度、空隙率分布を確保する必要があるなどの理由により、高度な圧縮成形技術が必要とされるが、本実施例の技術では、ロール構造体設計設定硬度(ショアー硬度、Hs55゜設定)は個々のブロック形態をなす円環状集成要素ブロック120単位で確保されるものとなり、幅方向の分布均一性、精度等、製品品質の維持にも寄与するものとなっている。能力的には、従来の一体型円環状要素101’を用いた機能性ロール(真空差圧作用併用)との比較において、遜色のない結果が得られている。
【0030】
「実施例2」
前記実施例1で使用した素材に、グラビアコーターにより三洋化成工業(株)製ウレタンエマルジョンをコーティング(50g/m)、乾燥して、素材シートを準備する。これを実施例1と同様に打ち抜いて、4枚の部分構成片100をもって円環状集成要素110を構成し、この要素を積層して円環状集成要素ブロック素材110’’(図7(b))を構成し、一体化のための熱処理工程を経、ブロック形態をなす円環状集成要素ブロック120を得る。この後前述の実施例1と同様の工程によってロール本体121(図8)を形成し、ロール単体を完成するものとなっている。
【0031】
この場合、実施例1に比較より高度なロール構造体の一体性が得られ、強度上優れている他、高加圧を必要とせず(無圧縮に近い状態の柔軟性等)素材原材料特性を最大限生かすことも可能となる。能力的には、従来の一体型円環状要素101’を用いた機能性ロール(真空差圧作用併用)との比較において、遜色のない結果が得られている。
【0032】
「実施例3」
実施例3は、より一般的な不織布系素材として、ダイレクトファブリケーションによる東レ(株)製のアクスター(商品名)系を用いたロール製作に適用する。この場合も実施例1と同じく部分構成片100より円環状集成要素110を構成し、更に円環状集成要素ブロック素材110’’を得るのであるが、図10(a)、同(b)に示すようなブロック化した部分構成片ブロック100’を用いている。このような分部構成片のブロック化により、分部構成片100の集成作業(図6(b)に示す円環状要素の集成作業、図6(c)、図7(b)に示すロール構造体原型の集成作業等)が簡略化される等の利点がある。特に、いわゆる軽目付け材料(低密度、軽量、又は有効素材厚みが薄いもの等)のように、必然的に積層数が多くなる場合に、効果的となる。能力的には、従来の一体型円環状要素101’を用い同種のロールとの比較において、特に遜色のない結果が得られている。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、ロール素材より部分構成片を作成し、部分構成片から円環状集成要素及び円環状集成要素ブロックを構成し、円環状集成要素ブロックを軸本体に套嵌して軸方向積層構造ロールを構成する。従って、素材利用率の向上を図り得ること、製品のコストダウンが図れること、又はより広範な用途への普及を可能とすること、等の特長がある。また素材資源の無駄な消費を最小限とすることによって社会的なニーズにも応える。更には作業者の熟練を含む高度な圧縮成形技術、特殊な設備等への依存度が低く、合理的で管理が容易な生産体系の実現を可能とするものでもあり、かつ作業者の熟練を含む高度な圧縮成形技術、特殊な設備等への依存をなくして製品の品質の維持、高水準化にも寄与できる。
【0034】
また本発明は、ロール素材より部分構成片ブロックを作成し、部分構成片ブロックから円環状集成要素及び円環状集成要素ブロックを構成し、円環状集成要素ブロックを軸本体に複数個套嵌して軸方向積層構造ロールとする。従って、前述の効果の他に、軸方向積層構造ロールにさらに機能的効果が付与される。
【図面の簡単な説明】
【図1】円環状集成要素、部分構成片、展開したロール素材上の部分構成片の打ち抜 き、利用パターン例を示す。(a)は円環状集成要素、(b)は部分構成片、(c)は展開したロール素材上のパターン、(d)は基本反復パターン、(e)はロス部を含む単位 パターン、(f)は利用部分を示す図である。
【図2】展開したロール素材上の従来の一体型円環状要素材料取りパターン、単位ロス部、利用部分例を示す。(a)は展開したロール素材上のパターン、(b)は単位ロス部、 (c)は利用部分を示す図である。
【図3】円環状要素、部分構成片例を示す。(a)は傾斜角を有する連設部形状、(b)は嵌め合い部を備える連設部形状、(c)は保持性の高い嵌め合い部を備え る連設部形状を示す図である。
【図4】部分構成片、部分構成片ブロック、円環状集成要素の接合部局部(断面)、 積層面間に用いる接合剤塗布分布パターンを示す。(a)は部分構成片等連設部位端面での接合、(b)は隣接する他の構成片非連設部積層面での接合、 (c−1)は積層面接合剤全面塗布例、(c−2)は同格子状パターン、(c−3)は同ドット状パターン、(c−4)は同ハニカム状パターンを示す図である。
【図5】縫合他による部分構成片等連設部位の接合を示す。(a)は縫合による接合 、(b−1、2)は接合具による接合、(c)は積層方向に隣接する他の構成片の 非連設部をも立体的に結合、接合する構造を示す図である。
【図6】部分構成片よりなる円環状集成要素とプレス装置上にてロール本体を形成する 態様を示す。(a)は円環状集成要素、(b)は円環状集成要素の他の一例を示す。(c)は軸本体に集積、装填し、プレス装置上にてロール本体を形成する態様を示す図である。
【図7】円環状集成要素、円環状集成要素ブロック素材、円環状集成要素ブロックを示す。(a)は円環状集成要素、(b)は円環状集成要素ブロック素材、(c)は一体化のための中間工程、(d)は円環状集成要素ブロックを示す図である。
【図8】円環状集成要素ブロックとともに、軸方向積層構造ロールをなすものとなる軸本体と同軸本体上のロール本体を示す。(a)は一般的な通常の軸本体を備える構成、(b)は真空作用等により高度な機能性を発揮する構造の軸本体を備え る構成を示す図である。
【図9】帯状をなす素材をもって円環状要素を得る態様を示す。(a)は帯状をなす 素材、(b)は円環状を形成する変形段階と、円環状をなす要素、(c)は相互に連設した状態の構成を示す図である。
【図10】ブロック化した部分構成片を得る態様を示す。(a)は部分構成片の一例を示す。(b)は部分構成片ブロックの一例を示す。(c)は複数枚積層した状態のロール 素材、(d)は部分構成片ブロックを示す図である。
【符号の説明】
1 ロール素材
1’ ロール素材
2 軸本体
3 側板
50 本発明による場合の不使用部分(ロス)
60 従来法による場合の不使用部分(ロス)
60a 内側の不使用部分
60b 外側の不使用部分
100 部分構成片
100’ 部分構成片ブロック
100’’ 円環状集成要素ブロック
100a 嵌合部
100b 部分構成片非連設部
101 正方形ロール素材
101’ 一体型円環状要素
110 円環状集成要素
110’ 円環状集成要素
110’’ 円環状集成要素ブロック素材
110a 部分構成片連設部形状
110a’ 部分構成片連設部形状
110a’’ 嵌め合い部形状
110a’’’ 嵌め合い部形状
111a 連設部位端面での接合
111b 積層方向に立体的に隣接する他の構成片の非連設部積層面での接合
111c 連設部位の縫合による接合
111d 連設部位の接合具による接合
111e 積層方向に隣接する他の構成片の非連設部も立体的に接合
120 円環状集成要素ブロック
121 ロール本体
200 円環状要素
210 円環状要素ブロック
w 円環部の幅

Claims (10)

  1. ロール素材よりロール構成用の部分構成片(100)を作成し、この部分構成片を数枚連設してなる円環状集成要素(110)と、この円環状集成要素を多数枚積層処理して構成するロール本体と、このロール本体が套嵌される軸本体とで構成された連設する集成要素よりなる軸方向積層構造ロール。
  2. ロール素材よりロール構成用の部分構成片(100)を作成し、この部分構成片を数枚連設してなる円環状集成要素(110)と、この円環状集成要素を多数枚積層処理して構成する円環状集成要素ブロック(110’)と、この円環状集成要素ブロックが数個套嵌される軸本体とで構成された連設する集成要素よりなる軸方向積層構造ロール。
  3. 上記の円環状集成要素を多数枚積層するときに、この円環状集成要素間に異種の接合用低融点繊維、同フィルム、同プレート材等の異種材を介在する構成とした請求項1又は請求項2に記載の連設する集成要素よりなる軸方向積層構造ロール。
  4. 上記の部分構成片を連設して円環状集成要素とし、この円環状集成要素を多数枚積層するときに、前記部分構成片の連設箇所が重なり合わない構成とした請求項1又は請求項2に記載の連設する集成要素よりなる軸方向積層構造ロール。
  5. 上記の軸本体の両端にそれぞれ側板を設ける構成とした請求項1又は請求項2に記載の連設する集成要素よりなる軸方向積層構造ロール。
  6. 上記の円環状集成要素を加圧、加熱して接合一体化する構成とした請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の連設する集成要素よりなる軸方向積層構造ロール。
  7. 上記の円環状集成要素を接合剤、絡合等の接合手段を介して接合一体化する構成とした請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の連設する集成要素よりなる軸方向積層構造ロール。
  8. ロール素材よりロール構成用の部分構成片(100)を作成し、この部分構成片を多数枚積層して構成する部分構成片ブロック(100’)と、この部分構成片 ブロックを数個連設して構成する円環状集成要素ブロック(100”)と、この円環状集成要素ブロックが数個套嵌される軸本体と、この軸本体の両端にそれぞれ設けられた側板とで構成される連設する集成要素よりなる軸方向積層構造ロール。
  9. ロール素材を多数枚重畳した状態でロール構成用の部分構成片ブロック(100’)を作成し、この部分構成片ブロックを数個連設して構成する円環状集成要素ブロック(100”)と、この円環状集成要素ブロックが数個套嵌される軸本体と、この軸本体の両端にそれぞれ設けられた側板とで構成される連設する集成要素よりなる軸方向積層構造ロール。
  10. 上記のロール素材間に異種の接合用低融点繊維、同フィルム、同プレート材等の異種材を介在する構成とした請求項8又は請求項9に記載の連設する集成要素よりなる軸方向積層構造ロール。
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