JP3611048B2 - 高周波インダクタ用コア - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電源装置、インバータ装置等に実装される平滑用チョークコイル、あるいはノイズフィルタ用インダクタとして用いられるノーマル・コモンモード用チョーク等に適用される高周波インダクタ用コアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インバータ等の平滑用チョークコイルとして使用されるものにあっては、出力電流の大小にかかわらず、出力電圧が十分制御され、定電圧化される直流重畳特性を有すること、即ち、出力電流IDCが小さいときは大きなインダクタンスを有し、それ以外はリニアな特性を有すること(これをここでは非線形特性という)。また、周波数特性がよいこと、即ち、高い周波数でもL(インダクタンス)として使用できることが必要である。
【0003】
また、ノーマル・コモンモードコイルとして使用されるものにあっては、雑音端子電圧など10〜30MHzに発生するノイズレベルが大きいため、その帯域までL(インダクタンス)として働くこと。さらに、電源等の発振周波数等の低域周波数(500KHz程度)まで大きなLとして使用できることが必要である。
【0004】
従来の高周波コイル用コアとして、図11に示したような、トロイダルコア1があり、これに巻線を施してチョークコイル等を構成する。この場合、アモルファス等のコア材料によっては、直流重畳特性が非線形にできるが、磁路にギャップを必要とする。そして、そのギャップから漏れ磁束が生じ、外部に対し、不要輻射等のノイズが発生する。また、ギャップを設けなくても直流重畳特性を線形にできるが、出力電流が小さいとき、出力電圧を十分制御することができない。巻線が外部に露出しているのでノイズが発生する。
【0005】
図12は、トロイダルコアやポットコア2を用いたインダクタをシールドケース3に封入するタイプのものである。これは外部にノイズが発生しにくい構造である。直流重畳特性を非線形にもできるが、出力電流が小さいとき、インダクタンスが不足する。また、ノーマル・コモンモードコイルとして使用する場合は、インダクタンスが不足しているので、低域においても十分ではない。また、抑えることのできなかった低域のノイズが高調波として高域にも悪い影響を与える。
【0006】
図13は、磁性体粉末入り樹脂によるモールド型である。コアをモールド4で被覆した構造であり、外部にノイズが出にくいが完全ではなく、隙間から漏れる。非線形にするためには磁性体粉末の密度を上げなければならず、またモールドの磁路断面積が一定でないので、非線形の特性がばらついたり、また特性が得られない。
【0007】
図14は、トロイダルコア5a,5bを積み重ねたものである。ここで、一方は透磁率が高く、他方は低いものを組み合わせる。ギャップは設けない。チョークとして使用する場合は、非線形になるが、ギャップがないため周波数特性が悪く、高周波で使えない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決しようとするもので、高周波インダクタとして使用され、電源などの平滑用チョークとしても、またノーマル・コモンモードコイルとしても使用できるように、所要の直流重畳特性を有し、かつ外部に対して不要輻射等のノイズが発生しにくい構造を有して、用途に応じて所要の特性が得られる高周波インダクタ用コアを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の高周波インダクタ用コアは、コイルを装着する第1の芯部を有しこの第1の芯部に貫通孔を形成してなる第1のコアと、第2の芯部を有する2つの分割された部分からなり、前記第2の芯部を前記貫通孔に挿着して前記第1のコアの全体を内包する第2のコアとから構成し、前記第1のコアに形成される磁束と第2のコアに形成される磁束とを同一方向としたことを特徴とする。
【0010】
【作用】
上記構成によれば、重畳直流電流IDCが小さいときに大きなLを有し、磁路にギャップを設けることにより、さらに直流重畳特性を延ばすことができる。その結果、電源の平滑用チョークコイルとして使用したとき、小さいIDCでも定電圧制御が容易になる。また、透磁率の使える周波数帯域の異なる2つのコアを組み合わせることにより、周波数特性を延ばすことができる。第2のコアが第1のコアをシールドしているために不要輻射等のノイズが発生しにくい構造となっており、ノーマル・コモンモード用ノイズフィルタ用チョークコイルとして優れた特性を持つことができる。
【0011】
【実施例】
以下、図面を参照して実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施例を示したもので、11はコイルが装着される芯部を有する第1のコア、12は、2つの分割された部分からなり、第1のコア 11 の芯部に形成された貫通孔に挿着される芯部を有し、第1のコア11の全体を内包して第1のコア11に形成される磁束φ1と同一方向の磁束φ2が形成される第2のコアである。ここでは、図2に示したように、第1のコア11も第2のコア12もポットコアが用いられている。コイルは第1のコア11の巻線用窓枠13に装着される。
【0012】
第1のコア11および第2のコア12として透磁率の同じものでもよいが、透磁率の異なるものを使用すれば、図8および図9に示したような良好な特性が得られる。例えば、第2のコア12の透磁率が第1のコア11のそれより大きく、飽和磁束密度も大きければ、図8におけるIDCが小さいときに大きなLを持つことができ、電源の平滑用チョークコイルとして使用したとき、さらに小さいIDCでも定電圧制御が容易になる(図10参照)。
【0013】
また、図3に示す第2の実施例のように、第1のコア14の磁路にギャップ15を設けることにより、直流重畳特性を延ばすことができる。同時に、IDCが小さいときでも、第2のコア12があるため、大きなLを引き出せる。また、IDCが大きいときは、第2のコア12は飽和して発熱するが、第2のコア12が外部にあるため放熱し易く、その点でも都合がよい。
【0014】
周波数特性も、図9に示したように、2つのコアの透磁率の使える周波数帯域が異なることを利用し、第2のコア12で低い周波数帯域、第1のコア11または14で高い周波数帯域をカバーすることができる。第1のコアで高い周波数を持たせるようにするには、磁路にギャップを設けることにより、良好な特性が得られる。このような構成にすることにより、ノーマル・コモンモード用ノイズフィルタ用チョークコイルとして使用することができる。
【0015】
第1のコア14のようにギャップ15を設けても、第2のコア12が第1のコアの全体を内包しているので、不要輻射等のノイズが発生しにくい構造となっている。つまり、第2のコア12が第1のコアをシールドしている。そのシールド効果の第2のコア12の吸収損失は、(図1で説明すると)第1のコア11から発生した電磁波が第1のコア11と第2のコア12の隙間17、第2のコア12を通過する際に、そのエネルギーがオーミックロスとして厚さに対し指数関数的に失われることになる。
【0016】
【数1】
【0017】
ここで、E1,H1:入射波の電界,磁界、 E0,H0:透過波の電界,磁界、t:厚さ、 d:電磁波の浸透深さ(Skin Depth;入射初期の電磁
波強度1/eまたは37%になる深さ)
また、Skin Depth dは
【0018】
【数2】
【0019】
ここで、ω:角周波数、 μ:透磁率、 α:導電率
と表わされる。dを指標にシールド効果は増すので、(1)式より第2のコア厚、第1と第2のコアの隙間の距離は各々のSkin Depthより大きいとシールド効果は増すことになる。
【0020】
そのため、図4に示す本発明の第3の実施例のように、第2のコア18の内部に第1のコア設置用の台座19を設け、第1,第2のコア間に隙間距離20を設けるようにする。これにより、さらにシールド効果を増す構造となる。第1のコアの設置方法は、樹脂、紙等でコア間の隙間を確保するようにしてもよい。
【0021】
第1,第2のコアの材料が同じものであれば、コアの有効断面積は各々の断面積を加えたものとなる。その増加分、インダクタンスLが大きくなる。第1のコアのギャップがない場合、[(第1コア+第2コアの有効断面積)/(第1コアの有効断面積)]2倍Lが大きくなる。この場合、第1のコアと第2のコアの周波数特性が同じであるから、その範囲でしか使用できない。第1のコアにギャップを設けると、第1のコアの透磁率は小さくなるので、第2のコアの周波数特性は上と同じだが、第1のコアの周波数特性はよくなる。
【0022】
第1のコアより第2のコアの透磁率が大きいと(異なる材料)、第1のコアにギャップがない場合、[{(第2のコアの透磁率/第1のコアの透磁率)×第2のコアの断面積+第1のコアの断面積}/第1のコアの有効断面積]2倍Lが大きくなり、同じ材料より大きなLを引き出せる。ところが、周波数特性が悪く、周波数を上げるとすぐに飽和し、Lとして使えなくなる。従って、場合に応じて、第1,第2のコアの透磁率をギャップや異なる材料で調整するのがよい。
【0023】
第2のコアに内包される第1のコアは、巻線をコアで覆っている密閉型でなくてもよい。図5は、この種の、本発明の第4の実施例を示したもので、第1のコア21はEE型で、装着されるコイル(図示せず)の一部が露出される非密閉型であり、コアの芯部に貫通孔22が設けられている。第2のコア23は、そのセンタコア24が貫通孔22に挿通され、第1のコア21全体を内包するように外部に被せられる。第2のコア23に形成される磁束は第1のコア21のそれと同一方向になる。
【0024】
第1のコアは、図5のように閉磁路タイプ(E型、PQ型)であっても、そうでなくてもよい。図6は、第1のコア25が閉磁路でない場合の、本発明の第5の実施例を示したもので、閉磁路でないものは、I型、ドラム型等があり、またギャップは必要ない。図6の実施例のものは、図1や図5のものに比べて性能的には劣るが、それでも十分な特性が得られ、かつ低コストで実施することができる。
【0025】
図7は、本発明のさらに他の、第6の実施例を示したもので、コイルが装着される密閉型の第1のコア27と、この第1のコア27の芯部に設けられた貫通孔に挿着された第2のコア28とから構成されており、第1のコア27に形成される磁束と同一方向の磁束が第2のコア28に形成される。第1のコア27が密閉型であるからシールド効果がある。また、他の特性も本発明の目的に沿った特性が得られる。しかし、前記第1〜第5の実施例のものに比べてシールド効果は落ちる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、
(1) 重畳直流電流IDCが小さいときに大きなLを有し、さらに磁路にギャップを設けることにより、直流重畳特性を延ばすことができる。
【0027】
(2) 透磁率の使える周波数帯域が異なる2つのコアを組み合わせることにより、周波数特性を延ばすことができる。
【0028】
(3) 第2のコアが第1のコアをシールドしているため、不要輻射等のノイズの発生が非常に小さい。
【0029】
従って、本発明の高周波インダクタ用コアを電源の平滑用チョークコイルとして使用したときは、小さいIDCでも定電圧制御が容易になり、また、ノーマル・コモンモード用ノイズフィルタ用チョークコイルとして優れた特性を持たせることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例の組立前の断面図である。
【図3】本発明の第2の実施例の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施例の構成を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施例の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第5の実施例の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の第6の実施例の構成を示す図である。
【図8】本発明品と従来品の重畳直流電流に対するインダクタンスL特性の比較図である。
【図9】本発明品と従来品の周波数に対するインダクタンスL特性の比較図である。
【図10】電源装置における、第2コアの有無による重畳直流電流に対する出力電圧特性を示す図である。
【図11】高周波インダクタ用コアとして従来使用されているトロイダルコアを示す斜視図である。
【図12】従来例のシールドケース封入型コアを示す斜視図である。
【図13】従来例のモールド型コアを示す斜視図である。
【図14】従来例の積み重ね型トロイダルコアの斜視図である。
【符号の説明】
11,14,21,25,27 … 第1のコア、 12,18,23,28 … 第2のコア、 15 … ギ ャップ、 19 … 台座、 20 … 隙間、 22 … 貫通孔、 24 … センタコア。
Claims (7)
- コイルを装着する第1の芯部を有しこの第1の芯部に貫通孔を形成してなる第1のコアと、第2の芯部を有する2つの分割された部分からなり、前記第2の芯部を前記貫通孔に挿着して前記第1のコアの全体を内包する第2のコアとから構成し、前記第1のコアに形成される磁束と第2のコアに形成される磁束とを同一方向としたことを特徴とする高周波インダクタ用コア。
- 第1のコアの磁路にギャップが設けられていることを特徴とする請求項1記載の高周波インダクタ用コア。
- 第2のコアに、第1のコア設置用の台座が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の高周波インダクタ用コア。
- 第1のコアと第2のコアの透磁率が異なることを特徴とする請求項1記載の高周波インダクタ用コア。
- 第1のコアは、装着されたコイルが露出されない密閉型であることを特徴とする請求項1記載の高周波インダクタ用コア。
- 第1のコアは、装着されたコイルの一部が露出される非密閉型であることを特徴とする請求項1記載の高周波インダクタ用コア。
- コイルを装着する第1の芯部を有しこの第1の芯部に貫通孔を形成してなる密閉型の第1のコアと、第2の芯部を有し、前記第2の芯部を前記貫通孔に挿着して前記第1のコアの全体を内包する第2のコアとから構成し、前記第1のコアに形成される磁束と第2のコアに形成される磁束とを同一方向としたことを特徴とする高周波インダクタ用コア。
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