JP3612059B2 - 空気入りタイヤとリムの組立体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行中のロードノイズを低減しうる空気入りタイヤとリムの組立体に関する。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】
タイヤ騒音の一つに、路面を走行した際に、50〜400Hzの周波数範囲で「ゴー」という音が生じるいわゆるロードノイズがあり、その主原因として、タイヤ内腔内で起こす空気の共鳴振動(空洞共鳴)がある。
【0003】
そこで、本出願人は、特願2000−263519号において、タイヤ内腔内に、スポンジ材を用いた制音用の長尺シートを配置することを提案しており、この時、前記長尺シートの体積Vsをタイヤ内腔の全容積Vの0.4%以上とすることにより空洞共鳴の抑制効果が発揮され、しかも該空洞共鳴の抑制効果は、長尺シートの体積Vsの増加とともに向上することが判明している。
【0004】
しかし、長尺シートの体積Vsの増加は、タイヤ重量、重量バランス、コストなどに不利となるため、本発明者は、体積増加をできるだけ抑えながら空洞共鳴抑制効果を高めるべく研究を行った。
【0005】
その結果、長尺シートの断面形状も、空洞共鳴抑制効果に大きく関与しており、長尺シートの巾Wと厚さTとの比T/Wを高め、断面形状を縦長化するに従い、同体積の場合にも空洞共鳴抑制効果が向上することが判明した。そこで、長尺シートの巾W、厚さT、長さLを変化させ、長尺シートの断面形状と空洞共鳴抑制効果との関係をさらに研究したところ、空洞共鳴抑制効果は、式(1)で示すシート形状指数Eと比例関係にあり、該シート形状指数Eを1より大でより大きくすることにより空洞共鳴抑制効果を効果的に向上しうることを究明しえた。
【0006】
本発明は、前記長尺シートの改良に係わるもので、前記シート形状指数Eを1より大とすることを基本として、限られた体積Vsのなかで、空洞共鳴抑制効果をより有効に発揮でき、ロードノイズを低減しうる空気入りタイヤとリムの組立体の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、
リムと、このリムに装着される空気入りタイヤとがなすタイヤ内腔に、スポンジ材を用いた制音用の非リング状の長尺シートを具え、
かつ前記長尺シートは、タイヤ内腔を囲む内腔面かつ周方向に延在し固定されるとともに、
前記長尺シートの巾をW、厚さをT、長さをL、及び前記タイヤ内腔の全容積をVとしたとき、次式(1)で示すシート形状指数Eを1より大としたことを特徴とする空気入りタイヤとリムの組立体である。
【0008】
又請求項1の発明では、前記スポンジ材は、比重が0.005〜0.06
しかも前記スポンジ材は、比重が0.005〜0.06、
かつタイヤ内腔の前容積Vに対する前記長尺シートの体積Vs(=W×T×L)の比Vs/Vを4.9%〜19.6%であることを特徴としている。
【0009】
又請求項2の発明では、前記長尺シートは、前記巾Wと厚さTとの比T/Wを1〜3としたことを特徴としている。
【0010】
又請求項2の発明では、前記シート形状指数Eは、2より大であることを特徴としている。
【0011】
なお本明細書において、前記「タイヤ内腔の全容積V」は、組立体の正規状態において下記式(2)で近似的に求めるものとする。
V=A×{(Di−Dr)/2+Dr}×π −−−(2)
(式中、”A”は前記正規状態のタイヤ内腔をCTスキャニングして得られるタイヤ内腔の横断面積、”Di”は図1に示す正規状態でのタイヤ内腔の最大外径、”Dr”はリム径、”π”は円周率である。
【0012】
また前記「正規状態」とは、前記組立体に正規内圧を充填しかつ無負荷とした状態を指す。また「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 ”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES” に記載の最大値、ETRTOであれば ”INFLATION PRESSURE” とするが、タイヤが乗用車用の場合には、現実の使用頻度などを考慮し200kPaとする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明の空気入りタイヤとリムの組立体の子午断面図、図2は組立体のタイヤ赤道面に沿った周方向略断面図を示している。
【0014】
図1において、空気入りタイヤとリムの組立体1(以下組立体1という)は、空気入りタイヤ2(以下タイヤ2という)をリム3に装着することにより、リム3の周囲に、タイヤ2とリム3とが囲むタイヤ内腔4を形成している。
【0015】
なお前記リム3は、周知構造をなし、本例では、前記タイヤ2が装着されるリム本体3aと、このリム本体3aを保持するディスク3bとを有する所謂2ピースホイールリムを例示している。また前記タイヤ2は、ビード部2aをリム本体3aのフランジ3a1に密着させてリム組みされる例えば乗用車用ラジアルタイヤであって、タイヤ内腔4に臨むタイヤ内面2Sを空気を透過しにくい所謂インナーライナゴム層で形成したチューブレス構造をなし、前記リム本体3aとで気密なタイヤ内腔4を形成している。
【0016】
そして前記タイヤ内腔4内には、スポンジ材を用いた制音用の長尺シート5を配している。
【0017】
この長尺シート5は、図1,2に示すように、予め非リング状の長さ方向にのびる長尺のシートであって、本例では矩形断面形状をなし、前記タイヤ内腔4を囲む内腔面4Sに、周方向に延在するように、例えば接着剤を用いて固定している。なお長尺シート5の前記固定は、主に、高速走行時に長尺シート5に無理な力が作用して細かく破砕されて空洞共鳴抑制効果が損なわれるのを防止する、及び破砕された破片の擦れなどによってインナーライナゴム層に損傷を与えるのを防止することを目的としている。
【0018】
なお長尺シート5は、前記内腔面4Sであれば、タイヤ側の内腔面4S1(即ちタイヤ内面4S1)或いはリム側の内腔面4S2(即ちリム内面4S2)のいずれかに固定していれば良く、本例では、リム組性の観点から、タイヤ内面4S1、特にトレッド2t下に接着剤を用いて固定している場合を例示している。
【0019】
次に、前記長尺シート5をなすスポンジ材は、海綿状の多孔構造体であり、例えばゴムや合成樹脂を発泡させた連続気泡を有するいわゆるスポンジ、および動物繊維、植物繊維又は合成繊維等を絡み合わせて一体に連結したものを含む。なお「多孔構造体」としては、連続気泡のみならず、独立気泡を有するものも包含しており、又スポンジ材には、難燃剤を塗布する等の周知の難燃加工を施すこともできる。
【0020】
このようなスポンジ材は、防振性や吸音性が高いため、前記タイヤ内腔4内で生じた音エネルギーを吸収でき、空洞共鳴を抑制することによりロードノイズを低減しうる。またスポンジ材は、収縮、屈曲等の変形が容易であるためリム組み性を損ねないという利点もある。本例では、ポリウレタンからなる連続気泡のスポンジ材を用いた好ましいものを例示している。
【0021】
また前記スポンジ材としては、その比重が0.005〜0.06、より好ましくは0.010〜0.05、さらに好ましくは0.016〜0.05、特に好ましくは0.016〜0.035であることが好ましく、この比重が0.005未満或いは0.06を超えると、空洞共鳴を抑える効果が低下する傾向がある。
【0022】
ここで、前記長尺シート5においては、その体積Vsが空洞共鳴抑制効果に大きく関与しており、体積増加に伴い空洞共鳴抑制効果も向上することは知られている。しかし本発明者の研究の結果、長尺シート5の断面形状も、前記体積Vs以上に大きく関与していることが判明した。即ち、長尺シート5の巾をW、厚さをT、長さをLとしたとき、厚さ巾比T/Wを高めて断面形状を縦長化するに従い、同体積の場合にも空洞共鳴抑制効果が向上することが判明した。
【0023】
そして、長尺シート5の巾W、厚さT、長さLを種々変化させて空洞共鳴に基づくノイズを測定し、その結果を重回帰分析した。その結果、図3に示すように、空洞共鳴低減効果と、次式(1)で示すシート形状指数Eとは、比例定数1の正比例の関係にあり、シート形状指数Eが1のとき1dB(デシベル)の空洞共鳴抑制効果が奏されるなど、シート形状指数Eの増加とともに空洞共鳴抑制効果が高まることが判明した。
【0024】
従って、シート形状指数Eを1より大とすることにより、1dBより大きい空洞共鳴抑制効果を見込むことができる。なおノイズは、2dB程度低減された辺りから体感できるため、前記シート形状指数Eは2以上、さらには5以上とすることが好ましい。
【0025】
なお前記巾Wはタイヤ断面巾以下、厚さTタイヤ断面高さ以下、及び長さLは内腔面4Sの周方向一周長さ以下に、夫々制限を受けるため、前記シート形状指数Eの上限は、この巾W、厚さT、長さLの制限によって規制される。
【0026】
ここで式(1)の第2項におけるW×T×Lは、長尺シート5の体積Vsであり、従って、空洞共鳴抑制効果に対する体積Vsの寄与は0.45である。これに対して式(1)の第3項に示すように、長尺シート5の断面形状における厚さ巾比T/Wの寄与が1.11であるなど、体積Vsの寄与に比して非常に高い、即ち、空洞共鳴抑制に与える影響が強いことを意味している。
【0027】
従って、シート形状指数Eを大きくするためには、体積Vsよりも、むしろ前記厚さ巾比T/Wを0.5以上、さらには1.0以上に設定するなど前記厚さ巾比T/Wを高めることが有効であり、またこれによって体積Vsを低く抑え、タイヤ重量、重量バランス、コストなどへの影響を抑制することも可能となる。
【0028】
なお接着強度等の観点から、前記厚さ巾比T/Wは1〜3とするのが好ましい。さらにタイヤ内腔の前容積Vに対する前記長尺シートの体積Vs(=W×T×L)の比Vs/Vを、表1の実施例1、実施例4に上限、下限を記載のように4.9%〜19.6%としている。
【0029】
次に本例では、長尺シート5が断面形状が矩形状をなすものを例示したが、例えば、図4(A)〜(E)に示すような、矩形状以外の種々な断面形状を採用することもできる。
【0030】
また、空洞共鳴抑制効果をさらに高めるために、図5に示すように、長尺シート5のタイヤ内腔に向く外面5Sを、凹部10Aと凸部10Bとが繰り返す凹凸面10で形成することもできる。
【0031】
このような凹凸面10は、音の反射を和らげるなど反射防止効果に優れ、しかも音と接触するスポンジ材の表面積が増えることと相俟って、空洞共鳴の抑制効果を一段と高めることができる。
【0032】
なお凹凸面10としては、前記図5に示すように、平滑面部がなく、突起状の凸部10Bと窪み状の凹部10Aとが滑らかに繰り返されるうねり状の面の他、例えば図6(A)、(B)に示すように、平滑面部11に突起状の凸部10Bを点在させたもの(この時、平滑面部11が凹部10Aに相当する。)、或いは平滑面部11に窪み状の凹部10Aを点在させたもの(この時、平滑面部11が凸部10Bに相当する。)を採用することができる。なお図6(B)では、凹部10Aを手でむしる等により、ランダムに形成することもでき、この時各凹部10Aの形状、大きさも凹部毎に相違させてもよい。
【0033】
さらに又凹凸面10としては、図7(A)〜(C)に示すように、平滑面部11にリブ状の凸部10Bを配したもの(この時、平滑面部11が凹部10Aに相当する。)、平滑面部11に溝状の凹部10Aを配したもの(この時、平滑面部11が凸部10Bに相当する。)、或いは平滑面部11を有することなくリブ状の凸部10Bと溝状の凹部10Aとを滑らかに繰り返したもの等も採用できる。
【0034】
なお凹凸面10では、その表面積Sbと、前記外面5Sが凹凸のない平滑面と仮定したときの表面積Saとの比Sb/Saが、1.04〜5.00の範囲であるのが好ましい。これは、前記凹凸面10による空洞共鳴のさらなる抑制効果は、前記比Sb/Saが1.04を越えるあたりから発揮され、5.00前後で略飽和しそれ以上の効果が見込めなくなるからである。
【0035】
また前記凹凸面10の凹凸高さh2、凹凸のピッチh3は、表面積の比Sb/Saが前記範囲1.04〜5.00の範囲であるならば、特に規制されないが、一般的には、音の反射防止のために、前記凹凸高さh2を5mm以上、さらには10mm以上とするのが好ましい。
【0036】
又前記長尺シート5による空洞共鳴抑制効果を高める他の手段として、前記長尺シート5を、図8に示すように、吸音性能に優れる第1のスポンジ材からなる第1層5Aと、音の反射防止性能に優れる第2のスポンジ材からなる第2層5Bとの多層構造体として形成するのも効果的である。
【0037】
なおスポンジでは、吸音性能と、音の反射防止性能とが背反することが一般に知られている。従って、長尺シート5を前記多層構造体とし、前記第2層5Bをタイヤ内腔4に面して配することにより、吸音性能と音の反射防止性能とが最大限に発揮され、空洞共鳴の抑制効果をさらに向上させることができる。
【0038】
音の反射防止性能に優れる第2のスポンジ材としては、第1のスポンジ材に比して発泡倍率を大幅に高め、その比重を減じたものが好適に使用できる。この時、第1のスポンジ材の比重α1と第2のスポンジ材の比重α2との比α2/α1を0.7以下、さらには0.5以下に減じることが音の反射防止性能のために好ましく、又第2層5Bの厚さtを、長尺シート5の全厚さTの0.05倍〜0.3倍の範囲にとどめることが吸音性能のために好ましい。
【0039】
なお、音の反射防止性能に優れる第2のスポンジ材としては、他にグラスウール、フェルト材、発泡ゴムも用いうる。
【0040】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0041】
【実施例】
図1の構造をなし、かつ表1の仕様の長尺シートを装着したタイヤ(215/60R16)とリム(16×6.5JJ)との組立体を試作し、ロードノイズ性能をテストした。
【0042】
なお長尺シートは、比重0.02のポリウレタンスポンジ(連続気泡)の一層構造とした。またテスト結果におけるロードノイズ低減代と体積比Vs/Vとの関係を図9に示している。
テストの内容は次の通りである。
【0043】
(1)ロードノイズ性能;
内圧200kPaでリム組みして車両(国産2300ccのFF車)の全輪に装着し、1名乗車にてロードノイズ計測路(アスファルト粗面路)を速度60km/Hで走行したときの前席車内音を測定し、230Hz近辺の気柱共鳴音のピーク値の音圧レベルを、従来例を基準とする増減値(dB)にて評価した。−(マイナス)表示は、ロードノイズの減少を意味している。
【0044】
【表1】
【0045】
表1に示すように、シート形状指数Eが高いほど、大きなロードノイズ低減効果が得られることが確認できる。また図9から、比T/Wが大きい断面形状とすることにより、体積比Vs/Vを低く維持したまま、大きなロードノイズ低減効果が得られることも確認できる。
【0046】
【発明の効果】
叙上の如く本発明は、長尺シートにおいてそのシート形状指数Eを1より大に設定しているため、限られた体積Vsのなかで、空洞共鳴抑制効果をより有効に発揮できロードノイズを低減しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気入りタイヤとリムとの組立体の一実施例を示す断面図である。
【図2】そのタイヤ赤道に沿った周方向断面図である。
【図3】シート形状指数Eと空洞共鳴抑制効果との関係を示す線図である。
【図4】(A)〜(E)は、長尺シートの断面形状の他の例を示す断面図である。
【図5】凹凸面の一例を示す長尺シートの斜視図である。
【図6】(A)、(B)は、凹凸面の他の例を示す長尺シートの斜視図である。
【図7】(A)〜(C)は、凹凸面のさらに他の例を示す長尺シートの斜視図である。
【図8】長尺シートが多層構造体からなる場合を例示する斜視図である。
【図9】表1のテスト結果における、ロードノイズ低減代と体積比Vs/Vとの関係を示す線図である。
【符号の説明】
2 タイヤ
3 リム
4 タイヤ内腔
5 長尺シート
Claims (3)
- 前記長尺シートは、前記巾Wと厚さTとの比T/Wを1〜3としたことを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤとリムの組立体。
- 前記シート形状指数Eは、2より大であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤとリムの組立体。
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