JP3612836B2 - 薄膜製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は薄膜製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空プロセスによる薄膜製造法は今日、半導体、ディスクメモリー、光学素子等の色々な分野で利用されている。薄膜製造法には、熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、CVD法、スパッタリング法等がある。中でもスパッタリング法は、その簡便さ、高速性等から広く用いられている。
【0003】
スパッタリングの一手法として、スパッタリングガス中にターゲット物質と反応性を有するガスを混入させ、ターゲット物質と反応性ガスの反応物質を堆積させる、いわゆる反応性スパッタリングも使用される。この手法は、特に誘電体等の絶縁性物質でも高速、低温で成膜できるという点で優れた手法であり、光ディスクの保護膜の作製等において実用化されている。
【0004】
また、スパッタリング装置には、ターゲットの前方を基板が一方向に移動して行く通過式、ターゲットの前方で基板を回転させる回転式、ターゲットの前方に1枚のみ基板を設置しスパッタリングする枚葉式等がある。通常、通過式の場合は長方形のターゲットが、回転式や枚葉式の場合は円形のターゲットが用いられる。量産に用いられる大型の装置ではターゲットのサイズも大きくなる。特に通過式は量産機として多く使用され、長さ1mものターゲットが用いられる場合もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような大きなターゲットでは、放電に場所的不均一が生じ易いことが問題となる。放電が不均一であると、スパッタリングが均一に行われないため、基板に堆積される薄膜の膜厚分布も均一でなくなる。複数の基板を並べて一度にスパッタリングする場合には、形成される薄膜の膜厚が各基板でばらつくことにもなる。
【0006】
放電の不均一の要因としては、放電するための磁場の不均一、あるいはスパッタリングガスの圧力の不均一等がある。こういった不均一は磁場の均一化、ガス圧の均一化等を図ることで抑制されるが、ターゲットのエロージョンが進行するなど、ターゲットやその近傍の条件が刻々と変化するため、長時間にわたって均一な状態を維持するのは極めて困難である。
【0007】
さらにスパッタリングガスの少なくとも一部のガスをターゲット物質と反応させて新たな物質を得る、いわゆる反応性スパッタリングにおいてはこういった現象が特に顕著である。例えばTaターゲットを不活性ガスであるArと反応性ガスである酸素の混合ガスを用いてスパッタリングし、基板に酸化Ta膜を形成する際において、Taターゲット上に若干の酸素濃度分布がある場合、ターゲットの酸素濃度の高い部分にTaの酸化物が厚く生じる。この結果この部分の抵抗が高くなり、Arイオンはこの部分を避けてターゲットに入るようになるため、この部分の酸化は益々進行する。一方Arイオンの集中した箇所は酸化膜がスパッタリングを受けて薄くなり、益々抵抗が小さくなる。こうしてスパッタリングは酸素濃度の低いところで極端に集中して起こり、ターゲットが均一にスパッタされなくなる。このため対向する基板上の酸化Ta膜にも大きな膜厚分布を生じることとなる。
【0008】
また、次のような問題もある。基板の交換の際などにチャンバーを一旦大気開放すると、ターゲット表面全体が自然酸化膜に覆われてしまう。この後スパッタリングを行った場合、たまたま最初に放電が始まった部分に電流が集中し、基板に形成される膜の膜厚分布傾向が開放前とは異なったものになり、なおかつ、酸化膜の状態が安定するまで膜厚分布は長時間にわたって変動を続けることとなる。このようにスパッタリングの条件が常に変化するため、基板の膜厚分布を常に小さくするように保つのは難しい。
【0009】
特に通過式のスパッタリング装置では細長い長方形のターゲットを用いるため、ターゲット上のガス分布の不均一が生じやすい。
こういった問題を解決するために円形ターゲットを用い、その下にある放電安定用の磁石を回転させる等の手段が講じられている。しかしこういった構造は電極が複雑化してコストを高くしてしまううえ、故障の原因ともなる。さらには、通過式に用いられるような巨大な長方形のターゲットの場合は磁石の回転が実際上不可能であるため、ターゲットと基板との間に邪魔板を設けたりしているのが現状である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
我々はこういった問題点の解決のため鋭意検討した結果、ターゲット上のガス濃度分布を周期的に変動させることにより、低コストで安定した成膜が実現可能であることを見いだした。本発明の要旨は、スパッタリングにより基板上に薄膜を堆積させる薄膜製造方法において、スパッタリング中に導入するガスのうち少なくとも一種類のガスを、ターゲット近傍に設けた複数のノズルから周期的に噴出させてなり、その噴出量の最大値をとるタイミングを各々のノズルにおいて異なるように設定し、スパッタリング中に導入するガスのうち少なくとも一種類のガスの濃度分布を、ターゲット近傍において周期的に変動させることを特徴とする薄膜製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
先に述べたようにスパッタリング、特に反応性スパッタリングの場合、ターゲット上でのガスの濃度分布が存在すると基板上の膜厚分布が生じる。しかしガス濃度分布が全く存在しない状態で長時間成膜を続けることは現実には不可能であるし、一旦濃度分布が生じると上述のようにターゲット上のスパッタリング速度のばらつきは制御不能になる。本願発明は、この濃度分布をむしろ積極的に発生させ、制御することで、最終的に安定な成膜を実現しようというものである。
【0012】
以下、本願発明の方法の一例について図面を用いて説明する。図1は本発明の方法に用いる装置の一例の概略説明図、図2は本発明の方法に用いる装置の他の一例の概略説明図、図3は本発明の方法に用いる装置の他の一例の概略説明図、図4は酸素ガス流量の時間的変動の一例を示すグラフ、図5は酸素ガス流量の時間的変動の他の一例を示すグラフ、図6は窒素ガス流量の時間的変動の一例を示すグラフである。
【0013】
図中1はTaターゲット、2は酸素ガス供給手段、3は流量コントローラー、4は配管、5はバルブ、6はノズル、7はバルブ、8はノズル、9はArガス供給手段、10は配管、11はバルブ、12はノズル、13はバルブ、14はノズル、15はSiターゲット、16は窒素ガス供給手段、17は流量コントローラー、18は配管、19バルブ、20はノズル、21はArガス供給手段、22は配管、23はバルブ、24はノズルをそれぞれ示す。
【0014】
図1はスパッタリング装置のターゲット1の周囲に、ノズル6、8、12を設けた例である。ノズル6、8は酸素ガス供給手段2、例えば酸素ボンベと、配管4、バルブ5、7を介して接続されており、バルブ5、7は、流量コントローラー3によりそれぞれ独立に開閉調節し得る構造とされている。また、ノズル12はArガス供給手段9と配管10、バルブ11を介して接続されている。図示していないが、バルブ11を流量コントローラー3によりコントロールすることも可能である。また図示していないが、装置内の真空度を保つための排気口及び排気機構を有している。
【0015】
先に一例としてTaターゲットを用いた反応性スパッタリングによる酸化Ta膜形成の例を述べたが、この例に本発明の方法を適用した場合について、図1を用いて説明する。
前述したように、酸化Ta膜を形成する場合、ターゲット1の表面の酸素濃度が低い部分でスパッタリングが多く行われ、この部分に対向する基板の表面には厚い酸化膜が形成され、逆にターゲット1の表面の酸素濃度の高い部分では酸化Taがターゲット1表面に堆積し、絶縁してしまうためにスパッタリングがあまり行われない。
【0016】
本発明の目的は、このアンバランスを解消しようとするもので、ターゲット1の表面に、高酸素濃度部分または低酸素濃度部分(濃度異常部分)を形成し、この濃度異常部分がターゲット1の表面を移動することにより、結果的に局所的スパッタリングを防止するものである。
すなわち、ノズル6及びノズル8からの酸素ガスの噴出量を周期的に変え、濃度異常部分をターゲット1の表面のあちらこちらに発生させることによって行うこととなる。
【0017】
まず、ノズル6、8からの酸素ガスの噴出量を変動させることで、ターゲット1表面の酸素濃度を変動させ、酸素濃度分布の固定化を防ぐことができる。これにより、局所的なスパッタリングを防止できる。これは、ターゲット1が十分小さい場合は、ノズルを1本としてガス噴出量を変えるだけでも可能である。
さらに、ノズル6とノズル8の流量の変動周期をずらすことで、ターゲット1表面のあちらこちらに周期的に上記濃度異常部分を発生させる。これにより、ターゲット1に対して更に均一なスパッタリングを行うことができるのである。
【0018】
具体的には、図1に例示するように、通過式スパッタリング法の場合、上下に長いターゲット1の上部と下部の2箇所に独立に反応性ガスの導入ノズル6、8を設け、各々のノズルからのガス噴出量を周期的に変化させる。この場合、上部ノズルからの流量が大きいときに下部ノズルからの流量を小さくし、上部ノズルからの流量が小さいときに下部ノズルからの流量を大きくすることが好ましい。こうすることによって、ガスの集中部が上部と下部に周期的に交互に移動する。例えば各々の流量を、図4に示すように同一周期で位相を半周期ずらした正弦波状に変化させるか、あるいはパルス状等に変化させるのが好ましい。この場合、ガス流量が最大値をとるタイミングを、各導入部で半周期ずらす。なお、変化がパルス状である場合は、その最大パルスの時間的中心を、最大値のタイミングとすればよい。
【0019】
変動の周期は、酸化Ta膜が形成される基板がターゲット1の前方を通過する間に1周期以上、好ましくは10周期以上の変動が行われるのが望ましい。
ターゲット1に対向する位置を基板が通過するのに要する時間が約3分であるとき、例えば約10秒周期でノズル6、8からのガスを変動させれば通過中にほぼ18周期を経ることとなり、基板上の膜厚を十分に均一にすることができる。
【0020】
しかしながらノズル6、8からのガス噴出の変動周期は一定でなくてもよい。必要に応じ、1度の成膜時間内で1周期を短くしたり長くしたり、と変化させてもよい。
また、変動のしかたは正弦波に限らず、周期的であればよい。例えば、制御の容易さからは、パルス状に変動させるのも好適である。具体的には、ノズル6とノズル8で一定流量のガスを一定時間幅、位相をずらして流す、などが考えられる。
【0021】
ガスの中心流量、最大流量、最小流量やガス噴出時間幅などは全ノズルで一定である必要はなく、各ノズルごとに異なってもよい。例えば、他の条件等によりターゲット1上の場所によってスパッタリング速度に違いがある場合に、それを解消するように、各ノズルごとにガス流量やガス噴出時間幅を設定してもよい。上記のようなガス制御を実際に行うには、各噴出口に各々独立にマスフローコントローラーを接続すればよい。各マスフローコントローラーはコンピューターで制御を行うのが好ましい。コンピューターは安価なパーソナルコンピューターで十分である。このように、従来の装置の大規模な変更を伴わず、低コストで実現できるのも本発明の利点の一つである。
【0022】
装置上の余裕がある場合は、図2に示すように反応性ガスの噴出ノズル6、8、14のように3箇所以上設けることで、さらに精密な制御が可能になる。3箇所の場合は図5に示すように各々の流量を位相が1/3周期ずつシフトした正弦波を用いて制御できる。もちろん正弦波でなく同様な周期的変化であってもよい。
【0023】
ここで、反応性ガスではなく、Ar等の非反応性ガスの方を制御したり、反応性ガスと非反応性ガスの両方を制御してもよいが、ターゲット1上の反応生成物量を制御する目的からは、反応性ガスを制御するのが効率的である。
また、ターゲット1近傍でガス濃度分布を変化させる方法として、ノズルからのガス噴出量を変動させる場合について説明したが、これ以外にもさまざまなものが考えられる。ノズルなどのガス導入部のガス噴出方向を周期的に変化させてもよいし、ガス流量を変化させるのではなく、前述の排気口を複数設け、各排気口で排気量などを周期的に変化させてもよい。
【0024】
大きな面積を持つターゲット1全体の放電を均一に保つことは上述の通り困難であるが、不活性ガスや反応性ガスの濃度分布を意図的に移動させることで、ターゲット1の一部に放電を集中させ、この放電集中部を移動させることにより放電を安定に保つことができる。ガス濃度の多少のばらつきが存在しても、もともと意識的に大きなガス濃度勾配を設けているので電流の集中する場所に影響はない。
【0025】
こうした方法を用いることによって、従来困難であった反応性スパッタリングによる成膜の膜厚分布の制御が容易に行える。先に述べた酸化Ta膜の例では、酸素濃度の低い部分は酸素濃度の高い部分に比べてTaターゲット表面の酸化膜(絶縁体膜)が少ないので、スパッタされる量が多くなり、成膜速度が速い。従って、成膜するべき基板面の形成されるべき膜厚が薄い部分があれば、対応する(対面する)ターゲット面近くの酸素流量を下げるかあるいは酸素流量が低い時間を延長すること、または不活性ガスを吹き付けて不活性ガス濃度を上げることによって、形成される膜厚を厚くすることができる。実際的には、成膜後の基板上の成膜された膜厚の分布を測定し、これを酸素濃度分布(不活性ガスの濃度分布)にフィードバックさせることによって、膜厚の均一化ができる。従来のようにチャンバーをいちいち開放して膜厚補正用の邪魔板を挿入する必要はない。
【0026】
また、従来の反応性スパッタリングの他の問題点として異常放電の発生があった。反応性スパッタリングにおける異常放電の発生は、ターゲット上への反応生成物、例えば酸化物あるいは窒化物等の堆積がある膜厚に達した際に起こる絶縁破壊によるものとされており、一般に酸化物膜、窒化物膜の膜厚が2〜3μm程度になると起こると言われている。反応生成した膜の厚さが薄ければ、生成物表面のArイオンによる電荷はカソードに流れることができ、通常のスパッタが行われる。一方反応生成した膜が厚くなりすぎると、膜の内部での電位勾配が小さくなるので絶縁破壊が生じなくなる。従ってその中間部分で絶縁破壊が生起することとなる。通常のマグネトロンスパッタリングにおいては、ターゲットの下にある磁石が発生する磁界が強い領域に放電が集中する。スパッタリングが激しく行われる部分、すなわちエロージョン部付近では反応生成した膜は薄く、そこから離れるほど厚くなる。従って、エロージョン部から一定距離の領域では反応生成物が2〜3μmとなるため、異常放電が非常に発生しやすい状態となる。
【0027】
これに対し本発明の方法では、放電の集中領域が周期的に移動するため、反応生成物が異常放電の起こる膜厚まで成長しない。従って、異常放電が極めて発生しにくい状態を得ることができる。
さらに放電の集中領域がターゲット上を移動することにより、従来の方法に比べてターゲットの使用効率も上げることが可能である。かかる発明の効果は、ターゲット面積が300cm2以上で特に顕著である。
【0028】
本発明をターゲットの前方を基板を移動させつつスパッタリングする通過式スパッタリング方法を中心に説明を行ったが、本発明はまた、ターゲットの前方で基板を公転あるいは自公転させつつスパッタリングする回転式、あるいはターゲットの前方で1枚の基板自転させつつスパッタリングする枚葉式等、他のタイプでももちろん使用可能である。ここで、通過式スパッタリングとは、一方向に長いターゲット、例えば略長方形のターゲットを用い、ターゲット前方を、複数の基板を例えば縦および横に並べたトレーをターゲット短辺方向に移動させつつスパッタリングを行う方式である。回転式とは、通常円形のターゲットを用い、ターゲット前方で、複数の基板を例えば円形に並べたトレーを回転させつつ、あるいはトレー上で各々の基板も回転させつつスパッタリングを行う方式である。枚葉式とは、通常円形の比較的小さいターゲットを用い、ターゲット前方で、1枚の基板のみを回転させつつスパッタリングを行う方式である。
【0029】
回転式や枚葉式などといった、ターゲットの比較的小さいものではターゲット上の反応生成物分布の問題は通過式のものより小さいが、長時間の安定性を考えた場合は、やはり反応性ガスの濃度分布を変動させるのが好ましい。この場合、通過式と同様にターゲット上のガス濃度の最大部を移動させてもよいが、ターゲットが十分小さく全体のガス濃度がほぼ一様と見なせる場合はターゲット上全体のガス濃度を増減させてもよい。
【0030】
その一例を図3に示す。図3の装置はSiターゲット15の周囲に窒素ガス供給手段16、配管18、流量コントローラー17付きのバルブ19に接続されたノズル20、Arガス供給手段21、配管22、バルブ23が接続されたノズル24を設けたものである。反応性ガスの噴出ノズル20から窒素ガス等の反応性ガスの噴出量を図6に示すように周期的に変動させる。この場合、ターゲット15が十分小さいので、ノズル20が1箇所のみであっても、前述のように、ターゲット15の表面の窒素濃度分布の変化が起こり局所的スパッタリングを防止し、スパッタリングの均一化を図ることができる。
【0031】
本発明は上述のとおり反応性スパッタリングにおいて特に大きな効果をもたらし、酸化Ta、酸化Si、酸化Al、酸化Ti、酸化Zn、イットリウム−スズ酸化物(ITO)のような酸化物、窒化Si、窒化Al、窒化Ti、窒化Mo、窒化Ta、窒化Bのような窒化物、水素化Siのような水素化物あるいはフッ化Mgのようなフッ化物の膜、あるいはこれらの混合物等の膜の製造に好適に用いられる。
【0032】
しかしながら、本発明は反応性スパッタリングのみに適用されるものではない。反応性スパッタリングではない通常のスパッタリングにおいて本発明を適用しても、Arガス等の不活性ガスの流量を変化させることによって、Arイオン等の集中部をターゲット上で移動させることができる。従って、ターゲット各部でスパッタリングが均一に行われるため、基板に堆積される膜厚が均一となり、また、エロージョン部が広く均一に形成され、ターゲットの利用効率が高くなる等の効果がある。
【0033】
【実施例】
以下に本発明を実施例を用いてさらに詳細に説明する。
実施例1
本実施例に使用したスパッタリングシステムの構成を図1に示す。トレー(図示せず)の進行方向がTaターゲット1(長さ100cm×幅50cm)の幅方向である通過式スパッタリング装置を用いた。酸素ガスのノズル6、8(多孔ノズル)をターゲット1の長手方向に並べて配置し、対面側にArガスのノズル12(多孔ノズル)を設けた。また、図示しない排気口から常に排気を行い、チャンバー内の真空度を保っている。
【0034】
ノズル6、8はそれぞれ独立にバルブ5、7(マスフローコントローラーSEC−400、STEC社製)で制御し、SEC−400の制御は、コンピューターPC9801(NEC社製)にD/A変換ボードを装着して構成した流量コントローラー3で、アナログ信号を発生させて行った。
トレーの移動速度は6cm/分、放電パワーは2kW、トレー(基板)とターゲット1の距離は5cmとした。Arガスの流量は全体で200ccmで一定とした。
【0035】
酸素ガスノズル6、8からの酸素ガス流量は、図4に示すように、中心流量に正弦波の振動を重畳した変動を行った。各ノズル6、8で正弦波の位相は半周期だけシフトさせた。なお、流量は各ノズルで中心流量20ccm、最大流量30ccm、最小流量10ccmとし、振動の周期は8秒とした。すなわち成膜時に約60周期の酸素濃度の振動を受けることとなる。
【0036】
このような条件で酸化Taをガラス基板上に100nm成膜した。膜厚分布の測定を行ったところ、トレーに並べた基板のうち、ターゲット1の長手方向に並んだ基板間での膜厚のばらつきは4.3%であった。
次に、連続で10トレーの成膜を行い、トレー上での位置が同一の各10枚について膜厚を比較したところ、ばらつきは最大2.8%であった。
また、1時間の連続放電を行い異常放電の回数を調べたところ2回であった。
【0037】
比較例1
実施例1と同じ装置及びターゲット1を用い、酸素ガスの流量は各ノズル6、8で20ccmとして変動させず、一定量をターゲット1全面に流すようにした以外は実施例1と同じ方法で、ガラス基板上に成膜を行った。
【0038】
その結果、トレーに並べた基板のうち、ターゲット1の長手方向に並んだ基板間での膜厚のばらつきは16%であった。
次に、連続で10トレーの成膜を行い、トレー上での位置が同一の各10枚について膜厚を比較したところ、ばらつきは最大17%であった。
また、1時間の連続放電を行い異常放電の回数を調べたところ12回であった。
【0039】
実施例2
実施例1と同様のターゲット1及び装置を用い、酸素ガスのノズル6、8、14をターゲット1中央及び両端の3箇所に設けた。システムの構成を図2に示す。3箇所の各ノズル6、8、14の流量は実施例1と同様に中心流量に正弦波の振動を重畳した変動としたが、各ノズルで正弦波の位相は1/3周期シフトさせた。図5に酸素ガス流量の時間的変動を示す。流量は各ノズル6、8、14で中心流量15ccm、最大流量25ccm、最小流量5ccmとし、振動の周期は8秒とした。
【0040】
その結果、トレーに並べた基板のうち、ターゲット1の長手方向に並んだ基板間での膜厚のばらつきは3.5%であった。
次に、上端部の中心流量を5ccm増加させると、ターゲット1の上端部に対向する部分のトレーの基板上膜厚が7%減少した。また、下端部の中心流量を5ccm増加させると、同じくターゲット1の下端部に対向する部分のトレーの基板上膜厚が9%減少した。このように各ノズルの酸素流量の調整によって基板上の酸化Ta膜の膜厚分布制御が可能であった。
【0041】
実施例3
ターゲットとしてTiを用い、スパッタガスとしてArのみを用い、Arガスノズルをターゲット中央及び両端の3箇所としたほかは実施例1と同様の装置を使用した。3箇所の各ノズルの流量は中心流量に正弦波の振動を重畳した変動としたが、各ノズルで正弦波の位相は1/3周期シフトさせた。流量は各ノズルで中心流量50ccm、最大流量60ccm、最小流量40ccmとし、振動周期は8秒とした。各ノズルのAr流量の合計は150ccmである。
このようにしてターゲットを使用限界までスパッタリングしていき、ターゲットの最終的な使用効率を求めたところ85%であった。
【0042】
比較例2
実施例3と同様のターゲットを用い、Arガスは150ccmの一定量をターゲット全面に流した。
このようにしてターゲットを使用限界までスパッタリングしていき、ターゲットの最終的な使用効率を求めたところ72%であった。
【0043】
実施例4
ターゲット直上でトレー(図示せず)を回転させながら成膜を行う回転式のスパッタリング装置にSiターゲット15(直径20cm)を装着した。さらに窒素ガスのノズル20を1箇所、Arガスのノズル24を1箇所設けた。システムの構成を図3に示す。また、図示しない排気口から常に排気を行い、チャンバーの真空度を保っている。
【0044】
窒素ガスノズル20はバルブ19(マスフローコントローラーSEC−400、STEC社製)で制御し、SEC−400の制御は、コンピューターPC9801(NEC社製)にD/A変換ボードを装着して構成した流量コントローラー17で、アナログ信号を発生させて行った。
Arガスの流量は150ccmで一定とした。窒素ガスの流量は、図6に示すように、中心流量に正弦波の振動を重畳した変動を行った。流量は中心流量30ccm、最大流量40ccm、最小流量20ccmとし、振動の周期は8秒とした。
【0045】
このような条件で、1.5kWの直流電力でスパッタリングを行い100nmの窒化Siの成膜を連続で10トレー行い、全基板について膜厚を測定し比較したところ、ばらつきは最大4%であった。
また、1時間の連続放電を行い異常放電の回数を調べたところ3回であった。
【0046】
比較例3
実施例4と同様の装置を用い、窒素ガスの流量を30ccmで一定とした以外は同一条件で成膜を行った。
連続で10トレーの成膜を行い膜厚を比較したところ、ばらつきは最大12%であった。また、1時間の連続放電を行い異常放電の回数を調べたところ18回であった。
【0047】
【発明の効果】
本願発明の薄膜製造方法を用いることにより、膜厚が非常に安定した製造を行うことができ、膜厚分布の調整も容易に行うことができる。また、スパッタリング中の異常放電も少なくなり、さらにターゲットの使用効率も改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いる装置の一例の概略説明図
【図2】本発明の方法に用いる装置の他の一例の概略説明図
【図3】本発明の方法に用いる装置の他の一例の概略説明図
【図4】酸素ガス流量の時間的変動の一例を示すグラフ
【図5】酸素ガス流量の時間的変動の他の一例を示すグラフ
【図6】窒素ガス流量の時間的変動の一例を示すグラフ
【符号の説明】
1 Taターゲット
2 酸素ガス供給手段
3 流量コントローラー
4 配管
5 バルブ
6 ノズル
7 バルブ
8 ノズル
9 Arガス供給手段
10 配管
11 バルブ
12 ノズル
13 バルブ
14 ノズル
15 Siターゲット
16 窒素ガス供給手段
17 流量コントローラー
18 配管
19 バルブ
20 ノズル
21 Arガス供給手段
22 配管
23 バルブ
24 ノズル

Claims (5)

  1. スパッタリングにより基板上に薄膜を堆積させる薄膜製造方法において、スパッタリング中に導入するガスのうち少なくとも一種類のガスを、ターゲット近傍に設けた複数のノズルから周期的に噴出させてなり、その噴出量の最大値をとるタイミングを各々のノズルにおいて異なるように設定し、スパッタリング中に導入するガスのうち少なくとも一種類のガスの濃度分布を、ターゲット近傍において周期的に変動させることを特徴とする薄膜製造方法。
  2. スパッタリングが反応性スパッタリングである請求項1に記載の薄膜製造方法。
  3. ターゲットを形成する物質と反応する反応性ガスの流量を変動させる請求項2に記載の薄膜製造方法。
  4. ターゲットが300cm2以上の面積を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の薄膜製造方法。
  5. ターゲットの前方を基板を移動させつつスパッタリングする通過式スパッタリング方法である請求項1ないし4のいずれかに記載の薄膜製造方法。
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