JP3615084B2 - ビトリファイド砥石の製造方法 - Google Patents

ビトリファイド砥石の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、砥粒としてcBN(立方晶窒化ホウ素)砥粒を用いると共に、結合材としてビトリファイド結合材を用いるビトリファイドcBN砥石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビトリファイド砥石は、結合材としてビトリファイド結合材を用いた砥石であり、各種の研削に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
内面研削やアンギュラー研削のように、ワーク(被研削物)との接触弧の大きい研削方式において、砥粒として立方晶窒化ホウ素砥粒を用いたビトリファイドcBN砥石を用いる場合、研削液が供給されにくく、研削焼け、熔着が発生しやすいため、集中度を通常の円筒研削で使用される200とした砥石は使用しにくいという欠点がある。
【0004】
このため、次のような各手段によってcBN砥粒の集中度を低くすることが考えられたが、次に説明するような欠点を有する。
【0005】
1つ目として、cBN砥粒の一部を、例えば、アルミナ、SiC、ムライト等のような無機質耐摩耗材におきかえることが考えられた。しかし、この場合には研削条件によっては、前記耐摩耗材が研削面にあっても容易に破砕せず研削に支障をきたしてしまい、使用しにくいという欠点がある。
【0006】
2つ目として、特開昭62−251077号公報に記載のように、cBN砥粒の一部を無機質中空状物質におきかえる手段が考えられた。この手段によると、無機質中空状物質は研削中に破砕し、研削の邪魔とならないため、効果がある。例えば、集中度が100程度(およそ25容積%に相当)の低集中度の砥石であれば、cBN砥粒と、無機質中空状物質の数が同等となるため、各々の砥粒は砥石中に均一に分散すると考えられるので、各砥粒にかかる負荷も均一になると考えられる。
【0007】
しかしながら、cBN砥粒の一部を無機質中空状物質におきかえて集中度が100程度の砥石にする場合には、集中度が低いため、砥石摩耗がはやいという欠点がある。また、集中度が160程度の砥石を考えた場合には、各砥粒にかかる負荷は均一とならず、過負荷がかかった砥粒は脱落しやすく、集中度を増した効果が十分得られないという欠点がある。
【0008】
また、無機質中空状物質を含有することにより、以下のような好ましくない副作用が考えられる。第1に、無機質中空状物質もビトリファイド結合材によって保持されるため、無機質中空状物質を含有させない場合と比較すると、本来、cBN砥粒を保持するはずの結合材が一部、無機質中空状物質に捕られるため、その捕られるぶんだけ結合材を多くする必要があるから、気孔率が減少し使用しにくくなる。第2に、無機質中空状物質が破砕してもこれを保持していた結合材が残存するため、研削の邪魔となる。
【0009】
3つ目として、くるみ、木粉等の有機質の気孔形成材を砥石の製造の際に用いることによって集中度を低くすることが考えられた。前記気孔形成材は、焼成前の成形体に含有させ成形体の焼成時に燃え抜けさせて、焼成後に得られる砥石中に気孔を形成しようとするものである。このような気孔形成材を用いる場合は、砥石中に無機質中空体等の充填材を含有させたことによる好ましくない副作用をおこさず、集中度のみを低くすることができるので、好ましいと考えられる。これは、ビトリファイド砥石で一般に用いられている方法である。ここで、必要なことは、気孔形成材が完全に燃え抜けること、焼成収縮が十分小さいことである。焼成収縮とは、焼成前の成形体の寸法に対する焼成後に得られる砥石の寸法の収縮のことである。
【0010】
しかし、従来の気孔形成材の使用によりビトリファイドcBN砥石を製造する場合には、WA砥粒(白色アルミナ砥粒)などを使用したA系(アルミナ系)の一般砥粒を使用した一般砥石と比較して、砥粒が非酸化物であるため、また、ビトリファイド結合材の量が多いため、収縮しやすいという欠点がある。また、前記一般砥石以上に砥粒分布の均一性が要求されるビトリファイドcBN砥石では気孔の均一分布が重要となるが、従来の気孔形成材を使用した場合には気孔の均一分布が不十分であるという欠点がある。
【0011】
本発明の目的は、集中度が200未満と小さいビトリファイド砥石を製造する場合であっても、焼成収縮を小さくし、気孔を均一に分布させてビトリファイド砥石を製造することができるビトリファイド砥石の製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ビトリファイド砥石について、その構造を変化すべく種々の研究を重ねた結果、特定の気孔形成材を使用したところ、優れた結果を得たため、ここに提案する。
【0013】
即ち、本発明によれば、立方晶窒化ホウ素砥粒、固有焼成温度が700〜950℃の範囲内にあるビトリファイド結合材及び気孔形成材を少なくとも含有する成形体を前記ビトリファイド結合材の固有焼成温度で保持して焼成しながら前記気孔形成材を燃え抜けさせて気孔を形成する焼成工程を少なくとも有し、前記気孔形成材として、燃え抜け開始温度が前記ビトリファイド結合材の転移点以上であり、燃え抜け完了温度が前記ビトリファイド結合材の前記固有焼成温度の最高温度よりも低い気孔形成材を用いるビトリファイド砥石の製造方法により上記目的を達成することができる。上記本発明により、立方晶窒化ホウ素砥粒、固有焼成温度が700〜950℃の範囲内にあるビトリファイド結合材及び気孔形成材を少なくとも含有する成形体を前記ビトリファイド結合材の固有焼成温度で保持して焼成しながら前記気孔形成材を燃え抜けさせて気孔を形成して成り、前記気孔形成材は、燃え抜け開始温度が前記ビトリファイド結合材の転移点以上であり、燃え抜け完了温度が前記ビトリファイド結合材の前記固有焼成温度の最高温度よりも低いビトリファイド砥石を製造することができ、このビトリファイド砥石において、次のようにすることができる。
【0014】
記砥粒の平均粒子径よりも径が大きい気孔を有するようにすることができる。前記砥粒の集中度は200未満にすることができる。無機質中空体を含有することができる。
【0015】
記本発明のビトリファイド砥石の製造方法において、次のようにすることができる。
【0016】
記気孔形成材として、前記砥粒の平均粒子径以上の平均粒子径を有する気孔形成材を用いることができる。前記気孔形成材として、炭素を90重量%以上含有するカーボン質の気孔形成材を用いることができる。前記気孔形成材として、中実で真比重が1以上の気孔形成材を用いることができる。
【0017】
また、前記焼成工程において、前記気孔形成材の燃え抜け完了温度以上の温度で前記成形体を保持することができる。前記砥粒、前記ビトリファイド結合材及び前記気孔形成材を少なくとも含む出発固体原料を成形する成形工程を、前記焼成工程よりも前に有することができる。前記出発固体原料として、前記気孔形成材を10〜50容積%含む出発固体原料を用いることができる。前記出発固体原料として、無機質中空体を含む出発固体原料を用いることができる。
【0018】
[定義]
上記本発明において、気孔形成材について燃え抜け開始温度とは、昇温条件10℃/分で質量減少が10重量%認められる温度をいう。また、気孔形成材について燃え抜け完了温度とは、昇温条件10℃/分で質量減少が90重量%認められる温度をいう。
【0019】
また、ビトリファイド結合材の固有焼成温度には、▲1▼砥粒として一般砥粒(cBN砥粒よりも硬度の小さい砥粒)を使用する場合の一般砥粒用ビトリファイド結合材の固有焼成温度、▲2▼砥粒として超砥粒(cBN砥粒と同等以上の硬度の砥粒)を使用する場合の超砥粒用ビトリファイド結合材の固有焼成温度、及び、▲3▼砥粒として一般砥粒及び超砥粒の混合系砥粒を使用する場合の一般砥粒及び超砥粒の混合系砥粒用ビトリファイド結合材の固有焼成温度がある。砥粒として前記混合系砥粒を使用する場合には、前記混合系砥粒に適したビトリファイド結合材を用いる(超砥粒としてcBN砥粒を含む場合、主としてcBN砥粒によって規定する)。
【0020】
一般砥粒用ビトリファイド結合材の固有焼成温度とは、砥粒として一般砥粒を使用し、且つ、結合材としてビトリファイド結合材を使用した場合における結合材の最適な焼成温度域のことをいう。超砥粒用ビトリファイド結合材の固有焼成温度とは、砥粒として超砥粒を使用し、且つ、結合材としてビトリファイド結合材を使用した場合における結合材の最適な焼成温度域をいう。一般砥粒及び超砥粒の混合系砥粒用ビトリファイド結合材の固有焼成温度とは、砥粒として一般砥粒及び超砥粒の混合系砥粒を使用し、且つ、結合材としてビトリファイド結合材を使用した場合における結合材の最適な焼成温度域のことをいう。
なお、本発明において数値範囲の記載は、両端値のみならず、その中に含まれる全ての任意の中間値を含むものとする。なお、例えば、「200未満」という記載の場合、「200」は数値範囲に含まれないので、「両端値」にも該当しない。
【0021】
【発明の実施の形態】
〔ビトリファイド砥石〕
本発明により製造される砥石は、集中度が200未満のビトリファイドcBN砥石を対象とした場合に特に効果を発揮する。ここで集中度とは、砥石中に占める砥粒の割合であり、砥粒がダイヤモンド砥粒である場合には、4.4ct/cm3を100としており、集中度100は25容積%に相当し、集中度200は50容積%に相当する。ダイヤモンド砥粒とは密度が相違する砥粒を用いる場合には、ダイヤモンド砥粒との密度の差を考慮し上記に準じて集中度を定めることができる。なお、砥粒がcBN砥粒である場合には、集中度100はおよそ25容積%に相当し、集中度200はおよそ50容積%に相当する。
【0022】
砥粒の集中度は、好ましくは200未満、より好ましくは125〜190、さらに好ましくは150〜180とすると良い。なお、砥粒としてcBN砥粒を用いる場合であって、集中度を150以下とする時には、充填材として、cBN砥粒よりも硬度が小さい一般砥粒及び無機質中空材等を含有することができる。
【0023】
気孔率は、好ましくは25〜55容積%であり、より好ましくは30〜50容積%とすると良い。無機質中空材を含有する場合、無機質中空材の気孔を含めるとさらに気孔率を大きくすることができ、気孔率を25〜70容積%とすることができる。
【0024】
砥石に占める結合材率は適宜選択でき、例えば13〜35容積%の範囲とすると良い。
【0025】
本発明により製造される砥粒としてcBN砥粒を用いたビトリファイド砥石は、少なくとも研削に関与する部分が上述の構成になっていれば良い。例えば、砥粒を含有しないセラミック製の保持体の表面に、砥粒を含有するビトリファイド砥石部を有するようにしたものであっても良い。
【0026】
本発明により製造される砥石はビトリファイドcBN砥石であり、所望によりビトリファイド超砥粒砥石に使用される通常の添加材、例えば脆化材、固体潤滑材を適量含有させても良い。
【0027】
本発明により製造される砥粒としてcBN砥粒を用いたビトリファイド砥石は、高度な精密部品の研削用として好適なものである。
【0028】
〔ビトリファイド砥石の製造方法〕
本発明のビトリファイド砥石の製造方法は、立方晶窒化ホウ素砥粒、固有焼成温度が700〜950℃の範囲内にあるビトリファイド結合材及び前記特定の気孔形成材を少なくとも含有する成形体を前記ビトリファイド結合材の固有焼成温度で保持し焼成しながら前記気孔形成材を燃え抜けさせて気孔を形成する焼成工程を少なくとも有する。
【0029】
通常、ビトリファイド砥石を製造する場合の成形体を焼成する時の焼成ヒートカーブ(経過時間と温度との関係)においては、気孔形成材が燃え抜ける温度で、完全に燃え抜けさせる焼成ヒートカーブの領域を設けるのが普通である。特に、寸法が大きい砥石を製造する場合には、焼成後に砥石内部に気孔形成材が燃え残る恐れがあるため、不可欠であった。
【0030】
しかしながら、従来の気孔形成材を用いてビトリファイド砥石を製造する場合は、ビトリファイド結合材が溶ける前に気孔形成材が燃え抜けてしまうために、結合材と砥粒、あるいは結合材同士が結合する際に、結合材や砥粒が自由に動きやすくなるので、焼成収縮しやすく、砥粒分布の乱れる原因ともなった。これに対して、本発明の製造方法によれば、このような欠点は解消される。
【0031】
本発明の製造方法における焼成工程では、立方晶窒化ホウ素砥粒、固有焼成温度が700〜950℃の範囲内にあるビトリファイド結合材及び本発明で特定する気孔形成材を少なくとも含有する成形体を前記ビトリファイド結合材の固有焼成温度で保持し焼成しながら前記気孔形成材を燃え抜けさせて気孔を形成する。焼成後に得られる砥石においては、本発明の効果を奏することができる範囲であれば気孔形成材が燃え残ってもかまわないが、実質的に全ての気孔形成材を燃え抜けさせることは好ましい。前記固有焼成温度で保持する時間は、好ましくは、前記成形体における気孔形成材が燃え抜けるに十分な時間にする。気孔形成材が燃え抜けるに十分な時間は、製造しようとする砥石の形状あるいは寸法に応じて適宜設定する。
【0032】
前記成形体を前記ビトリファイド結合材の固有焼成温度で保持する場合、気孔形成材が燃え抜けるに十分な時間の間、前記固有焼成温度の範囲内の一定の温度で保持することができるが、前記固有焼成温度の範囲内であれば温度の変化(例えば、経過時間に対する温度の上昇)があってもよい。
【0033】
前記成形体を前記ビトリファイド結合材の固有焼成温度で保持する温度としては、好ましくは、前記気孔形成材の燃え抜け完了温度以上(好ましくは前記燃え抜け完了温度よりも5℃以上高い温度、より好ましくは前記燃え抜け完了温度よりも10℃以上高い温度)にする。前記成形体を焼成する温度(焼成時の最高温度)としては、前記ビトリファイド結合材の固有焼成温度の範囲内の温度であって、前記気孔形成材の燃え抜け完了温度以上にすることができる。
【0034】
本発明の焼成工程において、前記成形体を焼成する時の前記成形体の寸法は、好ましくは、本発明で特定する気孔形成材が十分に燃え抜ける程度の寸法にする。例えば、形状が直方体状の成形体の場合、厚み(直方体の最も肉厚が薄い方向の長さ)を10mm以下(好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下)にすることができる。また、例えば、形状が円筒状の成形体の場合、縁厚(円筒の壁の厚み)を10mm以下(好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下)にすることができる。
【0035】
焼成時の雰囲気は、気孔形成材が十分に燃える雰囲気にする。気孔形成材がカーボン質の場合は、例えば、酸素を含有する雰囲気にすることができ、通常は大気でよい。
【0036】
本発明のビトリファイド砥石の製造方法では、前記成形体を得る工程を前記焼成工程よりも前に設けることができる。
【0037】
前記成形体は、好ましくは、砥粒、ビトリファイド結合材粉末及び気孔形成材を少なくとも含む出発固体原料と糊料等の一次結合材を混合・攪拌して前記各成分が均一に分散した混合物を得て、前記混合物を加圧して成形し乾燥することにより得ることができる。前記出発固体原料には、必要であれば無機質中空材を含有させることができる。
【0038】
ビトリファイド超砥粒砥石を製造する場合には、所望によりビトリファイド超砥粒砥石に使用される通常の添加材、例えば脆化材、固体潤滑材、成形助材を適量前記出発固体原料に含有させても良い。
【0039】
砥粒としてcBN砥粒を用いる場合、cBN砥粒は高価なため、cBN砥粒を使用する砥石層の厚さを3mm程度とすることが多く、また、大きな径の砥石を製造する際には、cBN砥石をセグメント砥石として分割して製造を行うことが多い。よって、現実に製造されているcBN砥石は、cBN砥粒等の超砥粒以外の砥粒を用いた安価な一般砥石に比較して使用層が薄く、また製造する砥石自体の体積も小さい。従って、本発明の製造方法によりビトリファイドcBN砥石を製造する場合、砥粒と結合材を結合させる温度領域で、本発明で特定する気孔形成材を燃え抜けさせることが可能である。
【0040】
よって、製造する砥石の寸法形状にもよるが、原料として用いるビトリファイド結合材の固有焼成温度で大気雰囲気において一定時間(例えば1時間)保持を行って、焼成させることにより、砥粒及び気孔が均一に分布するように制御してビトリファイド砥石の製造が可能となる。
【0041】
また、本発明の製造方法によれば、焼成収縮を小さくしてビトリファイド砥石を得ることができるので、製造上も有利である。
【0042】
発明の製造方法における気孔形成材、ビトリファイド結合材及び砥粒について以下に説明する。
【0043】
[気孔形成材]
気孔形成材は、燃え抜け開始温度がビトリファイド結合材の転移点以上であると共に、燃え抜け完了温度がビトリファイド結合材の固有焼成温度の範囲内の最高温度よりも低いことが必要である。前記気孔形成材として、好ましくは、燃え抜け開始温度が前記ビトリファイド結合材の転移点よりも5℃以上(より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上)高く、燃え抜け完了温度が前記ビトリファイド結合材の固有焼成温度の範囲内の最高温度よりも5℃以上(より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上)低い気孔形成材を用いる。
【0044】
気孔形成材は、好ましくは、中実のものにする。気孔形成材を中実とするのは、砥石の製造過程における製造原料の撹拌時に粉砕されないようにするためである。特に超砥粒砥石を製造する場合は、製造原料を少量で撹拌することが多く、乳鉢等で手撹拌したときに粉砕されることがあるためである。従って、撹拌時に粉砕されない程度の強度を有するものであれば、中実以外の例えば中空状の気孔形成材を用いることができる。
【0045】
また、気孔形成材の真比重は、1以上(例えば1.3〜1.4)であることが望ましい。真比重が1未満のように軽い場合は、出発固体原料の撹拌中に浮いてしまい、出発固体原料に均一に分散させにくい傾向があるからである。
【0046】
気孔形成材の平均粒子径は、気孔形成に十分に寄与するように、好ましくは、砥粒の平均粒子径以上にする。
【0047】
気孔形成材の出発固体原料に占める割合は、好ましくは、容積%で10〜50%とする。前記割合は、10%未満であると効果が小さい傾向があり、50%を超えると製造が難しい傾向があるからである。前記割合は、容積%で好ましくは15〜45%、より好ましくは15〜40%である。
【0048】
気孔形成材の材料は、好ましくはカーボン質にすることができる。カーボン質とは炭素を90重量%以上含む材料のことである。気孔形成材としては、カーボン質ビーズを好適に使用することができる。
【0049】
本発明では逆に、気孔形成材の燃え抜け開始−完了温度に対応して、望ましい固有焼成温度をもつビトリファイド結合材を選ぶこともできる。
【0050】
[ビトリファイド結合材]
ビトリファイド結合材は、好ましくは、砥粒の種類に適したものを選択して使用する。砥粒としてcBN砥粒を用いるビトリファイドcBN砥石を製造する際には、ビトリファイド結合材はcBN砥粒を用いた場合に適するもの、例えば、ホウ珪酸ガラス、結晶化ガラスを用いると良い。結晶化ガラスとしては、例えばウィレマイトを析出するものなどがある。保持力を十分なものとするため、ビトリファイド結合材の熱膨張係数は、超砥粒の熱膨張係数に対して±2×10−6(1/K)(室温〜500℃)の範囲以内であることが望ましい。
【0051】
超砥粒用ビトリファイド結合材の固有焼成温度は、一般的に、一般砥粒を使用した場合における一般砥粒用ビトリファイド結合材の固有焼成温度よりも低く、好ましくは650〜1000℃、より好ましくは700〜950℃の範囲の焼成温度である。1000℃を超えると超砥粒の劣化が起こる傾向があり、650℃未満であると焼成後に得られる砥石の強度発現に支障をきたす傾向がある。より具体的には、使用される超砥粒用ビトリファイド結合材の種類に応じて採択される。本発明では砥粒として立方晶窒化ホウ素砥粒を用いており、本発明で用いるビトリファイド結合材は固有焼成温度が700〜950℃の範囲内にある。
【0052】
超砥粒用ビトリファイド結合材の好ましい組成の範囲は次の通りである。
【0053】
SiO 40〜70重量%
Al 10〜20重量%
10〜20重量%
RO 2〜10重量%
O 2〜10重量%
【0054】
上記において、「RO」はアルカリ土類金属から選ばれる一種類以上の金属の酸化物を示し、「RO」はアルカリ金属より選ばれる一種類以上の金属の酸化物を示す。
【0055】
[砥粒]
粒としては、cBN砥粒、A系(アルミナ系)、C系(炭化珪素系)等の砥粒があり、本発明ではcBN砥粒を用いる。なお、A系(アルミナ系)、C系(炭化珪素系)等の一般砥粒を使用した砥石は、cBN砥粒を使用した砥石と比較して一般的に寸法が大きいものを製造する場合が多いので、一般砥粒を使用した砥石を本発明の製造方法で製造する場合には、砥石の寸法を制限しないと気孔形成材が燃え抜けにくいことがある。
【0056】
また、本発明の製造方法において、cBN砥粒の全てをダイヤモンド砥粒に代えて適用することも考えられる。この場合は本発明に該当しないが、焼成温度、雰囲気の関係で製造条件にかなりの制約をうける。特に、気孔形成材としてカーボン質を用いる場合には、ダイヤモンド砥粒の劣化が激しく、製造は難しい傾向があるが、使用するビトリファイド結合材と気孔形成材の種類及び焼成温度等の製造条件を適宜設定することにより製造できる場合が考えられる。
【0057】
また、cBN砥石を製造する場合には、必要に応じて、充填材として一般砥粒及び無機質中空材のうちの1種以上を用いることは可能である。この場合、集中度を125以下に設定することも可能である。
【0058】
砥粒の粒度は使用目的に応じて適宜選択できるが、精密研削または超精密研削の場合、例えば#60〜#3000の範囲にすると良い。
【0059】
【実施例】
[実施例1]
気孔形成材として、中実のカーボン質ビーズ(球形粒子)を用いた。昇温条件10℃/分で質量減少を測定したところ、前記カーボン質ビーズの燃え抜け開始温度(10重量%減少)は780℃、燃え抜け完了温度(90重量%減少)は890℃、真比重は1.3、平均粒径は150μmであった。
【0060】
下記に示す配合にて、カーボン質ビーズの粒径を変化させて、外径φ14.4mm、厚さ10mmのビトリファイドcBN砥石を製造し、外径方向の焼成収縮を測定した。使用したビトリファイド結合材の転移点は550℃であり、固有焼成温度は850〜950℃である。前記砥石は、900℃で24時間大気雰囲気中で焼成して(うち900℃で2時間保持)製造した。
【0061】
・〈調合(固体原料の合計容量部を100としている。)〉
cBN砥粒(#170/#200) 57.7容量部
カーボン質ビーズ 21.8容量部
ビトリファイド結合材 20.5容量部
糊料 14.3容量部
【0062】
1)カーボン質ビーズの平均粒径が150μmの場合の焼成収縮は0.2容積%であった。
2)カーボン質ビーズの平均粒径が90μmの場合の焼成収縮は0.3容積%であった。
3)カーボン質ビーズの平均粒径が50μmの場合の焼成収縮は1.8容積%であった。
【0063】
使用したcBN砥粒(#170/#200)は平均粒子径が90μm程度であるため、カーボン質ビーズの粒径が90μmまでは優れた効果があるが、それ未満となると、焼成収縮がより大きくなる傾向があり、また、気孔径の制御が難しくなる傾向があることがわかる。
【0064】
[実施例2及び比較例1〜3]
下記の実施例2−A及び2−B、比較例1、2、3に係る下記配合の出発原料の混合物をプレス成形し、900℃で24時間大気雰囲気中で焼成して(うち900℃で1時間保持)、外径25mm、厚み14mm、中心部の穴径12mmのリング状砥石(集中度180)を作成した。カーボン質ビーズ(平均粒径150μm)は、実施例1のものと同様のものを使用した。使用したビトリファイド結合材の転移点は550℃であり、固有焼成温度は850〜950℃である。
【0065】
・〈実施例2−Aの出発原料とその配合〉
cBN砥粒(#170/#200) 57.7容量部
カーボン質ビーズ(150μm) 21.8容量部
ビトリファイド結合材 20.5容量部
糊料 14.3容量部
【0066】
・〈実施例2−Aの焼成後の砥石の構造〉
cBN砥粒(#170/#200) 45.2容量部
ビトリファイド結合材 15.9容量部
【0067】
上記焼成後の砥石の構造において、cBN砥粒(#170/#200)及びビトリファイド結合材以外の部分は、気孔である。
【0068】
・〈実施例2−Bの出発原料とその配合〉
cBN砥粒(#170/#200) 57.7容量部
カーボン質ビーズ(150μm) 19.2容量部
ビトリファイド結合材 23.1容量部
糊料 14.3容量部
【0069】
・〈実施例2−Bの焼成後の砥石の構造〉
cBN砥粒(#170/#200) 44.9容量部
ビトリファイド結合材 18.2容量部
【0070】
上記焼成後の砥石の構造において、cBN砥粒(#170/#200)及びビトリファイド結合材以外の部分は、気孔である。
【0071】
・〈比較例1の出発原料とその配合〉
cBN砥粒(#170/#200) 64.2容量部
石炭灰バルーン(90μm) 12.9容量部
ビトリファイド結合材 22.9容量部
糊料 14.3容量部
【0072】
・〈比較例1の焼成後の砥石の構造〉
cBN砥粒(#170/#200) 45.1容量部
石炭灰バルーン(90μm) 9.0容量部
ビトリファイド結合材 15.8容量部
【0073】
・〈比較例2の出発原料とその配合〉
cBN砥粒(#170/#200) 64.2容量部
石炭灰バルーン(90μm) 10.1容量部
ビトリファイド結合材 25.7容量部
糊料 14.3容量部
【0074】
・〈比較例2の焼成後の砥石の構造〉
cBN砥粒(#170/#200) 44.9容量部
石炭灰バルーン(90μm) 7.1容量部
ビトリファイド結合材 18.2容量部
【0075】
・〈比較例3の出発原料とその配合〉
cBN砥粒(#170/#200) 64.2容量部
石炭灰バルーン(90μm) 7.2容量部
ビトリファイド結合材 28.6容量部
糊料 14.3容量部
【0076】
・〈比較例3の焼成後の砥石の構造〉
cBN砥粒(#170/#200) 45.2容量部
石炭灰バルーン(90μm) 6.5容量部
ビトリファイド結合材 20.1容量部
【0077】
実施例2−A及び2−Bの焼成後に得られた砥石の構造の一例の概略拡大断面図を図1に示す。図1の砥石は、cBN砥粒1がビトリファイド結合材2により結合してなる砥石であり、気孔3を有する。なお、波線で示された4は、燃え抜けた気孔形成材のカーボン質ビーズである。また、比較例1〜3の焼成後に得られた砥石の構造の一例の概略拡大断面図を図2に示す。図2の砥石は、cBN砥粒21と中空体である石炭灰バルーン24がビトリファイド結合材22により結合してなる砥石であり、気孔23を有する。
【0078】
実施例2−A及び2−B、比較例1〜3で得られた砥石を使用して内面研削を行い、研削性能、即ち(a)研削比、(b)消費電力、(c)加工物面粗さ、について調べた。その結果を表1に示す。表1の結果は、比較例1を100とした場合の相対的な値である。
【0079】
【表1】
Figure 0003615084
【0080】
なお、研削条件及びドレス条件は下記の通りである。
【0081】
〈研削条件〉
使用機械 内面研削盤
研削方式 湿式オシレート研削
砥石周速度 45m/s
被削材 SUJ−2(φ50mm×10mm×φ29.29mm)
ワーク周速度 1.25m/秒
研削能率 Z=1.6mm/mm/秒
【0082】
〈ドレス条件〉
ドレッサ □0.4mm単石LLロータリードレッサ
切込量 φ4μm/pass×20pass
リード 0.08mm/rev
【0083】
実施例2−A及び2−Bの砥石は比較例1の砥石に対し、研削比は高く、面粗さは細かく、高い性能である。ただし、消費電力がやや高めとなる。なお、研削比が高いということは、砥石の寿命が長いということを示す。また、面粗さが細かいということは、加工品位が良いということを示す。
【0084】
実施例2−Aの砥石は、比較例2と比較すると消費電力は同等であるにもかかわらず、研削比は高く、面粗さは細かい。
【0085】
実施例2−Aの砥石は、比較例3と比較すると研削比が同等であるにもかかわらず、消費電力は低く、面粗さは細かい。実施例2−Bの砥石は、比較例3と比較すると研削比は高く、面粗さは細かいにもかかわらず、消費電力は低い。
【0086】
つまり、本実施例の砥石は、▲1▼従来品と同等の消費電力において、砥石寿命が長く加工品位が高いということ、また、▲2▼従来品と同等の研削比において、切れ味よく加工品位が高いということがわかり、開発した本発明のcBN超砥粒砥石は優れていることがわかる。
【0087】
【発明の効果】
本発明により製造されるビトリファイド砥石は、集中度が200未満と小さい場合であっても、砥粒及び気孔が均一に分布することが可能になるから、研削比が高いと共に、研削焼けや熔着が発生しにくく使いやすく、さらに偏摩耗などを起こさずドレスインターバルの向上を図ることができる。
【0088】
本発明のビトリファイド砥石の製造方法は、立方晶窒化ホウ素砥粒、固有焼成温度が700〜950℃の範囲内にあるビトリファイド結合材及び気孔形成材を少なくとも含有する成形体を前記ビトリファイド結合材の固有焼成温度で保持し焼成しながら前記気孔形成材を燃え抜けさせて気孔を形成する焼成工程を少なくとも有し、前記気孔形成材として、燃え抜け開始温度が前記ビトリファイド結合材の転移点以上であり、燃え抜け完了温度が前記ビトリファイド結合材の前記固有焼成温度の最高温度よりも低い気孔形成材を用いるので、集中度が200未満と小さいビトリファイド砥石を製造する場合であっても、焼成収縮を小さくし、砥粒及び気孔を均一に分布させてビトリファイド砥石を製造することができる。気孔を均一に分布させることができるので、本発明の製造方法により製造したビトリファイド砥石は、研削焼けや熔着が発生しにくい。また、砥粒及び気孔を均一に分布させることができるので、本発明の製造方法により製造したビトリファイド砥石は、偏摩耗などを起こさずドレスインターバルの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例2−A及び2−Bの焼成後に得られた砥石の構造の一例の概略拡大断面図である。
【図2】図2は、比較例1〜3の焼成後に得られた砥石の構造の一例の概略拡大断面図である。
【符号の説明】
1、21 cBN砥粒
2、22 ビトリファイド結合材
3、23 気孔
4 燃え抜けた気孔形成材のカーボン質ビーズ
24 石炭灰バルーン

Claims (7)

  1. 立方晶窒化ホウ素砥粒、固有焼成温度が700〜950℃の範囲内にあるビトリファイド結合材及び気孔形成材を少なくとも含有する成形体を前記ビトリファイド結合材の固有焼成温度で保持し焼成しながら前記気孔形成材を燃え抜けさせて気孔を形成する焼成工程を少なくとも有し、
    前記気孔形成材として、燃え抜け開始温度が前記ビトリファイド結合材の転移点以上であり、燃え抜け完了温度が前記ビトリファイド結合材の前記固有焼成温度の最高温度よりも低い気孔形成材を用いることを特徴とするビトリファイド砥石の製造方法。
  2. 前記気孔形成材として、前記砥粒の平均粒子径以上の平均粒子径を有する気孔形成材を用いることを特徴とする請求項に記載のビトリファイド砥石の製造方法。
  3. 前記気孔形成材として、炭素を90重量%以上含有するカーボン質の気孔形成材を用いることを特徴とする請求項のいずれか一に記載のビトリファイド砥石の製造方法。
  4. 前記気孔形成材として、中実で真比重が1以上の気孔形成材を用いることを特徴とする請求項のいずれか一に記載のビトリファイド砥石の製造方法。
  5. 前記焼成工程において、前記気孔形成材の燃え抜け完了温度以上の温度で前記成形体を保持することを特徴とする請求項のいずれか一に記載のビトリファイド砥石の製造方法。
  6. 前記砥粒、前記ビトリファイド結合材及び前記気孔形成材を少なくとも含む出発固体原料を成形する成形工程を、前記焼成工程よりも前に有し、
    前記出発固体原料として、前記気孔形成材を10〜50容積%含む出発固体原料を用いることを特徴とする請求項のいずれか一に記載のビトリファイド砥石の製造方法。
  7. 前記出発固体原料として、無機質中空体を含む出発固体原料を用いることを特徴とする請求項に記載のビトリファイド砥石の製造方法。
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