JP3615742B2 - 硬化性ビニルベンジル化合物およびその製造方法 - Google Patents

硬化性ビニルベンジル化合物およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化性ビニルベンジル化合物およびその製造方法に関するものであり、詳しくは、電子機器材料に求められる低誘電率、低誘電正接、高耐熱性、および低吸水性に優れた硬化物となり得る硬化性ビニルベンジル化合物、その製造方法、該化合物を含む硬化性樹脂組成物、およびその硬化樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の高度情報化社会の進展とともに、情報処理、情報通信の分野で高速化、高機能化が求められてきている。これに伴い、コンピュータや移動通信機器等に用いられる部品の材料にはより高い性能が要求されるようになってきている。
情報量の増大に対応するには演算速度を向上させなければならないが、このためには信号伝播速度の高速化、すなわち信号伝播遅延時間の短縮が必要である。ここで、信号伝播の遅延は材料の誘電率と密接に関係しており、誘電率が低いほど遅延時間短縮に有利である。
情報通信の分野においては移動通信機器のチャンネル数の増大に伴い、使用する周波数はより高周波数へと移行しつつある。高周波には、熱に変換して損失する性質があるため、電気信号を効率よく伝達するためには、伝送損失の小さい材料が必要である。伝送損失は誘電率、誘電正接と密接に関係しており、これらが低いほど伝送損失は小さくなる。
【0003】
このような背景から情報処理、情報通信の分野で、低誘電率、低誘電正接に優れた材料が強く求められている。加えてこれらの材料には耐熱性が高いこと、吸水性が低いこと、他の機材に対する密着性が高いことも求められている。
その要求を満たすために様々な材料の開発が盛んに進められている。例えばポリベンゾシクロブテン(R.A.Kirchhoff et al., Macromol. Symp. 54/55, 531 (1992))、フッ素化ポリビフェニレンエーテル(特開平10−74751号公報)、複素環式側鎖を有するポリフェニレン化合物(特開平9−278879号公報)、ポリフマル酸エステル(特開平9−208697号公報)、ポリノルボルネン(特開平5−214079号公報)、ポリキノキサリン(特許第2705799号公報)、フッ素化ポリキノリン(特表平6−500591号公報)、側鎖アリル基置換ポリフェニレンエーテル(特開昭64−69628号公報、特開平4−183707号公報、同6−207096号公報)、アリル基またはプロパルギル基で末端封止したポリフェニレンエーテル(特公平7−51625号公報)等が挙げられる。
しかしながら、これら先行技術で提案された材料は、架橋密度が低く線膨張係数が大きい、耐薬品性に乏しい、靭性に乏しい、製造に煩雑かつ多段の工程を要する、賦形に特殊な溶剤が必要、等の諸問題があり、現在のところ十分に実用に供し得るに至っていないのが実状である。
【0004】
また本発明者らは、前記課題を解決できる化合物として、幅広い温度、周波数領域で低誘電率、低誘電正接、および低吸水性を示すビニルベンジルエーテル化合物を提案した(特開平9−31006号公報)。この化合物は、現在の電子材料に対する厳しい要求を満たす数少ない材料の1つである。しかし、電子材料の諸特性への要求はますます厳しくなってきており、例えば、この先の次世代通信機器等では、さらに一層優れた誘電特性が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、低誘電率、低誘電正接、高耐熱性、および低吸水性に優れた硬化物となり得る硬化性ビニルベンジル化合物、その製造方法、該化合物を含む硬化性樹脂組成物、およびその硬化樹脂を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、下記一般式で示される硬化性ビニルベンジル化合物である。
(一般式1)
【0007】
【化6】
Figure 0003615742
【0008】
(式中、R1、R2、R3はビニルベンジル基、水素原子、炭素数1〜5の同じでも異なっていてもよいアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基およびアリール基から選択される基を示すが、少なくとも1つはビニルベンジル基である。R4は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の同じでも異なっていてもよいアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基およびアリール基から選択される1種以上の基を示す)
【0009】
請求項2の発明は、下記一般式で示される硬化性ビニルベンジル化合物である。
(一般式2)
【0010】
【化7】
Figure 0003615742
【0011】
(式中、R5は炭素数2〜20の2価の有機基を示し、R6はビニルベンジル基、水素原子、炭素数1〜5の同じでも異なっていてもよいアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基およびアリール基から選択される基を示すが、少なくとも1つはビニルベンジル基である。a、b、cは0〜20の整数を示し、R4は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の同じでも異なっていてもよいアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基およびアリール基から選択される1種以上の基を示す)
【0012】
請求項3の発明は、下記一般式3で示されるインデン化合物の1種または2種以上、フルオレン化合物、ビニルベンジルハライドおよび炭素数2〜20のジハロメチル化合物を、アルカリ存在下で反応させて得られる硬化性ビニルベンジル化合物である。
(一般式3)
【0013】
【化8】
Figure 0003615742
【0014】
(式中、R4は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の同じでも異なっていてもよいアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基およびアリール基から選択される1種以上の基を示す)
【0015】
請求項4の発明は、下記一般式3で示されるインデン化合物の1種または2種以上とビニルベンジルハライドとを、アルカリ存在下で反応させることを特徴とする請求項1記載の硬化性ビニルベンジル化合物を製造する方法である。
(一般式3)
【0016】
【化9】
Figure 0003615742
【0017】
(式中、R4の定義は前記に同じである。)
【0018】
請求項5の発明は、下記一般式3で示されるインデン化合物の1種または2種以上、ビニルベンジルハライドおよび炭素数2〜20のジハロメチル化合物を、アルカリ存在下で反応させることを特徴とする請求項2記載の硬化性ビニルベンジル化合物を製造する方法である。
(一般式3)
【0019】
【化10】
Figure 0003615742
【0020】
(式中、R4の定義は前記に同じである。)
【0021】
請求項6の発明は、ビニルベンジルハライドが、m−ビニルベンジルクロライドおよび/またはp−ビニルベンジルクロライドである請求項4または5に記載の製造方法である。
【0022】
請求項7の発明は、ビニルベンジルハライドのハロメチル基と炭素数2〜20のジハロメチル化合物のハロメチル基との当量比を、前者:後者として0.9:0.1〜0.1:0.9となるように調整して反応に供する請求項5または6に記載の製造方法である。
【0023】
請求項8の発明は、反応が、アルカリ存在下で、かつ非プロトン性極性溶媒中および/または相間移動触媒の存在下で行われる請求項4ないし7のいずれか1項に記載の製造方法である。
【0024】
請求項9の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の硬化性ビニルベンジル化合物に、これと共重合可能な化合物を配合してなる硬化性樹脂組成物である。
【0025】
請求項10の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の硬化性ビニルベンジル化合物自体を硬化させて得られた硬化樹脂である。
【0026】
請求項11の発明は、請求項9に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られた硬化樹脂である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の前記一般式1で示される硬化性ビニルベンジル化合物は、前記一般式3で示されるインデン化合物の1種または2種以上とビニルベンジルハライドとを、アルカリ存在下で反応させることにより得ることができる。
また本発明の前記一般式2で示される硬化性ビニルベンジル化合物は、前記一般式3で示されるインデン化合物の1種または2種以上、ビニルベンジルハライドおよび炭素数2〜20のジハロメチル化合物を、アルカリ存在下で反応させることにより得ることができる。なお本発明でいうジハロメチル化合物とは、分子中に−CHX(式中、Xはハロゲン原子を表す)基を2つ有する化合物である。
さらに本発明の硬化性ビニルベンジル化合物は、インデン化合物の1種または2種以上、フルオレン化合物、ビニルベンジルハライドおよび炭素数2〜20のジハロメチル化合物を、アルカリ存在下で反応させて得られる硬化性ビニルベンジル化合物であることができる。
【0028】
本発明におけるビニルベンジル化反応は、前記材料をアルカリ存在下、有機溶媒または水溶液中、好ましくは非プロトン性極性溶媒中および/または相間移動触媒の存在下で行うことができる。なおビニルベンジル化反応は、例えば、L.J.MathiasらのJ.Polym.Sci., Part B; 36, 2869 (1998)、J.Polym.Sci., Part A; 35, 587 (1997)あるいはC.J.KellyらのJ.Chem.Res.(S), 446 (1997)に記載されている。
【0029】
本発明に用いられるインデン化合物としては、インデン、またはその芳香環部分がハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリール基で置換されたインデン化合物が挙げられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。なお、該置換されたインデン化合物は、例えばインデンの芳香環部を臭素等によりハロゲン化し、さらにその部分に所望の基を導入することにより簡単に合成することができる。
【0030】
本発明に用いられるフルオレン化合物としては、下記一般式4で示される化合物が好ましい。
【0031】
【化11】
Figure 0003615742
【0032】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の同じでも異なっていてもよいアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基およびアリール基から選択される1種以上の基を示す)
【0033】
フルオレン化合物を用いる場合、フルオレン化合物とインデン化合物の当量比は、前者:後者として0.9:0.1〜0.1:0.9となるように調整して反応に供するのがよい。フルオレン化合物の当量比を大きくすると直線状の化合物になりやすく、インデン化合物の当量比を大きくすると枝分かれの多い化合物となりやすい。
【0034】
本発明に用いられるビニルベンジルハライドとしては、m−ビニルベンジルクロライド、p−ビニルベンジルクロライド、m−ビニルベンジルブロマイド、p−ビニルベンジルブロマイドが挙げられ、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。中でも好ましくはm−ビニルベンジルクロライド、p−ビニルベンジルクロライドである。
【0035】
ジハロメチル基を含む炭素数2〜20の有機化合物としては、例えば、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,3−ジクロロプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,4−ジブロモブタン等のアルキレンジハライド、o−キシリレンジクロライド、o−キシリレンジブロマイド、m−キシリレンジクロライド、m−キシリレンジブロマイド、p−キシリレンジクロライド、p−キシリレンジブロマイド、4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス(クロロメチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(クロロメチル)ジフェニルスルフィド、2,6−ビス(ブロモメチル)ナフタレン、1,8−ビス(ブロモメチル)ナフタレン、1,4−ビス(クロロメチル)ナフタレン等のジハロメチル化合物が挙げられ、これらは分子内環化反応が起こらぬ範囲でそれぞれ単独でも2種類以上を混合して用いてもよい。
【0036】
ビニルベンジルハライドのハロメチル基と炭素数2〜20のジハロメチル化合物のハロメチル基との当量比は、ジハロメチル化合物によるゲル化が起こらない範囲で選択できるが、前者:後者として0.9:0.1〜0.1:0.9となるように調整して反応に供するのがよい。ビニルベンジルハライドの当量比が0.1未満であると硬化性が悪くなり、耐熱性等の硬化物の諸物性が低下してしまう。
【0037】
本発明に用いられるアルカリとしては、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属のアルコキサイド、水素化物、水酸化物、例えばナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、反応系を非水系とするか、含水系とするかでアルカリ種を選択すればよい。
【0038】
アルカリの使用割合は、原料のハロメチル基1当量に対して1.1〜3.0当量がよい。当量が1.1未満であると、反応速度が著しく遅くなったり、反応が完全に進行せずに原料が残ってしまい硬化物性に好ましくない影響を与える、また3当量を超えて以上用いても残存アルカリの除去に多量の洗浄水等を使用するため、経済的でない。
【0039】
反応溶媒としてはジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジメトキシプロパン、1,2−ジメトキシプロパン、テトラメチレンスルホン、ヘキサメチルホスホアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン等およびこれらの混合物が挙げられ、これらの中から原料種や反応条件に応じて反応系が均一になるような溶媒種を選択すればよい。中でも非プロトン性極性溶媒が好ましい。
【0040】
本発明においては相間移動触媒を併用するのが好ましく、その例としては、各種オニウム塩、例えば、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、トリカプリルメチルアンモニウムクロライド等の四級アンモニウム化合物、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド等の四級ホスホニウム化合物、ベンジルテトラメチレンスルホニウムブロマイド等の三級スルホニウム化合物およびこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
これらの相間移動触媒の使用量は触媒種、あるいは反応温度により触媒効果が異なるために一概に規定できないが、一般的には原料のハロメチル基1当量に対して0.01〜0.5当量程度使用すれば十分である。
【0042】
反応温度および反応時間は、使用する原料化合物の種類、反応条件によって異なるために一概に規定できないが、それぞれ30〜100℃で0.5〜20時間であればよい。100℃を超える反応温度では、熱重合等の好ましくない反応を併発することがあることから好ましくない。また30℃未満でも反応は進行するが、長時間を要することから経済的でない。
【0043】
本発明は高重合性の不飽和ハライドであるビニルベンジルハライドを使用することから、必要に応じて反応系に重合防止剤を添加してもよく、例えば、t−ブチルカテコール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドノキノンモノメチルエーテル、t−ブチルハイドロキノン、レゾルシン、ピロガロール、フェノチアジン、銅塩等が挙げられる。これらの熱重合防止剤の使用量は、熱重合防止剤の種類によって効果が異なるため、一概に規定できないが、硬化性ビニルベンジル化合物に対して数ppm〜2000ppmで十分である。
【0044】
本発明によれば、成形性の改善等を図るために、硬化性ビニルベンジル化合物に、本発明の効果を損なわない範囲においてこれと共重合可能な化合物を配合し、硬化性樹脂組成物を調製することができる。この化合物としては、ポリマー、オリゴマーおよび/またはモノマーを挙げることができ、その具体的な例としては、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂、ポリフェノールのポリシアナート樹脂、エポキシ樹脂等のポリマー、ビニルベンジルエーテル樹脂等の重合性不飽和基を有するオリゴマー、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等のモノマーおよびプレポリマー等、さらにはフルオレンのビニルベンジル化合物等が挙げられる。さらにスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルベンジルエーテル化合物等の単量体や、各種公知の単官能あるいは多官能(メタ)アクリル酸誘導体化合物を用いることもできる。
【0045】
また前記共重合可能な化合物の使用量は、共重合可能な化合物の種類、硬化性ビニルベンジル化合物との相溶性、硬化物の用途等によっても異なるため、一概に規定できないが、硬化性ビニルベンジル化合物100重量部に対して、0〜300重量部、好ましくは0〜200重量部である。300重量部を超える添加量では、硬化性ビニルベンジル化合物からの分離・滲出等が起こり易くなるために好ましくない。
【0046】
本発明の硬化樹脂は、硬化性ビニルベンジル化合物自体、あるいは前記硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる。硬化は、熱、光、電子線などの公知の方法を採用することができる。また硬化剤を使用して硬化反応を促進したりすることも有用である。
【0047】
硬化剤を使用する場合は、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等を用途に応じて使用することができる。
【0048】
その使用量は、硬化性ビニルベンジル化合物または硬化性樹脂組成物中の不飽和基の種類、濃度、使用する硬化剤の種類、半減期温度、必要とする安定性等によって異なるが、概ね硬化性ビニルベンジル化合物または硬化性樹脂組成物100重量部に対して0〜10重量部である。
【0049】
この他、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸亜鉛、ジメチルアニリン、フェニルモルフォリン等の公知の硬化促進剤を使用することもできる。
【0050】
硬化温度は、重合性不飽和基の種類、硬化剤の種類と使用量等によって異なるため、一概に規定できないが、20〜250℃、好ましくは50〜250℃である。硬化温度が20℃未満では、硬化が不十分となる場合があり、好ましくない。
【0051】
また硬化条件の調整のために、ハイドロキノン、ベンゾキノン、銅塩等の公知の硬化遅延剤を配合してもよい。
【0052】
その他、本発明の硬化性ビニルベンジル化合物および/または硬化性樹脂組成物は、必要に応じてニーダー、ブレンダー、ロール等を用いて着色剤、充填剤や強化繊維を配合し、成形材料や複合材料とすることもできる。充填剤としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、二酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等を本発明の効果が損なわれぬ範囲で添加することができる。
【0053】
なお、前記の本発明の硬化性ビニルベンジル化合物または硬化性樹脂組成物を所望の形状に成形することにより、高周波用基板を製造することもできる。このような高周波用基板は、100MHz以上、特に1GHz以上の高周波領域での使用に適する。このような高周波領域において、誘電正接は0.002〜0.01程度を維持することができる。
【0054】
また、前記の硬化性ビニルベンジル化合物または硬化性樹脂組成物を繊維材料に含浸し、プリプレグを得ることができる。
このようなプリプレグの作成に用いられる繊維材料としてはガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維など公知の繊維材料を用いることができるが、好ましくは低誘電性(低誘電率、低誘電正接)を有するガラス繊維からなるガラスクロスを使用することが好ましい。繊維材料の含有量は強度や成形性等の観点からプリプレグに対して30〜70重量%であることが好ましい。
硬化性ビニルベンジル化合物または硬化性樹脂組成物を繊維材料に含浸させる方法としては、公知の溶剤法あるいは無溶剤法のどちらの方法も用いることができる。溶剤法に用いる溶剤としては、プリプレグ中の残存溶剤をできるだけ少なくし、耐熱性の低下やクラック、ボイドの発生を回避するために比較的低沸点の溶剤、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤等を用いることができる。
このような方法で硬化性ビニルベンジル化合物または硬化性樹脂組成物が繊維材料に含浸したものを必要に応じて80〜130℃で10分〜180分乾燥および熱処理を施すことによってプリプレグを得ることができる。
【0055】
得られたプリプレグは、これを単独で、または積層して加熱、加圧に施すことにより、高周波用基板を得ることができる。すなわち、所定の厚みのプリプレグ単独、あるいは所定の厚みとなるようにプリプレグを積層し、熱プレス等の公知の方法にて加熱加圧成形を行うことにより高周波用基板を得ることができる。成形条件は80〜250℃、好ましくは100〜200℃、5〜100kg/cmの圧力、0.5〜10時間が例示され、必要に応じて段階的に昇温することも効果的である。
【0056】
また、前記のプリプレグを単独で、または積層し、さらに金属箔を重ねて加熱、加圧に施すことにより、金属張り高周波用基板を製造することができる。すなわち、所定の厚みのプリプレグ単独、あるいは所定の厚みとなるようにプリプレグを積層し、その積層体の両面に金属箔を重ね、前記の加熱加圧成形を行うことにより金属張り高周波用基板を得ることができる。
金属箔としては、銅、金、銀、アルミニウム等が挙げられるが、銅が好ましい。また必要に応じて電解箔や圧延箔を使用することができる。
【0057】
また、上述のような銅箔等の金属箔上に前記硬化性ビニルベンジル化合物または硬化性樹脂組成物あるいはその溶液をドクターブレードコート法等により塗工し、80〜130℃で10分〜180分乾燥および熱処理を施すことによって両者が一体化した樹脂付き金属箔を得ることも可能で、これを用いて高周波用基板としてもよい。また樹脂付き金属箔をコア材に重ねて加熱加圧成形することにより多層積層基板としてもよい。
【0058】
また、導電層上に前記の硬化性ビニルベンジル化合物または硬化性樹脂組成物を塗工し重合・硬化させ、硬化物の上にさらに導電層を設けることにより多層積層基板を製造することができる。
このような多層積層基板は、例えば導電層として厚さ18μmの銅箔を用い、その上に硬化性ビニルベンジル化合物または硬化性樹脂組成物を厚さ20〜200μm好ましくは50〜100μmの絶縁層として塗布し、熱硬化させ、その上にさらに導電層を形成する、いわゆるビルドアップ法により作製することができる。
【0059】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお特記しない限り、例中の部は重量部を意味する。なお実施例で行われた測定の方法を以下に示す。
熱重量分析:SII社製TGA装置を用い、窒素気流下、昇温速度10℃/分で測定した。
誘電特性:HP社製ベクトルネットワークアナライザHP8753Eを用い、1.5mm×1.5mm×75mmの角柱状試験片を用いて空洞共振器摂動法で5GHzの誘電率および誘電正接を測定した。
H−核磁気共鳴スペクトル(H−NMR):テトラメチルシランを内部標準物質にして、日本電子社製JNM−LA300を用いて測定した。
赤外線吸収スペクトル(IR):日本電子社製フーリエ変換赤外分光光度計JIR−RFX3002FT−IRを用いて測定した。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC):昭和電工社製Shodex R1−51(カラムKF−801、KF−802)を用い、溶出液テトラヒドロフラン、溶出速度1ml/分で測定した。
吸水率:1.5mm×40mm×40mmの試験片を25℃で24時間、水に浸漬し、乾燥時の重量(W1)と吸水後の重量(W2)から、計算式[(W2−W1)/W1]×100より算出した。
【0060】
(実施例1)
温度調節器、攪拌装置、冷却コンデンサー、滴下ロート、窒素吹き込み口を備えたフラスコ中を窒素置換し、そこにインデン34.9g(0.3モル)、トルエン200g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド8.72g(0.027モル)、フェノチアジン1.79g(0.009モル)、50重量%NaOH水溶液144.0g(NaOH、1.8モル)を仕込み、攪拌しながら50℃まで昇温して均一な溶液にした。濃青緑色の溶液にセイミケミカル社製ビニルベンジルクロライドCMS−AM(m/p異性体:50/50重量%混合物)150.8g(純度91%、0.9モル)を15分かけて滴下し、その後50〜52℃で10時間反応させた。次にフラスコ内容物を2N塩酸で中和した後、蒸留水で2回洗浄し、トルエンを減圧留去後、得られたオレンジ色の粘ちょう液体をメタノールで洗浄した後に真空乾燥することにより、本発明の硬化性ビニルベンジル化合物(主に、一般式1のR1、R2、R3はビニルベンジル基、R4は水素原子に相当する化合物からなる)を得た。これを化合物1とする。なお、化合物1の確認はH−NMRスペクトル、IRスペクトル、HPLCから行った。化合物1は23℃でほとんど流動性のない高粘性液体であった。図1にH−NMRスペクトルを、図2にIRスペクトルを示す。
化合物1をガラス板の間に流し込み、160℃で2時間、続いて180℃で2時間、200℃で3時間硬化して1.5mm厚の樹脂板を作成し、これを用いて各測定に必要な試験片を作成した。試験結果を表1に示す。
【0061】
(実施例2)
温度調節器、攪拌装置、冷却コンデンサー、滴下ロート、窒素吹き込み口を備えたフラスコ中を窒素置換し、そこにインデン46.5g(0.4モル)、トルエン200g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド7.75g(0.024モル)、フェノチアジン0.08g(0.0004モル)、50重量%NaOH水溶液128.0g(NaOH、1.6モル)を仕込み、攪拌しながら50℃まで昇温して均一な溶液にした。濃青緑色の溶液にセイミケミカル社製ビニルベンジルクロライドCMS−AM(m/p異性体:50/50重量%混合物)134.1g(純度91%、0.8モル)を15分かけて滴下し、その後50〜52℃で10時間反応させた。次にフラスコ内容物を2N塩酸で中和した後、蒸留水で2回洗浄し、トルエンを減圧留去後、得られたオレンジ色の粘ちょう液体をメタノールで洗浄した後に真空乾燥することにより、本発明の硬化性ビニルベンジル化合物(一般式1のR1、R2、R3はビニルベンジル基、R4は水素原子に相当する化合物と、一般式1のR1〜R3のうちいずれか2つがビニルベンジル基で残りが水素原子、R4は水素原子に相当する化合物と、一般式1のR1〜R3のうちいずれか1つがビニルベンジル基で残りが水素原子、R4は水素原子に相当する化合物との3種からなる)を得た。これを化合物2とする。なお、化合物2の確認はH−NMRスペクトル、IRスペクトル、HPLCから行った。化合物2は23℃で5000poise程度の高粘性液体であった。図3にH−NMRスペクトルを、図4にIRスペクトルを示す。
化合物2をガラス板の間に流し込み、160℃で2時間、続いて180℃で2時間、200℃で3時間硬化して1.5mm厚の樹脂板を作成し、これを用いて各測定に必要な試験片を作成した。試験結果を表1に示す。
【0062】
(実施例3)
温度調節器、攪拌装置、冷却コンデンサー、滴下ロート、窒素吹き込み口を備えたフラスコ中を窒素置換し、そこにインデン46.5g(0.4モル)、トルエン200g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド3.88g(0.012モル)、フェノチアジン0.04g(0.0002モル)、50重量%NaOH水溶液64.0g(NaOH、0.8モル)を仕込み、攪拌しながら50℃まで昇温して均一な溶液にした。濃青緑色の溶液にセイミケミカル社製ビニルベンジルクロライドCMS−AM(m/p異性体:50/50重量%混合物)80.4g(純度91%、0.48モル)を15分かけて滴下し、その後50〜52℃で10時間反応させた。次にフラスコ内容物を2N塩酸で中和した後、蒸留水で2回洗浄し、トルエンを減圧留去後、得られたオレンジ色の液体をメタノールで洗浄した後に真空乾燥することにより、本発明の硬化性ビニルベンジル化合物(主に、一般式1のR1〜R3のいちいずれか1つがビニルベンジル基で残りが水素原子、R4は水素原子に相当する化合物からなる)を得た。これを化合物3とする。化合物3は約1000poiseの粘性液体であった。なお、化合物3の確認は、実施例1および2と同様に、H−NMRスペクトル、IRスペクトル、HPLCから行った。
化合物3をガラス板の間に流し込み、160℃で2時間、続いて180℃で2時間、200℃で3時間硬化して1.5mm厚の樹脂板を作成し、これを用いて各測定に必要な試験片を作成した。試験結果を表1に示す。
【0063】
(実施例4)
温度調節器、攪拌装置、冷却コンデンサー、滴下ロート、窒素吹き込み口を備えたフラスコ中を窒素置換し、そこにインデン46.5g(0.4モル)、トルエン200g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド3.88g(0.012モル)、フェノチアジン0.04g(0.0002モル)、50重量%NaOH水溶液64.0g(NaOH、0.8モル)を仕込み、攪拌しながら50℃まで昇温して均一な溶液にした。濃青緑色の溶液にセイミケミカル社製ビニルベンジルクロライドCMS−AM(m/p異性体:50/50重量%混合物)67.0g(純度91%、0.40モル)を15分かけて滴下し、その後50〜52℃で10時間反応させた。次にフラスコ内容物を2N塩酸で中和した後、蒸留水で2回洗浄し、トルエンを減圧留去後、得られたオレンジ色の液体をメタノールで洗浄した後に真空乾燥することにより、本発明の硬化性ビニルベンジル化合物(主に、一般式1のR1〜R3のいちいずれか1つがビニルベンジル基で残りが水素原子、R4は水素原子に相当する化合物からなる)を得た。これを化合物4とする。なお、化合物4の確認は実施例1および2と同様に、H−NMRスペクトル、IRスペクトル、HPLCから行った。
化合物4をガラス板の間に流し込み、160℃で2時間、続いて180℃で2時間、200℃で3時間硬化して1.5mm厚の樹脂板を作成し、これを用いて各測定に必要な試験片を作成した。試験結果を表1に示す。
(実施例5)
温度調節器、攪拌装置、冷却コンデンサー、滴下ロートを備えたフラスコにインデン166g(1.43モル)、トルエン1000g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド22g(0.069モル)、p−キシリレンジクロリド250g(1.43モル)、セイミケミカル社製ビニルベンジルクロライドCMS−AM(m/p異性体:50/50重量%混合物)240g(純度91%、1.43モル)を仕込み、攪拌しながら40℃まで昇温して均一な溶液にした。これに50重量%NaOH水溶液344g(NaOH、8.6モル)を加えて、その後70℃で8時間反応させた。次にフラスコ内容物を2N塩酸で中和した後、蒸留水で2回洗浄し、トルエンを減圧留去後、得られたオレンジ色の粘ちょう液体をメタノールで洗浄し、真空乾燥することにより、インデンがキシリレンでつながったオリゴマー化合物にビニルベンジル基が置換した分子量Mw3000の固体化合物を得た(すなわち一般式2においてR4は水素、R5はキシリレン基、R6はビニルベンジル基、a〜cはMwが3000に相当する値)。これを化合物6とする。なお、化合物6の確認はH−NMRから行った。本実施例で得られた化合物のH−NMRスペクトルを図5に、IRスペクトルを図6に示す。
化合物6をガラス板の間に流し込み、160℃で2時間、続いて180℃で2時間、200℃で3時間硬化して1.5mm厚の樹脂板を作成し、これを用いて各測定に必要な試験片を作成した。試験結果を表1に示す。
【0064】
(比較例1)
温度調節器、撹拌装置、冷却コンデンサー、滴下ロートを備えた四つ口フラスコに、ジシクロペンタジエン骨格フェノール樹脂DPP−3H(日本石油化学社製特殊フェノール樹脂)45g(0.25当量)、セイミケミカル社製ビニルベンジルクロライドCMS−AM(m/p異性体:50/50重量%混合物)38.1g(純度91%、0.25モル)、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド2.4g、2,4−ジニトロフェノール0.038g、メチルエチルケトン200gを仕込み、攪拌溶解したものに75℃で50重量%NaOH水溶液40g(NaOH、0.48モル)を20分かけて滴下し、さらに75℃で4時間反応させた。次にフラスコ内容物を2N塩酸で中和し、トルエン100gを追加した後、有機層を蒸留水で3回洗浄した。メチルエチルケトンを減圧留去後、反応物をメタノールに沈澱させ、固形分を濾取した後、50℃で真空乾燥し、ビニルベンジルエーテル化合物を得た。これを化合物7とする。
化合物7を実施例1と同様の方法で硬化成型して樹脂板を作成し、これを用いて各測定に必要な試験片を作成した。試験結果を表1に示す。
【0065】
(比較例2)
エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製;エピコート828(エポキシ当量188)100部に、2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成社製)2部を配合して樹脂組成物とした。これを化合物8とする。
化合物8をガラス板の間に流し込み80℃で2時間、150℃で2時間硬化して樹脂板を作成し、これを用いて各測定に必要な試験片を作成した。試験結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
Figure 0003615742
【0067】
(実施例6)
温度調節器、攪拌装置、冷却コンデンサー、滴下ロートを備えたフラスコにインデン116g(1モル)、フルオレン166g(1モル)、トルエン1000g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド22g(0.069モル)、p−キシリレンジクロリド70g(0.4モル)、セイミケミカル社製ビニルベンジルクロライドCMS−AM(m/p異性体:50/50重量%混合物)550g(純度91%、3.6モル)を仕込み、攪拌しながら40℃まで昇温して均一な溶液にした。これに50重量%NaOH水溶液352g(NaOH、8.8モル)を加えて、その後70℃で8時間反応させた。次にフラスコ内容物を2N塩酸で中和した後、蒸留水で2回洗浄し、トルエンを減圧留去後、得られたオレンジ色の粘ちょう液体をメタノールで洗浄し、真空乾燥することにより、フルオレンとインデンがキシリレンでつながったオリゴマー化合物にビニルベンジル基が置換した分子量Mw700の固体化合物を得た。これを化合物9とする。なお、化合物9の確認はH−NMRで行った。本実施例で得られた化合物のH−NMRスペクトルを図7に示す。
化合物9をガラス板の間に流し込み、160℃で2時間、続いて180℃で5時間、200℃で3時間硬化して1.5mm厚の樹脂板を作成し、これを用いて各測定に必要な試験片を作成した。試験結果を表2に示す。
【0068】
(実施例7)
温度調節器、攪拌装置、冷却コンデンサー、滴下ロートを備えたフラスコにインデン55g(0.48モル)、フルオレン237g(1.43モル)、トルエン1000g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド22g(0.069モル)、p−キシリレンジクロリド250g(1.43モル)、セイミケミカル社製ビニルベンジルクロライドCMS−AM(m/p異性体:50/50重量%混合物)240g(純度91%、1.43モル)を仕込み、攪拌しながら40℃まで昇温して均一な溶液にした。これに50重量%NaOH水溶液344g(NaOH、8.6モル)を加えて、その後70℃で8時間反応させた。次にフラスコ内容物を2N塩酸で中和した後、蒸留水で2回洗浄し、トルエンを減圧留去後、得られたオレンジ色の粘ちょう液体をメタノールで洗浄し、真空乾燥することにより、フルオレンとインデンがキシリレンでつながったオリゴマー化合物にビニルベンジル基が置換した分子量Mw3000の固体化合物を得た。これを化合物10とする。なお、化合物10の確認はH−NMRで行った。本実施例で得られた化合物のH−NMRスペクトルを図8に示す。
化合物10をガラス板の間に流し込み、160℃で2時間、続いて180℃で5時間、200℃で3時間硬化して1.5mm厚の樹脂板を作成し、これを用いて各測定に必要な試験片を作成した。試験結果を表2に示す。
【0069】
(参考例1)
温度調節器、撹拌装置、冷却コンデンサー、滴下ロートを備えた1リットルの四つ口フラスコに、フルオレンを49.8g(0.3モル)、トルエン220g、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド2.91g(9×10−3モル)と50重量%のNaOH水溶液96g(純度95%、1.14モル)を加え、65℃に昇温した後、p−キシリレンジクロライド21g(0.12モル)を加えて2.5時間反応させた。少量の反応生成物のH−NMR測定結果からp−キシリレンジクロライドが消費されていることを確認した後に反応系にCMS−AM54g(純度91%、0.36モル)を滴下し、65℃で6.5時間反応を続けた。反応液を室温まで冷却した後、2N塩酸を加えて反応混合物を中和し、有機層に蒸留水を加えて3回洗浄した。溶剤を減圧留去した後、得られた固体をメタノール中で粉砕・ろ過し、固形分をろ取した後、真空オーブン中50℃で乾燥してフルオレンがキシリレンでつながったオリゴマー化合物を得た。これを化合物11とする。
この化合物11をガラス板の間に流し込み、160℃で2時間、続いて180℃で5時間、200℃で3時間硬化して1.5mm厚の樹脂板を作成し、これを用いて各測定に必要な試験片を作成した。試験結果を表2に示す。
【0070】
(参考例2)
化合物6と化合物11を等量づつ混ぜ合わせ、これをガラス板の間に流し込み、160℃で2時間、続いて180℃で5時間、200℃で3時間硬化して1.5mm厚の樹脂板を作成し、これを用いて各測定に必要な試験片を作成した。試験結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
Figure 0003615742
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、電子機器材料に求められる低誘電率、低誘電正接、高耐熱性、および低吸水性に優れた硬化物となり得る硬化性ビニルベンジル化合物、その製造方法、該化合物を含む硬化性樹脂組成物、およびその硬化樹脂が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた化合物のH−NMRスペクトルである。
【図2】実施例1で得られた化合物のIRスペクトルである。
【図3】実施例2で得られた化合物のH−NMRスペクトルである。
【図4】実施例2で得られた化合物のIRスペクトルである。
【図5】実施例5で得られた化合物のH−NMRスペクトルである。
【図6】実施例5で得られた化合物のIRスペクトルである。
【図7】実施例6で得られた化合物のH−NMRスペクトルである。
【図8】実施例7で得られた化合物のH−NMRスペクトルである。

Claims (11)

  1. 下記一般式で示される硬化性ビニルベンジル化合物。
    (一般式1)
    Figure 0003615742
    (式中、R1、R2、R3はビニルベンジル基、水素原子、炭素数1〜5の同じでも異なっていてもよいアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基およびアリール基から選択される基を示すが、少なくとも1つはビニルベンジル基である。R4は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の同じでも異なっていてもよいアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基およびアリール基から選択される1種以上の基を示す)
  2. 下記一般式で示される硬化性ビニルベンジル化合物。
    (一般式2)
    Figure 0003615742
    (式中、R5は炭素数2〜20の2価の有機基を示し、R6はビニルベンジル基、水素原子、炭素数1〜5の同じでも異なっていてもよいアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基およびアリール基から選択される基を示すが、少なくとも1つはビニルベンジル基である。a、b、cは0〜20の整数を示し、R4は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の同じでも異なっていてもよいアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基およびアリール基から選択される1種以上の基を示す)
  3. 下記一般式3で示されるインデン化合物の1種または2種以上、フルオレン化合物、ビニルベンジルハライドおよび炭素数2〜20のジハロメチル化合物を、アルカリ存在下で反応させて得られる硬化性ビニルベンジル化合物。
    (一般式3)
    Figure 0003615742
    (式中、R4は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の同じでも異なっていてもよいアルキル基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、チオアリールオキシ基およびアリール基から選択される1種以上の基を示す)
  4. 下記一般式3で示されるインデン化合物の1種または2種以上とビニルベンジルハライドとを、アルカリ存在下で反応させることを特徴とする請求項1記載の硬化性ビニルベンジル化合物を製造する方法。
    (一般式3)
    Figure 0003615742
    (式中、R4の定義は前記に同じである。)
  5. 下記一般式3で示されるインデン化合物の1種または2種以上、ビニルベンジルハライドおよび炭素数2〜20のジハロメチル化合物を、アルカリ存在下で反応させることを特徴とする請求項2記載の硬化性ビニルベンジル化合物を製造する方法。
    (一般式3)
    Figure 0003615742
    (式中、R4の定義は前記に同じである。)
  6. ビニルベンジルハライドが、m−ビニルベンジルクロライドおよび/またはp−ビニルベンジルクロライドである請求項4または5に記載の製造方法。
  7. ビニルベンジルハライドのハロメチル基と炭素数2〜20のジハロメチル化合物のハロメチル基との当量比を、前者:後者として0.9:0.1〜0.1:0.9となるように調整して反応に供する請求項5または6に記載の製造方法。
  8. 反応が、アルカリ存在下で、かつ非プロトン性極性溶媒中および/または相間移動触媒の存在下で行われる請求項4ないし7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の硬化性ビニルベンジル化合物に、これと共重合可能な化合物を配合してなる硬化性樹脂組成物。
  10. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の硬化性ビニルベンジル化合物自体を硬化させて得られた硬化樹脂。
  11. 請求項9に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させて得られた硬化樹脂。
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