JP3622484B2 - 圧電アクチュエータ及びこれを用いたインクジェットヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電アクチュエータとこの圧電アクチュエータを用いたインクジェットヘッドに関し、高分解能化、低コスト化をはかった圧電アクチュエータ及びこれを用いたインクジェットヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9(a)、(b)は従来より用いられているインクジェットヘッドの一例を示すもので(a)は組立図、(b)図は(a)図の分解斜視図である。図に示すインクジェットヘッドでは、オリフィス吐出孔11を有するオリフィス板1と、圧力室21,共通インク室22及びインク供給口23を有するベース板2と、圧力室21の形状に対応して形成された貫通孔12及び連通流路31が形成された流路板3と、振動板4と、PZT等の圧電材からなる小片5と、絶縁シート64上に電極61,62及びこれら電極を結ぶリード線63が形成されたフレキシブルプリント基板(以下、単にFPCという)6が接着剤等で接着されて(a)図の斜視図で示すように積層されている。
【0003】
上記各部材のうち、オリフィス板1,流路板3,振動板4は例えば数十から200μm程度の厚さのステンレス板を適宜使い分けて金属エッチング、金属プレス等により形成される。また、オリフィス吐出孔11の径は30〜100μm程度であるが、ここではオリフイス板1をエッチングして形成する際に同時に形成している。
【0004】
圧電材からなる小片5への給電用配線は、通常ワイヤ、フレキシブル印刷配線板(FPC)等をボンディング、ハンダ付けすることにより行う。ここでは、 FPC6上に形成された端子62を小片5に形成された表面電極52にハンダ付け(図9(a)参照)している。なお、振動板4は図示せぬ別経路の配線により接地電位となるようにされている。
【0005】
そして、各部材を図9(a)のように積層した後、インク供給口23からインクを入れ共通インク室22から流路31,圧力室21を経てオリフィス吐出孔に至るまでをインクで満たした後、圧電材5に電圧パルスを印加してインクを吐出させる。
以下吐出動作について図10(a)、(b)を用いて説明する。これらの図において図(a)は組立て断面図、図(b)はパルス印加により振動板4が歪んだ状態を示している。
【0006】
図10(a)において、圧電材5の電極51,52にはインク吐出が指令されるタイミング毎に、図示せぬ駆動回路から駆動電圧パルスがFPC6の端子61,62を介して印加される(印加電圧は例えば50V,100μ/秒程度)。
その結果、圧電材5内には図の上下方向に電界が発生し、これと直交した平面方向に収縮方向の歪み(応力)が発生する。
【0007】
圧電材5は振動板4に接合されてユニモルフ型のアクチュエータを構成しており、この応力は図(b)のような太鼓状の変位を生じさせる。発生した太鼓状変位は圧力室21内の圧力を上昇させ、オリフィス板1のオリフィス吐出孔11よりインクを吐出させる。
【0008】
目的とするインク量が吐出した後、圧電材5への電圧印加が終了しアクチュエータの変位が元に戻って圧力室内21の圧力も一度負圧に転じた後大気圧に戻る。このとき図示せぬインクタンクから、インク供給口23,共通インク室22,連通流路31を経由して圧力室21へインクが補給される。
【0009】
なお、このようなユニモルフ型のアクチュエータを構成する場合、圧電材と流路板の弾性係数及び厚さは次式に示す関係に選定することが駆動効率の上から望ましい。
E1(t1)2=E2(t2)2 …▲1▼
ここで、 E1,E2は圧電材,振動板の弾性係数
t1,t2は圧電材,振動板の厚み
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで上述の従来例においては、圧電材5の小片を振動板4に接着することでアクチュエータを構成しているため、
▲1▼ 圧電材5の振動板4への接着
▲2▼ 各圧電材5への電気配線63
を必要とする。
そして、このような構成のインクジェットヘッドでは記録分解能及び記録速度を向上させるための手段としてインクジェット吐出部(アクチュエータ、圧力室、オリフィス吐出孔の一対)を狭いピッチで多数形成することが要求される。
しかしながら、例えば数十〜数百μmのピッチで数百の吐出口をならべて形成しようとすると、以下のような問題があった。
【0011】
吐出部を狭ピッチで形成するには、圧電材自体の寸法を小さくする必要があり、また、同時にヘッド駆動電圧を小さくするため圧電材の厚みを数十〜200μm程度と薄く製作する必要がある。しかし圧電材( PZT等)は粉体を焼成したセラミックスで形成された非常に脆い材質であり、そのような材質で微小片を作製することは、加工法,取り扱い上困難である。また、 加工できたとしてもコスト,精度的に問題がある。
【0012】
また、脆く微少な圧電材片は接着時の取り扱いや加圧等で破壊しやすく、力をかけずにハンドリングし振動板に対して精密に位置決めすることが難しい(位置合わせが不十分だと、吐出効率が低下する)。また、圧電材は有極性部品であるため接着に際してその上下面を識別する必要があるが、微小片では識別が困難である。更に接着に際し接着剤が圧電材の周辺から漏れ出すのでこれを除去するのは難しい。
【0013】
以上のような困難な接着作業を一つのヘッドに対して数百と行うのは製造コストの点で問題がある。
また、圧電材への給電の方法としては、半田付けまたは配線材の融着(または単なる押し付け)によっているが、例えばFPCのような配線材を用いる場合、微少なピッチで配線パターンや端子部を設けねばならず製造が困難である。
【0014】
配線パターンと圧電材を接続するには半田コテ等の配線ツールを用いるが、半田コテが圧電材の大きさより大きく半田が圧電材から漏れ出たり配線材が圧電材と導電体である振動板の両者に接触する等して、駆動側と接地側が短絡するという不具合が生じ易くなる。
【0015】
また、圧電材は一旦キュリー点(通常150〜350℃程度)以上の温度に昇温されると、その圧電性が消滅し記録ヘッドがインク吐出不能状態になる(圧電材への配線として半田付けを使用する場合大きな圧電材を振動板に接合した後に半田付けするものでは圧電材から熱容量の大きな振動板へ熱伝導するので圧電材への熱的影響はないか、若しくは一部の特性が損なわれるにとどまるが、小さな圧電材では瞬時に全体に熱が行き渡り圧電材全体の圧電性が損なわれる)。
【0016】
このような問題を解決する手段として、振動板の上に圧電材の平板を接着後、ダイシング・ソウ等で、圧電材を小さな片に切り離していく製造方法が実用化されているが、この方法においても以下のような問題がある。
1)脆い圧電材の切削加工は寸法の下限値に限度がある。
2)振動板に傷をつけないで、薄い圧電材のみを切削することは困難である。
3)加工法の制限から、切り取られる形は直線的な形状に限られる。
4)一つ一つ機械加工を行うため長い工作時間を要し、コストが高くなる。
5)上述した配線時の問題は何ら解決されない。
【0017】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、圧電材を用いたインクジェットヘッドを狭ピッチ化するに際して発生する種々の問題点を本質的に解決した圧電アクチュエータ及びこれを用いたインクジェットを実現することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために本発明は、
1.板状圧電材の所定個所に少なくとも一つの電圧印加部材を設け、その板状圧電材の所定個所を選択的に駆動するように構成した圧電アクチュエータであって、該アクチュエータを構成する電圧印加部材は、前記板状圧電材の表面に導電性を有する膜により形成すると共にこの導電性膜により構成される振動膜として機能する部分とリード線として機能する部分のうち振動膜として機能する部分の膜厚を厚く形成したことを特徴とする圧電アクチュエータ。
2.振動膜として機能する部分を複数個形成し、それぞれの振動膜の厚さを異なる厚さに形成したことを特徴とする請求項1記載の圧電アクチュエータ。
3.電圧印加部材が形成された部分以外の表面にこの電圧印加部材とは電気的に絶縁された補強膜を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電アクチュエータ。
4.電圧印加部材が形成された板状圧電材の裏面に前記板状圧電材の補強膜を形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
5.インクタンクから流路を介して圧力室にインクが供給され、所要時に圧力印加手段により前記圧力室に圧力が印加されてオリフィス吐出孔よりインクの粒子を噴射するインクジェットヘッドにおいて、前記圧力印加手段として請求項1乃至3のいずれかに記載の圧電アクチュエータを用いたことを特徴とするインクジェットヘッド。
6.インクタンクから流路を介して圧力室にインクが供給され、所要時に圧力印加手段により前記圧力室に圧力が印加されてオリフィス吐出孔よりインクの粒子を噴射するインクジェットヘッドにおいて、前記圧力印加手段として請求項4に記載の圧電アクチュエータを用い、前記板状圧電材の裏面に形成された補強膜に前記インクが供給される流路若しくは圧力室の少なくとも一方を形成したことを特徴とするインクジェットヘッド。
7.圧電アクチュエータとオリフィス吐出孔が形成されたオリフィス板を両面接着テープで固定したことを特徴とする請求項6記載のインクジェットヘッド。
を構成したものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下図面を用いて本発明を詳しく説明する。
図1(a)、(b)は本発明の実施の形態の一例を示すアクチュエータ及びこれを用いたインクジェットヘッドであり、(a)は組み立て完成図、(b)図は(a)図の分解斜視図である。図1(a)、(b)に示すインクジェットヘッドにおいて、オリフィス板1と、ベース板2と、流路板3は従来のものと同様であり、アクチュエータ部分のみが異なっている。
【0021】
本発明では平板状圧電材7の表面の所定の個所に複数(図では4個)の振動膜(電圧印加部材)82、リード線83及び電極端子81をフォトリソグラフィとエッチングの技術により一体として形成する。
【0022】
ここで、アクチュエータを構成する平板状圧電材(以下、単に圧電材という)7に電圧印加部材(以下、単に振動膜という)82を形成する過程について図2(a) 〜(g)の製作工程例を用いて説明する。
図2(a)において、圧電材7の表面に銀電極7aを印刷する。
【0023】
図2( b )において、図(a)で形成した印刷銀電極7a上にスピンコート等の方法により均一にレジスト7 bを塗布する。
図2( c )において、レジスト7 bを塗布した圧電材7上に電極端子81,振動膜82,リード線83の部分以外を覆うフォトマスク7cを用いてレジスト7 bに選択的に光を照射する。
【0024】
図2(d )において、光が照射されないレジスト部分(非露光部)を現像液により除去する。
図2(e)において、銀用エッチング液(例えば熱濃硫酸や硝酸)を用いてレジストで覆われていない部分の銀電極を除去する。
【0025】
図2(f)において、レジストを溶剤により除去する。
図2(g)において、エッチングで残った銀パターンに通電して銀パターン上に適当な厚みとなるように電気メッキ(例えばニッケルメッキ)を施す。
【0026】
上述の過程により圧電材7の表面に振動膜82を精密に形成したユニモルフ型アクチュエータを実現することができる。なおこの場合、圧電材7と振動板82の厚さおよび弾性係数は前述の▲1▼式をほぼ満足するように選定することが望ましい。
また、電極の形成方法としては上記実施例に限ることなく、例えばドライプレーティング,無電解メッキ等を含む公知の製膜技術,パターン形成技術を適宜組み合せて使用することで形成可能である。
【0027】
次に図3を用いてインク吐出の過程を説明する。(なお、図中の符合は図1に示す符合と同一部品である)。(a)図は圧力室21内にインクを満たした状態の断面図である。
【0028】
図3(a)において、振動させる部分の振動膜82のいずれか(ここでは82aとする)にインク吐出が指令されるタイミング毎に、図示せぬ駆動回路から振動膜82上の端子81aを経由して駆動電圧パルスが印加される。なお、裏面電極71は図では省略するが接地されているものとする。
その結果、(b)図に示すように振動膜82a直下の圧電材7内に図の上下方向に電界が発生し、これと直交した平面内に拡張方向の歪みが発生する。
【0029】
振動板82aは圧電材7に接合されているため、その部分にほぼ振動膜82の大きさのユニモルフ型のアクチュエータが構成されており、このアクチュエータにより発生した歪みにより圧電材7が部分的に太鼓状に変位する。この変位は圧力室21内の圧力を上昇させ、オリフィス板1のオリフィス吐出孔11よりインクを吐出させる。
【0030】
目的とするインク量が吐出した後、圧電材7への電圧印加が終了しアクチュエータの変位が元に戻って圧力室内21の圧力も一度負圧に転じた後大気圧に戻る。このとき図示せぬインクタンクから、インク供給口23,共通インク室22,連通流路31を経由して圧力室21へインクが補給される。
【0031】
上記において、図3(c)で示すように圧電材の振動膜直下以外の周辺部にも電界が発生するので歪みが生じるが、
1)電界方向が圧電材7の電気軸とずれていること。
2)圧電材7の厚みが薄い場合、その影響が及ぶ範囲が僅かであること。
3) ユニモルフ構造となっていない部分の歪みは大きな太鼓状変位を発生しないこと。
【0032】
4)周辺部の下面はベース部材の上面の平面部が接合されていて変形が抑制されること。
等から無視することができ、ほぼ従来例と同様の変形を得ることができる。
なお、このアクチュエータでは圧電材の歪み方向が拡張方向となっているが、これは圧電材7の極性を逆にしたり、印加する電圧の極性を逆にすることにより実現することができる。
【0033】
次にその他の実施例について説明する。
図2に示すアクチュエータを用いたインクジェットヘッドでは、リード線83と流路板の流路31が重なっている。そのため、この部分にも歪みが発生する。
その結果、図4に示すように一点鎖線(理想的な変形)のようであることが望ましいアクチュエータの変位が実線(実際の変形)のような変位となり、
【0034】
1)基本振動モードの太鼓状振動の端点の状態や端点間の長さが変わり、固有振動数が低下して減衰率が上がる。
2)変形が単なる太鼓状ではなく高次の形を含むことから、振動変位に高周波数成分が重畳される。
という影響が現れ、記録ヘッドの記録特性、特にサテライトドットの発生状況や吐出効率を悪化させることになる。
【0035】
インクジェット記録方式における階調表現の方法として、記録させるドット径を変化させる方法がある。そして、ドット径を変える一手段として同一ヘッド内において、部分的に圧電材、または振動膜の厚みを変えることで各吐出口毎のインク滴量を変化させて記録ドット径を変化させる方法が知られている。
【0036】
しかしながら、図2に示す製造方法では板状圧電材や振動板の厚みがすべて同一になるため、前記階調表現方法を適用することができない。
従ってここでは、振動板の厚みを変えたアクチュエータを実現する。
【0037】
図5は振動膜82とリード線83,電極端子81の膜厚を変えるための製作工程を示しており、図2に示す工程(f)に引き続いて行う。
図5(a)において、図2(f)で形成した銀パターン上にスピンコート等の方法により均一にレジスト7 bを塗布する。
【0038】
図5( b )において、レジスト7 bを塗布した圧電材7上に振動膜82の上部に相当する部分以外を露出させ,フォトマスク7cを用いてレジスト7 bに光を照射する。
図5( c )において、光が照射されないレジスト部分(非露光部)を現像液により除去する。
【0039】
図5(d )において、レジストが除去された振動膜の部分の銀パターンに通電して銀パターン上に適当な厚みに電気メッキ(例えばニッケルメッキ)を施す。
図5(e)において、レジストを溶剤により除去する。
上記の製作工程によれば、振動板82の部分のみを厚く他の部分を薄く形成できるので図4に示す弊害を少なくしたユニモルフ型アクチュエータを実現することができる。なおこの場合、圧電材7と振動板82の厚さおよび弾性係数は前述の▲1▼式を満足するように選定することが望ましい。
また、電極の形成方法としては上記実施例に限ることなく、例えばドライプレーティング,無電解メッキ等を含む公知の製膜技術,パターン形成技術を適宜組み合せて使用することで形成可能である。
【0040】
なお、図5に示す製作工程を踏まえて4つの振動膜を選択的にフォトマスクで覆い、電気メッキの厚さを制御することにより、膜厚の異なる振動膜を形成することができ、前述の階調表現方法を適用することができる。
【0041】
更にその他の実施例に付いて説明する。
圧電材は、脆い材料であり薄く、かつ大きな平面形状の部品は割れやすく、部品そのものの取り扱いに慎重さが要求されると共に、ベース板2への接合作業も熟練を要する。また、圧電材7と流路板3が別部品であることから、アクチュエータ部の振動膜82とその周辺支持部の相対的な位置精度が高くない。この両者の位置関係に差があると、吐出効率が大幅に落ち、記録特性を損なうこととなる。
従ってここでは、圧電材7に補強を施すとともに位置精度が高く部品点数の削減を図ったアクチュエータを実現する。
【0042】
図6(a)〜(k)はこのようなアクチュエータの製作工程の一例を示す図である。工程に従って説明する図6(a)において、厚さ0.1mm程度の圧電材7の表,裏面に銀電極7aを印刷する。
【0043】
図6( b )において、図(a)で形成した印刷銀電極7a上にスピンコート等の方法により均一にレジスト7 bを塗布する。
図6( c )において、レジスト7 bを塗布した圧電材7上に電極端子81,振動膜82,リード線83の部分の周囲の僅かな部分(例えば0.2mm程度の幅)を覆って露光する。
【0044】
図6(d )において、光が照射されないレジスト部分(0.2mm程度の非露光部)を現像液により除去する。
図6(e)において、銀用エッチング液(例えば熱濃硫酸や硝酸)を用いてレジストで覆われていない部分(0.2mm程度の非露光部)の銀電極を除去する。
【0045】
図6(f)において、レジストを溶剤により除去する。
図6(g)において、表面に再びレジストを塗布する
図6(h)において、振動膜82,リード線83,電極端子81及び図6(e)において銀電極を除去した部分以外を覆うフォトマスクを用いて露光する。
【0046】
図6(i)において、現像リンスを行って振動膜82,リード線83,電極端子81の部分の銀電極を露出させる。
図6(j)において、銀パターンに通電して銀パターン上に適当な厚みに電気メッキ(例えばニッケルメッキ)を施す。
【0047】
図6(k)において、表面のレジストを除去する。
上記の製作方法によれば、振動膜82,リード線83,電極端子81の部分と同時にこれらとは電気的には絶縁した状態で保護膜を電気メッキにより形成したので圧電材7に補強を施すとともに位置精度が高く部品点数の削減を図ったユニモルフ型アクチュエータを実現することができる。
なおこの場合も、圧電材7と振動板82の厚さおよび弾性係数は前述の▲1▼式を満足するように選定することが望ましい。
また、電極の形成方法としては上記実施例に限ることなく、例えばドライプレーティング,無電解メッキ等を含む公知の製膜技術,パターン形成技術を適宜組み合せて使用することで形成可能である。
【0048】
次に圧電材7の裏面に保護膜を形成すると共に図1に示すベース板2及び流路板3を不要としたインクジェットヘッドの製作工程の一例について図7,図8を用いて説明する。
図7(a)において、圧電材7の表面には先に説明した方法により振動膜,リード線,電極端子が形成されている(図示省略)ものとし、裏面には銀電極7aが印刷されている。
【0049】
図7( b )において、図(a)で形成した印刷銀電極7a上にスピンコート等の方法により均一にレジスト7 bを塗布する。
図7( c )において、レジスト7 bを塗布した圧電材7上に、表面の振動膜82に対応する位置71aの部分と、図1に示す流路31に相当する31aの部分、インク供給口23a及び共通インク室22に相当する22aの部分以外の部分をフォトマスク7cで覆って露光する。
【0050】
図7(d )において、光が照射されない非露光部のレジストを現像液により除去する。
図7(e)において、露出した銀パターンに通電してこの上に電気メッキ(例えば厚さ0.1mm以上にニッケルメッキ)7eを施すことにより、図1に示す流路31に相当する31 bの部分、インク供給口に相当する23 b及び共通インク室22に相当する22bの部分を形成することができる。
図7(f)において、レジストを溶剤により剥離する。
【0051】
次に、図8を用いて圧電材7の裏面に保護膜を形成すると共に図1に示すベース板2及び流路板3を不要としたインクジェットヘッドの他の製作工程について説明する。
図8(a)において、圧電材7の表面には先に説明した方法により振動膜,リード線,電極端子が形成されている(図示省略)ものとし、裏面には銀電極7aが印刷されている。
【0052】
図8( b )において、図8(a)で形成した印刷銀電極7a上に通電してこの上に電気メッキ(例えば厚さ0.1mm以上にニッケルメッキ)7eを施す。
図8( c )において、スピンコート等の方法により均一にレジスト7 bを塗布する。
【0053】
図8(d )において、レジスト7 bを塗布した圧電材7上に、表面の振動膜に対応する位置71aの部分と、図1に示す流路31に相当する31aの部分、インク供給口23及び共通インク室22に相当する22a,23aの部分以外の部分をフォトマスク7cで覆って露光する。
図8(e)において、光が照射されない非露光部のレジストを現像液により除去する。
【0054】
図8(f)において、エッチングによりレジストで覆われていない22a,31a,71aの部分のニッケルメッキを除去する。
図8(g)において、レジスト7bを溶剤により除去する。従って、圧電材7の裏面に22a,31a,71aの部分のみ電気メッキが除去された状態となり、図1に示す流路31に相当する31 bの部分、インク供給口23に相当する23 b及び共通インク室22に相当する22bの部分を形成することができる。
圧電材の裏面にベース板及び流路板を作り込む際は表面と裏面の位置合わせを半導体製造技術を用いた正確な位置合わせが可能である。
【0055】
上記図7,8に示す工程で製作したユニモルフ型アクチュエータによれば、圧電材7の裏面に保護膜を形成すると共に図1に示すベース板2及び流路板3を不要としたインクジェットヘッドを実現することができる。
【0056】
なお、上記図1に示す圧電材7と流路板3,流路板3とベース板2,ベース板2とオリフイス板1の接着の少なくとも1個所、及び図7,8に示すアクチュエータとオリフィス板1の接着に関して両面接着剤を用いれば、通常の接着材を用いる場合に比較して接着剤がインク流路やオリフィス吐出孔に入り込んで閉塞させることがなく、歩留まりを向上させることができる。
【0057】
なお、本発明の以上の説明は、説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。したがって本発明はその本質から逸脱せずに多くの変更、変形をなし得ることは当業者に明らかである。特許請求の範囲の欄の記載により定義される本発明の範囲は、その範囲内の変更、変形を包含するものとする。
【0058】
本発明のアクチュエータはユニモルフ構造の振動子を圧電体上に複数形成する一般的な構成として使用可能であり、例えば、単一圧電体上に複数のユニモルフを作って、複数の音階を持つブザーを形成することも可能である。
また、本実施例ではインク滴が振動部と対向したヘッド面から吐出する「サイドシュータ型」のインクジェットヘッドについて説明しているが、インク滴が振動板と直交するヘッド側面から射出する「エッジシュータ型」のヘッドにも適用可能である。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1に記載の圧電アクチュエータによれば、
板状圧電材の所定個所に少なくとも一つの電圧印加部材を設け、その板状圧電材の所定個所を選択的に駆動するように構成した圧電アクチュエータであって、該アクチュエータを構成する電圧印加部材は、前記板状圧電材の表面に導電性を有する膜により形成すると共にこの導電性膜により構成される振動膜として機能する部分とリード線として機能する部分のうち振動膜として機能する部分の膜厚を厚く形成したので、インクジェットヘッドとしてこのアクチュエータを用いた場合、配線部の歪みの影響によって生じる振動変位に高周波数成分が重畳する現象を少なくすることができる。
その結果、記録ヘッドの記録特性、特にサテライトドットの発生状況や吐出効率を悪化させることがない。
請求項2に記載の圧電アクチュエータによれば、
振動膜として機能する部分を複数個形成し、それぞれの振動膜の厚さを異なる厚さに形成したので、インクジェットヘッドとしてこのアクチュエータを用いた場合、出力の異なるインクジェットヘッドを得ることができる。
請求項3,4に記載の圧電アクチュエータによれば、
電圧印加部材が形成された部分以外の表面及び裏面にこの電圧印加部材とは電気的に絶縁された補強膜を形成したので、圧電アクチュエータの割れや欠けが減少し信頼性が向上する。
請求項5に記載のインクジェットヘッドによれば、
インクタンクから流路を介して圧力室にインクが供給され、所要時に圧力印加手段により前記圧力室に圧力が印加されてオリフィス吐出孔よりインクの粒子を噴射するインクジェットヘッドにおいて、前記圧力印加手段として請求項1乃至3のいずれかに記載の圧電アクチュエータを用い、また、請求項6に記載のインクジェットヘッドように板状圧電材の裏面に形成された補強膜に前記インクが供給される流路若しくは圧力室の少なくとも一方を形成したので、部品点数が少なく安価なインクジェットヘッドを実現することができる。
請求項7に記載のインクジェットヘッドによれば、
圧電アクチュエータとオリフィス吐出孔が形成されたオリフィス板を両面接着テープで固定したので、製作の容易なインクジェットヘッドを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示すアクチュエータ及びこれを用いたインクジェットヘッドの斜視図(a)及び分解斜視図(b)である。
【図2】本発明の実施の形態の一例を示すアクチュエータの形成過程を示す斜視図である。
【図3】本発明のインクジェットヘッドのインク吐出状態を示す断面図である。
【図4】本発明のアクチュエータをインクジェットヘッドに適用した場合の動作状態を示す断面図である。
【図5】本発明のアクチュエータの他の製作実施例を示す工程図である。
【図6】表面に保護膜を形成する本発明のアクチュエータの製作実施例を示す工程図である。
【図7】裏面に保護膜及び流路板とベース板を作り込む本発明のアクチュエータの製作実施例を示す工程図である。
【図8】裏面に保護膜及び流路板とベース板を作り込む本発明のアクチュエータの他の製作実施例を示す工程図である。
【図9】従来のインクジェットヘッドの斜視図(a)及び分解斜視図(b)である。
【図10】従来のインクジェットヘッドのインク吐出状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 オリフィス板
2 ベース板
3 流路板
4 振動板
5 小片(圧電材)
6 給電板(フレキシブル印刷配線板 …FPC)
7 圧電材(平板状圧電材)
11 オリフィス孔
12 貫通孔
21 圧力室
22 共通インク室
23 インク供給口
31 流路
81 電極端子
82 振動膜(電圧印加部材)
83 リード線
Claims (7)
- 板状圧電材の所定個所に少なくとも一つの電圧印加部材を設け、その板状圧電材の所定個所を選択的に駆動するように構成した圧電アクチュエータであって、該アクチュエータを構成する電圧印加部材は、前記板状圧電材の表面に導電性を有する膜により形成すると共にこの導電性膜により構成される振動膜として機能する部分とリード線として機能する部分のうち振動膜として機能する部分の膜厚を厚く形成したことを特徴とする圧電アクチュエータ。
- 振動膜として機能する部分を複数個形成し、それぞれの振動膜の厚さを異なる厚さに形成したことを特徴とする請求項1記載の圧電アクチュエータ。
- 電圧印加部材が形成された部分以外の表面にこの電圧印加部材とは電気的に絶縁された補強膜を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電アクチュエータ。
- 電圧印加部材が形成された板状圧電材の裏面に前記板状圧電材の補強膜を形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の圧電アクチュエータ。
- インクタンクから流路を介して圧力室にインクが供給され、所要時に圧力印加手段により前記圧力室に圧力が印加されてオリフィス吐出孔よりインクの粒子を噴射するインクジェットヘッドにおいて、前記圧力印加手段として請求項1乃至3のいずれかに記載の圧電アクチュエータを用いたことを特徴とするインクジェットヘッド。
- インクタンクから流路を介して圧力室にインクが供給され、所要時に圧力印加手段により前記圧力室に圧力が印加されてオリフィス吐出孔よりインクの粒子を噴射するインクジェットヘッドにおいて、前記圧力印加手段として請求項4に記載の圧電アクチュエータを用い、前記板状圧電材の裏面に形成された補強膜に前記インクが供給される流路若しくは圧力室の少なくとも一方を形成したことを特徴とするインクジェットヘッド。
- 圧電アクチュエータとオリフィス吐出孔が形成されたオリフィス板を両面接着テープで固定したことを特徴とする請求項6記載のインクジェットヘッド。
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