JP3622687B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、垂直曲げ型連続鋳造機を使用して鋼を連続鋳造する際に、鋳片の表面割れを防止或いは低減することが可能な鋼の連続鋳造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼中にNb、V、Cr、Niなどの合金元素を含有した低合金鋼の連続鋳造時には鋳片表面部分に横割れ或いは横ひび割れと呼ばれる表面割れ(以下、単に「表面割れ」と言う。)が発生する場合がある。このような表面割れが発生する懸念があると、連続鋳造後圧延までの間に鋳片表面の検査、さらには、必要に応じて表面手入れを実施する必要が生じる。このため、鋳片を熱間で圧延する直送圧延ができないなど、コスト面で大きな損失が生じる。
【0003】
これらの割れの発生機構に関しては数多くの研究がなされており、鋳片表面温度が熱間延性の低下するγ→α変態温度近傍の脆化温度域(約600〜850℃)になった時に矯正応力を受けることによって発生することが明らかとなっている。この対策として、鋳片矯正時の表面温度が脆化温度域よりも低温側若しくは高温側になるように回避させることで割れを抑制する方法が実施されている。しかしながら、このような方法を実施しても割れが発生する場合があることから、以下のような種々の方法が提案されている。
【0004】
例えばこの表面割れはγ粒界に発生することから、例えば特開昭63−63559号ではこのγ粒径に着目し、γ粒の成長を抑制することを提案している。また、割れの発生した粒界部にはAlNが析出しており、これに伴う応力集中が割れを助長することから、特公昭55−7106号では冷却条件を制御することによりAlN析出を制御している。
【0005】
このように鋳片表面割れの防止方法は数多く提案されているが、いずれも一長一短があり、完全に表面疵の発生は撲滅できていない。
このような状況に鑑み、本出願人は特開平9−47854号で鋳片の組織制御による割れ防止方法を提案した。
【0006】
本出願人がこの特開平9−47854号で提案した方法は、鋳型通過後直ちに鋳片を2次冷却して一旦鋳片の表面温度をA3 変態温度以下に低下することで、割れ発生の起点となる粒界のフィルム状フェライトの生成を防止しようと言うものであり、発明例などにも記述のように高い効果を奏している。しかしながら、この方法は主に鋳片の矯正歪みに起因する鋳片天側の表面割れを防止するためになされたものであり、近年主流となっている垂直曲げ型の連続鋳造機へ適用する場合には、鋳片の曲げに伴う地面側の割れ発生についても防止策を考える必要がある。
【0007】
なお、特開平9−47854号には鋳片の曲げに関しても曲げ点に到達するまでに脆化温度域を高温側に回避できるように復熱させる思想が記述されているが、これは単に概念を述べたにすぎず、割れ防止のために必要な条件を詳細に検討した結果ではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した問題点に鑑みてなされたものであり、鋳型通過後直ちに2次冷却を行って急冷却することにより、表面温度を一旦A3 変態温度以下に低下させ、鋳片表層部のミクロ組織を制御することにより特に地面側の表面割れを防止することが可能な垂直曲げ型の連続鋳造機を使用して適正な2次冷却条件で連続鋳造を行うことにより鋳片の表面割れを防止することが可能な連続鋳造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明では、垂直部分の長さが1.5〜5.0mを有する垂直曲げ型連続鋳造機の、鋳型通過後の垂直部の2次冷却系統を、鋳造方向に少なくとも2ゾーンに分割し、鋳型直下の第1のゾーンを急冷却部と、また、前記第1のゾーンに続く第2のゾーンである曲げ部の直前は水量密度の少ない弱冷却部とし、前記第1のゾーンの急冷却部では鋳片表面積及び鋳片通過所要時間T(分)に対して平均値で水の噴霧能力M(リットル/分・m2 )が下記数式1の関係を満足する流路系統を有するミスト冷却とした連続鋳造装置を用いて、厚さが90mm以上の矩形形状の鋼鋳片を、鋳片長辺面の2次冷却に関して鋳片が鋳型を通過後急冷却部分の通過所用時間T(分)とその間の平均水量密度W(リットル/分・m2 )の間に下記数式4及び数式5の関係を満足する条件で鋳片の全幅を2次冷却し、その後、曲げ部入り側に到達する直前の少なくとも0.3分間は150リットル/分・m2 未満の冷却水量とすると共に、短辺側の平均水量密度が200〜500リットル/分・m 2 であり、かつ長辺側の平均水量密度より小さくすることとしている。
【0010】
そして、このようにすることで、特に垂直曲げ型の連続鋳造機の曲げ歪みに起因して鋳片の地面側に発生する表面割れを防止することが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者らは種々の2次冷却条件で実際に連続鋳造を行い、鋳片表層部の組織生成状況と表面割れの発生状況を調査した結果を基に、垂直曲げ型の連続鋳造機で地面側の割れを防止するためには、垂直部の水量分布を適正に制御すればよいことを見出した。さらに、この冷却制御を行うためには適正な設備仕様とする必要があることを知った。
【0012】
すなわち、鋳型通過後直ちに鋳片に2次冷却を施し、表面温度をA3 変態温度以下に一旦低下させてフェライトの析出を開始させ、最終的には割れ発生の起点となる粒界のフィルム状フェライトの生成を防止する方法を垂直曲げ型の連続鋳造機を使用する場合に適用するものである。従って、本発明に係る鋼の連続鋳造方法に使用する装置では、鋳片が鋳型を通過後直ちに少なくともA3 変態温度以下にまで2次冷却する必要がある。
【0013】
このために必要な条件を明らかにするべく、本発明者らは、鋳片が鋳型を通過した後の時間及び水量密度と表面温度の関係を種々検討したところ、図1に示した関係を得た。試験では静止鋳造した200kgのインゴット(幅400mm×厚さ180mm×高さ約400mm)を鋳型から取り出し、直ちに2次冷却して表面温度を測定した。
【0014】
その結果、表面温度が800℃(図1中の□印)及び700℃(図1中の△印)になったときの条件はそれぞれの線上にあり、冷却時間が長いほど少ない水量密度で所定の温度に到達することが明らかになった。また、この鋳片をそのまま復熱しその後放冷却して調査したところ、一旦800℃以下にまで冷却した条件で所望の組織が得られていることが判った。すなわち、A3 変態温度は約830〜850℃なので800℃まで冷却できれば意図した組織制御は可能になることが判明した。
【0015】
この結果を基に表面温度が800℃になるまで到達するための噴霧水量M(リットル/分・m2 )と冷却時間T(分)の関係として図1中に一点鎖線に示す下記数式1の関係を得た。従って、急冷却部分ではこの関係を満足できる水量を噴霧できる装置が必要となる。
【0016】
【数1】
M>350/T
【0017】
また、本発明者らが種々の2次冷却条件で鋳造し、鋳片の表面割れを調査したところ、鋳型通過直後に急冷却した後、直ちに曲げゾーンに入った場合には地面側にコーナー割れが発生することが判明した。一方、鋳片曲げ部分に入る前に水量密度の低い部分があると、この割れは発生しないことも判明した。
【0018】
このことから、垂直曲げ型連続鋳造機で一旦A3 変態温度以下にまで急冷却する場合には、その後曲げ部に入る前に弱冷却部を設置する必要があることが判明した。ちなみに、同じ水量パターンを湾曲形連続鋳造機に適用した場合には鋳片曲げに起因する歪みが存在しないことから割れが発生しないので、この割れは曲げ時の歪みに起因して発生するものと考えられる。
【0019】
垂直部長さに関しては、鋳型長さが通常600mm以上必要であることを考えると、前記垂直部長さが1.5m未満では、2次冷却帯における垂直部は900mm未満となる。900mm未満ではA3 変態温度まで急冷却することだけで精一杯となり、その後に弱冷却ゾーンを設置することができない。また、垂直部長さが5m以上あると曲げ時の割れを防止することは可能であっても矯正間での総所要時間が長くなり、矯正時に割れ発生の懸念がある。このため、本発明に係る鋼の連続鋳造方法に使用する装置では、垂直部長さは1.5mから5mの間と規定した。
【0020】
本発明に係る鋼の連続鋳造方法は、上記した本発明者らの各種の実験や研究に基づいてなされたものであり、垂直部分の長さが1.5〜5.0mを有する垂直曲げ型連続鋳造機の、鋳型通過後の垂直部の2次冷却系統を、鋳造方向に少なくとも2ゾーンに分割し、鋳型直下の第1のゾーンを急冷却部と、また、前記第1のゾーンに続く第2のゾーンである曲げ部の直前は水量密度の少ない弱冷却部とし、前記第1のゾーンの急冷却部では鋳片表面積及び鋳片通過所要時間T(分)に対して平均値で水の噴霧能力M(リットル/分・m2 )が上記した数式1の関係を満足する流路系統を有するミスト冷却とした装置を使用することを要旨とするものである。
【0021】
本発明者らは、垂直曲げ型の連続鋳造機で水量密度と急冷却部の通過時間を種々変化させて鋳造したところ、鋳片の組織と割れ発生状況には相関があることを知った。従って、一旦急冷却し復熱させる温度履歴を適正に付与することができれば、鋳片組織は、ベースはフェライトパーライト組織でフィルム状フェライトが生成しない組繊となる。このような組織が得られた場合には表面割れも発生しない。
【0022】
これに対して、フェライトパーライト組織でありながら粒界に沿ったフィルム状フェライトが生成した組織となったときには、割れがこのフィルム状フェライトに沿って発生することから割れ感受性が高く横ひび割れが発生しやすくなる。また、ベイナイト組織となる場合もあり、この時には粒界部にはフェライトが生成している。この組織の場合にも表面割れ感受性が高い。従って、連続鋳造の操業で鋳片表層部の組織を割れ発生の起点となるγ粒界に沿ったフェライトのない組織とすれば鋳片の割れを防止することが可能となる。
【0023】
2次冷却条件を種々変化させて連続鋳造したときに得られた鋳片の組織と割れ発生状況を図2に示す。この連続鋳造では、垂直部を2ゾーンに分けており、この図2では第1のゾーンの水量を表す。曲げ部に入る直前部分の第2のゾーンの水量密度は70〜120リットル/分・m2 であった。
【0024】
図2中、○印で表したのは、鋳片組織はフィルム状フェライトが生成せず、表面割れも発生しなかったものを示す。これに対して、□印で表したのはフェライトパーライト組織でありながら粒界に沿ったフィルム状フェライトが生成した組織を示し、■印で表わしたのはフェライトパーライト組織でありながら粒界に沿ったフィルム状フェライトが組織中に生成し、かつ、横ひび割れが発生していた状態のものを示す。
【0025】
図2より明らかなように、第1のゾーンの水量密度が少ないときに横ひび割れが発生するような状況となっている。これは、急冷却時に表層部の温度が十分低下せず組織制御ができなかったことが原因と考えられる。この時の条件を数式化すると必要水量密度Wとして下記の数式2の関係が得られ、上記した数式1と一致している。
【0026】
【数2】
W>350/T
【0027】
一方、水量を増加したときにはベイナイト組繊となり、粒界部にはフェライトが生成していた。図2中に△印で示してあるのがこの場合の例で、▲印では表面割れが発生していた状態のものを示す。この時の割れのほとんどは地面側のコーナー割れであった。これは水量が多く、或いは、急冷却時間が長く表面温度が低下したまま復熱できなかったときに発生する現象と考えられる。この条件を数式化するとほぼ直線として表せ、下記の数式3の関係が得られる。
【0028】
【数3】
1100−250×T>W
【0029】
上記した数式2,3を満足する水量でも2分以上冷却を継続した場合にはベイナイト組織となり粒界部にはフェライトが生成していた。これは冷却時間が長く表面温度が低下したまま復熱できなかったことが原因と考えられる。
【0030】
これらの結果を基に、割れが発生せず組織的にも良好な結果が得られた条件を数式化した結果、以下の数式4,5が得られた。
【0031】
【数4】
T<2.0
【0032】
【数5】
1100−250×T>W>350/T
【0033】
次に、本発明者らは曲げ部に入る直前の冷却について検討した。垂直部を急冷却のみの1ゾーンとしたときにはベイナイト組織となり地面側のコーナー割れが発生していた。そこで、地面側の割れを防止するため、種々冷却条件を変化させて検討した結果、曲げ部に入るまでの2次冷却を弱め、ある程度復熱させる必要があることを知った。本発明者らは、この知見をもとに少なくとも0.3分間は水量密度を150リットル/分・m2 未満とする必要があることを見い出した。
【0034】
すなわち、本発明に係る鋼の連続鋳造方法は、厚さが90mm以上の矩形形状の鋼鋳片を垂直部分の長さが1.5〜5.0mを有する垂直曲げ型連続鋳造装置を使用して連続鋳造する方法において、鋳片長辺面の2次冷却に関して鋳片が鋳型を通過後急冷却部分の通過所用時間T(分)とその間の平均水量密度W(リットル/分・m2 )の間に上記した数式4,5の関係を満足する条件で鋳片の全幅を2次冷却し、その後曲げ部入り側に到達する直前の少なくとも0.3分間は150リットル/分・m2 未満の冷却水量とすることを要旨とするものである。
【0035】
本発明に係る鋼の連続鋳造方法では、一旦急冷却後鋳片のもつ潜熱により復熱することが必要である。薄肉鋳片では急冷却に伴い凝固が進行してしまい十分に復熱できないので、上記した本発明に係る鋼の連続鋳造方法では、このような問題を回避するために、適用する鋳片は90mm以上の厚さを必要としている。
【0036】
また、本発明に係る鋼の連続鋳造方法で防止しようとする表面疵は鋳片のコーナー部やその近傍に発生するコーナー割れや横ひび割れである。これらの割れは矩形形状を有する鋳片に特有の疵であり矩形断面の鋳片の連続鋳造時に有効である。
【0037】
ところで、高炭素鋼やマルテンサイト変態する鋼種のように、熱応力に弱い鋼種では弱冷却する必要がある。この時の必要水量は鋼種にもよるが200リットル/分・m2 未満となる。
【0038】
400リットル/分・m2 以上の大水量と200リットル/分・m2 未満の水量を同じ系列で噴霧しようとすると、水スプレーでは均一度が著しく低下するという問題がある。ここで冷却方式を水と空気の混合するミスト冷却にし、水量を変化するときには対応して空気量を変化すれば大水量時と水量減少時にいずれも均一な冷却が可能となる。このため、上記した本発明に係る鋼の連続鋳造方法に使用する装置は、冷却方式としてミスト冷却を採用することにした。
【0039】
本発明者らは、種々の冷却水量で2次冷却を行い連続鋳造する過程で短辺側の水量も重要な因子であることを知った。そこで、短辺及び長辺側の水量密度を種々変化して鋳造した。その結果を図3に示すが、短辺側を長辺側の急冷却部より多い水量密度とするとコーナー割れ(図3中の▲印)が発生することが判る。
【0040】
また、短辺側の水量密度を200リットル/分・m2 未満に低減すると短辺部分にバルジングが発生し(図3中の■印)、時に割れも発生する。
これらに対して、短辺側の平均水量密度を200リットル/分・m2 以上で500リットル/分・m2 以下とし、かつ、長辺側の平均水量密度よりも小さくした場合(図3中の○印)には割れは発生しなかった。
【0041】
短辺部分のこのような欠陥は圧延時に特に問題とならないことが多いが、これらの欠陥も防止できればより好ましいことは言うまでもない。
この知見をもとに短辺の平均水量密度が200〜500リットル/分・m2 で、かつ、長辺側の水量密度より少なくすることが必要であることを見出した。
【0042】
すなわち、本発明に係る鋼の連続鋳造方法は、上記した本発明に係る鋼の連続鋳造方法において、短辺側の平均水量密度が200〜500リットル/分・m2 であり、かつ長辺側の平均水量密度より小さくすることを要旨とするものである。
【0043】
一般に連続鋳造の2次冷却では幅切りと呼ばれる方法を行う場合がある。これはコーナー部分の過冷却を防止するために2次冷却帯のコーナー近傍の水噴霧を停止して操業する方法である。本発明では幅切りを行うことが可能であることは言うまでもないが、その際に水量密度としては幅切り部分の鋳片表面積のことは除外して考える必要がある。さらに、急冷却時にはコーナー近傍まで確実に組織制御するために幅切りを行わない方がよいが、復熱部では確実に復熱するために幅切りしてコーナー部の水量を低減或いは停止することが好ましい。
【0044】
また、連続鋳造の2次冷却は、通常鋳片の幅方向に複数のノズルを設置して行う。このため、水量分布均一化のための種々の努力にもかかわらず、ノズルの直前部とラップ部分、ロール接触部と噴霧部では水量分布が異なるのが現状である。本発明で規定する平均水量密度とはノズルから噴霧する水量を、対応する鋳片幅、ロール間隔で除した文字通り平均の水量密度のことである。
【0045】
鋳型直下の第1段目の冷却はモールドスプレーと呼ばれ別系統になっているのが普通である。ここの水量を増加すると鋳型と鋳片の隙間から鋳型内への水の吹き上げが発生する場合があり、水蒸気爆発などの危険性がある。本発明中で垂直部のゾーンを分割する際にモールドスプレーのことは除外している。モールドスプレーの冷却条件に関しては操業上問題ない範囲に制御すればよい。
【0046】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために行なった実施例に基づいて説明する。
垂直部長さ2.5m或いは3.0mを有する垂直曲げ型連続鋳造機を使用して種々の2次冷却条件で約270トンの溶鋼を鋳造し、鋳片表面割れ発生状況を調査した。鋳造した鋼の組成を下記表1に示す。鋳造した鋼は、NbやNiを含有し、表面割れが発生しやすい鋼種である。
【0047】
【表1】
【0048】
連続鋳造鋳片から横断面の板状試験片を採取し、鏡面研磨した後ナイタルエッチングにより表層部の組織を顕出した。そして、光学顕微鏡で組織を観察した。また、表面割れ発生状況は鋳片表面を約2mm程度スカーフをかけて除去し、目視観察により調査した。
【0049】
まず、垂直部長さが2.5mの垂直曲げ型連続鋳造機における鋳型出側直後の垂直部分の2次冷却系を改造し、割れ発生を防止できる装置条件を検討した。鋳型長さは0.9mであることから2次冷却部は1.6mとなり、2ゾーンとする場合には鋳型出側から1.1mと0.5mに分割した。鋳造速度は1.1m/分を想定している。
【0050】
実施例及び比較例の条件としてこの部分の噴霧可能水量密度を下記表2に示す。ここで表記されている2次冷却ゾーンから鋳型直下に1段あるモールドスプレーは除外して考えている。さらに各条件で鋳造したときの鋳片表面割れ発生状況を下記表3に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
垂直部が2ゾーンに分割されていても最大水量密度がいずれも300リットル/分・m2 で1分間の冷却が可能な設備仕様の場合(比較例1)には、種々2次冷却条件を変化させて鋳造しても、コーナーから200mm以内の範囲に横ひび割れと呼ばれる粒界割れが鋳片の天面、地面ともに発生した。
【0054】
また、垂直部分を1ゾーンにし、水量を700リットル/分・m2 まで増加できるように改造した場合(比較例2)には、天面の割れは防止できたが、地面側のコーナ部分に割れが残存していた。
これらに対し、2ゾーンに分割し第1段の水量を700リットル/分・m2 以上噴霧可能な構造とした実施例1では、2次冷却水量を適正に配分すれば割れ防止可能となった。
【0055】
次に、2次冷却水量や鋳造速度などの鋳造条件を各種変化して割れ発生状況を調査した。その際の条件と結果を下記表4及び表5に示す。
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
本発明の条件を満足する実施例2及び3では、いずれもフィルム状フェライトが生成せず表面割れも発生していない。一方、第2のゾーンの水量密度を第1のゾーンと同程度にした比較例3では、ベイナイト組織となりγ粒界にはフェライトが生成しており地面側にはコーナー割れが発生していた。
【0059】
また、第1のゾーンの水量を本発明の条件より減少させた比較例4では、フィルム状フェライトが生成し横ひび割れが発生した。
また、第1のゾーンの水量密度を増加した比較例5、及び、鋳造速度を低下して所要時間を増加した比較例6では、ベイナイト組繊となりγ粒界にはフェライトが生成しており地面側にはコーナー割れが発生していた。
【0060】
さらに、短辺側の冷却水量について調査した。垂直部長辺面の2次冷却条件や連続鋳造条件は実施例2と同じとし、短辺側の水量のみ変化させた。その条件と結果を表6及び表7に示す。
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】
短辺側の水量を適正に配分した実施例4では表面疵は問題にならなかった。
一方、短辺側の水量を100リットル/分・m2 に低下させた比較例7では、短辺面に割れが発生していた。また、短辺側の水量の方が多い比較例8では、コーナー割れが発生した。
【0064】
このように本発明の連続鋳造方法を適用することにより、鋳型直下で急冷却し鋳片表層部の組織制御による表面割れ防止方法を垂直曲げ型の連続鋳造機にも適用することが可能となり、とくに垂直曲げ型の連続鋳造機の曲げ歪みに起因して鋳片の地面側に発生する表面割れを防止することが可能となる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、鋳型直下で急冷却し鋳片表層部の組織制御による表面割れ防止方法を垂直曲げ型の連続鋳造機にも適用することが可能となり、とくに垂直曲げ型の連続鋳造機の曲げ歪みに起因して鋳片の地面側に発生する表面割れを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】種々の冷却時間と平均水量密度で冷却したときの表面温度を表す図であり、数式1の根拠となる図である。
【図2】垂直曲げ型連続鋳造機を使用して種々の冷却時間と平均水量密度で冷却したときの鋳片組織と表面疵発生状況の結果を表す図であり、数式2,4,5の根拠となる図である。
【図3】長辺側と短辺側の水量密度とその条件における鋳片表面舵発生状況を表す図である。
Claims (1)
- 厚さが90mm以上の矩形形状の鋼鋳片を、垂直部分の長さが1.5〜5.0mを有し、鋳型通過後の垂直部の2次冷却系統を、鋳造方向に少なくとも2ゾーンに分割し、鋳型直下の第1のゾーンを急冷却部と、また、前記第1のゾーンに続く第2のゾーンである曲げ部の直前は水量密度の少ない弱冷却部とし、前記第1のゾーンの急冷却部では鋳片表面積及び鋳片通過所要時間T(分)に対して平均値で水の噴霧能力M(リットル/分・m 2 )が下記(1)式の関係を満足する流路系統を有するミスト冷却とした垂直曲げ型連続鋳造装置を使用して連続鋳造する方法において、
鋳片長辺面の2次冷却に関して鋳片が鋳型を通過後急冷却部分の通過所用時間T(分)とその間の平均水量密度W(リットル/分・m2 )の間に下記(2),(3)式の関係を満足する条件で鋳片の全幅を2次冷却し、その後、曲げ部入り側に到達する直前の少なくとも0.3分間は150リットル/分・m2 未満の冷却水量とすると共に、短辺側の平均水量密度が200〜500リットル/分・m 2 であり、かつ長辺側の平均水量密度より小さくすることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
W>350/T …(1)
T<2.0 …(2)
1100−250×T>W>350/T …(3)
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