JP3624083B2 - サンギアの溶接構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サンギア溶接構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の自動変速機には、プラネタリーギアを含む複数の回転要素が組み込まれている。そして、プラネタリーギアを構成するサンギア、ピニオンギアおよびリングギアはそれぞれ直結あるいは動力伝達部材を介して他の回転要素と連結、接続されて、それぞれの回転可能あるいは固定の組み合わせにより複数の変速段が得られるようになっている。
【0003】
サンギアを他の回転要素と連結する動力伝達部材として、例えば板材から成形された円盤状のコネクティングシェルがある。
このコネクティングシェルは、サンギアの端部に溶接により結合される。その溶接構造として、例えば、サンギアの端部に歯底と同径の突出部を設け、この突出部をコネクティングシェルの中心部に設けた貫通孔に嵌合して、この嵌合面にそって電子ビームにより溶接するものがある。
しかし、この溶接構造では、溶接の溶け込み深さがコネクティングシェルの板厚を越すと、サンギアの歯底側にスパッタが飛び、あるいは溶融金属が付着して、ピニオンギアとの噛み合わせに支障をきたすという問題がある。
反対に溶け込み深さが上記板厚に対して浅過ぎると、溶接強度が不足するおそれがある。
【0004】
そこで、図4に示されるように、突出部19の径をサンギア17の歯18の歯底より小径に形成して、嵌合面を歯底からずらせた構造にすれば、溶け込みがコネクティングシェルの板厚を越えても、歯底にかかることが防止できる。
しかしながら、この構造では、サンギア17にコネクティングシェル16を取り付ける嵌合面の径が小さいので溶接嵌合部の円周が短かくなり、そのぶん溶接長さが少なくて溶接強度が低くなるとともに、歯面加工時において溶接嵌合部にバリが発生する問題点があった。
【0005】
そこでこの対策として、実開平5−83523号公報には、図5のように、コネクティングシェル16’とサンギア17’の歯18の端面との間に環状板13を介挿したものが提案されている。
これによれば、環状板13の存在によって溶接の溶け込みがサンギア17’の歯面にまで及ぶことがないため、突出部19’の嵌合面の径をサンギア17’の歯底の径と同じにすることができ、溶接強度は確保される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5の従来のサンギア溶接構造では、コネクティングシェル16’とサンギアの歯18の端面との間に環状板13を介挿させねばならない分だけ部品点数が増加するという問題がある。
また、図4のものを含む他の従来例も同様であるが、コネクティングシェルと当接するサンギアの歯の端面に歯面加工時のバリが発生するため、バリ取り工数が必要になるという問題もある。
したがって、本発明は、上記従来の問題点に鑑み、部品点数の増加なしに、また歯面への悪影響なしに、動力伝達部材との十分な溶接長さが確保できるとともに、溶接に当たってのバリ取りを不要としたサンギアの溶接構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明は、自動変速機における動力伝達部材とサンギアの溶接構造であって、サンギアは、歯を備える大径部と、該大径部の一端に段付き形成された小径部とからなり、大径部の歯はその歯底が上記一端側へ向かうにしたがって小径部よりも大径方向へ切り上がっており、動力伝達部材は、小径部と整合する穴を備え、動力伝達部材の穴と小径部との嵌合部にそって溶接されているものとした。
【0008】
上記の歯底の切り上がり開始点は、ピニオンギアとの噛み合い領域よりも上記一端側にあるとともに、切り上がりの終端が上記一端における段付き端面を避けた位置にあるものとするのが望ましい。
さらに、大径部の上記一端における段付角部を面取りし、歯底の切り上がり終端を上記面取り内に位置させることができる。
また、歯底の切り上がり部分は円弧形状とすることができる。
【0009】
【作用】
大径部の小径部側一端に向かうにしたがって歯底が小径部よりも大径方向へ切り上がっているので、大径部の段付き端面には小径部と同径の歯底は現れない。これにより、溶接の溶け込みが動力伝達部材の厚さを越えても、当該溶け込みが歯面に露出することがないから、スパッタ飛びが防止され、歯面への付着も発生しない。
【0010】
とくに歯底の切り上がり終端が大径部の段付き端面を避けた位置にあるものとすることにより、動力伝達部材が当接する上記段付き端面に歯面加工時のバリが出ない。
そして、段付角部を面取りし、歯底の切り上がり終端を上記面取り内に位置させることにより、歯底の切り上がり部分を小径部側一端の限界まで寄せることができ、サンギアの軸長さを短くできる。
また、歯底の切り上がり部分を円弧形状とすることにより、例えば歯面加工のホブカッタの軸方向移動を途中で止めて引き上げるだけで切り上がり部分が形成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を実施例により説明する。
図1および図2は、本発明を動力伝達部材としてのクラッチドラムとの溶接構造に適用した実施例の構成を示す。
図1はクラッチドラムとサンギアのアセンブリの断面図、図2はサンギアの部分拡大断面図である。
クラッチドラム8は板材から成形され、周面にスプラインが形成された筒部10とディスク部9からなり、ディスク部9の中心部に貫通穴15を有する。貫通穴15は、後述するサンギア1の小径部7と整合する径を有している。
サンギア1は、歯11を備える大径部2と、大径部の一端に段付き形成された小径部7とからなっている。小径部7の径は歯11の一般部6における歯底径と略同径となっており、小径部7の軸方向長さはクラッチドラム8のディスク部9の厚さ寸法(板厚T)と同じになっている。
また、大径部2の外周面とクラッチドラム8のディスク部9に対向する段付き端面3との段付き角部には、面取り4がほどこされている。
【0012】
大径部2の歯11は、図1に仮想線で示したピニオンギアとの噛み合い領域を含む一般部6に続いて、噛み合い領域を避けた点を開始点として歯底12が小径部7のある一端側へ向かうにしたがって切り上がる切り上がり部5を有している。
切り上がり部5は円弧形状をしており、その終端は大径部2の段付き角部の面取り4内に位置している。
なお、油穴14はプラネタリーギアの各部材の表面に潤滑油を供給させるものである。
【0013】
上記の切り上がり部5は、歯面加工用のホブカッタで一般部6の歯面を切削形成した後、上記開始点においてホブカッタの前進を止め、サンギアの軸Jと直角方向に抜くことにより形成される。
【0014】
このようにして形成されたサンギア1の小径部7をクラッチドラム8の貫通穴15に嵌合して、ディスク部9を大径部2の段付き端面3に当接させ、この密着状態で貫通穴15と小径部7の嵌合面にそって図1に示したA方向からの電子ビーム溶接により全周溶接してある。
【0015】
実施例は以上のように構成され、大径部2の小径部側端部に歯底12の切り上がり部5を設けたので、クラッチドラム8のディスク部9が当接する大径部2の段付き端面3には歯面が現れない。このため、図3に示すように、溶接の溶け込みの深さLがクラッチドラム8の板厚Tを越えても、溶け込みWは切り上がり部5の断面内に止まり、歯底12との間に余裕代Gが残るから、サンギア1の歯面にまで露出することがない。したがって、スパッタ飛びや歯面への溶融金属の付着が防止される。
【0016】
そして、小径部7は大径部一般部6の歯底12径と略同径となっているので、ディスク部9との嵌合面にそった十分な溶接長さが確保され、要すればさらに小径部7の径を大きくすることもできる。
また、段付き端面3に歯面が現れないため、歯面加工時のバリも当該端面には出ないから、バリ取り作業も不要である。
さらに、切り上がり部5は歯面加工のホブカッタの軸方向移動を途中で止めて引き上げるだけで形成されるから、製作が容易である。
【0017】
一方、切り上がり部5の終端は段付き角部の面取り4内に位置させてあるから、切り上がり部5はぎりぎりまで小径部7側へ寄せられ、サンギア1の軸長さが増大することもない。
なお、実施例はサンギア1と溶接される動力伝達部材としてクラッチドラム8を用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されず、動力伝達部材として従来例と同様のコネクティングシェルその他の部材とサンギアの溶接構造に適用できるものである。
【0018】
【発明の効果】
本発明は、サンギアにピニオンギアとの噛み合い領域を含む一般部に続いて歯底が小径部のある一端側へ向かって切り上がった切り上がり部を有する歯を備えた大径部と、大径部の一端に段付き形成された小径部を設けたので、溶接の溶け込みが動力伝達部材の厚さを越えても余裕代を残しているため歯面に露出することがない。よって、スパッタ飛びが防止されるとともに歯底損傷は認められない。
さらに、歯底の切り上がり終端が大径部の段付き端面を避けた位置にあるものとすることにより、動力伝達部材が当接する段付き端面に歯面加工時のバリが出ない。よって、バリ取り工数を削除できるとともにサンギアの歯の側端面との間に環状板を介挿する必要がないため部品数を低減できる。
【0019】
段付角部を面取りし、歯底の切り上がり終端を面取り内に位置させることにより、歯底の切り上がり部分を小径部側一端の限界まで寄せることができ、サンギアの軸長さを短くできる。そのため、サンギアの重量とサンギア製作のコストを低減できる。
また、歯底の切り上がり部分を円弧形状とすることにより、例えば歯面加工のホブカッタの軸方向移動を途中で止めて引き上げるだけで切り上がり部分が形成できるため、サンギアの製作が容易になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す断面図である。
【図2】サンギアの部分拡大断面図である。
【図3】溶接による嵌合部の溶け込みを示す図である。
【図4】従来例のサンギアの断面図である。
【図5】他の従来例のサンギアの断面図である。
【符号の説明】
1 サンギア
2 大径部
3 段付き端面
4 面取り
5 切り上がり部
6 一般部
7 小径部
8 クラッチドラム
9 ディスク部
10 筒部
11 歯
12 歯底
13 環状板
14 油穴
15 貫通孔
16、16’ コネクティングシェル
17、17’ サンギア
18 歯
19、19’ 突出部
W 溶け込み
A 電子ビームによる溶接実施方向
G 余裕代
T クラッチドラムの板厚
L 溶け込みの深さ

Claims (4)

  1. 自動変速機における動力伝達部材とサンギアの溶接構造であって、
    サンギアは、歯を備える大径部と、該大径部の一端に段付き形成された小径部とからなり、
    前記大径部の歯はその歯底が前記一端側へ向かうにしたがって小径部よりも大径方向へ切り上がっており、
    前記動力伝達部材は、前記小径部と整合する穴を備え、
    該動力伝達部材の穴と小径部との嵌合部にそって溶接されていることを特徴とするサンギアの溶接構造。
  2. 前記歯底の切り上がり開始点が、ピニオンギアとの噛み合い領域よりも前記一端側にあるとともに、切り上がりの終端が前記一端における段付き端面を避けた位置にあることを特徴とする請求項1記載のサンギアの溶接構造。
  3. 大径部の前記一端における段付角部が面取りされ、前記歯底の切り上がり終端が前記面取り内に位置することを特徴とする請求項2記載のサンギアの溶接構造。
  4. 前記歯底の切り上がり部分が円弧形状であることを特徴とする請求項1、2または3記載のサンギアの溶接構造。
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