JP3624246B2 - 多色印刷物及びその印刷方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常態では視認できないが、紫外線照射することにより、フルカラーの階調を持った画像が得られる多色印刷物及びその印刷方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、無色蛍光インキは偽造防止及び複写防止上での効果を目的に用いられており、該インキを用いての印刷は網点模様によるものではなく、線画やベタ模様による繊細な模様や特殊な模様で、単色刷り及び階調のない印刷物がほとんどであり、このような蛍光印刷では、偽造抵抗性が低下してきていることから、より高度な偽造防止策の開発が望まれており、その一策として紫外線照射により発光する色素で、発光色が互いに異なる色素をそれぞれ含有する2種以上のインキを用いて、フルカラー画像を形成する方法(特開平7−125403号公報:「印像形成方法」)や、カード面に無色蛍光インキを用いて顔写真等の階調画像を印刷する方法(実公平7−53987号公報:「無色蛍光入り画像カード」)等が知られている。
【0003】
また、R(赤色系)、G(緑色系)、B(青色系)発光の加法混色の原理は、テレビのブラウン管等に広く用いられており、一般的に知られているものである。
【0004】
また、カラー印刷は、カラー原稿を4色分解して、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、BK(ブラック)に相当する4枚のポジ(あるいはネガ)フィルムを作り、それぞれの網ポジ(網ネガ)から焼き付けて4枚の刷版を作り、4枚の刷版にそれぞれ対応するインキで紙に順次刷り重ねている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のことから、従来のテレビのブラウン管に用いられているR、G、B発光の加法混色の原理を利用し、紫外線照射によりR、G、Bにそれぞれ発光する蛍光インキを用いてフルカラー画像を形成する際、蛍光体は発光体であることから、R、G、B3色の重なりは白色となってしまうこと、及び基材として用いる用紙やフィルムは、紫外線照射時にインキの無い状態でも、用紙やフィルム自身の蛍光や市外線ランプそのものの可視光成分などにより完全には黒くならず、また、発光した光が拡散してしまうことなどから画像を鮮明に表現することができなかった。
【0006】
また、カラー印刷の製版方法は、カラー原稿をY、M、C、BKの4色に分解してフィルムを作り、刷版してそれぞれのインキで印刷を行っているが、R、G、Bにそれぞれ発光する蛍光インキを用いる際の製版方法は、減法混色の考えのY、M、C、BKの4色分解では再現ができない。
【0007】
そこで本発明は、紫外線照射によりR、G、Bにそれぞれ発光する無色蛍光インキに通常光下では無色又は白色に見える紫外線吸収型インキを加刷して印刷を行うことにより、フルカラーで階調を持った多色印刷物及びそれを得るための印刷方法を提供することを目的としている。本発明で得られた印刷体は、通常では認識できず、また、通常の製法では複製しにくいため、偽造防止効果の高いものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、通常光下では認識できない無色の赤色系、緑色系、青色系にそれぞれ発光する3原色の蛍光インキを使用し、紫外線照射によりフルカラー画像を形成するものにおいて、前記3原色の蛍光インキと通常光下では無色又は白色に見える紫外線吸収型インキとで原稿を作成し、前記原稿をスキャナーによりR、G、B成分で画像として取り込み、シアン成分としてシアンで、マゼンタ成分としてマゼンタで、イエロー成分としてイエローで、ブラック成分としてブラックで構成されているものにそれぞれ分解し、前記ブラック成分のみを紫外線吸収型インキ用の印刷版面に当てはめ、前記R、G、Bにそれぞれ発光する各インキで印刷し、その後紫外線吸収型インキを加刷したことを特徴とする多色印刷物及び印刷方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、通常光下では認識できない無色のR、G、Bにそれぞれ発光する3原色の発光インキに、通常光下では無色又は白色に見える紫外線吸収型インキを加刷して印刷することで、紫外線照射によりフルカラーで階調を持った画像等を形成できる。
【0010】
【実施例】
本発明に用いる基材は、上質紙、コート紙、アート紙などの用紙及び透明なフィルムを使用し、できるだけ紫外線を吸収するものにする。また、基材の色は透明もしくはできるだけ白色のものを使用する。
【0011】
本発明に用いられる印刷方法は、オフセット印刷、凸版印刷及びグラビア印刷などの各種印刷方法が用いられる。また、本発明は、R、G、Bにそれぞれ発光する無色蛍光インキに、通常光の下では無色又は白色に見える紫外線を吸収するインキを加刷する印刷であり、無色蛍光インキを先に刷り、その後、無色又は白色の紫外線吸収インキを加刷する。
【0012】
本発明における製版方法は、前記R、G、Bにそれぞれ発光する3原色の蛍光インキを使用するため、該蛍光インキの印刷版面は、通常のカラー印刷の階調反転したものを、それぞれの補色となる色に当てはめて使用する。ただし、紫外線吸収型インキ用の印刷版面は通常の色分解のブラック版のものを使用する。
【0013】
一般に、テレビのブラウン管等では視覚の三色性を利用してR、G、Bの3色の蛍光体の発光強度を変えてフルカラーを作り出しており、図1は加法混色の理想的な分光特性を示している。また、図2は減法混色での理想的な分光特性を表したものであり、図2(a)は、シアンインキ(C)、図2(b)は、マゼンタインキ(M)、図2(c)はイエローインキ(Y)の理想的な分光特性を表している。理想的には前記したようなC、M、Yのように3色全ての色が表現できれば良いが、実際には図3(a)のシアンインキ(C)、図3(b)のマゼンタインキ(M)、図3(c)のイエローインキ(Y)のようにインキの反射率の波長特性が理想と違うため、一般的なカラー印刷ではY、M、Cの3色のインキの他に、ブラック(BK)を使って中間からシャドウ部の階調と濃度不足を補っている。このようなことから、本発明における加法混色の技術を適用する際には、本発明では紫外線吸収型インキを用いて、中間からシャドウ部の階調を表すために余分な発光を押さえると共に、用紙自身の発光や散乱による黒味の減少を抑え、画像をシャープにしている。
【0014】
また、一般にカラー印刷では、下色除去の原理に基づいて、スキャナーにより図4(a)のC、M、Yの光学濃度からxの濃度分を、図4(b)のブラック(BK)に置き換え、C、M、Yのインキ量を減らすことによりグレー再現を安定させることで、シャドウ部の色バランスの補正を行い、画像を安定させている。そこで、本発明においても、このブラックインキ(BK)と同じように、紫外線吸収型インキに、前記下色除去の原理を取り入れることで、より安定した画像を得ることができる。
【0015】
本発明の、無色蛍光インキに用いる顔料としては、Rには発光波長が600〜650nm程度の赤色発光蛍光顔料で、例えばY2O3:YVO4:Euなど、Gには発光波長が520〜545nm程度の緑色発光蛍光顔料で、例えばZn2Sio4、MgAl11O19:Ce、Tbなど、またBには発光波長が450〜490nm程度の青色発光蛍光顔料で、例えばSr2P2O7:Sn、Sr4Al14O25:Euなどがある。なお、本発明において使用される蛍光顔料は、紫外線を照射しない通常の可視光の下では無色の顔料を選ぶ必要がある。また、可視光下で無色であれば、使用する蛍光顔料は有機系、無機系のどちらでも使用でき、以上のような条件を満たすならば、顔料に変えて染料を溶かしたワニスを使用することも可能である。
【0016】
また、通常光下では無色又は白色に見える紫外線吸収型インキとしては、無色のベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、シュウ酸アニリド系などの有機系紫外線吸収剤や白色のTiO2を混入することで得られる。
【0017】
(実施例1)本実施例は、通常光下では認識できない無色のR、G、Bにそれぞれ発光する3原色の蛍光インキに、加法混色性の原理による余分な発光を抑えるための、通常光下では無色又は白色に見える紫外線吸収型インキを加刷して、合計4色のインキで印刷する際の実施例である。図5(a)は、文字「ABCD」が記載された原稿(P)である。前記文字「ABCD」の、文字Aはシアン(1)、文字Bはマゼンタ(2)、文字Cはイエロー(3)、文字Dはブラック(4)で記載され、原稿(P)の基材はホワイト(5)である。この場合、原稿(P)を構成するものは、文字、図柄等どのようなものでも良い。また、文字、図柄等は重なっていても良い。次に前記原稿(P)をスキャナーによりR、G、B成分で画像として取り込み、前記取り込んだR、G、B成分の文字画像を図5(b)のように、シアン成分として文字AとDのシアンとブラックで構成されているもの(I)、マゼンタ成分として文字BとDのマゼンタとブラックで構成されているもの(II)、イエロー成分として文字CとDのイエローとブラックで構成されているもの(III)に変換し、該変換画像を図5(c)のように階調反転させた色分解版(I’)、(II’)、(III’)を作成し、該色分解版(I’)、(II’)、(III’)を用いて、R、G、Bに発光する各員起用の印刷版面(図示せず)とする。次に、再度前記図5(a)の原稿(P)をスキャナーによりR、G、B成分で画像として取り込み、図5(d)のように、シアン成分として文字Aのシアンで構成されているもの(I1)、マゼンタ成分として文字Bのマゼンタ成分で構成されているもの(II1)、イエロー成分として文字Cのイエローで構成されているもの(III1)、ブラック成分として文字Dのブラックで構成されているもの(IV1)にそれぞれ分解し、このブラック成分(IV1)のみを紫外線吸収型インキ用の印刷版面(図示せず)に当てはめ、前記R、G、Bにそれぞれ発光する各インキと紫外線吸収型インキを用いてオフセット印刷を行う。このとき、紫外線吸収型インキは最後に加刷することで黒い部分を強調させ、画像をシャープにする。
【0018】
(実施例2)本実施例は、通常光下では認識できない無色のR、G、Bにそれぞれ発光する3原色の蛍光インキに、加法混色性の原理による余分な発光を抑えるための、通常光下では無色又は白色に見える紫外線吸収型インキを加えると共に、製版において下色除去の原理を組み込み、印刷する場合の実施例である。前記実施例1と同様にして、図5(a)の文字「ABCD」が記載された原稿(P)をスキャナーによりR、G、B成分で画像として取り込み、前記取り込んだR、G、B成分の文字画像を、図5(b)のように、シアン成分として文字Aのシアンで構成されているもの( I 1 )、マゼンタ成分として文字Bのマゼンタで構成されているもの( II 1 )、イエロー成分として文字Cのイエローで構成されているもの( III 1 )、ブラック成分として文字Dのブラックで構成されているもの( IV 1 )に変換し、該変換画像を図5(e)のように階調反転させた色分解版( I 1 ’)、( II 1 ’)、( III 1 ’)を作成し、該色分解版( I 1 ’)、( II 1 ’)、( III 1 ’)を、図5(d)の文字Dのブラック成分( IV 1 )でマスクして、図5(f)のような色分解版( I 1 " )、( II 1 " )、( III 1 " )を作成し、該色分解版( I 1 " )、( II 1 " )、( III 1 " )を用いて、R、G、Bに発光する各インキ用の印刷版面(図示せず)に当てはめる。次に図5(b)で作成されたブラック成分である文字Dの色分解版( IV 1 )を紫外線吸収型インキ用の印 刷版面(図示せず)に当てはめ、前記R、G、Bにそれぞれ発光する各インキと紫外線吸収型インキを用いてオフセット印刷を行う。このとき、紫外線吸収型インキは最後に加刷することで黒い部分を強調させ、画像をシャープにする。
【0019】
以上、階調を有する原稿で説明してきたが、本発明においては、階調の無い原稿の場合でも同様の操作を施すことにより、フルカラーの階調を持った画像を得ることができる。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の減法混色によるカラー印刷とは異なり、加法混色の原理を用いて、紫外線照射により発光する無色の蛍光インキを単色、向かい長の印刷ではなく、フルカラーによる階調を持った画像で印刷することができる。また、本発明により得られる印刷物は、通常では認識できない上に、一般の製法では複製ができないため、偽造防止性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加法混色の理想的な分光特性を示す図。
【図2】減法混色の理想的な分光特性を示す図。
【図3】実際のインキの分光特性を示す図。
【図4】下色除去の原理的模式図。
【図5】本発明の色分解の実施例を示す図。
【符号の説明】
1 シアン(C)
2 マゼンタ(M)
3 イエロー(Y)
4 ブラック(BK)
5 ホワイト(基材)
I C成分
II M成分
III Y成分
I’ IのC成分の階調反転
II’ IIのM成分の階調反転
III’
IIIのY成分の階調反転
I1" I’のC成分をIV1のBK成分でマスク
II1"
II’のM成分をIV1のBK成分でマスク
III1" III’のY成分をIV1のBK成分でマスク
P 原稿
x 指定した光学濃度

Claims (4)

  1. 通常光下では認識できない無色の赤色系、緑色系、青色系にそれぞれ発光する3原色の蛍光インキを使用し、紫外線照射によりフルカラー画像を形成するものにおいて、文字又は図柄をスキャナーによりR、G、B成分で画像として取り込み、前記取り込んだR、G、B成分の画像をシアン成分としてシアンとブラックに変換し、マゼンタ成分としてマゼンタとブラックに変換し、イエロー成分としてイエローとブラックにそれぞれ変換し、前記変換したそれぞれの画像を階調反転させて、それぞれの色分解版を作成し、再度文字又は図柄をスキャナーによりR、G、B成分で画像として取り込み、前記取り込んだ画像をシアン成分、マゼンタ成分、イエロー成分、ブラック成分にそれぞれ分解し、前記ブラック成分のみを紫外線吸収型インキ用の印刷版面に当てはめ、前記赤色系、緑色系、青色系にそれぞれ発光する各インキで印刷し、その後紫外線吸収型インキを加刷したことを特徴とする多色印刷物。
  2. 通常光下では認識できない無色の赤色系、緑色系、青色系にそれぞれ発光する3原色の蛍光インキを使用し、紫外線照射によりフルカラー画像を形成するものにおいて、文字又は図柄をスキャナーによりR、G、B成分で画像として取り込み、前記取り込んだR、G、B成分の画像をシアン成分としてシアンとブラックに変換し、マゼンタ成分としてマゼンタとブラックに変換し、イエロー成分としてイエローとブラックにそれぞれ変換し、前記変換したそれぞれの画像を階調反転させて、それぞれの色分解版を作成し、再度文字又は図柄をスキャナーによりR、G、B成分で画像として取り込み、前記取り込んだ画像をシアン成分、マゼンタ成分、イエロー成分、ブラック成分にそれぞれ分解し、前記ブラック成分のみを紫外線吸収型インキ用の印刷版面に当てはめ、前記赤色系、緑色系、青色系にそれぞれ発光する各インキで印刷し、その後紫外線吸収型インキを加刷したことを特徴とする多色印刷物の印刷方法。
  3. 通常光下では認識できない無色の赤色系、緑色系、青色系にそれぞれ発光する3原色の蛍光インキを使用し、紫外線照射によりフルカラー画像を形成するものにおいて、文字又は図柄をスキャナーによりR、G、B成分で画像として取り込み、前記取り込んだ画像をシアン成分、マゼンタ成分、イエロー成分、ブラック成分に変換し、該変換画像を階調反転させて色分解版を作成し、前記シアン成分、マゼンタ成分、イエロー成分の変換画像から階調反転させた色分解版を前記ブラック成分でマスクして、シアン成分としてシアンとブラックで構成された色分解版を作成し、マゼンタ成分としてマゼンタとブラックで構成された色分解版を作成し、イエロー成分としてイエローとブラックで構成された色分解版を作成し、前記シアン成分、マゼンタ成分、イエロー成分から作成したそれぞれの色分解版を用いて赤色系、緑色系、青色系に発光する各インキ用の印刷版面を作成し、前記ブラック成分の色分解版を紫外線吸収型インキ用の印刷版面に当てはめ、前記赤色系、緑色系、青色系にそれぞれ発光する各インキ及び紫外線吸収型インキで印刷したことを特徴とする多色印刷物。
  4. 通常光下では認識できない無色の赤色系、緑色系、青色系にそれぞれ発光する3原色の蛍光インキを使用し、紫外線照射によりフルカラー画像を形成するものにおいて、文字又は図柄をスキャナーによりR、G、B成分で画像として取り込み、前記取り込んだ画像をシアン成分、マゼンタ成分、イエロー成分、ブラック成分に変換し、該変換画像を階調反転させて色分解版を作成し、前記シアン成分、マゼンタ成分、イエロー成分の変換画像から階調反転させた色分解版を前記ブラック成分でマスクして、シアン成分としてシアンとブラックで構成された色分解版を作成し、マゼンタ成分としてマゼンタとブラックで構成された色分解版を作成し、イエロー成分としてイエローとブラックで構成された色分解版を作成し、前記シアン成分、マゼンタ成分、イエロー成分から作成したそれぞれの色分解版を用いて赤色系、緑色系、青色系に発光する各インキ用の印刷版面を作成し、前記ブラック成分の色分解版を紫外線吸収型インキ用の印刷版面に当てはめ、前記赤色系、緑色系、青色系にそれぞれ発光する各インキ及び紫外線吸収型インキで印刷したことを特徴とする多色印刷物の印刷方法。
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