JP3627253B2 - 自動洗浄装置付浄水器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、熱水を利用することで浄水器の内部を自動的に洗浄することができる自動洗浄装置付浄水器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
我国においては、河川や地下水を各地方自治体別で浄水化して各家庭や事業所等に水道水として供給している。この浄水化を担う浄水場では、この河川の水や地下水を大量にかつ安全な水道水とするためにいろいろな薬品を添加処理して各家庭や事業所等に供給している。しかし近年水源となっている河川や地下水の水質が悪化してきているため、大量の水道水を短時間のうちに相当強力に処理する必要性がでてきており、河川の下流地域の浄水場等では最終段階で塩素を大量に添加して処理している。このため水道水がおいしくないだとか、カルキ臭い等という声を聞くことが多くなっている。しかも、このような急速処理では処理できなかったフミン質等の有機物が塩素と反応してクロロホルム等となりトリハロメタン等の発ガン性物質が水道水中に発生するようなことが多々起こっている。
【0003】
そこで各家庭や事業所等で水道水を浄化する必要に迫られて、10数年前から活性炭を主体としてカルキ臭等を取り除く浄水器が使用されてきている。現在では、微細なゴミも除去できる中空糸膜を活性炭と組み合わせた浄水器が主流になっている。しかしこのような浄水器は洗浄水を逆方向に流して洗浄する逆洗を行わないと、次第に浄化能力が低下していくものである。こうした事情を背景に活性炭と中空糸膜を逆洗する先行技術が提案されている。しかしこの先行技術は、現在一般化している湯水混合栓から吐出される熱水に対してとくに対策をしておらず、誤って熱水を流した場合には活性炭が劣化してしまうようなことがあった。こうした熱水対策のため外部に熱水を排出する流路切り換え装置付き浄水器も従来提案されている(特開平2−9488号公報)。これは熱水が進入すると形状記憶合金からなる温度感知弁で流路を切り換え、熱水を強制的に外部に排出するというものである。しかしこの先行技術は熱水を浄水器内に侵入させないことで単に活性炭の劣化を回避するものにすぎず、活性炭の再生を行ったり逆洗を行うための装置は別に必要であった。ところでこの先行技術のように熱水は高温すぎたりすると場合によって活性炭を劣化させることもあるが、適当な条件のときには逆に活性炭を再生することのできるものである。先行技術には熱水を逆洗のために用いる方法も提案されている。しかしこれは手動で流路を切り換えて熱水を導いて活性炭の再生を図るもので、人為的な切り換え操作が必要なため活性炭の再生時期を忘れて再生しないまま浄水器を使用することが多かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように現在主流となっている活性炭と中空糸膜を利用した浄水器では、微細なゴミも除去できる反面すぐに目詰まりが生じて浄化能力が低下していくという問題点があった。
【0005】
また水道水中の有害物質には、トリハロメタン類や低沸点有機ハロゲン化合物等の発ガン性物質、またはシマジン等の農薬類、あるいはカビ臭等の原因となるジオスミン等、数多くのものが存在する。とくにトリハロメタン類は発ガン性が強く問題の多いものである。これらの有害物質は、浄水器の活性炭に吸着されて除去されるのであるが、残念なことにこれはすぐに飽和量に達してしまって浄水器の使用初期にしか除去できないものであった。加えて活性炭に一旦吸着されたこれら有害物質は再度容易に脱離するため、有害物質が濃縮された形で再度水道水中に混入し、平均的な水道水よりも高い濃度でこれらが検出される場合すらあった。
【0006】
有害物質以外にもこの他微生物の増殖という問題がある。それは、浄水器の活性炭層では殺菌力のあるカルキが除去されて浄水が滞留しているため、逆に微生物がそこで繁殖し、浄水器本来の目的と裏腹になってしまうことである。
【0007】
本発明は、これら従来の問題点を解決するためのものであって、中空糸膜の目詰まりを防ぎ、活性炭を再生することができ、有害物質の除去能が劣化するのを防止し、浄水器内部で微生物が繁殖するのを抑制でき、さらにこれを自動的に行う自動洗浄装置付浄水器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の自動洗浄装置付浄水器は、給水管と吐出管と内部に活性炭層及び中空糸膜部を設けた浄水ユニットとを備え、浄水ユニットには活性炭層に接続される原水供給口と中空糸膜部に接続される逆洗用入口及び中空糸膜部に接続される浄水吐出口と活性炭層に接続される逆洗用出口を設け、且つ、供給された水を給水管から原水供給口まで導く第1の給水系と、供給された水を給水管から逆洗用入口まで導く第2の給水系を配設するとともに、吐出される水を浄水吐出口から吐出管まで導く第1の吐出系と、吐出される水を逆洗用出口から吐出管まで導く第2の吐出系を配設し、さらに、供給された水の温度が第1の設定温度より低ければ第1の給水系を選択し高ければ第2の給水系を選択する第1の感温流路切り換え弁と、供給された水または吐出される水の温度が第2の設定温度より低ければ第1の吐出系を選択し高ければ第2の吐出系を選択する第2の感温流路切り換え弁を備えた自動洗浄装置付浄水器であって、第1の感温流路切り換え弁が、第1の設定温度より高い温度の水を供給されると第2の供給系を選択し、該第2の供給系と中空糸膜部の流体抵抗による放熱で第1の設定温度より温度低下した水で活性炭層を再生させるとともに、吐出される第2の設定温度より高い温度の水で第2の感温流路切り換え弁が第2の吐出系を選択することを特徴とするものである。
【0010】
また本発明の自動洗浄装置付浄水器は、第2の感温流路切り換え弁が、第1の感温流路切り換え弁と連動して、第1の設定温度より低い温度の水が供給されて第1の感温流路切り換え弁が第1の給水系を選択した場合には、第1の吐出系を選択し、第1の設定温度より高い温度の水が供給されて第1の感温流路切り換え弁が第2の給水系を選択した場合には、第2の吐出系を選択するように切り換えられるのが好ましい。
【0012】
この感温流路切り換え弁は、形状記憶合金からなる付勢体によって切り換えられるのが適当である。
【0014】
本発明の自動洗浄装置付浄水器は、温度の高い水の通過するところをステンレスで構成するのが適当である。
【0015】
【作用】
本発明の自動洗浄装置付浄水器は、第1の感温流路切り換え弁と第2の感温流路切り換え弁を備えているから、温度の高い水を流すと自動的に流路が切り換わって浄水器内の流れ方向が変更され、浄水ユニット内で捕捉されたごみや有害物質を逆洗することができる。これにより微生物等の繁殖を止めることができる。さらに活性炭の再生をすることができ、感温流路切り換え弁であるから、コンパクトな構成にすることができる。
【0016】
活性炭層と中空糸膜部を備えているから、中空糸膜部の微細なごみによる目詰まりを取り除くことができ、さらに吸着していた有害物質を脱離させることにより活性炭層の吸着能を再生することができる。
【0017】
また第2の感温流路切り換え弁が第1の感温流路切り換え弁と連動して切り換えられるものであるから、給水系と吐出系の流路の切り換えの時間遅れがなくなり、迅速に流路を切り換えることができる。
【0018】
形状記憶合金からなる付勢体によって切り換えるため、簡単で耐久性に優れたものにすることができる。
【0020】
さらに温度の高い水が通過するところをステンレス製とするから、浄水器の材質が溶解して水質を損なうことはない。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の自動洗浄装置付浄水器の一実施例について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施例における自動洗浄装置付浄水器の浄水時の概略図、図2は本発明の一実施例における自動洗浄装置付浄水器の逆洗時の概略図である。
【0022】
図1において、1は給水管、2は第1の流路切り換え手段である入口感温流路切り換え弁、3は原水供給口、9は逆洗バイパス管、10は逆洗用入口である。ここで逆洗用というのは逆洗のほか再生用も含めて指称している。第1流路切り換え手段は、感温弁であるほか、温度センサで検出した温度信号によって駆動手段を制御して流路を切り換える流路切り換え弁でもよい。これは電磁弁等が適当である。この場合確実な切り換えが期待できる。これら部材の材質は、感温部等の必要箇所を除いてステンレス製である。入口感温流路切り換え弁2のところで給水管1は2つに分かれ、一方が逆洗バイパス管9となり、他方はそのまま原水供給口3に接続されている。ここで給水管1に給水される水には、水道水や井戸水等の温度の低い原水か、いったん給湯システム等で温度を上げられた場合等の温度の高い水があり、ここでは感温弁や温度センサの設定温度以上の温度の水を熱水、それ以下を原水と呼称することにする。この給水管1から原水供給口3まで原水を導く管路が第1の給水系を構成するものであり、給水管1から逆洗用入口10まで導く逆洗パイパス管9が第2の給水系を構成するものである。13は浄水ユニット、4は活性炭層、5は中空糸膜部、6は浄水吐出口である。そして7は浄水バイパス管、8は第2の流路切り換え手段である出口感温流路切り換え弁、11は逆洗用出口、12は吐出管である。この第2流路切り換え手段は、第1流路切り換え手段と同様、温度センサで検出した温度信号によって駆動手段を制御して流路を切り換える流路切り換え弁であってよい。電磁弁等が適当である。この場合確実な切り換えを行うことができる。浄水ユニット13の熱水と接触する部分は、活性炭層4と中空糸膜部5等の必要箇所を除いてほとんどステンレスで構成されている。なお浄水ユニット13の背面に設けられた逆洗用入口10には逆止弁(図示せず)が設けられている。浄水吐出口6から吐出管12にまで浄水を導く浄水バイパス管7が第1の吐出系を構成するものであり、逆洗用出口11から吐出管12まで導く管路が第2の吐出系を構成するものである。第1の吐出系と第2の吐出系の2つの流路が合流するところに出口感温流路切り換え弁8が設けられている。これら2つの吐出系も必要箇所を除いてステンレス製である。
【0023】
次にこの一実施例の入口感温流路切り換え弁2と出口感温流路切り換え弁8の構成について説明する。入口感温流路切り換え弁2は図1と図2の拡大図に示したような構成をしている。出口感温流路切り換え弁8も基本的に同一の構成である。21は、給水管1に接続された入口開口20が側面に形成され、原水供給口3へ接続される開口27と逆洗バイパス管9に接続される開口28が両端面に形成された円筒状の弁本体である。この弁本体21の内部には、弁体24を付勢する形状記憶合金からなる螺旋状付勢体26が、開口28に対向して円筒部23の外周を周回するように設けられている。この弁体24は、同時に開口27の内部に設置されたスプリング25にも取り付けられている。スプリング25の付勢力が螺旋状付勢体26の付勢力を上回ったとき、弁体24は開口28側を閉鎖する。またスプリング25の付勢力が螺旋状付勢体26の付勢力を下回ったとき弁体24は弁座22に着座し、開口27を閉鎖する。従って形状記憶合金が変形する設定温度以下の浄水が入口感温流路切り換え弁2に導入されたときには、螺旋状付勢体26は縮んだままの状態であり、スプリング25の付勢力が加わって弁体24が開口28を閉鎖する。また形状記憶合金の変形する設定温度以上の熱水が入口感温流路切り換え弁2に導入されたときには、螺旋状付勢体26は伸張した状態となり、スプリング25の付勢力に打ち勝って弁体24で開口27を閉鎖することになる。
【0024】
以上は入口感温流路切り換え弁2の構成について説明したものであるが、これは出口感温流路切り換え弁8についても図示はしないが基本的に同一である。ただ出口感温流路切り換え弁8においては、入口感温流路切り換え弁2の開口28に対応した開口28’(図示せず)が逆洗用出口11に接続されるのと、入口感温流路切り換え弁2の入口開口20に対応した入口開口20’(図示せず)が吐出管12に接続されるのと、入口感温流路切り換え弁2の開口27に対応した開口27’(図示せず)が浄水バイパス管7に接続される点で相違するだけである。
【0025】
なお感温部は形状記憶合金に限らず、温度検知できこれによって切り換え弁を駆動できるものであれば、どのようなものでも構わない。また入口感温流路切り換え弁2の設定温度(本発明の第1の設定温度)と、出口感温流路切り換え弁8の設定温度(本発明の第2の設定温度)は駆動が可能であれば同一(例えば35℃〜80℃)であってもよいが、活性炭の再生を行うためには入口感温流路切り換え弁2の設定温度(例えば35℃〜80℃)と出口感温流路切り換え弁8の設定温度(入口感温流路切り換え弁2より所定温度低く例えば30℃〜45℃)を異ならせるのがよい
【0026】
ところで以上の実施例においては、26が形状記憶合金製の螺旋状付勢体、25がスプリングであったが、これは逆に26がスプリング26’(図示せず)、25が形状記憶合金製の螺旋状付勢体25’(図示せず)であってもよい。形状記憶合金の特性は逆の特性となる。前者の場合、熱水が入口開口20を通って流入する部位に形状記憶合金製の螺旋状付勢体26が配置されることになり、熱応答性が優れたものとなる。これに対し後者の場合、形状記憶合金が伸張したときに最も押圧力が強いという特徴がいかされた構成となる。
【0027】
さて上記一実施例の動作について以下説明する。浄水使用時には給水管1を通って水道水等の原水が供給される。この原水は水温が低いため入口感温流路切り換え弁2に到達すると、形状記憶合金製の螺旋状付勢体26の縮小状態とスプリング25の押圧力で、弁体24を円筒部23の端部弁座に着座させる。このため逆洗バイパス管9への流路は遮断され、原水は第1の給水系を通って原水供給口3に送り込まれる。原水供給口3に入った原水は図示していないプレフィルターを通って大きなゴミを取り除かれてから活性炭層4に注ぎ込まれる。ここでカルキ臭の原因である次亜塩素酸が活性炭の触媒作用で塩素イオンに分解される。これと同時に活性炭層4ではトリハロメタン類や低沸点有機ハロゲン化合物等の発ガン性物質、あるいはシマジン等の農薬類、ジオスミン等のカビ臭等有害物質が吸着除去される。活性炭層4を通り抜けた水は次に中空糸膜部5を通る。ここで、0.1〜0.01μmの細孔により微細なごみまで濾過される。そして浄水吐出口6を通って浄水バイパス管7に進入し、出口感温流路切り換え弁8に到達する。ここでもし出口感温流路切り換え弁8が浄水バイパス管7を閉鎖していたとしても、原水は水温が低いから、形状記憶合金の螺旋状付勢体26とスプリング25の作用でこれは開放され、逆洗用出口11側が閉鎖される。また水が浄水バイパス管7経由で出口感温流路切り換え弁8に到達する以外に、原水が直接逆洗用出口11から出口感温流路切り換え弁8に到達することもあり、このような場合にはこの時点で直ちに形状記憶合金製の螺旋状付勢体26が作用し、浄水バイパス管7が開放され逆洗用出口11が閉鎖されることになる。
【0028】
次に熱水が送られて逆洗する場合を説明すると、熱水は給水管1を通って入口感温流路切り換え弁2のところに到達する。水温が高いため入口感温流路切り換え弁2は原水供給口3への流路を閉鎖する。このため熱水は逆洗バイパス管9を通って浄水ユニット13の背面の逆洗用入口10の逆止弁から中空糸膜部5の中に入る。中空糸膜部5では流体抵抗が大きいため、熱水は一旦浄水吐出口6から浄水バイパス管7を通って出口感温流路切り換え弁8に到達する。すると熱水の温度を感知して出口感温流路切り換え弁8の螺旋状付勢体26は直ちに応答する。すなわち、もし逆洗用出口11が閉鎖、浄水バイパス管7が開放されていた場合には直ちに切り換わって、逆洗用出口11の方が開放されることになる。これによって熱水は浄水バイパス管7を通って流れることはできなくなり、すべての熱水が中空糸膜部5を逆洗した後、活性炭層4に導入され活性炭層4の再生をしてから浄水ユニット13の前面の逆洗用出口11から吐出されるようになる。このように熱水を流したときには流路が切り換わり、とくに浄水ユニット13内では流れの方向を逆方向にすることができるから、中空糸膜部5を自動的に逆洗することができる。また熱水は逆洗バイパス管9を通る間に放熱によって少し温度降下を生じてから中空糸膜部5に入り、さらにここで流体抵抗によって流速が落ちるため放熱が進み、活性炭層4に入るときには再生に適した温度になっている。従って逆洗バイパス管9を設け、中空糸膜部5をうまく利用することにより活性炭層4を再生することができるのである。上記一実施例ではこのように熱水を利用して自動的に流路切り換えを行って逆洗、再生を行うものであるから、浄水器の寿命を格段に伸ばすことができるものである。
【0029】
ところでこのように本発明の一実施例は逆洗、再生によって浄水器の寿命を伸ばすことができるのであるが、何故逆洗、再生が浄水器の寿命を伸ばすことに寄与するのかを以下詳しく説明する。このためにまず浄水器の寿命が一般に何によって支配されるのかから説明することにする。
【0030】
浄水器の寿命がつきる原因には、大きくいって2つあり、それは水量が充分得られなくなる場合と、水の臭気、有害成分が充分除去できなくなる場合の2つである。まず第1の充分な水量が得られなくなるという原因は、主として中空糸膜部5の目詰まりである。とくに多く発生するのは、水中にコロイド状態で浮遊している無機金属塩類が中空糸膜部5で捕捉されることである。例えば古い配管が敷設され赤水が出てくるようなアパート等では、水中に無機金属塩が多く含まれているため、浄水器の寿命がその分短くなるといったことが起こるのはよく知られている通りである。また赤水のような設備側の事情によらずとも、水道水そのものに金属塩が多く含まれることも頻繁に生じている。それは河川等が相当汚れていて、しかも大量に処理しなくてはならないという事情のある浄水場から供給される水道水である。このような浄水場では汚れた水をきれいにするため前処理が必要で塩化アルミニウム水溶液を添加してpH調製し沈澱漕で沈澱処理しているが、この添加液が金属塩の形で水道水中に含まれ浄水場から一部流出してしまうのである。すなわち原水の汚れがひどいため添加する塩化アルミニウム水溶液の量も自然増加し、流出するアルミニウムの量も増加する。また大量に浄化処理する必要があるため沈澱漕での滞留時間が不足することから、充分処理しきれずにそのまま水道水として供給されるようなことも生じ、水道水に有機物や無機金属塩類が多く含まれるといったことが生じるのである。しかも困ったことにこのような水道水の有機物の中には微生物が多く存在するため、対策上、殺菌剤として塩素を多量に添加する必要が出てくる。従ってこのような水道水はアルミニウムイオンや水酸化物が多いほか、概してカルキ臭が強いものであり、場合によっては水中の有機物と塩素が反応しトリハロメタンが高濃度で検出されることが生じるのである。さらに、金属イオンの状態で流出するような場合であっても水中のpHが7.5以上になると水酸化金属塩となって析出するため、水道水のpHが高いところでは浄水器の寿命は短くなるのである。これらの場合に中空糸膜部5に目詰まりが発生し、充分な水量が得られなくなって浄水器の寿命がつきることになる。
【0031】
続いて水の臭気、有害成分を除去できなくなるという第2の原因を説明する。これは除去すべき臭気、有害成分の量が多くなりすぎて活性炭層4の除去能の限界を越えてしまうことである。活性炭を再生しない限り、活性炭層4で吸着可能な臭気、有害成分の総量は決まっている。従って臭気、有害成分濃度が高いところではその分寿命が短くなる。臭気、有害成分は、原水が汚れており大量供給しなければならない浄水場ほど発生し易い。何故このような浄水場でこうした問題が発生するかについては第1の原因の説明の中で述べた通りである。こうした浄水場から供給される水を使用する場合には充分な水量が得られなくなるか、臭気、有害成分を除去できなくなるかのいずれかで浄水器の寿命はつきることになる。そして以上から活性炭を再生することが浄水器の寿命を伸ばす大きな要因となるのが分かる。
【0032】
さて再生をするにはどのような方法で行うのがよいのかについて説明すると、再生方法には大別して3つの方法がある。第1は一旦加熱して吸着物質を焼却し水蒸気で再生する水蒸気賦活法であり、第2は酸やアルカリ、有機溶媒で吸着物質を洗浄する化学的洗浄法であり、第3は活性炭の吸着能の温度特性を利用して行う熱水洗浄法である。このうち第1の水蒸気賦活法が一般的に行われることが多いがこの方法は大規模な装置が必要であり、第2の化学洗浄法も特殊な溶剤が必要であって、浄水器の活性炭の再生には適当でない。この点第3の熱水洗浄法は大規模な装置は必要なく簡単に活性炭を再生することができる。
【0033】
そこで本実施例においては上記2つの寿命のつきる原因を一挙に解決して浄水器の寿命を伸ばすために、熱水洗浄法を用いて再生するという技術手段を採用するとともに、これによって洗浄を行っている。しかも同時に自動化も達成することができるものである。すなわち活性炭をいためる可能性のある熱水を、逆に流路の自動切り換えに利用したうえで、中空糸膜部5を逆洗し、あわせて管路系や中空糸膜部5等で適当な温度に降下調整された熱水を活性炭層4の再生に利用するのである。従って本実施例は浄水器の寿命を格段に伸ばすことができ、中空糸膜部5の目詰まりの原因である微細なゴミを洗浄し、活性炭層4の臭気、有害物質の除去能が低下するのを防止することができるのである。
【0034】
次に本実施例の効果を確認するために、従来の浄水器との比較試験を行った。いずれも中空糸膜部5付きの浄水器である。実験条件は原水として一般の水道水を使用し、水圧 1kgf/cm、浄水使用量 10l/日、水温 15〜20℃を21カ月間測定した。ただ本実施例のみ2週間に1度、熱水(75℃)を10リットル流し、約20分間程度かけて逆洗を行った。図3はこのときの本発明の一実施例における浄水器の流量の経年変化図、図4は本発明の一実施例における残留塩素濃度除去率の経年変化図、図5は本発明の一実施例におけるトリハロメタン除去率の経年変化図である。図6は本発明の一実施例における浄水器使用時の流量−圧力特性図である。
【0035】
図3に示すように、3カ月後から本実施例の浄水器の1分間当りの流量は従来例と比較して13〜17%、平均15%上昇しているのが分かる。すなわち逆洗によって本実施例では平均15%程度目詰まりが改善されたといってよい。
【0036】
また図4から分かるように、残留塩素除去率は、従来例が12カ月過ぎから劣化を始めるのに対し、本実施例は21カ月まで除去率91%を保っている。このとき従来例は83%にすぎず、8%近い開きが存在する。
【0037】
図5記載のリハロメタン除去率についてみると、従来例は2カ月過ぎから急激に除去能が劣化し、10%程度にまで落ち込むのに対し、本実施例は徐々には劣化していくが21カ月まで除去率74%以上を保っている。
【0038】
トリハロメタン除去に関し追加的に実験したのが、図6の浄水器使用時の流量−圧力特性図である。実験は浄水使用時の水温である18℃の水道水と、逆洗時の水温である75℃の水道水で行った。このとき測定したトリハロメタンの水中濃度が(表1)である。図6によれば浄水時の流量−圧力特性はほとんど変わりがない。しかし逆洗時、本実施例の流量−圧力特性は浄水時と比較して、非常に流量が低下している。これは中空糸膜部5の流体抵抗のためと考えられ、これによって熱水がゆっくり流れて活性炭層4との接触時間を大幅に長くすることができ、ひいては(表1)記載のように活性炭層4に吸着されているトリハロメタンの脱離を効率よくできるのである。
【0039】
【表1】
Figure 0003627253
【0040】
以上の実験結果からも本実施例は、残留塩素除去率を低下させることなく浄水器の中空糸膜部5および活性炭層4の目詰まりを減少させ、寿命を延ばすことができるものである。そしてとくに強調したいのは、従来できなかったトリハロメタンを長期にわたって除去することが可能になったことである。
【0041】
ところで本実施例では逆洗のため熱水を流しているから、浄水器の材質によっては熱水によりこの材質が熱水中に溶け出し水質が損なわれることがあるため、耐熱性に優れ熱水中に溶解することのないステンレスを使用している。従って熱水を流しても水質が損なわれる心配はほとんどない。これを確認するため、熱水の通過するところをすべてステンレス製とした本実施例と、これをABS樹脂から形成した従来例とで比較試験を行った。実験は水道水を用いて行い、水温 75℃、圧力 1kgf/cmの条件下で行った。図7は、この結果を示す逆洗時の処理水のCOD値(化学的酸素消費量)の経時変化図である。これによれば従来例のABS樹脂で形成した場合は経時的にCOD値が上昇しているのに対し、本実施例においてはこれが増加していない。従来例は熱水に触れてABS樹脂が少しずつ水に溶解しているからである。ステンレスを用いる外にも、耐熱性があり熱水に溶解しなければどのような材料でも構わない。
【0042】
次に、本発明の自動洗浄装置付浄水器の他の実施例について図面を参照しながら説明する。図8は本発明の他の実施例における自動洗浄装置付浄水器の浄水時の概略図、図9は本発明の他の実施例における自動洗浄装置付浄水器の逆洗時の概略図である。
【0043】
図8、図9において、図1と同じ符号を付したものは図1の場合と同じものを示すので、これらについては説明を省略する。14はこの実施例の感温流路切り換え弁である。すなわち図1の実施例の場合との相違点を上げると、感温流路切り換え弁14は、第1の流路切り換え手段である入口感温流路切り換え弁2’と第2の流路切り換え手段である出口流路切り換え弁8’とが一体化されており、感温部が付いているのは入口感温流路切り換え弁2’側だけであって、出口流路切り換え弁8’側には感温部は設けられておらず、単に入口感温流路切り換え弁2’に連動して駆動されるものにすぎない。すなわち給水管1を通って導入された熱水が感温流路切り換え弁14の感温部によって温度検知され、第1の給水系から第2の給水系に給水流路が切り換えられるとともに、吐出系の2つの流路も第1の吐出系から第2の吐出系に同時に切り換えられるものである。感温部は図1の実施例の場合と同じで形状記憶合金製の螺旋状付勢体であって、この形状記憶合金製の螺旋状付勢体とスプリングで3方向切り換え弁を2つ併設した弁棒を駆動するのである。この螺旋状付勢体とスプリングは弁棒の両側にそれぞれ取り付けられている。そして弁ケースには給水管1から螺旋状付勢体にまで熱水誘導路が形成されており、ここからさらに吐出管12にまで誘導路が形成されている。弁棒を収容した弁ケースの給水管1側と吐出管12側には、弁棒が移動したとき弁棒に開けられた連通孔が給水管1と吐出管12に常に接続できるように長溝が2カ所設けられている。連通孔の他端側の弁ケースは、連通孔がそれぞれ逆洗バイパス管9か原水供給口3のどちらか、あるいは逆洗用出口11か浄水バイパス管7に連通できるような配置で切り換え孔が穿孔されている。浄水器として使用しているとき熱水が形状記憶合金製の螺旋状付勢体のところに到達すると、この螺旋状付勢体が伸張し、給水管1と逆洗バイパス管9とを連通せしめ、かつ逆洗用出口11と吐出管12を連通する切り換え位置に弁棒を押圧する。また温度の低い原水が送られてくる浄水時には、形状記憶合金からなる螺旋状付勢体は縮んで給水管1と原水供給口3とを連通し、同時に浄水バイパス管7と吐出管12を連通する位置に切り換えるものである。
【0044】
従って浄水を得るとき、原水は給水管1から感温流路切り換え弁14を介して原水供給口3に送り込まれる。原水供給口3に入った原水は図示していないプレフィルターを通って大きなゴミを取り除かれて活性炭層4に注ぎ込まれる。ここで有害物質が吸着除去される。活性炭層4を通り抜けた水は中空糸膜部5を通って微細なごみまで濾過される。浄水吐出口6を通った後浄水バイパス管7に進入し、感温流路切り換え弁14に再び到達し、吐出管12から吐出される。熱水が送られて逆洗する場合には、熱水は給水管1を通って感温流路切り換え弁14のところに到達し、逆洗バイパス管9に入る。そして浄水ユニット13の背面の逆洗用入口10から中空糸膜部5の中に入り、中空糸膜部5を逆洗した後、活性炭層4に導入され活性炭層4の再生をしてから浄水ユニット13の前面の逆洗用出口11から吐出される。
【0045】
従ってこの他の実施例の場合、感温流路切り換え弁14の入口側に熱水が到達したら同時に全流路を切り換えることができるので、切り換え時間の短縮がはかれるものである。(表2)は、図8記載の感温流路切り換え弁14を用いて給水側と吐出側の流路切り換えを同時に連動して行った場合と、図1記載の入口感温流路切り換え弁2と出口感温流路切り換え弁8をそれぞれ独立して駆動させる場合の切り換え時間を計測したものである。浄水時から逆洗開始までの切り換え時間Aと、逆洗時から浄水開始までの切り換え時間Bについて比較している。なお入口感温流路切り換え弁2と出口感温流路切り換え弁8の設定温度は、同一の温度で75℃となっている。
【0046】
【表2】
Figure 0003627253
【0047】
(表2)に示すとおり、弁が連動して動くと切り換え時間が短縮されて、熱水が導入さえると同時に迅速に流路を切り換えることができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明の自動洗浄装置付浄水器は、設定温度以上の温度の高い水を流すと自動的に流路が切り換わって浄水器内の流れは逆方向になり、吸着していた有害物質を脱離させ浄水器の再生を図ることができる。温度の高い水で自動的に逆洗するから、洗浄忘れもなく、浄水器内部で微生物等が繁殖することも少なくなる。感温流路切り換え弁を使うため、コンパクトな構成にすることができる。
【0049】
そして吸着していた有害物質を脱離させることにより活性炭層の吸着能を再生することができる。
【0050】
さらに第2の感温流路切り換え弁が第1の感温流路切り換え弁に連動して流路を切り換えるものであるから、給水系と吐出系の流路の切り換えの時間遅れがなくなり、迅速に流路を切り換えることができる。
【0051】
形状記憶合金からなる付勢体によって切り換える流路切り換え弁にするため、簡単で耐久性に優れたものにすることができる。
【0053】
さらに温度の高い水が通過するところをステンレス製とするから、浄水器の材質が溶解して水質を損なうことはない。
【0054】
本発明の自動洗浄装置付浄水器は、トリハロメタン等の有害物質を除去することができ、浄水器の寿命を伸ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における自動洗浄装置付浄水器の浄水時の概略図
【図2】本発明の一実施例における自動洗浄装置付浄水器の逆洗時の概略図
【図3】本発明の一実施例における浄水器の流量の経年変化図
【図4】本発明の一実施例における残留塩素濃度除去率の経年変化図
【図5】本発明の一実施例におけるトリハロメタン除去率の経年変化図
【図6】本発明の一実施例における浄水器使用時の流量−圧力特性図
【図7】本発明の一実施例における逆洗時の処理水のCOD値(化学的酸素消費量)の経時変化図
【図8】本発明の他の実施例における自動洗浄装置付浄水器の浄水時の概略図
【図9】本発明の他の実施例における自動洗浄装置付浄水器の逆洗時の概略図
【符号の説明】
1 給水管
2 入口感温流路切り換え弁
3 原水供給口
4 活性炭層
5 中空糸膜部
6 浄水吐出口
7 浄水バイパス管
8 出口感温流路切り換え弁
9 逆洗バイパス管
10 逆洗用入口
11 逆洗用出口
12 吐出管
13 浄水ユニット
14 感温流路切り換え弁
20、20’ 入口開口
21 弁本体
22 弁座
23 円筒部
24 弁体
25、26’ スプリング
26、25’ 螺旋状付勢体
27、28、27’、28’ 開口

Claims (4)

  1. 給水管と吐出管と内部に活性炭層及び中空糸膜部を設けた浄水ユニットとを備え、前記浄水ユニットには前記活性炭層に接続される原水供給口と前記中空糸膜部に接続される逆洗用入口及び前記中空糸膜部に接続される浄水吐出口と前記活性炭層に接続される逆洗用出口を設け、且つ、供給された水を前記給水管から前記原水供給口まで導く第1の給水系と、供給された水を前記給水管から前記逆洗用入口まで導く第2の給水系を配設するとともに、吐出される水を前記浄水吐出口から前記吐出管まで導く第1の吐出系と、吐出される水を前記逆洗用出口から前記吐出管まで導く第2の吐出系を配設し、さらに、供給された水の温度が第1の設定温度より低ければ前記第1の給水系を選択し高ければ前記第2の給水系を選択する第1の感温流路切り換え弁と、供給された水または吐出される水の温度が第2の設定温度より低ければ前記第1の吐出系を選択し高ければ前記第2の吐出系を選択する第2の感温流路切り換え弁を備えた自動洗浄装置付浄水器であって、前記第1の感温流路切り換え弁が、第1の設定温度より高い温度の水を供給されると前記第2の供給系を選択し、該第2の供給系と前記中空糸膜部の流体抵抗による放熱で前記第1の設定温度より温度低下した水で前記活性炭層を再生させるとともに、吐出される第2の設定温度より高い温度の水で第2の感温流路切り換え弁が前記第2の吐出系を選択することを特徴とする自動洗浄装置付浄水器。
  2. 前記第2の感温流路切り換え弁が、前記第1の感温流路切り換え弁と連動して、第1の設定温度より低い温度の水が供給されて前記第1の感温流路切り換え弁が第1の給水系を選択した場合には、第1の吐出系を選択し、前記第1の設定温度より高い温度の水が供給されて前記第1の感温流路切り換え弁が第2の給水系を選択した場合には、第2の吐出系を選択するように切り換えられることを特徴とする請求項1記載の自動洗浄装置付浄水器。
  3. 前記感温流路切り換え弁が、形状記憶合金からなる付勢体によって切り換えられることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動洗浄装置付浄水器。
  4. 温度が高い水の通過するところはステンレスで構成した請求項1〜3のいずれかに記載の自動洗浄装置付浄水器。
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