JP3628006B2 - 板ガラス製構造部材の接合構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、板ガラスで形成された板ガラス製柱部材と板ガラスで形成された板ガラス製梁部材との間を、力伝達部材を用いて接合する板ガラス製構造部材の接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、構築物の構造部材として鋼材、コンクリート、木材以外の人工材料を用いる例が見られ、ガラス、合成樹脂からなる板材を板状構造部材として用いることが行われ始めている。殊に、最近は、透光性材料を用いた構築物が着目され、板ガラスからなる板状構造部材を用い、屋根、壁共に板ガラスで構成してある例が見られる。このような、板ガラスを板状構造部材とした従来の板状構造部材の接合構造においては、例えば板ガラスを板状体としてある例について説明すれば、図19に示すように、板ガラスからなる板状柱部材1を立設し、同じく板ガラスからなる板状梁部材2を前記板状柱部材1に取り付けるのに、前記板状柱部材1の端部4と前記板状梁部材2の端部5との間を、相対回動を許容しない状態で剛接合していた。つまり、前記板状柱部材1或いは前記板状梁部材2に外嵌固定自在な板材からなる接合金物12を前記夫々の端部4,5に外嵌固定し、前記夫々の接合金物12と前記端部4,5とを、夫々に複数の挿通孔を貫通させ、夫々の挿通孔にボルト等の締結部材16を挿通し、前記夫々の端部4,5に前記接合金物12を複数箇所で、前記接合金物12と前記板状柱部材1或いは前記板状梁部材2との間を接着して固定し、前記両接合金物12同士を締結して、前記締結部材16と前記接合金物12とで前記板状柱部材1と前記板状梁部材2との接合部3における力伝達部材を形成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構成においては、図19に示した例においては、接合金物12の一方の第一接合金物12Aの嵌合部13を前記板状柱部材1の上端側の端部4に側方から被せ、複数の締結部材16を前記板状柱部材1を板厚方向に貫通する挿通孔に挿通して前記板状柱部材1に固定して前記板状柱部材1の上端側の端部4に接合部3を形成し、前記接合金物12の他方の第二接合金物12Bの嵌合部13を前記板状梁部材2の一端側の端部5に前記一端側から被せ、複数の締結部材16を前記板状梁部材2を貫通する挿通孔に挿通して前記板状梁部材2に固定して前記板状梁部材2の一端側の端部5に接合部3を形成し、前記両接合金物12A,12Bの連結部14同士を、連結ブロック15を挟んで締結部材16を用いて連結する(図20参照)ことで、前記板状梁部材2と前記板状柱部材1とを接合してあった。
【0004】
このように、前記板状柱部材1と前記板状梁部材2とを剛接合してあったから、例えば前記板状梁部材2が面内における外力により面内変形を起こして撓む等の変位が生ずれば、両部材1,2の接合部3には、前記板状柱部材1の力学上の軸心と前記板状梁部材2の力学上の軸心とを含む面内における曲げ外力が作用するようになる。ところで、板状構造部材は面外方向の曲げに対しては弱く、このため、前記板状構造部材は、外力により作用する内部主応力が前記板状構造部材の厚み方向に対して直交する面内に作用するように極力配置されるのである。その結果、上記のように、板状柱部材1と板状梁部材2とを剛接合してあれば、前記厚み方向に直交する面内に関しては剛性に富む接合構造が得られるのである。
【0005】
しかしながら、例えば従来、板状構造部材として用いられているガラス板材は、元来圧縮力に対する強度よりも張力に対する強度の方が弱いものであるから、僅かの歪みでも剪断歪みが生じて部分的に張力が作用すると、そこから破壊に至ることがあるので、前記接合部3には上述のように接合金物12を用いて強固に接合していたのであるが、例えば地震の際などのように、前記板状柱部材1と前記板状梁部材2との間に大きな相対変位が生ずる条件下では、前記板状柱部材1は前記板状梁部材2の面内における曲げ外力が作用することを避けることは極めて困難である。このような面内曲げ外力が作用する構造体において、伸び歪みの許容量が小さい板ガラス部材からなる構造体の構造解析を行おうとすれば、不静定骨組み構造であるから、解析が困難で、解析精度が悪くなるために、安全係数を高くとる必要が生じ、その結果、接合部材6としての前記接合金物12が大きくならざるを得ず、板ガラス部材を用いた構造体の特徴である透明感を阻害するようになる。
【0006】
そこで本発明は、接合部における板ガラス製梁部材と板ガラス製柱部材との間の力伝達関係を簡単化して、経済設計を可能とすると共に、接合部材を小型化し、且つ、大きな相対角度変位を許容するようにした板ガラス製構造部材の接合構造を提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔本発明の特徴構成〕
本発明に係わる板ガラス製構造体の接合構造の特徴構成は、板ガラス製柱部材と板ガラス製梁部材とを相対回動自在に接合してある点を基本的特徴とし、夫々下記の独特な特徴を備えるものである。
【0008】
請求項1に係わる本発明の板ガラス製構造部材の接合構造の特徴構成は、板ガラス製柱部材と板ガラス製梁部材の面の方向を一致させて、板ガラス製柱部材の端部と板ガラス製梁部材の端部との間を、ピン部材を力伝達部材として、板ガラス製柱部材と板ガラス製梁部材の一致する面方向に沿って前記ピン部材周りに相対回動自在に接合してある(第1特徴構成)点にある。これを図4及び図5に示す例により説明すると、板ガラス製柱部材1と板ガラス製梁部材2の面の方向を一致させて、板ガラス製柱部材1の端部4と板ガラス製梁部材2の端部5との間を、ピン部材8を力伝達部材7として、板ガラス製柱部材1と板ガラス製梁部材2の一致する面方向に沿って前記ピン部材8周りに相対回動自在に接合してある。図示の例においては、前記板ガラス製柱部材1の上端側の端部4に力伝達部材7としてのピン部材8を回転自在に挿通するピン孔10を設け、前記板ガラス製梁部材2の一端側の端部5に同じくピン孔10を備える接合部材6を固定して、両者のピン孔10にピン部材8を挿通して、両者を相対回動自在に接合してあるのである。
【0009】
請求項2に係わる本発明の板ガラス製構造部材の接合構造の特徴構成は、上記第1特徴構成におけるピン部材を介して相対回動自在に連結してある一対の接合部材の一方を板ガラス製柱部材の端部に固着すると共に、他方の接合部材を、板ガラス製梁部材の端部に固着して、前記ピン部材を、前記板ガラス製柱部材及び前記板ガラス製梁部材の外側で、前記板ガラス製柱部材と前記板ガラス製梁部材との間に位置させてある(第2特徴構成)点にある。これを図1に示した例により説明すると、ピン部材8を介して相対回動自在に連結してある一対の接合部材6の一方、即ち第一接合部材6Aを板ガラス製柱部材1の端部4に固着すると共に、前記接合部材6の他方、即ち第二接合部材6Bを、板ガラス製梁部材2の端部5に固着して、前記ピン部材8を、前記板ガラス製柱部材1及び前記板ガラス製梁部材2の外側で、前記板ガラス製柱部材1と前記板ガラス製梁部材2との間に位置させるのである。
【0010】
請求項3に係わる本発明の板ガラス製構造部材の接合構造の特徴構成は、上記第1特徴構成又は第2特徴構成におけるピン部材を、板ガラス製柱部材の立設幅内に位置させてある(第3特徴構成)点にある。これを図4に示す例により説明すると、ピン部材8を、板ガラス製柱部材1の立設幅内に位置させてある。図示の例においては、力伝達部材7である前記ピン部材8を挿通するピン孔10が前記板ガラス製柱部材1を貫通させて形成してあり、前記ピン部材8を前記板ガラス製柱部材1の立設幅内に位置させてあるのである。
【0011】
請求項4に係わる本発明の板ガラス製構造部材の接合構造の特徴構成は、上記第3特徴構成における板ガラス製柱部材の力学上の軸心と前記板ガラス製梁部材の力学上の軸心とが同一面内に位置するように接合してある(第4特徴構成)点にある。これを図7及び図8に示した例により説明すると、ピン部材8を、板ガラス製柱部材1の立設幅内に位置させて、前記板ガラス製柱部材1の力学上の軸心X1と板ガラス製梁部材2の力学上の軸心X2とが同一面内に位置するように接合するのである。このために、図示の例においては、2枚の板ガラス製柱部材1を立設して、その上端側の端部4に、両板ガラス製柱部材1をその板厚方向に貫通するピン孔10を形成し、板ガラス製梁部材2を前記両板ガラス製柱部材1の間に介装して、前記ピン孔10と、前記板ガラス製梁部材2の端部5に設けたピン孔10とにわたってピン部材8を挿通し、前記一対の板ガラス製柱部材1と前記板ガラス製梁部材2とを接合することで、前記一対の板ガラス製柱部材1の力学上の軸心X1と前記板ガラス製梁部材2の力学上の軸心X2とを交叉させて、両軸心X1,X2を同一平面内に位置させてある。
【0012】
〔特徴構成の作用及び効果〕
板ガラス製構造部材である板ガラス製柱部材と板ガラス製梁部材とを相対回動自在な接合部材を用いて柔に接合することで、接合部における前記板ガラス製柱部材と板ガラス製梁部材との間の力伝達関係を簡単化して不静定次数を低くし、構造解析精度を高めて、経済設計を可能とすると共に、接合部材を極力小型化し、しかも、前記板ガラス製柱部材と前記板ガラス製梁部材との間の相対角度変位に対する許容度を高めることができるのである。夫々の特徴構成の奏する作用効果は、以下の通りである。
【0013】
上記板ガラス製構造部材の接合構造の第1特徴構成によれば、板ガラス製柱部材に加わる面内の曲げ変形を軽減し、前記板ガラス製柱部材の曲げ応力による破壊を防止できるようになる。つまり、板ガラス製梁部材から板ガラス製柱部材に曲げモーメントを伝達することがなく、伝達される荷重を極力一軸応力関係に近付け得るから、前記板ガラス製柱部材に及ぼされる面内曲げ荷重を軽減して、前記柱部材や梁部材が脆い板ガラスで形成されていても、その脆い板ガラス製柱部材を破壊から保護できる。これを図4に示した例に沿って説明すれば、前記板ガラス製梁部材2の他端側の上下方向の変位があったにしても、前記板ガラス製梁部材2は前記ピン部材8の周りに回動するから、前記板ガラス製梁部材2の他端側の変位をモーメントとして前記板ガラス製柱部材1に伝達することを防止でき、図示の例においては特に、前記ピン部材8を介して前記板ガラス製柱部材1に直接力伝達を行うから、前記板ガラス製柱部材1への力伝達を一軸力伝達関係とすることが可能になる。
【0014】
上記板ガラス製構造部材の接合構造の第2特徴構成によれば、板ガラス製柱部材の端部と板ガラス製梁部材の端部とに夫々接合部材を固着し、その接合部材同士を、ピン部材を力伝達部材として接合してあるから、前記板ガラス製柱部材及び前記板ガラス製梁部材には局所荷重を加えることなく、相対回動自在に接合でき、従って、前記板ガラス製柱部材に加わる曲げ外力を極力小さくできるのである。これを図1に示した例に沿って説明すれば、接合部材6における力伝達部材7であるピン部材8が板ガラス製柱部材1と板ガラス製梁部材2の間、即ち両部材1,2の外部に配置されているから、前記両部材1,2に対して、前記ピン部材8から前記板ガラス製柱部材1及び前記板ガラス製梁部材2に対して直接に点荷重を及ぼすことが回避可能になる。従って、接合部材6が関節構造を有していることから、前記板ガラス製梁部材2からの前記板ガラス製柱部材1への曲げ外力の作用を極力抑制しでき、前記板ガラス製柱部材1及び前記板ガラス製梁部材2の接合部3においては第一接合部材6A及び第二接合部材6Bからなる接合部材6を前記両部材1,2に対して固着できて、前記両部材1,2内における面内曲げ歪みを抑制して、前記柱部材や梁部材が脆い板ガラスで形成されていても、その破壊を防止するのである。
【0015】
上記板ガラス製構造部材の接合構造の第3特徴構成によれば、上記第1特徴構成又は第2特徴構成の作用効果を奏する中で、板ガラス製梁部材からの作用力を板ガラス製柱部材には軸力としてピン部材から伝達できるのである。これを図4に示した例に沿って説明すれば、ピン孔10を板ガラス製柱部材1を貫通させて形成してあるから、板ガラス製梁部材2からの作用力はピン部材8から直接軸力として前記板ガラス製柱部材1に伝達されるようになるのである。また、前記板ガラス製梁部材2の長さ方向に前記板ガラス製柱部材1との間の相対変位が生じたりする場合には、前記ピン部材8から前記板ガラス製梁部材2に直接軸力として前記変位に伴う作用力が伝達されるようになるのである。
【0016】
上記板ガラス製構造部材の接合構造の第4特徴構成によれば、上記第3特徴構成の作用効果を奏する中で、板ガラス製梁部材からの外力を板ガラス製柱部材に板を曲げる方向の力として作用させないようにでき、前記板ガラス製柱部材が折れることを防止できる。これを図7に示した例に沿って説明すれば、一対の前記板ガラス製柱部材1の合成柱としての力学上の軸心X1は、前記一対の板ガラス製柱部材1の間に位置するから、この間で板ガラス製梁部材2を軸支すれば、前記板ガラス製梁部材2の力学上の軸心X2が前記板ガラス製柱部材1の力学上の軸心X1と交叉するようになり、前記両軸心X1,X2が同一面内に位置することから、その面に対する面外応力が作用することを防止することが可能になる。従って、前記板ガラス製柱部材1に面外曲げ外力が作用することを抑制できるから、板ガラス製部材の特徴である面外曲げ外力に対する弱点を保護できて、前記柱部材1が圧縮強度に比して引っ張り強度の低いという特性を有する板ガラスで形成されていても、面外曲げ外力に伴う前記板ガラス製柱部材1の折損を防止できる。
【0017】
尚、上記の本発明の課題を解決するための手段の説明において、図面を参照し、図面との対照を便利にするために符号を記したが、上記図面の参照及び符号の記入により本発明が参照図面他添付図面の構成に限定されるものではない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる板ガラス製構造部材の接合構造について図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る板ガラス製柱部材と板ガラス製梁部材の接合部の一例を示す斜視図であり、図2はその上方より見た平断面図であり、図3は上記接合部を構築物に適用する例を示す側方視縦断面図である。尚、上記従来の技術の説明に用いた図19及び図20における要素と同一の要素乃至同様の機能を果たす要素については、先の図19及び図 20に付した符号と同一の、或いは関連する符号を付し、詳細の説明の一部を省略する。
【0019】
接合部材6は、図1に示すように、第一接合部材6Aと第二接合部材6Bとからなり、両接合部材6A,6B共に対をなして、夫々一端側に複数のボルト挿通用の挿通孔9を貫通してあり、前記第一接合部材6Aの他端側には、力伝達部材7としてのピン部材8を回動自在に遊嵌可能なピン孔10を、挟み付ける板ガラス製柱部材1の端部4の側端縁部に近接して形成し、前記第二接合部材6Bの他端側は、挟み付ける板ガラス製梁部材2の一端側の端部5の面間隔から前記第一接合部材6Aの他端側同士の間に挿入可能に対向面を近接させて、同じく前記ピン部材8を回動自在に挿通可能なピン孔10を前記板ガラス製梁部材2の一端側の端縁部に近接させて形成してある(図2参照)。尚、図示の例においては、前記板ガラス製柱部材1及び前記板ガラス製梁部材2の損傷を防止するために、前記板ガラス製柱部材1と前記第一接合金物6Aとの間及び前記板ガラス製梁部材2と前記第二接合金物6Bとの間には間隙を設けてあり、その間隙を維持するために、夫々の間に緩衝材6aを介装するが、エポキシ系接着剤や弾性系接着剤、エマルジョンラテックス系接着材等を用いて、前記板ガラス製柱部材1及び前記板ガラス製梁部材2に前記緩衝材6aを接着し、或は、繊維材からなるシートで前記緩衝材6aを形成して、上記接着材をこのシートに含浸して介装し、前記緩衝材6aの介装後に前記板ガラス製柱部材1及び板ガラス製梁部材2に前記緩衝材6aを接着させる。さらに、前記第一接合金物6Aと前記第二接合金物6Bとの間にも間隙を設けて、相対回動を容易にしてある。
【0020】
図2に示したように、前記両接合部材6A,6Bは共に、前記板ガラス製柱部材1の端部4及び前記板ガラス製梁部材2の端部5を緩衝材6aを介装して挟み付け、前記夫々の端部4,5に夫々複数貫通してある挿通孔9に緩衝材17を外嵌したボルト等の締結部材16を挿通して、前記夫々の端部4,5に固定される。前記夫々の端部4,5に固定された両接合部材6A,6Bは、前記ピン孔10に遊嵌されるピン部材8を力伝達部材7として接合されるのである。図示の例においては、前記板ガラス製柱部材1の上端側の端部4に第一接合部材6Aを固定してあり、前記板ガラス製梁部材2の一端側の端部5に第二接合部材6Bを固定してある。尚、前記締結部材16の頭部は、前記両接合部材6A,6Bの外側に突出しないように、前記両接合部材6A,6Bを座刳りして同一面になるようにしてある。
【0021】
以上の構成により、前記板ガラス製柱部材1と前記板ガラス製梁部材2とは、前記ピン部材8を介して相対回動自在に接合してあるから、前記板ガラス製梁部材2の前記板ガラス製柱部材1に対する相対角度変位を生じても、両者が相対回動することで、前記板ガラス製柱部材1に面内の曲げモーメントを及ぼすことがなく、前記ピン部材8が前記板ガラス製柱部材1及び前記板ガラス製梁部材2を貫通していないので、力伝達部材7である前記ピン部材8が前記板ガラス製柱部材1及び前記板ガラス製梁部材2に集中荷重をもたらすことがなく、前記両部材1,2に多次元応力を生ずることを回避できて、一般に圧縮強度に比して引っ張り強度の低いという特性を有する板ガラスで形成された前記板ガラス製柱部材1及び前記板ガラス製梁部材2に損傷を招くことを抑制できる。また、接合部3の内の力を伝達する要部のみに接合部材6を取り付けて接合するから、その接合部材6は小型のものでよく、透視性を維持しながら接合できるから、美観を向上できる。
【0022】
上記本発明に係る接合部3を構築物に設ける展望室に適用する例につき、図3を参照しながら説明する。板ガラス製柱部材1は外部構造体25の上に取り付けられ、板ガラス製梁部材2は側部構造体の外部に張り出し形成した屋根張出部23の外端部に取り付けられ、前記板ガラス製梁部材2と前記板ガラス製柱部材1とは、共に板ガラスで構成されて、本発明に係る接合部材6で接合される。前記外部構造体25は、前記構築物に張り出し形成される展望室の腰壁であり、前記側部構造体は前記構築物の壁から外方に張り出し形成された屋根張出部23である。前記板ガラス製柱部材1は前記外部構造体25の上に取り付けられた枢支金物20と、前記板ガラス製柱部材1の下端部に固定された接合金物19との間で、ピン部材8を介して取り付ける。また、前記板ガラス製梁部材2は、前記屋根張出部23の外端部に取り付けられた枢支金物20と、前記板ガラス製梁部材2の他端部に固定された接合金物19との間で、同様にピン部材8を介して取り付ける。これら接合金物19と、前記板ガラス製柱部材1の下端部及び前記板ガラス製梁部材2の他端部との間にも、上述の接合部材6の取付と同様に、緩衝材を介装することが好ましい。
【0023】
尚、前記板ガラス製梁部材2の一端側の端部5と前記板ガラス製柱部材1の上端側の端部4との間は、上述の接合部3と同様の構造で接合される。前記板ガラス製柱部材1の上端部と前記屋根張出部23の上面との間には、前記板ガラス製柱部材1に対して揺動自在にサッシが取り付けられ、そのサッシの上に複層ガラスで形成された屋根パネル21を取り付け、前記板ガラス製柱部材1の外側には、複層ガラスで形成された外壁パネル22が取り付けられる。この構成により、前記展望室からの眺望に対して目障りになる接合部材6を極力小さくし、美観を高めながら、前記展望室の床部に連設された外部構造体25と、前記展望室を張り出し形成した構築物の側部構造体との間に相対変位が生じても、前記板ガラス製柱部材1と前記板ガラス製梁部材2との間で相対角度変位を許容しているから、これら板ガラス製柱部材1及び板ガラス製梁部材2の損傷を抑制しつつ、前記屋根パネル21及び前記外壁パネル22の保持を維持できるようになる。
【0024】
〔別実施形態〕
本発明の実施の形態について、上記実施の形態において説明した以外の実施形態につき、以下に説明する。
【0025】
〈1〉上記実施の形態においては、接合部材6を、第一接合部材6Aと第二接合部材6Bとで構成し、両接合部材6A,6B共に対をなして、一端側に複数のボルト挿通用の挿通孔9を貫通して、板ガラス製柱部材1と板ガラス製梁部材2とに夫々固定し、前記両接合部材6A,6Bの他端側にピン孔10を形成して、前記両接合部材6A,6Bのピン孔10にピン部材8を挿通して、前記板ガラス製柱部材1と前記板ガラス製梁部材2とを相対回動自在に接合する例について説明したが、例えば図4に示すように、前記板ガラス製柱部材1の上端側の端部4に力伝達部材7としてのピン部材8を回転自在に挿通するピン孔10を設け、前記板ガラス製梁部材2の一端側の端部5に同様のピン孔10を備え、前記板ガラス製梁部材2の両面に接当自在な一対の接合部材6を固定し、両者のピン孔10に緩衝材からなるブッシュ11を外嵌したピン部材8を挿通して(図5参照)、両者を相対回動自在に接合してあってもよい。この場合には、前記ピン部材8は、前記板ガラス製柱部材1の立設幅内に位置させてあるのである(請求項3に対応)。
【0026】
上記のような構成にあっては、前記板ガラス製梁部材2の他端側の上下方向の変位があったにしても、前記板ガラス製梁部材2は前記ピン部材8の周りに回動するから、前記板ガラス製梁部材2の他端側の変位をモーメントとして前記板ガラス製柱部材1に伝達することを防止でき、且つ、前記ピン部材8を介して前記板ガラス製柱部材1に直接力伝達を行うから、前記板ガラス製柱部材1への力伝達を一軸力伝達関係とすることが可能になる。しかも、前記ピン孔10の下方には、前記板ガラス製柱部材1が荷重を受けるのに十分な長さを有しているから、前記板ガラス製梁部材2から伝達される荷重を分散して受けることができ、前記板ガラス製柱部材1を破損し難くするのである。さらに、前記ピン孔10を前記板ガラス製柱部材1の力学上の軸心X1に位置させることができるから(図4参照)、前記板ガラス製梁部材2からの荷重は、前記板ガラス製柱部材1に軸力として伝達されるようになり、前記板ガラス製柱部材1に面内並びに面外の曲げ応力をもたらすことを回避できるのである。この場合においては、前記板ガラス製柱部材1と前記接合部材6との間には、相対回動を自在にするために、間隙を設けてあることが好ましく、この隙間は、1mm乃至数mmとしてあればよい。尚、図4及び図5に示したように、前記両接合部材6を座刳りすることなく、前記締結部材16の頭部は、前記両接合部材6の外側に突出させてある。
【0027】
〈2〉上記実施の形態においては、接合部材6を、第一接合部材6Aと第二接合部材6Bとで構成し、両接合部材6A,6B共に対をなして、一端側に複数のボルト挿通用の挿通孔9を貫通して、板ガラス製柱部材1の上端側の端部4に、幅方向の2箇所に貫通された挿通孔9に締結部材16を挿通して、第一接合部材6Aを固定し、前記板ガラス製梁部材2の一端側の端部5には、長手方向の2箇所に貫通された挿通孔9に締結部材16を挿通して第二接合部材6Bを固定し、前記両接合部材6A,6Bの他端側にピン孔10を形成して、前記両接合部材6A,6Bのピン孔10にピン部材8を挿通して、前記板ガラス製柱部材1と前記板ガラス製梁部材2とを相対回動自在に接合する例について説明したが、例えば図6に示すように、前記第一接合部材6Aの一端側を幅広に形成し、その幅方向に並べて挿通孔を形成して締結部材16により前記板ガラス製柱部材1の上端側の端部4に取り付け、前記一対の第一接合部材6Aを夫々上方に延出して、上端部を貫通して前記ピン孔10を設けてある。このような構成により、前記ピン部材8の位置を、前記板ガラス製柱部材1の力学上の軸心X1に位置させることができ、前記板ガラス製梁部材2からの荷重を、前記板ガラス製柱部材1への軸荷重として伝達できるようになる。
【0028】
前記第一接合部材6Aと前記板ガラス製柱部材1との間、及び前記第二接合部材6Bと前記板ガラス製梁部材2との間には、上述の接合部3と同様に緩衝材6aを介装してあることが好ましい。尚、図示の例においては、上記実施の形態に示したとは逆に、前記第一接合部材6Aの上端部の対向面の間を近接させて、前記第二接合部材6Bの他端側の間に介装し、前記ピン部材8で接合するようにしてある。また、図示の例においては、前記第一接合部材6Aにおける挿通孔を、ピン孔10への方向に対して直交する方向に配列したものを示したが、前記挿通孔の配置は任意であって、例えば複数列或いは任意の千鳥配列に配置してあってもよい。
【0029】
〈3〉また、板ガラス製構造部材である板ガラス製柱部材1或いは板ガラス製梁部材に加わる荷重が大きい場合、或いは、天井部又は壁部からの前記板ガラス製構造部材の張出幅を大きくしたくない場合には、前記板ガラス製柱部材1或いは前記板ガラス製梁部材2を複数枚並設することで、前記張出幅を小さくする場合がある。このような場合には、例えば図7に示すように、前記板ガラス製柱部材1を2枚とすることもできる。上述の板ガラス製柱部材1の力学上の軸心X1上にピン部材を配置するのに、図8に示すように、2枚の板ガラス製柱部材1を立設して、その上端側の端部4に、両板ガラス製柱部材1を夫々の板厚方向に貫通するピン孔10を形成し、板ガラス製梁部材2を前記両板ガラス製柱部材1の間に介装して、前記ピン孔10と、前記板ガラス製梁部材2の端部5に設けたピン孔10とにわたってピン部材8を挿通し、前記一対の板ガラス製柱部材1と前記板ガラス製梁部材2とを接合してもよい。この場合においても、前記ピン孔10と前記ピン部材8との間には、緩衝材で形成した、前記ピン部材8を遊嵌可能なブッシュ11を介装し、且つ、前記板ガラス製柱部材1と前記板ガラス製梁部材2との間にも上述の接合部3と同様に緩衝材6aを介装しておく。
【0030】
このようにすれば、前記一対の板ガラス製柱部材1の力学上の軸心X1と前記板ガラス製梁部材2の力学上の軸心X2とを交叉させて、両軸心X1,X2を同一平面内に位置させることができる。従って、一対の前記板ガラス製柱部材1の合成柱としての力学上の軸心X1は、前記一対の板ガラス製柱部材1の間に位置するから、この間に板ガラス製梁部材2を介装すれば、前記板ガラス製梁部材2の力学上の軸心X2が前記板ガラス製柱部材1の力学上の軸心X1と交叉するようになり、前記両軸心X1,X2が同一面内に位置することから、その面に対する面外応力の生成を防止することが可能になり、前記板ガラス製柱部材1を形成するガラス板に曲げ外力が作用することを抑制できるから、一般に圧縮強度に比して引っ張り強度の低いという特性を有する板ガラスからなる前記板ガラス製柱部材1の、曲げ外力に伴う損傷を防止できる。尚、前記緩衝材6aは、前記板ガラス製柱部材1又は前記板ガラス製梁部材2に接着して、クリアランスを確保すると同時に、ガラスと金属の直接接触を防止し、且つ、相互の摺動性を維持できるようにする。さらに、この構成においては、接合部材6としては、ピン部材8と、前記板ガラス製柱部材1及び前記板ガラス製梁部材2のピン孔10を保護する前記ブッシュ11程度であるから、透明性を特徴とするガラス構造体において、接合部3に配置する接合部材6が小さくなり、美観をさらに向上できる。
【0031】
〈4〉上記〈3〉の構成に代えて、例えば図9に示すように、板ガラス製柱部材1を1枚にし、板ガラス製梁部材2を対にして、前記板ガラス製柱部材1の上端側の端部4にピン孔10を形成し、前記一対の板ガラス製梁部材2にも一端側の端部5に、共に貫通するピン孔10を設けて、ピン部材8を、前記一対の板ガラス製梁部材2の間に前記板ガラス製柱部材1を介入させた状態で前記ピン孔10に挿通し(図10参照)、接合するようにしてもよい。もたらされる効果は上記〈3〉の構成におけると同様である。尚、例えば図11に示すように、前記板ガラス製柱部材1をも対にして、前記対をなす板ガラス製梁部材2の間に前記板ガラス製柱部材1の対を介入させ、前記ピン部材8を貫通させて(図12参照)接合してあってもよい。
【0032】
ここでは、図13に示したように、前記一対の板ガラス製柱部材1の間隔を保持する金属製の間隔保持部材18を前記板ガラス製柱部材1の間に介装しておくとよい。また、前記間隔保持部材18の外側には、前記ピン部材8を遊嵌自在なブッシュ11を前記ピン孔10に内挿しておけば前記ピン部材8と前記間隔保持部材18との間で前記板ガラス製柱部材1及び前記板ガラス製梁部材2を挟み付けるのに、絞めすぎないようにでき、前記板ガラス製柱部材1及び前記板ガラス製梁部材2の位置決めができて、板ガラス製柱部材1及び板ガラス製梁部材2の損傷を防止できる。前記間隔保持部材18と前記板ガラス製柱部材1との間、前記ピン部材8の頭部と前記板ガラス製梁部材2との間、及び前記板ガラス製柱部材1と前記板ガラス製梁部材2との間にも緩衝材6aを介装し、前記板ガラス製柱部材1或いは前記板ガラス製梁部材2に接着しておけばよい。この構成によっても、上記〈3〉に示した例と同様に、前記対をなす板ガラス製梁部材2の力学上の軸心X2を前記対をなす板ガラス製柱部材1の力学上の軸心X1に交叉させることができる。尚、前記間隔保持部材18を長さ方向の中央で分割し、間に第三の板ガラス製柱部材或いは第三の板ガラス製梁部材を狭持するように構成してあってもよい。
【0033】
〈5〉また、先に図1に示した構成に代えて、例えば図14に示すように、接合部材6を板ガラス製柱部材1に固定し、前記接合部材6と板ガラス製梁部材2との間をピン部材8を用いて止め付けるようにしてもよい。また、上記〈1〉で説明した板ガラス製柱部材1の立設幅内にピン部材8を配置するのに、例えば図15に示すように、図4に示した構成の変形として、前記板ガラス製柱部材1の上端部4にピン孔を形成して、板ガラス製梁部材2の一端部5に下方に張り出して取り付けた接合部材6をピン部材8で接合するようにしてもよく、また、例えば図16に示すように、前記板ガラス製柱部材1の上端部4に、上方に向けて固設した接合部材6に対して、前記板ガラス製梁部材2の一端部5に形成したピン孔との間でピン部材8を用いて接合するようにしてあってもよい。
【0034】
〈6〉さらに、例えば図17に示すように、対をなす板ガラス製柱部材1と板ガラス製梁部材2とを図7に示したと同様にして接合すると同時に、前記対をなす板ガラス製柱部材1の外側に沿わせて面方向の直交する第三の板ガラス製柱部材1Aを立設して前記対をなす板ガラス製柱部材1に固定して断面コ字状の柱を構成し、前記第三の板ガラス製柱部材1Aの上端側の端部4に、両端部にピン孔10を形成した第三接合部材6Cを接合部材6として取り付け、横行板ガラス製梁部材2Aを前記板ガラス製柱部材1の両側方にピン部材8を用いて接合するようにしてもよい。尚、この場合に、前記対をなす板ガラス製柱部材1と板ガラス製梁部材2との間に緩衝材からなる間隔保持材18を介装してあればさらによい(図18参照)。
【0035】
〈7〉上記実施の形態においては、単一の板ガラス製柱部材1と単一の板ガラス製梁部材2とを接合する例について説明したが、上記〈3〉、〈4〉、〈5〉に説明したように、前記板ガラス製柱部材1及び前記板ガラス製梁部材2は、何れかが複数用いられる構成であってもよく、両者共に複数で構成されていてもよい。前記板ガラス製柱部材1及び前記板ガラス製梁部材2の枚数は任意である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る板ガラス製構造部材の接合部の一例を示す斜視図
【図2】図1に示した接合部の要部平断面図
【図3】本発明に係る板ガラス製構造部材の接合構造の実施例を示す要部側面図
【図4】本発明に係る板ガラス製構造部材の接合部の他の例を示す斜視図
【図5】図4に示した接合部の要部平断面図
【図6】本発明に係る板ガラス製構造部材の接合部の他の例を示す斜視図
【図7】本発明に係る板ガラス製構造部材の接合部の他の例を示す斜視図
【図8】図7に示した接合部の要部平断面図
【図9】本発明に係る板ガラス製構造部材の接合部の他の例を示す斜視図
【図10】図9に示した接合部の要部平断面図
【図11】本発明に係る板ガラス製構造部材の接合部の他の例を示す斜視図
【図12】図11に示した接合部の要部平断面図
【図13】図11に示した接合部材の分解斜視図
【図14】本発明に係る板ガラス製構造部材の接合部の他の例を示す側面図
【図15】本発明に係る板ガラス製構造部材の接合部の他の例を示す側面図
【図16】本発明に係る板ガラス製構造部材の接合部の他の例を示す側面図
【図17】本発明に係るガラス構造体の接合部の他の例を示す斜視図
【図18】図17に示した接合部の要部を示す平面図
【図19】従来のガラス構造体の接合構造を示す要部の斜視図
【図20】図19に示した接合部の分解斜視図
【符号の説明】
1 板ガラス製柱部材
2 板ガラス製梁部材
4 板ガラス製柱部材の端部
5 板ガラス製梁部材の端部
6 接合部材
6A 第一接合金物
6B 第二接合金物
7 力伝達部材
8 ピン部材
X1 板ガラス製柱部材の力学上の軸心
X2 板ガラス製梁部材の力学上の軸心
Claims (4)
- 板ガラス製柱部材と板ガラス製梁部材との間を、力伝達部材を用いて接合する板ガラス製構造部材の接合構造であって、
前記板ガラス製柱部材と板ガラス製梁部材の面の方向を一致させて、前記板ガラス製柱部材の端部と前記板ガラス製梁部材の端部との間を、ピン部材を前記力伝達部材として、前記板ガラス製柱部材と板ガラス製梁部材の一致する面方向に沿って前記ピン部材周りに相対回動自在に接合してある板ガラス製構造部材の接合構造。 - 前記ピン部材を介して相対回動自在に連結してある一対の接合部材の一方を前記板ガラス製柱部材の端部に固着すると共に、他方の前記接合部材を、前記板ガラス製梁部材の端部に固着して、前記ピン部材を、前記板ガラス製柱部材及び前記板ガラス製梁部材の外側で、前記板ガラス製柱部材と前記板ガラス製梁部材との間に位置させてある請求項1記載の板ガラス製構造部材の接合構造。
- 前記ピン部材を、前記板ガラス製柱部材の立設幅内に位置させてある請求項1又は2に記載の板ガラス製構造部材の接合構造。
- 前記板ガラス製柱部材の力学上の軸心と前記板ガラス製梁部材の力学上の軸心とが同一面内に位置するように接合してある請求項3記載の板ガラス製構造部材の接合構造。
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