JP3629220B2 - アイスキャンデー - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒートショックや保存中の温度変化によるアイスキャンデー中の糖質の表面への浸みだし、いわゆる、「なき」が防止されたアイスキャンデーに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、アイスクリーム、シャーベットなどの冷菓は氷結晶が育ちにくく水分移行が起こりにくい−18℃以下での保存・流通が望ましい。しかし、保管する冷凍庫の開閉により冷凍庫内の温度が、冷凍庫の温度とされる−18℃以下の温度より10度以上も上昇する場合がある。かかる温度変化(ヒートショック)が起こると、食感が変わりなめらかさを失う場合がある。特に、アイスキャンデーにおいては、保存中のヒートショックや長期間にわたる冷凍保存等により成分中の糖質が表面にしみ出す、いわゆる「なき」という現象が起こり、かかるアイスキャンデーを袋詰めにした場合、袋から取り出すとき袋に冷菓がくっついて取り出しにくくなるなどの状態となることがあり、商品価値が劣る場合がある。また、冷凍による保存中に糖質が表面に浸み出すため、アイスキャンデー中に糖質を均一に分散することができず、アイスキャンデーの中心部に甘味がなくなる部分が生じる等の問題が生じている。このような冷凍保存中の劣化が問題となっている。
【0003】
更に、冷菓製品を室温で一定時間放置することによっても、冷菓製品の劣化が起こり、一旦溶けた冷菓製品を再び冷凍しても元の冷菓製品に戻らず、商品価値がなくなるといった現象が起こることもある。このため、冷菓は−18℃以下で保存・流通されるのが理想であるが、冷菓製品の流通・運搬時、−18℃を保持することが出来ない場合があり、更に、家庭での保存の際も、冷凍庫の開閉による温度変化にも耐え得る(ヒートショック耐性に優れた)冷菓が求められている。
【0004】
これらを解決するための方法として、安定剤の添加が広く検討されている。その安定剤の例として、ローカストビーンガム、タマリンド種子多糖類、トラガントガム、タラガム、カラヤガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギナン、寒天、ゼラチン、ペクチン、カードラン、グルコマンナン、アルギン酸等の増粘安定剤から単独或いは適宜組み合わせることがなされている。
【0005】
例えば、特公昭44−10149号公報には、キサントモナスガム(キサンタンガム)のアイスクリーム等への使用が、特開昭52−114054号公報には少量のキサンタンガムと多量のグアーガムが配合されたアイスクリーム用安定剤が、特公昭57−37306号公報には、キサントモナスガムとローカストビーンガムとからなる冷菓用安定剤が開示されている。これら従来の配合では、ヒートショック耐性に優れ、なおかつ、なきを十分に防止したアイスキャンデーを製造することが出来なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、アイスキャンデーのヒートショック耐性に優れ、なおかつ、なきが防止された冷菓を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、冷菓に含有させる安定剤に特に注目して鋭意研究を重ねていたところ、でんぷんを含有することにより、アイスキャンデー中の糖質の表面への浸みだし防止効果が著しく向上することを発見した。また、でんぷんを一定の割合で含有することより、更にヒートショック耐性の効果が向上することが判った。更に、アイスキャンデーに使用する糖質が単糖の場合に、特になき防止効果が顕著に発揮されることがわかった。加えて水溶性ヘミセルロースを含有することにより、できあがったアイスキャンデーのフレーバーリリースが良好となることを発見した。
【0008】
すなわち本発明は、以下の態様を有するアイスキャンデーに関する。
項1.でんぷん及び安定剤を含有することを特徴とする糖質の表面への浸みだしが防止されたアイスキャンデー。
項2.でんぷんの含有量がアイスキャンデー100重量部中0.1〜20重量部である項1記載のアイスキャンデー。
項3.含まれる糖質が単糖である項1又は2に記載のアイスキャンデー。
項4.更に、水溶性ヘミセルロースを含有する項1乃至3のいずれかに記載のアイスキャンデー。
項5.でんぷん及び安定剤を含有することを特徴とするアイスキャンデー中の糖質の表面への浸みだしを防止する方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のアイスキャンデーはでんぷん及び安定剤を含有することを特徴とする本発明により冷菓のヒートショック耐性を著しく向上させることができ、冷凍保存中の糖質の表面への浸みだし、いわゆる「なき」が防止されたアイスキャンデーとすることができる。
【0010】
本発明において使用するでんぷんは、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ等のトウモロコシ由来のでんぷん;タピオカでんぷん;サツマイモ由来のでんぷん、ジャガイモ由来のでんぷん、サゴヤシ由来のでんぷん等やそれらの加工澱粉があげられる。中でも、ワキシーコーンスターチやタピオカでんぷんを添加するのが好ましい。これらでんぷんは、商業的に入手することができ、例えば、ワキシーコーンスターチとして三和澱粉工業株式会社製のワキシースターチW、タピオカでんぷんとして日本NSC株式会社製のナショナル7を挙げることができる。
【0011】
本発明ででんぷんと併用する安定剤は、ローカストビーンガム、タマリンド種子多糖類、トラガントガム、タラガム、カラヤガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギナン、寒天、ゼラチン、ペクチン、カードラン、グルコマンナン、アルギン酸(アルギン酸、アルギン酸塩)及びグアーガムが挙げられ、これらから単独或いは適宜組み合わせて用いる。中でも、ローカストビーンガム、タマリンド種子多糖類、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン及びトラガントガム単独あるいは組み合わせて用いることが好ましく、更には、ローカストビーンガム及びタマリンド種子多糖類が配合された安定剤を用いるのが好ましい。本発明の安定剤も商業的に入手することができ、例えば、ローカストビーンガム及びタマリンド種子多糖類を含む安定剤として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のサンベストNN−495、サンベストNN−392等を挙げることができる。
【0012】
でんぷんの添加量は、製造するアイスキャンデーやでんぷんの種類によって、適宜調整することができるが、冷菓100重量部中0.1〜20重量部を挙げることができる。特に、ワキシーコーンスターチやタピオカでんぷんを用いる場合には、0.3〜10重量部、更に好ましくは、0.5〜5.0重量部を例示することができる。この量よりも少ないと、ヒートショック耐性やなきを防止する効果が十分でなく、これよりも量が多いと、アイスキャンデーの味に影響を及ぼしたり、粘度が付与されて製造が困難になったりするからである。
【0013】
安定剤の添加量も、製造するアイスキャンデーやでんぷんの種類によって、適宜調整することができるが、冷菓100重量部中0.01〜5.0重量部、より好ましくは、0.1〜1.0重量部、更に好ましくは、0.2〜0.5重量部を例示することができる。
【0014】
また、本発明では上記に加えて、更に水溶性ヘミセルロースを併用添加することができる。水溶性ヘミセルロースとは、水溶性の大豆由来のヘミセルロースをいう。本発明における水溶性ヘミセルロースは豆類由来、特に大豆、中でも子葉由来のものが好ましい。水溶性ヘミセルロースは、その分子量がどの様な値のものでも使用可能であるが、好ましくは平均分子量が数万〜数百万、具体的には5万〜100万であるのが好ましい。なお、この水溶性ヘミセルロースの平均分子量は標準プルラン(昭和電工(株)販)を標準物質として0.1MのNaNO3溶液中の粘度を測定する極限粘度法で求めた値である。水溶性ヘミセルロースは、ヘミセルロースを含む原料から水抽出や場合によっては、酸、アルカリ条件下で加熱溶出させるか、酵素による分解抽出させることができる。水溶性ヘミセルロースの製造法の一例を示すと以下のようである。油糧種子、例えば大豆、パーム、ヤシ、コーン、綿実など通常油脂や蛋白質を除いた殻、あるいは穀類、例えば米、小麦など通常澱粉等を除いた粕等の植物を原料とすることができる。原料が大豆であれば、豆腐や豆乳、分離大豆蛋白を製造するときに副生するオカラを利用することができる。これらの原料を酸性乃至アルカリ性の条件下、好ましくは各々の蛋白質の等電点付近のpHで好ましくは130℃以下80℃以上、より好ましくは130℃以下100℃以上にて加熱分解し、水溶性画分を分画した後、そのまま乾燥するか、例えば活性炭処理或いは樹脂吸着処理或いはエタノール沈殿処理して疎水性物質あるいは低分子物質を除去し乾燥することによって、水溶性ヘミセルロースを得ることができる。
【0015】
本発明では水溶性ヘミセルロースを併用添加することにより、アイスキャンデー中の香料や香味物質のフレーバーリリースが向上し、風味が向上したアイスキャンデーとすることができる。水溶性ヘミセルロースの添加量は、アイスキャンデー100重量部に対して、0.1〜10重量部を例示することができる。なお、水溶性ヘミセルロースも商業的に入手することができ、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のSM−700等が挙げられる。
【0016】
なお、アイスキャンデー中の糖質の表面への浸みだし(なき)は、使用する糖質の種類にかかわらず起こることが問題となっているが、果糖などの単糖を用いた場合に顕著に起こる。その一方で、砂糖不使用の要望により、果実由来の自然な甘みを有する果糖などを用いることが好まれる傾向にあり、アイスキャンデーにも試みられていたが、果糖のなきが問題となっていた。しかし、本発明により、果糖などの単糖を用いてアイスキャンデーを製造しても、製造時及び保存中のなきが見られず、良好なアイスキャンデーを製造できるようになった。
【0017】
なお、本発明で、なきが防止される糖質としては、前記単糖のほか、ショ糖、異性化糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、転化糖、水飴、粉末水飴、還元麦芽水飴、蜂蜜、トレハロース、パラチノース、D−キシロース等の糖や、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール類が挙げられる。
【0018】
本発明のアイスキャンデーは、目的とする製品により、種々の構成をとることができ、例えば、アイスクリーム(アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス)、シャーベット、みぞれ、かき氷等のウォーターアイス(氷菓)、フローズンヨーグルト等をバータイプのアイスキャンデーとしたものがあげられる。
【0019】
本発明のアイスキャンデーは、前述の事項以外は、通常のアイスキャンデーと同様の構成をとることができる。すなわち、必要に応じて、前述の添加物以外にも、本発明の効果を奏する限り、水、甘味料、香料、色素、タンパク質、無脂乳固形分、乳化剤、酸化防止剤等より選択された添加材料を、所定の割合で混合させ溶融したものが用いることができる。
【0020】
中でも甘味料としては、サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、ステビア抽出物に含まれるステビオサイドなどの高甘味度甘味料等を挙げることができる。
【0021】
また、香料や色素は公知のアイスクリーム生地に添加されるものが選択されて用いられる。その他、カルシウム等のミネラル分やビタミン、カテキン、プロテイン類などの栄養強化に用いられるような食品素材を適宜添加することができる。
【0022】
本発明のアイスキャンデーは、前述の他は、常法に従い製造することができる。例えば、前述のでんぷん、安定剤、必要に応じ水溶性ヘミセルロースの原料を加熱攪拌溶解(例えば、70〜90℃、5〜15分間)した後、1〜6℃程度まで冷却し、そのまま保温して一昼夜エージングを行い、必要に応じて香料及び色素を添加し、これを氷管等に充填し、凍結(−25〜−35℃程度)したのち、氷管からアイスキャンデーを取り出し、ドライアイス(−78.5℃程度)や液体窒素(−200℃付近温度)等で急速凍結した後、必要に応じて袋詰めにして、アイスキャンデーを製造することができるが、本方法に限定されない。また、乳成分や蛋白成分を含むアイスキャンデーを調製する場合は、加熱攪拌溶解後、予備乳化し、次いで均質化(乳化)する工程を加えても良い。
【0023】
本発明により得られたアイスキャンデーは、室温で一定時間放置しても冷菓の形状を保っており、ヒートショック耐性に優れているのみならず、アイスキャンデーの劣化の原因とされる糖質の表面への浸みだし(なき)が防止され、アイスキャンデー中に均一に糖質を分散することができるので、アイスキャンデー全体に均一な甘味を付与することができ、アイスキャンデーの劣化を有意に抑制することができるようになった。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。 尚、本発明において特に記載しない限り、%とは重量%、部とは重量部、文中*印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製を意味するものとする。
【0025】
実施例1:グレープアイスキャンデーの調製
香料、色素を除く下記処方例の原料を80℃10分間加熱攪拌溶解した後、5℃まで冷却し、そのまま保温して一昼夜エージングを行った。その後、得られたアイスキャンデーミックスに香料及び色素を添加し、これを氷管に充填し、凍結(−28℃)したのち、氷管からアイスキャンデーを取り出し、更にドライアイスで急速凍結(−78.5℃)し、グレープアイスキャンデーを調製した。出来上がったアイスキャンデーを袋詰めにして、−18℃の冷凍庫に保管し、冷凍庫を開放し庫内の温度が−10〜−5℃を1分間保持したら閉めるという操作を1日10回行い、これを1ヶ月間続けたが、1ヶ月後の状態は、なきの現象はみられず、袋からアイスキャンデーを取り出すのも容易で、食してもなめらかな食感であった。
【0026】
【0027】
実施例2:オレンジアイスキャンデーの調製
香料、色素を除く下記処方例の原料を80℃10分間加熱攪拌溶解した後、5℃まで冷却し、そのまま保温して一昼夜エージングを行った。その後、得られたアイスキャンデーミックスに香料及び色素を添加し、これを氷管に充填し、凍結(−28℃)したのち、氷管からアイスキャンデーを取り出し、更にドライアイスで急速凍結(−78.5℃)し、オレンジアイスキャンデーを調製した。出来上がったアイスキャンデーを袋詰めにして、−18℃の冷凍庫に保管し、冷凍庫を開放し庫内の温度が−10〜−5℃を1分間保持したら閉めるという操作を1日10回行い、これを1ヶ月間続けたが、1ヶ月後の状態は、なきの現象はみられず、袋からアイスキャンデーを取り出すのも容易で、食してもなめらかな食感であった。
【0028】
【0029】
実施例3:ミルクアイスキャンデーの調製
下記の処方のうち、香料を除く原料を混合、80℃10分間予備乳化し、次いで均質化(乳化条件 1.47×107Pa)後、5℃に冷却して、そのまま保温して一昼夜エージングを行った。香料を添加後得られたアイスキャンデーミックスを氷管に充填し、凍結(−28℃)したのち、氷管からアイスキャンデーを取り出し、更にドライアイスで急速凍結(−78.5℃)し、ミルクアイスキャンデーを調製した。
【0030】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒートショックや保存中の温度変化によるアイスキャンデー中の糖質の表面への浸みだし、いわゆる、「なき」が防止されたアイスキャンデーに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、アイスクリーム、シャーベットなどの冷菓は氷結晶が育ちにくく水分移行が起こりにくい−18℃以下での保存・流通が望ましい。しかし、保管する冷凍庫の開閉により冷凍庫内の温度が、冷凍庫の温度とされる−18℃以下の温度より10度以上も上昇する場合がある。かかる温度変化(ヒートショック)が起こると、食感が変わりなめらかさを失う場合がある。特に、アイスキャンデーにおいては、保存中のヒートショックや長期間にわたる冷凍保存等により成分中の糖質が表面にしみ出す、いわゆる「なき」という現象が起こり、かかるアイスキャンデーを袋詰めにした場合、袋から取り出すとき袋に冷菓がくっついて取り出しにくくなるなどの状態となることがあり、商品価値が劣る場合がある。また、冷凍による保存中に糖質が表面に浸み出すため、アイスキャンデー中に糖質を均一に分散することができず、アイスキャンデーの中心部に甘味がなくなる部分が生じる等の問題が生じている。このような冷凍保存中の劣化が問題となっている。
【0003】
更に、冷菓製品を室温で一定時間放置することによっても、冷菓製品の劣化が起こり、一旦溶けた冷菓製品を再び冷凍しても元の冷菓製品に戻らず、商品価値がなくなるといった現象が起こることもある。このため、冷菓は−18℃以下で保存・流通されるのが理想であるが、冷菓製品の流通・運搬時、−18℃を保持することが出来ない場合があり、更に、家庭での保存の際も、冷凍庫の開閉による温度変化にも耐え得る(ヒートショック耐性に優れた)冷菓が求められている。
【0004】
これらを解決するための方法として、安定剤の添加が広く検討されている。その安定剤の例として、ローカストビーンガム、タマリンド種子多糖類、トラガントガム、タラガム、カラヤガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギナン、寒天、ゼラチン、ペクチン、カードラン、グルコマンナン、アルギン酸等の増粘安定剤から単独或いは適宜組み合わせることがなされている。
【0005】
例えば、特公昭44−10149号公報には、キサントモナスガム(キサンタンガム)のアイスクリーム等への使用が、特開昭52−114054号公報には少量のキサンタンガムと多量のグアーガムが配合されたアイスクリーム用安定剤が、特公昭57−37306号公報には、キサントモナスガムとローカストビーンガムとからなる冷菓用安定剤が開示されている。これら従来の配合では、ヒートショック耐性に優れ、なおかつ、なきを十分に防止したアイスキャンデーを製造することが出来なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、アイスキャンデーのヒートショック耐性に優れ、なおかつ、なきが防止された冷菓を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、冷菓に含有させる安定剤に特に注目して鋭意研究を重ねていたところ、でんぷんを含有することにより、アイスキャンデー中の糖質の表面への浸みだし防止効果が著しく向上することを発見した。また、でんぷんを一定の割合で含有することより、更にヒートショック耐性の効果が向上することが判った。更に、アイスキャンデーに使用する糖質が単糖の場合に、特になき防止効果が顕著に発揮されることがわかった。加えて水溶性ヘミセルロースを含有することにより、できあがったアイスキャンデーのフレーバーリリースが良好となることを発見した。
【0008】
すなわち本発明は、以下の態様を有するアイスキャンデーに関する。
項1.でんぷん及び安定剤を含有することを特徴とする糖質の表面への浸みだしが防止されたアイスキャンデー。
項2.でんぷんの含有量がアイスキャンデー100重量部中0.1〜20重量部である項1記載のアイスキャンデー。
項3.含まれる糖質が単糖である項1又は2に記載のアイスキャンデー。
項4.更に、水溶性ヘミセルロースを含有する項1乃至3のいずれかに記載のアイスキャンデー。
項5.でんぷん及び安定剤を含有することを特徴とするアイスキャンデー中の糖質の表面への浸みだしを防止する方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のアイスキャンデーはでんぷん及び安定剤を含有することを特徴とする本発明により冷菓のヒートショック耐性を著しく向上させることができ、冷凍保存中の糖質の表面への浸みだし、いわゆる「なき」が防止されたアイスキャンデーとすることができる。
【0010】
本発明において使用するでんぷんは、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ等のトウモロコシ由来のでんぷん;タピオカでんぷん;サツマイモ由来のでんぷん、ジャガイモ由来のでんぷん、サゴヤシ由来のでんぷん等やそれらの加工澱粉があげられる。中でも、ワキシーコーンスターチやタピオカでんぷんを添加するのが好ましい。これらでんぷんは、商業的に入手することができ、例えば、ワキシーコーンスターチとして三和澱粉工業株式会社製のワキシースターチW、タピオカでんぷんとして日本NSC株式会社製のナショナル7を挙げることができる。
【0011】
本発明ででんぷんと併用する安定剤は、ローカストビーンガム、タマリンド種子多糖類、トラガントガム、タラガム、カラヤガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギナン、寒天、ゼラチン、ペクチン、カードラン、グルコマンナン、アルギン酸(アルギン酸、アルギン酸塩)及びグアーガムが挙げられ、これらから単独或いは適宜組み合わせて用いる。中でも、ローカストビーンガム、タマリンド種子多糖類、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、カラギナン、ジェランガム、ペクチン及びトラガントガム単独あるいは組み合わせて用いることが好ましく、更には、ローカストビーンガム及びタマリンド種子多糖類が配合された安定剤を用いるのが好ましい。本発明の安定剤も商業的に入手することができ、例えば、ローカストビーンガム及びタマリンド種子多糖類を含む安定剤として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のサンベストNN−495、サンベストNN−392等を挙げることができる。
【0012】
でんぷんの添加量は、製造するアイスキャンデーやでんぷんの種類によって、適宜調整することができるが、冷菓100重量部中0.1〜20重量部を挙げることができる。特に、ワキシーコーンスターチやタピオカでんぷんを用いる場合には、0.3〜10重量部、更に好ましくは、0.5〜5.0重量部を例示することができる。この量よりも少ないと、ヒートショック耐性やなきを防止する効果が十分でなく、これよりも量が多いと、アイスキャンデーの味に影響を及ぼしたり、粘度が付与されて製造が困難になったりするからである。
【0013】
安定剤の添加量も、製造するアイスキャンデーやでんぷんの種類によって、適宜調整することができるが、冷菓100重量部中0.01〜5.0重量部、より好ましくは、0.1〜1.0重量部、更に好ましくは、0.2〜0.5重量部を例示することができる。
【0014】
また、本発明では上記に加えて、更に水溶性ヘミセルロースを併用添加することができる。水溶性ヘミセルロースとは、水溶性の大豆由来のヘミセルロースをいう。本発明における水溶性ヘミセルロースは豆類由来、特に大豆、中でも子葉由来のものが好ましい。水溶性ヘミセルロースは、その分子量がどの様な値のものでも使用可能であるが、好ましくは平均分子量が数万〜数百万、具体的には5万〜100万であるのが好ましい。なお、この水溶性ヘミセルロースの平均分子量は標準プルラン(昭和電工(株)販)を標準物質として0.1MのNaNO3溶液中の粘度を測定する極限粘度法で求めた値である。水溶性ヘミセルロースは、ヘミセルロースを含む原料から水抽出や場合によっては、酸、アルカリ条件下で加熱溶出させるか、酵素による分解抽出させることができる。水溶性ヘミセルロースの製造法の一例を示すと以下のようである。油糧種子、例えば大豆、パーム、ヤシ、コーン、綿実など通常油脂や蛋白質を除いた殻、あるいは穀類、例えば米、小麦など通常澱粉等を除いた粕等の植物を原料とすることができる。原料が大豆であれば、豆腐や豆乳、分離大豆蛋白を製造するときに副生するオカラを利用することができる。これらの原料を酸性乃至アルカリ性の条件下、好ましくは各々の蛋白質の等電点付近のpHで好ましくは130℃以下80℃以上、より好ましくは130℃以下100℃以上にて加熱分解し、水溶性画分を分画した後、そのまま乾燥するか、例えば活性炭処理或いは樹脂吸着処理或いはエタノール沈殿処理して疎水性物質あるいは低分子物質を除去し乾燥することによって、水溶性ヘミセルロースを得ることができる。
【0015】
本発明では水溶性ヘミセルロースを併用添加することにより、アイスキャンデー中の香料や香味物質のフレーバーリリースが向上し、風味が向上したアイスキャンデーとすることができる。水溶性ヘミセルロースの添加量は、アイスキャンデー100重量部に対して、0.1〜10重量部を例示することができる。なお、水溶性ヘミセルロースも商業的に入手することができ、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のSM−700等が挙げられる。
【0016】
なお、アイスキャンデー中の糖質の表面への浸みだし(なき)は、使用する糖質の種類にかかわらず起こることが問題となっているが、果糖などの単糖を用いた場合に顕著に起こる。その一方で、砂糖不使用の要望により、果実由来の自然な甘みを有する果糖などを用いることが好まれる傾向にあり、アイスキャンデーにも試みられていたが、果糖のなきが問題となっていた。しかし、本発明により、果糖などの単糖を用いてアイスキャンデーを製造しても、製造時及び保存中のなきが見られず、良好なアイスキャンデーを製造できるようになった。
【0017】
なお、本発明で、なきが防止される糖質としては、前記単糖のほか、ショ糖、異性化糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、転化糖、水飴、粉末水飴、還元麦芽水飴、蜂蜜、トレハロース、パラチノース、D−キシロース等の糖や、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール類が挙げられる。
【0018】
本発明のアイスキャンデーは、目的とする製品により、種々の構成をとることができ、例えば、アイスクリーム(アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス)、シャーベット、みぞれ、かき氷等のウォーターアイス(氷菓)、フローズンヨーグルト等をバータイプのアイスキャンデーとしたものがあげられる。
【0019】
本発明のアイスキャンデーは、前述の事項以外は、通常のアイスキャンデーと同様の構成をとることができる。すなわち、必要に応じて、前述の添加物以外にも、本発明の効果を奏する限り、水、甘味料、香料、色素、タンパク質、無脂乳固形分、乳化剤、酸化防止剤等より選択された添加材料を、所定の割合で混合させ溶融したものが用いることができる。
【0020】
中でも甘味料としては、サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、ステビア抽出物に含まれるステビオサイドなどの高甘味度甘味料等を挙げることができる。
【0021】
また、香料や色素は公知のアイスクリーム生地に添加されるものが選択されて用いられる。その他、カルシウム等のミネラル分やビタミン、カテキン、プロテイン類などの栄養強化に用いられるような食品素材を適宜添加することができる。
【0022】
本発明のアイスキャンデーは、前述の他は、常法に従い製造することができる。例えば、前述のでんぷん、安定剤、必要に応じ水溶性ヘミセルロースの原料を加熱攪拌溶解(例えば、70〜90℃、5〜15分間)した後、1〜6℃程度まで冷却し、そのまま保温して一昼夜エージングを行い、必要に応じて香料及び色素を添加し、これを氷管等に充填し、凍結(−25〜−35℃程度)したのち、氷管からアイスキャンデーを取り出し、ドライアイス(−78.5℃程度)や液体窒素(−200℃付近温度)等で急速凍結した後、必要に応じて袋詰めにして、アイスキャンデーを製造することができるが、本方法に限定されない。また、乳成分や蛋白成分を含むアイスキャンデーを調製する場合は、加熱攪拌溶解後、予備乳化し、次いで均質化(乳化)する工程を加えても良い。
【0023】
本発明により得られたアイスキャンデーは、室温で一定時間放置しても冷菓の形状を保っており、ヒートショック耐性に優れているのみならず、アイスキャンデーの劣化の原因とされる糖質の表面への浸みだし(なき)が防止され、アイスキャンデー中に均一に糖質を分散することができるので、アイスキャンデー全体に均一な甘味を付与することができ、アイスキャンデーの劣化を有意に抑制することができるようになった。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。 尚、本発明において特に記載しない限り、%とは重量%、部とは重量部、文中*印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製を意味するものとする。
【0025】
実施例1:グレープアイスキャンデーの調製
香料、色素を除く下記処方例の原料を80℃10分間加熱攪拌溶解した後、5℃まで冷却し、そのまま保温して一昼夜エージングを行った。その後、得られたアイスキャンデーミックスに香料及び色素を添加し、これを氷管に充填し、凍結(−28℃)したのち、氷管からアイスキャンデーを取り出し、更にドライアイスで急速凍結(−78.5℃)し、グレープアイスキャンデーを調製した。出来上がったアイスキャンデーを袋詰めにして、−18℃の冷凍庫に保管し、冷凍庫を開放し庫内の温度が−10〜−5℃を1分間保持したら閉めるという操作を1日10回行い、これを1ヶ月間続けたが、1ヶ月後の状態は、なきの現象はみられず、袋からアイスキャンデーを取り出すのも容易で、食してもなめらかな食感であった。
【0026】
【0027】
実施例2:オレンジアイスキャンデーの調製
香料、色素を除く下記処方例の原料を80℃10分間加熱攪拌溶解した後、5℃まで冷却し、そのまま保温して一昼夜エージングを行った。その後、得られたアイスキャンデーミックスに香料及び色素を添加し、これを氷管に充填し、凍結(−28℃)したのち、氷管からアイスキャンデーを取り出し、更にドライアイスで急速凍結(−78.5℃)し、オレンジアイスキャンデーを調製した。出来上がったアイスキャンデーを袋詰めにして、−18℃の冷凍庫に保管し、冷凍庫を開放し庫内の温度が−10〜−5℃を1分間保持したら閉めるという操作を1日10回行い、これを1ヶ月間続けたが、1ヶ月後の状態は、なきの現象はみられず、袋からアイスキャンデーを取り出すのも容易で、食してもなめらかな食感であった。
【0028】
【0029】
実施例3:ミルクアイスキャンデーの調製
下記の処方のうち、香料を除く原料を混合、80℃10分間予備乳化し、次いで均質化(乳化条件 1.47×107Pa)後、5℃に冷却して、そのまま保温して一昼夜エージングを行った。香料を添加後得られたアイスキャンデーミックスを氷管に充填し、凍結(−28℃)したのち、氷管からアイスキャンデーを取り出し、更にドライアイスで急速凍結(−78.5℃)し、ミルクアイスキャンデーを調製した。
【0030】
Claims (5)
- でんぷん及び安定剤を含有することを特徴とする糖質の表面への浸みだしが防止されたアイスキャンデー。
- でんぷんの含有量がアイスキャンデー100重量部中0.1〜20重量部である請求項1記載のアイスキャンデー。
- 含まれる糖質が単糖である請求項1又は2に記載のアイスキャンデー。
- 更に、水溶性ヘミセルロースを含有する請求項1乃至3のいずれかに記載のアイスキャンデー。
- でんぷん及び安定剤を含有することを特徴とするアイスキャンデー中の糖質の表面への浸みだしを防止する方法。
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