JP3630102B2 - 複合電流供給装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は複合電流供給装置に関し、例えば複合電流で駆動される複数のロータを有する複合型回転電機に複合電流を供給する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複合型回転電機としては、例えば特開平11−275826号公報に記載された装置がある。この回転電機は、中空円筒状のステータの内側と外側に所定のギャップをおいて中空円筒状の外側ロータと内側ロータとが配置された構造になっている。そして外側ロータ軸と内側ロータ軸は同一軸上に並ぶように配置され、外側ロータと内側ロータは同軸上でそれぞれ独立に回転出来るようになっている。そして上記ステータに設けたコイルに流す複合電流を前記ロータの数と同数の回転磁場が発生するように制御することにより、2個のロータを独立に制御することが出来る。なお、上記の説明では、ロータが2個の場合を例示したが3個以上でもよい。
上記のような複合型回転電機を駆動する場合には、各ロータの回転位相角に同期した電流を複合した複合電流をステータコイルに供給する複合電流供給装置が必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の複合電流供給装置においては、上記のごとき複合電流をインバータから供給するようになっていた。そのためインバータ入出力特性の非線形性(電流に対してデッドバンド)に起因する低次調波が現れてしまう。そして複合型回転電機のステータコイルは殆どインダクタンス負荷であり、低周波についてはインダクタンスのインピーダンスが大幅に低下するので、微少な電圧でも大きな電流が通電されてしまい、その結果としてモータの発生トルクに脈動が生じてしまうという問題があった。さらに不要周波数の検出、電圧指令値の演算負荷は重いため、通常モータよりも演算負荷の重い制御JOBにアドオンする事が非常に難しい、と言う問題もあった。
【0004】
本発明は、上記のごとき従来技術の問題を解決するためになされたものであり、複合電流に含まれる不要周波数成分を除去することの出来る複合電流供給装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明においては特許請求の範囲に記載するように構成している。すなわち、請求項1に記載の発明においては、複合電流で駆動される複合型回転電機における複数のロータの回転周波数にそれぞれ同期した電流成分を複合した複合電流を、インバータを用いて供給する複合電流供給装置において、複数のロータの回転周波数に同期した電流成分の和を実現するための基本複合電圧信号の他に、(数1)式で示される不要周波数成分F1、F2を相殺させる電圧信号を少なくとも一つ以上重畳させることにより、不要周波数成分を除去するように構成している。
【0006】
また、請求項2においては、(数1)式で示される不要周波数成分のうち、複合電流で駆動される複合型回転電機における複数のロータの回転周波数の何れよりも低い周波数を選択し、それを相殺させる電圧信号を前記基本複合電圧信号に重畳するように構成したものである。
【0007】
また、請求項3においては、不要周波数成分を検出して除去する構成の内容に関するものであり、インバータから複合型回転電機に供給される複合電流を検出する複合電流検出手段と、前記複合電流検出手段により検出された電流から、前記(数1)式で示される不要周波数成分の電流振幅と電流位相角を検出して不要周波数成分の電流を検出する不要周波数成分検出手段と、前記不要周波数成分検出手段で検出した不要周波数成分をゼロにするような電圧信号を生成する電圧生成手段とを備え、前記電圧生成手段で生成した電圧信号を前記基本複合電圧信号に重畳するように構成している。
【0008】
また、請求項4から請求項7は、請求項3の具体例であり、請求項4は、前記不要周波数成分検出手段における不要周波数成分の電流振幅および電流位相角の検出は、前記複合電流検出手段によって検出された電流に基づいて(数2)式、(数3)式の演算を前記(数1)式で示される周波数成分について実行し、(数2)式または(数3)式のいずれか一方の平均値がゼロとなるように不要周波数成分の電流位相角をフィーバックすることにより、不要周波数成分の電流振幅および電流位相角を求めるものであり、この不要周波数成分の値をゼロにするような電圧信号を生成し、それを前記基本複合電圧信号に重畳する構成であり、請求項5は、前記不要周波数成分検出手段における不要周波数成分の電流振幅および電流位相角の検出は、前記複合電流検出手段により検出された電流からバンドパスフィルタを用いて前記(数1)式で示される周波数成分を検出するものであり、この不要周波数成分の値をゼロにするような電圧信号を生成し、それを前記基本複合電圧信号に重畳する構成であり、請求項6は、前記複合電流検出手段により検出された複合電流を、検波手段を用いて正側および負側に分離し、前記複合電流の正側および負側の振幅を演算し、これらの差分をゼロにするような電圧信号を生成し、それを前記基本複合電圧信号に重畳する構成であり、請求項7は、前記複合電流検出手段により検出された複合電流の極性を判定し、電流の極性が正値の場合は正の所定値を加算分とし、負値の場合は負の所定値を加算分とし、電流が0の場合は加算分を0とする電圧信号を生成し、それを前記基本複合電圧信号に重畳する構成である。
【0009】
また、請求項8は、前記不要周波数成分の検出演算と、それに基づく電圧信号の生成演算と、前記基本複合電圧信号の演算とにおける演算周期を、相互に異なる周期としたものである。
また、請求項9は、前記不要周波数成分の検出演算およびそれに基づく電圧信号の生成演算の演算周期を前記基本複合電圧信号の演算における演算周期よりも低速にしたものである。
【0010】
【発明の効果】
請求項1の発明においては、不要周波数成分を相殺する電圧信号を加算するだけで、キャリア周波数を上げたり、主回路の変更を行うことなく、不要周波数成分を除去することができる。
請求項2においては、インダクタンス特性のために特に複合型回転電機の動作に悪影響を及ぼす低周波数成分を除去できる。そして従来のように低周波数のみのために駆動電圧を大きく上げるという必要がなくなる。
請求項3〜請求項7においては、不要周波数成分を容易に検出し、これを除去することが出来る。
また、請求項8においては、基本複合電圧信号の演算部の演算負荷を増加させないようにすることが出来る。
また、請求項9においては、不要周波数成分の検出演算およびそれに基づく電圧信号の生成演算の演算周期を基本複合電圧信号の演算における演算周期よりも低速にすることにより、演算の負荷の増加が少ないので、従来のJOBおよびCPUでも問題なく処理できる、等の効果が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の第1の実施例を示すブロック図である。なお、以下の説明は、全てロータが2個の複合型回転電機を用いた場合を例として説明するが、3個以上でも同様に適用することが出来る。
まず構成を説明すると、コントローラ1は後述する各種信号を入力してインバータ2の各相を開閉制御する制御信号a〜f(6相の場合)を出力する。ゲート駆動回路5は上記の制御信号a〜fからそれぞれ正相信号(a、b、…、f)とその反転信号(a’、b’、…、f’)を生成して出力する。
【0012】
インバータ2は、直流電源11、直流リンクコンデンサ12、直流電圧検出手段13および各相にそれぞれ2個のスイッチング回路14から構成される。各スイッチング回路はトランジスタとダイオードの並列回路で構成される。各相において、2個のスイッチング回路が直列に接続され、一方のゲート端子にはゲート駆動回路5の正相信号(a、b、…、f)が与えられ、他方のゲート端子には反転信号(a’、b’、…、f’)が与えられる。したがって2個のスイッチング回路の一方がオンのときは他方はオフになり、直流電源11の+側に近いスイッチング回路がオンになった相に電流が流れることになる。なお、図1においては一例として6相のインバータを示している。また、直流電圧検出手段13は直流電源11の端子電圧を検出し、それをコントローラ1へ送る。
【0013】
複合型回転電機3は、外側ロータ15、ステータ16、内側ロータ17を備えている。ステータ16には外側ロータ15と内側ロータ17のそれぞれの磁極に対応するコイルが設けられており、インバータ2から各ロータの回転周波数に同期した電流成分を複合した複合電流を流すことにより、各ロータを独立に制御することが出来る。なお、図1においてはステータ16が外側ロータ15と内側ロータ17の中間に位置する構造を例示したが、ステータ16が最外側もしくは最内側にあってもよい。また、ロータが2個の場合を例示したが、3個以上であってもよい。要するに複合型回転電機3としては、複数のロータの回転周波数にそれぞれ同期した電流成分を複合した複合電流を用いて駆動する形式の回転電機であればよい。
【0014】
複合電流検出手段4は、通常の電流検出器が各相毎に設けられた構成を有し、インバータ2から複合型回転電機3へ流れる電流(複合電流)を各相毎に検出し、それをコントローラ1へ送る。
【0015】
外側ロータ位相角検出手段6と内側ロータ位相角検出手段7は、外側ロータ15と内側ロータ17の位相角(回転角)を検出し、それをコントローラ1へ送る。外側ロータ位相角検出手段6と内側ロータ位相角検出手段7としては、例えば各ロータの所定角度毎に設けられたスリットや磁極と、固定位置に設けられた検出器とからなる、いわゆるエンコーダを用いることが出来る。
【0016】
以下、コントローラ1について詳細に説明する。
図1に示したコントローラ1は、例えばコンピュータで構成され、目標複合電圧発生部20、不要周波数演算部21、低次調波発生部22、低次調波電圧指令パターン部23、電圧重畳部24、三角波発生部25、制御信号発生部26からなる。
目標複合電圧発生部20は従来の装置と同様であり、外部からの電圧指令信号、直流電圧検出手段13からの直流電源11の端子電圧信号、複合電流検出手段4からの各相の電流信号、および外側ロータ位相角検出手段6と内側ロータ位相角検出手段7からの各ロータの位相角信号を入力し、複合型回転電機3を駆動する複合電流を供給するための目標複合電圧を各相毎に発生する。従来は上記の目標複合電圧と三角波発生部25からの三角波信号(キャリア信号)とを制御信号発生部26で比較することにより、各相の制御信号a〜fを生成している。
【0017】
不要周波数演算部21(詳細後述)は、複合電流検出手段4からの各相の電流信号、および外側ロータ位相角検出手段6と内側ロータ位相角検出手段7からの各ロータの位相角信号を入力し、各相毎に不要周波数の電流位相角と電流振幅を求める。なお、通常は不要周波数成分のうち、ロータ回転周波数よりも低い低次調波成分のみを求めればよい。
低次調波発生部22は、不要周波数演算部21から送られた電流位相角と電流振幅に対応する不要周波数成分を合算(不要周波数成分が複数存在する場合)して除去すべき電流成分信号を発生する。
【0018】
なお、不要周波数成分のうち、ロータ回転周波数よりも高い高次調波成分については、ステータコイルのインピーダンスが大きくなるので、殆ど電流が流れず、影響が小さい。しかし、ロータ回転周波数よりも低い低次調波成分については、ステータコイルのインピーダンスが小さくなるので、大きな電流が流れ、影響が大きくなる。例えば外側ロータ16の回転周波数が50Hzで、内側ロータの回転周波数が45Hzの場合には、5Hzの低次調波が発生する。したがって、この場合には低次調波のみを合算すればよい。つまり、不要周波数成分のうち、複合電流で駆動される複合型回転電機における複数のロータの回転周波数の何れよりも低い周波数を選択すればよい。
【0019】
低次調波電圧指令パターン部23は、上記の低次調波電流を相殺させる電圧信号を生成する。つまり、上記の低次調波電流の逆の電流を流す電圧を生成すればよい。
電圧重畳部24では、前記目標複合電圧発生部20から与えられる基本の目標複合電圧に上記低次調波電圧指令パターン部23から与えられる低次調波電流を相殺させる電圧信号を重畳して全体の電圧信号を生成する。
【0020】
三角波発生部25は、電圧信号をPWM信号(パルス幅変調信号)に変換するためのキャリア信号となる三角波信号を出力する。
制御信号発生部26は、比較器であり、電圧重畳部24からの電圧信号と三角波発生部25からの三角波信号とを比較することにより、PWM信号を出力する。なお、上記の各種演算は、全て各相(図1では6相)毎に行われ、制御信号発生部26からは6相のPWM信号(a〜f)が出力される。
【0021】
次に、不要周波数演算部21の詳細について説明する。
複合電圧パターンによる不要周波数の周波数スペクトルは予め予想できる。つまり、外側ロータ15と内側ロータ17におけるそれぞれの周波数をf1、f2とすれば、不要周波数F1、F2は下記(数4)式で示される。
ただし、m、n、p、qは正数
fcはキャリア周波数。
【0022】
なお、上記(数4)式は、ロータ数が2個の場合を示すが、一般にロータ数がk個(k≧2)の場合には、下記(数1)式に示すようになる。
ただし、m、n、r、p、q、sは正数
fcはキャリア周波数。
【0023】
以下、(数4)式に示したロータ数が2個の場合について説明する。
前記のように不要周波数が高次調波の場合には影響が小さいので、影響が大きい低次調波のみを選択する。すなわち、(数4)式の組み合わせの中でf1、f2より小さな成分に着目して周波数を選ぶことが可能である。この演算のフローチャートを図3に示す。
【0024】
図3において、iとjを変数とすれば、ステップS1では、順次iをインクリメントする。ステップS2では、iの値が予め定めた数maxI以上か否かを判断し、maxIに達した場合には終了とする。ステップS2でNOの場合には、ステップS3で、順次jをインクリメントする。ステップS4では、jの値が予め定めた数maxJ以上か否かを判断し、maxJに達しない場合にはステップS1に戻る。これにより、ステップS5とS6の演算を、i=0〜maxI、j=0〜maxJの範囲で行わせる。ステップS5では、前記(数4)式と同様の演算を行って不要周波数を検出し、ステップS6では、検出された不要周波数F1、F2のうちで、f1、f2以下の周波数が存在した場合に、それを不要周波数の低次調波として保存する。
【0025】
次に、下記(数2)式、(数3)式の演算を行う。
ただし、fn=|f1−f2|
φnは位相角
tは時間
上記の演算は、前記の保存した不要周波数の低次調波に、外側ロータ位相角検出手段6と内側ロータ位相角検出手段7からの各ロータの位相角をそれぞれ加算してサイン/コサインの信号を生成し、次にこれら二つのサイン/コサイン信号と複合電流検出手段4からの複合電流検出値(各相毎に行う)を乗じて積分することによって行うことが出来る。
【0026】
上記の複合電流検出手段4で検出された複合電流に低次調波成分としてfnが混入していれば(数2)式および(数3)式の平均値は有限な値を持つ。このときfn以外の周波数成分を有する電流については(数2)式および(数3)式共にゼロとなる。たとえば複合電流の内fnの成分をIとして
I=Ia×sin(2πfnt+ψn) …(数5)
とすれば、前記(数2)式、(数3)式は下記(数6)式、(数7)式となる。
【0027】
Ia=(T/2)×cos(φn−ψn) …(数6)
Ia=(T/2)×sin(ψn−φn) …(数7)
ただし、T=1/fn
φn=位相角
ψn=実位相角
上記(数7)式の値がゼロになるようにφnをフィードバックすれば必然的にφnが実位相角ψnに一致し、このとき電流振幅は(数6)式から逆算すれば決定できる。
以上の手法を用いることで、一つの低次調波成分の位相角と振幅を求めることができる。前記の不要周波数の低次調波が複数存在する場合には、それぞれについて演算する。
【0028】
次に、低次調波発生部22では、上記の求められた低次調波成分を合算し、下記(数8)式で示すような補償すべき電流Icを決定する。
Ic=ΣI×sin(2πfnt+ψn) …(数8)
次に、低次調波電圧指令パターン部23は、上記の補償すべき電流Ic(低次調波電流)をゼロにする電圧信号を生成する。つまり、上記の電流Icの逆の電流を流す電圧を生成すればよい。
【0029】
図2は、上記のごとき不要周波数演算部21の機能を模式的に示したブロック図である。
図2において、低次調波周波数検出部40は、外側ロータ位相角検出手段6と内側ロータ位相角検出手段7からの各ロータの位相角を入力し、前記図3で示した不要周波数の低次調波成分を検出する。その信号と積分器45、46からの積分出力を加算器41で加算した信号がサイン/コサイン発生部42へ送られ、サイン/コサインの信号を生成する。次に、乗算器43、44で、これら二つのサイン/コサイン信号と複合電流検出手段4からの複合電流検出値とを乗算(各相毎に行う)し、それぞれの値を積分器(平均化回路を含む)45、46で一定期間積分し平均化する。この45、46の出力は減算器47でゼロとの差を求め、バッファ48を介して加算器41へ送られてフィードバックされる。これによって、一方の積分器の積分結果の平均値がゼロになるように操作し、ゼロになったときのその積分器の出力が位相角になり、そのときの他方の積分器の出力が電流振幅になる。
【0030】
次に、図4は、本発明の第2の実施例のブロック図である。
この実施例は、不要周波数の演算を図1における不要周波数演算部21の代わりにバンドパスフィルタ27で構成したものであり、その他、図1と同符号は同じものを示す。
図4において、バンドパスフィルタ27はカットオフ周波数の異なる複数のバンドパスフィルタBPF1〜BPF5で構成され、複合電流検出手段4からの電流信号をそれぞれ分解する。これらのBPF1〜BPF5の通過帯域を複数のロータの回転周波数の何れよりも低い周波数で、それぞれ異なる範囲に設定しておけば、不要周波数の低次調波成分を検出することが出来る。なお、この処理は複合電流検出手段4からの電流信号の各相毎に行う。以下の処理は図1と同様である。
【0031】
次に、図5は、本発明の第3の実施例のブロック図である。
この実施例は、不要周波数の除去を電流正側検波部28、電流負側検波部29、および振幅差検出部30で行うように構成したものである。
電流正側検波部28は、複合電流検出手段4からの電流信号の正(+)成分を検出し、電流負側検波部29は、複合電流検出手段4からの電流信号の負(−)成分を検出する。そして振幅差検出部30は両者の振幅の差を検出する。なお、上記の処理は各相毎に行う。前記のように複合型回転電機3の動作に大きな影響を与える電流成分は、低次調波であり、ゆっくりした変化の波形である。したがって正側成分と負側成分との振幅差がゼロになるように制御してやれば、不要周波数成分を無くすことが出来る。
【0032】
次に、図6は、本発明の第4の実施例のブロック図である。
この実施例は、不要周波数の除去を電流極性判定部31と所定値加算部32で行うように構成したものである。
図6において、電流極性判定部31は、複合電流検出手段4からの電流信号の各時点における極性を判定する。なお、上記の処理は各相毎に行う。所定値加算部32は上記の極性が正(+)のときは+a(aは所定値であり、例えば電流値の10%)を加算分とし、上記の極性が負(−)のときは−aを加算分として電圧重畳部24へ送り、上記以外の時、すなわち電流が0の場合には加算分を0とする。このような加算を行うことにより、不要周波数成分の除去を行うことが出来る。
【0033】
なお、これまでの説明では、不要周波数成分のうち複合型回転電機に大きな影響を与える低次調波成分の除去について説明してきたが、高次調波を除去するように構成することも出来る。さらに、同様な方法で、高次高調波電圧を重畳することで、モータに発生する高次の空間高調波(L、φ)に同期して電流を通電することが可能となるので、電源効率をさらに向上させることもできる。
【0034】
また、不要周波数成分の検出演算と、それに基づく電圧信号の生成演算と、基本複合電圧信号の演算とにおける演算周期を、相互に異なる周期とすることにより、基本複合電圧信号の演算部の演算負荷を増加させないようにすることが出来る。
【0035】
また、低次調波成分の除去演算は、周波数が低いので演算周期を長くしても悪影響が生じない。したがって不要周波数成分の検出演算およびそれに基づく電圧信号の生成演算の演算周期を基本複合電圧信号の演算における演算周期よりも低速にすることにより、演算の負荷の増加が少ないので、従来のJOBおよびCPUでも問題なく処理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のブロック図。
【図2】第1の実施例における不要周波数成分検出を模式的に示したブロック図。
【図3】第1の実施例における不要周波数成分検出処理のフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施例のブロック図。
【図5】本発明の第3の実施例のブロック図。
【図6】本発明の第4の実施例のブロック図。
【符号の説明】
1…コントローラ 2…インバータ
3…複合型回転電機 4…複合電流検出手段
5…ゲート駆動回路 6…外側ロータ位相角検出手段
7…内側ロータ位相角検出手段 11…直流電源
12…直流リンクコンデンサ 13…直流電圧検出手段
14…スイッチング回路 15…外側ロータ
16…ステータ 17…内側ロータ
20…目標複合電圧発生部 21…不要周波数演算部
22…低次調波発生部 23…低次調波電圧指令パターン部
24…電圧重畳部 25…三角波発生部
26…制御信号発生部 27…バンドパスフィルタ
28…電流正側検波部 29…電流負側検波部
30…振幅差検出部 31…電流極性判定部
32…所定値加算部 40…低次調波周波数検出部
41…加算器 42…サイン/コサイン発生部
43、44…乗算器 45、46…積分器
47…減算器 48…バッファ
【発明の属する技術分野】
この発明は複合電流供給装置に関し、例えば複合電流で駆動される複数のロータを有する複合型回転電機に複合電流を供給する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複合型回転電機としては、例えば特開平11−275826号公報に記載された装置がある。この回転電機は、中空円筒状のステータの内側と外側に所定のギャップをおいて中空円筒状の外側ロータと内側ロータとが配置された構造になっている。そして外側ロータ軸と内側ロータ軸は同一軸上に並ぶように配置され、外側ロータと内側ロータは同軸上でそれぞれ独立に回転出来るようになっている。そして上記ステータに設けたコイルに流す複合電流を前記ロータの数と同数の回転磁場が発生するように制御することにより、2個のロータを独立に制御することが出来る。なお、上記の説明では、ロータが2個の場合を例示したが3個以上でもよい。
上記のような複合型回転電機を駆動する場合には、各ロータの回転位相角に同期した電流を複合した複合電流をステータコイルに供給する複合電流供給装置が必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の複合電流供給装置においては、上記のごとき複合電流をインバータから供給するようになっていた。そのためインバータ入出力特性の非線形性(電流に対してデッドバンド)に起因する低次調波が現れてしまう。そして複合型回転電機のステータコイルは殆どインダクタンス負荷であり、低周波についてはインダクタンスのインピーダンスが大幅に低下するので、微少な電圧でも大きな電流が通電されてしまい、その結果としてモータの発生トルクに脈動が生じてしまうという問題があった。さらに不要周波数の検出、電圧指令値の演算負荷は重いため、通常モータよりも演算負荷の重い制御JOBにアドオンする事が非常に難しい、と言う問題もあった。
【0004】
本発明は、上記のごとき従来技術の問題を解決するためになされたものであり、複合電流に含まれる不要周波数成分を除去することの出来る複合電流供給装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明においては特許請求の範囲に記載するように構成している。すなわち、請求項1に記載の発明においては、複合電流で駆動される複合型回転電機における複数のロータの回転周波数にそれぞれ同期した電流成分を複合した複合電流を、インバータを用いて供給する複合電流供給装置において、複数のロータの回転周波数に同期した電流成分の和を実現するための基本複合電圧信号の他に、(数1)式で示される不要周波数成分F1、F2を相殺させる電圧信号を少なくとも一つ以上重畳させることにより、不要周波数成分を除去するように構成している。
【0006】
また、請求項2においては、(数1)式で示される不要周波数成分のうち、複合電流で駆動される複合型回転電機における複数のロータの回転周波数の何れよりも低い周波数を選択し、それを相殺させる電圧信号を前記基本複合電圧信号に重畳するように構成したものである。
【0007】
また、請求項3においては、不要周波数成分を検出して除去する構成の内容に関するものであり、インバータから複合型回転電機に供給される複合電流を検出する複合電流検出手段と、前記複合電流検出手段により検出された電流から、前記(数1)式で示される不要周波数成分の電流振幅と電流位相角を検出して不要周波数成分の電流を検出する不要周波数成分検出手段と、前記不要周波数成分検出手段で検出した不要周波数成分をゼロにするような電圧信号を生成する電圧生成手段とを備え、前記電圧生成手段で生成した電圧信号を前記基本複合電圧信号に重畳するように構成している。
【0008】
また、請求項4から請求項7は、請求項3の具体例であり、請求項4は、前記不要周波数成分検出手段における不要周波数成分の電流振幅および電流位相角の検出は、前記複合電流検出手段によって検出された電流に基づいて(数2)式、(数3)式の演算を前記(数1)式で示される周波数成分について実行し、(数2)式または(数3)式のいずれか一方の平均値がゼロとなるように不要周波数成分の電流位相角をフィーバックすることにより、不要周波数成分の電流振幅および電流位相角を求めるものであり、この不要周波数成分の値をゼロにするような電圧信号を生成し、それを前記基本複合電圧信号に重畳する構成であり、請求項5は、前記不要周波数成分検出手段における不要周波数成分の電流振幅および電流位相角の検出は、前記複合電流検出手段により検出された電流からバンドパスフィルタを用いて前記(数1)式で示される周波数成分を検出するものであり、この不要周波数成分の値をゼロにするような電圧信号を生成し、それを前記基本複合電圧信号に重畳する構成であり、請求項6は、前記複合電流検出手段により検出された複合電流を、検波手段を用いて正側および負側に分離し、前記複合電流の正側および負側の振幅を演算し、これらの差分をゼロにするような電圧信号を生成し、それを前記基本複合電圧信号に重畳する構成であり、請求項7は、前記複合電流検出手段により検出された複合電流の極性を判定し、電流の極性が正値の場合は正の所定値を加算分とし、負値の場合は負の所定値を加算分とし、電流が0の場合は加算分を0とする電圧信号を生成し、それを前記基本複合電圧信号に重畳する構成である。
【0009】
また、請求項8は、前記不要周波数成分の検出演算と、それに基づく電圧信号の生成演算と、前記基本複合電圧信号の演算とにおける演算周期を、相互に異なる周期としたものである。
また、請求項9は、前記不要周波数成分の検出演算およびそれに基づく電圧信号の生成演算の演算周期を前記基本複合電圧信号の演算における演算周期よりも低速にしたものである。
【0010】
【発明の効果】
請求項1の発明においては、不要周波数成分を相殺する電圧信号を加算するだけで、キャリア周波数を上げたり、主回路の変更を行うことなく、不要周波数成分を除去することができる。
請求項2においては、インダクタンス特性のために特に複合型回転電機の動作に悪影響を及ぼす低周波数成分を除去できる。そして従来のように低周波数のみのために駆動電圧を大きく上げるという必要がなくなる。
請求項3〜請求項7においては、不要周波数成分を容易に検出し、これを除去することが出来る。
また、請求項8においては、基本複合電圧信号の演算部の演算負荷を増加させないようにすることが出来る。
また、請求項9においては、不要周波数成分の検出演算およびそれに基づく電圧信号の生成演算の演算周期を基本複合電圧信号の演算における演算周期よりも低速にすることにより、演算の負荷の増加が少ないので、従来のJOBおよびCPUでも問題なく処理できる、等の効果が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の第1の実施例を示すブロック図である。なお、以下の説明は、全てロータが2個の複合型回転電機を用いた場合を例として説明するが、3個以上でも同様に適用することが出来る。
まず構成を説明すると、コントローラ1は後述する各種信号を入力してインバータ2の各相を開閉制御する制御信号a〜f(6相の場合)を出力する。ゲート駆動回路5は上記の制御信号a〜fからそれぞれ正相信号(a、b、…、f)とその反転信号(a’、b’、…、f’)を生成して出力する。
【0012】
インバータ2は、直流電源11、直流リンクコンデンサ12、直流電圧検出手段13および各相にそれぞれ2個のスイッチング回路14から構成される。各スイッチング回路はトランジスタとダイオードの並列回路で構成される。各相において、2個のスイッチング回路が直列に接続され、一方のゲート端子にはゲート駆動回路5の正相信号(a、b、…、f)が与えられ、他方のゲート端子には反転信号(a’、b’、…、f’)が与えられる。したがって2個のスイッチング回路の一方がオンのときは他方はオフになり、直流電源11の+側に近いスイッチング回路がオンになった相に電流が流れることになる。なお、図1においては一例として6相のインバータを示している。また、直流電圧検出手段13は直流電源11の端子電圧を検出し、それをコントローラ1へ送る。
【0013】
複合型回転電機3は、外側ロータ15、ステータ16、内側ロータ17を備えている。ステータ16には外側ロータ15と内側ロータ17のそれぞれの磁極に対応するコイルが設けられており、インバータ2から各ロータの回転周波数に同期した電流成分を複合した複合電流を流すことにより、各ロータを独立に制御することが出来る。なお、図1においてはステータ16が外側ロータ15と内側ロータ17の中間に位置する構造を例示したが、ステータ16が最外側もしくは最内側にあってもよい。また、ロータが2個の場合を例示したが、3個以上であってもよい。要するに複合型回転電機3としては、複数のロータの回転周波数にそれぞれ同期した電流成分を複合した複合電流を用いて駆動する形式の回転電機であればよい。
【0014】
複合電流検出手段4は、通常の電流検出器が各相毎に設けられた構成を有し、インバータ2から複合型回転電機3へ流れる電流(複合電流)を各相毎に検出し、それをコントローラ1へ送る。
【0015】
外側ロータ位相角検出手段6と内側ロータ位相角検出手段7は、外側ロータ15と内側ロータ17の位相角(回転角)を検出し、それをコントローラ1へ送る。外側ロータ位相角検出手段6と内側ロータ位相角検出手段7としては、例えば各ロータの所定角度毎に設けられたスリットや磁極と、固定位置に設けられた検出器とからなる、いわゆるエンコーダを用いることが出来る。
【0016】
以下、コントローラ1について詳細に説明する。
図1に示したコントローラ1は、例えばコンピュータで構成され、目標複合電圧発生部20、不要周波数演算部21、低次調波発生部22、低次調波電圧指令パターン部23、電圧重畳部24、三角波発生部25、制御信号発生部26からなる。
目標複合電圧発生部20は従来の装置と同様であり、外部からの電圧指令信号、直流電圧検出手段13からの直流電源11の端子電圧信号、複合電流検出手段4からの各相の電流信号、および外側ロータ位相角検出手段6と内側ロータ位相角検出手段7からの各ロータの位相角信号を入力し、複合型回転電機3を駆動する複合電流を供給するための目標複合電圧を各相毎に発生する。従来は上記の目標複合電圧と三角波発生部25からの三角波信号(キャリア信号)とを制御信号発生部26で比較することにより、各相の制御信号a〜fを生成している。
【0017】
不要周波数演算部21(詳細後述)は、複合電流検出手段4からの各相の電流信号、および外側ロータ位相角検出手段6と内側ロータ位相角検出手段7からの各ロータの位相角信号を入力し、各相毎に不要周波数の電流位相角と電流振幅を求める。なお、通常は不要周波数成分のうち、ロータ回転周波数よりも低い低次調波成分のみを求めればよい。
低次調波発生部22は、不要周波数演算部21から送られた電流位相角と電流振幅に対応する不要周波数成分を合算(不要周波数成分が複数存在する場合)して除去すべき電流成分信号を発生する。
【0018】
なお、不要周波数成分のうち、ロータ回転周波数よりも高い高次調波成分については、ステータコイルのインピーダンスが大きくなるので、殆ど電流が流れず、影響が小さい。しかし、ロータ回転周波数よりも低い低次調波成分については、ステータコイルのインピーダンスが小さくなるので、大きな電流が流れ、影響が大きくなる。例えば外側ロータ16の回転周波数が50Hzで、内側ロータの回転周波数が45Hzの場合には、5Hzの低次調波が発生する。したがって、この場合には低次調波のみを合算すればよい。つまり、不要周波数成分のうち、複合電流で駆動される複合型回転電機における複数のロータの回転周波数の何れよりも低い周波数を選択すればよい。
【0019】
低次調波電圧指令パターン部23は、上記の低次調波電流を相殺させる電圧信号を生成する。つまり、上記の低次調波電流の逆の電流を流す電圧を生成すればよい。
電圧重畳部24では、前記目標複合電圧発生部20から与えられる基本の目標複合電圧に上記低次調波電圧指令パターン部23から与えられる低次調波電流を相殺させる電圧信号を重畳して全体の電圧信号を生成する。
【0020】
三角波発生部25は、電圧信号をPWM信号(パルス幅変調信号)に変換するためのキャリア信号となる三角波信号を出力する。
制御信号発生部26は、比較器であり、電圧重畳部24からの電圧信号と三角波発生部25からの三角波信号とを比較することにより、PWM信号を出力する。なお、上記の各種演算は、全て各相(図1では6相)毎に行われ、制御信号発生部26からは6相のPWM信号(a〜f)が出力される。
【0021】
次に、不要周波数演算部21の詳細について説明する。
複合電圧パターンによる不要周波数の周波数スペクトルは予め予想できる。つまり、外側ロータ15と内側ロータ17におけるそれぞれの周波数をf1、f2とすれば、不要周波数F1、F2は下記(数4)式で示される。
ただし、m、n、p、qは正数
fcはキャリア周波数。
【0022】
なお、上記(数4)式は、ロータ数が2個の場合を示すが、一般にロータ数がk個(k≧2)の場合には、下記(数1)式に示すようになる。
ただし、m、n、r、p、q、sは正数
fcはキャリア周波数。
【0023】
以下、(数4)式に示したロータ数が2個の場合について説明する。
前記のように不要周波数が高次調波の場合には影響が小さいので、影響が大きい低次調波のみを選択する。すなわち、(数4)式の組み合わせの中でf1、f2より小さな成分に着目して周波数を選ぶことが可能である。この演算のフローチャートを図3に示す。
【0024】
図3において、iとjを変数とすれば、ステップS1では、順次iをインクリメントする。ステップS2では、iの値が予め定めた数maxI以上か否かを判断し、maxIに達した場合には終了とする。ステップS2でNOの場合には、ステップS3で、順次jをインクリメントする。ステップS4では、jの値が予め定めた数maxJ以上か否かを判断し、maxJに達しない場合にはステップS1に戻る。これにより、ステップS5とS6の演算を、i=0〜maxI、j=0〜maxJの範囲で行わせる。ステップS5では、前記(数4)式と同様の演算を行って不要周波数を検出し、ステップS6では、検出された不要周波数F1、F2のうちで、f1、f2以下の周波数が存在した場合に、それを不要周波数の低次調波として保存する。
【0025】
次に、下記(数2)式、(数3)式の演算を行う。
ただし、fn=|f1−f2|
φnは位相角
tは時間
上記の演算は、前記の保存した不要周波数の低次調波に、外側ロータ位相角検出手段6と内側ロータ位相角検出手段7からの各ロータの位相角をそれぞれ加算してサイン/コサインの信号を生成し、次にこれら二つのサイン/コサイン信号と複合電流検出手段4からの複合電流検出値(各相毎に行う)を乗じて積分することによって行うことが出来る。
【0026】
上記の複合電流検出手段4で検出された複合電流に低次調波成分としてfnが混入していれば(数2)式および(数3)式の平均値は有限な値を持つ。このときfn以外の周波数成分を有する電流については(数2)式および(数3)式共にゼロとなる。たとえば複合電流の内fnの成分をIとして
I=Ia×sin(2πfnt+ψn) …(数5)
とすれば、前記(数2)式、(数3)式は下記(数6)式、(数7)式となる。
【0027】
Ia=(T/2)×cos(φn−ψn) …(数6)
Ia=(T/2)×sin(ψn−φn) …(数7)
ただし、T=1/fn
φn=位相角
ψn=実位相角
上記(数7)式の値がゼロになるようにφnをフィードバックすれば必然的にφnが実位相角ψnに一致し、このとき電流振幅は(数6)式から逆算すれば決定できる。
以上の手法を用いることで、一つの低次調波成分の位相角と振幅を求めることができる。前記の不要周波数の低次調波が複数存在する場合には、それぞれについて演算する。
【0028】
次に、低次調波発生部22では、上記の求められた低次調波成分を合算し、下記(数8)式で示すような補償すべき電流Icを決定する。
Ic=ΣI×sin(2πfnt+ψn) …(数8)
次に、低次調波電圧指令パターン部23は、上記の補償すべき電流Ic(低次調波電流)をゼロにする電圧信号を生成する。つまり、上記の電流Icの逆の電流を流す電圧を生成すればよい。
【0029】
図2は、上記のごとき不要周波数演算部21の機能を模式的に示したブロック図である。
図2において、低次調波周波数検出部40は、外側ロータ位相角検出手段6と内側ロータ位相角検出手段7からの各ロータの位相角を入力し、前記図3で示した不要周波数の低次調波成分を検出する。その信号と積分器45、46からの積分出力を加算器41で加算した信号がサイン/コサイン発生部42へ送られ、サイン/コサインの信号を生成する。次に、乗算器43、44で、これら二つのサイン/コサイン信号と複合電流検出手段4からの複合電流検出値とを乗算(各相毎に行う)し、それぞれの値を積分器(平均化回路を含む)45、46で一定期間積分し平均化する。この45、46の出力は減算器47でゼロとの差を求め、バッファ48を介して加算器41へ送られてフィードバックされる。これによって、一方の積分器の積分結果の平均値がゼロになるように操作し、ゼロになったときのその積分器の出力が位相角になり、そのときの他方の積分器の出力が電流振幅になる。
【0030】
次に、図4は、本発明の第2の実施例のブロック図である。
この実施例は、不要周波数の演算を図1における不要周波数演算部21の代わりにバンドパスフィルタ27で構成したものであり、その他、図1と同符号は同じものを示す。
図4において、バンドパスフィルタ27はカットオフ周波数の異なる複数のバンドパスフィルタBPF1〜BPF5で構成され、複合電流検出手段4からの電流信号をそれぞれ分解する。これらのBPF1〜BPF5の通過帯域を複数のロータの回転周波数の何れよりも低い周波数で、それぞれ異なる範囲に設定しておけば、不要周波数の低次調波成分を検出することが出来る。なお、この処理は複合電流検出手段4からの電流信号の各相毎に行う。以下の処理は図1と同様である。
【0031】
次に、図5は、本発明の第3の実施例のブロック図である。
この実施例は、不要周波数の除去を電流正側検波部28、電流負側検波部29、および振幅差検出部30で行うように構成したものである。
電流正側検波部28は、複合電流検出手段4からの電流信号の正(+)成分を検出し、電流負側検波部29は、複合電流検出手段4からの電流信号の負(−)成分を検出する。そして振幅差検出部30は両者の振幅の差を検出する。なお、上記の処理は各相毎に行う。前記のように複合型回転電機3の動作に大きな影響を与える電流成分は、低次調波であり、ゆっくりした変化の波形である。したがって正側成分と負側成分との振幅差がゼロになるように制御してやれば、不要周波数成分を無くすことが出来る。
【0032】
次に、図6は、本発明の第4の実施例のブロック図である。
この実施例は、不要周波数の除去を電流極性判定部31と所定値加算部32で行うように構成したものである。
図6において、電流極性判定部31は、複合電流検出手段4からの電流信号の各時点における極性を判定する。なお、上記の処理は各相毎に行う。所定値加算部32は上記の極性が正(+)のときは+a(aは所定値であり、例えば電流値の10%)を加算分とし、上記の極性が負(−)のときは−aを加算分として電圧重畳部24へ送り、上記以外の時、すなわち電流が0の場合には加算分を0とする。このような加算を行うことにより、不要周波数成分の除去を行うことが出来る。
【0033】
なお、これまでの説明では、不要周波数成分のうち複合型回転電機に大きな影響を与える低次調波成分の除去について説明してきたが、高次調波を除去するように構成することも出来る。さらに、同様な方法で、高次高調波電圧を重畳することで、モータに発生する高次の空間高調波(L、φ)に同期して電流を通電することが可能となるので、電源効率をさらに向上させることもできる。
【0034】
また、不要周波数成分の検出演算と、それに基づく電圧信号の生成演算と、基本複合電圧信号の演算とにおける演算周期を、相互に異なる周期とすることにより、基本複合電圧信号の演算部の演算負荷を増加させないようにすることが出来る。
【0035】
また、低次調波成分の除去演算は、周波数が低いので演算周期を長くしても悪影響が生じない。したがって不要周波数成分の検出演算およびそれに基づく電圧信号の生成演算の演算周期を基本複合電圧信号の演算における演算周期よりも低速にすることにより、演算の負荷の増加が少ないので、従来のJOBおよびCPUでも問題なく処理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のブロック図。
【図2】第1の実施例における不要周波数成分検出を模式的に示したブロック図。
【図3】第1の実施例における不要周波数成分検出処理のフローチャート。
【図4】本発明の第2の実施例のブロック図。
【図5】本発明の第3の実施例のブロック図。
【図6】本発明の第4の実施例のブロック図。
【符号の説明】
1…コントローラ 2…インバータ
3…複合型回転電機 4…複合電流検出手段
5…ゲート駆動回路 6…外側ロータ位相角検出手段
7…内側ロータ位相角検出手段 11…直流電源
12…直流リンクコンデンサ 13…直流電圧検出手段
14…スイッチング回路 15…外側ロータ
16…ステータ 17…内側ロータ
20…目標複合電圧発生部 21…不要周波数演算部
22…低次調波発生部 23…低次調波電圧指令パターン部
24…電圧重畳部 25…三角波発生部
26…制御信号発生部 27…バンドパスフィルタ
28…電流正側検波部 29…電流負側検波部
30…振幅差検出部 31…電流極性判定部
32…所定値加算部 40…低次調波周波数検出部
41…加算器 42…サイン/コサイン発生部
43、44…乗算器 45、46…積分器
47…減算器 48…バッファ
Claims (9)
- 複合電流で駆動される複合型回転電機における複数のロータの回転周波数にそれぞれ同期した電流成分を複合した複合電流を、インバータを用いて供給する複合電流供給装置において、
前記複数のロータのうち一番目のロータの回転周波数に同期した電流成分の周波数をf1、二番目のロータの回転周波数に同期した電流成分の周波数をf2、同様にk番目(k≧2)のロータの回転周波数に同期した電流成分の周波数をfkとした場合に、前記k個の電流成分の和を実現するための基本複合電圧信号の他に、下記(数1)式で示される不要周波数成分F1、F2を相殺させる電圧信号を少なくとも一つ以上重畳させたPWM電圧信号を、前記インバータを制御する電圧信号としたことを特徴とする複合電流供給装置。
ただし、m、n、r、p、q、sは正数
fcはキャリア周波数 - 前記(数1)式で示される不要周波数成分のうち、複合電流で駆動される複合型回転電機における複数のロータの回転周波数の何れよりも低い周波数を選択し、それを相殺させる電圧信号を前記基本複合電圧信号に重畳することを特徴とする請求項1に記載の複合電流供給装置。
- インバータから複合型回転電機に供給される複合電流を検出する複合電流検出手段と、
前記複合電流検出手段により検出された電流から、前記(数1)式で示される不要周波数成分の電流振幅と電流位相角を検出して不要周波数成分の電流を検出する不要周波数成分検出手段と、
前記不要周波数成分検出手段で検出した不要周波数成分をゼロにするような電圧信号を生成する電圧生成手段と、
を備え、前記電圧生成手段で生成した電圧信号を前記基本複合電圧信号に重畳することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複合電流供給装置。 - 前記不要周波数成分検出手段における不要周波数成分の電流振幅および電流位相角の検出は、前記複合電流検出手段によって検出された電流に基づいて下記(数2)式、(数3)式の演算を前記(数1)式で示される周波数成分について実行し、(数2)式または(数3)式のいずれか一方の平均値がゼロとなるように不要周波数成分の電流位相角をフィードバックすることにより、不要周波数成分の電流振幅および電流位相角を求めるものであり、この不要周波数成分の値をゼロにするような電圧信号を生成し、それを前記基本複合電圧信号に重畳することを特徴とする請求項3に記載の複合電流供給装置。
ただし、fn=|f1−f2|
φnは位相角
tは時間 - 前記不要周波数成分検出手段における不要周波数成分の電流振幅および電流位相角の検出は、前記複合電流検出手段により検出された電流からバンドパスフィルタを用いて前記(数1)式で示される周波数成分を検出するものであり、この不要周波数成分の値をゼロにするような電圧信号を生成し、それを前記基本複合電圧信号に重畳することを特徴とする請求項3に記載の複合電流供給装置。
- 前記複合電流検出手段により検出された複合電流を、検波手段を用いて正側および負側に分離し、前記複合電流の正側および負側の振幅を演算し、これらの差分をゼロにするような電圧信号を生成し、それを前記基本複合電圧信号に重畳することを特徴とする請求項3に記載の複合電流供給装置。
- 前記複合電流検出手段により検出された複合電流の極性を判定し、電流の極性が正値の場合は正の所定値を加算分とし、負値の場合は負の所定値を加算分とし、電流が0の場合は加算分を0とする電圧信号を生成し、それを前記基本複合電圧信号に重畳することを特徴とする請求項3に記載の複合電流供給装置。
- 前記不要周波数成分の検出演算と、それに基づく電圧信号の生成演算と、前記基本複合電圧信号の演算とにおける演算周期を、相互に異なる周期としたことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の複合電流供給装置。
- 前記不要周波数成分の検出演算およびそれに基づく電圧信号の生成演算の演算周期が前記基本複合電圧信号の演算における演算周期よりも低速であることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の複合電流供給装置。
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