JP3631221B2 - ファイバ分光検出器及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバを利用したATR法(減衰全反射法)による分光検出器及びその製造方法に関するものである。このファイバ分光検出器は、特に限定されるものではないが、溶融塩や溶融金属等を測定対象とする高温域での分光分析に有用である。
【0002】
【従来の技術】
赤外線吸収スペクトルを測定する方法の一つに、全反射を利用するATR法がある。この方法では、高い屈折率を持つATRプリズムを試料に密着させ、該ATRプリズムを通して赤外光を試料に照射し、そのATRプリズムからの出射光を分光分析する。このようなATR法は、試料及び測定装置の取り扱いが簡便なため、透過法に代わり使用されている。
【0003】
しかし内部反射エレメントとしてATRプリズムを用いる構成は、内部反射回数も少なく、感度もあまり高くない。そこで最近、内部反射エレメントとして光ファイバを用いる技術が提案されている。これは、光ファイバのクラッドの一部を、化学的あるいは物理的手段により除去してコアのみとしたクラッド欠損部を設ける方法である。光ファイバを用いることにより内部反射回数が増大し感度の向上を図ることができ、別途に集中光学系を必要とせず、そのため小型化できる等の利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが従来の光ファイバを用いた分光検出器は、光ファイバのクラッドを全周取り去って作製するため、石英クラッド/石英コア構造の光ファイバでの製作は困難である。そのため、従来技術では主に、高分子クラッド/石英コア構造の光ファイバを用いて高分子クラッドを熱もしくは刃物を用いて取り除いている。しかし、このような方法は、コアの折損が生じ易く、検出器の製造の歩留まりが非常に悪いという問題があった。
【0005】
また、クラッドが高分子材料であるため、分光検出器の使用可能温度が高分子材料の耐熱性で決定され、高温域での使用が不可能であった。更に、作製した分光検出器は、極細の光ファイバのコアからなるため、物理的に脆弱でハンドリングが困難な上、振動などの影響を受け易く、実用には問題が多かった。
【0006】
本発明の目的は、堅牢な構造で、そのためハンドリングが容易であり、粘性の高い試料にも挿入でき、安定した測定が可能となるファイバ分光検出器を提供することである。本発明の他の目的は、高温環境や化学的に活性な環境など劣悪な環境下でも使用可能なファイバ分光検出器を提供することである。本発明の更に他の目的は、堅牢な構造にでき、必要な大きさの検出面を容易に形成できるファイバ分光検出器の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、四角柱状のサポート部材の一主面の長手方向に溝が形成されると共に該溝に平行に貫通穴が形成され、前記溝内に検出ファイバが収容されファイバ固定充填材で固着され、前記貫通穴内に参照ファイバが挿通されて固定されており、それによって検出ファイバと参照ファイバがサポート部材と一体化され、前記検出ファイバのクラッドの一部が除去されコアの一部が露出することで検出面が形成されていることを特徴とするファイバ分光検出器である。このファイバ分光検出器は、光ファイバのクラッドを除去することによって、コアを伝播する光の全反射で生じるエバネッセント波と外部媒質との相互作用による吸光度を測定するものである。
【0008】
特に、サポート部材及び固定充填材を共に耐熱性材料で構成し、検出ファイバに石英クラッド/石英コア構造の光ファイバを用いると、高温対応型のファイバ分光検出器が得られる。
【0009】
例えば、検出ファイバ及び参照ファイバを、先端を丸めたサポート部材に沿って曲げ返、その戻り部分はファイバ固定充填材で覆われるようにしてサポート部材に固着する。ファイバの戻り部分の位置ずれを防ぐためには、サポート部材に別途溝を設けて、その溝にファイバを収容する構成も有効である。
【0010】
また本発明は、上記のような構造のファイバ分光検出器を製造する方法である。先端が丸味を帯びたサポート部材の細長状の一主面に縦方向にV溝を形成すると共に該V溝と平行に貫通穴を形成し、該サポート部材の表面にファイバ固定充填材を塗布し、前記溝内に検出ファイバを押し込んで半埋設状態とすると共にサポート部材の先端で曲げ返し、前記貫通穴内に参照ファイバを挿入すると共にサポート部材の先端で曲げ返し、前記検出ファイバ上に更にファイバ固定充填材を塗布して前記検出ファイバを覆い、加熱固化した後、ファイバ固定充填材ごとファイバを平面研磨してクラッドを除去し、コアを露出させて検出面を形成する。
【0011】
【実施例】
図1は本発明に係るファイバ分光検出器の一実施例を示す説明図であり、Aは縦断面を、Bは正面を、Cは底面を、それぞれ表している。また図2はそのx−x断面図である。ファイバ分光検出器10は、四角柱状のサポート部材12の細長状の一主面に縦方向に形成したV溝14内に、検出ファイバ16が収容されファイバ固定充填材18で固着されており、該検出ファイバ18のクラッド20の一部が除去されコア22の一部が露出することで検出面24が形成されている。サポート部材12の先端は丸味を帯びており、それに沿って曲げ返された検出ファイバの戻り部分16aは、サポート部材12の前記検出面24とは反対側の主面(裏面)にてファイバ固定充填材26中に埋設固着されている。クラッドの除去は、ファイバ固定充填材ごとファイバを平面研磨することによって行う。これによってコアの一部も研磨される。
【0012】
ここで参照ファイバ30は、検出ファイバ16と並置される。そのため、サポート部材12の長手方向に前記V溝14と平行に貫通穴32が形成され、該貫通穴32内に参照ファイバ30が挿通されファイバ固定充填材34で固着されている。サポート部材12の先端で曲げ返された参照ファイバの戻り部分30aは、検出ファイバの戻り部分16aと平行に配置され、ファイバ固定充填材26中に埋設固着されている。参照ファイバ30を貫通穴32内に収容することで、検出ファイバの研磨時に参照ファイバが研磨されないようにしている。このようにして、検出ファイバ16と参照ファイバ30とが極力同じ位置を経由して、サポート部材12と一体化したファイバ分光検出器10が得られる。なお、検出ファイバと参照ファイバの戻り部分16a,30aの位置決めを容易にするためには、図示しないが、サポート部材の裏面にも2本の平行溝を形成して、それぞれに検出ファイバと参照ファイバの戻り部分を収容するようにしてもよい。
【0013】
高温環境下で使用する場合には、サポート部材12として化学的に安定で耐熱性の高いアルミナ系セラミックスを用い、ファイバ固定充填材18,26,34には高温用アルミナ系の接着剤を用いる。検出ファイバ16及び参照ファイバ30には、石英クラッド/石英コア構造の光ファイバを用いる。この構成により、1000℃以上の高温域で使用可能なファイバ分光検出器が製作できる。また、この構成は、石英を侵すフッ酸系以外の強酸強塩基環境においても安定に使用できるファイバ分光検出器となる。なお使用光の波長は、光ファイバを効率よく透過できる波長であることから、石英ファイバであれば波長数μmの近赤外光から波長数百nmの紫外光となる。
【0014】
本発明のファイバ分光検出器10は、脆弱なファイバ検出部がサポート部材12に固着されているため、屈曲等の外乱による損失変化の影響を受け難く安定した測定が可能となる。また、このように製作したファイバ分光検出器10では、検出面以外の光伝播部はクラッド/コア構造が残っているために、低損失で外乱の影響を受けずに入出力光が伝播する。被測定物(試料)は、主にファイバ分光検出器周辺の液体もしくは気体である。しかし、ファイバ検出部はサポート部材によって支えられ機械的強度が高くなっているので、検出面を試料に圧接する方法による固体表面の測定も可能である。
【0015】
脆弱なファイバ検出部がサポート部材に固着され堅牢な構造となっているために、ハンドリングが容易であり、高温環境(例えば溶融塩や溶融金属等)や化学的に活性な環境(例えば強酸強塩基)で必要なロボットアーム等による遠隔操作が行い易い。また、粘性の高い試料や多数の粒子が存在する試料等でも本ファイバ分光検出器を容易に挿入可能であるため、測定対象が広がる。更に、本発明に係るファイバ分光検出器では、検出面に対する物理的な接触が容易であるため、検出面の洗浄が容易に行える。そのため、繰り返し測定に用いることが可能であり、その際、試料の汚染を低く抑えることができる。
【0016】
図3は、ファイバ分光測定系の一例を示す説明図である。ファイバ分光検出器10は試料40中に浸漬する。ここでは試料40は、容器42に入れられ、ヒータ44で熱せられた高温溶融物である。光源46からの光をコリメータレンズ48により平行光とし、ビームスプリッタ50で2分割する。そして信号光導光ファイバ52及び参照光導光ファイバ54によってファイバ分光検出器10の検出ファイバ16に検出光を、参照ファイバ30に参照光をそれぞれ導き、出力光をレンズ56,57で集光する。そして、それぞれを検出部58,59で検出して電気信号に変換し、信号処理系へ伝達する。これにより得られる信号(入射光強度と出射光強度の比)が吸光度になる。測定原理は吸光分光測定を同様なので、得られる情報は吸光分光測定の場合と同様となる。主な測定は、被測定物の濃度やイオンの状態変化等である。また、参照ファイバを設ける構成であるので、光源の出力変動やファイバの劣化の補正が可能となり、測定精度が向上する。信号処理としては、信号変化が微弱になれば、入射光に変調をかけたロックイン計測によりS/Nを向上させることができる。
【0017】
図4に使用状態の一例を示す。容器42に収容されている被測定物(試料)40中にファイバ分光検出器10を挿入する。ここで直線状のファイバ検出部の長さを変えれば(必要に応じてAのように短くしたり、Bのように長くすれば)、ファイバ分光検出器の長さに応じた挿入方向の積分情報を得ることができる。
【0018】
図5に使用状態の他の例を示す。Aは複数のファイバ分光検出器10を被測定物40中に並列に挿入した例である。このようにファイバ分光検出器を2次元的に分散配置すると、被測定物中の測定値分布を把握することが可能となる。Bは複数のファイバ分光検出器10を被測定物40中に直列に接続して挿入した例である。このようにファイバ分光検出器を配列すると、容易にファイバ検出部長さ(吸収長さ)を延長できるので、希薄物質などの低吸収物質の測定にも容易に対応できる。
【0019】
サポート部材の一例を図6に示し、それを用いたファイバ分光検出器の製造手順の一例を図7に示す。ここでは検出面の製造工程のみを示し、光ファイバの曲げ返し構造や参照ファイバの挿入用の貫通穴など、あるいはそれへの取り付けなどについては説明を省略する。まず図6に示すように、サポート部材12は、四角柱体の一主面(細長表面の一表面)にファイバ取り付け用のV溝14を形成したものとする。V溝14は、サポート部材12の表面に一端から他端に至るまで同じ断面形状で形成する。
【0020】
V溝14を図7のAに示す。このV溝14の最大幅は光ファイバの直径(クラッド外径)より若干大きいものとし、V溝14の深さは光ファイバの半径より若干深いものとする。即ち、光ファイバをV溝内に収容したとき、コア中心位置がサポート部材表面レベルと同じかそれよりもやや下方(溝内)に位置するような関係とするのがよい。
【0021】
Bに示すように、サポート部材12のV溝14の内外部分に予めファイバ固定充填材50を塗布しておく。次にCに示すように、前記V溝14内に検出ファイバ(被覆を取り去った光ファイバ、即ちコア/クラッドの状態)52を押し込んで半埋設状態とする。そしてDに示すように、該検出ファイバ52上に更にファイバ固定充填材54を塗布して前記検出ファイバ52を覆う。その状態で加熱固化させる。その後、Eに示すように、ファイバ固定充填材ごとファイバを研磨してクラッドを除去し、コア22を露出させて検出面24を形成する。
【0022】
ファイバの研磨は、結晶研磨を行うような平削研磨盤で行う。当然、散乱光によるロスを無くすために光学精度で仕上げる。作製の際、ファイバ光を導通させつつ研磨を行い出力光の強度をモニタすると、クラッドの除去状況を把握できるために検出面の形成が容易となる。クラッドが除去されるに従ってエバネッセント波のロスが多くなり出力光が減少していく。エバネッセント波のロス分が測定に関わる光の量にほぼ比例しており、出力光が0になるのは断線状態を意味することから、20〜40%までの出力減が研磨完了の目安となる。
【0023】
このようにサポート部材の面全体を研磨することで検出面を形成する。ファイバ分光検出器の大きさは、光学精度の研磨を行うことを考慮すれば、最長200mm程度となる。長さ200mm程度では吸光度を十分に測定できないような希薄媒質の場合には、前記図5のBに示す実施例のように、複数のファイバ分光検出器を直列に接続することで対応可能である。従って、取り扱いや製作の容易さを考慮して、100mm程度の長さのファイバ分光検出器を標準品として用意すれば十分である。
【0024】
【発明の効果】
本発明は上記のように、サポート部材の溝内に検出ファイバが収容されファイバ固定充填材で固着されており、クラッドの一部が除去されコアの一部が露出することで検出面が形成されているファイバ分光検出器であるので、堅牢な構造であり、そのためハンドリングが容易で、粘性の高い被測定物等にも挿入でき、安定した測定が可能となる。また本発明によれば、石英クラッド/石英コア構造の光ファイバでも作製が容易であるため、高温環境や化学的に活性な環境など劣悪な環境での使用も可能となり、測定可能な範囲が広がる。更に、ファイバ分光検出器がユニット単位で取り扱えるので、種々のアレンジ(並列配置による2次元分布の計測、直列接続による光路長の変更など)が容易に行える。
【0025】
また本発明は、サポート部材の溝に保護被覆を取り去った光ファイバをファイバ固定充填材にて固着し、これを研磨することにより検出面を形成する方法であるので、堅牢な構造のファイバ分光検出器を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るファイバ分光検出器の一実施例を示す説明図。
【図2】そのx−x断面図。
【図3】ファイバ分光検出器を用いた測定系の一例を示す説明図。
【図4】ファイバ分光検出器の使用状態の例を示す説明図。
【図5】ファイバ分光検出器の使用状態の他の例を示す説明図。
【図6】本発明で用いるサポート部材の例を示す説明図。
【図7】本発明に係る製造方法の一例を示す工程説明図。
【符号の説明】
10 ファイバ分光検出器
12 サポート部材
14 V溝
16 検出ファイバ
18 ファイバ固定充填材
20 クラッド
22 コア
24 検出面
26 ファイバ固定充填材
30 参照ファイバ
32 貫通穴
34 ファイバ固定充填材

Claims (3)

  1. 四角柱状のサポート部材の一主面の長手方向に溝が形成されると共に該溝に平行に貫通穴が形成され、前記溝内に検出ファイバが収容されファイバ固定充填材で固着され、前記貫通穴内に参照ファイバが挿通されて固定されており、それによって検出ファイバと参照ファイバがサポート部材と一体化され、前記検出ファイバのクラッドの一部が除去されコアの一部が露出することで検出面が形成されていることを特徴とするファイバ分光検出器。
  2. サポート部材及びファイバ固定充填材が共に耐熱性材料からなり、検出ファイバに石英クラッド/石英コア構造の光ファイバを用いて高温対応型とした請求項1記載のファイバ分光検出器。
  3. 請求項1又は2記載のファイバ分光検出器を製造する方法であって、先端が丸味を帯びたサポート部材の細長状の一主面に縦方向にV溝を形成すると共に該V溝と平行に貫通穴を形成し、該サポート部材の表面にファイバ固定充填材を塗布し、前記溝内に検出ファイバを押し込んで半埋設状態とすると共にサポート部材の先端で曲げ返し、前記貫通穴内に参照ファイバを挿入すると共にサポート部材の先端で曲げ返し、前記検出ファイバ上に更にファイバ固定充填材を塗布して前記検出ファイバを覆い、加熱固化した後、ファイバ固定充填材ごとファイバを平面研磨してクラッドを除去し、コアを露出させて検出面を形成するファイバ分光検出器の製造方法。
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