JP3631418B2 - フットペダルの後退防止構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、車体用フットペダルの後退防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、衝突等によって車体の前方側から大きな負荷が加わった場合、エンジン等の後方側への移動にともなって、ブレーキペダルやクラッチペダル等が移動し、搭乗者の足等と干渉するときがある。
【0003】
たとえば特開平10−310036号公報には、上記干渉を防止するための構造が開示されている。上記公報に開示された内容によれば、図6(a) に示すように、車室31とエンジンルーム32とを仕切り、かつ上下方向に配置されたダッシュボードロア33に対して、その上端に水平方向にダッシュボードアッパ34が配置され、ダッシュボードアッパ34には、車体の後方側に向かって下方に傾斜する傾斜面35が形成されている。そして、ダッシュボードロア33に設けられたペダルブラケット36は、その後端がダッシュボードアッパ34の水平面37にボルト38によって固定されている。ペダルブラケット36には、ブレーキペダル39が支持され、ブレーキペダル39には、エンジンルーム32側に設けられたブレーキブースタ40にダッシュボードロア33を介して接続されたプッシュロッド41が連結されている。
【0004】
この構成において、車体の前方側から大きな負荷が加わった場合、図6(b) に示すように、ブレーキブースタ40がダッシュボードロア33を変形させながら後退し、それにともなってペダルブラケット36が後退する。このとき、ペダルブラケット36は、ダッシュボードアッパ34の水平面37に固定されていたボルト38から外れ、ダッシュボードアッパ34から脱落する。そして、ペダルブラケット36は、傾斜面35に案内されて下向きに押し下げられる。その結果、ブレーキペダル39の下端が前方に移動するように回転し、これにより、ブレーキペダル39と搭乗者の足等との干渉を防止することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示された構造は、その構成が複雑であり、また部品点数も多いため、コスト高である。また、たとえば上記構造がなされていない車体に上記構造を取り付けようとするときには、ダッシュボードアッパ34やペダルブラケット36等を最初から設計変更し直す必要があるばかりか、既存の車体構造の大幅な変更が必要とされる。そのため、上記公報に開示された構造は、その構造を容易に採用するには困難であるといった問題点があった。
【0006】
【発明の開示】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、低コストでかつ容易に取り付けが可能なフットペダルの後退防止構造を提供することを、その課題とする。
【0007】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本願発明によって提供されるフットペダルの後退防止構造は、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルに設けられ、車体後方側に向かって下方に傾斜したガイド面を有するガイド部材と、上記ダッシュパネルに設けられたペダルブラケットに対して吊り下げ支持され、かつ上記ガイド面に沿って案内自在に係合された係合ピンが形成されたフットペダルと、プッシュロッドを介して上記フットペダルに連結されたブレーキブースタとを備え、上記ガイド部材の上部は、上記ペダルブラケットと共締めされて上記ダッシュパネルに固着される一方、上記ガイド部材の下部は、直接上記ダッシュパネルに固着され、上記ブレーキブースタは、上記ダッシュパネルの上記エンジンルーム側に配置され、かつ車体後方側に向かって下方に傾斜して設けられており、車体前方側から所定以上の大きさの負荷が加わったとき、上記ブレーキブースタが車体後方に移動させられることによる上記ペダルブラケットの変移にともない、上記ガイド部材の上部が変移することにより、上記ガイド面の傾斜度合いが増し、上記係合ピンが上記ガイド面に沿って車体の前方側に案内されることにより、上記フットペダルの下端が車体前方側へ移動することを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、車体の前方側から所定以上の大きさの負荷が加わった場合、ダッシュパネルおよびペダルブラケットが車体後方側に変移する。このとき、ガイド部材は、その上部がペダルブラケットに共締めされてダッシュパネルに固着されているため、ガイド部材の上部は、その下部に比べて大きく車体後方側に変移する。これにより、ガイド部材の、車体後方側に向かって下方に傾斜したガイド面は、その傾斜度合いが増し、そのガイド面に係合されている係合ピンは、ガイド面の斜面効果によりガイド面に沿って長孔内を車体の前方側にせり上がるように案内される。これにより、フットペダルはペダルブラケットに対して回動し、その結果、フットペダルの踏部を車体の前方側に移動させることができる。したがって、搭乗者の足等との干渉を確実に防止することができる。
【0010】
本願発明の好ましい実施の形態によれば、ガイド部材は、他のフットペダルを支持するためのブラケットに一体的に形成されている。このように、ガイド部材が上記ブラケットと一体的に形成されておれば、既存のブラケットを変更し、かつフットペダルに係合ピンを形成するだけで、上記したフットペダルの後退防止構造を実現することができる。したがって、既存の車体を大幅に変更することなく、部品コストの削減化や部品取り付けのための作業コストの低減化を図ることができる。
【0011】
本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0013】
図1は、本願発明の実施形態に係るフットペダルの後退防止構造を示す要部側面図である。図2は、図1に示すフットペダルの後退防止構造を示す要部斜視図である。なお、本実施形態において、上記後退防止構造が適用されるフットペダルとしては、ブレーキペダルを用いて説明するが、これに限るものではない。また、図1ではブレーキペダルが搭乗者によって踏み込まれていない通常の状態を示し、一点破線Aによってブレーキペダルが踏み込まれた状態を示す。
【0014】
図1および図2によれば、車体の車室1前方には、エンジンルーム2との間を仕切るダッシュパネル3が設けられている。ダッシュパネル3には、そのエンジンルーム2側に、ブレーキブースタ4が取り付けられている。ダッシュパネル3は、その上部が車体の後方側に向かって下方にやや傾斜されて設けられ、これにともないブレーキブースタ4もやや傾斜されて設けられている。
【0015】
また、ダッシュパネル3には、図示しない貫通孔が形成され、ダッシュパネル3の車室1側に、この貫通孔を挿通して、プッシュロッド5を保持するためのハウジング6が固定されている。プッシュロッド5は、ハウジング6に対して進退自在に支持され、プッシュロッド5の先端には、ブレーキペダル7が連結されている。なお、図1では、負荷が加わっていない通常の状態を示しており、この場合のダッシュパネル3の前後方向における基準の位置を基準線Lとして示す。
【0016】
ダッシュパネル3には、その車室1側に、上記ハウジング6を覆うようにペダルブラケット8が取り付けられている。ペダルブラケット8は、図2に示すように、ダッシュパネル3に固定される正面壁部9と、正面壁部9に対して直交方向に形成された一対の側壁部10a,10bおよび上面壁部11とを備えている。ペダルブラケット8は、正面壁部9がダッシュパネル3にボルト止めされ、上面壁部11の先端がカウルパネル12にボルト止めされて固定されている。
【0017】
ペダルブラケット8の両側壁部10a,10bには、図示しない貫通孔がそれぞれ形成され、両貫通孔には支軸13が両側壁部10a,10bを掛け渡すように設けられている。支軸13には、ボス14が回動自在に外嵌され、ボス14には、ブレーキペダル7の一端7aが支持されている。すなわち、ブレーキペダル7は、ペダルブラケット8に対して吊り下げ支持された状態とされている。
【0018】
ブレーキペダル7は、略弓状に形成され、その他端7bには、搭乗者がブレーキをかけるときに踏み込むための踏部15が設けられている。ブレーキペダル7は、その中央からやや上方の中間部において、クレビス16を介してプッシュロッド5に連結されている。
【0019】
また、ブレーキペダル7のクレビス16の下部には、図1における奥行き方向に突出した係合ピン17が形成されている。係合ピン17は、略円柱形状に形成された本体17aと、本体17aの先端に形成され、本体17aの直径より大の直径を有する頭部17bとによって構成されている。この係合ピン17は、後述するアクセルブラケット18の長孔19内に係合される。上記頭部17bの直径は、上記長孔19の幅より大とされ、係合ピン17が長孔19から脱落することのないようにされている。
【0020】
ダッシュパネル3には、アクセルペダル21を支持するためのアクセルブラケット18が設けられている。アクセルペダル21は、図2に示すように、湾曲した棒状部21aと、棒状部21aの一端に設けられた踏部21bとからなる。アクセルブラケット18は、横断面略コ字状に形成され、上下方向に延びた正面部18aと、正面部18aに対して直交方向に延び側面視略L字状に形成された第1側面部18bと、正面部18aに対して直交方向に延び、第1側面部18bと対向する第2側面部18cとによって構成されている。
【0021】
アクセルブラケット18は、ペダルブラケット8の側壁部10bに沿ってダッシュパネル3に取り付けられている。すなわち、正面部18aには、上下に図示しない2つのボルト孔が形成され、このボルト孔を通じてダッシュパネル3にボルト止めされている。詳細には、アクセルブラケット18は、上側のボルト孔に挿通するボルト24によって、ペダルブラケット8のフランジ8aと共にダッシュパネル3に対して固着されている。また、アクセルブラケット18は、下側のボルト孔に挿通するボルト25によって、ダッシュパネル3に対して直接固着されている。
【0022】
第1側面部18bは、車体後方側に向かって下方を向くように延びて形成されたガイド部材としての延設部18dを有し、延設部18dには、その延設方向と同方向に延びたガイド面としての傾斜面19aを有する長孔19が形成されている。長孔19には、上述したように、ブレーキペダル7の係合ピン17が係合され、係合ピン17は、上記傾斜面19aに沿って案内自在とされる。
【0023】
また、アクセルブラケット18の両側面部18b,18cには、図示しない貫通孔が形成され、両側面部18b,18cを掛け渡すように支軸26が設けられている。支軸26の一端26aは、第2側面部18cの外側に露出され、略U字状に形成されている。この支軸26の一端26aに、アクセルペダル21の棒状部21aが支持されるようになっている。また、支軸26には、ばね27が掛け回され、ばね27の一端側は、アクセルペダル21の棒状部21aを支持し、アクセルペダル21を踏み込んだ後にそれが通常状態に復帰するようにされている。
【0024】
搭乗者がブレーキペダル7を踏み込むと(図1の一点破線A参照)、プッシュロッド5がハウジング6側に押し込まれ、ブレーキペダル7を介してプッシュロッド5にブレーキ踏力が伝達されて、ブレーキ踏力がブレーキブースタ4によって増加される。このブレーキペダル7が踏み込まれる際、ブレーキペダル7の係合ピン17は、長孔19内の傾斜面19aに沿ってせり上がるように移動し、長孔19内の最上端近傍に達する。
【0025】
次に、上記の構成において、車体の前方側から所定以上の大きさの負荷が加わった場合を説明する。車体の前方側から所定以上の大きさの負荷が加わると、図3に示すように、ダッシュパネル3に対して傾斜されて設けられていたブレーキブースタ4は、エンジンルーム2内の、図示しないマスタシリンダの変移によって直立するように変移される。このブレーキブースタ4の変移にともなってダッシュパネル3が変形され、ダッシュパネル3のうち、ブレーキブースタ4が取り付けられていた部分近傍が車体の後方側に変移する。
【0026】
これにより、ペダルブラケット8と共締めされているアクセルブラケット18の上部も、ダッシュパネル3の変形に伴って車体後方側に変移する。しかし、アクセルブラケット18の下部は、ダッシュパネル3の変形が少ないため、その変移は比較的少ない。そのため、アクセルブラケット18は、車体後方側に向かって下方へ傾斜する度合いが大きくなり、長孔19の傾斜面19aにおける傾斜度合いも大きくなる。
【0027】
また、ブレーキペダル7は、ペダルブラケット8に吊り下げられた状態で支持されているため、ペダルブラケット8の変移により、ブレーキペダル7の一端7a側は、車体の後方側に変移する。これらの作用により、アクセルブラケット18の長孔19内に係合された係合ピン17は、傾斜面19aの斜面効果によって、傾斜面19aに沿って車体の前方側にせり上がるように案内される。これにともない、ブレーキペダル7も、ボス14を中心に図3における時計周りに回転し(図3の矢印B参照)、その結果、踏部15が車体の前方側に移動する。
【0028】
なお、この場合、プッシュロッド5は、ブレーキブースタ4の変移にともない後方側に移動するが、クレビス16によってブレーキペダル7に強固に連結されているため、先端が下方を向くように湾曲して変形する。あるいは、ブレーキペダル7から外れるようにしてもよい。
【0029】
そして、図4に示すように、車体の前方側からさらに負荷が加わった場合、ブレーキブースタ4およびダッシュパネル3がさらに変移する。これにより、アクセルブラケット18は、上部および下部ともに、車体の後方側に押しやられる。そのため、係合ピン17は、長孔19内に沿ってさらに車体の前方側に案内され、長孔19内の最上端近傍まで達する。そして、ブレーキペダル7は、係合ピン17が案内されることによりボス14を中心にさらに回転し(図4の矢印C参照)、その結果、踏部15が車体の前方側に、より一層移動する。
【0030】
このように、車体の前方側から所定以上の大きさの負荷が加わった場合、係合ピン17は、傾斜面19aの斜面効果により、傾斜面19aに沿って長孔19内を車体の前方側に案内される。これにより、ブレーキペダル7は回動し、その踏部15を車体の前方側に移動させることができる。しかも、アクセルブラケット18は、その上部がペダルブラケット8と共締めされてダッシュパネル3に対して固定されているため、通常状態で傾斜されて設けられたブレーキブースタ4が、負荷の入力により直立状態で変移することにより、アクセルブラケット18の上部が車体後方側へ主に変移し、長孔19の傾斜の度合いが大となり、斜面効果に寄与することができる。したがって、搭乗者の足等との干渉を確実に防止することができる。
【0031】
また、上記構成によれば、上記の構成が取り付けられていない車体に対して、上記の構成を新たに採用する場合、容易に変更することが可能である。すなわち、既存のアクセルブラケットに代えて、車体後方側に向かって下方に傾斜した長孔19を有する延設部18dが形成されたアクセルブラケット18を取り付ければよい。また、既存のブレーキペダルに代えて、長孔19に係合する係合ピン17が形成されたブレーキペダル7を取り付ければよい。そのため、車体側の変更は、皆無となる。したがって、上記構造を適用する場合でも、容易に変更することができ、部品コストの削減化および上記部品の取り付け作業コストの低減化を図ることができる。
【0032】
なお、上記アクセルブラケット18の延設部18dは、図5に示すように、その形状において長孔19が形成されずに、上側のガイド片28のみによって形成されるようにしてもよい。すなわち、ブレーキペダル7の係合ピン17は、ブレーキペダル7の踏み込み時、あるいは前方からの負荷が加わったときに、上側のガイド片28の傾斜面28aに沿って移動する。したがって、上記構造と同様の作用効果を奏することができる。
【0033】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、通常状態でブレーキブースタ4およびプッシュロッド5が傾斜されて設けられたが、プッシュロッド5が水平方向に略平行になるようブレーキブースタ4が設けられていてもよい。また、係合ピン17も上記した態様に限らず、要は、ブレーキペダル7に形成され、アクセルブラケット18の傾斜面19aに沿って移動するものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るフットペダルの後退防止構造を示す要部側面図である。
【図2】図1に示すフットペダルの後退防止構造を示す要部斜視図である。
【図3】車体前方側から負荷が加わったときのフットペダルの状態を示す図である。
【図4】車体前方側から負荷が加わったときのフットペダルの状態を示す図である。
【図5】アクセルブラケットの変形例を示す図である。
【図6】従来のフットペダルの後退防止構造を示す図である。
【符号の説明】
車室
エンジンルーム
3 ダッシュパネル
4 ブレーキブースタ
7 ブレーキペダル
8 ペダルブラケット
17 係合ピン
18 アクセルブラケット
19 長孔
19a 傾斜面

Claims (2)

  1. エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルに設けられ、車体後方側に向かって下方に傾斜したガイド面を有するガイド部材と、上記ダッシュパネルに設けられたペダルブラケットに対して吊り下げ支持され、かつ上記ガイド面に沿って案内自在に係合された係合ピンが形成されたフットペダルと、プッシュロッドを介して上記フットペダルに連結されたブレーキブースタとを備え、
    上記ガイド部材の上部は、上記ペダルブラケットと共締めされて上記ダッシュパネルに固着される一方、上記ガイド部材の下部は、直接上記ダッシュパネルに固着され、
    上記ブレーキブースタは、上記ダッシュパネルの上記エンジンルーム側に配置され、かつ車体後方側に向かって下方に傾斜して設けられており、
    車体前方側から所定以上の大きさの負荷が加わったとき、上記ブレーキブースタが車体後方に移動させられることによる上記ペダルブラケットの変移にともない、上記ガイド部材の上部が変移することにより、上記ガイド面の傾斜度合いが増し、上記係合ピンが上記ガイド面に沿って車体の前方側に案内されることにより、上記フットペダルの下端が車体前方側へ移動することを特徴とする、フットペダルの後退防止構造。
  2. 上記ガイド部材は、他のフットペダルを支持するためのブラケットに一体的に形成された、請求項1に記載のフットペダルの後退防止構造。
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