JP3637228B2 - 光送受信モジュール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ通信において、同時に送受信を行うために送信部と受信部を一体化した光送受信モジュールに関する。特に異なる波長の光を用いて送信と受信を同時に行う光送受信モジュールで安価な樹脂モールド型パッケージの素子の改良を提案する。同時双方向通信をおこなう素子において送信部の発するノイズから受信部を保護するための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の送受信モジュールでは、送信用半導体レーザ(LDモジュール:例えば図1)と受信用フォトダイオード(PDモジュール:例えば図2)それぞれが金属ケース内に収容されていた。つまり送信回路と受信回路は別体でそれぞれ金属カンケースで遮蔽されていた。
【0003】
従来の送信部を説明する。図1のLDモジュール1において、金属製の円形ステム2に垂直のポール3が形成される。ポール3にサブマウントを介しLDチップ4が固定される。LDチップ4の直下においてステム2上面中央にはPDチップ5が固定される。ステム2には金属円筒形のレンズホルダー6が溶接される。レンズ7がレンズホルダー6の開口部に取り付けられる。レンズホルダー6の上には円錐形のフェルールホルダー8が溶接される。光ファイバ9の先端を支持するフェルール10がフェルールホルダー8の頂部の開口へ挿入固定されている。ステム2の上方は穴開きキャップ14によってカバーされている。
【0004】
フェルール10、光ファイバ9の端面が斜め研磨されている。反射戻り光がLD4に戻らないようにするためである。LD4は送信光を発する。PD5はモニタ用のPDである。LD4の駆動電流は送信信号によって変調されている。LD4の駆動電流やPD5の光電流はリードピン11〜13などによって外部回路から供給され、或いは外部回路へ取り出される。ステム2、レンズホルダー6、フェルールホルダー8ともに金属である。金属パッケージであるから電磁波を通さない。送信部はLDに高速大電流が流れるが、金属パッケージのため外部にノイズを及ぼさない。
【0005】
従来の受信モジュールを説明する。図2のPDモジュール15において、金属製円形のステム16の上面中央にPDチップ17が固定される。金属製キャップ18がステム16に固定される。キャップ18を囲むように円筒形金属製のレンズホルダー19がステム16に溶接される。レンズホルダー19の上に円錐形フェルールホルダー20が固定される。光ファイバ21の先端に金属製のフェルール22が固定される。フェルールホルダー20の頂部の穴にフェルール22が差し込まれ固定される。反射戻り光がLDに入らないように光ファイバとフェルールの先端が斜め研磨される。PDモジュール15は金属ステム16、金属レンズホルダー19、金属フェルールホルダー20よりなる金属製のケースに収容されている。受信部はインピーダンスが高くて電流が小さく外部ノイズの影響を受け易いが金属カンによって覆われているから外部ノイズを遮断することができる。
【0006】
LDモジュールには駆動回路が付随する。送信信号によって変調された駆動電流をLDに流すためである。駆動回路は変調回路や電力増幅器などを含むが、金属製ケースに収容されているから、ノイズを外部に放射しない。PDモジュールには光電流を増幅するための増幅回路が続く。これも金属ケースに収容されており、雑音に強い設計になっている。
【0007】
従来の光送受信モジュールは、PDモジュール、LDモジュール、駆動回路、増幅回路が別体でそれぞれ金属製のケースに収容されていたのである。従って同時に送信、受信を行っても、強度の強い送信信号が、微弱な受信信号に回り込む影響は殆どなかった。同時送受信というのはこの発明で重要な前提となる。LDは高速で変調され、大電流が流れるから強い電波を発生する。受信部は電流が微弱で増幅率が高くノイズを拾い易い。送信部と受信部が同時に動作すると送信部の信号が受信部にノイズとして入る可能性が出てくる。金属製ケースで送信部を囲み、別の金属製ケースで受信部を囲むと2重に遮蔽され送信部ノイズが受信部に入らない。
【0008】
このことは、特に図3のように一本の光ファイバで送受信を行う送受信器で、重要な評価項目となる。図3は基地局側と加入者側の送受信関係を示す。加入者側は複数個存在するがここでは一つだけ図示する。基地局には送信信号を送るためのLD1と、受信のためのPD1がある。それぞれは光ファイバ27、33によって光分波器28につながる。光分波器28は一本の光ファイバ29に接続される。加入者側にも送信用LD2と受信用のPD2がある。それぞれ光ファイバ32、31によって光分波器30につながり、光ファイバ29に接続される。図3において基地局から加入者側へ信号を送る場合を下り系と呼ぶ。加入者側から基地局に信号を送る場合を上り系と呼ぶ。光ファイバが一本であるが双方向に通信できる。
【0009】
送受信系には同時送受信するものと交互送受信するもの、1本光ファイバのものと、2本光ファイバのものがありうる。交互送信はピンポン伝送ともいう。図3の系はピンポン伝送にも使う事ができる。送信のタイミングと、受信のタイミングが違う。光ファイバは1本でも2本でもよい。上り系、下り系とも同じ波長の光信号を用いる事ができる。同一波長の光を使う場合、光分波器28、30とあるのは単にビームスプリッターにすぎない。交互送受信であるから送信信号が受信信号にノイズとして混入する恐れはない。だから送信部と受信部を遮断する必要はない。本発明はこれを対象としない。
【0010】
同時送受信の場合が問題である。図3の系は同時通信にも使える。光ファイバが一本だから上り系、下り系に異なる波長(λ1、λ2)の信号を使う。光分波器28、30は波長選択性を持つWDMである。
【0011】
図4に従来の加入者側の送受信モジュールの構成を示す。加入者側に図1のLDモジュール1と図2のPDモジュール15が設けられる。例えば、上り系は1.3μm光を用いる。下り系は1.55μm光を用いる。1本の光ファイバ34によって上り下りの信号が、基地局と加入者側の間で交換される。波長の異なる光を分離統合するのは、WDM37である。ここでは光導波路型のWDM37が示される。2本の導波路が結合部38でエネルギーを交換する。1.3μm光は直進し、1.55μm光は彎曲するようになっている。1.3μm光の上り信号は、LDモジュール1から光ファイバ9、光コネクタ41、光ファイバ36、WDM37、光コネクタ35から光ファイバ34を経て基地局へ送られる。
【0012】
1.55μm光の下り信号は、光ファイバ34、光コネクタ35、WDM37、光ファイバ39、光コネクタ40、光ファイバ21を経てPDモジュール15に入る。光ファイバが2本あっても良い。送信信号と受信信号が同じ光ファイバを通る(一本)あるいは異なる光ファイバ(2本)を通るということに拘らず、電磁波によって受信部が送信部の影響を受ける可能性がある。しかし、図1のLD、図2のPDのように金属パッケージに封入された独立の送信モジュール、受信モジュールと独立の駆動回路、増幅回路を使うならノイズの問題はない。図4のような従来の送受信モジュールの構成ではそれぞれが遮蔽されていて問題ない。
【0013】
図1のLDモジュール、図2のPDモジュールを使い図4のONU(加入者側)モジュールを作製した場合、レーザ回路(送信部)からのノイズが、PD回路(受信部)に侵入する心配はない。が、素子点数、部品点数がいかにも多い。またパッケージ面(ステム面)と光ファイバの方向が垂直である。光はパッケージ内でかなりの距離を空間伝搬する。だからレンズも必要になる。LDモジュール、PDモジュールだけでも大型であり、これらを組み合わせた送受信モジュールはいきおい大型な装置にならざるを得ない。PD、LD、駆動回路、増幅回路などの回路に高価な金属パッケージを用いるから高価格になる。大型高価格の光送受信モジュールを用いるかぎり光双方向通信が広く一般家庭にまで普及することはない。小型化低価格化は一般家庭まで遍く光通信が普及するためには必須である。
小型化のためにはPDとLDが別体ということは好ましくない。個々の部品を高価な金属パッケージに納めると廉価にはできない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
近年、LDチップとPDチップ(+AMPチップ)を一つの基板に実装して、小型低価格を実現する試みがなされるようになってきた。一つの基板にLDとPDを実装し、基板面に平行に光を伝搬させる。基板に同じ高さのLD、PD、導波路を設けるから平面実装と呼ぶ。図1、図2の素子とは光の伝搬方向が全く異なる。LD、PDだけでなく、AMPをも同一基板に設けることもある。PDの光信号を前置増幅するからノイズにより強くなる。
【0015】
一つの基板にLD、PD、AMPを置くので小型軽量にできる。チップ自体は小さいので接近して配置するとより小さい素子にすることができる。パッケージ(ケース)の数も一つに減るから安価にできる。パッケージの数を減らしてもセラミックパッケージにすると気密性はよいが安価にならない。もっとも低価格のパッケージはありふれた樹脂モールドである。モジュールの低価格化のためには樹脂モールドパッケージにしたいものである。
【0016】
このような形態において、LDの駆動電流が少ない(即ち近距離の通信)場合はあまり問題がない。しかし、遠距離通信のためにLDの駆動電流を増大すると雑音の問題が起こる。LDの電気信号が空間を伝わって、受信側に回りこみノイズとなる。LDの電流は大きく繰り返しの速いパルスであるから強い電波を発生する。受信部はPDとAMPよりなるが入力インピーダンスが高く増幅率が高いのでノイズを拾い易い。つまり送信部と受信部が電気的に結合しやすい構造である。これはクロストークということもある。雑音が強くなるから充分な受信感度が取れない。この問題は、LDとPD・AMPの距離が狭くなればより深刻になる。つまりモジュールが小型化すればするほどこれは重大な難点となる。
【0017】
小型安価であって、受信部を送信部ノイズから保護できる双方向光送受信モジュールを提供することが本発明の目的である。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の光送受信モジュールは、送信部と、受信部と、光ファイバの端部と、光ファイバ端部を送信部と受信部に結合する導波路とを有する送受信モジュールにおいて、金属メッシュ若しくは複数の穴を有する金属多孔板によって受信部が覆われ、且つ送信部、受信部、金属メッシュ或いは金属多孔板ともに樹脂モールドによって被覆され一体化されている。
【0019】
本発明は、受信部を多孔金属板、金属網によって覆い、送信部から、受信部を遮蔽する。金属網、多孔金属板によって送信部の発する強い電波から受信部をシールドする。有孔金属でおおうのは穴からモールド材が内部に侵入して受信部を稠密におおうことができるためである。単なるシールドだけなら金属板キャップをかぶせれば良い。しかし、金属キャップによって覆うとモールド工程で受信部に樹脂が入らず、受信部を樹脂によって被覆できない。本発明は穴のある金属板によって受信部を覆う。流動状態にある樹脂が外部から穴を通って受信部に侵入し固化する。つまり、流動する樹脂を通し受信部をもモールドするために穴のあるメッシュ、多孔板によって被覆する。穴が大きく数多くある方が樹脂は内部に侵入し易い。しかし穴が大きすぎると電波を遮蔽する作用が低下する。穴の数や大きさは流動状態の樹脂の粘度やノイズレベルによって適当に決めるべきである。セラミックパッケージなら金属板で受信部を単に覆えばいいが、セラミックパッケージは高価である。本発明の素子をモールド型のパッケージにするのは安価にするためである。
【0020】
送信部と受信部を一体化するとモジュールが小型化される。図1、図2、図4に示すような別体のものより小型になる。セラミックパッケージを使うと高価になる。しかし、本発明はセラミックパッケージを使わず、樹脂モールドパッケージとするので安価になる。
本発明は、PD、LDを同一基板上に固定し、樹脂モールドしており、受信部を有孔金属で覆うから、小型、安価、高信頼性の光送受信モジュールを提供することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
[実施形態 1(Y分岐導波路)]
図5〜図11によってY分岐導波路を持つ実施形態を説明する。図5はSiベンチ上の素子配置を示す。Siベンチ42はSi結晶の上にスパッタリングあるいは酸化法によって透明のSiO誘電体層を形成したものである。Siベンチ42のSiO層に屈折率を上げる不純物をドープして導波路43、44が形成される。導波路の近接部がWDM(波長分波器:導波路型光カプラ)45となっている。ピンポン伝送(交互伝送)でないから、2種類の波長λ1、λ2の光を用いる。WDM45は何れかを選択して導波路43、44に通す作用がある。図示していないがSiOの上にLDグランド、PD・AMPグランドのメタライズ面やその他のメタライズ配線が印刷されている。LDとPDのグランド面は別個のグランドである。これらグランドは外部回路において接続される。直線導波路43の終端において、LDグランド面にLDチップ46が固定される。導波路44の終端において、PDチップ47がPD・AMPグランドメタライズ面に固定される。PDに近接してAMP(前置増幅器)48がPD・AMPグランドメタライズ面に固定される。導波路43の始端には光ファイバ49の端部が接合される。
【0022】
LD46からの送信光(出力光)50は導波路43、WDM45、から光ファイバ49へと伝搬する。光ファイバからの受信光(入力光)51はWDM45、導波路44からPD47に伝搬する。リードフレームがあってこれらの素子の電極とワイヤで接続されるが、図5では図示を略している。平面導波路とWDMによって光を分配し、PDには1.55μm、LDには1.3μmを対応させる。一つの基板42に3つの素子を設けるから小型化できる。光の進行方向が基板やチップ面に平行であるから、いっそう小型化できる。
【0023】
PD47とAMP48よりなる部分が図6の受信部52である。LD46が送信部54である。図7のように受信部52に金属製の支柱55、56、57、58、59を建てる。支柱はコバール、ステンレスなどの金属である。支柱55〜59の上に金属製メッシュ53を貼り付ける。メッシュ53は図8に示すような網目構造を持つ。図6に示すように、メッシュ53によってPDとAMPが覆われる。PDもAMPもグランドメタライズの上に接合し、支柱は金属でありメッシュ53も金属であるから、PD47、AMP48は導体によって挟まれた状態になる。しかも支柱、メッシュはPDグランド電位である。外部の電波が入らない。だから外部のノイズを受けにくい。送信部のノイズからも保護されることになる。
【0024】
網目とする理由は流動状態の樹脂が受信部に侵入できるためである。図6でもリードフレームやワイヤの図示を略しているが、実際にはリードやワイヤがついている。これを型に入れ樹脂60を流し込んで固化する。この操作をモールドという。樹脂自体をモールドと呼ぶこともある。図10、図11はモールド後の受信部のみの断面図である。Si基板42の上に支柱55〜59があってその上にメッシュ53があるが、樹脂60は網目を通ってメッシュの下側にも入り受信部を隙間なく覆う事ができる。樹脂60の役割は、素子や基板を囲んで保護し水や気体の侵入を阻止するパッケージとなることである。図9は光送受信モジュール素子全体の正面図である。これは両側にピンを有する(DIP)プラスチックパッケージの素子となっている。ピン配置は任意である。光ファイバの一端がプラスチックモールド内部に埋め込まれた格好になる。メッシュは内部に隠れる。外部にはメッシュは露呈しない。光ファイバが付いている点を除けば通常のICと変わらない。だから取扱いは容易である。
【0025】
作用を述べる。送受信を同時に行うのでLD46には繰り返しの速いパルス電流が流れる。パルス電流は矩形波であるから、かなり高い周波数成分まで含まれる。しかも電流が大きいから強い電磁波が出る。受信部は増幅率が高くてインピーダンスが高いから電波の影響を受け易い。しかし、金属製のグランド面、支柱、メッシュなどグランド電位の金属によって受信部が囲まれているから電波が内部に入って来ない。支柱を使い、またメッシュを使うことによって後から樹脂モールドするときに隙間なく、樹脂が充填される。このため樹脂モールドで小型、低価格、高性能の光送受信モジュールが可能となる。
【0026】
上の例では金属網53を用いたが、ステンレスなどの多孔板を用いることもできる。図12は多孔板61を示す。適当な大きさの穴62を縦横に多数穿孔した金属板である。メッシュ53に代えて支柱に多孔板を固着する。送信部ノイズを遮蔽する機能は変わらない。
【0027】
[実施形態 2(直線導波路上向き分岐、多孔板+支柱)]
図13〜図15によって直線導波路とWDMフィルタとを用いた実施例を説明する。これは、1.3μm光と1.55μm光を分けるカプラを、多層膜フィルタによって実現するものである。図13はSiベンチ上に導波路や素子を配置した状態を示す平面図である。Siベンチ(プラットホーム)63は長方形の(001)Si単結晶基板である。中央近傍が少し高くなっており始端は2段に、終端部は1段階の段部がある。中央の高くなった部分に縦方向に直線の光導波路64が形成される。直線導波路の上にLD、PDを並べた点にこの素子の特徴がある。導波路64の終端に段部があり、ここへ直接にLDチップ65が固定される。LD65の発光部と導波路の高さを合致させるように段部の高さが決められている。LD65のさらに後方にモニタ用PDチップ66が固定される。LDチップ65から前方に出た光は導波路64を伝搬してゆく。後方に出た光はモニタPD66に入る。PD66はLDのパワーを監視し出力を一定に保つようにフィードバックを掛けるためのものである。LD65とモニタPD66が送信部である。
【0028】
光導波路64の半ばには受信用PD67が設けられる。PDチップ67のすぐあとに斜め上方を向いたWDMフィルタ68が光導波路64を横切るように設けられる。フィルタ68の傾斜角は例えば30度である。しかし、20度〜50度程度の角度であることもできる。WDM68は送信光はそのまま透過し、受信光は反射する作用がある。受信光はWDMフィルタによって斜め上に反射され、PDに裏面から入射する。PDの裏面に直接に入射させる事ができないときは、スペーサをSiベンチ63の上に置いてからPD67を取り付ける。PD67の近傍にAMP69を固定する。これはPD67の光電流を前置増幅するものである。PD67とAMP69が受信部52である。
【0029】
光導波路64の前端には2段の段部がある。光導波路64に近い方には浅いV溝70が穿たれる。遠い方の段部にはより深いV溝71が穿たれる。光ファイバ72の先端の一部の被覆を剥し芯線73(クラッド+コア:例えば125μm径)を露呈させる。芯線73をV溝70に入れる。被覆部分(例えば0.9mm径)を大きいV溝71に挿入する。光導波路64に光ファイバのコアが合致するようにV溝70、71、光導波路64が予め形成されている。だから光ファイバ72をV溝70、71に固定すれば自動的に調芯される。
【0030】
V溝は異方性エッチングによってSi基板63の上の形成される。Siベンチ63は(001)単結晶であるから{111}面方向のエッチング速度が遅いエッチング液によって{111}面だけを露出させることができる。溝は(1−11)面と(−111)面を組み合わせたV溝となる。傾斜角は54.7度であり、谷の挟角は70.5度である。Si基板63にはメタライズパターンが印刷あるいはフォトリソグラフィによって設けられる。PD67、AMP69はPDグランドメタライズの上に固定される。LD65はLD用のグランドメタライズに固定される。PDグランドとLDグランドは別異のものである。これらは外部で接続され共通のグランドとなるがSi基板63の上では別のグランド面とする。LDの影響からPDを切り放すためである。その他にも配線用のメタライズパターンがある。これらメタライズパターンの図示は省略している。
【0031】
受信部のグランド面にはステンレス、コバールなど金属製の支柱74〜78が固定される。支柱もグランド電位になる。この例では、支柱74はステンレスで0.5mm×4.5mm×1mmHである。支柱75〜78もステンレスで0.5mm×0.5mm×1mmHである。この高さは、LDやPDチップの高さ(厚み)が約0.2mmから0.3mmと薄いためである。図15のように支柱74〜78の上には、多孔板61が接着されている。これは本発明の目的であるPD部の遮蔽のためである。
【0032】
この例では、多孔板もステンレス製で厚み0.1mm、縦横4.5mmである。穴はエッチングによって穿孔する。プレス加工で穿孔する事もできる。穴径は樹脂の通る限り細かい方が良い。例えば直径0.3mmとする。多孔板を取り付けた状態を図14に示す。受信部の全体が多孔板61によって覆われる。
【0033】
送信部のLD65とモニタPD66は透明樹脂79で覆ってある。LDからの光をPDまで導光する必要があるからである。さらに全体を不透明の樹脂80によってモールドしてある。この状態は図15に示す。多孔板61には多数の穴62があるから流動性のある樹脂は穴を通って受信部52に回り込む。支柱の隙間からも樹脂が侵入できる。遮蔽部の内外に等しい密度で樹脂が充填される。遮蔽物をメッシュや多孔板にするのは事後的な樹脂注入によって遮蔽物の内部をもモールドするためである。
【0034】
透明樹脂79はたとえばシリコーン系樹脂とする。モールドの樹脂80は硬化性に優れたエポキシ樹脂を例えば用いる。樹脂80で全体をモールドし、リードフレームも樹脂80で支持される。セラミックパッケージや金属パッケージを使わず、プラスチックパッケージ(樹脂モールド)とするのは安価にするためである。
図20は完成した素子の平面図である。図21は正面図、図22は左側面図である。光ファイバが付いているが通常のDIP型のプラスチックパッケージ素子となっている。
【0035】
図13のモジュールの構成は以上のようである。その製作手順を述べる。Siベンチ(約15mm×5mm;(001)面)上に左から2段の段部、右に1段の段部を形成する。エッチングあるいは研磨によって段部を作ることができる。左の2段の段部には異方性エッチングによって光ファイバ固定のためのV溝71、70を形成する。中央の高原部には表面近くに中心線にそって光導波路を形成する。まずSiOの透明層を作り屈折率を上げる不純物をドープして光導波路を作る。斜め溝を光導波路の途中に穿つ。斜め溝にWDMフィルタを挿入する。その前方直近位置にスペーサを介して受信用のPD67を半田づけする。透明樹脂によってスペーサ部分を満たす。受信用PD(D−PD)はInGaAs−PDである。その近傍にAMPチップ69を固定する。
【0036】
右側の段部のメタライズ上で光導波路の終端にLDチップ65を半田付けする。これはInGaAsP−LDチップである。その後方にモニタ用InGaAs−PD66をメタライズ上に半田付けする。LD65とPD66の間には透明樹脂79を滴下し透明光路を確保する。
【0037】
メタライズ配線と、PD67、66、AMP69、LD65の電極パッドをワイヤボンディングによって接続する。支柱74〜78を受信部52のグランドメタライズ面に建てる。多孔板61を支柱74〜78に固定する。多孔板61と支柱はグランド電位である。PD67とAMP69は多孔板61と支柱74〜78、グランドメタライズ面によって囲まれ、静電遮蔽される。
【0038】
リードフレーム(図13〜図15では省略)の中央部にSiベンチを固定し、おのおののリードピンとメタライズ配線とをワイヤボンディングによって接続する。
【0039】
ついで光ファイバ72の芯線73を小V溝70に、被覆部分を大V溝71に挿入しエポキシ樹脂で固定する。溝に差し込んで固定するから光ファイバ調芯の必要がない。
【0040】
最後にSiベンチを含む全体を樹脂モールドして素子を完成する。例えばエポキシ樹脂を用いる。こうして図20〜図22に外観を示すような光送受信モジュール97が完成される。
【0041】
リードピン98〜107は内部のPD、LD、AMPと外部回路を接続するものである。ピン数は内部の回路によって多少異なる。例えば最低本数は次のように決まる。LD・PD(モニタ用)グランドで1ピン、LDの駆動電流のために1ピン、モニタPDのために1ピン、PD・AMPグランドで1ピン、検出用PDのバイアスで1ピン、AMPで2ピンというように最低7ピン必要である。同じグランドを2本〜3本とったり、AMP電源を2電源タイプにしたりするともっと多くのピンが入用になる。ここでは10ピンのものを図示した。プラスチックパッケージ(モールド)は側稜線が面取りされている。しかし、別段面取りする必要はない。
【0042】
この例の送受信モジュールの受信PDと、送信LDの間隔は、約5mmである。近接しているが、シールド板61(と支柱とグランドメタライズ)のおかげで、155Mbps伝送の時、LDからのファイバ出力が0dBmの時でも、最小受信感度は−35dBm程度であった。LDパワーが大きくても受信部は送信部ノイズから保護されているということである。
【0043】
これはLDとPDを組み合わせた一例であり、PDとLDのペアを並べた複数本の光ファイバによる送受信モジュールのようなものでも本発明の効果は同じである。
【0044】
[実施形態 3(直線導波路上向き分岐、多孔蓋)]
図16〜図17によって直線導波路とWDMフィルタと多孔蓋を用いた実施例を説明する。実施形態2と殆ど同じであるが、遮蔽構造がより洗練されている。これは支柱のようなものは使わない。図16のような多孔板の4辺を折り曲げた蓋体を使う。図12の多孔板61と比較して図16の多孔蓋86は、より便利な形状になっている。薄板よりなり、天板87、側板88、折り返し縁89を有する。天板87には多数の穴90が穿たれる。側板88にも穴91が穿孔されている。例えばステンレス薄板(0.1mm厚み)であって4.5mm×4.5mm×1mmHである。穴90、91は樹脂を通すためのものである。
【0045】
図17は光送受信モジュールの断面図である。図15と殆ど同じである。支柱がなくて、多孔板86の縁89を直接にPD・AMPグランドメタライズに半田付けしている。ここだけが違う。その他の構造は同じである。Siベンチに段部があって、中央に光導波路64がある。光導波路の後方には送信部のLD65、PD66がある。光導波路64の半ばにWDM68がありPD67が取り付けられる。光導波路64の始端に光ファイバ72のコアが対向するよう固定される。メタライズパターンはワイヤによってリードフレームと接続される。Siベンチ、リードフレームなどを含む全体が樹脂モールドされている。
【0046】
中央の光導波路64に送受信光が伝搬し、WDMフィルタ68によって受信光だけが反射されて直前にあるPDに入射する。レーザ(LD65)からの送信光は光導波路64を直進しWDMをそのまま通り抜けて光ファイバ72に入る。
【0047】
[実施形態 4(直線導波路上向き分岐、金属網蓋、送信部遮蔽)]
図18〜図19によって直線導波路とWDMフィルタと金属網蓋を用いた実施例を説明する。実施形態2、3と似ているが、遮蔽構造がメッシュ(金属網)蓋92になっている。さらにこの実施形態4は送信部をもメッシュで覆っている。受信部と送信部の遮蔽をより完全にするためである。
【0048】
これも支柱のようなものは使わない。図18のような金属網(メッシュ)板の4辺を折り曲げた蓋体を使う。図8のメッシュ53と比較してより便利な形状になっている。メッシュ蓋92は天板93、側板94、縁95を有する。網であるから全ての面に穴が多数存在する。穴から樹脂を受信部、送信部へと通すことができる。
【0049】
図19は光送受信モジュールの断面図を示す。構造は図15、図17のものと殆ど同じである。PD67を含む受信部にメッシュ蓋92が半田付けされる。LD65、モニタPD66を含む送信部にメッシュ蓋96が半田付けされる。送信部は透明樹脂79を流して固化してからメッシュ蓋96によって覆う。さらにSi基板63、リードフレームなどを型に入れ、流動性のエポキシ樹脂を注入し樹脂を固化すると、図20〜図22のようなDIP型のプラスチックパッケージの光送受信モジュール97が得られる。
【0050】
【発明の効果】
本発明の光送受信モジュールは受信部と送信部が同じ基板上に設けられるので小型化できる。図1、図2、図4に示すような個別のモジュールを組み合わせたものより格段に軽量小型になる。高価な金属パッケージやセラミックパッケージを使わず樹脂モールドによって素子形成するから製造容易で安価な素子になる。双方向光通信網が普及するために装置が安価であるということは重要である。反面金属の個別パッケージを使わないと送信部と受信部の結合が起こり易く、クロストークが深刻になる。ところが本発明は、金属メッシュ、金属多孔板によって受信部を覆っているから送信部からの電波が遮断され、受信部にノイズとして侵入しない。雑音レベルが低いので受信感度が高くなる。平面実装タイプであるから製造容易である。つまり本発明によって、低コストで、小型、高性能の光送受信モジュールが工業的に量産できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 金属製ケースに収容された従来例に係るLDモジュールの縦断面図。
【図2】 金属製ケースに収容された従来例に係るPDモジュールの縦断面図。
【図3】 双方向光通信システムの概略図。
【図4】 従来の加入者側の光送受信モジュールの構成例図。
【図5】 分岐導波路を有するSiベンチの上に送信部と受信部を合体して設けた光送受信モジュールのベンチ部分の平面図。
【図6】 分岐導波路を有するSiベンチの上に送信部と受信部を合体して設け、受信部をメッシュによって覆った光送受信モジュールのベンチ部分の平面図。
【図7】 図5の光送受信モジュールにおいて受信部に支柱を設けた状態の平面図。
【図8】 受信部を覆うためのメッシュの平面図。
【図9】 図6の送受信部を有するSiベンチを樹脂モールドによって覆い、光送受信モジュール単体としたものの正面図。
【図10】 図9の光送受信モジュールの受信部のみの縦断右側面図。
【図11】 図9の光送受信モジュールの受信部のみの縦断正面図。
【図12】 メッシュに代わって受信部を覆うべき金属多孔板の平面図。
【図13】 直線導波路を有するプラットフォーム(基板)の直線導波路上に、PD、AMP、WDMフィルタ、LD、モニタPDを設け、支柱を取り付けた状態の基板の平面図。
【図14】 直線導波路を有するプラットフォーム(基板)の直線導波路上に、PD、AMP、WDMフィルタ、LD、モニタPDを設け、支柱を取り付け、支柱の上に金属多孔板を固定した状態の基板の平面図。
【図15】 直線導波路を有するプラットフォーム(基板)の直線導波路上に、PD、AMP、WDMフィルタ、LD、モニタPDを設け、支柱を取り付け、支柱の上に金属多孔板を固定し、全体を樹脂モールドして光送受信モジュールとしたものの一部縦断面図。
【図16】 受信部を覆うべき多孔蓋の斜視図。
【図17】 直線導波路を有するプラットフォーム(基板)の直線導波路上に、PD、AMP、WDMフィルタ、LD、モニタPDを設け、PDとAMPよりなる受信部を多孔蓋によって覆い、全体を樹脂モールドして光送受信モジュールとしたものの一部縦断面図。
【図18】 受信部を覆うべきメッシュ蓋の斜視図。
【図19】 直線導波路を有するプラットフォーム(基板)の直線導波路上に、PD、AMP、WDMフィルタ、LD、モニタPDを設け、PDとAMPよりなる受信部をメッシュ蓋によって覆い、LDとモニタPDよりなる送信部をもメッシュ蓋で覆い、全体を樹脂モールドして光送受信モジュールとしたものの一部縦断面図。
【図20】 図15、図17、図19に断面図を示す光送受信モジュールの外観の平面図。
【図21】 図15、図17、図19に断面図を示す光送受信モジュールの外観の正面図。
【図22】 図15、図17、図19に断面図を示す光送受信モジュールの外観の左側面図。
【符号の説明】
1 LDモジュール
2 ステム
3 ポール
4 LDチップ
5 PDチップ
6 レンズホルダー
7 レンズ
8 フェルールホルダー
9 光ファイバ
10 フェルール
11 ピン
12 ピン
13 ピン
14 キャップ
15 PDモジュール
16 ステム
17 PDチップ
18 キャップ
19 レンズホルダー
20 フェルールホルダー
21 光ファイバ
22 フェルール
23 ピン
24 ピン
25 ワイヤ
26 レンズ
27 光ファイバ
28 光分波器
29 光ファイバ
30 光分波器
31 光ファイバ
32 光ファイバ
33 光ファイバ
34 光ファイバ
35 光コネクタ
36 光ファイバ
37 WDM
38 結合部
39 光ファイバ
40 光コネクタ
41 光コネクタ
42 Siベンチ
43 光導波路
44 光導波路
45 導波路型光カプラ(WDM)
46 LD
47 PD
48 AMP
49 光ファイバ
50 出力光
51 入力光
52 受信部
53 メッシュ
54 送信部
55 支柱
56 支柱
57 支柱
58 支柱
59 支柱
60 樹脂モールド
61 金属製多孔板
62 穴
63 プラットフォーム (Siベンチ)
64 直線導波路
65 LDチップ
66 モニタPDチップ
67 PDチップ
68 WDMフィルタ
69 増幅器
70 V溝
71 V溝
72 光ファイバ
73 芯線
74 支柱
75 支柱
76 支柱
77 支柱
78 支柱
79 透明樹脂
80 固定樹脂
81 リードピン
82 リードピン
83 リードピン
84 リードピン
85 リードピン
86 多孔蓋
87 天板
88 側板
89 縁
90 穴
91 穴
92 メッシュ蓋
93 天板
94 側板
95 縁
96 メッシュ蓋
97 光送受信モジュール
98〜107 リードピン

Claims (5)

  1. メタライズ配線を有するSi基板と、Si基板に固定された光入出力部分と、光入出力部分からSi基板上を後方に伸びるように形成された直線状導波路と、Si基板の上で直線状導波路の終端に設けられたInGaAsP系レーザダイオード(LD)よりなり送信光を発生する送信部と、直線状導波路の途中に導波路に直交し斜め上向きに設けられ送信光を通し受信光を反射する波長選択フィルタと直線状導波路の途中においてその上に設けられ波長選択フィルタによって反射された受信光を受信するInGaAs系フォトダイオード(PD)とフォトダイオード(PD)の受信信号を増幅するSi又はGaAs系増幅器とよりなる受信部と、レーザダイオードを覆わずフォトダイオードと増幅器と波長選択フィルタを覆い受信部グランドと接続された有孔金属板と、Si基板、送信部、受信部、有孔金属板、リードフレームを被覆し一体化する樹脂モールドとよりなり、樹脂は有孔金属板の穴を通過して受信部に侵入し受信部を充填している事を特徴とする光送受信モジュール。
  2. 受信部と送信部が異なる波長で動作することを特徴とする請求項1に記載の光送受信モジュール。
  3. 光入出力部分が、1本の光ファイバ若しくは導波路よりなることを特徴とする請求項1または2に記載の光送受信モジュール。
  4. 送信光が1.3μm帯、受信光が1.55μm帯であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光送受信モジュール。
  5. 送信光が1.55μm帯、受信光が1.3μm帯であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光送受信モジュール。
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