JP3637229B2 - 電子線描画装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子線描画装置に係り、試料上に所望の成形ビームを照射するために、複数のマスク開口を使用して、該電子ビームを成形する時における該装置の描画速度と描画精度の向上した高速な電子線描画装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4、5を参照して、従来の技術における電子線描画装置を説明する。
図4は、従来技術における電子線描画装置の説明図、図5は、図4の電子線描画装置の描画手順を示すフロチャートである。
従来の電子線描画装置の構成は、1は、電子線を放射する電子源、2は、電子源1からの電子線を成形ビームに成形する第1マスク、3は成形ビームの寸法を制御する成形偏向器、4は、成形レンズ、5は、成形ビームを所定時間だけ不動作にするブランカ、6は、可変成形開口21と一括図形開口22を備えた第2マスク、7は、縮小レンズ、8は、成形ビームの位置を制御する位置決め偏向器、9は、成形ビーム、10は、対物レンズ、11は、各種情報を受けて処理するデータ制御回路11、12は、試料、13は、試料台、14は、試料台の位置決め機構、15は、成形偏向器3を制御する成形偏向制御回路、16は、位置決め偏向器8を制御する位置決め偏向制御回路、17は、試料台位置制御回路、18は、各偏向器、各レンズ等を制御すると共に、これらを制御する各種データを格納する制御計算機、19は、制御情報回路24から制御情報を受け、開口偏向の有無を判断し、選択偏向器を制御する開口選択制御回路、20は、選択された開口を照射するように成形ビームを偏向する開口選択偏向器、21は、第2マスク上の可変成形開口、22は、第2マスク上の一括図形開口、照射制御回路23は、整定待ち時間だけブランカ5を制御して照射を制御する照射制御回路、24は、制御計算機18からの各種情報を受けて処理し記憶する制御情報回路である。
【0003】
図4について、電子線描画装置の動作を簡単に説明する。
電子源1より照射された電子線は収束ビームとなり、さらに、成形用の第一マスク2を透過し、成形ビーム9となり、成形レンズ4、成形偏向制御回路15で制御される成形偏向器3で所定の成形ビームとなり、ブランカ5、開口選択制御回路19で制御される偏向開口選択偏向器20で選択された第二マスク6上の可変成形開口21および一括図形開口22に照射されることになる。第二マスク6に照射された成形ビーム9は、縮小レンズ、対物レンズ10、位置決め偏向制御回路16で制御される位置決め偏向器20で試料上12の所望の位置に位置決めされる。
また、該データ制御回路11内の制御情報回路24は、制御計算機18からの各種情報を受けて処理し、制御情報を記憶し、照射制御回路23は、一定の整定待ち時間となるように照射を制御している。
なお、図4においては、電子源1等への電源、電源および制御計算機18からの各部材への接続配線は、後に述べる本発明の特徴点と関連する部材以外は、図示が省略されている。
【0004】
図5のフロチャートを参照して描画工程を詳細に説明する。
ステップ(以下、Sという)1において、該成形ビーム9が第二のマスク6に照射され、描画が開始されると、制御計算機18に格納されている種々のデータがデータ制御回路11に転送される。該制御計算機18は、試料12上に照射するための種々情報を予め格納し、データ制御回路11内の制御情報回路24に転送、情報処理を行わさせる。
該データ制御回路11は、制御情報回路24と照射情報回路23とからなり、この両回路は、該転送された種々のデータから電子線描画装置の制御情報を演算する。
【0005】
S2において、該制御情報回路24は、転送された種々の描画データ:図形データ、図形データ、図形座標、描画手順等の電子線描画装置における描画を制御するためのデータを受信する。
S3において、該制御情報回路24は、該描画データを処理し、開口選択情報、WH寸法情報、X、Y座標情報、照射時間情報、制御手順情報等を演算し、該演算結果を記憶する。
【0006】
S4において、該制御情報回路24は、制御手順情報により、各回路:開口選択制御回路19、成形偏向制御回路15、位置決め偏向制御回路16、照射制御回路23に、開口選択情報、WH寸法情報、X、Y座標情報、照射時間情報等を出力する。
S5において、該開口選択制御回路19で該開口選択情報より該開口変更の有無を判断する。該開口変更がないと判断された場合は、S6に進む。
S6において、該開口選択制御回路19で、該開口選択情報を処理し、選択偏口器20を制御する。
【0007】
次に、S7において、成形寸法に関する情報、すなわち、W、H寸法情報が成形偏向制御回路15で処理され、該W、H寸法情報に基づく偏向電圧が、成形偏向器3に、成形ビーム9が試料12上で指定寸法となるように荷電され、該第二マスク6の可変成形用開口21を透過する。
【0008】
さらに、該第二マスク6の可変成形用開口21を透過した成形ビーム9は、縮小レンズ7にて縮小され、制御情報回路24からの偏向位置情報、すなわちX、Y座標情報を位置決め偏向制御回路16で処理する。該偏向制御回路16は、該処理されX、Y座標情報に基ずき、位置決め偏向器8に偏向電圧を設定する。位置決めに関する情報、すなわち、X、Y寸法情報が位置決め偏向制御回路16で処理され、該X、Y寸法情報に基づく偏向電圧が、成形偏向器8に偏向電圧を設定する。成形ビーム9が試料12上で指定位置を照射するように荷電される。この状態で、照射制御回路23でブランカが制御され、S7で照射が中断させている状態である。
【0009】
一方、S5における該開口変更がないと判断された場合には、S5bに進み、ここでは、制御情報回路24から成形ビーム9の整定待ちの時間がなく、前記S7の状態になると、直ちに、S8へ進む指令信号を出力する。
【0010】
また、S5において、該開口選択制御回路19で該開口変更が有りの場合は、S5aに進む。S5aにおいては、制御情報回路24から成形偏向制御回路15、位置偏向制御回路16の再設定して起動するよう指令され、S6、S7に進むことになる。
また、該開口選択制御回路19で該開口変更が有りの場合は、S5cに進む。この場合、該開口の変更内容によらず、一定時間の成形ビーム9の整定待ち後、S8へ進むように照射制御回路23から指令信号を出力する。
【0011】
次に、いずれ場合においても進むS8では、制御情報回路24からの照射時間情報を照射制御回路23で処理し、成形ビーム9の照射時間を決定し、電子源1とブランカ5を制御する。
このようにして、成形ビーム9は、指定位置に偏向され対物レンズ10を通して、試料台13上の試料12に照射される。試料台13の移動は、試料台位置決め機構14と試料台位置制御回路17により、制御計算機18からの指定信号で実施される。
【0012】
さらに、S9において、1ショツトの描画が完となれば、S10に進む。
S10において、制御計算機18が全制御手順が完了したかどうかを判断し、YESであれば終了とし、NOであればS4に戻り、前記同一手順を再び繰り返し描画することになる。
【0013】
このようにして、該成形偏向制御回路15と該位置決め偏向制御回路16に対して、該試料12上に該成形ビーム9を照射する毎に、データが設定され、該データに基いたタイミングで、該ブランカ5がOFF/ONして、該成形ビーム9の照射が、試料12上に繰り返し行われる。
そして、前記制御計算機18による成形ビーム9の制御と試料台13の制御により、該試料12上の指定された位置に指定された形状のパターンを描画することができる。
【0014】
次で、さらに、図2を参照して描画手順を詳しく説明する。図2は、電子線描画装置に用いられるマスクの詳細図である。
まず、可変成形開口41を用いる場合について説明する。
第一マスク2を透過して成形された矩形成形基準ビーム42の電子ビームエッジが、そのまま、第二マスク6の可変成形用開口部41を通り抜ける。該矩形開口41と反対側の電子ビームエッジは、第二マスク6の矩形開口41によって切り取られ、角部が構成され、矩形成形ビーム43となる。
【0015】
すなわち、可変成形ビーム43の場合、電子ビーム形状は、第一、第二の両マスク2、41によって成形されることになる。したがって、透過し形成されたビーム43の寸法精度は、二つの第一、第二の両矩形開口2、41の位置決め偏向精度の値に関連してくることになる。
【0016】
次ぎに、一括図形開口、例えばE開口39を使用する場合を説明する。
前記第二マスク6上に前記可変成形用開口41と共に、試料12上に形成する図形を一括照射するための一括図形開口29〜40が設けられている場合の処理を説明する。
【0017】
データ制御回路11の制御情報回路24は、制御計算機18から転送されたデータを処理した照射時間情報中に、現在出力しているデータ情報の次の出力情報に一括図形開口39を使用する情報を検出した場合、照射時間情報を照射制御回路23に送り、該照射制御回路23で電子線描画装置の描画を一旦中断する。
【0018】
そして、制御情報回路24から開口選択制御回路19に開口選択情報を送出し、開口選択制御回路19は、送られたきた開口選択情報に応じて、開口選択偏向器20に信号電圧を出力して、第二マスク6上で使用する一括図形、E開口39に成形ビームが照射されるように偏向させる。
【0019】
上記一連の制御は、所定の一括図形用開口39を使用した描画中に、別の一括図形用開口の一つを使用する開口選択情報や、可変成形用開口41を使用する開口選択情報を検出した場合も同様に処理される。
開口選択偏向器20の出力が安定したら該照射制御回路23の指令信号より照射を再開し、順次描画がされる。
上記描画において、試料12に照射される電子ビーム9の寸法は、例えば第二マスク6のE開口39の形状だけで決定する。
【0020】
一括図形開口、例えばE開口39の使用時には、第一マスク2で成形された電子ビームである一括図形形成基準ビーム44より狭い一括図形開口を用い、例えば、第二マスク6のE開口39を用いて照射すると、一括図形成形ビーム45が試料12上に照射される。したがって、透過したビーム寸法精度は、第二マスクへの位置決め偏向精度にのみ依存するといえる。このことは、図示の例えば、一括図形開口であるF開口29からL開口40のいずれかを使用する場合は、上記例示したE開口39が使用されると同様の方法である。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
近年、上記した如く、電子線描画装置において、試料面上に形成するパターンを拡大した開口をマスク上に設け、複雑な形状の図形でも、一回の電子ビームの照射で該試料面を露光する、いわゆる一括図形露光方式が採用されて実施されている。
【0022】
該一括図形露光方式では、マスク上に一括図形用の多数の開口を設け、その開口を順次切り換えて、試料上への照射を行う方式が取られている。
一般的に、マスクは、該一括図形用以外に、前記可変成形用の矩形開口を設けておき、前記一括図形と併用しながら試料への照射が行われていた。
【0023】
しかし、この併用方式では、一括図形同士もしくは一括図形と可変成形方式の切り換えを行うために、電子ビーム光学系の収束ビームを偏向器等を用いて偏向させ、該収束ビームのマスク上の照射位置を変えている。
【0024】
その際、この偏向器等の応答遅れがあるため、該収束ビームが該収束ビームの照射位置に整定するまでの間、該収束ビームが、該試料への照射されることを中断して、待っていなくてはならないということがあり、この間の待ち時間が、電子線描画装置の運用上の無駄時間となり、該電子線描画装置のスループットの阻害要因となっていたという問題があった。
【0025】
このような問題を解決するための第一の手段は、該複数のマスク上の開口の配列の工夫がされていた。例えば、使用頻度の高い一括成形開口を、順次可変成形用の矩形開口からの移動距離が短くなるように配置したり、もしくは該一括成形開口の内、組み合せて使われることの多い開口は、隣り合せて配置する等の配慮をすることである。
【0026】
また、一括図形開口から他の一括図形開口もしくは一括図形開口と可変成形開口の切り換え時に、発生する待ち時間を極力押さえる方法等、例えば、整定時間の短い偏向器を採用したり、照射時の開口選択順番を考慮して、描画手順データを生成する等が提案されていた。
【0027】
しかし、上記各方式では、マスク上を電子ビームが移動する距離の違いもしくは一括図形開口と可変成形図形開口でのビーム成形方法による整定時間の長さの違いおよび上記複数のマスクの一括図形開口を使用して描画する場合の精度と一つのマスクの可変成形図形開口を使用して描画する場合の精度の差による整定時間の違いに関しては考慮されてはいなかったという問題点があった。
【0028】
従来の技術では、該マスク開口の変更時には、その変更内容によらず、一定の照射中断時間しか設けられておらず、該一定の照射中断時間は、最大の整定待ち時間に基いて設定されているため、電子線描画装置の運用上の無駄時間となり、スループットの阻害要因となるという問題点があった。
【0029】
また、上記該マスク開口の変更時に最大の整定待ち時間に基く電子線描画装置の運用上の無駄時間を省くため、照射中断時間を可変とするものもあったが、可変成形図形開口だけであり、概可変成形図形開口に加えて、一括図形開口も用いられる場合については具体化されておらず、高速描画、高精度描画の障害となっていたという問題点があった。
【0030】
本願発明は、かかる従来技術の問題点を解決するためになされたもので、複数のマスク開口を自由に、すなわちマスクの大きさ・数量やマスク上の開口数等による制限なしに用いながら、電子線描画装置のスループット低下を招かずに、且つ高速描画を行うと共に、高精度描画ができる電子線描画装置を提供することをその目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る電子線描画装置の構成は、電子源と、電子ビームを形成させる収束手段と、該電子ビームを偏向させる偏向系と、該偏向させた収束ビームを複数のマスクの開口エッジを用いて所定の図形の電子ビームに可変成形する第一の成形手段と、該電子ビームを複数の一括図形成形用の開口を有するマスク上の一つの開口を選択して一つの一括図形の電子ビームに成形する第二の成形手段と、これら第一、第二の成形手段を切換える切換手段と、該第一の成形手段および/もしくは第二の成形手段による該図形の電子ビームを投影し、試料上にパターンを描画する描画手段と、これらを制御する制御用計算機とからなり、
前記制御用計算機は、前記マスク上の開口の使用順序を予め記憶し、この使用順序に応じて電子ビームの整定待ち時間を変更する制御手段を備え、この制御手段により、前記描画手段で試料上に所望パターンを描画する際、前記切換手段による前記第一、第二の成形手段の切換え時のマスクの移動時間を含む電子ビーム整定待ち時間を制御し、且つ前記第一の成形手段(可変成形開口)から前記第二の成形手段(一括図形成形開口)に切換える時の電子ビーム整定待ち時間を、前記第二の成形手段から前記第一の成形手段に切換える時の電子ビーム整定待ち時間よりも短く制御するようにしたことを特徴とするものである。
【0032】
前項記載の電子線描画装置において、該切換え手段による切換えで、該電子ビームを複数の成形手段の所定の第一の開口から所定の第二の開口へ移動する際、予め演算もしくは実測を行った該二つの開口間のビーム偏向移動量を記憶させ、該記憶させた移動量に応じて該マスクの移動時間を含む該整定待ち時間の長さを制御する制御手段を具備させたことを特徴とするものである。
【0033】
前項記載の電子線描画装置において、該切換え手段による切換えで、該電子ビームを複数の成形手段の所定の第一の開口から所定の第二の開口に移動する際、実時間処理で求めた該二つの開口間の該ビーム偏向移動量を該移動量に応じて該マスクの移動時間を含む該整定待ち時間の長さを制御する制御手段を具備させたことを特徴とするものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の概要は、マスク上の開口を選択する際、電子ビームが移動する距離、あるい一括図形と可変成形図形の描画手段切り換え等の、開口選択状況に応じて最適な整定待ち時間、すなわち照射中断時間等を制御することで無駄時間を減らして、装置のスループット向上と描画精度向上を達成することにある。
図1は、本発明に係る電子線描画装置の説明図、図2は、本発明に係る電子線描画装置において用いられる可変成形矩形ビームと、一括図形ビームを備えた第二マスクの説明図である。図3は、本発明に係る電子線描画装置のフロチャートである。
【0035】
本発明に係る電子線描画装置においては、図4に示す従来における電子線描画装置と共通部分については、再度の説明は煩瑣となるので省略し、特徴部分である電子線描画装置のデータ制御回路、図4に示すS5cの代わりのS5d〜7dを中心にして説明する。
【0036】
本発明に係る電子線描画装置のデータ制御回路11内には、制御計算機18からの各種情報を受けて処理し、記憶する制御情報回路24と、この制御情報回路24から出力される開口選択情報を監視して検知し、検知情報を出力する開口情報検知回路25と、この検知情報から開口間情報や移動距離データを内蔵する記憶部から選択して照射間情報を出力する照射情報記憶回路26と、この照射間情報を処理することにより照射待ち時間情報を出力する照射情報制御回路27と、制御情報回路24から出力される照射時間情報と、照射情報制御回路27からの照射待ち時間情報と整定待ち時間を判断して照射を制御する照射制御回路23とが設けられている。
【0037】
実際において、整定待ち時間を判断し、照射を制御する照射制御手段としては、遅延素子の使用、記憶素子の使用、カウンタの使用、演算素子の使用等が考えられるが、回路構成の手段はどのような回路構成を使用しても差し支えない。
また、用いられる開口の番号を記憶する記憶手段や認識する認識手段や番号の付け方等も、上記同様に問わない。
【0038】
図3を参照して、描画時の偏向制御動作を説明する。図3は、本願発明に係る電子線描画装置における描画動作のフローチャートの説明図である。
従来方式では、描画を開始すると、図5のフローチャートのS1からS10までに説明した如く、制御計算機18から描画データを出力し、データ制御回路11で受信し、受信データの処理が行われる。
【0039】
該処理された受信データは、制御手順情報により各制御回路19、15、16を介して開口選択偏向器20、成形偏向器3、位置決め偏向器8に制御情報を出力する。この制御情報で、開口変更有りを検出すると、該偏向器等の制御と並行して、どんな変更状況であっても、照射の一定時間待ちを起動していたが、本願発明では、開口選択情報より開口の変更状況を判断し、最適な待ち時間を起動するものである。
【0040】
図3のフローチャートにおいて、S5において、開口選択情報に開口変更の有無を判断する。
開口変更が無しと判断されると、開口変更が無しの制御情報回路24の信号で、従来技術の図5に示すフローチャートと同様にS6〜S7に進み、さらに、S5bの成形ビームの整定待ちの起動なしにより、直ちにS7からS8〜S10に進むことになる。
【0041】
制御情報回路24で、該開口変更が有りと判断され、且つ全偏向器の再設定起動の信号が出力され、従来技術の図5に示すフローチャートで説明したと同様に、S6〜S7に進み、全偏向器、すなわち、開口選択偏向器20、成形偏向器3、位置決め偏向器8が制御されてその状態で停止している。
一方、該制御情報回路24の開口変更が有りの判断信号でS5dに進む。S5dにおいては、開口情報検知回路25でどの開口に変更するかの開口変更情報を出力し、S6dに進む。
【0042】
S6dにおいては、照射情報記憶回路26が該開口変更情報を処理し、整定待ち時間情報を出力し、S7dに進む。
S7dにおいて、照射情報制御回路27は、該整定待ち時間情報で整定待ち起動を行ない、S8〜S10に進むことになる。
【0043】
本実施形態の特徴点を詳細に説明する。
本実施形態においては、マスク開口の大きさが最大偏向量より大きい場合や一括成形図形用の開口選択に複数マスクを使用する場合のマスク開口の移動等が必要な場合、移動後の偏向器等の応答遅れを移動中の中断時間も加えて、整定するまでの間の試料への照射中断時間を設定することもできる。
【0044】
さらに、前記のことから、可変成形開口を用いる場合は、透過したビームの寸法精度は、二つのマスクへの位置決め精度値に依存し、一括成形開口を用いる場合は、第二マスクへの位置決め精度値に依存することから、可変成形開口から一括図形開口へのビーム位置の偏向は、一括図形開口から可変成形開口への偏向に比べて、粗くてよいことが分かる。つまり、第一マスク2を透過して成形されたビーム位置は、該位置に多少の揺らぎがあっても、第二マスクの一括図形開口を透過する時には問題にならないことになる。
【0045】
これは一括図形形成基準ビーム44が一括図形開口E39より充分大きい場合においては、一括図形開口E39に対する成形ビームの位置精度は、矩形成形開口に対する成形ビームの位置精度より粗くても、一括図形成形ビーム45への影響はないということになる。
【0046】
一方、その一括図形開口から可変成形開口への偏向の場合は、ビームの揺らぎは、そのままで第二マスクを透過したビーム寸法となるため、各偏向の十分な整定時間が要求されることからも理解することができる。これが、従来技術において、全く考慮されていなかった点である。
【0047】
また、従来技術において、第二マスク開口同士の切り換え時は、条件に関係なく、一義的な整定時間を経過した後に、描画を再開する方式が取られていた。
通常、電子線描画装置におけるマスク開口切り換え時間は、実験的に電子ビームを移動させて、全ての条件の描画結果が最良となる待ち時間を、唯一の整定時間として決定していた。
【0048】
しかし、前述のように、必要な待ち時間には条件により差があるが、高精度の描画が要求されることを考慮すると、なるべく高精度に近づけなければならないため、結果として、待ち時間が短くて済む場合においても、必要時間以上に描画が中断されていることになる。
【0049】
そこで、データ制御回路11に格納されている第二マスク開口の使用順序を開口選択制御回路19で、読出して記憶し、それに応じて整定待ち時間を変更する回路を配設するようにしたものである。ここで、第二マスク6上の開口29〜40には、番号を割振ることとし、当該番号に応じて、開口選択制御回路19が選択する一括図形開口に電子線が照射されるように開口選択偏向器20を制御するものである。
【0050】
該開口選択制御回路19は、開口に割振られた番号を監視することにより、成形すべきビームが可変成形開口41から一括開口29〜40に切り替えられた時を検知し、整定待ち時間を短くなるように制御する。その逆の切り替えが行われたことを検知した場合は、整定待ち時間を長くなるように制御するものである。
【0051】
また、ある一括開口から別の一括開口に切り替えられた時を検知した時には、該開口に割振られた番号の順次変化により、その移動距離を計算あるいは記憶部から読み出すことにより、この値に応じた整定待ち時間が変更できるように制御するものである。
【0052】
次に、偏向距離と整定時間の関係を数式(1)、(2)を参照し、本発明の特徴を具体的に説明する。
実際に偏向距離に合せた整定時間を計算するには、偏向方式や偏向器の性能も問題となるため、採用される偏向器に合せた計算式や、要求性能に合せた計算式のモデル化が必要である。
【0053】
ここでは、代表的な例として、負荷に対する応答遅れが支配的な場合の静電偏向回路を単純な線形回路に置き換えて、線形回路のパルス応答を一次CRモデル化して整定時間を算出する場合には、
g(t)をVで正規化して、
g(t)/V=(1−e(−t/τ))・・・・・・(1)
(1)式において、
最終到達電圧:V
時定数 :τ=CR
目標精度 :g(t)/V
時間 :t とすると、
これらより目標精度に到達するまでの時間tは、
t=−τ×LN(1−g(t)/V)・・・・・・・(2)
で表される。
【0054】
具体例として、12ビットで100nsの偏向器モデルの場合、算出した負荷時定数τから、偏向距離に応じた整定時間は、以下のように変化する。
1 Fs :100ns以下
1/100 Fs :44ns以下
1/1000 Fs :17ns以下
【0055】
以上の説明より、本実施形態によれば。他の整定時間遅れ要因による影響はあるが、偏向距離が短くなるほど、整定時間は減少することが分かる。
このため、整定時間を最大偏向距離に合せて一定時間で設定してある従来技術の場合と、整定時間を偏向距離に合せて最適化した場合を比較すると、描画のスループット時間が減少することが分かるものである。
【0056】
特に、使用頻度の高い開口をマスク上に近接して配置した場合で比較すると、描画に必要なスループット時間が著しく減少し、描画スループットが向上させることができる。
また、可変成形と一括図形の描画方法の違いによる整定待ち時間差を考慮した制御を行なわせることで、描画精度を向上でき、結果として、電子描画装置のトータルスループットも向上させることができる。
【0057】
さらに、上記電子線描画装置の他の実施形態を説明する。
詳細な図示を説明するが、該電子線描画装置において、該切換え時、該成形ビームを所定のマスク上の開口に移動する際、予め演算もしくは実測を行ったビーム偏向移動量を記憶させ、該記憶させた移動量に応じて該マスクの移動時間を含む該整定待ち時間の長さを制御することもできる。
【0058】
該ビーム偏向移動量の演算は、予め制御計算機18で、所定の座標軸を定め、マスク上の開口の位置を読み出し、各開口間の長さを予め演算しておき、該切換え時、偏向させる開口が決まれば、該ビーム偏向移動量が得られる。
該ビーム偏向移動量の実測は、図示しないが例えば、ビームをマスク表面に走査して得られる例えば、位置マークからの反射電子信号より、マスク上の開口間の長さを実測して記憶してこの長さから該移動量を測定するものである。
【0059】
上記において、該開口の切換え手段は、制御情報回路24から開口選択制御回路19に開口選択情報を送出し、開口選択制御回路19は、送られたきた開口選択情報に応じて、開口選択偏向器20に信号電圧を出力して、成形ビームが所定の開口、例えばE39に照射されるように偏向させて切換えるものである。
そして、該移動量に応じて、該マスクの移動時間を含む該整定待ち時間の長さを制御するものである。
【0060】
すなわち、本発明では、制御計算機18が、制御情報回路24から開口選択制御回路19に開口選択情報を送出す開口選択情報に応じて、例えばE39が使用する開口とする。制御計算機18が、現在用いられている開口と開口E39間との長さ(演算もしくは実測)とビーム最大偏向量とを比較し、大小を判断する。前者の長さが、ビーム最大偏向量より小なる場合は、直ちに、開口選択制御回路19が、開口選択偏向器20に信号電圧を出力して、成形ビームが所定の開口、例えばE39に照射されるように偏向させビームの位置を移動させ、位置決めを終了させる。
【0061】
また、前者の長さがビーム最大偏向量より大きい場合や一括成形図形用の開口選択で複数マスクを使用しなければならない場合においては、制御計算機18が、マスクの移動等が必要と判断する。該マスクの移動は、図示しないが、例えば標準位置マークを付した位置サーボモータで位置決めする。
上記の如く、該マスクを移動し、該マスク上に付した標準位置マークの位置をマスクの移動後、該ビームを用いて検出し該マスクの位置決めを終了させる。
このマスクの移動中の中断時間、移動後の偏向器等の応答遅れも加えて整定するまでの間、試料への照射中断時間を設定することができる。
【0062】
さらに、上記電子線描画装置の他のさらに、実施形態を説明する。
上記説明した他の実施形態において電子線描画装置と共通部分については、煩瑣となるので省略し、特徴部分を説明する。
制御計算機18で、該切換え時において偏向させる開口が決つてからのち、所定のマスク上の開口に移動する際、該ビーム偏向移動量を実時間処理で求め、該移動量に応じて、該マスクの移動時間を含む該整定待ち時間の長さを上記他の実施形態と同様に、制御するものである。
【0063】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した如く、本発明の構成によれば、電子線描画装置のマスク開口選択時の無駄時間を最小限度に抑えられ、高スループット、高精度の描画を実施できる電子線描画装置を提供することができる。
特に、マスクの大きさ・数量やマスク上の開口数によらずに、無駄時間を最低限度に抑えられ、描画手段の違いによる整定待ち時間差を考慮した、偏向制御も可能となり、高速、高精度の描画を実施することができる装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子線描画装置の説明図である。
【図2】本発明に係る電子線描画装置において用いられる可変成形矩形ビームと、一括図形ビームを備えた第二マスクの説明図である。
【図3】本発明に係る電子線描画装置のフロチャートである。
【図4】従来技術における電子線描画装置の説明図である。
【図5】図4の電子線描画装置の描画手順を示すフロチャートである。
【符号の説明】
1…電子源、2…第1マスク、3…成形偏向器、4…成形レンズ、
5…ブランカ、6…第2マスク、7…縮小レンズ、8…位置決め偏向器、
9…成形ビーム、10…対物レンズ、11…データ制御回路、12…試料、
13…試料台、14…試料台位置決め機構、15…成形偏向制御回路、
16…位置決め偏向制御回路、17…試料台位置制御回路、18…制御計算機、 19…開口選択制御回路、20…開口選択偏向器、21…可変成形開口、
22…一括図形開口、23…照射制御回路、24…制御情報回路、
25…開口情報検知回路、26…照射情報記憶回路、27…照射情報制御回路、 29〜40…一括図形用開口、41…矩形開口、42…矩形成形基準ビーム、 43…矩形成形ビーム、44…一括図形成形基準ビーム、45…一括図形成形ビーム
Claims (1)
- 電子源と、電子ビームを形成させる収束手段と、該電子ビームを偏向させる偏向系と、該偏向させた収束ビームを複数のマスクの開口エッジを用いて所定の図形の電子ビームに可変成形する第一の成形手段と、該電子ビームを複数の一括図形成形用の開口を有するマスク上の一つの開口を選択して一つの一括図形の電子ビームに成形する第二の成形手段と、これら第一、第二の成形手段を切換える切換手段と、該第一の成形手段および/もしくは第二の成形手段による該図形の電子ビームを投影し、試料上にパターンを描画する描画手段と、これらを制御する制御用計算機とからなり、
前記制御用計算機は、前記マスク上の開口の使用順序を予め記憶し、この使用順序に応じて電子ビームの整定待ち時間を変更する制御手段を備え、この制御手段により、前記描画手段で試料上に所望パターンを描画する際、前記切換手段による前記第一、第二の成形手段の切換え時のマスクの移動時間を含む電子ビーム整定待ち時間を制御し、且つ前記第一の成形手段から前記第二の成形手段に切換える時の電子ビーム整定待ち時間を、前記第二の成形手段から前記第一の成形手段に切換える時の電子ビーム整定待ち時間よりも短く制御するようにしたことを特徴とする電子線描画装置。
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