JP3637366B2 - チューブポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、チューブを円形の円筒室に添わせてリング状に配置し、その内側に設けた加圧部材でチューブを順次圧迫してポンプ作用を行うチューブポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
内周面が円形の円筒室を基板に設けてその内周面に添わせて弾性材料からなるチューブをリング状に配置し、その内側に設けた回転ローラでチューブを一方向に順次圧迫し、あるいはチューブの内側に設けたリング状の加圧部材を円筒室の内周面に沿って円運動させてチューブを一方向に順次圧迫することにより、閉塞部を移動させてポンプ作用を行うチューブポンプは公知である。このような構造のものは、ポンプを休止させるとチューブの一部が回転ローラや加圧部材で圧迫されて閉塞されたままとなり、長期間休止していると圧迫部のチューブ内面が互いに粘着した状態になって元の形状に復元しない現象、いわゆるスティッキング現象を起こしてポンプ作用を行えなくなる。
【0003】
このスティッキング現象は、特にシリコンチューブに起こりやすく、また耐薬品性の高いフッ素ゴムにおいても、例えばエーテル型の非イオン界面活性材を含んだ洗剤の移送に用いた場合には1日乃至2日程度でスティッキング現象が起こることがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明はこのような問題点に着目し、チューブの復元性を向上させてスティッキング現象を防止することを課題としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、この発明では、圧迫によって生じた閉塞部のチューブ内面同士を圧迫力の除去後に離間させる粘着状態阻止部材をチューブの内部に設けている。この粘着状態阻止部材としては、チューブに対して剥離しやすい材質であるフッ素樹脂製の薄板状の紐帯材が用いられ、これをチューブ内に挿入してその一端あるいは両端をチューブの端部に固着するなどの手段で固定することによって構成される。
【0006】
このような粘着状態阻止部材が設けられていても、圧迫時にはチューブの材料が変形して内部流路は完全に閉塞されるのでポンプ作用には支障は生じないが、粘着状態阻止部材がチューブ内部に存在することによって閉塞部でのチューブ内面同士の粘着性が緩和され、また粘着状態阻止部材の周辺のチューブ材料内には局部的な反発力が発生する。このため、圧迫力が除去された時の復元性が向上し、スティッキング現象が発生しにくくなるのである。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、リング状の加圧部材を円筒室の内周面に沿って円運動させてチューブを圧迫する方式のチューブポンプにこの発明を適用した実施の形態について説明する。
【0008】
図1において、1は円筒室2を形成した基板であり、円筒室2の内周面2aは円形で半円周より大きく全円周よりは小さな範囲で形成され、内周面2aが形成されていない部分は開口部2bとなっている。3は弾性材料からなるチューブであり、円筒室2の内周面2aに添わせてリング状に配置すると共に、その両端を基板1の外部に引き出して流入口3aと流出口3bを構成している。基板1は例えばNBR等のゴム系材料やABS等の合成樹脂の成形品で構成され、またチューブ3は移送される流体に応じてゴム系や各種の合成樹脂製のチューブが適宜選択使用される。
【0009】
4はチューブ3の内側に配置されたリング状の加圧部材であって、内リング41と外リング42の二重構造となっており、加圧部材4の内リング41は摩擦係数の小さい剛体材料、例えばフッ素樹脂系の合成樹脂成形品で構成され、外リング42はゴムなどの摩擦係数の大きい弾性材料の成形品で構成されている。内リング41と外リング42は断面が長方形で丁度重なるような寸法で形成されており、内リング41の外周面41bに設けた突条を外リング42の内周面42aに設けた周溝に嵌めることによって、外リング42は自由に回転できる状態で内リング41に保持されている。
【0010】
5は加圧部材4の内側に配置された偏心ローター、6は偏心ローター5が取り付けられている回転軸であって、偏心ローター5の先端5aが内リング41の内周面41aに摺接しながら回転して加圧部材4を円筒室2の内周面2a側に圧迫し、加圧部材4を内周面2aに沿って円運動させるように構成されている。なお、基板1の背面側には回転軸6を駆動するための減速機付きモータなどが配置されており、また手前側には蓋が設けられるが、これらは図示してない。
【0011】
加圧部材4の外リング42の外周面42bの半径は、円筒室2の半径からチューブ3の肉厚の2倍以上を差し引いた寸法に選定されている。また、回転軸6の軸心から偏心ローター5の先端5aまでの距離と内リング41の内周面41aから外リング42の外周面42bまでの寸法の和は、偏心ローター5の先端5aによって加圧部材4が基板1の内周面2a側に押された場合に、外リング42によってチューブ3が押しつぶされて内部の流路が完全に閉塞されるように選定されている。
【0012】
7はこの発明によって設けられた粘着状態阻止部材であり、チューブ3の内部に挿入してその両端7a、7aを折り曲げ、チューブ3の流入口3aと流出口3bの端部にそれぞれ接着してある。この粘着状態阻止部材7の材質や寸法はチューブ3に応じて選定されるのであり、具体的には例えば次のように選定される。
【0013】
すなわち、実験によればチューブ3が内径5mm、肉厚1.6mm、硬度ショアーA60°のゴムチューブの場合、これに用いられる粘着状態阻止部材7としては、厚さ0.02mm、幅3mmのフッ素樹脂、例えばポリ四フッ化エチレン製の薄板状の紐帯材が強度、剥離性、耐薬品性の点で適当であった
【0014】
図2は比較例として丸線状の粘着状態阻止部材を用いたものにおいて、チューブ3が加圧部材4で圧迫されている閉塞部の断面を示したものである。この場合には丸線状の粘着状態阻止部材7はほとんど変形せず、チューブ3が上下から圧迫されて押しつぶされ、内部の流路が完全に閉塞された状態になっている。チューブ3は粘着状態阻止部材7の上下で材料が引き伸ばされて肉厚が薄くなっているので、特にこの部分では強い反発力が生じており、チューブ3と粘着状態阻止部材7の間の剥離性が良いことと相まって圧迫力が除去された時の復元性が向上し、スティッキング現象は発生しなくなるのである。
【0015】
図3は粘着状態阻止部材7として薄板状の紐帯材を用いたこの発明のものにおいて、圧迫力が加わっていない場合の断面図である。このように紐帯材を用いたものでは、チューブ3が圧迫された時にチューブ内面の間に粘着状態阻止部材7が層状に挟まれた状態となり、内部の流路を完全に閉塞するために必要な圧迫力は図2のような丸線状の場合よりも小さくてよい。またチューブの内面同士が互いに圧接されている部分が少なくなって内面同士の粘着性が緩和されるので、復元性を向上させやすくなる。更に粘着状態阻止部材7が帯状であるからチューブ内面との接触面がほぼ平面で強く食い込む箇所がなく、チューブの損傷が生じないのである。
【0019】
図示のポンプは上述のような構成であり、偏心ローター5を矢印のように時計方向に回転させて加圧部材4を円運動させると、加圧部材4に圧迫されて生ずるチューブ3の閉塞箇所も時計方向に移動し、チューブ内部の流体が流出口3bから吐出されると同時に流入口3aから吸入されてポンプ作用が行われる。
【0020】
この加圧部材4の円運動に伴って加圧部材4には反時計方向の自転が生ずるが、
チューブ3にはゴム系や各種の合成樹脂材料が使用され、また外リング42にはゴムなどの摩擦係数の大きい弾性材料が使用されているので、チューブ3と外リング42の間は滑りにくくなっている。従って、チューブ3に接触している外リング42はほとんど自転せず、外リング42と内リング41との間でスリップが生じて内リング41のみが自転することになる。このため、チューブ3に対する引っ張り力はほとんど発生せず、チューブ3が引っ張られて損傷したり、駆動用モータの負荷が増大したりしてポンプの耐久性が損なわれ、あるいはチューブ3の内径が変化して吐出量が変わるなどの問題は生じなくなる。
【0021】
しかも、この発明による粘着状態阻止部材7によって圧迫力が除去された時の復元性が向上しているので、長時間運転を休止した後でも圧迫されたままになっていた部分のチューブ内面が互いに粘着した状態になるスティッキング現象が起こらず、支障なく運転を再開できるのである。
【0022】
なお、上述の例はリング状の加圧部材でチューブを間接的に圧迫する方式のチューブポンプについてのものであるが、この発明は回転ローラでチューブを直接圧迫する方式のものにも適用できることはもちろんである。特にこの直接圧迫方式ではチューブに当たるローラの径が小さく、圧迫力が閉塞部に集中してスティッキング現象が生じやすくなるので、粘着状態阻止部材を設けて復元力を向上することはスティッキング現象の防止に大きな効果がある。
【0023】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、この発明のチューブポンプは、フッ素樹脂製の薄板状の紐帯材からなり、圧迫によって生じた閉塞部のチューブ内面同士を圧迫力の除去後に離間させる粘着状態阻止部材をチューブの内部に設けたものである。
【0024】
従って、粘着状態阻止部材が存在することによってチューブ内面同士の密着性が緩和されると同時に、粘着状態阻止部材の周辺のチューブ材料内には局部的な反発力が発生し、圧迫力が除去された時の復元性が向上するのであり、長時間運転を休止した後でもスティッキング現象を生ずることなく運転を再開することが可能となる。またスティッキング現象を考慮してチューブの材料を決定する必要性が低くなるので、チューブの選択が容易となる。
【0025】
また粘着状態阻止部材として薄板状の紐帯状部材を用いているので、圧迫時にチューブの内面同士が互いに圧接されている部分が少なくなって内面同士の粘着性が緩和されるので復元性の向上が容易であり、圧迫時にチューブ内面に粘着状態阻止部材が強く食い込むことがないので、例えば粘性の少ない材料のチューブの場合でも粘着状態阻止部材によってチューブ内面が損傷することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の一例における概略正面図である。
【図2】同上のチューブの圧迫時における断面図である。
【図3】同上において帯状の粘着状態阻止部材を用いた場合のチューブの断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 円筒室
3 チューブ
3c 突条
4 加圧部材
5 偏心ローター
7 粘着状態阻止部材

Claims (1)

  1. 内周面が円形の円筒室内に弾性材料からなるチューブを内周面に添わせてリング状に配置し、このチューブを一方向に順次圧迫してチューブ内の流体を送出するように構成されたチューブポンプにおいて、
    チューブに対して剥離しやすく、圧迫時におけるチューブ内部の流路閉塞を妨げず、且つ圧迫によって生じた閉塞部のチューブ内面同士を圧迫力の除去後に離間させるフッ素樹脂製の薄板状の紐帯材からなる粘着状態阻止部材をチューブの内部に挿通したことを特徴とするチューブポンプ。
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