JP3642000B2 - 導電性厚膜ペーストの製造方法,導電性厚膜ペーストおよび積層セラミック電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性厚膜ペーストの製造方法、特に積層セラミック電子部品の内部電極に用いられる導電性厚膜ペーストの製造方法、本発明の製造方法によって得られる導電性厚膜ぺースト、およびこれを用いた積層セラミック電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、導電性厚膜ペースト、例えば、積層セラミック電子部品に用いられるスクリーン印刷用導電性厚膜ペーストは、通常、Ni、Cu、Ag、Pd等の金属粉末からなる導電性成分と、比較的高沸点のカルビトールやターピネオールといった主溶剤にエチルセルロースやアクリルといった有機樹脂成分を溶解した有機ビヒクルを混練し、分散機を用いて分散して作製される。スクリーン印刷に用いられる導電性厚膜ペーストは高い印刷精度を得るために、粘度は10Pa.S以上に調整される必要があり、このような高粘度のペーストを分散する手段として、一般に3本ロールが用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の導電性厚膜ペーストの製造方法では、例えば固形成分に含まれる金属粉末の平均一次粒径が1.0μm以下という微粉末であると、固形成分の粉末の比表面積が増加したことにより粉末同士の凝集力が増加し、3本ロール等による分散では固形成分の粉末の凝集体の解砕が十分に進まず、導電性厚膜ペースト中に固形成分の凝集体が未分散物として残るという問題があった。
【0004】
そこで、平均一次粒径が1.0μm以下の粉末を含む固形成分をペースト中に均一に分散させるために、分散処理前のミルベース中に添加剤として分散剤の添加する方法がある。しかしながら、3本ロール等を用いた分散方法の場合、固形成分と有機ビヒクルからなるミルベースの粘度が高いため、分散剤等の界面活性剤を均一に固形成分の粉末の表面に吸着させることが困難であった。特に、固形成分の粉末表面の官能基に対して多点的に吸着し、粒子間の立体障害反発および静電気的反発により粒子同士の凝集を阻害する高分子タイプの分散剤は、常温で粘稠な液体であるものが多く、これを固形成分の粉末の表面に均一に吸着させることは困難であった。また、有機ビヒクルを構成する有機樹脂成分は、分散剤が固形成分の粉末の表面に吸着することを阻害するという問題があった。
【0005】
そこで、予め分散剤を粉末の表面に吸着させた後に有機樹脂成分と混合することで、高い分散効果を得ようとする方法がある。しかしながら、3本ロール等を用いた分散方法の場合、固形成分と主溶剤と分散剤のみの組成では、3本ロールを用いる分散方法に適した粘度のミルベースを得ることが困難なため、分散処理前にミルベース中に有機樹脂成分を添加せざるを得ず、結局、有機樹脂成分が分散剤の吸着を阻害して、固形成分の分散性に優れる導電性厚膜ペーストが得られないという問題があった。
【0006】
このように、固形成分の未分散物が内在した導電性厚膜ペーストを積層セラミック電子部品の内部電極用スクリーン印刷用ペーストとして使用した場合、固形成分の未分散物が乾燥塗膜上の突起物となってセラミック層を貫き、ショート不良の原因となる。
【0007】
本発明の目的は、前述の問題点を解消すべくなされたもので、導電性厚膜ペーストの固形成分中に平均一次粒径が1.0μm以下の粉末を含む場合であっても、ペースト中の固形成分の未分散物が少なく、分散性に優れた導電性厚膜ペーストが得られる製造方法、このような導電性厚膜ペースト、ならびにショート不良の発生率の小さい積層セラミック電子部品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の導電性厚膜ペーストの製造方法は、固形成分と、希釈溶剤と、分散剤と、有機樹脂成分と、主溶剤と、を用いた導電性厚膜ペーストの製造方法であって、希釈溶剤の沸点は主溶剤の沸点より100℃以上低く、希釈溶剤は、有機樹脂成分および主溶剤と相溶性があり、まず、固形成分と、希釈溶剤と、分散剤と、を混合した第1ミルベースを分散処理して第1スラリーを得る第1分散工程と、次に、第1スラリーに、有機樹脂成分と、主溶剤と、を混合した第2ミルベースを分散処理して第2スラリーを得る第2分散工程と、次に、第2スラリーから希釈溶剤を除去する工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、第1ミルベースは、さらに主溶剤を含有することを特徴とする。
【0010】
また、第1ミルベースは、さらに有機樹脂成分を含み、第1ミルベース中の有機樹脂成分の含有量は、導電性厚膜ペーストにおける有機樹脂成分の総含有量の1/3以下であることを特徴とする。
【0011】
また、希釈溶剤を除去する工程は、加熱と減圧のうち少なくとも一手法を用いて蒸発除去することを特徴とする。
【0012】
また、分散剤は、脂肪酸であることを特徴とする。
【0013】
また、脂肪酸は、ステアリン酸、もしくはオレイン酸、もしくはそれらの金属塩であることを特徴とする。
【0014】
また、脂肪酸は、導電性厚膜ペースト100重量部中に0.05〜5.0重量部添加することを特徴とする。
【0015】
また、分散剤は、アニオン性分散剤であることを特徴とする。
【0016】
また、アニオン性分散剤は、重量平均分子量が5000以上の重合体であることを特徴とする。
【0017】
また、アニオン性分散剤は、少なくともカルボン酸、スルホン酸、リン酸もしくはそれらの中和塩を有するモノマーからなることを特徴とする。
【0018】
また、アニオン性分散剤は、導電性厚膜ペースト100重量部中に0.05〜10.0重量部添加するを特徴とする。
【0019】
また、固形成分は、少なくとも金属粉末を含有することを特徴とする。
【0020】
また、固形成分は、少なくとも平均一次粒径が1.0μm以下の粉末を含有することを特徴とする。
【0021】
また、導電性厚膜ペーストは、スクリーン印刷用ペーストであることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の導電性厚膜ペーストは、本発明の導電性厚膜ペーストの製造方法によって得られることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の積層セラミック電子部品は、本発明の導電性厚膜ペーストの製造方法によって得られる導電性厚膜ペーストを用いて内部電極を形成したことを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の導電性厚膜ペーストの製造方法は、固形成分と希釈溶剤と分散剤と有機樹脂成分と主溶剤とを用いて、2段階の分散工程と、希釈溶剤を除去する工程を備えることを特徴とする。以下、本発明の導電性厚膜ペーストの製造方法を図1に示して説明する。
【0025】
まず、固形成分と、分散剤と、主溶剤と、主溶剤の沸点より100℃以上低い希釈溶剤を準備し、固形成分と分散剤を混合した後、希釈溶剤を適宜添加して、分散に適した低粘度状態の第1ミルベースを得る。これを分散機にかけて分散処理を行い、第1スラリーを得る。これを第1分散工程とする。第1分散工程における第1ミルベースは有機樹脂成分を含有していないため、従来技術におけるミルベースの粘度が高く分散剤の吸着が進まないという問題と、有機樹脂成分が分散剤の吸着を阻害してしまうという問題を解決でき、効果的に分散剤を粉末の表面に吸着させることが可能となる。なお、第1ミルベースには、適宜主溶剤を添加してもよい。さらに、第1ミルベースは、ミルベースの粘度が高く分散剤の吸着が進まないという問題と、有機樹脂成分が分散剤の吸着を阻害してしまうという問題が発生しない量、すなわち、導電性厚膜ペーストにおける有機樹脂成分の総含有量の1/3以下の有機樹脂成分を含有しても構わない。
【0026】
次に、第1スラリーに予め有機樹脂成分と主溶剤を混合した有機ビヒクルを添加し混合して第2ミルベースを得る。なお、第1ミルベース中に所定量の有機樹脂成分を含有させた場合には、導電性厚膜ペーストにおける有機樹脂成分の総含有量から既に第1ミルベース中に添加した所定量を除いた残部からなる有機樹脂成分と主溶剤を混合した有機ビヒクルを第1スラリーに添加し混合して第2ミルベースを得る。これを分散機にかけて分散処理を行い、第2スラリーを得る。これを第2分散工程とする。第2ミルベースには有機樹脂成分を添加するが、既に固形成分の粉末の表面に分散剤が吸着しているため、固形成分の粉末は第2スラリー中に十分に分散する。また、固形成分の粉末の表面に分散剤が吸着しているため、固形成分の粉末は有機樹脂成分に対する濡れ性に優れる。また、第2ミルベース自身が低粘度であるため、有機ビヒクル中への固形成分の粉末の分散が促進される。
【0027】
次に、第2スラリーから希釈溶剤を除去して、導電性厚膜ペーストを得る。これを希釈溶剤除去工程とする。
【0028】
なお、本発明の希釈溶剤は、沸点が主溶剤の沸点より100℃以上低い溶剤が適宜用いられる。例えば、主溶剤としてテルペン油、有機樹脂成分としてエチルセルロースを用いる導電性厚膜ペーストの場合、希釈溶剤としては、アセトン、ジメチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤等が好ましい。希釈溶剤の沸点が主溶剤の沸点より100℃以上低くない場合、第2スラリーから希釈溶剤を蒸発させて除去する際に、希釈溶剤と主溶剤の供沸が生じ易くなり、同時に主溶剤が蒸発する。したがって、得られる導電性厚膜ペースト中の主溶剤量が予定より少なくなり、このような導電性厚膜ペーストを用いて塗布膜を形成した場合、所望する塗布厚みが得られない。
【0029】
また、希釈溶剤除去工程における除去方法は特に限定しないが、例えば加熱、減圧、もしくは双方を併用することができる。添加する希釈溶剤の種類によっては、加熱のみ、減圧のみでも除去可能であるが、生産性を考慮するなら、双方を併用する方法が好ましい。
【0030】
また、本発明に使用する分散剤は、アニオン性分散剤、あるいは脂肪酸系の分散剤を適宜用いることができる。一般に、 Ni,Cu,Ag,Pd等の金属粉末やセラミック等の無機酸化物粉末は、表面が水酸基により塩基性を示す。このような塩基性粉末の表面に酸性の分散剤を吸着させると、導電性厚膜ペースト中における粉末の分散性が向上する。高分子タイプとしてはアニオン性分散剤が挙げられ、低分子タイプとしては脂肪酸系の分散剤が挙げられる。特にアニオン性分散剤は、固形成分の粉末表面への吸着に関与する一分子構造中の官能基数が複数となり、粉末表面に立体的な吸着層を形成して粉末同士の凝集を防止するため、スラリーならびにペーストの分散性がより向上する。したがって、分散剤としてはアニオン性分散剤が好ましい。
【0031】
アニオン性分散剤としては、例えばポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、マレイン酸、無水マレイン酸、リン酸エステル含有樹脂、スルホン酸エステル含有樹脂、ポリフェノール樹脂、ポリグルタミン酸、ポリオキシアルキレン、酸変性アルキド樹脂、酸変性アミド樹脂、およびこれらの組み合わせからなる共重合体で、重量平均分子量は5000以上、好ましくは10000以上のものを適宜用いることができる。重量平均分子量が5000未満であると、固形成分の粉末表面への吸着ならびに脱着のスピードが早くなり、分散処理中に分散剤の一部が脱着する問題が生じる。なお、アニオン性分散剤を用いる場合、主溶剤と希釈溶剤に対して相溶性があるものを選択する。また、アニオン性分散剤は、導電性厚膜ペースト中に0.05〜10.0重量部添加する。添加量が0.1重量部未満であると、固形成分の粉末表面に分散剤が十分に吸着しないため、固形成分の粉末が凝集する。10.0重量部を超えると、固形成分の粉末の表面吸着能が飽和して添加量に応じた分散性の向上は望めず、また、導電性厚膜ペースト中に含まれる不揮発性の有機成分が過剰となるため、焼成時の脱バインダーが不十分となり、焼結不足や層ハガレ等の不良が生じる。したがって、アニオン性分散剤は、予め分散性の向上効果が飽和する添加量を測定し、粉末表面への吸着が飽和する添加量、すなわち0.05〜10.0重量部の範囲で添加することが好ましい。
【0032】
脂肪酸系の分散剤としては、例えばステアリン酸、オレイン酸、もしくはそれらの金属塩等を適宜用いることができる。なお、脂肪酸系の分散剤を用いる場合、主溶剤と希釈溶剤に対して相溶性があるものを選択する。また、脂肪酸系の分散剤は、導電性厚膜ペースト100重量部中に0.05〜5.0重量部添加する。添加量が0.05重量部未満であると、固形成分の粉末表面に分散剤が十分に吸着しないため、固形成分の粉末が凝集する。添加量が5.0重量部を超えると、固形成分の粉末表面の吸着能が飽和して添加量に応じた分散性の向上は望めず、また、導電性厚膜ペースト中に含まれる不揮発性の有機成分が過剰となるため、焼成時の脱バインダーが不十分となり、焼結不足や層ハガレ等の不良が生じる。したがって、脂肪酸系の分散剤は、予め分散性の向上効果が飽和する添加量を測定し、粉末表面への吸着が飽和する添加量、すなわち0.05〜5.0重量部の範囲で添加することが好ましい。
【0033】
また、本発明の固形成分は、Ni,Cu,Ag,Pd等の金属粉末もしくはこれら金属粉末からなる合金粉末を主成分とすることが好ましい。これら金属粉末ならびに合金粉末は、導電性厚膜ペーストの導電成分として機能する。また、導電性厚膜ペーストの用途に応じて、固形成分中にセラミック等の無機酸化物粉末を適宜添加してもよい。
【0034】
また、本発明の固形成分が少なくとも平均一次粒径が、1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下である粉末を含有する場合に本発明の分散効果が発揮される。平均一次粒径が1.0μmを超える粉末を用いた場合も本発明の分散効果は得られるが、粉末の比表面積が小さいため従来技術である一般的な3本ロールを用いた分散方法でも、ある程度の分散が期待できる。
【0035】
また、本発明の分散工程で実施する分散方法としては、低粘度ミルベースの分散に適した分散機を適宜用いることができる。例えば、インペラー分散機、ホモジナイザー分散機、ポット分散法、サンドミル分散機等が挙げられる。なお、一般に第1分散工程と第2分散工程では同一の分散機を用いるが、分散させるミルベースの粘度、分散機の生産性、特性を考慮して、異なる分散機を用いてもかまわない。
【0036】
また、固形成分が金属粉末またはその合金粉末等と、セラミック等の無機酸化物粉末からなる導電性厚膜ペーストを製造するにあたり、それぞれの粉末の最適分散剤、スラリー組成、分散条件等が異なる場合、それぞれの最適分散剤、スラリー組成、分散条件で分散処理した複数のスラリーを混合して第1スラリーあるいは第2スラリーを得てもよく、また、複数の第2スラリーから希釈溶剤を除去して複数の中間ペーストを得た後に、これらを混合して目的とする最終組成の導電性厚膜ペーストを得てもよい。すなわち、図2に示すように、第1ミルベースAと第1ミルベースBをそれぞれ第1分散処理して第1スラリーAと第1スラリーBを得た後に、これを混合して第2ミルベースを得てもよい。また、図3に示すように、第2スラリーAと第2スラリーBを混合して混合スラリーを得た後に、希釈溶剤を除去して導電性厚膜ペーストを得てもよい。また、図4に示すように、第2スラリーAと第2スラリーBからそれぞれ希釈溶剤を除去して中間ペーストAと中間ペーストBを得た後に、これらを混合して導電性厚膜ペーストを得てもよい。このように、複数のスラリーあるいはペーストは、第1分散工程後、第2分散工程後、あるいは希釈溶剤の除去後の何れかにおいて適宜混合すればよいが、低粘度の第1ミルベース中で分散剤を固形成分に吸着させる第1分散工程と、第1スラリーを有機樹脂成分と主溶剤中に分散させる第2分散工程と、希釈溶剤を除去する工程と、を備えるという本発明の導電性厚膜ペーストの製造方法に関する基本的な流れは変わらない。
【0037】
【実施例】
本発明の導電性厚膜ペーストを積層セラミック電子部品として、積層セラミックコンデンサの内部電極用ペーストとして用いた実施例を以下に示す。
【0038】
まず、最終的な本発明の導電性厚膜ペーストが表1に示す組成となるよう、固形成分、希釈溶剤、分散剤、有機樹脂成分、主溶剤を準備した。なお、希釈溶剤は分散処理後に除去されるため、最終的に得られる導電性厚膜ペーストの組成には含まれない。
【0039】
【表1】
【0040】
まず、試料1〜13の導電性厚膜ペーストの製造方法について説明する。まず、固形成分、分散剤、希釈溶剤を混合して第1ミルベースを得て、これを玉石(2mm径)とともに容積1リットルの樹脂ポット中に調合した。この調合済みポットを一定回転速度で12時間回転させてポットミル分散処理を行い、第1スラリーを得た。次に、上記ポット中に予め有機樹脂成分と主溶剤を混合した有機ビヒクルを添加し、さらに一定回転速度で12時間回転させてポットミル分散処理を行い、第2スラリーを得た。次に、第2スラリーを2.0×10-1atmの減圧下で45℃に加熱して希釈溶剤を除去し、減圧蒸留して導電性厚膜ペーストを得た。
【0041】
次に、試料14の導電性厚膜ペーストの製造方法について説明する。まず、固形成分、希釈溶剤、および予め有機樹脂成分と主溶剤を混合した有機ビヒクルを混合して第1ミルベースを得て、これを玉石(2mm径)とともに容積1リットルの樹脂ポット中に調合した。次に、この調合済みポットを一定回転速度で12時間回転させポットミル分散処理を行い、第1スラリーを得た。次に、上記ポット中に分散剤を添加し、さらに一定回転速度で12時間回転させてポットミル分散処理を行い、第2スラリーを得た。次に、第2スラリーを2.0×10-1atmの減圧下で45℃に加熱して希釈溶剤を除去し、減圧蒸留して導電性厚膜ペーストを得た。
【0042】
次に、試料15の導電性厚膜ペーストの製造方法について説明する。固形成分と、予め有機樹脂成分と主溶剤を混合した有機ビヒクルを混合し、ケーキミキサーで1時間攪拌した後に、127mm径の3本ロールで分散処理を行ない、導電性厚膜ペーストを得た。
【0043】
次に、試料16〜20の導電性厚膜ペーストの製造方法について説明する。まず、表2に示した所定量の有機樹脂成分を第1ミルベース中に添加混合する以外は、表1の試料12と同じ基本組成および製造方法を用いる。すなわち、導電性厚膜ペースト中の有機樹脂成分は35.00重量部で一定であり、例えば、第1ミルベースに4.00重量部の有機樹脂成分を添加混合した試料12は、第1スラリーには残りの31.00重量部の有機樹脂成分を添加混合する。
【0044】
【表2】
【0045】
次に、試料1〜20の導電性厚膜ペーストを厚み10μmの積層セラミックコンデンサのグリーンシート上に塗布厚1μmでスクリーン印刷し、これらをオーブン中で所定の温度で乾燥させて、電極印刷済みグリーンシートを得た。次に、これを100層積層し、所定の条件で加圧後、所定のサイズにカットし積層セラミックコンデンサのグリーンチップを得た。これらを、所定の温度にてセラミックと内部電極を同時焼成し、さらに外部電極を焼き付けて積層セラミックコンデンサを作製した後、これら積層セラミックコンデンサのショート不良の発生率(短絡電流発生率)を求めた。
【0046】
次に、前述した方法で導電性厚膜ペーストを印刷した試料1〜20のセラミックグリーンシートを各10枚準備し、それぞれ電極表面の突起物数を測定し平均突起物数を求め、針触式の表面粗さ計を使用して表面粗さを測定し、これらを表3にまとめた。なお、突起物数は、金属顕微鏡により大きさが20μm以上のものを計数した。
【0047】
【表3】
【0048】
表3から明らかなように、脂肪酸系の分散剤であるステアリン酸を0.50重量部添加した試料3ならびに3.00重量部添加した試料4、アニオン性分散剤である無水マレイン酸−ポリエチレン共重合体を0.50重量部添加した試料7ならびに3.00重量部添加した試料8、およびアニオン性分散剤である変性ポリアクリル酸エステルを0.50重量部添加した試料11ならびに3.00重量部添加した試料12は、何れも表面粗さが1.9〜2.6μmと許容範囲にあり、電極表面の平均突起物数が少なく、ショート不良の発生率が4%以下と低く優れた。
【0049】
これに対して、分散剤の添加量が過小あるいは過剰である試料1,2,5,6,9,10,13は、何れも電極表面の突起物数が多く、またショート不良の発生率も64〜100%と高く劣った。
【0050】
また、ポットミルを用いて従来の分散方法で分散処理を行った試料14、および分散剤を使わずにケーキミキサーで分散処理した試料15は、何れも平均突起物数が多く、またショート不良の発生率がそれぞれ100%と52%で高く、適量の分散剤を用いて本発明の分散処理を行った試料3,4,7,8,11,12と比較して劣る結果となった。
【0051】
また、第1ミルベースに有機樹脂成分を添加するが、その添加量が導電性厚膜ペーストにおける有機樹脂成分の総含有量の1/3以下である試料16,17,18は、表面粗さが1.8〜1.9μmと許容範囲にあり、電極表面の平均突起物数が少なく、ショート不良の発生率が0〜2%と低く優れ、第1ミルベースに有機樹脂成分を添加しない試料12と略同等の結果を示した。
【0052】
これに対して、第1ミルベースに有機樹脂成分を添加するが、その添加量が導電性厚膜ペーストにおける有機樹脂成分の総含有量の1/3を超える試料19,20は、表面粗さが6.5〜9.4μmと許容範囲外にあり、電極表面の平均突起物数が多く、またショート不良の発生率も89〜95%と高く劣った。
【0053】
なお、上記実施例は、導電性厚膜ペーストが積層セラミックコンデンサの内部電極形成に用いるスクリーン印刷用ペーストである場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、多層セラミック基板等の電子部品の電極形成に用いる種々のペーストに適用して、同様の効果を得ることができる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように本発明の導電性厚膜ペーストの製造方法によれば、固形成分と、希釈溶剤と、分散剤と、有機樹脂成分と、主溶剤と、を用いた導電性厚膜ペーストの製造方法であって、前記希釈溶剤の沸点は前記主溶剤の沸点より100℃以上低く、前記希釈溶剤は、前記有機樹脂成分および前記主溶剤と相溶性があり、まず、前記固形成分と、前記希釈溶剤と、前記分散剤と、を混合した第1ミルベースを分散処理して第1スラリーを得る第1分散工程と、次に、前記第1スラリーに、前記有機樹脂成分と、前記主溶剤と、を混合した第2ミルベースを分散処理して第2スラリーを得る第2分散工程と、次に、前記第2スラリーから前記希釈溶剤を除去する工程と、を備えることを特徴とすることで、導電性厚膜ペーストの固形成分中に平均一次粒径が1.0μm以下の粉末を含む場合であっても、ペースト中に固形成分の未分散物を含まない、分散性に優れた導電性厚膜ペーストが得られる。すなわち、スクリーン印刷に使用されるような比較的高粘度の導電性厚膜ペーストを製造する場合であっても、固形成分の粉末表面に分散剤が十分に吸着するため、固形成分の粉末が均一に分散した導電性厚膜ペーストを得ることができる。また、本発明の導電性厚膜ペーストをセラミックグリーンシートやセラミック基板上に印刷し乾燥させた塗膜は、従来の3本ロール等で分散させて作製した導電性厚膜ペーストを用いて形成した乾燥塗膜と比較して、固形成分の粉末の未分散物が少なく表面平滑性に優れる。
【0055】
また、本発明の導電性厚膜ペーストの製造方法によって得られる導電性厚膜ペーストを用いて内部電極を形成することで、導電性厚膜ペースト中に固形成分の平均一次粒径が1.0μm以下の粉末を含む場合であっても、ショート不良の発生率の小さい積層セラミック電子部品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一つの実施形態の導電性厚膜ペーストの製造工程を示す流れ図である。
【図2】本発明の他の実施形態の導電性厚膜ペーストの製造工程を示す流れ図である。
【図3】本発明のさらに他の実施形態の導電性厚膜ペーストの製造工程を示す流れ図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態の導電性厚膜ペーストの製造工程を示す流れ図である。
Claims (16)
- 固形成分と、希釈溶剤と、分散剤と、有機樹脂成分と、主溶剤と、を用いた導電性厚膜ペーストの製造方法であって、
前記希釈溶剤の沸点は前記主溶剤の沸点より100℃以上低く、
前記希釈溶剤は、前記有機樹脂成分および前記主溶剤と相溶性があり、
まず、前記固形成分と、前記希釈溶剤と、前記分散剤と、を混合した第1ミルベースを分散処理して第1スラリーを得る第1分散工程と、
次に、前記第1スラリーに、前記有機樹脂成分と、前記主溶剤と、を混合した第2ミルベースを分散処理して第2スラリーを得る第2分散工程と、
次に、前記第2スラリーから前記希釈溶剤を除去する工程と、を備えることを特徴とする導電性厚膜ペーストの製造方法。 - 前記第1ミルベースは、さらに前記主溶剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の導電性厚膜ペーストの製造方法。
- 前記第1ミルベースは、さらに前記有機樹脂成分を含み、
前記第1ミルベース中の前記有機樹脂成分の含有量は、前記導電性厚膜ペーストにおける前記有機樹脂成分の総含有量の1/3以下であることを特徴とする、請求項2に記載の導電性厚膜ぺーストの製造方法。 - 前記希釈溶剤を除去する工程は、加熱と減圧のうち少なくとも一手法を用いて蒸発除去することを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の導電性厚膜ペーストの製造方法。
- 前記分散剤は、脂肪酸であることを特徴とする、請求項1ないし4の何れかに記載の導電性厚膜ペーストの製造方法。
- 前記脂肪酸は、ステアリン酸、もしくはオレイン酸、もしくはそれらの金属塩であることを特徴とする、請求項5に記載の導電性厚膜ペーストの製造方法。
- 前記脂肪酸は、導電性厚膜ペースト100重量部中に0.05〜5.0重量部添加することを特徴とする、請求項5または6に記載の導電性厚膜ペーストの製造方法。
- 前記分散剤は、アニオン性分散剤であることを特徴とする、請求項1ないし4の何れかに記載の導電性厚膜ペーストの製造方法。
- 前記アニオン性分散剤は、重量平均分子量が5000以上の重合体であることを特徴とする、請求項8に記載の導電性厚膜ペーストの製造方法。
- 前記アニオン性分散剤は、少なくともカルボン酸、スルホン酸、リン酸もしくはそれらの中和塩を有するモノマーからなることを特徴とする、請求項8または9に記載の導電性厚膜ペーストの製造方法。
- 前記アニオン性分散剤は、導電性厚膜ペースト100重量部中に0.05〜10.0重量部添加することを特徴とする、請求項8ないし10の何れかに記載の導電性厚膜ペーストの製造方法。
- 前記固形成分は、少なくとも金属粉末を含有することを特徴とする、請求項1ないし11のいずれかに記載の導電性厚膜ペーストの製造方法。
- 前記固形成分は、少なくとも平均一次粒径が1.0μm以下の粉末を含有することを特徴とする、請求項1ないし12の何れかに記載の導電性厚膜ペーストの製造方法。
- 前記導電性厚膜ペーストは、スクリーン印刷用ペーストであることを特徴とする、請求項1ないし13の何れかに記載の導電性厚膜ペーストの製造方法。
- 請求項1ないし14の何れかに記載の製造方法によって得られることを特徴とする、導電性厚膜ペースト。
- 請求項1ないし14の何れかに記載の製造方法によって得られる導電性厚膜ペーストを用いて内部電極を形成したことを特徴とする、積層セラミック電子部品。
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