JP3642155B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体の上下方向の変位速度に基づいて減衰力可変ショックアブソーバの減衰力を多段階に制御するようにしたセミ・アクティブ方式のサスペンション制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のセミ・アクティブ方式のサスペンション制御装置としては、例えば本出願人が先に提案した特開平7−329532公報に記載されているものがある。このサスペンション制御装置に用いられる減衰力可変ショックアブソーバについて簡潔に説明すると、各ショックアブソーバに内装されているピストンに対して、制御入力となるバネ上上下速度に応じてステップモータからなるアクチュエータをオープン制御し、これにより弁体を相対的に回転又は移動させると、ピストンと弁体との間に形成された伸側流体路及び圧側流体路にオリフィスとして介在している各流体路のピストン−弁体間開口面積が変化するようにしているため、このアクチュエータへの制御量を変更制御することで可変オリフィスの絞り(流動抵抗)が変化して伸側及び圧側の減衰力を個別に連続的に変更制御することができる。
【0003】
そして、前記公報に記載されるサスペンション制御装置では、前記オープン制御されるステップモータを制御原点校正する(以下、イニシャライズとも称する)際に発生する異音が、ロードノイズ等によりマスキングされるように、当該ステップモータのイニシャライズを、車速が或る所定値以上になったときに実行するようにしている。このサスペンション制御装置では、前記ステップモータのイニシャライズが実際の走行中に実行されることを考慮して、当該イニシャライズ中に車体に所定値以上の加振入力,例えば上下加速度等が発生した場合には、前記オープン制御される実際のステップモータの回転位置と、それを司るコントロールユニット側で認識されているステップモータの回転位置とにずれ(脱調)が生じる恐れがあるため、再度ステップモータのイニシャライズを実行するようにもしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような従来のサスペンション制御装置は、所謂イグニッションスイッチのオフ(以下、単にイグニッションオフとも記す)では通常の電力供給を受けられないこともあり、当該イグニッションスイッチのオン(以下、単にイグニッションオンとも記す)中にのみ稼働する。つまり、前記車速が所定値以上となってイニシャライズが実行されるまでの間は、制御手段を構成するコントロールユニット側で前回のイグニッションオフ時のステップモータ(=弁体)の回転位置を記憶しておき、次にイグニッションオンとなると、その記憶されたステップモータの回転位置を基準に当該ステップモータの回転位置制御を行う。
【0005】
ところが、イグニッションスイッチオンとなって車速が所定値以上となるまでの間に、乗員の乗降や荷物の積降ろし、或いは故意に車体を揺する等といった車体への入力(外乱)があると、前記公報に記載される問題点と同様に、オリフィスを通過する流体の流動抵抗,つまり流体力によって、弁体と共にステップモータが回転されてしまい、前記前回のイグニッションオフ時にコントローラ側で記憶したステップモータの回転位置と現在のそれとがずれてしまう恐れがある。従って、イグニッションオンしてから前記車速が或る所定値になってイニシャライズが実行されるまでの間は、ステップモータは脱調したままの状態に維持され、適切な減衰力制御ができなくなり、乗心地が悪化するという未解決の課題がある。
【0006】
特に、最近では消費電力の低減の要求からイグニッションスイッチがオン状態であっても、車両が停止しているときには、ステップモータを含むアクチュエータへの給電を停止することが望まれており、このように車両の停止時にアクチュエータの給電を停止する場合には、イニシャライズを行うことができないため、この間に車体に大きな外乱が入力されると車両が走行を開始して車速が所定値に達するまでの間でステップモータが脱調したままとなり、乗心地が悪化するという未解決の課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、イグニッションスイッチがオンであって且つ車両が停止中にステップモータに脱調が発生するような場合には、速やかにイニシャライズを行うようにして、適切な減衰力制御を可能とするサスペンション制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係るサスペンション制御装置は、車体側部材及び車輪側部材間に介装されて、入力される制御信号に応じて駆動されるステップモータによって弁体を回転制御することにより、流体の通過する絞りが変化することで減衰力を多段階に設定可能な減衰力可変ショックアブソーバと、車体のバネ上上下速度を検出するバネ上上下速度検出手段と、少なくとも前記バネ上上下速度検出手段で検出されたバネ上上下速度検出値に基づいて車体の姿勢変化を抑制する減衰力に応じた前記弁体の目標回転位置を設定し、当該弁体を目標回転位置に移動させるように前記制御信号を前記ステップモータに出力してオープンループ制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、車両の前後方向速度を検出する車速検出手段と、少なくとも前記車速検出手段で検出された車速検出値が予め設定された所定車速値以上であるときに前記ステップモータの制御原点校正を行う制御原点校正手段とを備えたサスペンション制御装置において、イグニッションスイッチがオンであって車両が停止しているときに、前記ステップモータに対する給電を停止させる制御中断手段を備え、前記制御原点校正手段は、前記制御中断手段による前記ステップモータに対する給電停止中に、所定以上の外乱が車体に入力されたことを検出する外乱入力検出手段と、この外乱入力検出手段で外乱が車体に入力されたことを検出したときに、前記制御中断手段による給電停止を一時解除して前記ステップモータの制御原点校正を行う外乱入力時制御原点校正手段とを備えたことを特徴としている。
【0009】
この請求項1に係る発明においては、イグニッションオン中で制御中断手段による前記ステップモータに対する給電停止中に、外乱入力検出手段で外乱が車体に入力されたことを検出したときに、一時的にステップモータに対する給電停止を解除して外乱入力時制御原点校正手段でステップモータの制御原点校正(イニシャライズ)を実行することにより、本来なら車速が或る所定値になったときまで残存してしまうステップモータの脱調を可及的速やかになくして、前記減衰力可変ショックアブソーバによる適切な減衰力制御を早期に開始することができる。
【0010】
また、本発明のうち請求項2に係るサスペンション制御装置は、前記外乱入力検出手段は、車体のバネ上速度を検出するために使用する上下加速度センサで構成されていることを特徴としている。
【0011】
さらに、本発明のうち請求項3に係るサスペンション制御装置は、前記外乱入力時制御原点校正手段で制御原点校正中に前記外乱入力検出手段で外乱入力を検出したときには前記制御原点校正手段で制御原点の再校正を行うようにしたことを特徴としている。
【0012】
【発明の効果】
上記請求項1に係るサスペンション制御装置によれば、基本的には車速検出値が所定車速異常であるときにステップモータの制御原点校正を行う制御原点校正手段を備えている場合に、イグニッションがオンであって、且つ車両が停止していてステップモータに対する給電が停止されているときに、乗員の乗降や荷物の積降ろし、或いは故意に車体を揺する等の所定以上の加速度入力からなる外乱入力があった場合には、直ちにステップモータの制御原点校正(イニシャライズ)を実行することにより、本来なら車速が或る所定値になったときまで残存してしまうステップモータの脱調を可及的速やかになくして、前記減衰力可変ショックアブソーバによる適切な減衰力制御を早期に開始して乗心地を向上させることができるという効果が得られる。
【0013】
また、請求項2に係るサスペンション制御装置によれば、外乱入力検出手段として車体のバネ上速度を検出するために使用する上下加速度センサを適用したので、別途センサを用いることがなく、外乱入力を正確に検出することができると共に、部品点数を減少させることができるという効果が得られる。
【0014】
さらに、請求項3に係るサスペンション制御装置によれば、外乱入力時制御原点校正手段で制御原点校正中に外乱入力を検出したときには、制御原点校正手段で再度制御原点の校正を行うので、正確な制御原点校正を行うことができるという効果が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のサスペンション制御装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態を示す概略構成図であって、各車輪1FL〜1RRと車体2との間に夫々サスペンション装置を構成する減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRが配設され、これら減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力を切換えるステップモータ41FL〜41RRが後述するコントロールユニット4からの制御信号によって制御される。
【0017】
これらの各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRは、図2に示すように、外筒5と内筒6とで構成されるシリンダチューブ7を有するツインチューブ式ガス入りストラット型に構成され、内筒6内がこれに摺接するピストン8によって上下圧力室9U,9Lに画成されている。また、前記ピストン8は、外周面に内筒6と摺接するシール部材9がモールドされ且つ内周面に中心開孔10を有する円筒状の下部半体11と、この下部半体11に内嵌された上部半体12とで構成されている。この減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの基本的な構成及び作用は、本出願人が先に提案した前記特開平7−329532号公報に記載されるものと同様又はほぼ同様であるために、その詳細な内容については当該公報を参照されるものとして、ここではその詳細な説明を省略する。なお、図2中の符号13は伸側油流路、14は孔部、27は圧側油流路、31は弁体、35はピストンロッド、36は車体側部材、37はブラケット、38U,38Lはゴムブッシュ、39はナット、40はブラケット、41aは回転軸、42は連結杆、43はバンパーラバーである。
【0018】
この減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力特性は、弁体31とピストン8との間に形成される各オリフィスの開口面積によって設定されることになり、この弁体31をピストン8に対して相対回転させるステップモータ41FL〜41RRの回転角は、当該オリフィスの絞りによって決定される流動抵抗,即ち減衰係数を選択設定するための制御量となり、この減衰係数に前記ピストン速度を乗じた積の形で各弁体位置における減衰力が表される。従って、本実施例の制御量は厳密には減衰係数であるが、ここからは単に減衰力を制御量と考えてゆく。
【0019】
従って、このステップモータの回転角を位置Pとすると、図3に示すように、伸側の減衰力が最大減衰力となる位置Pが伸側最大位置PTMAXとなり、圧側の減衰力が最大減衰力となる位置Pが圧側最大位置PCMAXとなるが、ここでは便宜上、前記伸側減衰力も圧側減衰力も低減衰力に設定される範囲の中間値に相当する位置Pを“0”とし、伸側減衰力が高くなる方向への位置変化を正とし且つ圧側減衰力が高くなる方向への位置変化を負とすると、前記伸側最大位置PTMAXは正符号で単にPMAX と表され、圧側最大位置PCMAXは負符号で単に(−PMAX )と表される。但し、これら各最大位置の絶対値|PMAX |は必ずしも同じ値である必要はない。
【0020】
そして、前記負値となる圧側最大位置(−PMAx )から正値となる伸側最大位置PMAX までの全減衰力制御範囲のうち、位置Pが“0”を挟む正の閾値PT1から負の閾値PC1までの範囲が、伸側低減衰力D/FT0及び圧側低減衰力D/FC0となって、特に低速走行状態の滑らかさを達成するsoft範囲(以下、単にS−S範囲とも記す)となり、これより位置Pが正方向に大きい範囲,即ち位置Pが前記正の閾値PT1から正値の伸側最大位置PMAx までの範囲が、伸側減衰力が高く設定される伸側制御範囲(以下、単にH−S範囲とも記す)となり、これより位置Pが負方向に小さい範囲,即ち位置Pが前記負の閾値PC1から負値の圧側最大位置(−PMAx )までの範囲が、圧側減衰力が高く設定される圧側制御範囲(以下、単にS−H範囲とも記す)となる。
【0021】
なお、図3の減衰力特性(減衰係数特性)によれば、この同等の絶対値を有する所定伸側減衰係数と所定圧側減衰とを達成する各所定位置値では、所定伸側位置値の絶対値の方が所定圧側位置値の絶対値よりも若干小さい。
【0022】
一方、前記弁体31の上端部には図4に示すような直方体状の突当て体44が突設されており、ステップモータ41FL〜41RRの回転軸41aによる弁体31の回転に伴って同期回転する。そして、前記上部半体12のうち,この突当て体44を収容している内孔部には,ストッパプレート45が内装されており、前記突当て体44とストッパプレート45とがストッパ機構46を構成している。
【0023】
このストッパプレート45の内孔には二つの突当て突部45a,45bが突設されており、前記ステップモータ41の回転軸41a又は弁体31の回転に伴って前記突当て体44が回転すると、当該弁体31が前記ポジションA又はポジションCまで回転したときに,当該突当て体44の二つの拘束端面44a又は44bが前記突当て突部45a又は45bに当接し、それ以上弁体31が回転しないようにして前記弁体31のポジションPに,正値の伸側最大ポジションPMAx や負値の圧側最大ポジション(−PMAx )を与える,所謂リミッタの作用を発揮するのであるが、同時に後述する制御原点校正処理,所謂イニシャライズ処理によってステップモータ41の回転角と弁体31のポジションとの脱調補正の作用も発現する。このストッパ機構46の詳細な構成及び作用については,前記イニシャライズ処理の説明と合わせて後段に詳述する。
【0024】
また、車両には、図1に示すように、各車輪1FL〜1RR位置に対応する車体側に設けられて車体に発生するバネ上上下速度を検出するためのバネ上上下速度検出手段の一部を構成する上下加速度センサ51FR〜51RR及び車両の前後方向車速を検出する車速検出手段としての車速センサ52が取付けられている。
【0025】
ここで、各上下加速度センサ51FR〜51RRは、各取付位置において車体に作用する上下加速度に応じて、上向きで正となり且つ下向きで負となるアナログ電圧値のバネ上上下加速度検出値(以下、単にバネ上上下加速度とも記す)XFR" 〜XRR" を出力する。
【0026】
また、前記車速センサ52は例えば自動変速機の出力軸に取付けられ、出力軸の回転数に応じたパルス信号を出力する。
そして、前記コントロールユニット4には、その入力側に、図5に示すように、前記上下加速度センサ51FL〜51RR及び車速センサ52が接続され、出力側に前記各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力を制御するステップモータ41FL〜41RRが接続されている。
【0027】
このコントロールユニット4は、入力インタフェース回路56a、出力インタフェース回路56b、演算処理装置56c及び記憶装置56dを少なくとも有するマイクロコンピュータ56と、上下加速度センサ51FL〜51RRのバネ上上下加速度XFL" 〜XRR" をディジタル値に変換して入力インタフェース回路56aに供給するA/D変換器57FR〜57RRと、出力インタフェース回路56bから出力される各ステップモータ41FL〜41RRに対するステップ制御信号が入力され、これをステップパルスに変換して各ステップモータ41FL〜41RRを駆動するモータ駆動回路59FL〜59RRとを備えている。
【0028】
ここで、マイクロコンピュータ56は、イグニッションスイッチ60がオンとなることにより、バッテリ61の電力が投入されて作動を開始し、その演算処理装置56cでは、後述する図示されない演算処理によって前記各バネ上上下加速度XFL" 〜XRR" から、例えばその時間積分値として当該車輪部位における車体の上下速度(バネ上上下速度とも記す)XFL' 〜XRR' を算出し、これらのバネ上上下速度Xi ' (i=FL〜RR)に応じたステップモータの目標回転角,即ち弁体の目標ポジションPD を算出設定し、この目標ポジションPD と現在ポジションPA との差値を算出して、これに応じたステップ制御量をモータ駆動回路59FL〜59RRに出力し、前記ステップモータの回転角,即ち弁体のポジションに応じた各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力をオープンループ制御する。
【0029】
また、演算処理装置56cは、上記減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力のオープンループ制御にあたって,当該ステップモータの回転角と弁体のポジションとの脱調を補正するために、後述するイニシャライズ処理の実行も司る。
【0030】
さらに、記憶装置56dは、前記演算処理装置56cの演算処理に必要なプログラムや制御マップ等を予め記憶していると共に、演算処理過程での必要な値及び演算結果を逐次記憶する。
【0031】
さらにまた、モータ駆動回路59FL〜59RRは、バッテリ61からの電力がモータリレー62を介して入力され、そのモータリレー62のリレーコイル62aがこれと直列に介装されたスイッチング素子としてのNPN型トランジスタ63によって通電制御される。このトランジスタ63には、そのベースにマイクロコンピュータ56の出力インターフェース回路56bから出力される制御信号CSが入力されている。そして、制御信号CSがオンであるときにトランジスタ63が導通状態となってリレーコイル62aが通電されて接点62bが閉じ、制御信号CSがオフであるときにトランジスタ63が非導通状態となってリレーコイル62aが非通電状態となって接点62bが開く。
【0032】
次に、前記コントロールユニット4で実行されるイニシャライズ処理の基本原理について説明する。
本実施例の減衰力制御では,構造の簡潔化や制御応答性の向上化等の目的も合わせて、前述のように制御量であるステップモータの回転角,即ちステップ量の制御出力を所謂オープンループ制御している。そして、このようなオープンループ制御では,既知のようにその脱調の有無や大きさを,通常の制御ルーチンで認識できないため、基本的な制御原点を所謂イニシャライズによって初期化することで制御入出力系の脱調を補正する。
【0033】
ここで、基本的なイニシャライズ処理の態様について簡潔に説明する。まず、前記図4に示すように前記ポジションAにおける伸側最大ポジションPMAX とポジションCにおける圧側最大ポジション(−PMAX )との間を減衰力制御範囲とすると、前記減衰力制御の演算処理で用いられる現在ポジションPA は、前回の演算処理で出力された制御量即ちステップ量Sの積算値であることが分かる。
【0034】
そこで、本実施例では,前記soft範囲(S−S範囲)の中間のポジションBをポジション値“0”とし、このポジション値“0”を制御原点としてイニシャライズを行う。具体的には図4に示すように、イニシャライズ開始時点からステップモータ41FL〜41RRを反時計回りに段階的に回転させ、前記突当て体44の一方の端面44aを前記ストッパプレート45の一方の突当て突部45aに当接させ(同図では突当て体44の他方の端面44bも同時にストッパプレート45の他方の突当て突部45bに当接する)、然る後、同図に示す回転角aに相当する所定ステップ数Sa 分だけステップモータ41FL〜41RRを時計回りに回転すればよい。
【0035】
勿論、イニシャライズ開始時点からステップモータ41FL〜41RRを時計回りに段階的に回転させ、前記突当て体44の他方の端面44bを前記ストッパプレート45の他方の突当て突部45bに当接させ(同図では突当て体44の一方の端面44aも同時にストッパプレート45の一方の突当て突部45aに当接する)、然る後,同図に示す回転角bに相当する所定ステップ数Sb 分だけステップモータ41FL〜41RRを反時計回りに回転させても同じである。
【0036】
このイニシャライズ処理を実行するために、前記コントロールユニット4の演算処理装置56cで実行されるサスペンション制御演算処理を図6に示す。この図6の演算処理は予め設定されたメインプログラムとして実行される。また、各演算処理毎に前記記憶装置56dに更新記憶されている現在ポジションPA 等の必要なデータや情報は,格別な入出力処理ステップがなくとも,当該演算処理毎に演算処理装置56cのバッファ等に随時読込まれるものとする。
【0037】
この演算処理では、まずステップS41で、車両が停止中であるか否かを判定する。この判定は、車速センサ52の車速Vが“0”であるか否かによって判定し、車速Vが“0”であるときには車両が停止中であると判断してステップS42に移行する。
【0038】
このステップS42では、モータ駆動回路59FL〜59RRに対して給電中であるか否かを表す制御フラグCFが給電中ではないことを表す“0”のリセット状態であるか否かを判定し、当該制御フラグCFが“0”のリセット状態であるときにはそのままステップS45にジャンプし、そうでない場合にはステップS43に移行する。
【0039】
このステップS43では、出力インターフェース回路56bからトランジスタ63に対して出力される制御信号CSをオフ状態とし、次いでステップS44に移行して制御フラグCFを“0”のリセット状態としてからステップS45に移行する。
【0040】
ステップS45では、各上下加速度センサ51i(i=FL,FR,RL,RR)の上下加速度検出値X2i″を読込み、これらの絶対値が予め設定されたステップモータ41FL〜41RRに脱調を来す外乱閾値X2i0 ″を越えているか否かを判定し、|X2i″|≦X2i0 ″であるときには車体が上下動する外乱によって各減衰力可変ショックアブソーバ3iのステップモータ41iが回転することにより脱調状態となることはないものと判断してそのまま前記ステップS41に戻り、|X2i″|>X2i0 ″であるときには、外乱によってステップモータ41iが回転することにより脱調状態となっている可能性が高いと判断してステップS46に移行する。
【0041】
このステップS46では、トランジスタ63に対する制御信号CSをオンとし、次いでステップS47に移行して、制御フラグCFを“1”のセット状態とし且つイニシャライズフラグINTを“1”のセット状態としてからステップS48に移行する。
【0042】
このステップS48では、図示されないテーブル等を参照しながら前述のようにしてイニシャライズ処理を実行し、次いでステップS49に移行する。なお、このイニシャライズ処理は,その他のタイマ割込などによる演算処理に阻害されることなく、他の処理に優先して実行され続ける。
【0043】
前記ステップS49では、イニシャライズ実行フラグSETを“1”のセット状態としてから前記ステップS41に戻る。
一方、前記ステップS41で、車速センサ52の車速Vが“0”以外の正の値であるときには車両が走行状態であるものと判断してステップS50に移行し、制御フラグCFが“1”のセット状態であるか否かを判定し、“1”のセット状態であるときにはそのまま後述するステップS53にジャンプし、そうでないときには、ステップS51に移行する。
【0044】
このステップS51では、トランジスタ63に対する制御信号CSをオンとし、次いでステップS52に移行して、制御フラグCFを“1”のセット状態としてからステップS53に移行する。
【0045】
ステップS53では、イニシャライズフラグINTが“1”のセット状態であるか否かを判定し、“1”のセット状態であるときには、前記ステップS48に移行してイニシャライズ処理を実行し、そうでないときにはステップS54に移行して車体に発生する車体姿勢変化を抑制するために減衰力制御処理を実行してから前記ステップS41に戻る。
【0046】
この減衰力制御処理は、例えば前記特開平7−329532号公報に記載される図13の演算処理と同等又はほぼ同等のものが実行されるため、そのロジックの詳細な説明は省略し、その作用についてのみ簡潔に説明する。
【0047】
前述のように、前記図3の減衰力特性(厳密には減衰係数特性である)を有する本実施例の減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRは、例えば横軸にバネ下−バネ上間相対上下速度をとり且つ縦軸にバネ上上下速度をとったスカイフック原理の減衰力特性に対して、当該図3を裏面から見て且つ90°時計回り方向に正回転(右回転)させると、バネ上上下速度だけを制御入力として、当該スカイフック原理で所望される減衰力特性とよい一致を見ることができる。そして、更に好ましくは、バネ上上下速度Xi ' に対して減衰係数cをリニアに設定することにより、両者の積値で表される減衰力D/Fによって、バネ上上下加速度Xi " と質量Mとの積値で表される加振力を有効に制振できるようにしたい。
【0048】
そこで、制御入力であるバネ上上下速度Xi ' に対してリニアな減衰係数cを算出するための算出係数が、前記図13の演算処理のステップS25又はステップS26で各目標ポジション比例係数α1 ,α2 として算出され、前記図3の減衰力特性曲線で表れるバネ上上下速度Xi ' に対する減衰力D/FがステップモータのポジションPとリニアな関係にあると見なせば、前記各目標ポジション比例係数α1 ,α2 を夫々圧側最大ポジション(−PMAX )又は伸側最大ポジションPMAX に乗じることにより、同演算処理のステップS29又はステップS33でステップモータの目標ポジションPD ,つまり所望する減衰係数を得られる弁体の回転位置が算出される。そして、この目標ポジションPD と前記オープン制御においてコントロールユニット側で把握或いは認識していなければならない現在ポジションPA との偏差を是正すべきステップ量Sが出力され、目標とする減衰力を各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRで得ることができる。
【0049】
これにより、例えば低速走行中であれば、一過性の突起通過時等に発生する小さな加振力(=バネ上上下速度Xi ' )に対して各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力D/Fは小さく設定され、路面からの入力に対して、バネ上,即ち車体はゆったりと動くことになり、乗心地が確保される。一方、高速走行中には、前記と同等の一過性の突起通過でも、路面から入力される加振力(=バネ上上下速度Xi ' )は大きくなるから、当該バネ上上下速度Xi ' に対する各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力D/Fは大きく設定され、このように路面からの大きな加振力に対してバネ上,即ち車体には大きな制振効果が作用し、ふわつき感がなくなり、当該車体が路面(車輪)に追従しているというしっかり感が得られる。また、異なる車速であっても、砂利道やベルジアンロードのような細かな凹凸路面では、車体に作用する加振力(=バネ上上下速度Xi ' )も小さいから、当該バネ上上下速度Xi ' に対する各減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRの減衰力D/Fは小さく設定され、バネ上,即ち車体は当該路面からの加振力に伴って上下動することなく乗心地が確保される。
【0050】
ここで、前記イニシャライズフラグINTやイニシャライズ実行フラグSETの表す意味やそのセット状態のやりとりについては後段に詳述することとして、前記図6の演算処理のステップS48で実行されるイニシャライズ処理の作用について説明する。
【0051】
例えば、弁体の最終ポジション(即ちイニシャライズが実行される直前のポジション)Pが図7に示すような位置にあるとして、前記図6の演算処理が実行されたときに上下加速度検出値X2i″が外乱閾値XO ″より大きいか又はイニシャライズフラグINTが“1”のセット状態であるとすると、前記図6の演算処理のステップS48では、前記ステップモータ41FL〜41RRに対して、当該ステップモータ41FL〜41RRを反時計回りに回転させ且つ次第に小さくなるステップ量Sを所定時間毎に制御信号として出力し、これにより弁体31であり,同時に突当て体44でもあるわけであるが、ステップモータ41FL〜41RRが反時計回りに段階的に且つその回転角を次第に小さくしながら回転し、やがて前記圧側最大ポジション(−PMAX )まで回転してストッパ機構46の突当て体44がストッパプレート45の各突当て突部45a,45bに当接し、それ以上回転しなくなる。
【0052】
この状態から、ステップモータ41FL〜41RRに対して所定ステップ量Sa を出力することにより、当該ステップモータ41FL〜41RRを回転角aだけ時計回りに回転させて突当て体44,即ち弁体31のポジションPをポジション値“0”に位置出しして、前記イニシャライズ完了フラグSETを“1”にセットする。なお、本実施例では、前記ステップモータ41FL〜41RRを反時計回りに且つ段階的に所定回転角だけ回転させると、その回転位置毎に所定時間ずつホールドすると共にそのうちの所定時間は供給電圧をOFFとして駆動力を“0”にする。つまり、このイニシャライズ中はステップモータ41FL〜41RRの駆動力が断続されることになる。
【0053】
また、前記図7に示すように,例えば最終ポジションPから伸側最大ポジションPMAX までの角度をγとし,且つイニシャライズ処理によって到達される想定最大行き過ぎポジションPN から圧側最大ポジション(−PMAX )までの角度をδとすると、当該角度δを前記角度γよりも大きく設定することにより,最終ポジションPが減衰力制御範囲のどこにあっても必ず圧側最大ポジション(−PMAX )に到達するようにしている。
【0054】
従って、前記図6の演算処理によれば、イグニッションスイッチ60がオンとなっている状態で、車両が停止中であって、モータ駆動回路59FL〜59RRへの給電が停止されている状態で、乗員の乗降や荷物の積降ろし或いは故意に車体を揺する等の車体への外乱入力があり、それが前記ステップモータ41FL〜41RRの現在ポジションPA とコントロールユニット4を構成するマイクロコンピュータ56内で記憶されているポジションPとに脱調を来すような大きな加速度入力である場合には、ステップS45からステップS46に移行して、モータ駆動回路59FL〜59RRへの給電が開始されてからステップS48に移行して、前述のようなイニシャライズが強制的に実行され、前記外乱入力によってステップモータ41FL〜41RRに発生している可能性がある脱調は、可及的速やかに是正される。
【0055】
そして、ステップS48のイニシャライズ処理が終了した後に、ステップS41に戻り、車両が停止状態を継続している場合には、ステップS42に移行し、前記ステップS47で制御フラグCFが“1”にセットされていることからステップS43に移行して、制御信号CSをオフとして、モータ駆動回路59FL〜59RRへの給電を停止し、次いでステップS44で制御フラグCFを“0”にリセットしてからステップS45に移行する。このため、前回のイニシャライズ処理が終了した後に再度外乱が入力されたときにはその都度イニシャライズ処理が実行される。
【0056】
ところが、現実問題としては、イグニッションオン時のような停車中或いはその直後に発進した場合のような低速走行中では、前記イニシャライズ処理によるステップモータ41FL〜41RRの回転及び/又は停止に伴うノイズ、或いは前記突当て体44がストッパプレート45の各突当て突部45a,45bに当接するノイズ等が異音として車室内にまで伝達されてしまう虞れがある。そこで、本実施例では、車両が停止中にステップモータ41FL〜41RRに脱調を来してしまうような外乱入力,即ち加速度入力がない場合には、前記特開平7−329532と同様に、車速が或る程度増速して車室内に必要として伝達されるロードノイズが或る程度大きくなった時点で、前記ステップモータのイニシャライズを行うこととする。
【0057】
具体的には、前記ステップモータ41FL〜41RRのイニシャライズに伴って車室内に伝達されるノイズレベルよりも,前記必要として車室内に伝達されるロードノイズ等のノイズレベルが大きくなる車速を所定車速値V0 とし、前記車速センサ52で検出された車速検出値Vがこの所定車速値V0 以上であるときに、各ステップモータ41FL〜41RRのイニシャライズの実行を許可する。
【0058】
すなわち、個別の演算処理によって前記イニシャライズフラグINTのセット・クリアを実行させ、当該車速検出値Vが所定車速値V0 以上であるときに当該イニシャライズフラグINTを“1”にセットする必要条件とすればよい。つまり、このような車速での走行状態では、ステップモータ41FL〜41RRのイニシャライズに伴って車室内に伝達されるノイズが、車室内に伝達されるロードノイズによってマスキングされると考えればよい。そして、後述する諸問題をクリアしてイニシャライズが完了したときには,イニシャライズ完了フラグENDを“1”にセットする。
【0059】
一方、このように車速が設定車速以上大きくなったときにイニシャライズを実行するか、或いは車両が停止中にイニシャライズを実行したときに、当該イニシャライズが完了してしまわないうちに車両が発進してしまったような場合にあって、イニシャライズ中に作用する路面からショックアブソーバへの入力や車体揺動に伴うショックアブソーバへの入力が大きい場合には、減衰力可変ショックアブソーバのピストン速度が大きくなると考えられ、その結果、前述と同様に前記オリフィスを通過する流体力によりステップモータが脱調してしまう恐れがある。
【0060】
そこで、本実施例ではステップモータの正確なポジション“0”出しを行うために、ステップモータのイニシャライズを実行してよいかどうか或いは実行されているイニシャライズを完了してよいかどうかという判断を行う、前記マイクロコンピュータ56の演算処理装置56cで実行されるイニシャライズ監視処理を図8に示す。
【0061】
このイニシャライズ監視処理は所定時間ΔT(例えば3.3msec)毎にタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS1で、前記バネ上下加速度X2i″(i=FL〜RR)及び車速センサ52の車速Vを読込み、次いでステップS2では、車速Vが前記所定車速値V0 以上である場合にステップS3に移行し、そうでない場合にステップS19に移行する。そして、前記ステップS3では、前記イニシャライズ完了フラグENDが“0”のリセット状態である場合にステップS5に移行し、そうでない場合にメインプログラムに復帰する。また、前記ステップS5では、前記イニシャライズフラグINTが“1”のセット状態である場合にステップS6に移行し、そうでない場合にステップS7に移行する。
【0062】
ここで、前記ステップS7では、前記バネ上上下加速度検出値の絶対値|X2i″|が、前記ステップモータに脱調を来す予め設定された前記所定上下加速度値X2i0 ″より小さい場合にステップS8に移行し、そうでない場合にはステップS4に移行する。そして、前記ステップS8では、前記タイマカウンタCNTを“1”だけインクリメントしてからステップS9に移行し、前記タイマカウンタCNTが前記所定カウント値CNT0 以上である場合にステップS10に移行し、そうでない場合には前記メインプログラムに復帰する。
【0063】
このステップS10では、前記イニシャライズフラグINTを“1”にセットしてからステップS11に移行し、前記イニシャライズ実行フラグSETを“0”にリセットしてからステップS12に移行し、前記タイマカウンタCNTをクリアしてから前記メインプログラムに復帰する。
【0064】
一方、前記ステップS6では、前記バネ上上下加速度検出値の絶対値|X2i″|が予め設定された前記外乱閾値X2i0 ″以上である場合にステップS13に移行し、そうでない場合にはステップS14に移行する。そして、前記ステップS13では、前記イニシャライズ仮完了フラグNENDを“1”にセットしてから前記ステップS14に移行し、前記イニシャライズ実行フラグSETが“1”のセット状態である場合にステップS15に移行し、そうでない場合にはメインプログラムに復帰する。
【0065】
このステップS15では、前記イニシャライズフラグINTを“0”にリセットしてからステップS16に移行し、前記イニシャライズ仮完了フラグNENDが“0”のリセット状態である場合にステップS17に移行し、そうでない場合にはステップS18に移行する。そして、前記ステップS17では、前記イニシャライズ完了フラグENDを“1”にセットしてから前記ステップS18に移行し、前記イニシャライズ仮完了フラグNENDを“0”にリセットしてから前記メインプログラムに復帰する。
【0066】
一方、前記ステップS19では、前記イニシャライズフラグINTが“0”のリセット状態である場合は前記ステップS4に移行し、そうでない場合には前記ステップS6に移行する。そして、前記ステップS4では、前記タイマカウンタCNTをクリアしてから前記メインプログラムに復帰する。
【0067】
この図8の演算処理の作用について、前記図6の演算処理との相関に鑑みながら簡潔に説明する。
まず、前記イグニッションオン中で車両が停止しているときに外乱入力がないときには、前記車速センサ52のパルス信号に基づいて検出される車速Vが前記所定車速値V0 以上とならない限り、前記ステップS2からステップS19を経てステップS4に移行し、その結果、タイマカウンタCNTがクリアされるだけでメインプログラムに復帰してしまうため、前記イニシャライズフラグINTは“0”に維持されたままとなり、前記図6によるイニシャライズ処理は実行されない。
【0068】
一方、前記車速Vが前記所定車速値V0 以上となるとステップS3に移行し、未だイニシャライズ完了フラグENDは“0”に維持されているからステップS5に移行し、次いでイニシャライズフラグINTは未だ“0”に維持されているからステップS7に移行する。
【0069】
ここで、車体に作用するバネ上上下加速度X2i″が、ステップモータに脱調を来す前記所定上下加速度値X2i0 ″より小さい場合には、ステップS8に移行してタイマカウンタCNTがインクリメントされ、このタイマカウンタCNTが前記所定カウント値CNT0 以上となる,つまり車速Vが前記所定車速値V0 以上で且つバネ上上下加速度X2i″が前記所定上下加速度値X2i0 ″より小さい状態が所定時間(=CNT0 ・ΔT)継続すると、ステップS9からステップS10に移行してイニシャライズフラグINTが“1”となり、合わせてステップS11ではイニシャライズ実行フラグSETが“0”にリセットされ、次いでステップS12に移行してタイマカウンタCNTがクリアされる。
【0070】
これにより、車両は前記所定車速値V0 より高い車速で比較的安定した良路を継続走行中であるとして、前記図6の演算処理のステップS48によるイニシャライズ処理が実行される。そして、このように車速Vが前記所定車速値V0 以上で走行中にステップモータのイニシャライズを実行しても、前記車室内に伝達されるロードノイズ等によって当該イニシャライズに伴って車室内に伝達されるノイズはマスキングされるため、乗員が異音を感じることはない。また、車両が比較的平坦な良路を前記所定時間T以上安定走行しているために、これに引き続いて実行されるイニシャライズ中に、大きな路面入力や車体揺動入力に伴う流体力で前記脱調が発生する可能性は小さい。
【0071】
一方、イグニッションオン中で且つ車両の停止中に外乱が入力されて、その結果、イニシャライズが実行されている場合及び車速Vは前記所定車速値V0 より小さくても、一旦、前記イニシャライズフラグINTが“1”にセットされた場合であって、未だイニシャライズ完了フラグENDが“0”である場合には、何れにしてもステップS6に移行する。ここで、前記図6の演算処理でイニシャライズ処理が終了するとイニシャライズフラグINTが“0”にリセットされることから、この状態は、何れの場合もイニシャライズが実行中であることを示し、このイニシャライズ実行中に、車体に作用するバネ上上下加速度X2i″が、前記ステップモータに脱調を来す前記外乱閾値X2i0 ″以上となるような場合には、ステップS13に移行してイニシャライズ仮完了フラグNENDを“1”にセットする。従って、前記図6の演算処理によるイニシャライズ処理が終了し、前記イニシャライズ実行フラグSETが“1”にセットされると、図8の演算処理のステップS14からステップS15に移行してイニシャライズフラグINTを“0”にリセットし、前記イニシャライズ仮完了フラグNENDが“0”にリセットされている,つまりイニシャライズ実行中にステップモータに脱調を来すようなバネ上上下加速度X2i″が発生しなかった場合に限ってステップS17に移行してイニシャライズ完了フラグENDが“1”にセットされる。このとき、前記イニシャライズ処理は問題なく確実に終了したことを意味するから、これ以後は、何れにしても同ステップS3からそのままメインプログラムにリターンするフローが繰返されて再度イニシャライズが実行されることはない。
【0072】
他方、前記イニシャライズ実行中に、ステップモータに脱調を来すようなバネ上上下加速度X2i″が発生し、これにより前記イニシャライズ仮完了フラグNENDが“1”にセットされると、そのときのイニシャライズが実行された後も、前記イニシャライズ完了フラグENDが“0”にリセットされたままであるから、やがて上記条件を満足して再びイニシャライズフラグINTが“1”にセットされた時点で、再び図6の演算処理によってイニシャライズ処理が行われる。そして、この間にもステップモータに脱調を来すようなバネ上上下加速度X2i″が発生し、これにより前記イニシャライズ仮完了フラグNENDが“1”にセットされるようであれば、前記条件を満足して前記イニシャライズ完了フラグENDが“1”にセットされるまで,つまり確実なイニシャライズが問題なく完了するまでイニシャライズが繰返して実行されることになる。
【0073】
従って、本発明では、イグニッションオン中で且つ車両の停止中に発生した外乱に対して、イニシャライズを実行したものの、それが完了しないうちに車両が発進したとか、或いはその間に乗員の乗降や荷物の積降ろし或いは故意に車体を揺するなどにより、そのときにステップモータに脱調を来すようなバネ上上下加速度X2i″が発生した場合には、前記所定条件を満足するときを待ってイニシャライズを繰返し実行することで、ステップモータの確実なポジション“0”出しが行われ、その結果、適切な減衰力制御を確保することができる。
【0074】
以上より、前記各上下加速度センサ51FL〜51RRが本発明のサスペンション制御装置のバネ上上下速度検出手段に相当し、以下同様に前記コントロールユニットが制御手段に相当し、前記車速センサ52及びコントロールユニット4で実行される図8の演算処理のステップS1が車速検出手段に相当し、図6におけるステップS41〜S44の処理が制御中断手段に対応し、前記コントロールユニット4で実行される図6のステップS48,S49及びS53の処理及び図8の演算処理が制御原点校正手段に相当し、図6におけるステップS45が外乱入力検出手段に相当し、前記コントロールユニット4で実行される図6の演算処理におけるステップS46〜S49が外乱入力時制御原点校正手段に相当する。
【0075】
なお、上記実施形態においては、路面からの振動入力による車体の姿勢変化を抑制する場合について説明したが、これに限らず車両の制動状態等の走行状態を検出して、これによる車体の姿勢変化を抑制する制御を併せて行うようにしてもよい。
【0076】
また、上記実施形態においては、車速センサ52からディジタル値の車速Vが出力される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、アナログ値の車速Vが出力される場合にはこれをA/D変換してマイクロコンピュータ56に入力すればよく、さらには車速センサ52から車速に応じたパルス信号をマイクロコンピュータ56に入力し、マイクロコンピュータ56の演算処理装置56cで単位時間当たりのパルス数又はパルス間隔から車速Vを演算するようにしてもよく、この場合には図6のサスペンション制御処理におけるステップS21での車両の停止判断を車速センサ52からのパルス信号が入力されないか否かによって判断することができる。
【0077】
さらに、上記実施例においては、マイクロコンピュータ56を適用して制御する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、演算回路等の電子回路を組み合わせて構成することもできる。
【0078】
さらにまた、上記実施形態においては、車体2の各車輪1FL〜1RR位置に上下加速度センサ51FL〜51RRを設けた場合について説明したが、何れか1つの上下加速度センサを省略して、省略した位置の上下加速度を他の上下加速度センサの値から推定するようにしてもよい。
【0079】
なおさらに、上記実施形態においては、バネ上上下加速度検出値X2i″の絶対値に基づいて外乱入力の有無を検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、別途車体の揺動による上下方向の加速度が所定値以上となったときには出力がオンとなる加速度スイッチを適用することもでき、さらには車両停止時に減衰力可変ショックアブソーバ3FL〜3RRのストローク或いはストローク速度を検出してこれが所定値以上となったか否かによって外乱入力の有無を検出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサスペンション制御装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1のサスペンション制御装置に採用された減衰力可変ショックアブソーバの一例を示す一部を断面とした正面図である。
【図3】減衰力可変ショックアブソーバの弁本体のポジションに対する減衰力特性を示す説明図である。
【図4】図2に示す減衰力可変ショックアブソーバに設けられたストッパ機構の説明図である。
【図5】コントローラの一例を示すブロック図である。
【図6】本発明のサスペンション制御装置の一実施例としてコントローラで実行されるイニシャライズ(制御原点校正)の演算処理を示すフローチャートである。
【図7】図6の演算処理によるイニシャライズ(制御原点校正)の作用の説明図である。
【図8】本発明のサスペンション制御装置の一実施例としてコントローラで実行されるイニシャライズ(制御原点校正)許可及び条件設定制御の演算処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1FL〜1RR 車輪
2 車体
3FL〜3RR 減衰力可変ショックアブソーバ
4 コントロールユニット
8 ピストン
11 下部半体
12 上部半体
13 伸側油流路
14 圧側油流路
31 弁体
35 ピストンロッド
41FL〜41RR ステップモータ
44 突当て体
45 ストッパプレート
46 ストッパ機構
51FR〜51RR 上下加速度センサ
52 車速センサ
56 マイクロコンピュータ
59FL〜59RR モータ駆動回路

Claims (3)

  1. 車体側部材及び車輪側部材間に介装されて、入力される制御信号に応じて駆動されるステップモータによって弁体を回転制御することにより、流体の通過する絞りが変化することで減衰力を多段階に設定可能な減衰力可変ショックアブソーバと、車体のバネ上上下速度を検出するバネ上上下速度検出手段と、少なくとも前記バネ上上下速度検出手段で検出されたバネ上上下速度検出値に基づいて車体の姿勢変化を抑制する減衰力に応じた前記弁体の目標回転位置を設定し、当該弁体を目標回転位置に移動させるように前記制御信号を前記ステップモータに出力してオープンループ制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、車両の前後方向速度を検出する車速検出手段と、少なくとも前記車速検出手段で検出された車速検出値が予め設定された所定車速値以上であるときに前記ステップモータの制御原点校正を行う制御原点校正手段とを備えたサスペンション制御装置において、イグニッションスイッチがオンであって車両が停止しているときに、前記ステップモータに対する給電を停止させる制御中断手段を備え、前記制御原点校正手段は、前記制御中断手段による前記ステップモータに対する給電停止中に、所定以上の外乱が車体に入力されたことを検出する外乱入力検出手段と、この外乱入力検出手段で外乱が車体に入力されたことを検出したときに、前記制御中断手段による給電停止を一時解除して前記ステップモータの制御原点校正を行う外乱入力時制御原点校正手段とを備えたことを特徴とするサスペンション制御装置。
  2. 前記外乱入力検出手段は、車体のバネ上速度を検出するために使用する上下加速度センサで構成されていることを特徴とする請求項1に記載のサスペンション制御装置。
  3. 前記外乱入力時制御原点校正手段で制御原点校正中に前記外乱入力検出手段で外乱入力を検出したときには前記制御原点校正手段で制御原点の再校正を行うようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のサスペンション制御装置。
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