JP3645108B2 - 合分波素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般光学や微少光学分野で、また光通信や光情報処理の分野で用いられる種々の光学素子等に利用可能な合分波素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
合分波素子は、1つの光信号を複数の光信号に分割したり、逆に複数の光信号を1つの光信号として結合したりする場合に用いる最も基本的な受動回路であり、微小レンズ等を用いたビーム系の合分波素子と、光ファイバや光導波路を用いた光導波路系の合分波素子とに分類される。特に近年では光情報処理、光通信分野で大量の情報処理を目的とした波長多重を可能とする上で、特に光導波路型合分波素子の研究開発が盛んに行われ、例えば石英系光導波路を採用した合分波素子が報告されている(文献:河内 正夫,NTT R&D vol.43 No.11p.101(1994))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の光導波路型合分波素子を種々の回路に適用する場合、実装・組み立てに多大な労力と時間がかかること、複雑な専用装置がいること等の解決すべき点が多い。そのため、従来の光導波路型合分波素子がさまざまな分野にまで普及していないのが現状である。また、上記の点から、組み立てには高度の熟練技術が必要なため、一般家庭にまで普及している電気関連部品の取り扱いと異なり、家庭でも取り扱える様な簡単な合分波素子は皆無であるというのが現状である。
【0004】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、合分波素子の使用分野を拡大する上で障害となる要因の一つである実装組み立てを簡便にするようにした合分波素子の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明にもとづく合分波素子の製造方法は、容器の表面の長手方向に沿って一端から他端に向けてダイシングソーを用いて第1の溝部を形成する工程と、該第1の溝部とX型に交差し、かつ前記容器の表面の長手方向に沿って一端から他端に向けてダイシングソーを用いて第2の溝部を斜めに形成する工程と、前記容器の表面の幅方向に沿って、前記第1の溝部及び前記第2の溝部と交差するようにフィルタ挿入溝を形成して波長フィルタを挿入する工程と、前記第1の溝部及び第2の溝部のそれぞれに光ファイバを嵌め込む際に、該嵌め込む光ファイバのうち前記波長フィルタからの透過光の出射側ファイバについては前記波長フィルタに接触するように嵌め込む工程と、前記第1の溝部及び第2の溝部との交差部分で、前記波長フィルタの近傍に紫外線硬化樹脂を滴下し、前記光ファイバを介して該紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して光硬化させることにより、光導波路のコアを形成する工程と、次に、屈折率の低い紫外線硬化樹脂をさらに滴下し、前記光ファイバを介して該紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して光硬化させることにより、前記光導波路のクラッドを形成する工程とを備え、前記第1の溝部及び第2の溝部に嵌め込まれた前記各光ファイバ、前記フィルタ挿入溝に挿入された前記波長フィルタ及び前記交差部分に設けられた前記光導波路を、前記第1の溝部及び前記第2の溝部に接着固定することを特徴とする。
また、前記光ファイバ、前記波長フィルタ、および前記光導波路を、前記第1の溝部および前記第2の溝部に接着固定するための接着剤として感光性エポキシ樹脂を用いることを特徴とする。
さらに、前記光ファイバは、ポリマークラッド光ファイバまたはプラスチック光ファイバであることを特徴とする。
【0006】
したがって、本発明における合分波素子の特徴を概説すれば以下のとおりである。
【0007】
(1)ポリマークラッド光ファイバ、プラスチック光ファイバをはめ込む溝部と波長フィルタをはめ込む溝部からなる容器の溝部に、光ファイバと波長フィルタをはめこみ、接着固定するだけで合分波素子を作製できる。
【0008】
(2)上記の容器が簡便に作製できる。
【0009】
(3)光導波路、光ファイバ、および波長フィルタを容器の溝部に接着固定する接着剤が感光性エポキシ樹脂であるため、取扱いが容易でしかも耐熱性に優れる。
【0010】
(4)容器に固定する波長フィルタとして誘導体多層膜がついたフィルム状の高分子膜を用いることが可能である。したがって安価でしかも膜厚がうすいためフィルタを挿入しても損失増加が少ないことを特徴とする。
【0011】
(5)光導波路が光を照射するだけで作製できるため安価である。
【0012】
以下に本発明にもとづく合分波素子を具体的に説明する。
【0013】
なお、本発明の合分波素子に適用される光導波路の作成方法としては、例えば特開平10−148729号公報を参照されたい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明にもとづく合分波素子の一例を図1に示す。この図に示す合分波素子は、容器10の表面に、該表面の長手方向に沿って一端から他端に向けて形成された溝部1と、該溝部1と交差し、かつ該表面の長手方向に沿って一端から他端に向けて斜めに形成された溝部2と、該表面の幅方向に沿って延び、かつ溝部1および溝部2と交差する溝部3とを有する。これらの溝部1,2,および3の交差部には、光導波路4が設けられており、さらにこの光導波路4と接続した光ファイバ5,6,7が溝部1および溝部2にそれぞれ嵌め込まれている。また、溝部3には光導波路4を横切るようにして波長フィルタ8が嵌め込まれている。ところで、上記光導波路4は接着剤成分と同様の成分からなるため、光ファイバ5,6,7および波長フィルタ8を接着固定する役割も果たしている。
【0015】
以下、本発明にもとづく合分波素子に適用される容器の作製方法について説明する。ここでは、2つの異なる方法について説明する。
【0016】
<第1の方法>
まず、短波長領域から近赤外領域で透明な材料からなる基板を用意する。次にダイシングソーでこの基板に溝部加工を施す。この際、溝部幅はダイシングソーの刃の幅と密接な関係があり、通常のプラスチック光ファイバ用(外径1mm)に溝部加工するのであれば、刃の幅が1mm程度のものを用いる。また、通常のポリマークラッド光ファイバ(外径230μm)であれば刃の幅は230μm程度とする。波長フィルタでは分離する波長を誘導体多層膜の厚さ等によって決定できしかもその分離角度も一義的に決定されるので、図1に示すように溝部の交差角度はその波長フィルタの分離角度にあわせればよい。またフィルタ挿入溝部については反射形の波長フィルタを用いるなら、そのファイバ溝部に対して反射角度とあうように作製する。
【0017】
<第2の方法>
まず、基板(例えば、プラスチック製基板)を用意する。次に光硬化性樹脂を基板上で薄膜化し、フォトリソグラフィによりこの薄膜をマスク越しに紫外線を照射し、適当な有機溶媒にて現像することにより、所望の溝部を得る。この際、溝部幅については通常のプラスチック光ファイバ用(外径1mm)に溝部加工するのであれば幅が1mm程度のものを用い、通常のポリマークラッド光ファイバ(外径230μm)であれば幅は230μm程度とする。
【0018】
上記第1の方法または上記第2の方法のいずれかの方法によって作製された容器を以下の実施例で用いる。
【0019】
(実施例1)
この実施例では、上記第1の方法で作製した容器を用いた合分波素子を作製する。
【0020】
図2は、本実施例にもとづく合分波素子の概略的構成を示す模式的平面図である。
【0021】
この図に示す合分波素子は、容器10の表面に、該表面の長手方向に沿って一端から他端に向けて形成された溝部11と、該溝部11と交差し、かつ該表面の長手方向に沿って一端から他端に向けて斜めに形成された溝部12と、該表面の幅方向に沿って延び、かつ溝部11および溝部12と交差する溝部13とを有する。これらの溝部11,12,および交差部19には、光導波路14が設けられており、さらにこの光導波路14と接続した光ファイバ15,16,および17が溝部11および溝部12にそれぞれ嵌め込まれている。また、溝部13には光導波路14を横切るようにして波長フィルタ18が嵌め込まれている。このような構成からなる合分波素子を以下のようにして作製した。
【0022】
まずはじめに、上記第1の方法で作製した容器10の表面に3本の溝部11,12、および13を形成する。
【0023】
溝部11および12は、深さが235μm、幅が235μmとした。また、溝部13は波長フィルタ(厚さ20μm、大きさ2mm×3mm、1.3μm透過、1.55μm反射のローパスフィルタ)を入れる溝部で、その幅を30μm、深さを350μmとした。
【0024】
つぎに、ポリマークラッド光ファイバ15,16,17(いずれも片端FCコネクタつきでもう片端は被覆除去したもので外径230μm)3本を溝部11および12を図2に示すようにはめ込んだ。参照符号15は分波素子の場合の入射側ファイバ、16,17は出射側ファイバである。出射側ファイバ17は透過で出射する波長の出射側ファイバ、16は反射してくる波長の出射側ファイバである。最後に波長フィルタ18を溝部13に嵌め込んだ。入射側ファイバ15および出射側ファイバ16とフィルタ18の距離は700μm程度であった。また出射側ファイバ17と波長フィルタ18とを接触させた。その後、液状の紫外線硬化性エポキシ樹脂を波長フィルタ18付近に適量たらし、参照符号15の光ファイバ経由で紫外線照射を行い、樹脂の光硬化を行った。この場合、入射側ファイバ15および出射側ファイバ16と出射側ファイバ17との距離は1mm以下であり、光はそれほどひろがらず、入射側ファイバ15および出射側ファイバ16と出射側ファイバ17との間に光導波路14が形成された。その後、屈折率の低い紫外線硬化性エポキシ樹脂を滴下して光硬化させ、クラッドを作製した。この操作により、光ファイバ15,16,および17,さらに波長フィルタ18を容器10に接着固定した。これら一連の操作により本発明の合分波素子が作製できた。素子特性を測定したところ、透過ポートでの挿入損失1dB(波長1.3μm)、反射ポートでの挿入損失1dB(波長1.55μm)、クロストーク30dB以上であった。
【0025】
(実施例2)
実施例1の波長フィルタ18のかわりに厚さ20μm、大きさ2mm×3mm、13μm透過、0.85μm反射のロングパスフィルタを挿入し、本発明の合分波素子とした。素子特性を測定したところ、透過ポートでの挿入損失1dB(波長1.3μm)、反射ポートでの挿入損失1dB(波長0.85μm)、クロストーク35dB以上であった。
【0026】
(実施例3)
実施例1の容器10で溝部幅を1mmとしてポリマークラッド光ファイバ14,15,16のかわりにプラスチック光ファイバ(いずれも片端FCコネクタつきでもう片端は被覆除去したもので外径1000μm)を挿入した。厚さ20μm、0.58μm透過、0.65μm反射のローパスフィルタを挿入し、本発明の合分波素子とした。素子特性を測定したところ、透過ポートでの挿入損失2dB(波長0.58μm)、反射ポートでの挿入損失2dB(波長0.65μm)、クロストーク20dB以上であった。
【0027】
(実施例4)
実施例3でプラスチック光ファイバ(いずれも片端FCコネクタつきでもう片端は被覆除去したもので外径1000μm)のかわりに片端SCコネクタつきでもう片端は被覆除去したもので外径250μmを挿入した。厚さ20μm、1.3μm透過、1.55μm反射のローパスフィルタを挿入し、本発明の合分波素子とした。素子特性を測定したところ、透過ポートでの挿入損失2dB(波長1.3μm)、反射ポートでの挿入損失2dB(波長1.55μm)、クロストーク20dB以上であった。
【0028】
(実施例5)
図3は、本発明にもとづく合分波素子の他の例を示す模式的平面図である。上記実施例1ないし4では波長フィルタ用の溝部は一本であったが、この実施例では2本形成している。
【0029】
この図に示す合分波素子は、容器30の表面に、該表面の長手方向に沿って一端から他端に向けて形成された溝部31と、該溝部31と交差し、かつ斜めに形成された2本の溝部32,33と、該表面の幅方向に沿って延び、かつ溝部31および溝部32または33と交差する溝部34および35とを有する。これら2つの交差部分によって挟まれるようにして、溝部31には光導波路36が設けられており、さらにこの光導波路36と接続した光ファイバ37,38,39,および40が溝部31,32,および33にそれぞれ嵌め込まれている。また、溝部34および35には光導波路36の端面に接するようにしてそれぞれ波長フィルタ41,42としては、厚さが20μm、大きさ2mm×3mm、1.3μm、0.85μm透過、1.55μm反射のローパスフィルタと、厚さ20μm、大きさ2mm×3mm、1.3μm透過、0.85μm反射のロングパスフィルタとを用いた。光ファイバとしては実施例1と同様にポリマークラッド光ファイバを用いた。素子特性を測定したところ、それぞれの波長の挿入損失1.5dB(波長1.3μm)、挿入損失1.5dB(波長1.55μm)、挿入損失1.5dB(波長0.85μm)クロストーク20dB以上であった。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にもとづく合分波素子は上記のように構成されるので、合分波素子の使用分野を拡大する上で障害となる要因の一つである実装組み立てを簡便にするとともに、合分波素子の低価格化を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にもとづく合分波素子の概略的構成を説明するための模式的平面図である。
【図2】本発明にもとづく合分波素子の一例を説明するための模式的平面図である。
【図3】本発明にもとづく合分波素子の他の例を説明するための模式的平面図である。
【符号の説明】
1 溝部
2 溝部
3 溝部
4 光導波路
5 光ファイバ
6 光ファイバ
7 光ファイバ
8 波長フィルタ
10 容器
11 溝部
12 溝部
13 溝部
14 光導波路
15 光ファイバ
16 光ファイバ
17 光ファイバ
18 波長フィルタ
19 交差部
30 容器
31 溝部
32 溝部
33 溝部
34 溝部
35 溝部
36 光導波路
37 光ファイバ
38 光ファイバ
39 光ファイバ
40 光ファイバ
41 波長フィルタ
42 波長フィルタ
Claims (3)
- 容器の表面の長手方向に沿って一端から他端に向けてダイシングソーを用いて第1の溝部を形成する工程と、
該第1の溝部とX型に交差し、かつ前記容器の表面の長手方向に沿って一端から他端に向けてダイシングソーを用いて第2の溝部を斜めに形成する工程と、
前記容器の表面の幅方向に沿って、前記第1の溝部及び前記第2の溝部と交差するようにフィルタ挿入溝を形成して波長フィルタを挿入する工程と、
前記第1の溝部及び第2の溝部のそれぞれに光ファイバを嵌め込む際に、該嵌め込む光ファイバのうち前記波長フィルタからの透過光の出射側ファイバについては前記波長フィルタに接触するように嵌め込む工程と、
前記第1の溝部及び第2の溝部との交差部分で、前記波長フィルタの近傍に紫外線硬化樹脂を滴下し、前記光ファイバを介して該紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して光硬化させることにより、光導波路のコアを形成する工程と、
次に、屈折率の低い紫外線硬化樹脂をさらに滴下し、前記光ファイバを介して該紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して光硬化させることにより、前記光導波路のクラッドを形成する工程とを備え、
前記第1の溝部及び第2の溝部に嵌め込まれた前記各光ファイバ、前記フィルタ挿入溝に挿入された前記波長フィルタ及び前記交差部分に設けられた前記光導波路を、前記第1の溝部及び前記第2の溝部に接着固定することを特徴とする合分波素子の製造方法。 - 前記光ファイバ、前記波長フィルタ、および前記光導波路を、前記第1の溝部および前記第2の溝部に接着固定するための接着剤として感光性エポキシ樹脂を用いることを特徴とする請求項1に記載の合分波素子の製造方法。
- 前記光ファイバは、ポリマークラッド光ファイバまたはプラスチック光ファイバであることを特徴とする請求項1又は2に記載の合分波素子の製造方法。
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