JP3647143B2 - 電子ビーム露光装置及びその露光方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子ビーム露光装置及びその露光方法に関し、特にウエハ直接描画またはマスク、レチクル露光の為に、複数の電子ビームを用いてパターン描画を行う電子ビーム露光装置及びその露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子ビーム露光装置には、ビームをスポット状にして使用するポイントビーム型、サイズ可変の矩形断面にして使用する可変矩形ビーム型、ステンシルを使用して所望断面形状にするステンシルマスク型等の装置がある。
【0003】
ポイントビーム型の電子ビーム露光装置ではスループットが低いので、研究開発用にしか使用されていない。可変矩形ビーム型の電子ビーム露光装置では、ポイント型と比べるとスループットが1〜2桁高いが、0.1μm程度の微細なパターンが高集積度で詰まったパターンを露光する場合などではやはりスループットの点で問題が多い。他方、ステンシルマスク型の電子ビーム露光装置は、可変矩形アパーチャに相当する部分に複数の繰り返しパターン透過孔を形成したステンシルマスクを用いる。従って、ステンシルマスク型の電子ビーム露光装置では繰り返しパターンを露光する場合のメリットが大きいが、1枚のステンシルマスクに納まらない多数の転写パターンが必要な半導体回路に対しては、複数枚のステンシルマスクを作成しておいてそれを1枚ずつ取り出して使用する必要があり、マスク交換の時間が必要になるため、著しくスループットが低下するという問題ある。
【0004】
この問題点を解決する装置として、複数の電子ビームを設計上の座標に沿って試料面に照射し、設計上の座標に沿ってその複数の電子ビームを偏向させて試料面を走査させるとともに、描画するパターンに応じて複数の電子ビームを個別にon/offしてパターンを描画するマルチ電子ビーム型露光装置がある。マルチ電子ビーム型露光装置は、ステンシルマスクを用いずに任意の描画パターンを描画できるのでスループットがより改善できるという特徴がある。
【0005】
図14に、マルチビーム型露光装置の要部概略図を示す。501a ,501b,501cは、個別に電子ビームをon/offできる電子銃である。502は、電子銃501a ,501b,501cからの複数の電子ビームをウエハ503上に縮小投影する縮小電子光学系で、504は、ウエハ503に縮小投影された複数の電子ビームを走査させる偏向器である。505は、偏向器504を作動させた際に縮小電子光学系502を通過する電子ビームで発生する偏向収差に応じて、電子ビームのフォーカス位置を補正するダイナミックフォーカスコイルであり、506は、偏向収差に応じて電子ビームの非点収差を補正するダイナミックスティグコイルである。
【0006】
そして、上記構成により、ウエハ上を複数の電子ビームを走査して、各電子ビームの露光フィールドを隣接してウエハを露光する。
【0007】
【発明が解決しようとしている課題】
しかしながら、偏向器504を作動させた際に縮小電子光学系502を通過する複数の電子ビームで発生する偏向収差は互いに異なるので、電子ビームのフォーカス位置・非点収差をそれぞれ一つであるダイナミックフォーカスコイル・ダイナミックスティグコイルで補正しても、各電子ビームに対して最適な補正をかけることが困難であった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の電子ビーム露光装置のある形態は、電子ビームを放射する光源と、被露光面に前記光源から放射される電子ビームにより形成される中間像を縮小投影する縮小電子光学系とを有する電子ビーム露光装置において、前記中間像を形成する要素電子光学系を、前記縮小電子光学系の光軸に直交する面内に複数配列した要素電子光学系アレイと、各前記要素電子光学系の電子光学特性を調整することにより前記中間像の形成位置を調整する第1の調整手段と、前記縮小電子光学系の電子光学特性を調整する第2の調整手段と、前記要素電子光学系アレイからの電子ビームを偏向させて前記被露光面内で走査させる偏向手段と、を備え、前記要素電子光学系アレイからの電子ビームを偏向する際に発生する偏向収差を前記第1の調整手段および前記第2の調整手段によって補正することを特徴とする。
【0009】
前記第1の調整手段は、前記中間像の前記縮小電子光学系の光軸方向における前記中間像の形成位置を調整する第1中間像形成位置調整手段を有することが好ましい
【0010】
前記要素電子光学系は、ユニポテンシャルレンズで構成されることが好ましく、前記第1中間像形成位置調整手段は、前記ユニポテンシャルレンズの焦点位置を調整することが好ましい
【0011】
前記第2の調整手段は、前記縮小電子光学系の焦点位置を調整することが好ましい
【0012】
前記第1の調整手段は、前記要素電子光学系の非点収差を調整することが好ましい
【0013】
前記第2の調整手段は、前記縮小電子光学系の非点収差を調整する手段を有することを特徴とする。
【0014】
前記第1の調整手段は、前記縮小電子光学系の光軸方向と直交する方向における前記中間像の形成位置を調整する第2中間像形成位置調整手段を有することが好ましい。さらに、前記第2中間像形成位置調整手段は、前記要素電子光学系アレイの前記縮小電子光学系側に配置されていることが好ましいこで、前記第1の調整手段および前記第2の調整手段は、電子ビーム露光に先立ち得られたデータに基づいて、前記偏向収差を補正することが好ましい
【0015】
本発明の電子ビーム露光方法のある形態は、光源から放射された電子ビームにより形成される中間像を縮小電子光学系によって被露光面に縮小投影する電子ビーム露光方法において、複数の要素電子光学系によって形成される前記中間像のそれぞれを前記縮小電子光学系の光軸に直交する方向に配列させる段階と、前記要素電子光学系からの電子ビームを偏向させて前記被露光面内で走査させる段階と、前記要素電子光学系からの電子ビームを偏向する際に発生する偏向収差を、各前記要素電子光学系の電子光学特性を調整することで前記中間像の形成位置を調整するとともに前記縮小電子光学系の電子光学特性を調整することにより、補正する段階とを有することを特徴とする。
【0016】
本発明のデバイス製造方法のある形態は、前記電子ビーム露光装置を用いてデバイスを製造することを特徴とする。また、前記電子ビーム露光方法を用いて電子ビーム露光された被露光物体を現像する段階を有することを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
〔電子ビーム露光装置の構成要素説明〕
図1は本発明に係る電子ビーム露光装置の要部概略図である。
【0023】
図1において、1は、カソード1a、グリッド1b、アノード1cよりなる電子銃であって、カソード1aから放射された電子はグリッド1b、アノード1cの間でクロスオーバ像を形成する。(以下、これらのクロスオーバ像を光源と記す)
【0024】
この光源から放射される電子は、その前側焦点位置が前記光源位置にあるコンデンサーレンズ2によって略平行の電子ビームとなる。略平行な電子ビームは、要素電子光学系アレイ3に入射する。要素電子光学系アレイ3は、ブランキング電極と開口と電子レンズで構成される要素電子光学系が光軸AXに直交する方向に複数配列されて形成されたものである。要素電子光学系アレイ3の詳細については後述する。
【0025】
要素電子光学系アレイ3は、光源の中間像を複数形成し、各中間像は後述する縮小電子光学系4によって縮小投影され、ウエハ5上に光源像を形成する。
【0026】
その際、ウエハ5上の光源像の間隔が光源像の大きさの整数倍になるように、要素電子光学系アレイ3の各要素は設定されている。更に、要素電子光学系アレイ3は、各中間像の光軸方向の位置を縮小電子光学系4の像面湾曲に応じて異ならせるとともに、各中間像が縮小電子光学系4よってウエハ5に縮小投影される際に発生する収差を予め補正している。
【0027】
縮小電子光学系4は、第1投影レンズ41(43)と第2投影レンズ42(44)とからなる対称磁気タブレットで構成される。第1投影レンズ41(43)の焦点距離をf1、第2投影レンズ42(44)の焦点距離をf2とすると、この2つのレンズ間距離はf1+f2になっている。光軸上AXの物点は第1投影レンズ41(43)の焦点位置にあり、その像点は第2投影レンズ42(44)の焦点に結ぶ。この像は-f2/f1に縮小される。また、2つのレンズ磁界が互いに逆方向に作用する様に決定されているので、理論上は、球面収差、等方性非点収差、等方性コマ収差、像面湾曲収差、軸上色収差の5つの収差を除いて他のザイデル収差および回転と倍率に関する色収差が打ち消される。
【0028】
6は、要素電子光学系アレイ3からの複数の電子ビームを偏向させて、複数の光源像をウエハ5上でX,Y方向に略同一の変位量だけ変位させる偏向器である。偏向器6は、図示はされていないが、偏向幅が広い場合に用いられる主偏向器と偏向幅が狭い場合に用いられる副偏向器で構成されていて、主偏向器は電磁型偏向器で、副偏向器は静電型偏向器である。
【0029】
7は偏向器6を作動させた際に発生する偏向収差により光源像のフォーカス位置のずれを補正するダイナミックフォーカスコイルであり、8は、ダイナミックフォーカスコイル7と同様に、偏向により発生する偏向収差の非点収差を補正するダイナミックスティグコイルである。
【0030】
9は、要素電子光学系アレイ3からの電子ビームが、ウエハ5上に形成された位置合わせマークもしくはステージ基準板13上のマークを照射した際に生じる反射電子又は2次電子を検出する反射電子検出器である。
【0031】
10は、X及びY方向にのびる2つのシングルナイフエッジを有するファラデーカップで要素電子光学系からの電子ビームが形成する光源像の電荷量を検出する。
【0032】
11は、ウエハを載置し、光軸AX(Z軸)方向とZ軸回りの回転方向に移動可能なθ-Zステージであって、前述したステージ基準板13とファラデーカップ10が固設されている。
【0033】
12は、θ-Zステージを載置し、光軸AX(Z軸)と直交するXY方向に移動可能なXYステージである。
【0034】
次に、図2を用いて要素電子光学系アレイ3について説明する。
【0035】
要素電子光学系アレイ3は、複数の要素電子光学系をグループ(サブアレイ)とし、そのサブアレイが複数形成されている。そして、本実施例では7つのサブアレイA〜Gが形成されている。各サブアレイは、複数の要素電子光学系が2次元的に配列されている。そして、本実施例の各サブアレイではD(1,1)〜D(5,5)のように25個の要素電子光学系が形成されていて、各要素電子光学系は縮小電子光学系4を介してウエハ上にはX方向もY方向もピッチPb(μm)の間隔で配列する光源像を形成する。
【0036】
各要素電子光学系の断面図を図3に示す。
【0037】
図3において、301は一対の電極で構成され、偏向機能を有するブランキング電極であり、302は、透過する電子ビームの形状を規定する開口(AP)を有する基板で他の要素電子光学系と共通である。その上にブランキング電極301と電極をon/offするための配線(W)が形成されている。303は、3つの開口電極で構成され、上下の電極を加速電位V0と同じにし、中間の電極を別の電位V1またはV2に保った収斂機能を有するユニポテンシャルレンズ303a、303bの2つを用いた電子レンズである。
【0038】
ユニポテンシャルレンズ303aの上、中、下の電極及びユニポテンシャルレンズ303bの上、下の電極の形状は図4(A)に示すような形状であり、ユニポテンシャルレンズ303a、303bの上下電極は、後述する焦点・非点制御回路1によって全ての要素電子光学系において共通の電位に設定している。
【0039】
ユニポテンシャルレンズ303aの中間電極は、焦点・非点制御回路1によって要素電子光学系毎に電位が設定出来る為、ユニポテンシャルレンズ303aの焦点距離が要素電子光学系毎に設定できる。
【0040】
また、ユニポテンシャルレンズ303bの中間電極は、図4(B)に示すような4つの電極で構成され、焦点・非点制御回路によって各電極の電位が個別に設定でき、要素電子光学系毎にも個別設定出来るため、ユニポテンシャルレンズ303bは直交する断面において焦点距離が異なるようにでき、かつ要素電子光学系毎にも個別に設定出来る。
【0041】
その結果、要素電子光学系の中間電極の電位をそれぞれ制御することによって、要素電子光学系の電子光学特性(中間像形成位置、非点収差)を制御することができる。
【0042】
コンデンサーレンズ2で略平行にされた電子ビームは、ブランキング電極301と開口(AP)を介し、電子レンズ303によって、光源の中間像を形成する。この時、ブランキング電極301の電極間に電界をかけていないと電子ビーム束305の様に偏向されない。一方、ブランキング電極301の電極間に電界をかけると電子ビーム束306の様にに偏向される。すると、電子光束305と電子ビーム束306は、縮小電子光学系4の物体面で互いに異なる角度分布を有するので、縮小電子光学系4の瞳位置(図1のP面上)では電子ビーム束305と電子ビーム束306は互いに異なる領域に入射される。したがって、電子ビーム束305だけを透過させるブランキング開口BAを縮小電子光学系の瞳位置(図1のP面上)に設けてある。
【0043】
また、各要素電子光学系は、それぞれが形成する中間像が縮小電子光学系4によって被露光面に縮小投影される際に発生する像面湾曲・非点収差を補正するために、各要素電子光学系の2つの中間電極の電位を個別に設定して、各要素電子光学系の電子光学特性(中間像形成位置、非点収差)を異ならしめている。ただし、本実施例では、中間電極と焦点・非点制御回路1との配線を減らす為に同一サブアレイ内の要素電子光学系は同一の電子光学特性にしてあり、要素電子光学系の電子光学特性(中間像形成位置、非点収差)をサブアレイ毎に制御している。
【0044】
さらに、複数の中間像が縮小電子光学系4によって被露光面に縮小投影される際に発生する歪曲収差を補正するために、縮小電子光学系4の歪曲特性を予め知り、それに基づいて、縮小電子光学系4の光軸と直交する方向の各要素電子光学系の位置を設定している。
【0045】
次に本実施例のシステム構成図を図5に示す。
【0046】
ブランキング制御回路14は、要素電子光学アレイ3の各要素電子光学系のブランキング電極のon/offを個別に制御する制御回路、焦点・非点制御回路1(15)は、要素電子光学アレイ3の各要素電子光学系の電子光学特性(中間像形成位置、非点収差)を個別に制御する制御回路である。
【0047】
焦点・非点制御回路2(16)は、ダイナミックスティグコイル8及びダイナミックフォーカスコイル7を制御して縮小電子光学系4の焦点位置、非点収差を制御する制御回路で、偏向制御回路17は偏向器6を制御する制御回路、倍率調整回路18は、縮小電子光学系4の倍率を調整する制御回路、光学特性回路19は、縮小電子光学系4を構成する電磁レンズの励磁電流を変化させ回転収差や光軸を調整する制御回路である。
【0048】
ステージ駆動制御回路20は、θ-Zステージを駆動制御し、かつXYステージ12の位置を検出するレーザ干渉計21と共同してXYステージ12を駆動制御する制御回路である。
【0049】
制御系22は、描画パターンに関する情報が記憶されたメモリ23からのデータに基づく露光及び位置合わせの為に上記複数の制御回路および反射電子検出器9・ファラデーカップ10を同期して制御する。制御系22は、インターフェース24を介して電子ビーム露光装置全体をコントロールするCPU25によって制御されている。
【0050】
〔動作の説明〕
図5を用いて本実施例の電子ビーム露光装置の動作について説明する。
【0051】
露光装置のウエハ露光に先立ち、CPU25は、インターフェース24を介して制御系22に「キャリブレーション」を命令すると、制御系22は下記のステップを実行する。
【0052】
(ステップ1)
図6に示すように、ステージ基準板13には、偏向器6の主偏向器による偏向領域(MEF)を9個のマトリックスに分割した時の各マトリックスの位置に対応した位置に十字マークが形成されている。
【0053】
図2に示した要素電子光学系アレイ3の中心にある要素電子光学系D(3,3)からの電子ビームが偏向を受けないでウエハに照射する位置をビーム基準位置とすると、制御系22はステージ駆動制御回路20に命令して、XYステージ12を移動させ、ステージ基準板13のマークM(0,0)を、ビーム基準位置に位置づけさせる。
【0054】
そして、制御系22はブランキング制御回路14に命令して、要素電子光学系D(3,3)の電子ビームだけがステージ基準板13に入射するように、要素電子光学系D(3,3)のブランキング電極だけをoffにし、その他をonに維持する。
【0055】
同時に、制御系22は、偏向制御回路17に命令し、偏向器6の主偏向器によって要素電子光学系D(3,3)からの電子ビームBEをマークM(1,1)の位置に偏向する。そして、マークM(1,1)上を図6(A)のようにX方向に走査し、マークからの反射電子・2次電子を反射電子検出器9で検出し、制御系22に取り込む。そのマークデータに基づきビームのX方向のぼけを求める。また、マークM(1,1)上を図6(B)のようにY方向に走査し、マークからの反射電子・2次電子を反射電子検出器9で検出し、制御系22に取り込む。そのマークデータに基づきビームのY方向のぼけを求める。
【0056】
次に焦点・非点制御回路2(16)に命じ、ダイナミックスティグコイル8の設定を変え(動的非点補正データの変更)、再び電子ビームBEでマークM(1,1)上を走査し、同様にX方向およびY方向のビームのぼけを求める。この作業を繰り返してX方向およびY方向のビームのぼけが略同一となる動的非点補正データを求める。これにより、マークM(1,1)に対応する偏向位置での最適な動的非点補正データが決定する。以上の作業を全てのマークについて行い各マークに対応する偏向位置での最適な動的非点補正データが決定する。
【0057】
次に、偏向器6の主偏向器によって要素電子光学系D(3,3)からの電子ビームBEをマークM(1,1)の位置に偏向し、マークM(1,1)上を図6(A)のようにX方向に走査する。マークからの反射電子・2次電子を反射電子検出器9で検出し、制御系22に取り込む。そのマークデータに基づきビームのぼけを求める。この時、先に求められた動的非点補正データに基づいてダイナミックスティグコイルは制御されている。
【0058】
次に焦点・非点制御回路2(16)に命じ、ダイナミックフォーカスコイル7の設定を変え(動的焦点補正データの変更)、再び電子ビームBEでマークM(1,1)上を走査し、同様にビームのぼけを求める。この作業を繰り返してビームのぼけが最小となる動的焦点補正データを求める。これにより、マークM(1,1)に対応する偏向位置での最適な動的焦点補正データが決定する。以上の作業を全てのマークについて行い各マークに対応する偏向位置での最適な動的焦点補正データが決定する。
【0059】
(ステップ2)
図2に示した要素電子光学系アレイ3の要素電子光学系A(3,3)からの電子ビームが偏向を受けないでウエハに照射する位置をビーム基準位置とすると、制御系22はステージ駆動制御回路20に命令して、XYステージ12を移動させ、ステージ基準板13のマークM(0,0)を、ビーム基準位置に位置づけさせる。
【0060】
そして、制御系22はブランキング制御回路14に命令して、要素電子光学系A(3,3)の電子ビームだけがステージ基準板13に入射するように、要素電子光学系A(3,3)のブランキング電極だけをoffにし、その他をonに維持する。
【0061】
同時に、制御系22は、偏向制御回路17に命令し、偏向器6の主偏向器によって要素電子光学系A(3,3)からの電子ビームBEをマークM(1,1)の位置に偏向する。そして、マークM(1,1)上を図6(A)のようにX方向に走査し、マークからの反射電子・2次電子を反射電子検出器9で検出し、制御系22に取り込む。そのマークデータに基づきビームのX方向のぼけを求める。また、マークM(1,1)上を図6(B)のようにY方向に走査し、マークからの反射電子・2次電子を反射電子検出器9で検出し、制御系22に取り込む。そのマークデータに基づきビームのY方向のぼけを求める。この時、ステップ1で求められた動的焦点補正データにもとづいてダイナミックフォーカスコイルは制御されるとともに、ステップ1で求められた動的非点補正データに基づいてダイナミックスティグコイルは制御されている。
【0062】
次に焦点・非点制御回路1(15)に命じ、サブアレイAの要素電子光学系の非点収差の設定を変え(サブアレイ毎の動的非点補正データの変更)、再び電子ビームBEでマークM(1,1)上を走査し、同様にX方向及びY方向のビームのぼけを求める。この作業を繰り返してX方向及びY方向のビームのぼけが略同一で最小となるサブアレイAの動的非点補正データを求める。これにより、マークM(1,1)に対応する偏向位置での最適なサブアレイAの動的非点補正データが決定する。以上の作業を全てのマークについて行い各マークに対応する偏向位置での最適なサブアレイAの動的非点補正データが決定する。
【0063】
次に、偏向器6の主偏向器によって要素電子光学系D(3,3)からの電子ビームBEをマークM(1,1)の位置に偏向し、マークM(1,1)上を図6(A)のようにX方向に走査する。マークからの反射電子・2次電子を反射電子検出器9で検出し、制御系22に取り込む。そのマークデータに基づきビームのぼけを求める。この時、先に求められたサブアレイAの動的非点補正データに基づいてサブアレイAの要素電子光学系の非点収差は制御されている。
【0064】
次に焦点・非点制御回路1(15)に命じ、サブアレイAの要素電子光学系の中間像形成位置の設定を変え(サブアレイ毎の動的焦点補正データの変更)、再び電子ビームBEでマークM(1,1)上を走査し、同様にビームのぼけを求める。この作業を繰り返してビームのぼけが最小となるサブアレイAの動的焦点補正データを求める。これにより、マークM(1,1)に対応する偏向位置での最適なサブアレイAの動的焦点補正データが決定する。以上の作業を全てのマークについて行い各マークに対応する偏向位置での最適なサブアレイAの動的焦点補正データが決定する。
【0065】
(ステップ3)
図2に示した要素電子光学系アレイ3の要素電子光学系B(3,3)、C(3,3)、E(3,3)、F(3,3)、G(3,3)からの電子ビームに関してもステップ2と同じ作業を行う。その結果、各マークに対応する偏向位置での最適な全てのサブアレイの動的焦点補正データおよび動的非点補正データが決定する。
【0066】
次に、CPU25は、インターフェース24を介して制御系22に「露光の実行」を命令すると、制御系22は下記のステップを実行する。
【0067】
(ステップ1)
制御系22は、偏向制御回路17に命じ、偏向器6の副偏向器によって、要素電子光学系アレイからの複数の電子ビーム偏向させるとともに、ブランキング制御回路14に命じ各要素電子光学系のブランキング電極をウエハ5に露光すべきパターンに応じてon/offさせる。この時XYステージ12はX方向に連続移動しており、偏向制御回路17は、XYステージ12の移動量も含めて電子ビームの偏向位置を制御している。
【0068】
その結果、一つの要素電子光学系からの電子ビームは、図7に示すようにウエハ5上の露光フィールド(EF)を黒四角を起点として走査し露光する。また、図8に示すように、サブアレイ内の複数の要素電子光学系の露光フィールド(EF)は、隣接するように設定されていて、その結果、ウエハ5上において、複数の露光領域(EF)で構成されるサブアレイ露光フィールド(SEF)を露光される。同時に、ウエハ5上において、図9に示すようなサブアレイAからGのそれぞれが形成するサブアレイ露光フィールド(SEF)で構成されるサブフィールドが露光される。
【0069】
(ステップ2)
制御系22は、図10に示すサブフィールド▲1▼を露光後、サブフィールド▲2▼を露光する為に、偏向制御回路17に命じ、偏向器6の主偏向器によって、要素電子光学系アレイからの複数の電子ビーム偏向させる。この時、制御系22は、焦点・非点制御回路2に命じ、前述した動的焦点補正データに基づいてダイナミックフォーカスコイル7を制御して縮小電子光学系4の焦点位置を補正するとともに、前述の動的非点補正データに基づいてダイナミックスティグコイル8を制御して、縮小電子光学系の非点収差を補正する。更に制御系22は、焦点・非点制御回路1に命じ、前述したサブアレイ毎の動的焦点補正データ及び動的非点補正データに基づいて要素電子光学系の電子光学特性(中間像形成位置、非点収差)をサブアレイ毎に制御する。そして、ステップ1の動作を行い、サブフィールド▲2▼を露光する。
【0070】
以上のステップ1、2を繰り返して、図10示すようにサブフィールド▲3▼▲4▼というようにサブフィールドを順次露光してウエハ全面を露光する。
【0071】
(実施例2)
実施例1と実施例2との構成要素の相違点を図11に示す。同図中、図1と同一構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0072】
実施例2では、要素電子光学系アレイ3の縮小電子光学系4側に、要素電子光学系アレイ3の各サブアレイに対応して、サブアレイからの電子ビームを偏向させる偏向器150が設けられている。偏向器150は、サブアレイが形成する複数の中間像を平行移動(X、Y方向)させる機能を有し、サブアレイ偏向制御回路151を介して制御系22により制御される。
【0073】
次に、本実施例の動作について説明する。
【0074】
露光装置のウエハ露光に先立ち、CPU25は、インターフェース24を介して制御系22に「キャリブレーション」を命令すると、制御系22は下記のステップを実行する。
【0075】
(ステップ1)
図2に示した要素電子光学系アレイ3の要素電子光学系A(3,3)からの電子ビームが偏向を受けないでウエハに照射する位置をビーム基準位置とすると、制御系22はステージ駆動制御回路20に命令して、XYステージ12を移動させ、実施例1と同一のステージ基準板13のマークM(0,0)を、ビーム基準位置に位置づけさせる。
【0076】
そして、制御系22はブランキング制御回路14に命令して、要素電子光学系A(3,3)の電子ビームだけがウエハ側に入射するように、要素電子光学系A(3,3)のブランキング電極だけをoffにし、その他をonに維持する。
【0077】
同時に、、制御系22は、偏向制御回路17に命令し、偏向器6の主偏向器によって要素電子光学系A(3,3)からの電子ビームBEをマークM(1,1)の位置に偏向し、マークM(1,1)上を図6(A)のようにX方向に走査する。マークからの反射電子・2次電子を反射電子検出器9で検出し、制御系22に取り込む。そのマークデータに基づいて、実際の偏向位置と設計上の偏向位置とのx方向のずれを求める。そのずれがなくなるようにサブアレイ偏向制御回路151に命じ、サブアレイAに対応した偏向器150により中間像をX方向の平行移動の設定を変え(X方向の動的偏向補正データの変更)、再び電子ビームBEでマークM(1,1)上を走査し、同様に実際の偏向位置と設計上の偏向位置とのずれを求める。この作業を繰り返してずれが略0となる動的偏向補正データを求める。次に、マークM(1,1)上を図6(B)のようにY方向に走査することにより、上記と同様の方法で、ずれが略0となるY方向の動的偏向補正データを求める。これにより、マークM(1,1)に対応する偏向位置での最適な動的偏向補正データが決定する。以上の作業を全てのマークについて行い各マークに対応する偏向位置での最適な動的偏向補正データが決定する。図2に示した要素電子光学系アレイ3の要素電子光学系B(3,3)、C(3,3)、D(3,3)、E(3,3)、F(3,3)、G(3,3)からの電子ビームに関してもA(3,3)からの電子ビームと同じ作業を行う。その結果、各マークに対応する偏向位置での最適な全てのサブアレイ毎のの動的偏向補正データが決定する。
【0078】
「露光の実行」際は、制御系22は、図10に示すサブフィールド▲1▼を露光後、サブフィールド▲2▼を露光する為に、偏向制御回路17に命じ、偏向器6の主偏向器によって、要素電子光学系アレイからの複数の電子ビーム偏向させる時、サブアレイ偏向制御回路151に命じ、前述したサブアレイ毎の動的偏向補正データに基づいて、サブアレイに対応した偏向器150を制御して各中間像の光軸と直交する方向(X、Y方向)の位置を補正する。
【0079】
次に上記説明した電子ビーム露光装置及び露光方法を利用したデバイスの生産方法の実施例を説明する。
【0080】
図12は微小デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップ2(露光制御データ作成)では設計した回路パターンに基づいて露光装置の露光制御データを作成する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意した露光制御データが入力された露光装置とウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップ7)される。
【0081】
図13は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によって回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
【0082】
本実施例の製造方法を用いれば、従来は製造が難しかった高集積度の半導体デバイスを低コストに製造することができる。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、偏向器作動させた際に縮小電子光学系を通過する複数の電子ビームで発生する偏向収差を、各電子ビーム毎に最適な補正をかけることが可能な電子ビーム露光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子ビーム露光装置の要部概略を示す図。
【図2】要素電子光学系アレイ3について説明する図。
【図3】要素電子光学系を説明する図。
【図4】要素電子光学系の電極を説明する図。
【図5】本発明に係るシステム構成を説明する図。
【図6】ステージ基準板上のマークを説明する図。
【図7】露光フィールド(EF)を説明する図。
【図8】サブアレイ露光フィールド(SEF)を説明する図。
【図9】サブフィールドを説明する図。
【図10】ウエハ走査露光を説明する図。
【図11】実施例2の偏向器150を説明する図。
【図12】微小デバイスの製造フローを説明する図。
【図13】ウエハプロセスを説明する図。
【図14】従来のマルチビーム型電子ビーム露光装置を説明する図。
【符号の説明】
1 電子銃
2 コンデンサーレンズ
3 要素電子光学系アレイ
4 縮小電子光学系
5 ウエハ
6 偏向器
7 ダイナミックフォーカスコイル
8 ダイナミックスティグコイル
9 反射電子検出器
10 ファラデーカップ
11 θ−Zステージ
12 XYステージ
13 ステージ基準板
14 ブランキング制御回路
15 焦点・非点制御回路1
16 焦点・非点制御回路2
17 偏向制御回路
18 倍率調整回路
19 光学特性回路
20 ステージ駆動制御回路
21 レーザ干渉計
22 制御系
23 メモリ
24 インターフェース
25 CPU

Claims (12)

  1. 電子ビームを放射する光源と、被露光面に前記光源から放射される電子ビームにより形成される中間像を縮小投影する縮小電子光学系とを有する電子ビーム露光装置において、
    前記中間像を形成する要素電子光学系を、前記縮小電子光学系の光軸に直交する面内に複数配列した要素電子光学系アレイと、
    各前記要素電子光学系の電子光学特性を調整することにより前記中間像の形成位置を調整する第1の調整手段と、
    前記縮小電子光学系の電子光学特性を調整する第2の調整手段と、
    前記要素電子光学系アレイからの電子ビームを偏向させて前記被露光面内で走査させる偏向手段と、を備え、
    前記要素電子光学系アレイからの電子ビームを偏向する際に発生する偏向収差を前記第1の調整手段および前記第2の調整手段によって補正することを特徴とする電子ビーム露光装置。
  2. 前記第1の調整手段は、前記縮小電子光学系の光軸方向における前記中間像の形成位置を調整する第1中間像形成位置調整手段を有することを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム露光装置。
  3. 前記要素電子光学系は、ユニポテンシャルレンズで構成され、前記第1中間像形成位置調整手段は、前記ユニポテンシャルレンズの焦点位置を調整することを特徴とする請求項2に記載の電子ビーム露光装置。
  4. 前記第2の調整手段は、前記縮小電子光学系の焦点位置を調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子ビーム露光装置。
  5. 前記第1の調整手段は、前記要素電子光学系の非点収差を調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子ビーム露光装置。
  6. 前記第2の調整手段は、前記縮小電子光学系の非点収差を調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子ビーム露光装置。
  7. 前記第1の調整手段は、前記縮小電子光学系の光軸方向と直交する方向における前記中間像の形成位置を調整する第2中間像形成位置調整手段を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の電子ビーム露光装置。
  8. 前記第2中間像形成位置調整手段は、前記要素電子光学系アレイの前記縮小電子光学系側に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の電子ビーム露光装置。
  9. 前記第1の調整手段および前記第2の調整手段は、電子ビーム露光に先立ち得られたデータに基づいて、前記偏向収差を補正することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の電子ビーム露光装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1つに記載の電子ビーム露光装置を用いてデバイスを製造することを特徴とするデバイス製造方法。
  11. 光源から放射された電子ビームにより形成される中間像を縮小電子光学系によって被露光面に縮小投影する電子ビーム露光方法において、
    複数の要素電子光学系によって形成される前記中間像のそれぞれを前記縮小電子光学系の光軸に直交する方向に配列させる段階と、
    前記要素電子光学系からの電子ビームを偏向させて前記被露光面内で走査させる段階と、
    前記要素電子光学系からの電子ビームを偏向する際に発生する偏向収差を、各前記要素電子光学系の電子光学特性を調整することで前記中間像の形成位置を調整するとともに前記縮小電子光学系の電子光学特性を調整することにより、補正する段階とを有することを特徴とする電子ビーム露光方法。
  12. 請求項11に記載の電子ビーム露光方法を用いて光された被露光物体を現像する段階を有するデバイス製造方法。
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