JP3650921B2 - 希釈ガス流量制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車のディーゼルエンジン等から排出されるガス中に含まれるPM(Particulate Matter、すす等の微粒子状物質)を定量分析する場合等に用いられる希釈ガス流量制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
前記排ガス中のPMを測定する手法の一つに、フィルタ重量法に則ったものがある。この種の測定装置においては、エンジンの回転数が一定である定常状態における排ガス中のPMを採取するため、サンプルガスを希釈するトンネルから分岐採取したサンプルガス中に含まれるPMを捕集するためのフィルタを設けたサンプルガス流路に並列に、エンジンの回転数が不安定である非定常状態のときにおける排ガスを流すためのバイパス用流路を設けた希釈ガス流量制御装置が用いられる。
【0003】
図4は、従来の希釈ガス流量制御装置の構成を概略的に示すもので、この図において、1は例えば自動車に搭載されるディーゼルエンジン、2はこれに連なる排気管である。3は排気管2に挿入接続され、排気管2中を流れる排ガスGをサンプリングするためのプローブで、その下流側はサンプリングされた排ガスGを希釈する希釈トンネル4に接続されている。5はこの希釈トンネル4の上流側に接続される希釈用空気の供給管である。
【0004】
6は希釈トンネル4の下流側に接続され、希釈された排ガス(以下、サンプルガスSという)が流れるガス流路で、この流路6の下流側は二つの流路7,8に分岐し、それぞれの流路7,8にサンプルガスS中に含まれるPMを捕集するためのフィルタ9,10および電磁弁11,12を設け、一方の流路7を定常時の排ガスを流すためのサンプルガス流路に、また、他方の流路8を非定常時の排ガスを流すためのバイパス流路にそれぞれ構成してある。
【0005】
13は前記サンプルガス流路7、バイパス流路8の下流側に設けられる流路切換え手段としての三方電磁弁で、そのポート13aがサンプルガス流路7に、ポート13bがバイパス流路8にそれぞれ接続されるとともに、ポート13cは三方電磁弁13の下流側のガス流路14に接続されている。
【0006】
前記ガス流路14には、回転数制御によって吸引能力を変えることができる吸引ポンプ(例えばルーツブロアポンプ)15と、測定精度の高い流量計(例えばベンチュリ計)16とがこの順に設けられている。そして、17はガス流路14を流れるガスの圧力を検出する圧力センサ、18は差圧センサ、19は温度センサである。
【0007】
また、20は吸引ポンプ15を制御するインバータ(周波数変換器)、21はPIDコントローラで、インバータ20に指令を出力する。このPIDコントローラ21における定数(P,I,D)は、ガス流量や、吸引ポンプ15の能力に応じるように設定されている。22はインタフェースユニットで、センサ17〜19からの出力や後述するマイクロコンピュータ23からの指令が入力され、流量演算など一部の演算を行うことができるとともに、PIDコントローラ21に対して指令を出力するものである。23は装置全体を制御する演算制御部としてのマイクロコンピュータである。
【0008】
図5は、上記希釈ガス流量制御装置における吸引ポンプ15の制御系統を概略的に示すもので、この図において、EINV はインバータ20への電圧、EFFはフィードフォワード電圧、EPID はPID制御電圧、Qact は流路14におけるガスの実際の流量(実流量)、Qtgt は目標流量、Rはインタフェースユニット22からPIDコントローラ21に対して出力される積算リセット信号で、このリセット信号は、流路切換え信号に基づいて形成される。なお、T,P,dPはセンサ17〜19による検出出力である。
【0009】
上記のように構成された希釈ガス流量制御装置においては、PIDコントローラ21によって出力される指令値をインバータ20に出力し、この指令に基づいてインバータ20から出力される指令値に基づいてルーツブロアポンプ15が制御され、ガス流路6、14を流れるサンプルガス流量は常に一定となるように制御される。この場合、フィルタ9(または10)におけるサンプルガスSの通過流量が常に一定となるようにする必要があり、従来においては、図4に示すように、サンプルガス流路7およびバイパス流路8の三方電磁弁13の直前にそれぞれ初期圧設定ライン24,25を接続していた。
【0010】
すなわち、前記初期圧設定ライン24,25は、互いに同じ構成であり、空気吸入用のフィルタ24F,25F、圧損設定用のニードルバルブ24N,25Nを備え、二方電磁弁24V,25Vを介して三方電磁弁13の直ぐ上流側のサンプルガス流路7およびバイパス流路8に接続され、フィルタ24F,25Fを介して大気を取り込むように構成されている。そして、ニードルバルブ24N,25Nを手動で開度調節を行い、サンプルガス流路7およびバイパス流路8にそれぞれ設けられるフィルタ9,10の初期圧損を発生させるようにしていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の希釈ガス流量制御装置においては、フィルタ24F,25Fや圧損設定用のニードルバルブ24N,25Nを備えた初期圧設定ライン24,25を設け、ニードルバルブ24N,25Nを手動で開度調節を行って初期圧設定を行うところから、装置の全体構成が複雑化するとともに、手間がかかるといった不都合があるとともに、初期圧損の異なるフィルタを用いた場合、そのフィルタの種類分だけ初期圧設定ライン24,25を設ける必要がある等フローの構成がそれだけ複雑になるといった課題があった。
【0012】
これに対して、上記ニードルバルブ24N,25Nをモータで駆動することにより、初期圧損の設定を自動化することが考えられるが、このように構成しても、フィルタの種類分だけ初期圧設定ラインを設ける必要があるといった点が課題として残ることとなる。
【0013】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、ニードルバルブなどを備えた初期圧設定ラインを設けたりしなくても、初期圧設定を自動的に行うことができる希釈ガス流量制御装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明では、エンジンから排出されるサンプルガスを希釈するトンネルから分岐採取したサンプルガス中に含まれるPMを捕集するためのフィルタをそれぞれ有し、互いに並列に接続された複数の分岐流路と、これらの分岐流路のうちの一つに前記サンプルガスが流れるように分岐流路の切換えを行う流路切換え手段と、PIコントローラまたはPIDコントローラからの制御値により、前記サンプルガスが一定流量となるように回転数制御される吸引ポンプと、流量計とを備えた排ガス中のPM測定装置に用いられる希釈ガス流量制御装置において、前記フィルタにおける初期圧損を設定するために、まず、フィルタをセットし、前記吸引ポンプを動作させ、このときの前記吸引ポンプに出力される信号と前記流量計によって測定された前記フィルタの通過流量を、コンピュータにて記憶し、記憶した前記吸引ポンプに出力される信号と、フィルタの通過流量のデータから、前記吸引ポンプに出力される信号と、フィルタの通過流量との関係式を求め、前記初期圧損として設定された前記関係式を用いて前記吸引ポンプをオンしたときに設定流量に対応した信号を求め、この信号をPIコントローラまたはPIDコントローラに与えることにより、前記吸引ポンプを制御するようにしている。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1〜図3は、この発明の一つの実施の形態を示すものである。まず、図1は、この発明の希釈ガス流量制御装置の全体構成を概略的に示すもので、この図において、図4における符号と同じものは同一部材を示している。図1において、26はサンプルガス流路7およびバイパス流路8の下流側に設けられる流路切替え手段としての三方電磁弁で、そのポート26aがサンプルガス流路7に、ポート26bがバイパス流路8にそれぞれ接続されるとともに、ポート26cはガス流路14に接続されている。また、27はガス流路14の三方電磁弁26と吸引ポンプ15との間に接続されるスタンバイラインで、二方電磁弁28およびフィルタ29を備えており、フィルタ29を介して大気を取り込むように構成されている。
【0016】
次に、上記構成の希釈ガス流量制御装置における動作を説明する。初期圧損を設定するに際しては、次のような事実に基づいている。すなわち、一般に、フィルタの通過流量とフィルタにおける圧損は比例関係にある。図3は、このことを示すデータで、外径47mm(有効径35mm)のフィルタを用いて、流体(例えば空気)を流したときの流体速度(cm/sec)と、圧力損失(mmH2 O)とを測定したものである。なお、横軸の欄外に示した数字は、外径47mmおよび外径70mm(有効径60mm)における1分間当たりの流体流量を示している。
【0017】
例えばサンプルガス流路7を用いてフィルタの初期圧損を設定するには、次のようなシーケンスで設定すればよい。
【0018】
(1)まず、フィルタホルダに新品のフィルタをセットする。
【0019】
(2)電磁弁26を動作させて、サンプルガス流路7とガス流路14とを連通させておく。そして、インバータ20から信号を出力して吸引ポンプ15を動作させ、ガス流路14に空気を流す。このときの流量は流量計16によって測定される。そして、最小流量Qmin および最大流量Qmax となるようにし、そのときインバータ20に与える最小電圧値Vmin および最大電圧値Vmax をマイクロコンピュータ23において記憶する。
【0020】
(3)上記(2)で求められた2組のデータ、すなわち、流量と電圧のデータ(Qmin ,Vmin )、(Qmax ,Vmax )から、流量と電圧との関係を1次式で表す。
【0021】
この場合、フィルタの種類(外径寸法や有効径など)が同じ場合には、上記(3)で求めた式を全てのフィルタに適用することができ、また、フィルタの種類が異なる場合には、その異なるフィルタごとに、前記(1)〜(3)の手順を実行して流量と電圧との関係式(1次式)を求めればよい。
【0022】
図2は、上記フィルタの初期圧損を設定する場合におけるマイクロコンピュータ23における画面の一例を示すもので、この例においては、フィルタの種類が異なる場合を示している。
【0023】
上述のように、この発明の希釈ガス流量制御装置においては、上記(1)〜(3)の手順によってフィルタの初期圧損を設定することができるが、吸引ポンプ15をオンしたときに設定流量に対応したフィードフォワード値(電圧)を上記一次式から求め、この電圧値をPIDコントローラ21に与えることにより、PIDコントローラ21からインバータ20に与えられる出力は、前記電圧値から始まることになる。したがって、フィードフォワード値を与えない場合に比べて遅れ時間が少なくなる。
【0024】
なお、前記手順において、吸引ポンプ15を動作させてガス流路14に所定の空気が流れるようにするに際して、電磁弁28を開状態にしてスタンバイ流路27をガス流路14と連通させ、このスタンバイ流路27からの空気がガス流路14に流れるようにし、ガス流路14における流量が安定したとき、前記電磁弁28を閉状態にする一方、電磁弁26を動作させて、サンプルガス流路7とガス流路14とを連通させるようにしてもよい。このようにした場合、サンプルガス流路7に流れる流量をより速く制御することができる。
【0025】
なお、前記希釈ガス流量制御装置において、PMを採取する場合には次のように制御する。定常状態においては、サンプルガス流路7にサンプルガスSが流れるように三方電磁弁26の開閉状態が設定されるが、この状態において、インタフェースユニット22から目標流量Qtgt と実流量Qact とをPIDコントローラ21に与えると、これらの差に基づいてPIDコントローラ21から出力EPID がインバータ20に対して指令値EINV として出力される。この指令値EINV を受けたインバータ20は、吸引ポンプ15に指令を出力する。これによって、吸引ポンプ15が所定の回転数で動作し、流路7、14を流れるサンプルガス流量が常に一定に制御される。
【0026】
そして、上記の状態から流路切換えを行い、バイパス流路8にサンプルガスSを流すようにするときは、まず、流路切換え前の圧損に応じたインバータ20への指令値EINV を記憶する。
【0027】
次いで、流路切換え信号に基づく積算リセット信号Rを、流路切換え信号と同時またはこれより少し遅れてインタフェースユニット22からPIDコントローラ21に入力する。これにより、PIDコントローラ21からインバータ20に対する出力EPID がなくなる。これと同時に、前記記憶した指令値EINV をPIDコントローラ21を介さず、フィードフォワード信号EFFとしてインバータ20に与える。
【0028】
上述のように、この発明の希釈ガス流量制御装置においては、初期圧設定のシーケンスを自動的に行えるので、従来に比べて初期圧設定の工数を低減できる。そして、従来とは異なり、ニードルバルブなどを備えた初期圧設定ラインを設ける必要がないので、ガスラインの構成が単純化され、装置全体の構成が簡略化され、小型化が促進される。また、流量が変わってもその都度、初期圧を設定しなおす必要がない。
【0029】
なお、上述の実施の形態においては、PIDコントローラ21を用いていたが、これに代えて、PIコントローラを用いてもよい。
【0030】
【発明の効果】
この発明の希釈ガス流量制御装置においては、ニードルバルブなどを備えた初期圧設定ラインを設けたりしなくても、初期圧設定を自動的に行うことができるとともに、装置全体が安価かつコンパクトとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の希釈ガス流量制御装置の構成の一例を概略的に示す図である。
【図2】 前記装置においてフィルタの初期圧損を設定する場合におけるマイクロコンピュータにおける画面の一例を示す図である。
【図3】 フィルタにおける流体速度と圧損との関係を示す図である。
【図4】 従来の希釈ガス流量制御装置の構成を概略的に示す図である。
【図5】 前記希釈ガス流量制御装置における吸引ポンプの制御系統を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1…エンジン、2…希釈トンネル、7,8…分岐流路、9,10…フィルタ、15…吸引ポンプ、16…流量計、20…インバータ、21…PIDコントローラ、26…流路切換え手段。
Claims (1)
- エンジンから排出されるサンプルガスを希釈するトンネルから分岐採取したサンプルガス中に含まれるPMを捕集するためのフィルタをそれぞれ有し、互いに並列に接続された複数の分岐流路と、これらの分岐流路のうちの一つに前記サンプルガスが流れるように分岐流路の切換えを行う流路切換え手段と、PIコントローラまたはPIDコントローラからの制御値により、前記サンプルガスが一定流量となるように回転数制御される吸引ポンプと、流量計とを備えた排ガス中のPM測定装置に用いられる希釈ガス流量制御装置において、前記フィルタにおける初期圧損を設定するために、まず、フィルタをセットし、前記吸引ポンプを動作させ、このときの前記吸引ポンプに出力される信号と前記流量計によって測定された前記フィルタの通過流量を、コンピュータにて記憶し、記憶した前記吸引ポンプに出力される信号と、フィルタの通過流量のデータから、前記吸引ポンプに出力される信号と、フィルタの通過流量との関係式を求め、前記初期圧損として設定された前記関係式を用いて前記吸引ポンプをオンしたときに設定流量に対応した信号を求め、この信号をPIコントローラまたはPIDコントローラに与えることにより、前記吸引ポンプを制御するようにしたことを特徴とする希釈ガス流量制御装置。
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