JP3652811B2 - 共振電流抑制装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコンバータとインバータを用いた電力変換装置におけるDCリンクの直流母線に流れる共振電流を抑制する技術の分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
交流電動機を駆動するためのVVVFインバータや、電力会社で使用される周波数変換装置、或るいは直流送電のためのAC−ACコンバータのような大容量の電力変換装置は、一般的に狭義の意味でのコンバータ装置とインバータ装置が直流母線を介して接続され、それらは直流回路で一体のDCリンクを形成する。ここでいうDCリンクとは、コンバータ出力部およびインバータ入力部に設けられる電圧平滑用コンデンサ、その間に設けられる電流平滑用リアクトルおよび直流母線を一括して総称したものである。これを図示すると図4のようになる。
【0003】
図4の直流主回路(DCリンク)にはリアクトルまたは配線インダクタンス成分が存在し、コンバータの出力部やインバータの入力部に電圧平滑用コンデンサが存在する。こうした回路では当然のことながら共振回路が構成される。直流母線に複数のインバータやコンバータが接続されて回路が複雑になると複数の周波数帯で直列共振あるいは並列共振が生ずることになる。
【0004】
一方、インバータの入力電流高調波には、出力電流基本波に起因して発生する高調波成分とパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)制御に起因して発生する高調波成分とが考えられるが、大容量の電力変換装置では、DCリンクのコンデンサ容量が大きく共振周波数が低い可能性が高いところから、高調波として問題になるのは、出力基本波に起因して発生する高調波成分であると考えられる。
【0005】
そして、インバータおよびコンバータの入出力電流高調波がDCリンクの直列共振周波数や並列共振周波数に一致した場合は、DCリンクでの高調波電流が著しく大きくなり、場合によっては電力変換システムに障害をもたらす危険性がある。そこで、従来は、このような共振が発生する場合には、コイルやコンデンサを追加するかフィルタを挿入するのが一般的であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コイルやコンデンサを追加したり、フィルタを挿入するという対策は、基本的には共振周波数を別の周波数帯に変えたに過ぎずその周波数で共振が発生することが考えられるし、フィルタの挿入にしてもその帯域の共振は抑制できるにしても別の周波数帯域で共振が発生する場合がある。
【0007】
一方、インバータの負荷が電車の駆動モータのような場合にはインバータの出力周波数を変化させる制御を行うのでこれに応じてインバータの入力電流高調波の周波数も変化するから、このような場合、コイルやコンデンサの追加やフィルタの挿入だけで対処し切れないという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑みて、共振を起こす高調波の周波数が変化しても、その周波数に対応して共振高調波電流を相殺抑制することのできる共振電流抑制装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するために次のような手段構成を有する。
本発明の共振電流抑制装置の第1の手段構成は次の各構成要素からなることを特徴とする。
(イ)コンバータ・インバータ間のDCリンクにおける各周波数の共振電流を検出する共振電流検出器
(ロ)共振電流検出器からの各周波数共振電流のうち振幅最大のものを選択してこれを解析しその振幅値、周波数および位相の各情報を検出して出力する最大共振電流検出解析器
(ハ)複数のスイッチ回路とインダクタンス負荷を有し、入力側がコンバータ・インバータ間のDCリンクに並列接続され、スイッチ回路をパルス幅変調によってオン・オフして負荷電流を制御することにより入力電流の調整が可能なアクティブフィルタ
(ニ)最大共振電流検出解析器からの情報を受けて、そのような共振電流を相殺するアクティブフィルタ入力電流を得るために流すべきアクティブフィルタ負荷電流の振幅値、周波数および位相の各情報を算出して出力するアクティブフィルタ負荷電流演算器
(ホ)アクティブフィルタの負荷電流を検出する負荷電流検出器
(ヘ)負荷電流検出器からの負荷電流を解析しその振幅値、周波数および位相の各情報を検出し、アクティブフィルタ負荷電流演算器からの振幅値、周波数および位相の各情報とそれぞれ比較し、それぞれの差分情報を出力する解析比較器
(ト)解析比較器からの差分情報を受けて、その差分がゼロに近づくように、アクティブフィルタのスイッチ回路に対するパルス幅変調を行わせるようなパルス幅変調制御信号を出力するパルス幅変調制御器
(チ)パルス幅変調制御信号によって、アクティブフィルタのスイッチ回路に対してパルス幅変調を行うパルス幅変調器
【0010】
第2の手段構成は、第1の手段構成のアクティブフィルタのインダクタンス負荷に代えてキャパシタンス負荷を用いた共振電流抑制装置である。
【0011】
第3の手段構成は、第1又は第2の手段構成において、アクティブフィルタのスイッチ回路としてGTOサイリスタを用いた共振電流抑制装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、図3に示すようなアクティブフィルタのスイッチ回路14をPWM制御してアクティブフィルタの負荷15に流す電流iOFを制御することによりアクティブフィルタの入力電流IPFを制御し、この入力電流IPFによってDCリンクの共振電流を相殺抑制せんとするものである。
今、アクティブフィルタの負荷に対する出力電圧平均値vOFが数式1のようになるように、アクティブフィルタのスイッチ回路をPWM制御すると出力側には数式2で表されるような3レベルのパルス電圧が出力される。但し数式2はVDCで正規化してある。
【0013】
【数1】
vOF=VDC・asin(ω0 t+φ)
但し、VDC:DCリンクの直流電圧、a:変調率、
ω0 =2πfO 、fO :出力周波数、φ:初期位相、
【0014】
【数2】
【0015】
ここで負荷がインダクタンス又はキャパシタンスとすると、出力電圧が数式2のようなパルス電圧であっても負荷電流iOFは数式3のような正弦波で近似することができる。
【0016】
【数3】
iOF=IOFsin(ω0 t+φ−θ)
但し、IOF=a・vDC/Z、Z:負荷インピーダンス、
θ:負荷インピーダンスによる位相変移、
【0017】
このとき、数式2をスイッチング関数として使用することによって、入力電流IPFは数式2と数式3の積という形で数式4のように求めることができる。
【0018】
【数4】
IPF=SvOF・iOF
【0019】
この数式4に数式2および数式3を代入して演算すると数式5のようになる。
【0020】
【数5】
【0021】
上記数式5の右辺第3項(2行目以下の項)はPWM制御に起因する高調波であるが、一般には周波数が高く減衰し易いのでレベルが低く実用上無視し得る。更に、アクティブフィルタの負荷をインダクタンス又はキャパシタンスとすれば負荷インピーダンスによる位相変移θの絶対値はπ/2ラジアンとなるので数式5の右辺第1項はcos(π/2)によりゼロとなる。
そうすると、結局、アクティブフィルタへの入力電流IPFは右辺第2項だけとなり、負荷がインダクタンスの場合にはθ=π/2であるから数式6のようになる。
【0022】
【数6】
【0023】
また、負荷がキャパシタンスの場合には、θ=−π/2であるから数式7のようになる。
【0024】
【数7】
【0025】
一方、数式3の負荷電流iOFは負荷がインダクタンスの場合には数式8のようになり、負荷がキャパシタンスの場合には数式9のようになる。
【0026】
【数8】
【0027】
【数9】
【0028】
以上整理すると、インダクタンス負荷の場合には、数式8の負荷電流を流すことにより数式6の入力電流を生じさせることができ、キャパシタンス負荷の場合には数式9の負荷電流を流すことにより数式7の入力電流を生じさせることができる。そこで今、DCリンクを流れる共振電流IR が数式10で表されるとすれば、
【0029】
【数10】
IR =Isin(ωR t+η)
但し、ωR =2πfR 、fR :共振周波数、η:初期位相、
【0030】
これを相殺する電流は−IR であるから、これがアクティブフィルタの入力電流IPFになるようにしてやればよい。即ち、インダクタンス負荷の場合には数式6、数式10から数式11が成立するようにしてやればよい。
【0031】
【数11】
−IR =−Isin(ωR t+η)=IPF=−IOFa sin2(ω0 t+φ)
【0032】
この数式11から次の数式12、数式13が導かれる。
【0033】
【数12】
【0034】
【数13】
【0035】
この数式12および数式13より、数式8の負荷に流すべき電流iOFを求めると数式14のようになる。
【0036】
【数14】
【0037】
同様にして、キャパシタンス負荷の場合には数式7、数式10から数式15が成立するようにしてやればよい。この数式15から次の数式16、数式17が導かれる。
【0038】
【数15】
−IR =−Isin(ωR t+η)=IPF=IOFa sin2(ω0 t+φ)
【0039】
【数16】
【0040】
【数17】
【0041】
この数式16のIOFおよび数式17のω0 t+φを数式9に代入してやれば、流すべき負荷電流iOFが数式18のように求められる。
【0042】
【数18】
【0043】
この数式18はインダクタンス負荷の場合の数式14と同じであることが分かる。
以上要するに、数式10で表される共振電流は、DCリンクに並列に接続されたアクティブフィルタの負荷に数式14で表される負荷電流を流してやることによりその入力電流で相殺されることになることが分かる。
そこで、DCリンクに流されている共振電流を検出し、その振幅I、共振周波数fR 、初期位相ηを検出し、これらを用いて、アクティブフィルタの負荷に数式14で示される電流を流すようにパルス幅変調器でアクティブフィルタを制御することにより共振電流が相殺抑圧されることになる。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1は本発明の共振電流抑制装置の実施例の構成を示すブロック図である。DCリンク11に流れる共振電流は共振電流検出器1によって検出され、最大共振電流検出解析器2へ導かれここで振幅の最も大きい共振電流が選択的に検出されその共振電流の振幅I、共振周波数fR 、初期位相ηが検出される。これらのデータはアクティブフィルタ負荷電流演算器3へ送られる。ここではこれらのデータに基づいてアクティブフィルタ7の負荷9へ流すべき負荷電流の演算を行う。演算された負荷電流データは解析比較器4へ加えられる。
【0045】
一方、アクティブフィルタ7の負荷電流も負荷電流検出器10で検出されて解析比較器4へ加えられここでその振幅、周波数および位相が解析される。そして、アクティブフィルタ負荷電流演算器3から入力されている振幅、周波数および位相が比較されその差を示す信号がパルス幅変調制御器5へ送られる。
【0046】
パルス幅変調制御器5は入力される差信号がゼロに近づくようなパルス幅変調が行われるように、パルス幅変調器6を制御する。この制御信号を受けたパルス幅変調器6はアクティブフィルタ7のスイッチ回路8のオンオフパルス変調を行う。従って、アクティブフィルタ7の負荷電流は、アクティブフィルタ負荷電流演算器3で演算された負荷電流になる。この負荷電流を流すことによりアクティブフィルタ7に流れる入力電流がDCリンクに流れる共振電流を相殺抑制することになる。
【0047】
図2はインダクタンス負荷を有し、スイッチ回路としてGTO(Gate Turn Off)サイリスタを用いたアクティブフィルタの実施例である。ゲートをパルス状にオンオフしその幅を変えることによりパルス幅変調を行う。負荷はキャパシタンスとすることもできる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の共振電流抑制装置は、PWM制御を行うアクティブフィルタをコンバータ・インバータ間のDCリンクに並列接続し、別途DCリンクに流れる共振電流を検出解析し、アクティブフィルタの入力電流が検出された最大共振電流を相殺する電流になるような負荷電流をアクティブフィルタの特性に基づいて算出し、アクティブフィルタの負荷電流が演算された振幅、周波数、位相の電流になるようにアクティブフィルタのスイッチ回路に対するパルス幅変調を帰還制御によって行うようにしているので、インバータの出力周波数が変化することにより共振電流の周波数が変化しても、これに追随してアクティブフィルタの出力電流を制御することにより入力電流を、共振電流を相殺する周波数に制御することができ共振電流を抑制することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の共振電流抑制装置の実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】インダクタンス負荷を有し、スイッチ回路としてGTOサイリスタを用いたアクティブフィルタの実施例の接続図である。
【図3】アクティブフィルタの回路構成図である。
【図4】コンバータおよびインバータとその間のDCリンクを示す図である。
【符号の説明】
1 共振電流検出器
2 最大共振電流検出解析器
3 アクティブフィルタ負荷電流演算器
4 解析比較器
5 パルス幅変調制御器
6 パルス幅変調器
7 アクティブフィルタ
8 スイッチ回路
9 負荷
10 負荷電流検出器
11 DCリンク
12 コンバータ
13 インバータ
14 スイッチ回路
15 負荷
Claims (3)
- 下記の各構成を具備することを特徴とする共振電流抑制装置。
(イ)コンバータ・インバータ間のDCリンクにおける各周波数の共振電流を検出する共振電流検出器
(ロ)共振電流検出器からの各周波数共振電流のうち振幅最大のものを選択してこれを解析しその振幅値、周波数および位相の各情報を検出して出力する最大共振電流検出解析器
(ハ)複数のスイッチ回路とインダクタンス負荷を有し、入力側がコンバータ・インバータ間のDCリンクに並列接続され、スイッチ回路をパルス幅変調によってオン・オフして負荷電流を制御することにより入力電流の調整が可能なアクティブフィルタ
(ニ)最大共振電流検出解析器からの情報を受けて、そのような共振電流を相殺するアクティブフィルタ入力電流を得るために流すべきアクティブフィルタ負荷電流の振幅値、周波数および位相の各情報を算出して出力するアクティブフィルタ負荷電流演算器
(ホ)アクティブフィルタの負荷電流を検出する負荷電流検出器
(ヘ)負荷電流検出器からの負荷電流を解析しその振幅値、周波数および位相の各情報を検出し、アクティブフィルタ負荷電流演算器からの振幅値、周波数および位相の各情報とそれぞれ比較し、それぞれの差分情報を出力する解析比較器
(ト)解析比較器からの差分情報を受けて、その差分がゼロに近づくように、アクティブフィルタのスイッチ回路に対するパルス幅変調を行わせるようなパルス幅変調制御信号を出力するパルス幅変調制御器
(チ)パルス幅変調制御信号によって、アクティブフィルタのスイッチ回路に対してパルス幅変調を行うパルス幅変調器 - アクティブフィルタのインダクタンスの負荷に代えてキャパシタンス負荷を用いた請求項1記載の共振電流抑制装置。
- アクティブフィルタのスイッチ回路としてGTOサイリスタを用いた請求項1又は2記載の共振電流抑制装置。
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