JP3654207B2 - 自動車の車体前部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車の車体前部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動車の車体前部構造として、例えば特開平4−50084号公報に示されているように、フロントサイドメンバの略後半部分を、その下方に配設したサブフレームよりも車幅方向へオフセットして設けたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
フロントサイドメンバが途中から車幅方向に曲折しているため、車両の前面衝突時に該フロントサイドメンバの曲折部分に車幅方向に曲げモーメントが作用して折れ変形が生じ易く、フロントサイドメンバの軸方向の潰れ変形が適正に行われなくなる可能性がある。
【0004】
また、車両のオフセット前面衝突時にキャビンが非衝突側へ回転移動した際に、フロントサイドメンバおよびサブフレームに車幅方向に曲げモーメントが作用して折れ変形が生じ、これらフロントサイドメンバおよびサブフレームの軸圧潰変形が阻害される可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は車両のフルラップ前面衝突時にフロントサイドメンバの車幅方向の折れ変形を回避できることは勿論、オフセット前面衝突時にキャビンが非衝突方向に回転移動した際でも、該フロントサイドメンバの車幅方向の折れ変形を回避できて、該フロントサイドメンバの軸方向の潰れ変形を適正に行わせることができる自動車の車体前部構造を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にあっては、閉断面に形成されてパワーユニット搭載ルームの車幅方向両側部に車体前後方向に直状に配置したフロントサイドメンバの後端部に、ダッシュパネルの縦壁前面からトーボード下面に廻り込んで接合された閉断面のエクステンション部を設けた構造において、
前記エクステンション部を、平面視してフロントサイドメンバの後端から外側壁を共有して車幅方向外側に向けて曲折され、後端をフロアサイドに車体前後方向に延在配置したサイドシルの前端部に突き合わせて結合したアウトリガー部と、
フロントサイドメンバの後端から車幅方向内側に張り出した張り出し部と、で構成し、
前記アウトリガー部とフロントサイドメンバの外,内側壁間を略同一幅に設定すると共に、該アウトリガー部の内側壁とフロントサイドメンバの内側壁とを、前後方向に適宜の間隔をおいて離間して不連続として、該不連続部分を脆弱部として設定し、フロントサイドメンバに作用する軸方向入力により、該脆弱部が圧潰変形した際に、フロントサイドメンバの内側壁後端と、アウトリガー部の内側壁前端とが突き当るようにしたことを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載のダッシュパネルのトーボードを車幅方向に延びる閉断面に形成し、前記フロントサイドメンバの後端を該トーボードの上端位置でダッシュパネルの縦壁に突き合わせて結合すると共に、該トーボードの下壁に、車両の前面衝突時の入力で該トーボードに下向きの折れ曲がりを促す易圧潰部を設けたことを特徴としている。
【0009】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、フロントサイドメンバは直状に形成してその後端をダッシュパネルの縦壁前面に接合してあり、しかも、エクステンション部はそのアウトリガー部および張り出し部をトーボードの下面に接合してあると共に、該アウトリガー部の後端部をサイドシルの前端部に結合してあるため、車両のフルラップ前面衝突に対してこれらダッシュパネルおよびサイドシルに荷重伝達して高い圧潰反力が得られ、該フロントサイドメンバを車幅方向の折れ曲がり変形を伴うことなく軸方向に適正に潰れ変形させて、衝突エネルギーを効率よく吸収することができる。
【0010】
また、車両のオフセット前面衝突に対しては、フロントサイドメンバとアウトリガー部とを平面視して略同一幅に形成してあって、フロントサイドメンバの外側壁とアウトリガー部の外側壁とが連続している一方、これらフロントサイドメンバの内側壁とアウトリガー部の内側壁とが前後方向に適宜の間隔で離間して不連続として、該不連続部分を脆弱部としてあるため、衝突入力で該脆弱部が圧潰することにより、キャビンが非衝突方向に回転移動した際にフロントサイドメンバに作用する車幅方向の曲げ荷重が吸収され、該フロントサイドメンバの車幅方向の折れ曲がり変形が回避される。
【0011】
そして、前記脆弱部の圧潰変形が進行してフロントサイドメンバの内側壁後端とアウトリガー部の内側壁前端とが突き当ることによって、これらフロントサイドメンバとアウトリガー部とが平面視して略直線状となり、衝突入力を軸力としてサイドシルへ伝達して高い圧潰反力を発生させることができ、従って、このオフセット前面衝突時にもフロントサイドメンバを軸方向に適正に潰れ変形させて、衝突エネルギーを効率よく吸収することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、ダッシュパネルのトーボードを車幅方向に延びる閉断面に形成して剛性を高めてあるため、車両の前面衝突時における衝突入力のダッシュパネルおよびサイドシルへの荷重伝達性が高められてフロントサイドメンバに高い圧潰反力を発生させることができる。
【0013】
しかも、車両の前面衝突時にトーボードに対しその下壁の易圧潰部を起点とする下向きの折れ曲がり変形を促すことができるため、車両の前面衝突時にフロントサイドメンバの後端とエクステンション部の後端部とが上下方向にオフセットしていることに起因して、トーボードが全体的に後端部を支点として車室内側に回転を伴って変形移動するのを抑制でき、フロントサイドメンバの上下方向の折れ曲がり変形を抑えてその軸方向の潰れ変形をより確実に行わせることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0015】
図1,2において、1はパワーユニット搭載ルーム5とキャビン6とを隔成するダッシュパネルを示し、その縦壁2の下側には前傾したトーボード3が形成され、該トーボード3の後端をフロアパネル4に結合してある。
【0016】
本実施形態ではこのトーボード3をアルミ金属等の軽量金属材料をもって車幅方向に延びる閉断面に押出し成形してある。
【0017】
7はパワーユニット搭載ルーム5の車幅方向の側壁を構成する図外のフードリッジパネルに接合されて車体前後方向に直状に配設された、車体の前部骨格部材を構成するフロントサイドメンバを示し、該フロントサイドメンバ7はその後端部に前記ダッシュパネル1の縦壁2の前面からトーボード3の下面に廻り込むエクステンション部8を備えている。
【0018】
フロントサイドメンバ7およびそのエクステンション部8は何れも閉断面に形成してあり、フロントサイドメンバ7の後端をダッシュパネル1の縦壁2の前面に突き合わせて接合してあると共に、エクステンション部8を該縦壁2の前面からトーボード3の下面に亘って接合してある。
【0019】
ここで、前記エクステンション部8は、平面視してフロントサイドメンバ7の後端から車幅方向外側に向けて曲折され、後端をフロアサイドのサイドシル9、即ち、フロアパネル4の側部に車体前後方向に延在配置したフロアサイドの前後方向骨格部材を構成するサイドシル9の前端部に結合したアウトリガー部10と、フロントサイドメンバ7の後端から車幅方向内側に張り出した張り出し部11とで構成している。
【0020】
前記アウトリガー部10はフロントサイドメンバ7と外側壁を共有しており、つまり、フロントサイドメンバ7の外側壁7aとアウトリガー部10の外側壁10aとを連続して形成してあり、このアウトリガー部10の外側壁10aと内側壁10bとの間の間隔を、フロントサイドメンバ7の外側壁7aと内側壁7bとの間隔と略同一に設定してある。
【0021】
また、前記アウトリガー部10の内側壁10bとフロントサイドメンバ7の内側壁7bとは、前後方向に適宜の間隔をおいて離間して不連続に形成して、これら内側壁10b,7bの不連続部分を脆弱部12としてある。
【0022】
本実施形態では前記張り出し部11を、平面視して前記脆弱部12を介してアウトリガー部10の車幅方向内側にオフセットして連なる前後方向の直状形状に形成してある。
【0023】
以上の実施形態の構造によれば、フロントサイドメンバ7は直状に形成してその後端をダッシュパネル1の縦壁2の前面に接合してあり、しかも、エクステンション部8はそのアウトリガー部10および張り出し部11をトーボード3の下面に接合してあると共に、該アウトリガー部10の後端部をサイドシル9の前端部に結合してあるため、車両のフルラップ前面衝突に対して図1,2に示すようにこれらアウトリガー部10および張り出し部11を介してダッシュパネル1およびサイドシル9に荷重伝達して高い圧潰反力が得られ、フロントサイドメンバ7を車幅方向の折れ曲がり変形を伴うことなく軸方向に適正に潰れ変形させて、衝突エネルギーを効率よく吸収することができる。
【0024】
また、車両のオフセット前面衝突に対しては、フロントサイドメンバ7とアウトリガー部10とを平面視して略同一幅に形成してあって、フロントサイドメンバ7の外側壁7aとアウトリガー部10の外側壁10aとが連続している一方、これらフロントサイドメンバ7の内側壁7bとアウトリガー部10の内側壁10bとを不連続として、該不連続部分を脆弱部12としてあるため、衝突入力で該脆弱部12が圧潰することにより、キャビン6が非衝突方向へ回転移動した際にフロントサイドメンバ7に作用する車幅方向の曲げ荷重が吸収され、該フロントサイドメンバ7の車幅方向の折れ曲がり変形が回避される。
【0025】
そして、前記脆弱部12の圧潰変形が進行してフロントサイドメンバ7の内側壁7bの後端とアウトリガー部10の内側壁10bの前端とが突き当たることによって、これらフロントサイドメンバ7とアウトリガー部10とが図3に示すように略直線状となり、衝突入力を同図の矢印で示す様に軸力としてサイドシル9へ伝達して高い圧潰反力を発生させることができ、従って、このオフセット前面衝突時にもフロントサイドメンバ7を軸方向に適正に潰れ変形させて、衝突エネルギーを効率よく吸収することができる。
【0026】
特に本実施形態では前述のようにトーボード3を、アルミ合金等の軽量金属材料をもって車幅方向に延びる閉断面に形成してあるため、トーボード3自体の剛性が高く、アウトリガー部10が接合配置された端部の剛性が高く維持されて該アウトリガー部10をサイドシル9に繋げられ、従って、車両の前面衝突時における衝突入力のダッシュパネル1およびサイドシル9への荷重伝達性が高められて、フロントサイドメンバ7に高い圧潰反力を発生させることができる。
【0027】
図4は本発明の第2実施形態を示すもので、本実施形態にあっては、前記第1実施形態における閉断面構造のトーボード3の下壁3bに、車両の前面衝突時の入力で該トーボード3に下向きの折れ曲がり変形を促す易圧潰部13を部分的に設けてある。
【0028】
この易圧潰部13は下壁3bを上壁3aよりも部分的に板厚を薄くし、あるいは上壁3aに補強材を付設して強度差をつけるか、又は、下壁3bに部分的に折れビードを設けて構成することができ、本実施形態では一例として折れビードを設けた構造を示している。
【0029】
従って、この第2実施形態の構造によれば前記第1実施形態と同様の効果が得られる他、車両の前面衝突時にトーボード3に対しその下壁3bの易圧潰部13を起点とする下向きの折れ曲がり変形を促すことができるため、この前面衝突時にフロントサイドメンバ7の後端とエクステンション部8の後端部とが上下方向にオフセットしていることに起因して、トーボード3が全体的に後端部を支点として車室内側に回転を伴って変形移動するのを抑制でき、フロントサイドメンバ7の上下方向の折れ曲がり変形を抑えてその軸方向の潰れ変形をより確実に行わせることができる。
【0030】
前記実施形態にあっては、エクステンション部8のアウトリガー部10と張り出し部11とを、平面視して車幅方向にオフセットさせて2股状に分岐して形成しているが、この他図5に示すように構成することもできる。
【0031】
図5に示す第3実施形態にあっては、エクステンション部8を、その車幅方向外側の端壁の一部を、アウトリガー部10の外側壁10aとなるように、フロントサイドメンバ7の外側壁7aの後端からサイドシル9の前端に亘って平面視して斜状に形成すると共に、該フロントサイドメンバ7の後端に対して車幅方向に拡張した閉断面構造とし、その内部にリブ壁14を前記斜状の端壁と平行に形成して、該リブ壁14を内側壁10bとし、斜状の端壁を外側壁10aとする前記第1実施形態と同様の閉断面のアウトリガー部10を構成し、該アウトリガー部10の車幅方向内側の領域を張り出し部11としている。
【0032】
前記リブ壁14の前端部はフロントサイドメンバ7の内側壁7bの後端と適宜の間隔をおいて離間して、ここに脆弱部12を形成してあって、本実施形態ではリブ壁14の前端を該脆弱部12から張り出し部11の前壁と平行に延設してある。
【0033】
従って、この第3実施形態の構造によっても前記第1実施形態と同様の効果が得られ、特に、本実施形態ではアウトリガー部10と張り出し部11とが平面視して車幅方向に分岐していないため、フルラップ前面衝突時におけるフロントサイドメンバ7の反力発生をより確実に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す略示的平面説明図。
【図2】本発明の第1実施形態の略示的側面説明図。
【図3】本発明の第1実施形態のオフセット前面衝突時の変形状態を示す略示的平面説明図。
【図4】本発明の第2実施形態を示す略示的側面説明図。
【図5】本発明の第3実施形態を示す略示的平面説明図。
【符号の説明】
1 ダッシュパネル
2 縦壁
3 トーボード
3b 下壁
5 パワーユニット搭載ルーム
6 キャビン
7 フロントサイドメンバ
7a 外側壁
7b 内側壁
8 エクステンション部
9 サイドシル
10 アウトリガー部
10a 外側壁
10b 内側壁
11 張り出し部
12 脆弱部
13 易圧潰部
Claims (2)
- 閉断面に形成されてパワーユニット搭載ルームの車幅方向両側部に車体前後方向に直状に配置したフロントサイドメンバの後端部に、ダッシュパネルの縦壁前面からトーボード下面に廻り込んで接合された閉断面のエクステンション部を設けた構造において、
前記エクステンション部を、平面視してフロントサイドメンバの後端から外側壁を共有して車幅方向外側に向けて曲折され、後端をフロアサイドに車体前後方向に延在配置したサイドシルの前端部に突き合わせて結合したアウトリガー部と、
フロントサイドメンバの後端から車幅方向内側に張り出した張り出し部と、で構成し、
前記アウトリガー部とフロントサイドメンバの外,内側壁間を略同一幅に設定すると共に、該アウトリガー部の内側壁とフロントサイドメンバの内側壁とを、前後方向に適宜の間隔をおいて離間して不連続として、該不連続部分を脆弱部として設定し、フロントサイドメンバに作用する軸方向入力により、該脆弱部が圧潰変形した際に、フロントサイドメンバの内側壁後端と、アウトリガー部の内側壁前端とが突き当るようにしたことを特徴とする自動車の車体前部構造。 - ダッシュパネルのトーボードを車幅方向に延びる閉断面に形成し、前記フロントサイドメンバの後端を該トーボードの上端位置でダッシュパネルの縦壁に突き合わせて結合すると共に、該トーボードの下壁に、車両の前面衝突時の入力で該トーボードに下向きの折れ曲がりを促す易圧潰部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体前部構造。
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