JP3659095B2 - 車両の変速制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の動力伝達部に配備される変速機の変速制御装置、特に、主変速部とこれに直列に接続され変速段を更に増段可能な副変速部とからなる主副変速部を備えた車両の変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の動力伝達部に摩擦クラッチ(例えば乾式単板クラッチ)と並行軸式の変速機とを順次配設し、流体圧式のクラッチアクチュエータにより摩擦クラッチを断続操作し、流体圧式のギアシフトユニットにより変速機の変速ギアを切換え操作し、これらクラッチアクチュエータやギアシフトユニットを電子制御装置により制御するようにした自動変速機が知られている。この機械式の自動変速機は、流体クラッチを用いた自動変速機と比べて、動力伝達ロスが少なく燃費が比較的良好なことより、トラックなどの各種車両の動力伝達部に利用されている。たとえば、特公平4−50213号公報には、自動変速機付車両の変速開始直前の減速度に応して変速段切換え終了後のエンジン回転数を予測し、予測したエンジン回転数を用いて変速ギア切換え終了時のクラッチ接動作を行い、変速ショックを低減するものが開示される。
【0003】
なお、トラックなどの車両では、主変速部の前後に直列に副変速部を配設した主副変速部を有する自動変速機が用られるものがあり、これにより、主変速部の変速段を副変速部により増段化し走行性能を向上させたものが開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特公平4−50213号公報の自動変速機付車両のように、主変速機のみの変速制御では、目標変速段への変速指令に応じて、たとえば、シフトアップ処理をしようとすると、まず、燃料カット、クラッチの切断操作、変速機のギアシフトアップ、燃料噴射、クラッチ接合操作等をこの順に行う。この場合、クラッチ切断後において、エンジン回転数及びクラッチ回転数はギアシフトアップ処理中に降下し、回転差が生じる。しかし、この時のクラッチ接合までの経過時間は比較的短く、クラッチ接合時に燃料噴射してエンジン回転数を上昇復帰させることでクラッチ回転数との回転数差は速やかに減少し、比較的容易にクラッチ接合処理がなされる。
【0005】
ところが、主変速部に副変速部を接続した主副変速部を有する自動変速機を用いた場合、その変速制御ではクラッチの切断操作の後に副変速部切換え及び主変速部のギアシフトアップを行うことより、変速段切換え時間が比較的長くなる。このため、その間にエンジン回転数及びクラッチ回転数が降下すると共に回転差が大きくなり、クラッチ接合時に燃料噴射してエンジン回転を上昇させても回転差を低減させるのが遅れ、回転差の大きなままでクラッチ接合が進み、運転者が変速ショックを受け変速フィーリングが低下するおそれがある。
本発明は上述の課題を解決するものであって、変速時に運転者の変速フィーリングを良好とする車両の変速制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1の発明は、エンジンと、同エンジンの出力回転を変速する主変速部及び副変速部を有した変速機と、上記エンジンと上記変速機との間の動力伝達を断接するクラッチと、上記変速機の変速要否及び次変速段を選択する変速段選択手段と、同変速段選択手段の出力により上記クラッチを切断し、上記主変速部と上記副変速部を変速する変速制御手段と、上記変速制御手段が主変速部だけの変速を行う場合には変速ギア切換え時に、上記変速制御手段が副変速部を伴う変速を行う場合には変速開始から設定された所定時間の経過後で変速ギア切換え検出前に、それぞれ切換え検出出力を発する検出手段と、上記切換え検出出力により上記エンジンとクラッチの回転数を合わせるべくエンジンの回転数制御を行うエンジン制御手段とを有している。
【0007】
このように、比較的変速時間の短い主変速部だけの変速時は、変速ギア切換えを確実に終了してから直ちにエンジン回転数合わせを行い、副変速部の変速を伴う時は、変速ギア切換え検出前に、変速開始から見込み時間である所定時間の経過をカウントした後にエンジン回転数合わせを指令できる。このため、クラッチ接合時のエンジン回転数とクラッチ回転数の差を小さくできるので、変速時のショックの発生を防止でき、変速フィーリングを向上できる。
好ましくは、副変速部は主変速部の出力回転数又は入力回転数を複数段階に切換えるレンジ式副変速部が好ましく、特に、変速比を高低2つの変速比に切換えできるレンジ式副変速部がよい。この場合、特に、変速時間を長く要するレンジ式副変速部の変速を伴う場合に走行フィーリングの向上に良好に機能する。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1には本発明の一実施形態としての車両の変速制御装置を装備した車両の動力伝達部PTを示した。
この動力伝達部PTは車両としての図示しないトラックに搭載され、ディーゼルエンジン(以後単にエンジンと記す)1と、これに一体的に取り付けられたクラッチ2、主変速部3及び副変速部としてのレンジ式副変速部4(以下、レンジと呼ぶ)からなる機械式半自動変速機(以後単に変速機Mと記す)を備え、レンジ4の出力軸5側に図示しないペラシャフト、減速機及び駆動輪を順次接続している。
【0009】
エンジン1には電子ガバナ6が装着され、エンジン制御手段を成す電子ガバナコントロールユニット(以後単に電子ガバナECUと記す)7からの出力信号である燃料噴射量信号Qfに応じて燃料噴射量を調整し、エンジン出力を制御している。
クラッチ2は乾燥単板クラッチであり、その断接はリンク201、クラッチブースタ16を介して図示しないクラッチペダルによりマニュアル操作が可能である。クラッチブースタ16はエアタンク11と複数のエア通路17により連結され,クラッチ2の断接作動を倍力操作可能に形成される。エア通路17にはクラッチ電磁弁18が介装されており、このクラッチ電磁弁は変速機ECU14からのクラッチ制御信号によりエア通路17の切換えを行い、クラッチブースタ16を介してクラッチ2を断接操作できる。
【0010】
変速機Mの一部を成す主変速部3は並行軸式の変速機であり、その変速段切換えはエア圧アクチュエータから成るギアシフトユニット8により4つの変速段(図2の▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼参照)へ切換が可能である。ギアシフトユニット8とエアタンク11とはエア通路15によって連結される。ギアシフトユニット8はその内部にセレクトアクチュエータ801及びシフトアクチュエータ802の各切換え操作用の電磁弁(図示せず)を備え、両電磁弁が変速制御手段としての変速機コントロールユニット(以後単に変速機ECUと記す)14に接続され、同変速機ECU14の切換え信号Sgによりセレクトレール803及びシフトレバー804がセレクト方向X及びシフト方向Yへ切換え操作されることで、主変速部3内の▲1▼〜▲4▼のギア段を切換えできる。ここで、セレクトレール803には二又形状のセレクトジョー805が一体結合され、その一方の係止部j1は1、2及び3、4のセレクトライン(P1,P2位置)に対向し、他方の係止部j2は5、6及び7、8のセレクトライン(P3,P4位置)に対向するようにセレクトアクチュエータ801で切換え操作され、その上で、シフトアクチュエータ802がセレクトレール803とスプライン嵌合したシフトレバー804をシフト方向Yに操作することで1、2レール301及び3、4レール302の各係合爪nをセレクトジョー805の係止部j1、j2がシフト作動するように構成されている。
【0011】
変速機Mの一部を成す副変速部としてのレンジ4は、図2に示すように、レンジシリンダ(エア圧アクチュエータ)9により高低変速ギア列(Hレンジ部、Lレンジ部)の変速切換が可能となっており、主変速部3が出力する出力回転数を更に高低2つの変速比で変速切換えする。即ち、主変速部3及びレンジ4が切換えできる変速段は、図2に示すように、主変速部3の▲1▼〜▲4▼のギア段とレンジ4のLレンジ部の変速段を組み合わせて「1」〜「4」の4段を確保し、更に、主変速部3の▲1▼〜▲4▼のギア段とレンジ4のHレンジ部の変速段を組み合わせて「5」〜「8」の4段を確保でき、合計「1」〜「8」の8段を選択できるように構成される。
【0012】
レンジ4の変速段はレンジシリンダ9で切換え操作され。即ち、エア供給源としてのエアタンク11とレンジシリンダ9(ピストンの両側に形成される各流体室)とはエア通路12a,12bにより連結されており、各エア通路12a,12bには電磁弁13a,13bが介装されている。各電磁弁13a,13bは三方電磁弁であり、変速機ECU14に切換え制御され、オフ時に各アクチュエータの流体室を大気開放し、オン時に高圧エアを供給することができる。また、レンジ4からは高低の各変速段を示すRH、RLポジション信号がレンジ位置センサ19より変速機ECU14に出力される。
【0013】
変速機ECU14と電子ガバナECU7はシリアル通信が可能なように互いに接続される。また、エンジン1側のクラッチストロークセンサ20よりクラッチストローク信号SCLが,クラッチ回転センサ21クラッチ回転数信号NCLが変速機ECU14に出力される。一方、レンジ4の車速センサ22より車速信号Svが、エンジン1側のエンジン回転センサ23よりエンジン回転数信号Neが電子ガバナECU7に出力される。また、アクセルペダル24のアクセル踏込量信号θaが電子ガバナECU7に出力されると共に、チェンジレバー25のセレクト信号Ssが変速機ECU14に出力される。
なお、本実施形態の車両の変速制御装置は、チェンジレバー25をドライブ「D」レンジ(図1参照)に操作すると、変速機ECU14が変速段選択手段として機能する。しかも、チェンジレバー25のマニュアル操作により、ホールド「M」レンジでアップ(+)側またはダウン(−〉側を選択すると、変速機ECU14がその変速操作に応じて機械的に主変速部3とレンジ4とを変速切換し、変速段を1段づつ増減切換え可能となっている。
【0014】
ここで、変速機ECU14は変速段選択手段として機能し、主変速部3とレンジ4からなる変速機の変速要否を判断し、しかも、車速Svとレバー開度信号Lに応じた最適な目標変速段を次変速段として演算する。しかも、変速制御手段として、機械的に主変速部3及びレンジ4を変速切換制御し、目標変速段に変速可能であり、その際、主変速部3とレンジ4との変速段を組み合わせて、上述した「1」〜「8」の8段の変速が可能となっている。更に、検出手段として、主変速部3だけの変速制御の場合には変速ギア切換え完了時(後述の時点t6)に、副変速部を伴う変速を行う場合には変速開始(ギア抜き時点である後述のt3)から設定された所定時間(変速経過時間Tα)の経過後で変速ギア切換え検出前に、それぞれ切換え検出出力を発するように機能する。ここでの変速経過時間Tαは、図3に示すように、次段の変速ギアへの変速処理が完了する前に燃料噴射を完了できるように、主変速部3、レンジ4、電子ガバナ6その他エンジン1の特性に応じて、あらかじめ設定される時間幅である。
【0015】
一方、電子ガバナECU7はエンジン制御手段として機能し、切換え検出出力によりエンジン1とクラッチ2の回転数を合わせるべくエンジンの回転数制御を行う。
ここで、上述した本実施形態の車両の変速制御装置による変速制御について図4のタイムチャート及び図5のフローチャートに基づいて説明する。なお、ここでの変速制御はチェンジレバー25がDレンジに操作されたときの変速機ECU14及び電子ガバナECU7による走行時の自動変速制御である。なお、発進時にはクラッチ2が運転者によりマニュアル操作によって切断操作され、積車時の発進段である1段「1」,あるいは空車時の発進段である2段「2」がチェンジレバー25の操作で変速機ECU14に入力指示され、これに応じて、ギアシフトユニット8及びレンジ4が切換え作動し、その上でクラッチ2がマニュアル操作によって接合処理され、マニュアル発進が行われる。
【0016】
変速機ECU14は図示しないメインルーチンの途中で、図5に示すような変速ルーチンでの制御に達する。このステップs1では、変速指示があるかどうかを判定するが、この変速指示はアクセル開度θaと車速Svに応じて予め設定された変速段マップに基づいて1〜8段のいずれかが目標変速段として決定される。ここで、現状段を維持する場合のように、変速指示がなければ何もせずにこのルーチンを抜ける。一方、現状段(たとえば「2」段)を目標変速段である次段(たとえば「3」段)に変更する変速指示があればステップs2に達し、ここで電子ガバナECU7を介してトルク減少を指示し、ステッブs3でレンジ4を変速するかどうか、即ち「1」〜「4」の4段側から「5」〜「8」の4段側への切換えかを判定し、レンジ4を変速しなければ、たとえば、「1」〜「4」の4段内での変速ではステッブs4に移行して主変速部3の変速制御を行う。
【0017】
ここでは「2」段から「3」段へのシフトアップ時とし、時点t1でステップs4に達する。ここでは、クラッチ断指示(MVXY信号をオン)を行い、ステップs5で主変速部3の変速段を切換えるならば、時点がt3で主変速部3(図5中にはT/M本体と表示した)のギヤ抜き(MVC信号をオン)を指示し、ステップs6でギヤ抜き完了を待ち、時点t4でギヤ抜き完了し、現段のシフト信号SHAがオフし、ニュートラル信号NEがオンし、ステップs7に達してセレクト指示(MVDF信号をオン)、つまり、主変速部3の1、2ラインより目標変速段「3」の3、4ラインにセレクトし、時点t5でステップs8に達し、ギヤ入れをし、その後、ステップs9でギヤシフトの完了を待ち、時点t6でニュートラル信号NEがオフし、次段のシフト信号SHBがオンし、ギヤシフトの完了を判定し、変速ギアの切換えが完了したとの切換え検出出力を検出することとなる。
【0018】
この時点t6では連続して、ステップs10に達し、エンジン1の回転上昇を電子ガバナECU7を介して指示し、時点t7でステップs11に進み、ここでトルクの復帰を電子ガバナECU7を介して指示する。これにより、エンジン回転数Neは上昇に転じ、時点t8でステップs12に達し、クラッチ接(MVXYをオフ)指示を行い、これによりクラッチ2はそのクラッチストロークSCLを接合側に所定時間T1かけて戻し、エンジン回転数Neとクラッチ回転数NCLを同期させ、今回の変速制御を完了する。
【0019】
このような主変速部3のみの変速制御では、レンジシフト処理がなく、時点t1でのステップs4の処理より時点t6でギヤシフトの完了を判定する、即ち、変速ギアの切換えが完了したとの切換え検出出力を得るまでの時間幅が短く、その間にエンジン回転数Ne及びクラッチ回転数NCLが降下するとしても、両者の回転差が比較的小さく、この切換え検出出力を受けた直後にステップs10〜s12に進み、燃料噴射してエンジン回転を上昇させることで、回転差Δnを確実に低減させることができ,クラッチ接合を容易に行え、運転者が変速ショックを受けことを防止できる。
【0020】
一方、ステップs3でレンジ4を変速するのであれば、ステップs13に移行し、以降のステップでレンジ4の変速制御を行う。ここでは、図3のエンジン回転数Ne及びクラッチ回転数NCL特性線図、図4のタイムチャート及び図5(a)のフローチャートに基づいて4段「4」(レンジがLレンジ部、主変速部3が▲4▼のギア段)から5段「5」(レンジがHレンジ部、主変速部が▲1▼のギア段)ヘシフトアップした場合について説明する。なお、図5(b)には従来の変速制御装置を使用した場合のシフトアップ時の変速特性を比較のため示した。
【0021】
ステッブs2でトルク減少指示して所定時間経過後に、ステッブs13でクラッチ切断を指示(時点t1でのMVXY信号のオン)する。その後、ステップs14で主変速部3の変速段を切換えるならば、時点t3(場合によりt2でも良い)で主変速部3(図5中にはT/M本体と表示した)のギヤ抜き(MVC信号をオン)を指示し、即ち変速処理を開始し、更に、あらかじめ設定された変速経過時間Tα(次段の変速ギアへの変速処理が完了する前に燃料噴射を完了できるように設定)をカウントアップする変速カウンタCHCUTをスタートさせる。
【0022】
この後、ステップs15でギヤ抜き完了を待ち、時点t4でギヤ抜き完了し、現段のシフト信号SHBがオフ(ここでは破線参照)し、ニュートラル信号NEがオンする。ここでは、更に、ステップs16に進み、例えば、電磁弁13a,13bを操作してLレンジ部保持用のエアの排除し、エアタンク11の高圧エアをエア通路12bを介してレンジシリンダ9の他方の流体室へ供給する。これにより、時点t4−1でLレンジ部保持用のエアの排除(RANL信号オフ)が確認される。
【0023】
時点t5では、ステップs17に達してセレクト指示(MVDF信号をオン)、即ち、主変速部3の3、4ラインより目標変速段「5」の1、2ラインにセレクト指示し、この際、セレクトジョー805の一方の係止部j1が3、4のセレクトライン(図2の符号P2位置参照)より離脱し、他方の係止部j2が1、2のセレクトライン(図2の符号P3位置参照)に対向し、セレクト完了する。時点t5では連続して、ステップs18に進み、次の変速レンジ側であるHレンジ部保持用のエア供給(RANH信号オン)が完了したことが確認される。次いでステップs19に達してギヤ入れをし、即ち、ギアシフトユニット8のシフトアクチュエータ802を駆動し、次段である「5」段へのシフトを行う。この後、ステップs20に進み、ステップs14でスタートさせた変速カウンタCHCUTが変速経過時間Tαを経過したか否か判断し、経過前はステップs21に進んで、シフトの完了の判定、即ち、ニュートラル信号NEがオフし、次段「5」のシフト信号SHAがオン(ここでは破線参照)したか判定する。
【0024】
変速経過時間Tαを経過した場合、あるいは,主変速部3とレンジ4との次段への変速処理が早めに完了していた場合、即ち、切換え検出出力を検出した場合には、カウントをリセットして直ちに、ステップs10側に進む。変速経過時間Tαの経過後に、あるいは、次段の変速ギアへの変速処理が早めに完了してステップs10に達すると、エンジン1の回転上昇を電子ガバナECU7を介して指示し、時点t7でステップs11に達し,トルクの復帰を電子ガバナECU7を介して指示し、時点t8でステップs12に達し、クラッチ接(MVXYをオフ)指示を行い、これによりクラッチ2はそのクラッチストロークSCLを接合側に所定時間T1をかけて戻し、エンジン回転数Neとクラッチ回転数NCLを同期させ、今回の変速制御を完了する。
【0025】
このように主変速部3とレンジ4が共に変速制御される場合、時点t3で主変速部3のギヤ抜き(MVC信号をオン)を指示してから変速経過時間Tαをカウントすると、直ちに、時点t6’(図3(a)参照)でステップs10〜s11を実行し、次段の変速ギアへの変速処理が完了する前に燃料噴射処理、エンジン回転数Neのアップ処理を行うので、クラッチ接(MVXYをオフ)指示を行う時点で、すでに、エンジン回転数Neが上昇に転じているように設定でき、エンジン回転数Neとクラッチ回転数NCLを同期させる時点での回転差Δnを図3(b)の従来の変速制御の場合と比較して小さくでき、この後のクラッチ接合を容易に行え、運転者が変速ショックを受けることを確実に防止できる。
【0026】
図1の車両の変速制御装置は主変速部3と副変速部としてレンジ4を備えていたが、この副変速機は主変速部3とクラッチ2の間に設けることが可能なスプリッタ(図示せず)であっても良く、あるいは、主変速部の前後にスプリッタ(図示せず)とレンジを配備した変速機をエンジンに装着し、それに本発明の車両の変速制御装置を適当して変速制御するようにもでき、これらの場合も図1の車両の変速制御装置と同様に適正な変速経過時間Tαを設定し、運転者が変速ショックを受けことを確実に防止できる。
【0027】
図1の車両の変速制御装置が用いた副変速部は高低変速比を2段に切り換えるレンジ4を用いていたが、変速比を3段以上に切換え、主変速部3の変速段を増段できるような副変速部を利用することもでき、その場合も図1の車両の変速制御装置と同様の作用効果か得られる。レンジは既述したように、主変速部3が出力する出力回転数を更に高低2つの変速比で変速切換えするため、その変速比はスプリッタと比較して充分に大きいため、レンジの変速を伴う変速では変速時間が長くなる。さらに、レンジの変速は記述したように、必ず主変速部の変速を伴うため、変速時間が更に長くなる傾向にあり、このようなレンジ式副変速部を有する変速に最適である。また、スプリッタは主変速部の各変速段を更に細かい変速段とするものであり、主変速部の変速を伴わずスプリッタのみの変速もある上、スプリッタそのものの変速比も小さいことから変速時間は比較的小さい。但し、主変速部とスプリッタの両方の変速を伴う場合、本発明のような見込み時間は有効である。さらに、レンジ式副変速機を本実施例では主変速部の後端に配設したが、前端に配設し、主変速部3の入力回転を変速しても良い。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明では、比較的変速時間の短い主変速部だけの変速時は、変速ギア切換えが終了してから直ちにエンジン回転数合わせを行い、副変速部の変速を伴う時は、変速ギア切換え検出前に、変速開始から所定時間の経過後にエンジン回転数合わせを指令できる。このため、クラッチ接合時のエンジン回転数とクラッチ回転数の差を小さくできるので、変速時のショックの発生を防止でき、変速フィーリングを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての車両の変速制御装置の概略構成図である。
【図2】図1の車両の変速制御装置で用いる主変速部及びレンジから成る変速機の変速作動を説明する変速模式図である。
【図3】車両の変速制御装置のレンジ使用におけるシフトアップ時の変速特性を説明する線図で、(a)は図1の変速制御装置の場合を、(b)は従来の変速装置の場合を示す。
【図4】図1の車両の変速制御装置で用いるタイムチャートである。
【図5】図1の車両の変速制御装置で用いるフローチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 クラッチ
3 主変速部
4 レンジ(副変速部)
7 電子ガバナECU
14 変速段選択手段、変速制御手段、検出手段としての変速機ECU
Tα 変速経過時間
M 変速機

Claims (1)

  1. エンジンと、
    同エンジンの出力回転を変速する主変速部及び副変速部を有した変速機と、
    上記エンジンと上記変速機との間の動力伝達を断接するクラッチと、
    上記変速機の変速要否及び次変速段を選択する変速段選択手段と、
    同変速段選択手段の出力により上記クラッチを切断し、上記主変速部と上記副変速部を変速制御する変速制御手段と、
    上記変速制御手段が主変速部だけの変速制御の場合には変速ギア切換え時に、上記変速制御手段が副変速部を伴う変速を行う場合には変速開始から設定された所定時間の経過後で変速ギア切換え検出前に、それぞれ切換え検出出力を発する検出手段と、
    上記切換え検出出力により上記エンジンとクラッチの回転数を合わせるべくエンジンの回転数制御を行うエンジン制御手段とを具備したことを特徴とする車両の変速制御装置。
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