JP3660940B2 - リサイクル性フィルター及びその再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リサイクル性に優れたフィルター及びその再生方法に関する。さらに詳しくは、使用済みフィルターから効率良く合理的に捕集物を除去することができ、かつ再利用が可能なリサイクル性フィルター及びその再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
クリーンな水やクリーンな空気、さまざまな汚染物質を除去してクリーンな環境を保証する各種の環境フィルターは、半導体などの先端技術を扱う無塵室(クリーンルーム)はもとより、産業廃水や排気ガスの処理に欠かせない材料となっている。
【0003】
従来、各種環境フィルター材料は、吸着物質にたいして30重量%〜400重量%の材料を必要としており、クリーンな環境を得るために膨大な産業廃棄物を生じているのが現状である。これらフィルター材料は、一般的に耐熱性や耐薬品性に優れた性質を持つ他、安全性、性能上の問題より難燃処理などの加工処理が施されている。そのため、使用済みフィルターの処理に関しては、焼却処理が容易ではなく、投棄処理されるのが一般的であり、将来は新たな二次汚染源となる可能性もあり、その処理技術の開発が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記した通り、従来の各種フィルター材料は、使用済み後の処理が容易ではなく、その処理に問題があった。また、従来は使用後のフィルター材料は投棄されていたため、資源を無駄にするという問題もあった。
【0005】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、使用済みフィルターから効率良く合理的に捕集物を除去することができ、かつ再利用が可能なリサイクル性フィルター及びその再生方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明のリサイクル性フィルターは、フィルター用基材に、有機溶媒に可溶なバインダー樹脂を用いて吸着性材料を結着して、吸着分離機能を向上させたフィルターであって、使用済みフィルターを有機溶媒を用いて前記バインダー樹脂を溶解除去するとともに、フィルター基材から吸着物と吸着性材料を分離可能としたことを特徴とする。
【0007】
前記本発明のフィルターにおいては、フィルター用基材が、耐溶剤性を有する繊維材料からなり、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維を含む有機繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維を含む無機繊維、及びステンレス、ニッケルを含む金属繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維であることが好ましい。
【0008】
また前記本発明のフィルターにおいては、バインダー樹脂が、耐熱性及び耐薬品性を有する樹脂であることが好ましい。とくに、耐熱性、耐薬品性に優れるバインダー樹脂が、スチレン系の熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)系ブロック共重合体、及びスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)系ブロック共重合体から選ばれる少なくとも一つの重合体を主成分とすることが好ましい。
【0009】
また前記本発明のフィルターにおいては、有機溶媒が、キシレン、トルエン、メチルシクロヘキサン、テトラヒドロナフタレンから選ばれる少なくとも一つの溶媒であることが好ましい。
【0010】
前記本発明のフィルターにおいては、吸着性材料が、吸湿材、消臭材、CO及び水素吸着材から選ばれる少なくとも一つの材料を用いることができる。吸着性材料としては、吸湿材または除湿材の場合、シリカゲル、及び酸化カルシウムから選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。また、吸着性材料が消臭材である場合は、活性炭、白金担持酸化物、及びゼオライトから選ばれる少なくとも一つを用いることができる。また、吸着性材料が水素吸蔵合金を含有する粉末である場合は、水素除去フィルターにすることができる。さらに、前記吸着性材料として、荷電体を用いる場合は、荷電粒子除去フィルターにすることもできる。
【0011】
前記本発明のリサイクル性フィルターにおいては、フィルター用基材に、有機溶媒に可溶なバインダー樹脂を用いて無機粉体を結着し、使用済みフィルターを有機溶媒を用いて前記バインダー樹脂を溶解除去するとともに、フィルター基材から吸着物と無機粉体を分離可能としてもよい。無機粉体としては、触媒を付与した金属酸化物であり、排ガスより水素またはCOを触媒酸化して除去する排ガスフィルターであることが好ましい。
【0012】
前記本発明のフィルターにおいては、吸着性材料が、有機系イオン交換樹脂、無機系イオン交換体、及びその混合体から選ばれる少なくとも一つであり、その交換基がカチオン性、アニオン性、及びその混合物から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。前記吸着性材料に吸着した吸着物は、金属イオン及びその錯体であり、吸着物を分離して固型化する金属イオン分離フィルターとすることもできる。
【0013】
また前記本発明のフィルターにおいては、吸着性材料が磁性体であり、磁性粉末除去フィルターであることが好ましい。また前記磁性体は、アルニコ系、フェライト系、SmCo5系、及びNd2Fe14B系から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。
【0014】
また前記構成においては、無機粉体が、光触媒作用のある酸化チタンである殺菌フィルターであることが好ましい。無機粉体としては、赤外線吸収能と保温特性を有するセラミック粉末である機能性繊維材料を用いることが好ましい。
【0015】
次に本発明の別のリサイクル性フィルターは、フィルター用基材に、有機溶媒に可溶なバインダー樹脂を塗布したフィルターであって、使用済みフィルターを有機溶媒を用いて前記バインダー樹脂を溶解除去するとともに、フィルター基材からろ過物質を分離可能としたフィルターに、ニッケル、銅、及び銀を含む金属または金属合金のめっき処理、蒸着処理、スパッタ処理及びカーボン塗布から選ばれる少なくとも一つの導電性処理をして電磁波シールドフィルターを形成したしたものである。
【0016】
次に本発明のリサイクル性フィルターの再生方法は、耐熱性及び耐溶剤性を有する繊維からなるフィルター用基材に、キシレン、トルエン、メチルシクロヘキサン、テトラヒドロナフタレンから選ばれる少なくとも一つの有機溶媒に可溶でかつ耐熱性及び耐薬品性を有する熱可塑性エラストマーを主成分とするバインダー樹脂を固着した、使用済みフィルターを、前記バインダー樹脂を溶解する前記有機溶媒を用いてバインダー樹脂を溶解除去するとともに、フィルター基材からろ過物質を除去するものである。
【0017】
前記方法においては、フィルター用基材から、バインダー樹脂とろ過物質を除去した後、再度有機溶媒に可溶でかつ耐熱性及び耐薬品性を有する熱可塑性エラストマーを主成分とするバインダー樹脂を固着することが好ましい。
【0018】
次に本発明のリサイクル性フィルターは、前記いずれかのフィルターをバインダー樹脂の熱可塑性を利用して一体成型加工して形成してもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
前記した本発明の構成によれば、使用済みフィルターを有機溶媒で処理することで、フィルター基材を吸着物質から完全に分離回収し、再利用できる新しいコンセプトの環境適合性高機能フィルター(スーパーエコフィルター)とすることができる。また、すべての材料がリサイクルされるため産業廃棄物による環境負荷がなく、吸着物質のみが固形物として除去される完全クローズドシステムが実現された。また、このフィルターは、フィルター素材を熱可塑性エラストマーで結着しているため、あらゆる複雑な形状に熱成型一体化加工することも可能となった。
【0020】
本発明のフィルターは、下記の利点を有する。
(1)ミクロからマクロまであらゆる固形物を除去する液体ろ過フィルター及び気体ろ過フィルターの分野で、従来から持つ性能をそこなう事なく、清浄空気や水の製造から、産業用及び家庭用の排ガスや廃水の処理、微生物を分離するバイオフィルターまで広範に利用できる。
(2)イオン交換物質を担持して液体中の金属イオンを選択的に吸着除去する金属イオン吸着フィルターは、金属資源の分離回収、鉱山や産業廃水からの重金属の除去、放射性金属イオンの分離除去にも利用できる。
(3)特定のガス成分を吸着除去する化学吸着フィルターは、吸湿材料を担持した除湿フィルター、臭い吸着材料を担持した除臭フィルター、有毒ガス吸着材料を担持した防毒フィルターなどとして利用できる。
(4)表面にニッケルや銀めっきなどをした導電性処理フィルターは、電磁波や粉塵の侵入を防ぎ、かつ、放熱を妨げない通気性電磁波フィルターとして、電子回路の保護パッケージに利用できる。携帯用通信機器の普及に伴う電磁波公害から電子機器の誤動作を防ぎ、信頼性を向上させるのに有効である。
(5)無機系素材を主成分とする耐熱フィルターは、燃焼排ガスからカーボン微粒子や騒音を除去する耐熱性防音フィルター、酸化触媒を担持して未燃焼のハイドロカーボンや水素、一酸化炭素を除去して中毒事故を防ぐ排ガスフィルターなどとして利用できる。
(6)セラミックスを担持したフィルターは、赤外線を吸収して保温作用があり、かつ、透湿性を維持しているため機能性衣料材料として、また、紫外線を吸収して殺菌作用を発現する抗菌クロスとして利用できる。
(7)磁性材料を担持した磁気粉体除去フィルターは、ガスや液体中より鉄粉などの磁性微粉末を除去するのに利用できる。
(8)水素吸蔵合金を担持した水素除去フィルターは、ガスや液体中より微量の水素を除去するのに有効である。
【0021】
このように本発明のフィルターは、有機溶媒系以外のすべての流体環境のクリーン化に利用できるとともに、使用済みフィルターから吸着物を分離除去できるため、産業廃棄物を大幅に低減でき、地球の環境保全とエネルギー・資源の節減に大きな貢献をすることができるものである。
【0022】
本発明のフィルターは、フィルター用基材を、有機溶媒に可溶で、耐熱性、耐薬品性に優れる熱可塑性エラストマーで強固に結着して、フィルター口径を任意に制御して多孔性基体を形成したものである。熱可塑性エラストマーを用いるため、従来の不織布に比べて伸縮性に富み、機械的強度にも優れる利点もある。また、イオン交換体や吸着剤、酸化物など各種の機能発現材料を同時に付与したり、無電解めっき処理することも容易にでき、高機能化とインテリジェント化を図ることも可能である。特に、有機溶媒を用いるため吸湿剤や酸化しやすい金属材料の担持には最適である。さらに、熱可塑性を利用した一体成型加工も容易にでき、複雑な形状のフィルターの製造も可能となる。
【0023】
本発明のフィルターでは、使用済みフィルターを再び有機溶媒で処理することで、吸着物が付着した熱可塑性エラストマーを溶解して、フィルター基材と分離し、さらに溶媒を蒸発回収する事により吸着物を固形分としてコンパクト化して分離することができ、また、フィルター基材は必要によっては繊維素材、或いは繊維素材と結合樹脂に分離可能である。この方法にて廃棄物の体積を大幅に低減でき、危険物質をコンパクト化して保存することも可能である。
【0024】
繊維素材としては、耐溶剤性に優れた繊維素材であればいかなるものでも使用できるが、使用温度や環境など用途に応じて、ポリエステル繊維やポリエチレン繊維、ポリイミド繊維、フッ素樹脂などの有機繊維、ガラス繊維やカーボン繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維などの無機繊維、ステンレスやニッケルなどの金属繊維を用いることができる。
【0025】
熱可塑性エラストマーとしては、耐薬品性、耐熱性、機械的強度などの観点から、スチレン系のスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)系やスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)系を主成分とするものが最適である。
【0026】
溶媒としては、キシレン、トルエン、メチルシクロヘキサン、テトラヒドロナフタレンなどを用いることができる。有機溶媒を用いるため、水分やガス吸着性の材料や金属などの酸化性の材料をフィルター基体に担持できる。
【0027】
付与する機能発現材料としては、各種のものが利用できる。イオン交換性材料としてはイオン交換樹脂やチタン酸カリウムなどの無機イオン交換体が、除湿剤としてはシリカゲルや酸化カルシウムなどが、消臭剤としては活性炭やゼオライトなどが利用できる。白金系触媒を付与した酸化チタンや酸化アルミニウムなどの粉末を担持したものは排ガスより水素やCOを触媒酸化して除去し、また、活性酸化チタンを担持したものは、光触媒作用で抗菌作用を発現し、酸化チタン等のセラミックを添加したものは赤外線吸収能と保温特性に優れる。成型体にニッケルや銅、銀などの無電解めっきや蒸着、スパッタリング、カーボン塗布などの導電性処理をすると電磁波のシールド性に優れるものとなる。磁性材料としては、アルニコ系やフェライト系、SmCo5系、Nd2Fe14B系など各種の磁化前の粉末を担持して、これを磁化して用いることができる。
【0028】
本発明のフィルターは、利用分野も従来の産業用の水や気体のろ過フィルターの分野から、快適で安全な生活環境を保証する機能性分離材として、また、電子機器の信頼性を高める電磁波シールド材として、さらには、アパレル関連の快適性クロスや医療用の抗菌クロスとして生活に密着して広範に利用される。使用済みの材料は、回収再利用されるので環境への負荷は最小限にすることが可能であり、生活の利便性と環境・資源問題の両立を図ることができる。すなわち、従来の石油資源の大量消費に立脚した生産・消費サイクルを根本的に改革することをめざしたものである。
【0029】
以下図面を用いて説明する。図1は本発明に係るフィルターのリサイクル方法の一実施形態を示すフローチャート図である。図1において、1は使用温度・使用環境・用途などに応じて選択された耐水性・耐溶剤性を有する繊維素材で、この繊維素材1をカード、ランドウェッバなどによる間接紡糸による乾式法、メルトブロー、スパンボンドなどの直接紡糸による乾式法、水中に短繊維を分散して抄き上げる湿式法等のウェブ形式工程Aを経てウェブ形成を行う。
【0030】
次に、上記ウェブを、熱融着法(熱ロール、熱風通過装置等)、機械的結合法(ニードルパンチ、ウォターニードル等)、耐溶剤性樹脂による化学的結合法(PVA、エポキシ樹脂等)を必要に応じて適宜組み合わせた一次結合処理工程Bをした後、乾燥処理工程Cを経てフィルター基材2を作製する。
【0031】
次に、上記フィルター基材2は、有機溶媒に溶解した熱可塑性エラストマー系のバインダー樹脂をスプレー法、浸漬法、コーティング法等の二次結合処理工程Dで密度調整をして、フィルター基材表面に所定量のバインダー樹脂を被覆した後、乾燥工程Eを経て、フィルター基材表面及び交絡繊維間にバインダー樹脂を強固に固着した所望のフィルター3を作製した。
【0032】
ところで、上記有機溶媒に溶解したバインダー樹脂中に、機能発現材料として、イオン交換性材料、除湿剤、消臭剤、磁性体、無機粉体等を用途に応じて付与する。
【0033】
上記バインダー樹脂としては、特に、スチレン系共重合体であるスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)系やスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)系を主成分とする物が繊維、吸着性物質との接着、優れた耐薬品性において最適である。
【0034】
また、上記有機溶媒としては、キシレン、トルエン、メチルシクロヘキサン、テトラヒドロナフタレンなどから選択した一つ以上を使用することができる。
【0035】
次に、一定期間使用して吸着・ろ過作用を果して交換されたフィルター3は、一次結合処理工程Bで使用した有機溶媒と同系の有機溶媒で回収処理工程G(洗浄或いは必要に応じて加熱処理)によって、バインダー樹脂を溶解して、吸着・ろ過物質を除去したフィルター基材2を得た。このフィルター基材2はその後洗浄/乾燥処理をして前記の二次結合処理工程Dにリサイクルされる。
【0036】
ところで、バインダー樹脂と吸着・ろ過物質との混合物中の吸着・ろ過物質は、図示省略したが、上記回収処理工程Gにおいて沈降除去された後、乾燥して固形分としてコンパクト化して分析工程を経て再利用物と廃棄物とに分離処理される。また、バインダー樹脂と有機溶媒は、濃度分析・乾燥処理を行って前記の二次結合処理工程Dにリサイクルされる。このとき、有機溶媒に溶け出すような吸着・ろ過物質は有機溶媒を蒸発回収して分離回収しても良く、また機能発現材料と吸着・ろ過物質とを別工程にて分離回収して吸着性物質を再生しながら吸着物の純度を上げて再利用することも可能である。
【0037】
さらにフィルター基材は、何回かのリサイクルの後、嵩減り等して使用できなくなれば、繊維素材単独或いは繊維素材と一次結合処理工程で使用した樹脂とに分離して、繊維素材は溶融ペレット化して溶融紡糸したり、解繊して繊維素材1として再利用したり、樹脂は洗浄・乾燥処理して再利用することも可能である。
【0038】
ところで、本発明の他の実施の形態として、上記一次結合処理工程を省略して、ウェブに上記二次結合処理工程のみを行うことも可能である。
【0039】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0040】
【実施例1】
(参考例)
ポリエチレンとポリプロピレンとから成る分割型ポリオレフィン繊維(大和紡績製 商品名DF−72,分割前繊度2d,分割後繊度0.2d)を用いて通常の抄造法でシート化した後、ウオータジェット加工して構成繊維を交絡させるとともに繊維を分割処理し、次いで熱カレンダー加工して、目付60g/m2,厚み1mmの不織布シートを作製した。
【0041】
次に、上記不織布シートを、下記配合条件1のスラリーに含浸した後、80℃×5分間熱風乾燥処理して溶剤を蒸発させた。下記配合物の固形分の付着量は10g/m2,目付70g/m2,厚み1mmの不織布シートを作製した。
【0042】
得られた不織布シートを、ポリプロピレン製多孔性芯筒(外形30mm、長さ250mmの多孔性円筒)に30mmの厚さで巻き付け、瀘過層の密度0.255g/cm3のカートリッジフィルターを形成した。次に前記カートリッジフィルターを用いて瀘過試験を行った。瀘過試験は、濃度200ppmに調整された試験用ダスト(関東ローム、平均粒子径8μm)の水懸濁液を均一に撹拌しながら、前記カートリッジフィルターの外側から内側に向かって10リットル/分の速度で200リットル流した。その結果、瀘過精度は5μm、初期瀘過効率は81.5%であった。なお、瀘過精度と初期瀘過効率は次の測定法で算出した。
(1)瀘過精度:上記のようにして得られた清浄水を採取し、超遠心式自動粒度分布測定装置(掘場製作所製)で粒子の径を測定し、その最大粒子径(μm)で評価する。
(2)初期瀘過効率:上記懸濁液を1リットル採取し乾燥後のダスト重量をAとし、瀘過開始1分経過後の清浄水を1リットル採取し、乾燥後のダスト重量をBとして次式により算出する。初期瀘過効率(%)=[(A-B)/A]×100
【0043】
次に使用後のカートリッジフィルターを、キシロールを用いて洗浄し、捕集物をSEBS樹脂とともに除去した。次いで前記配合条件1のスラリーに再度含浸し、同様な手段でSEBS樹脂をカートリッジフィルターの構成繊維にコーティング付与し、再生した。再生したカートリッジフィルターを用いて再度前記の瀘過試験を行ったところ、瀘過精度は5μm、初期瀘過効率は81.3%であり、初回の試験とほぼ同一であった。
【0044】
【実施例2】
ポリエチレンとポリプロピレンとから成る分割型ポリオレフィン繊維(大和紡績製 商品名DF−72,分割前繊度2d,分割後繊度0.2d)を用いて通常の抄造法でシート化した後、ウオータジェット加工して構成繊維を交絡させるとともに繊維を分割処理し、次いで熱カレンダー加工して、目付60g/m2,厚み1mmの不織布シートを作製した。
【0045】
次に、上記不織布シートを、下記配合条件2のスラリーに含浸した後、80℃×5分間熱風乾燥処理して溶剤を蒸発させた。下記配合物の固形分の付着量は10g/m2,目付70g/m2,厚み1mmの不織布シートを作製した。
得られた不織布シートを、実施例1と同様な手段でカートリッジフィルターに形成し、実施例1と同様に瀘過試験を行ったところ、瀘過精度は4μm、初期瀘過効率は83.5%であった。
次に使用後のカートリッジフィルターを、キシロールを用いて洗浄し、捕集物をSEBS樹脂及びイオン交換樹脂微粉体とともに除去した。次いで前記配合条件2のスラリーに再度含浸し、同様な手段でSEBS樹脂をカートリッジフィルターの構成繊維にコーティング付与し、再生した。再生したカートリッジフィルターを用いて再度前記の瀘過試験を行ったところ、瀘過精度は4μm、初期瀘過効率は83.3%であり、初回の試験とほぼ同一であった。
【0046】
【実施例3】
(参考例)
ポリエステル繊維(ユニチカ製)15d×80重量%、6ナイロン(ユニチカ製)14d×20重量%を混合しカード工程を経て目付100g/m2のウェブ形成を行った。次に、一次結合処理剤として下記配合条件3の樹脂を用いて、付着量100g/m2でスプレー加工し、100〜150℃の乾燥工程を行い、目付200g/m2、厚み15mmのフィルター基材を作製した。
【0047】
次に、二次結合処理剤として下記配合条件3の樹脂にて付着量150g/m2で浸漬加工し、100℃の乾燥工程を行い目付350g/m2、厚み14mmのフィルターを作製した。
上記フィルターを、粗塵用フィルターとして2ケ月間使用した後、回収処理工程としてキシロールを50℃に加温しながら洗浄して、バインダー樹脂を溶解した後、フィルター基材を乾燥して回収したところ、二次結合処理工程に再利用できた。また、バインダー樹脂とろ過物質との混合物中のバインダー樹脂と有機溶媒は、二次結合処理工程にリサイクルし、ろ過物質は沈降除去された後乾燥して固形分としてコンパクト化した。これらコンパクト化した固形分には、1m2当たり約700gの砂塵、カーボンブラック、リンターの混合物が含まれていた。
【0048】
【実施例4】
ポリプロピレン繊維(大和紡績製)3d×100重量%をカード工程を経て目付150g/m2のウェブ形成を行った後、100P/cm2ニードルパンチにて加工した。次に、一次結合処理剤として下記配合条件5の樹脂にて付着量50g/m2のスプレー加工、100〜150℃の乾燥工程を行い、目付200g/m2、厚み3.5mmのフィルター基材を作製した。
【0049】
次に、二次結合処理剤として下記配合条件6の樹脂、イオン交換性材料にて付着量100g/m2の浸漬加工、100℃の乾燥工程を行い目付350g/m2、厚み3mmのフィルターを作製した。
上記フィルターを、メッキ排水用フィルターとして1週間使用した後、回収処理工程としてキシロールを80℃に加温しながら洗浄して、バインダー樹脂を溶解した後、フィルター基材は乾燥して回収したところ、二次結合処理工程に再利用できた。バインダー樹脂とイオン交換性材料、吸着物質の混合物中のバインダー樹脂と有機溶媒は、二次結合処理工程にリサイクルし、イオン交換性材料、吸着物質の混合物は沈降除去された後、乾燥して固形分としてコンパクト化した。これらコンパクト化した固形分には、吸着物質として通常ろ過される無機残査の他にイオン交換性材料にニッケル、クロム等の有害な重金属イオンが含まれていた。
【0050】
【実施例5】
ポリプロピレン樹脂をスパンボンド法によりウェブ形成した後、熱ロール加工し目付50g/m2、厚み0.3mmのフィルター基材を作製した。
【0051】
次に、二次結合処理剤として下記配合条件7の樹脂、消臭材にて付着量50g/m2のコーティング加工、100℃の乾燥工程を行い、目付100g/m2、厚み0.5mmのフィルターを作製した。
上記フィルターを、家庭用室内消臭フィルターとして1ケ月間使用した後、回収処理工程としてキシロールを80℃に加温しながら洗浄し、バインダー樹脂を溶解した後、フィルター基材は乾燥して回収したところ、二次結合処理工程に再利用できた。バインダー樹脂とアンモニア、硫化水素、メルカプタンなどの悪臭成分を吸った消臭材料の混合物中のバインダー樹脂と有機溶媒は、二次結合処理工程にリサイクルし、消臭材料は沈降除去された後乾燥して固形分としてコンパクト化し、焼成加熱して再生した。
【0052】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明のリサイクル性フィルターによれば、フィルター用基材に、有機溶媒に可溶なバインダー樹脂を用いて吸着性材料を結着して、吸着分離機能を向上させたフィルターであって、使用済みフィルターを有機溶媒を用いて前記バインダー樹脂を溶解除去するとともに、フィルター基材から吸着物と吸着性材料を分離可能としたことにより、さらに捕集効率を向上させ、使用済みフィルターから効率良く合理的に捕集物を除去することができ、かつ再利用が可能となる。
【0053】
次に本発明の別のリサイクル性フィルターによれば、フィルター用基材に、有機溶媒に可溶なバインダー樹脂を塗布したフィルターであって、使用済みフィルターを有機溶媒を用いて前記バインダー樹脂を溶解除去するとともに、フィルター基材からろ過物質を分離可能としたフィルターに、ニッケル、銅、及び銀を含む金属または金属合金のめっき処理、またはカーボン塗布などの導電性処理をしたことにより、電磁波シールドフィルターとして好適なものとなる。
【0054】
次に本発明のリサイクル性フィルターの再生方法によれば、耐熱性及び耐溶剤性を有する繊維からなるフィルター用基材に、有機溶媒に可溶でかつ耐熱性及び耐薬品性を有する熱可塑性エラストマーを主成分とするバインダー樹脂を固着した、使用済みフィルターを、前記バインダー樹脂を溶解する有機溶媒を用いてバインダー樹脂を溶解除去するとともに、フィルター基材からろ過物質を除去することにより、繰り返しフィルターを使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフィルターのリサイクル方法の一実施形態を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1 繊維素材
2 フィルター基材
3 フィルター
A ウェブ形成工程
B 一次結合処理
C 乾燥工程
D 二次結合処理
E 乾燥工程
F 吸着・ろ過使用
G 回収処理工程
Claims (10)
- フィルター用基材に、有機溶媒に可溶なバインダー樹脂を用いて吸着性材料を結着して、吸着分離機能を向上させたフィルターであって、使用済みフィルターを有機溶媒を用いて前記バインダー樹脂を溶解除去するとともに、フィルター基材から吸着物と吸着性材料を分離可能としたことを特徴とするリサイクル性フィルター。
- フィルター用基材が、耐溶剤性を有する繊維材料からなり、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維を含む有機繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維を含む無機繊維、及びステンレス、ニッケルを含む金属繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維である請求項1に記載のリサイクル性フィルター。
- バインダー樹脂が、耐熱性及び耐薬品性を有する樹脂である請求項1に記載のリサイクル性フィルター。
- 耐熱性、耐薬品性を有するバインダー樹脂が、スチレン系の熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)系ブロック共重合体、及びスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)系ブロック共重合体から選ばれる少なくとも一つの重合体を主成分とする請求項3に記載のリサイクル性フィルター。
- 吸着性材料が、吸湿材、消臭材、CO及び水素吸着材から選ばれる少なくとも一つの材料である請求項1に記載のリサイクル性フィルター。
- 吸着性材料が、有機系イオン交換樹脂、無機系イオン交換体、及びその混合体から選ばれる少なくとも一つであり、その交換基がカチオン性、アニオン性、及びその混合物から選ばれる少なくとも一つであって、かつ吸着性材料に吸着した吸着物が金属イオン及びその錯体であり、吸着物を分離して固型化する金属イオン分離フィルターである請求項1に記載のリサイクル性フィルター。
- 吸着性材料が磁性体であり、磁化前の磁性粉末をバインダー樹脂で結着してフィルター用基材に固着後に磁化した磁性粉末除去フィルターであり、使用後のフィルターから吸着物を分離するとともに磁力で集合固化される請求項1に記載のリサイクル性フィルター。
- 請求項1のフィルターに、ニッケル、銅、及び銀を含む金属または金属合金のめっき処理、蒸着処理、スパッタ処理及びカーボン塗布から選ばれる少なくとも一つの導電性処理をして電磁波シールドフィルターを形成したリサイクル性フィルター。
- 耐熱性及び耐溶剤性を有する繊維からなるフィルター用基材に、キシレン、トルエン、メチルシクロヘキサン、テトラヒドロナフタレンから選ばれる少なくとも一つの有機溶媒に可溶でかつ耐熱性及び耐薬品性を有する熱可塑性エラストマーを主成分とするバインダー樹脂を固着した、使用済みフィルターを、前記バインダー樹脂を溶解する前記有機溶媒を用いてバインダー樹脂を溶解除去するとともに、フィルター基材からろ過物質を除去するリサイクル性フィルターの再生方法。
- フィルター用基材から、バインダー樹脂とろ過物質を除去した後、再度有機溶媒に可溶でかつ耐熱性及び耐薬品性を有する熱可塑性エラストマーを主成分とするバインダー樹脂を固着する請求項9に記載のリサイクル性フィルターの再生方法。
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