JP3661603B2 - 椅子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、座部が前後方向に移動する椅子に係わり、更に詳しくは座部が前方へスライド移動するように常時弾性付勢された椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、脚部に対して座部が前後方向に移動するとともに、座部が前方へスライド移動するように常時弾性付勢された椅子は各種提供されている。例えば、実公昭50−15767号公報には、脚部の上端に設けた取付体の左右両側に前後方向に複数のローラを突設し、座部の下面に設けた受体の左右両側に前記ローラを転動可能な支持レールを設けるとともに、前記取付体に対して受体を前方へ弾性付勢した椅子が開示されている。
【0003】
しかし、座部の全荷重をローラのみで支持するために、該ローラを前後方向に多数列設して一個のローラに加わる荷重を分散させる必要があるが、そうするとコスト高になるとともに、ローラの耐久性の問題は依然として残っている。しかも、多数のローラを前後に列設するため、取付体の前後寸法が大きくなって、座部の前後移動に対する十分なストロークを確保しようとすれば、それに応じて受体の前後寸法も大きくせざるを得ないのである。つまり、駆動機構が大型になるのである。
【0004】
そこで、実用新案登録第3016453号公報にて開示されるように、ローラの代わりに前後方向に長尺のスライダーを取付体の両側に設け、受体に設けた支持レール内で摺動するようにし、座部の荷重をスライダーで受ける構造の椅子も提案されている。この場合、スライダーには、ローラのような回転機構が無いため強度の問題は解消され、また取付体及び受体の前後寸法も小さくできる利点がある。
【0005】
ところが、座部に着座する際に、通常は背凭れ部の上端を持って弾性付勢力に抗して後方へスライド移動させるが、このときにスライダーと支持レールとによるスライド移動方向に対して力の作用点が大きく離れた位置になるため、座部及び背凭れ部が後傾するようにモーメントが作用し、そのためスライダーの前端は支持レールの下板に強く押し付けられ、一方、スライダーの後端は支持レールの上板に強く押し付けられてスライダーと支持レール間にこじれが生じて、スムーズな座部の前後移動が妨げられるのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、座部が前方へスライド移動するように常時弾性付勢された椅子において、背凭れ部の上端部を持って座部を後方へスライド移動させるときの動作をスムーズに行うことが可能な椅子を提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題解決のために、脚部に対して座部が前後方向に移動するとともに、座部が前方へスライド移動するように常時弾性付勢された椅子であって、脚部の上端に設けた取付体の左右両側にスライダーを設け、座部の下面に設けた受体の左右両側に前記スライダーを摺動可能な支持レールを設けるとともに、該支持レールに沿って上板と下板とを有する補助レールを設け、前記取付体に対して受体を前方へ弾性付勢し、前記取付体の左右両側に上下揺動可能に設けたローラを前記補助レール内で転動可能とするとともに、該ローラを座部及び背凭れ部が前傾する方向に弾性付勢して補助レールの上板又は下板に圧接してなる椅子を構成した。
【0008】
ここで、前記取付体の前後部のそれぞれに、左右両側にローラを設けた姿勢制御部材を上下揺動可能に設けるとともに、前方の姿勢制御部材はそのローラが前記補助レールの下板に圧接するように取付体に対して弾性付勢し、後方の姿勢制御部材はそのローラが前記補助レールの上板に圧接するように取付体に対して弾性付勢してなることがより好ましい。
【0009】
具体的には、前記取付体は、箱状の本体部の左右上縁に側方へ突出したスライダーを設け、前方の姿勢制御部材は前記本体部の底面と両側面に沿う連結板と立起板とを有し且つ両立起板の前端部外側にローラを取付けるとともに、両立起板の後部を前記本体部の側面に水平な支軸にて上下揺動可能に取付け、更に該支軸よりも前方位置であって前記本体部の底面と連結板間に圧縮ばねを介在させ、後方の姿勢制御部材は前記本体部の底面と両側面に沿う連結板と立起板とを有し且つ両立起板の後端部外側にローラを取付けるとともに、両立起板の前後中央部を前記本体部の側面に水平な支軸にて上下揺動可能に取付け、更に該支軸よりも前方位置であって前記本体部の底面と連結板間に圧縮ばねを介在させてなるのである。
【0010】
また、前記受体は、両側板間に前記取付体を受け入れる空間を形成するとともに、該両側板の内面側に前記スライダーを摺動する支持レールと、前記ローラを転動する補助レールとを上下に平行に設けたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき更に詳細に説明する。図1は本発明に係る椅子を示し、図2〜図6はその詳細を示し、図中符号1は脚部、2は座部、3は背凭れ部、4は取付体、5は受体をそれぞれ示している。また、図中符号Fは前側、Bは後側を示している。
【0012】
本発明に係る椅子は、脚部1に対して座部2が前後方向に移動するとともに、座部2が前方へスライド移動するように常時弾性付勢された椅子であって、脚部1の上端に設けた取付体4の左右両側に長尺のスライダー6,6を設け、座部2の下面に設けた受体5の左右両側に前記スライダー6,6を摺動可能な支持レール7,7を設けるとともに、該支持レール7に沿って上板8Aと下板8Bとを有する補助レール8を設け、前記取付体4に対して受体5を前方へ弾性付勢し、前記取付体4の左右両側に上下揺動可能に設けたローラ9,9を前記補助レール8内で転動可能とするとともに、該ローラ9を座部2及び背凭れ部3が前傾する方向に弾性付勢して補助レール8の上板8A又は下板8Bに圧接してなるものである。尚、前記スライダー6は、前後方向に短尺のスライダーを複数個列設したものでも良い。
【0013】
本発明の最小限の構成においては、左右一対のローラ9,9を取付体4の後端部のみに設けた場合には、該ローラ9で補助レール8の上板8Aを圧接し、座部2及び背凭れ部3が前傾する方向に弾性付勢し、もって背凭れ部3の上端部を持って座部2を後方へスライド移動させる際に生じる後傾モーメントを相殺し、座部2のスムーズな後方移動を実現するのである。あるいは、左右一対のローラ9,9を取付体4の前端部のみに設けた場合には、該ローラ9で補助レール8の下板8Bを圧接するのである。尚、左右一対のローラ9,9を取付体4に設ける場合には、その効果は取付体4の前端部に設けるよりも後端部に設ける方が大きいことが実験的にも確認されている。しかし、前記取付体4の前後部のそれぞれに、2対のローラを設ける方が更に効果的であることは明らかである。以下の実施形態は、前記取付体4の前後部にそれぞれ2対のローラを設けた構造のものを説明する。
【0014】
図2〜図6に示すように、前記取付体4の前後部のそれぞれに、左右両側にローラ9,…を設けた姿勢制御部材10,11を上下揺動可能に設けるとともに、前方の姿勢制御部材10はそのローラ9,9が前記補助レール8の下板8Bに圧接するように取付体4に対して弾性付勢し、後方の姿勢制御部材11はそのローラ9,9が前記補助レール8の上板8Aに圧接するように取付体4に対して弾性付勢している。
【0015】
更に詳しくは、前記取付体4は、図2及び図3に示すように、箱状の本体部12の左右上縁にフランジ部13,13を形成し、該フランジ部13,13に側方へ突出するようにスライダー6,6をそれぞれ嵌着している。尚、前記取付体4の本体部12は、底板14の両側に上方へ側板15,15を折曲形成し、該側板15,15の上縁に外側方へ前記フランジ部13,13を折曲形成し、更に両側板15,15間の上部に固定板16を固着し、前記底板14と固定板16とに形成した開口17,17に脚部1を構成する脚柱18の上端を嵌入し、溶着することによって連結している。ここで、本実施形態では、前記脚柱18を前傾状態で床面に固定し、その上端に略水平に取付体4を固定したが、脚柱18は垂直であっても構わない。
【0016】
そして、前方の姿勢制御部材10は、前記本体部12の底板14と両側板15,15に沿う連結板19と立起板20,20とを有する正面視倒コ字形であり、両立起板20,20の前端部外側にローラ9,9を取付けるとともに、両立起板20,20の後部を前記本体部12の側板15,15にそれぞれ水平な支軸21にて上下揺動可能に取付け、更に該支軸21よりも前方位置であって前記本体部12の底板14と連結板19間に圧縮ばね22,22を介在させている。一方、後方の姿勢制御部材11は、前記本体部12の底板14と両側板15,15に沿う連結板23と立起板24,24とを有する正面視倒コ字形であり、両立起板24,24の後端部外側にローラ9,9を取付けるとともに、両立起板24,24の前後中央部を前記本体部12の側板15,15にそれぞれ水平な支軸25にて上下揺動可能に取付け、更に該支軸25よりも前方位置であって前記本体部12の底板14と連結板23間に圧縮ばね26,26を介在させている。ここで、本実施形態では、前記圧縮ばね22,26として、狭い空間に装着できるようにつる巻きばねを用いているが、板ばねやゴムシートを用いたり、更には前記本体部12の底板14と連結板19,23間に十分な広い空間を確保できる場合には,通常の圧縮コイルばねを用いても良い。更には、引張りコイルばねを用いても良いが、その場合には支軸に対して圧縮ばねと反対側に設けることになる。
【0017】
また、前記受体5は、図2及び図4に示すように、上部に前記座部2の下面への取付板27を有し、該取付板27の左右両側に下方へ両側板28,28を固定し、両側板28,28間に前記取付体4を受け入れる空間を形成するとともに、該両側板28の内面側に前記スライダー6を摺動する支持レール7と、前記ローラ9,…を転動する補助レール8とを上下に平行に設けたものである。具体的には、前記側板28の内面側上端で前記取付板27の下面に沿った位置に、内向きに凹溝を向けた断面コ字形の支持レール7を固着し、該支持レール7の凹溝内に前記スライダー6を前後スライド可能にガタツキ少なく受け入れるようになっている。また、前記側板28の下縁には、内向きに折曲して前記補助レール8の下板8Bを形成し、前記支持レール7の下板を補助レール8の上板8Aとなし、前述のローラ9,…を受け入れて転動させる補助レール8を構成している。
【0018】
また、前記前後の姿勢制御部材10,11の連結板19,23の中央寄り部分は、前記脚部1を受け入れる切欠部29,30をそれぞれ形成している。そして、図4〜図6に示すように、前記両スライダー6,6を支持レール7,7にスライド可能に係合するとともに、両側の各ローラ9,9をそれぞれ補助レール8に挿入し、前記底板14と固定板16の間で前記脚部1の脚柱18の両側の位置に、前記取付体4の底板14前端に立起形成した前板31と、前記受体5の取付板27後端に垂下形成した後板32との間に端部を係着した一対の引張りコイルばね33,33を配設し、前記取付体4に対して常時受体5(座部2)が前方へ弾性付勢されている。ここで、前記引張りコイルばね33による弾性付勢方向と、スライダー6と支持レール7とによるスライド方向は略一致させることが、スムーズな動作を実現する上で好ましい。尚、前記取付体4及び受体5は、カバー34で覆われている。
【0019】
前記座部2は、通常は、図5に示すように、前記引張りコイルばね33,33の弾性付勢力によって最前方に位置している。この状態で、前方の姿勢制御部材10の両側ローラ9,9は、圧縮ばね22,22の弾性付勢力によって補助レール8の下板8Bを押圧し、後方の姿勢制御部材11の両側ローラ9,9は、圧縮ばね26,26の弾性付勢力によって補助レール8の上板8Aを押圧し、座部2及び背凭れ部3が前傾する方向に弾性付勢されている。ここで、「背凭れ部3が前傾する方向」とは、背凭れ部3が文字通り前方へ傾斜する方向を意味し、また「座部2が前傾する方向」とは、座部2の前部が下方へ傾斜する方向及び座部2の後部が上方へ傾斜する方向を意味している。そして、座部2に着座する際には、背凭れ部3の上端部を持って後方へ引くと、図6に示すように、座部2は引張りコイルばね33,33の弾性付勢力に抗して後方へ移動するが、この場合に背凭れ部3に加えた力が、座部2及び背凭れ部3を後傾する方向に作用し、座部2が図中の矢印Pの方向に回転しようとするが、前後の姿勢制御部材10,11によってそれを打ち消すような偶力(図中矢印Gで示す)が生じているので、両者の力が釣り合って、前記スライダー6が支持レール7の上下板を押圧することなくスライド移動するので、その動作が極めてスムーズになるのである。
【0020】
以上説明した実施形態は、脚部1に対して取付体4が固定され、座部2が回転せずに前後にスライド移動するのみの構造であったが、図7又は図8に示すように、座部2が回転する機構と組合わせることも好ましい。ここで、前述の座部2のスライド機構をSとし、回転機構をRとすれば、図7(a)に示した椅子は、脚部1に回転機構Rを介してスライド機構Sを取付け、該スライド機構Sに座部2を取付けた構造である。また、図8(a)に示した椅子は、脚部1にスライド機構Sを介して回転機構Rを取付け、該回転機構Rに座部2を取付けた構造である。それぞれの構造の椅子のスライドと回転を組合わせた動作を図7(b)及び図8(b)に示している。各椅子の動作は若干異なり、図7の椅子は座部2の中心線が常に脚部1の中心を通る動作であるが、図8の椅子は座部2の中心線が脚部1の中心から偏心するように動作することを許容している。どちらの構造の椅子がより着座し易いかは、前後のテーブルTの間隔や、左右の椅子の間隔によって決まる。
【0021】
また、図9は、着座し易くなるように、椅子に対応する天板の前縁を湾曲して凹ませた湾曲縁35を形成した構造のテーブルTと、本発明に係る椅子との組合わせ構造を示している。更には、椅子の後部にあるテーブルTの天板の後縁を同様に湾曲して凹ませも良く、その場合には椅子の後部と後方のテーブルTの隙間を通過するのが容易になる。
【0022】
【発明の効果】
以上にしてなる本発明の椅子によれば、座部が前方へスライド移動するように常時弾性付勢された椅子において、支持強度が高く且つ耐久性に優れたスライダーと支持レールとからなるスライド機構を採用したにも係らず、着座時に背凭れ部の上端部を持って座部を後方へスライド移動させるときの動作を極めてスムーズに行うことができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る椅子の全体斜視図である。
【図2】スライド機構を示す分解斜視図である。
【図3】取付体と姿勢制御部材を示す分解斜視図である。
【図4】組立てた状態のスライド機構の縦断正面図である。
【図5】同じく座部が最前方に位置した状態のスライド機構の縦断側面図である。
【図6】同じく座部が最後方に位置した状態のスライド機構の縦断側面図である。
【図7】スライド機構と回転機構を組合わせた椅子の他の実施形態を示し、(a)は椅子の簡略側面図、(b)はテーブルと椅子との関係を示す簡略平面図である。
【図8】スライド機構と回転機構を組合わせた椅子の更に他の実施形態を示し、(a)は椅子の簡略側面図、(b)はテーブルと椅子との関係を示す簡略平面図である。
【図9】テーブルの天板を異形天板とした実施形態を示す簡略平面図である。
【符号の説明】
R 回転機構 S スライド機構
T テーブル F 前側
B 後側
1 脚部 2 座部
3 背凭れ部 4 取付体
5 受体 6 スライダー
7 支持レール 8 補助レール
8A 上板 8B 下板
9 ローラ 10 前方の姿勢制御部材
11 後方の姿勢制御部材 12 本体部
13 フランジ部 14 底板
15 側板 16 固定板
17 開口 18 脚柱
19 連結板 20 立起板
21 支軸 22 圧縮ばね
23 連結板 24 立起板
25 支軸 26 圧縮ばね
27 取付板 28 側板
29,30 切欠部 31 前板
32 後板 33 引張りコイルばね
34 カバー 35 湾曲縁

Claims (4)

  1. 脚部に対して座部が前後方向に移動するとともに、座部が前方へスライド移動するように常時弾性付勢された椅子であって、脚部の上端に設けた取付体の左右両側にスライダーを設け、座部の下面に設けた受体の左右両側に前記スライダーを摺動可能な支持レールを設けるとともに、該支持レールに沿って上板と下板とを有する補助レールを設け、前記取付体に対して受体を前方へ弾性付勢し、前記取付体の左右両側に上下揺動可能に設けたローラを前記補助レール内で転動可能とするとともに、該ローラを座部及び背凭れ部が前傾する方向に弾性付勢して補助レールの上板又は下板に圧接してなることを特徴とする椅子。
  2. 前記取付体の前後部のそれぞれに、左右両側にローラを設けた姿勢制御部材を上下揺動可能に設けるとともに、前方の姿勢制御部材はそのローラが前記補助レールの下板に圧接するように取付体に対して弾性付勢し、後方の姿勢制御部材はそのローラが前記補助レールの上板に圧接するように取付体に対して弾性付勢してなる請求項1記載の椅子。
  3. 前記取付体は、箱状の本体部の左右上縁に側方へ突出したスライダーを設け、前方の姿勢制御部材は前記本体部の底面と両側面に沿う連結板と立起板とを有し且つ両立起板の前端部外側にローラを取付けるとともに、両立起板の後部を前記本体部の側面に水平な支軸にて上下揺動可能に取付け、更に該支軸よりも前方位置であって前記本体部の底面と連結板間に圧縮ばねを介在させ、後方の姿勢制御部材は前記本体部の底面と両側面に沿う連結板と立起板とを有し且つ両立起板の後端部外側にローラを取付けるとともに、両立起板の前後中央部を前記本体部の側面に水平な支軸にて上下揺動可能に取付け、更に該支軸よりも前方位置であって前記本体部の底面と連結板間に圧縮ばねを介在させてなる請求項1又は2記載の椅子。
  4. 前記受体は、両側板間に前記取付体を受け入れる空間を形成するとともに、該両側板の内面側に前記スライダーを摺動する支持レールと、前記ローラを転動する補助レールとを上下に平行に設けたものである請求項1〜3何れかに記載の椅子。
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