JP3662475B2 - アクリジン誘導体を用いた微量水分の検出、定量方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリジン誘導体を用いた媒体中の微量水分を検出、定量するための方法、そのための組成物及びその装置に関する。また、本発明は新規なアクリジン誘導体及びそれからなる新規な化学センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
検体中の水分を検出する方法としては、乾燥重量が変化しなくなるまで乾燥させる方法、蒸留する方法、検体の密度や電気伝導率などを測定方法などが古くから知られているが、いずれの方法も満足できるものではなかった。検体の水分含有量を定量するもっともよく利用されている方法はカールフィシャー法である。最新のカールフィシャー法の測定装置を使用すれば、1サンプルについて約1分という短時間で1μgオーダーの水分含有量を測定することができるが、この方法は強い還元又は酸化作用を有する検体やカールフィシャー試薬と反応する検体には使用することができない。また、カールフィシャー法には比較的大きな測定装置が必要であり、簡便に行うことができない。さらに、カールフィシャー法はバッチ式の測定法であり、検体を連続的に測定することができないという欠点がある。
【0003】
カールフィシャー法に代えて検体中の水分含有量を簡便にかつ連続的に測定するための方法として、水に対する化学センサーを用いる方法が提案されている。
例えば、水分子の大きさの1.2〜1.4倍程度の孔を多数有する多孔性の架橋ポリスチレンに第四級アンモニウム基を導入した陰イオン交換樹脂を用いる方法(M.Bai, et al.,Talanta, 41(6), 993-999(1994))のように水を物理的に捕捉する方法も知られているが、感度が充分でなくかつ数十%以上の水含量でないと測定することができないという欠点がある。
【0004】
また、溶媒の極性の大きさなどにより励起波長や蛍光波長が移動する(ソルバトクロミズム(Solvatochromism))物質が知られており、この性質を用いた水分含有量の測定法も報告されている。例えば、2,5−ビス−[3−(5−スルホ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2−プロペニリデン]−シクロペンタノンを溶媒の極性に対する蛍光プローブ(Fluorescent solvent polarity (SP) probe)として用い、これを陰イオン交換膜に固定化させて溶媒中の水分含有量を測定する方法(M.A.Kessler, et al., Sensors and Actuators B., 3,267-272 (1991))、蛍光寿命に基づくセンサーとしてジピリドール[3,2−a:2”,3”−c]フェナジン,ジ[シス−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)−エチレン]オスミウム(II) ヘキサフルオロホスフェート[Os(dppz)(dppe)2](PF6)2というオスミウム錯体を用いた方法(Q.Chang, et al., Analytica Chimica, 350, 97-104(1997))、3−ヒドロキシ−4’−N,N−ジメチルアミノフラボン(HMAF)や4’−N,N−ジメチルアミノフラボン−3−イル−メタクリレート(DMAFMA)等のフラボノ染料を用いる方法(W.Liu, et al., Analytica Chimica Acta, 383, 299-307 (1999))などが報告されている。
【0005】
これらの方法は、前記したシクロペンタノン誘導体やオスミウム錯体やフラボン系化合物が化学センサーとしての可能性を示すものではあるが、化学センサーによる簡便でかつ連続的な測定を可能とするものではないし、かつ感度が十分ではなく微量水分の検出定量が不可能であったり、さらに、溶媒によりその吸収波長が大きく変動するなどの欠点がある。また、オスミウム錯体を用いる方法はオスミウムという毒性が強く高価な貴金属を使用するという欠点もあった。
【0006】
一方、4−(9−アクリジニル)−N,N−ジメチルアニリンのような分子内に電子供与基(D)と電子受容基(A)を有する化合物(A−D)のある種のものは、溶媒の極性の増加に伴って赤色シフトする低エネルギー電荷移動(CT)吸収を示すことが報告されている(J.Herbich, et al., J. Am. Chem. Soc., 120, 1014-1029(1998))。このような分子内電荷移動(ICT)は、大きなストークスシフト及び蛍光状態における大きな双極子モーメントを生起させる。そのために、溶媒の極性の増加に伴う大きなストークスシフトによるCT吸収よりも、その周囲の環境からの影響をより強く受けたこのICTによる蛍光スペクトルを示すことになる。
本発明者らは、このICTによる蛍光スペクトルを化学センサーとして利用できるか否かを検討してきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は検体中の微量水分を検出、定量することができる新規な化学センサーを提供するものである。また、本発明は簡便で、高感度でかつ連続的な測定が可能な検体中の微量水分の検出、定量方法を提供するものである。さらに、本発明は、分子内電荷移動(ICT)が可能な新規な化合物、及びそれを固定化した化合物及びその方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、アクリジン骨格を有する化合物が簡便で精度の高い微量水分測定方法に利用出来ることを見出した。さらに、この化合物を固定化する方法を見出すと共に、固定化されたアクリジン骨格を有する化合物も化学センサーとして十分機能できるものであることを見出した。
【0009】
本発明は、電子供与基となりうる含窒素化合物部分と電子受容基としてのアクリジン部分とから成るアクリジン誘導体、例えば一般式(I)
【化6】
(式中、Rは電子供与基となりうる含窒素化合物部分を示し、R4は水素原子又は有機残基を示す。)で示されるアクリジン誘導体を用いて媒体中の微量水分を検出又は定量する方法に関する。より詳細には、媒体中における前記アクリジン誘導体又は固定化されたアクリジン誘導体の蛍光強度を測定することからなる媒体中の微量水分を検出又は定量する方法に関する。また、本発明はそのための組成物及び装置に関する。
【0010】
また、本発明は、一般式(IV)
【化7】
(式中、R5は低級アルキル基を示し、R6は置換基を有してもよい不飽和炭化水素基又は高分子骨格に懸垂された基を示し、R7、R8はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を有してもよい炭化水素基を示す。)
で表されるアクリジン誘導体、又はその固定化された前記アクリジン誘導体に関する。より詳細には、本発明の固定化されたアクリジン誘導体は、R6の不飽和基とアクリル酸又はメタクリル酸の誘導体とからなる共重合体が好ましく、本発明はまた当該共重合体化による本発明のアクリジン誘導体を固定化する方法に関する。
【0011】
また、本発明は、一般式(V)
【化8】
(式中、R4、R9、R10、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して水素原子又は有機残基を示す。)
で表されるアクリジン誘導体に関する。
【0012】
さらに、本発明は前記アクリジン誘導体又は固定化されたアクリジン誘導体からなる化学センサーに関する。より詳細には媒体中の微量水分を検出又は定量するための化学センサーに関する。
【0013】
ソルバトクロミズムは色素分子の状態エネルギー変化によるクロミズムで、溶媒の性質(極性・水素結合性等)に依存したスペクトル変化を示す。これは溶媒分子が色素のn→π*あるいはπ→π*遷移の難易に影響して吸収スペクトルが変化する現象である。他のクロミズムが分子構造の変化による発色・消色であるのに対して、このクロミズムは色素分子の状態エネルギー変化によるものなので変色を示す。
【0014】
励起されて分極化される色素分子が極性溶媒で励起された場合には、図1に示すように分子が励起され分極化されるのが速い速度で行われ、それに続いて分極化された色素分子のまわりの極性溶媒がその分極を打ち消すようにゆっくりとした速度で動くことになる。これは、電子と分子の大きさや重さが大きく異なるため、励起により電子がまず動き次に溶媒のような分子が動くことになるからである。分子が励起され分極化された分子を周囲の極性溶媒が中和するまでの状態をフランクコンドン(Franck condon(FC))状態という。図1はこのようなフランクコンドン理論を説明するための図である。
【0015】
次に、溶媒の極性変化による吸光スペクトル変化について、その基底状態と励起状態のようすを図2及び図3に基づいて説明する。図2は、基底状態で分極化している分子の場合のもであり、このような分子の場合には溶媒の極性により基底状態も励起状態もともに変化する。そのため、吸光スペクトルは溶媒の極性によって変化し、同じく蛍光スペクトルも溶媒の極性によって変化する。
一方、基底状態で分極していない分子の場合には、基底状態・励起状態ともに溶媒によるエネルギー変化が少なく、そのために吸光スペクトルは、図3に示すように溶媒による変化は極めて少ない。このような分子の蛍光スペクトルは、溶媒に極性がない場合には、一度励起された電子はその後まわりの溶媒からの影響を受けないため、そのエネルギー状態が変わらないまま安定化され、蛍光スペクトルを出す。しかし、溶媒に極性がある場合は、一度励起された電子はその後まわりの溶媒からの影響を受け(図1参照)、エネルギー状態は下がり、その後蛍光スペクトルを出す。
【0016】
このため、このような分子では、溶媒の極性により吸光スペクトルは変化しないが、溶媒の極性により蛍光スペクトルは変化することになる。本発明者らは、この理論に基づいて吸光スペクトルの変化が少なく、かつ溶媒の僅かな極性に応じて敏感に蛍光スペクトルが変化する物質を探索した。
本発明者らは、このような分子として機能性色素の一種である4−(9−アクリジニル)−N,N−ジメチルアニリン(以下、KD−F0010という。)にまず着目した。
【0017】
実験に用いた溶媒は、基本的に全て蒸留し、モレキュラシーブの入った瓶に1日以上保存したものを用いた。ただし、アセトニトリルは蒸留を行わず、モレキュラシーブで乾燥させた特級溶媒を用いた。
このようにして調製したTHF、酢酸エチル、アセトニリル、DMF、ジクロロメタン及びジエチルエーテルの6つの溶媒において、KD−F0010を4.00×10−5mol/lの濃度で溶解させた。溶媒の調整が終わった後に、溶媒中に含まれる酸素による消光を避けるため超音波洗浄機で10分間脱気した後、蛍光光度計(HITACHI F−2000)を用いて、励起波長398nmにおける蛍光スペクトルを測定した。
【0018】
様々な溶媒の吸光スペクトル変化を図4に、その蛍光スペクトルの変化を図5に示す。図4及び5中の1は酢酸エチルを、2はアセトニリルを、3はジクロロメタンを、4はジエチルエーテルをそれぞれ示している。
また、その値を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
蛍光スペクトルの強度と溶媒の極性を示す値のひとつであるET(30)の値(kcal/mol)との関係を図6に、最大蛍光波長とET(30)の値の関係を図7に示した。図6及び7中の1はTHFを、2は酢酸エチルを、3はアセトニリルを、4はジクロロメタンを、5はジエチルエーテルをそれぞれ示している。
図4に示す結果から、非プロトン性の溶媒の場合は溶媒によってKD−F0010の吸光スペクトルは変化しないと考えられる。図5に示す結果から、非プロトン性の溶媒の場合は溶媒によってKD−F0010の蛍光スペクトルは変化すると考えられる。このことより、KD−F0010は、非プロトン性溶媒の場合は、溶媒によって吸光スペクトルは変化せず、蛍光スペクトルのみが変化するということがわかる。これにより、非プロトン性溶媒の場合には、KD−F0010は溶媒の種類によらず一定の励起波長(Excitation=398nm)で励起できることが分かった。
【0021】
図6および図7に示す結果より、蛍光強度はジエチルエーテルを除き極性が上がるにしたがって減少している。また、励起波長398nmの最大蛍光波長は溶媒の極性が上がるにしたがって高波長側にシフトし、そのシフトのしかたは、ET(30)値と直線的な関係が認められる。
蛍光強度がジエチルエーテルのみ減少量が少なかったのは、後で示すがこのKD−F0010が徴量の水に対して大きな蛍光強度を示す。しかし、このジエチルエーテルは水を0.02%含むまでしか混ざらないため、実験においてどうしても混ざってしまう微量の水と混ざりにくく、その他の有機溶媒に比べて蛍光強度の減少が少なくなったのだと思われる。
【0022】
以上よりKD−F0010は、吸湿しやすい有機溶媒においてはその蛍光強度は、溶媒の極性が上がるにしたがって減少し、最大蛍光波長は溶媒の極性にしたがって高波長側にシフトすることがわかった。
【0023】
次に、有機溶媒中の水又はエチルアルコールの濃度変化による吸光スペクトルの変化を検討した。図8にTHF中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを、図9にTHF中の種々の濃度のエチルアルコール含量についての吸光スペクトルを、図10に酢酸エチル中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを、図11にジクロロメタン中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを、図12にアセトニトリル中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを示す。図10〜図12において、図中の1は水又はエチルアルコールの含有量が0wt%であることを、2は水又はエチルアルコールの含有量が0.25wt%であることを、3は水又はエチルアルコールの含有量が0.5wt%であることを、4は水又はエチルアルコールの含有量が0.75wt%であることを、5は水又はエチルアルコールの含有量が1.0wt%であることを、7は水分含有量が3.00wt%であることを、9は水分含有量が5.00wt%であることをそれぞれ示している。
いずれの実験も、KD−F0010の濃度は4.00×10−5mol/lであり、溶媒の調製が終わった後に、溶媒中に含まれる酸素による消光を避けるため超音波洗浄機で10分間脱気した。
【0024】
次に、有機溶媒中の水又はエチルアルコールの濃度変化による蛍光スペクトルの変化を検討した。図13にTHF中の種々の濃度の水分含量についての蛍光スペクトルを、図14にTHF中の種々の濃度のエチルアルコール含量についての蛍光スペクトルを、図15に酢酸エチル中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを、図16にDMF中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを、図17にジエチルエーテル中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを、図18にジクロロメタン中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを、図19にアセトニトリル中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを示す。
【0025】
図13〜図19において、図中の、1は水又はエチルアルコールの含有量が0wt%であることを、2は水又はエチルアルコールの含有量が0.25wt%であることを、3は水又はエチルアルコールの含有量が0.5wt%であることを、4は水又はエチルアルコールの含有量が0.75wt%であることを、5は水又はエチルアルコールの含有量が1.0wt%であることを、6は水又はエチルアルコールの含有量が2.0wt%であることを、7は水又はエチルアルコールの含有量が3.0wt%であることを、8は水又はエチルアルコールの含有量が4.0wt%であることを、9は水又はエチルアルコールの含有量が5.0wt%であることを、10は水又はエチルアルコールの含有量が6.0wt%であることを、11は水又はエチルアルコールの含有量が10.0wt%であることを、12は水又はエチルアルコールの含有量が20.0wt%であることをそれぞれ示している。
いずれの実験も、KD−F0010の濃度は4.00×10−5mol/lであり、溶媒の調製が終わった後に、溶媒中に含まれる酸素による消光を避けるため超音波洗浄機で10分間脱気した後、蛍光光度計を用いて、励起波長398nmにおける蛍光スペクトルを測定した。
【0026】
これらの実験から、様々な有機溶媒中の水またはアルコール(エタノール)の濃度変化と相対蛍光強度と最大蛍光波長を図20〜図26に示す。各図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
図20はTHF中における各種の水分濃度についてのものであり、図21はTHF中における各種のエチルアルコールの濃度についてのものであり、図22は酢酸エチル中における各種の水分濃度についてのものであり、図23はDMF中における各種の水分濃度についてのものであり、図24はジエチルエーテル中における各種の水分濃度についてのものであり、図25はジクロロメタン中における各種の水分濃度についてのものであり、図26はアセトニトリル中における各種の水分濃度についてのものである。
いずれの実験も、KD−F0010の濃度は4.00×10−5mol/lであり、溶媒の調製が終わった後に、溶媒中に含まれる酸素による消光を避けるため超音波洗浄機で10分間脱気した後、蛍光光度計を用いて、励起波長398nmにおける蛍光スペクトルを測定した。
【0027】
また、蛍光強度と各水分濃度変化における相対蛍光強度を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
最大蛍光波長と各水分濃度変化における最大蛍光波長を表3に示す。
【表3】
【0030】
さらに、ET(30)の値(kcal/mol)と1%での蛍光強度の減少の関係を図27に、ET(30)の値と0%と1%の間での最大蛍光波長の変化の関係を図28に示した。図27及び28中の、1はTHFを、2は酢酸エチルを、3はアセトニリルを、4はジクロロメタンを、5はジエチルエーテルをそれぞれ示している。
【0031】
これらの実験結果から、水またはアルコール(エタノール)増加に伴って吸光スペクトルの変化はさほど認められなかったが(図8〜図12参照)、水またはアルコール(エタノール)増加に伴って蛍光スペクトルの変化は大きく認められ(図13〜図19参照)、すべての系で水またはアルコール(エタノール)増加に伴って蛍光スペクトルの強度は減少した。以上より、プロトン性の水やアルコールを加えてもKD−F0010の吸光スペクトルは変化を示さないが、KD−F0010の蛍光スペクトルのみが変化することがわかった。
【0032】
図20と図21を比べてみると蛍光強度の減少と最大蛍光波長の変化は水に比べてエタノールの方が小さい。また、表2より、水のET(30)値が63.1、エタノールのET(30)値が51.9、THFのET(30)値が37.4であることから、この変化は、プロトン性によるものか溶媒の極性変化によるものか判断できない。さらに、図20〜図26よりほとんどすべての非プロトン性溶媒で、0〜1%の微量な水またはアルコール(エタノール)増加で大きな蛍光強度の減少と最大蛍光波長の高波長側へのシフトが見られる。DMFとジクロロメタンは、DMFは沸点が高いため蒸留しなかったため、ジクロロメタンはあまり水と混ざり合わないために、このような減少を顕著に示さなかった。
【0033】
表2及び図20、22、23、24、25、26の結果から、水と混ざりにくいジクロロメタンを除き水分濃度の増加に伴って蛍光強度は減少することがわかった。極性の高い水を加えると、極性の低い有機溶媒のほうが大きな蛍光強度の減少を示すと考えられるが、実際はそうならず、むしろアセトニトリルなどの極性の低い溶媒のほうが大きな蛍光強度の減少を示しました。これは、蛍光強度は溶媒の極性ではなくそのプロトン性によって減少するためと考えられる。
【0034】
表3及び図20、22、23、24、25、26の結果から、水分の増加に伴って最大蛍光波長は長波長側にシフトする。面白いのが、水がジクロロメタンに対して0.20%しか混ざり合わない為、0.50%以上の最大蛍光波長が一定である。また、0〜1%の水分濃度での最大蛍光波長の変化は、ET(30)値と関係しており、加える有機溶媒の極性に関係あると思われる。
以上をまとめると、非プロトン性で吸湿しやすい有機溶媒に水またはアルコール(エタノール)を加えると、蛍光強度は有機溶媒の極性に関係なく0〜1%で大きく減少し、最大蛍光波長の変化は有機溶媒の極性が大きくなるにつれて、大きくなるという傾向があることがわかった。換言すれば、最大蛍光波長は有機溶媒の極性によって変化の値が変わり、極性が低い溶媒になるほどその変化の大きさは小さいことがわかった。
【0035】
以上の実験結果から、KD−F0010の蛍光スペクトルを測定することにより溶媒中に微量存在する水やアルコールなどの極性分子を検出することができ、かつそれを定量することができることがわかった。本発明の微量水分などの検出方法は検体(溶媒など)の中にKD−F0010を添加してその蛍光スペクトルを測定する方法によるものであることから、複雑な装置を必要とせず、また連続的に検体中に微量存在する水などの極性分子を検出、定量することができる。
【0036】
本発明の分子は極性分子の存在状態において励起されて、次の化学式で示されるように、アニリンの窒素原子からアクリジン環系へ内部電荷移動(ICT)が生起し、この緩和により蛍光スペクトルが観察されることになる。
【0037】
【化9】
励起状態におけるこれらの分子のICTによる双極特性のために、発光エネルギーはこれらの化合物の溶媒和に強く依存し、強い正のソルバトフルオロクロミズム(溶媒の極性の増加により、発光は長波長側にシフトする。)を示す。
そして、前記した化学式で示されるように、励起状態のICTによりアクリジン環系の窒素原子における電子密度が増加するために、この窒素原子は水素結合の格好の受容体となる。水分子などの存在によるここにおける水素結合の生成は、励起状態におけるエネルギー状態を緩和するために、蛍光の量子収率を減少させることになり、結果として蛍光強度の低下が観察されることになる。
【0038】
次に、本発明者らは、前記の4−(9−アクリジニル)アニリン誘導体の固定化を検討するために、N−アルケニル誘導体を製造した。即ち、4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン(以下、KD−F0011という。)を製造し、まずこの化合物の光学特性を検討した。
N−アルケニル誘導体は、N−アルケニルアニリン誘導体とアクリドンとの反応により製造することができ、具体的には次の化学式で示される方法により製造することができる。
【0039】
【化10】
【0040】
図29に種々の水分含有量におけるTHF中でのKD−F0011の吸光スペクトルを示す。図29中の7本のスペクトルはそれぞれ、水分含有量が0.00容量%のもの、0.10容量%のもの、0.25容量%のもの、0.50容量%のもの、1.00容量%のもの、2.00容量%のもの、5.00容量%のものを示している。いずれの実験も、KD−F0011の濃度は4.00×10−5mol/lであり、溶媒の調製が終わった後に、溶媒中に含まれる酸素による消光を避けるため超音波洗浄機で10分間脱気した後、蛍光光度計を用いて、励起波長398nmにおける蛍光スペクトルを測定した。
404nm付近のCT−吸収バンドの強度は、水分含有量とは無関係にこの結果となっている。若干の正のソルバトクロミズムが水分含有量が5容量%の場合に観察されるが、それよりも低い水分含有量においては吸収位置に変化はみられなかった。
【0041】
図30に404nmで励起した場合の種々の水分含有量(0.00v/v%〜5.00v/v%)におけるTHF中でのKD−F0011の蛍光スペクトルを示す。図30に示されるように、水分含有量が増加するに従って溶媒の極性が増加するために最大蛍光波長は長波長側にシフトし、同時に蛍光強度はそれに応じて低下した。
これらの結果をまとめたものを図31に示す。図31の黒丸印は相対蛍光強度を示し、黒四角印は最大蛍光波長を示す。KD−F0011の水分含有量に対する感度は、0.00〜1.00v/v%において最大であり、約30v/v%まで減少を続けるが、5v/v%以上においては蛍光強度はほとんど変化を示さなくなる。最大蛍光波長は、純粋なTHFの532nmから568nm(水分含有量10%)へとシフトする。水分含有量が多くなると蛍光強度が非常に低くなるので、最大蛍光波長を確定することが困難になる。
【0042】
以上のようにN−アルケニル誘導体も前述したN−アルキル誘導体と同様に極めて高感度で検体中の微量水分を検出、定量するための分子として有用であることがわかった。そこで、本発明者らは、これを共重合体の一成分として重合させることにより、アクリジニルアニリン誘導体の固定化を行った。
共重合体の重合成分としては、共重合可能なモノマー成分であればよいが、前述したように本発明のアクリジニルアニリン誘導体は水素結合可能な水素原子に対する受容体として作用するためにモノマーやそれを重合してできる重合体が水素結合の可能な水素原子を有していないものが好ましい。また、蛍光測定の支障を生ずるものでないものが好ましい。好ましいモノマーとしてはアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルなどのアクリル系モノマーが挙げられる。
【0043】
固定化のために、重合後に架橋を行ってもよく、また予め三次元構造を形成し得るモノマーを使用することもできる。三次元構造にすることにより固定化が促進されるが、これにより重合体に懸垂される本発明のアクリジニルアニリン誘導体や検体(溶媒など)の自由度が制限されないように留意する必要がある。このために、本発明のアクリジニルアニリン誘導体と重合体の骨格とがある程度の距離を有するようにすることが好ましい。例えば、本発明のアクリジニルアニリン誘導体が重合体の骨格から原子数で3〜25、好ましくは3〜10程度の距離を隔てて自由に動けるようなリンカー部分を有する構造とすることが好ましい。リンカーを構成する原子としては、炭素原子、酸素原子、窒素原子などがあげられるが、炭素原子が極性の点から好ましい。
【0044】
本発明のアクリジニルアニリン誘導体と共重合体を形成するモノマー成分としては、例えばポリエチレングリコール−ジメタクリレート(以下、PEGDMAという。)(n≒9又は16)やポリエチレングリコール−モノメタクリレート(以下、PEGMMAという。)(n≒9又は23)等が挙げられる。これらの構造式を以下に示す。
【化11】
【0045】
(式中、nはエチレングリコール単位の繰り返し数を示す。)
これらのモノマー成分はそれぞれ単独であるいは2種以上適宜組み合わせて用いられるが、丈夫で良質の膜を作製するためにはPEGDMAを単独で用いるか、PEGDMAに少量のPEGMMA(n≒23)を組み合わせて用いるのが好ましい。
KD−F0011とPEGDMA及び/又はPEGMMAとの重合は、UVの照射による光共重合により行うことができる。KD−F0011の量は、PEGDMA等のモノマーに対して0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%程度であり、具体的にはPEGDMA単独、又はPEGDMA及びPEGMMAに対しKD−F0011が0.2重量%と1重量%の共重合体を得た。得られた、PEGDMA(n≒9)に対しKD−F0011が1重量%の共重合体の各種溶媒における吸光スペクトルを図32に示す。また、得られた共重合体の蛍光特性を検討した結果を図33に示す。
【0046】
図33は、種々の水分含有量を有するTHFにおける、404nmで励起したPEGDMA膜に固定化されたKD−F0011の蛍光スペクトルである。図33における各スペクトルは上から順に、水分含有量が0.00v/v%のもの、0.05v/v%のもの、0.10v/v%のもの、0.15v/v%のもの、0.25v/v%のもの、0.35v/v%のもの、0.50v/v%のもの、0.74v/v%のもの、0.99v/v%のもの、1.96v/v%のもの、2.91v/v%のもの、4.76v/v%のもの、6.54v/v%のもの、9.09v/v%のものをそれぞれ示している。
【0047】
固定化されていないKD−F0011と同様に、固定化したKD−F0011も、水分含有量の増加に応じて蛍光強度の低下が観察された。固定化されたKD−F0011が、固定化により水素結合の形成能やICT状態からの蛍光発生能に格別の影響を受けないことが明らかとなった。強いて固定化による相違点を挙げるとしたら、最大蛍光波長のシフトが固定化により小さくなったことである。図34は、水分の含有量と蛍光波長とを示したものである。図34の黒四角印は固定化されていないKD−F0011を示し、黒丸印は固定化されたKD−F0011を示している。この図から明らかなように固定化されたKD−F0011では発光バンドのシフトは固定化されていないものに比べてずっと少なくなっている。
水分の含有量の増加による発光バンドの長波長シフトは、溶媒の極性の増加によるものであるから、高分子骨格によって固定化された発光分子のミクロな環境における極性は、測定される位置の溶媒の状態による影響よりも、高分子骨格による影響を大きく受けていると考えられる。
【0048】
このような結果は、溶媒中の微量水分を検出、定量するための化学センサーとしては、実際的にはより好ましいものである。なぜならば、蛍光の波長が水分の含有量によりシフトしないので、一定の波長(例えば、404nm)で励起することにより、一定の波長の蛍光(例えば、図33、図34によれば532nm)を測定すれば相対蛍光強度により水分の含有量を知ることができるからである。このことはより簡便な測定装置により微量水分を検出、定量することができるということである。
【0049】
また、相対蛍光強度についてみれば、両者の比較を図35に示す。図35の黒四角印は固定化されていないKD−F0011を示し、黒丸印は固定化されたKD−F0011を示している。図35から、固定化により感度は少し低下しているようにみえるが、固定化によりより広範囲の測定が可能ということもできる。
【0050】
次に、アルコールについて水と同様な検出、定量を試みてみた。結果を図36に示す。図36の黒四角印は水の場合を示し、黒丸印はメタノールの場合を示し、黒三角印はエタノールの場合を示す。水、メタノール、エタノールの順に感度が低下してきている。これは、水素結合に関与する水素原子の酸性が脂肪族性のおおきなアルコールになるほど小さくなるからと考えられる。しかし、脂肪族性が余り大きくないアルコール(例えば、メタノールやエタノールなど)であれば、本発明の方法により検出、定量することができることを示している。
【0051】
以上の実験結果によれば、本発明の方法は、溶媒、好ましくは非プロトン性溶媒中における微量水分を極めて高感度でかつ簡便に測定できるものであり、本発明のアクリジニルアニリン誘導体が溶媒中の微量の水分又は低級アルコールを簡便に且つ高感度で検出、定量する化学センサーとして極めて有用であることがわかる。さらに、この実験では4個の炭素原子により高分子骨格との距離を取った(スペーサーとして炭素数4とした。)ものを使用したが、この結果、本発明の化学センサーとしてのアクリジニルアニリン誘導体を十分固定化することができることが示された。また、固定化により蛍光波長のシフトを少なくすることができ、単一の蛍光波長を測定することにより、水分の含有量を検出、定量することができることも示された。そして、KD−F0011は膜に固定化することで連続水分濃度測定を可能にした。
【0052】
また、以上の結果から、固定化されているいないに拘わらず、本発明のアクリジニルアニリン誘導体は水分含量0〜1%の測定に高い精度を示すことが明らかになった。
【0053】
本発明者らは、次に、水分に対する感度を更に高めるためには、分子内に強い電子吸引基または電子供与基を導入することにより、極性感度を向上させる必要があると考え、新たに6−(9−アクリジニル)−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(以下、KD−F0020という。)を分子設計した。KD−F0020はドナー性を高めたことにより、KD−F0010に比べ水分に対してより高感度になったであろうと考えられた。
KD−F0020の機能性評価を進めていく中で、極性感度は向上したものの、2級アミンによるKD−F0020どうしの分子間水素結合が起こり、それが原因で水分に対する感度が低下しているのではないかと考えられた。そこで、この問題を回避するためにKD−F0020をメチル化し、3級アミン型の6−(9−アクリジニル)−1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(以下、KD−F0021という。)を設計した。
KD−F0021は膜への固定化ができるサイトが導入されていない。そこでKD−F0021の特性や感度を保持し、単にオレフィン基を導入した6−(9−アクリジニル)−2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(以下、KD−F0022という。)を設計した。
これらの機能性色素を用いて各種有機溶媒中の水分濃度の測定を行った。
【0054】
実験に用いた溶媒は、THFは、特級THF溶液に薄く切り刻んだ金属ナトリウムと、指示薬であるベンゾフェノンを入れ、窒素置換下で蒸留したものを無水試薬として用いた。ジエチルエーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトンについては、塩化カルシウムで脱水した後に蒸留し、モレキュラーシーブスの入った瓶に1日以上保存したものを無水試薬とした。アセトニトリルおよびエタノールについては蛍光分析用の特級試薬を使用し、塩化カルシウムで脱水したものを無水試薬とした。水はイオン交換水を使用した。
このようにして調製したTHFに、KD−F0020は1.8×10−4M、KD−F0021及びKD−F0022は6.0×10−5Mとなるように溶解し、溶液調製後、溶媒中に存在する酸素による消光を避けるため、超音波洗浄機で5分間脱気した溶液を試料として、これらの溶液の吸収スペクトルを測定した後、それぞれの励起波長における蛍光スペクトル変化を測定した。なお、吸光光度計及び蛍光光度計は先に使用したものと同じものを使用した。
【0055】
KD−F0020、KD−F0021、KD−F0022を溶解したTHF中の水分濃度変化による吸収スペクトルを図37,図38及び図39にそれぞれ示す。なお、THF中の水分濃度は、それぞれ以下のように変化させた。
水分濃度が増加しても、吸収スペクトルはほとんど変化しなかった。この理由はFranck-Condon理論によるものであると考えられる。つまり、色素分子のほとんどの分子は基底状態で分極しておらず、光吸収が起こることによって励起状態で分極する。この光で励起されたとき電子状態の変化に要する時間は約10〜15秒と瞬時である。このとき極性溶媒中であれば、溶媒分子は色素分子の分極を打ち消すように移動しようとするが、分子は電子に比べ動きが鈍いため瞬時の移動は不可能である。すなわち、基底状態で分極していない分子では、溶媒の極性変化による状態遷移エネルギーの変化はほとんどなく、吸収スペクトルに変化は見られないと言える。
【0056】
KD−F0020、KD−F0021、KD−F0022を溶解したTHF中の水分濃度変化による蛍光スペクトルを図40,図41及び図42にそれぞれ示す。これらのスペクトルから、水分濃度の増加に伴って蛍光強度が減少していることが分かる。3つの機能性色素は先に述べたように、光吸収によって分子内電荷移動が起こり、励起状態では分極した状態になり、多くの分子は蛍光発光によって基底状態に遷移する。しかし、有機溶媒中に水分子が存在すると、色素分子は水分子と分子間水素結合し、蛍光発光ではなく熱を放出して遷移する無輻射過程を生じる頻度が多くなるため蛍光消光が起こる。水分濃度が増加するほど蛍光強度が減少するのはこのためである。以下にこのメカニズムを化学式で示す。
【0057】
【化12】
【0058】
3種類の機能性色素についての水分濃度と相対蛍光強度の関係を図43に示す。また、比較のためKD−F0010の測定結果も図43に併せて示す。これにより、KD−F0020はKD−F0010に比べ水分に対する感度が低下していることが分かる。これは下式に示すようにKD−F0020の2級アミンによる色素分子同士の分子間水素結合が原因と考えられる。
【0059】
【化13】
【0060】
一方、メチル化したKD−F0021およびKD−F0022については、水分濃度0.00%のときに比べ0.01%では蛍光強度が約90%、0.05%では約75%へと減少していることから、ドナー性を高めたことでKD−F0010に比べ水分に対する感度が明らかに向上していると言える。
【0061】
また、有機溶媒を酢酸エチルおよびジクロロメタンに変え、機能性色素にはKD−F0021を用いて水分濃度変化に伴う吸収・蛍光スペクトル変化を測定した結果を図44、45及び図46、47にそれぞれ示す。なお、各溶媒中の水分濃度はそれぞれ下記の通りである。
これらの場合もやはり吸収スペクトル変化は、溶媒および溶媒中の水分濃度を変化させてもほとんど見られなかった。一方、微量水分濃度変化に伴う蛍光スペクトル変化は、酢酸エチルおよびジクロロメタン中でも顕著に見られた。THF、酢酸エチル、ジクロロメタン中の水分濃度と相対蛍光強度の関係を図48に示す。水分濃度が増加するにつれ、溶媒によって相対蛍光強度変化に差が出てくるのは、ジクロロメタンは0.17%(v/v)、酢酸エチルは2.94%(v/v)までの水としか混ざり合わないからであり、その値に達すると蛍光強度が一定になると考えられる。図48からは、0.00%〜0.10%あたりの微量水分では、3種類の溶媒中でほぼ同じ感度を示していると読み取れる。このことから、KD−F0021は様々な有機溶媒中での微量水分濃度測定が可能であると言える。
【0062】
これらの結果を用い、KD−F0021の各種有機溶媒中の水分検出限界を求めた。検出限界の求め方は以下に示すとおりである。
THF中にKD−F0021を6.00×10−5Mとなるよう溶解し、同じサンプルで10回蛍光スペクトルを測定した。10回の極大蛍光強度の平均値より、相対標準偏差を求めたところ約0.5104と得られた。検出限界をノイズの3倍と定め、水分濃度0.00%のときの相対蛍光強度を100とすると、検出限界の相対蛍光強度は
100−3×0.5104≒98.47
と求められた。実験結果をもとに、それぞれの溶媒で直線性が得られる水分濃度範囲において、Stern-Volmerプロットを作成した(図49)。これにより得られたStern-Volmerの式は
THF F0/F = 12.37 [H2O]+1
酢酸エチル F0/F = 11.30 [H2O]+1
ジクロロメタン F0/F = 6.755 [H2O]+1
であった。
ノイズは全ての溶媒中での測定で等しいと仮定すると、これらの式より検出限界はTHF中で0.0023%、酢酸エチル中で0.0025%、ジクロロメタン中で0.0042%と求められた。KD−F0022はKD−F0021にオレフィン基を導入した構造変化のみであるから、水分に対する感度つまり検出限界はKD−F0021とほぼ同じであると思われる。
即ち、これらのアクリジン誘導体を化学センサーとする本発明の方法によれば、蛍光光度計という簡便な装置を用い、様々な有機溶媒中で0.005%未満の微量水分濃度測定を行うことができることから、これらのアクリジン誘導体は、検体中の水分含有量を簡便に且つ高感度で検出、定量するための化学センサーとして極めて有用であると云うことが出来る。
【0063】
本発明は検体中の微量の水や低級アルコールなどを検出、定量するための化学センサーとしてのアクリジン誘導体を提供するものである。本発明のアクリジン誘導体は、電子供与基としての部分、例えばアニリン部分又は2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン部分等と電子受容基としてのアクリジン部分とを有するもので、これらのアニリン部分又は2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン部分等とアクリジン部分とが同じ平面構造を維持することができるもので有ればよく、より具体的には例えば前記の一般式(I)で示されるものが好ましい。
【0064】
一般式(I)におけるRとしては、例えば一般式(II)
【化14】
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は有機残基を示す。)で示される基や、例えば一般式(III)
【化15】
(式中、R9、R10、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して水素原子又は有機残基を示す。)で示される基等が挙げられる。
【0065】
一般式(I)、(II)及び(III)における、R1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して水素原子又は有機残基であり、有機残基としては検体中の極性の変化による蛍光強度の変化や吸収波長の変化に悪影響を与えない基であれば高分子量のものであっても低分子量のものであっても特に制限はないが、アクリジニルアニリン系又はアクリジニルペリミジン系の平面構造を阻害するような基やアクリジニルアニリン系又はアクリジニルペリミジン系に共役して吸収波長を大きくシフトさせるような基は好ましくない。また、水素結合が可能な水素原子を有さず、極性の大きな基を持たないものが好ましい。
【0066】
R1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、R12及びR13の好ましい有機残基としては、フェニルアクリジン骨格又はペリミジルアクリジン骨格に共役し得るπ電子系を形成しない有機基が挙げられ、より好ましい有機残基としては置換基を有していてもよい炭化水素基が挙げられる。また、好ましい炭化水素基としてはアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。フェニルアクリジン骨格又はペリミジルアクリジン骨格に共役し得るπ電子系を形成しない有機基としては、アニリン部分又はペリミジン部分の窒素原子の孤立電子対やベンゼン環又はペリミジン環のπ電子系に共役し得る隣接するπ電子を持たない基であればよい。アニリン部分又はペリミジン部分の窒素原子の孤立電子対やベンゼン環又はペリミジン環のπ電子系に共役し得る隣接するπ電子を持つ基であってもよいが、これにより吸収波長や蛍光波長が大きくシフトするものは好ましくない。
また、有機残基としては高分子量のものであってもよく、例えば高分子骨格に懸垂された基が挙げられ、当該高分子骨格としてはアクリル酸又はメタクリル酸の誘導体とアルケニル側鎖などとの共重合体が挙げられる。
さらに、ベンゼン環に置換する基R3やペリミジン環に置換する基R13並びにアクリジン環に置換する基R4においては、本発明の好ましい有機残基としては、炭化水素以外に、酸素や窒素などの炭素以外の原子を有するものでも良いし、また、必ずしも炭素原子を有するものでなくてもよい場合もある。このような基としては、例えば、メトキシ基,エトキシ基等のアルコキシ基、アセチルオキシ基,プロピオニルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチルアミノ基,プロピオニルアミノ基等のアシルアミノ基、アセチル基,プロピオニル基等のアシル基、シアノ基、アミド基、ニトロ基、例えば塩素,臭素等のハロゲン原子などの置換基が挙げられる。
【0067】
R1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、R12及びR13の炭化水素基として好ましい具体例を例示すれば、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基、より好ましくは低級アルキル基、炭素数3〜30、好ましくは5〜20、より好ましくは6〜20の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、より好ましくは低級アルケニル基、炭素数5〜30、好ましくは5〜20、より好ましくは6〜10の単環、多環又は縮合環式のシクロアルキル基、前記したシクロアルキル基であって少なくとも1個以上の不飽和結合を有するシクロアルケニル基、前記したアルキル基又はアルケニル基に炭素数6〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜10の単環、多環又は縮合環式のアリール基が結合したアラルキル基などが挙げられる。これらの炭化水素基は相互に又は他の官能基で置換されていてもよい。
【0068】
また、R1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、R12及びR13の有機残基としてはそのいずれか一方または両方が高分子骨格に懸垂された基であってもよい。高分子骨格としては付加重合体の骨格であっても、縮合重合体の骨格であってもよい。好ましい高分子骨格としてはアクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体からなる共重合体の骨格が挙げられるがこれに限定されるものではない。したがって、高分子骨格に懸垂される基としては、前記した高分子骨格に原子数で3〜25、好ましくは3〜10程度の距離を隔てて自由に動けるようなリンカー部分を有する基が好ましい。リンカーを構成する原子としては、炭素原子、酸素原子、窒素原子などがあげられるが、炭素原子が極性の点から好ましく、より具体的には低級アルキレン基が好ましい。
【0069】
好ましいR1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、R12及びR13の有機残基をより具体的に例示すれば、メチル基、エチル基、プロピル基などの低級アルキル基、3−ブテニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基などのアルケニル基などが挙げられる。また、前記したアルケニル基の不飽和基と重合性の炭素−炭素二重結合を有するモノマー(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなど)とが共重合して形成される高分子骨格に懸垂された基を挙げることができる。
【0070】
また、本発明は検体中の微量の水や低級アルコールなどを検出、定量するための化学センサーとして有用な新規なアクリジニルアニリン誘導体及び新規なアクリジニルペリミジン誘導体を提供するものである。より具体的には本発明の新規なアクリジニルアニリン誘導体は、前記した一般式(IV)で示される化合物であり、アクリジニルペリミジン誘導体は前記した一般式(V)で示される化合物である。
【0071】
一般式(IV)におけるR5は前記した低級アルキル基であり、例えばメチル基、エチル基などであり、R6は前記したフェニルアクリジン骨格に共役し得るπ電子系を形成しない不飽和結合を有する基又は高分子骨格に懸垂された基である。フェニルアクリジン骨格に共役し得るπ電子系を形成しない不飽和結合を有する基としては、前記したアルケニル基、シクロアルケニル基やこれらの基にアルキル基やたの官能基が置換していてもよい基などが挙げられる。また、高分子骨格に懸垂された基としては前記したもの等が挙げられる。また、R7、R8は水素原子又は炭化水素基であり、炭化水素基としては前記したアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基などが挙げられる。
【0072】
一般式(V)におけるR9、R10、R11は、好ましくは前記した低級アルキル基であり、例えばメチル基、エチル基などであり、R12は、好ましくは前記した、例えばメチル基、エチル基などの低級アルキル基又は前記したペリミジルアクリジン骨格に共役し得るπ電子系を形成しない不飽和結合を有する基又は高分子骨格に懸垂された基である。ペリミジルアクリジン骨格に共役し得るπ電子系を形成しない不飽和結合を有する基としては、前記したアルケニル基、シクロアルケニル基やこれらの基にアルキル基や他の官能基が置換していてもよい基などが挙げられる。また、高分子骨格に懸垂された基としては前記したもの等が挙げられる。また、R4、R13は水素原子又は有機残基であり、有機残基としては前記したアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基などの炭化水素基や先に挙げた如きその他の置換基が挙げられる。
【0073】
一般式(IV)で示される本発明の新規な化合物は前記した方法に準じて製造することが出来る。
また、一般式(V)で示される本発明の新規な化合物は例えば下記の化学式で示される方法により製造することが出来る。
【0074】
KD−F0020の合成
【化16】
【0075】
KD−F0021の合成
【化17】
【0076】
KD−F0022の合成
【化18】
【0077】
【実施例】
次に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0078】
実施例1(4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン(KD−F0011)の製造)
(1) 5−ヘキセン−1−オール(5.00g,49.9mmol)とトルエンスルホニルクロライド(7.93g,41.6mmol)の50mlクロロホルム溶液を氷冷下で攪拌しながら、ピリジン(7.58g,95.8mmol)を少しずつ加えた。すべてのピリジンを加えた後、室温に戻しさらに3時間攪拌反応させた。反応終了後、氷冷下で薄い塩酸を加えた。その後、分液ロートに移し水で3回分液をした後に、有機相を芒硝で乾燥させた後減圧乾燥させた。その後、ヘキサン:酢酸エチル=3:1でカラムから分離し、(6−トシルオキシ)−1−ヘキセンを8.72g、収率82%で得た。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR(270MHz,CDCl3) δ(ppm)=1.35-1.47(m,-CH2-,2H),
1.55-1.71(m,-CH2-,2H),1.96-2.05(m,-CH2-CH=,2H),
2.45(s,Ar-CH3,3H),4.03(t,-OCH2-,2H),4.92-5.00(m,=CH2,2H),
5.64-5.79(m,-CH=,1H),7.35(d,Ar-H,2H),7.81(d,Ar-H,2H).
【0079】
(2) N−メチルアニリン(2.53g,23.6mmol)を25mlのTHFに溶かし、滴下ロートで10mlTHF中のNaH(2.36g,59.0mmol)を加え、5分間攪拌させた後、滴下ロートで15mlのTHFに溶かした(6−トシルオキシ)−1−ヘキセン(6.00g,23.6mmol)を加え80℃で80分反応させた。
反応終了後、メタノールを加えNaHをつぶした後、芒硝で乾燥させた後、減圧乾燥させた
その後、ヘキサン:酢酸エチル=9:1でカラムにより分離し、N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンを3.45g、収率77%で得た。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR(270MHz,CDCl3) δ(ppm)=1.35-1.50(m,-CH2-,2H),
1.52-1.63(m,-CH2-,2H),2.02-2.12(m,-CH2-CH=,2H),
2.90(s,N-CH3,3H),3.29(t,N-CH2-,2H),4.92-5.04(m,=CH2,2H),
5.72-5.87(m,-CH=,1H),6.63-6.70(m,Ar-H,3H),7.17-7.24(m,Ar-H,2H).
【0080】
(3) N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン(0.68g,3.5mmol)と9(10H)−アクリドン(0.84g,5.5mmol)とオキシ塩化リンを触媒及び溶媒に使うため5mlほど加え20mlフラスコで、50℃から60℃で3時間反応させた。その後、pH1の薄い塩酸をゆっくり加えて余分のオキシ塩化リンをつぶした。その後、アンモニア水を加え溶液を中性にした後、クロロホルムを加えてNaHCO3溶液、NaCl溶液、水でそれぞれ一回づつ分液し、有機相を芒硝で乾燥させた後、減圧乾燥させた。ヘキサン:酢酸エチル=3:1でカラムから分離し、減圧乾燥させた後、リサイクロ液体クロマトグラムで分離精製し、4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンを357mg、収率27.8%で得た。なお、溶媒はクロロホルムで行った。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR(300MHz,CDCl3) δ(ppm)=1.48-1.53(m,-CH2-,2H),
1.70-1.75(m,-CH2-,2H),2.13-2.20(m,-CH2-CH=,2H),
3.07(s,N-CH3,3H),3.45(t,N-CH2-,2H),4.98-5.09(m,=CH2,2H),
5.81-5.90(m,-CH=,1H),6.87-6.90(m,Ar-H,2H),
7.30-7.33(m,Ar-H,2H),7.39-7.44(m,Ar-H,2H),
7.72-7.78(m,Ar-H,2H),7.89-7.92(m,Ar-H,2H),8.25(d,Ar-H,2H).
【0081】
実施例2(固定化KD−F0011の製造)
実施例1で得たKD−F0011(1wt%)と、ベンゾインメチルエーテル(3wt%)と、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(96wt%)とを前記の組成で混合した後、超音波洗浄機で溶解させた。カバーグラスを両サイドに置き混合した溶液を中心に一滴たらした後、石英ガラスをつけ窒素封入下でUVランプで3時間光共重合させた後、メタノール中に一晩つけ、重合しなかった色素を洗い流し、膜厚170μmぐらいの膜を得た。
【0082】
実施例3(4−(9−アクリジニル)−N,N−ジメチルアニリン(KD−F0010)の製造)
N,N−ジメチルアニリン(1)(16.6mmol、2.01g;東京化成;M=121.18)と9(10H)−アクリドン(2)(6.59mmol、1.01g;Aldrich製;M=195.22)とオキシ塩化りん(6.56mmol、0.6ml、純正化学製;M=153.35)を50mlフラスコに入れ3時間オイルバスで65℃で撹拌し反応させた。
反応終了後、pH1の薄い塩酸を約50mlをゆっくり加えて余分のオキシ塩化りんをつぶした後、飽和酢酸ナトリウム水溶液約100mlをpHが9以上になるまで加えると黄色い固体が析出した。これをろ過して黄色い結晶を得た。この結晶に酢酸を加えると赤色を示して溶解したが、これに水を加えpHが十分に低いことを確認した後、ろ過した。このろ液にアンモニア水を加えると黄色い固体が析出した。この結晶を12時間デシケーターで乾燥させた。
乾燥したこの結晶を500mlナスフラスコに入れ、まずへキサンを約300mlその後この結晶に対して溶解度の高い溶媒であるクロロホルムを約100ml加える形で再結晶化して4−(9−アクリジニル)−N,N−ジメチルアニリン(3.22mmol、0.961g;M=298.38)(KD−F0010)を収率48.9%で得た。
以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR(300MHz,CDCl3) δ(ppm)=3.03(s,N-CH3,6H) ,
6.92-6.95(d,Ar-H,2H),7.32-7.35(d,Ar-H,2H),7.40-7.44(m,Ar-H,2H),
7.72-7.78(m.Ar-H,2H),7.86-7.89(d,Ar-H,2H),8.24-8.27(d,Ar-H,2H).
【0083】
実施例4(KD−F0010を用いた吸光スペクトルの測定)
THF・アセトニトリル・酢酸エチル・ジエチルエーテル・ジクロロメタンの5つの溶媒に各々KD−F0010を4×10‐5mol/Lとなるように溶解させその水分濃度を変えて吸光光度計(HITACHI U‐2000)を用いて測定した。実験に用いた溶媒は、基本的に全て蒸留し、モルキュラシーブの入った瓶に一日以上保管したものを用いた。ただし、アセトニトリルは蒸留を行わず、モルキュラシーブで乾燥させた特級溶媒を用いた。
結果を図4及び表1に示す。
【0084】
実施例5(KD−F0010を用いた蛍光スペクトルの測定)
THF・アセトニトリル・酢酸エチル・ジエチルエーテル・ジクロロメタンの5つの溶媒に各々KDF−0010を4×10−5Mとなるように溶解させその水分濃度を変えて蛍光光度計(HITACHI F−2000)を用いて、励起波長398nmにおける蛍光スペクトル変化を測定した。実験に用いた溶媒は、基本的に全て蒸留し、モレキュラシーブの入った瓶に1日以上保存したものを用いた。ただし、アセトニトリルは蒸留を行わず、モレキュラシーブで乾燥させた特級溶媒を用いた。結果を図5に示す。
【0085】
実施例6(KD−F0011を用いた吸光スペクトルの測定)
一般式(IV)中のR5がメチル基で、R6がヘキセニルキ基で、R7及びR8が水素原子である4−(9−アクリジニル)−N―(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンをテトラヒドロフラン中4×10−5Mの濃度に溶解し、水分濃度0〜5%の吸光波長を測定した。結果を図29に示す。
【0086】
実施例7(KD−F0011を用いた蛍光スペクトルの測定)
一般式(IV)中のR5がメチル基で、R6がヘキセニルキ基で、R7及びR8が水素原子である4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンをテトラヒドロフラン中4×10−5Mの濃度に溶解し、404nmの光源で励起し、0〜5%の間で水分を変化した時の蛍光強度比と水分濃度を示す。結果を図30に示す。
【0087】
実施例8(固定化KD−F0011を用いた吸光スペクトルの測定)
実施例2で得られた4−(9アクリジニィル)−N―(5−ヘキセニィル)−N−メチルアニリンの共重合体中濃度は1%である。これをテトラヒドロフラン中で水分濃度約0〜10%の吸光スペクトルを測定した。
結果を図32に示す。
【0088】
実施例9(固定化KD−F0011を用いた蛍光スペクトルの測定)
実施例2で得られた4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンの共重合体中濃度は1%である。これをテトラヒドロフラン中で、404nmの光源で励起し、0〜5%の間で水分を変化した時の蛍光強度を測定した。種々の水分濃度における相対蛍光強度を算出して、結果を図33に示す。
【0089】
実施例10
実施例2で得られた4−(9−アクリジニル)−N―(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンの共重合体中濃度は1%である。これをテトラヒドロフラン中で励起波長404nmでの水分、メタノール、エタノール濃度約0〜5%の蛍光スペクトルを測定した。これらの蛍光波長532nmの相対蛍光強度を図36に示した。
【0090】
実施例11(4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン(KD−F0011)の製造)
(1)p−トルエンスルホニルクロライド(7.932g,41.1mmol)、5−ヘキセン−1−オール(6.00g,59.88mmol)をクロロホルム100ml中に加え、氷冷攪拌下でピリジン(9.58g,121.08mmol)をゆっくり滴下した。滴下後は室温に戻し、19時間攪拌した。反応終了後、室温攪拌下で蒸留水40ml、濃塩酸14mlを加えた。クロロホルム層を芒硝乾燥後、溶媒を減圧留去し、無色透明な液体を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分離精製し、(6−トシルオキシ)−1−ヘキセン9.897gを透明液体として得た(収率93.1%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.41(m, 2H, -CH2-),
1.67(m, 2H, -CH2-), 2.01(m, 2H, -CH2-),
2.45(s, 3H, Ar-CH3), 4.03(t, 2H, O-CH2-), 4.95(m, 2H, =CH2),
5.81(m, 1H, -CH=), 7.35(d, 2H, =CH2), 7.78(d, 2H, Ar-H).
【0091】
(2) N−メチルアニリン(2.53g,23.6mmol)にヘキサンで洗浄した水素化ナトリウム(2.36g,59.0mmol)を加え、蒸留済THF120ml、(6−トシルオキシ)−1−ヘキセン(6.00g,23.6mmol)を滴下し、窒素を流しながら70℃で22時間攪拌した。反応終了後、未反応の水素化ナトリウムを処理した後、蒸留水を加えてクロロホルムで抽出した。芒硝乾燥後、溶媒を減圧留去し、黄色の液体を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=12:1)で分離精製し、N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン3.8gを黄色液体として得た(収率84.8%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.41(m, 2H, -CH2-),
1.59(m, 2H, -CH2-), 2.92(m, 3H, N-CH3),
3.30(t, 2H, N-CH3), 4.98(m, 2H, =CH2), 5.81(m, 1H, CH2=),
6.69(m, 3H, Ar-H), 7.21(m, 2H, Ar-H).
【0092】
(3) N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン(2.14g、11.3mmol)にアクリドン(2.64g,17.3mmol)を加え、触媒としてオキシ塩化リンを用いて、50℃で2.5時間攪拌した。氷冷攪拌下でpH1の塩酸を加えてオキシ塩化リンを潰した後、アルカリ性になるまで25%アンモニア水溶液を滴下した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加えてクロロホルムで抽出し、芒硝乾燥した。溶媒を減圧留去し、黄色の固体を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分離精製後、さらにリサイクル液体クロマトグラフィーで分離精製し、4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン(KD−F0011)0.636gを黄色の固体として得た(収率48%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)= 1.54(m, 2H, -CH2-),
1.72(m, 2H, -CH2-), 2.17(m, 2H, -CH2-),3.08(s, 3H, N-CH3),
3.45(t, 2H, N-CH2-), 5.02(m, 2H, =CH2),5.86(m, 1H, -CH=),
6.89(m, 2H, Ar-H), 7.30(m, 2H, Ar-H),7.42(m, 2H, Ar-H),
7.75(m, 2H, Ar-H), 7.91(m, 2H, Ar-H),8.25(d, 2H, Ar-H).
【0093】
実施例12(6−(9−アクリジニル)−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(KD−F0020)の製造)
(1) 1,8−ジアミノナフタレン(40mmol,6.33g)をアセトン(150mmol,8.71g)及びジクロロメタン100ml中に加え、触媒としてp−トルエンスルフォン酸20mgを用い、24時間還流した。反応終了後、セライトを用いてモレキュラーシーブスを取り除いた後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣に飽和食塩水を加えてジクロロメタンで抽出した。芒硝乾燥後、有機層を吸引濾過し、溶媒を減圧留去後、紫色のオイル状化合物を得た。エタノールに溶解後、塩酸を少量加え塩を生成させ、エーテルを加えて濾過した。メタノールで再結晶し、水および水酸化ナトリウムを加えて酢酸エチルで抽出した。芒硝乾燥後、溶媒を減圧留去した。単品で紫色の固体である2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン2.72gを得た(収率34%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (270MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.49(s, 6H, -CH3),
3.66-3.79(br, 2H, -NH),6.47(d, 2H, Ar-H), 7.19(m, 4H, Ar-H).
【0094】
(2) 実施例11の(3)において、N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンの代わりに2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(2.20g,11.1mmol)を用い、実施例11の(3)と同様にして反応及び後処理を行い、オレンジ色の結晶を得た。酢酸エチルで洗浄した結晶を海砂に吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分離精製した後、さらにシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で分離精製し、最終目的化合物である6−(9−アクリジニル)−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(KD−F0020)47.4mgを得た(収率2.8%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.64(s, 6H, -CH3-),
4.46-4.47(br, 2H, -NH), 6.29(d, 1H, Ar-H), 6.48(d, 1H, Ar-H),
6.68(d, 1H, Ar-H), 6.99(t, 1H, Ar-H),7.22(d, 1H, Ar-H),
7.33(m, 2H, Ar-H), 7.63(d, 2H, Ar-H),7.75(m, 2H, Ar-H),
8.32(d, 2H, Ar-H).
【0095】
実施例13(6−(9−アクリジニル)−1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(KD−F0021)の製造)
(1) 1,8−ジアミノナフタレン(7.00g,44.3mmol)をアセトン(7.897g,96.3mmol)中に加え、触媒としてp−トルエンスルホン酸0.4gを用いて、50℃で1時間攪拌した後、室温に戻して一晩攪拌した。反応終了後、反応物を分離精製せずに、そのまま次の反応に用いた。
(2) 上記(1)の反応物にヨウ化メチル26.97g、炭酸カリウム26.97g、アセトン50ml、蒸留水10mlを加えて、60℃で2時間攪拌した後、ヨウ化メチル6.743g、アセトン20mlを加え、さらに2時間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、飽和食塩水および蒸留水を加えてエーテルで抽出した。芒硝乾燥後、赤黒いオイル状化合物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製分離し、1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン1.56gを深緑色の液体として得た(収率15.6%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.41(s, 6H, -CH3),
2.95(s, 6H, N-CH3), 6.60(d, 2H, Ar-H),7.21(d, 2H, Ar-H),
7.33(t, 2H, Ar-H).
【0096】
(3) 実施例11の(3)において、N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンの代わりに1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(1.35g,5.95mmol)を用い、実施例11の(3)と同様にして反応及び後処理を行い、紫色の固体を得た。後処理後、分離精製も実施例11の(3)と同様の手順で行い、(6−(9−アクリジニル)−1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(KD−F0021)0.38gをオレンジ色の固体として得た(収率61%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.55(s, 6H, -CH3),
3.03(s, 3H, N-CH3), 3.11(s, 3H, N-CH3),6.36(d, 1H, Ar-H),
6.61(d, 1H, Ar-H), 6.78(d, 1H, Ar-H),7.08(t, 1H, Ar-H),
7.81(m, 3H, Ar-H), 7.59(d, 2H, Ar-H)7.74(m, 2H, Ar-H),
8.29(d, 2H, Ar-H).
【0097】
実施例14(6−(9−アクリジニル)−2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(KD−F0022)の製造)
(1) 1,8−ジアミノナフタレン(7.00g,43.4mmol)、5−ヘキセン−2−オン(13.34g,96.3mmol)にp−トルエンスルホン酸0.35gを加え、50℃で1時間攪拌した後、室温に戻して一晩攪拌した。反応終了後、反応物を分離精製せずに、次の反応に用いた。
(2) 実施例13の(2)において、2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンの代わりに上記(1)の反応物を用い、実施例13の(2)と同様にして反応及び後処理を行い、赤黒いオイル状化合物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製分離し、2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン0.97gを深緑色の液体として得た(収率21.2%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.28(s, 3H, -CH3),
1.98(m, 2H, -CH2-), 2.20(m, 2H, -CH2-),2.93(s, 6H, N-CH3),
5.00(m, 2H, =CH2), 5.80(m, 1H, -CH=),6.53(d, 2H, Ar-H),
7.15(d, 2H, Ar-H), 7.30(t, 2H, Ar-H).
【0098】
(3) 実施例11の(3)において、N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンの代わりに2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(1.35g,5.07mmol)を用い、実施例11の(3)と同様にして反応及び後処理を行い、紫色の固体を得た。後処理も実施例11の(3)と同様の手順で行い、オレンジ色の固体を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=3:2)で分離精製し、6−(9−アクリジニル)−2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(KD−F0022)0.77gをオレンジ色の固体として得た(収率94%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.40(s, 3H, -CH3),
2.16(m, 2H, -CH2-), 2.31(m, 2H, -CH2-),3.02(s, 3H, N-CH3),
3.08(s, 3H, N-CH3), 5.08(m, 2H, =CH2),5.90(m, 1H, -CH=),
6.33(d, 1H, Ar-H), 6.57(d, 1H, Ar-H),6.75(d, 1H, Ar-H),
7.08(t, 1H, Ar-H), 7.32(m, 3H, Ar-H),7.61(d, 2H, Ar-H),
7.74(m, 2H, Ar-H), 8.29(d, 2H, Ar-H).
【0099】
実施例15(KD−F0020を用いた吸光スペクトルの測定)
一般式(V)中のR4、R9、R10及びR13が水素原子で、R11及びR12がメチル基である6−(9−アクリジニル)−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン中1.8×10−4Mの濃度に溶解し、水分濃度0〜10%における吸収スペクトルを測定した。結果を図37に示す。
【0100】
実施例16(KD−F0020を用いた蛍光スペクトルの測定)
一般式(V)中のR4、R9、R10及びR13が水素原子で、R11及びR12がメチル基である6−(9−アクリジニル)−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン中1.8×10−4Mの濃度に溶解し、436nmの光源で励起し、0〜10%の間で水分を変化させた時の蛍光スペクトルの変化を測定した。結果を図40に示す。
【0101】
実施例17(KD−F0021を用いた吸光スペクトルの測定)
一般式(V)中のR4及びR13が水素原子で、R9、R10、R11及びR12がメチル基である6−(9−アクリジニル)−1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン中6×10−5Mの濃度に溶解し、水分濃度0〜10%における吸収スペクトルを測定した。結果を図38に示す。
【0102】
実施例18(KD−F0021を用いた蛍光スペクトルの測定)
一般式(V)中のR4及びR13が水素原子で、R9、R10、R11及びR12がメチル基である6−(9−アクリジニル)−1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン中6×10−5Mの濃度に溶解し、429nmの光源で励起し、0〜10%の間で水分を変化させた時の蛍光スペクトルの変化を測定した。結果を図41に示す。
【0103】
実施例19(KD−F0022を用いた吸光スペクトルの測定)
一般式(V)中のR4及びR13が水素原子で、R9、R10及びR11がメチル基で、R12が3−ブテニル基ある6−(9−アクリジニル)−2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン中6×10−5Mの濃度に溶解し、水分濃度0〜5%における吸収スペクトルを測定した。結果を図39に示す。
【0104】
実施例20(KD−F0022を用いた蛍光スペクトルの測定)
一般式(V)中のR4及びR13が水素原子で、R9、R10、R11及びR12がメチル基である6−(9−アクリジニル)−2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン中6×10−5Mの濃度に溶解し、429nmの光源で励起し、0〜5%の間で水分を変化させた時の蛍光スペクトルの変化を測定した。結果を図42に示す。
【0105】
実施例21(KD−F0021を用いた吸光スペクトルの測定)
KD−F0021を酢酸エチル中6×10−5Mの濃度に溶解し、水分濃度0〜10%における吸収スペクトルを測定した。結果を図44に示す。
【0106】
実施例22(KD−F0021を用いた蛍光スペクトルの測定)
KD−F0021を酢酸エチル中6×10−5Mの濃度に溶解し、426nmの光源で励起し、0〜10%の間で水分を変化させた時の蛍光スペクトルの変化を測定した。結果を図45に示す。
【0107】
実施例23(KD−F0021を用いた吸光スペクトルの測定)
KD−F0021をジクロロメタン中6×10−5Mの濃度に溶解し、水分濃度0〜5%における吸収スペクトルを測定した。結果を図46に示す。
【0108】
実施例24(KD−F0021を用いた蛍光スペクトルの測定)
KD−F0021をジクロロメタン中6×10−5Mの濃度に溶解し、433nmの光源で励起し、0〜5%の間で水分を変化させた時の蛍光スペクトルの変化を測定した。結果を図47に示す。
【0109】
【発明の効果】
本発明のアクリジン骨格を有する化合物は簡便で精度の高い微量水分測定方法に有用である。また、本発明のアクリジン骨格を有する化合物からなる化学センサーは固定化することができ、固体状態で化学センサーとして使用することができる。さらに、本発明の化学センサーは繰り返してまた連続して使用することができるので、簡便かつ安価であるのみならず、微量水分の連続的な計測が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、励起されて分極化される色素分子が極性溶媒で励起された状態を模式的に示したものである。
【図2】図2は、分極化している分子の基底状態と励起状態のようすを示したものである。
【図3】図3は、基底状態で分極していない分子の基底状態と励起状態のようすを示したものである。
【図4】図4は、様々な溶媒中におけるKD−F0010の吸光スペクトル変化を示したものである。図4中の1はTHFを、2は酢酸エチルを、3はアセトニリルを、4はジクロロメタンを、5はジエチルエーテルをそれぞれ示している。
【図5】図5は、様々な溶媒中におけるKD−F0010の蛍光スペクトル変化を示したものである。図5中の1はTHFを、2は酢酸エチルを、3はアセトニリルを、4はジクロロメタンを、5はジエチルエーテルをそれぞれ示している。
【図6】図6は、蛍光スペクトルの強度と溶媒の極性を示す値のひとつであるET(30)の値(kcal/mol)との関係をグラフとして示したものである。
【図7】図7は、最大蛍光波長と溶媒の極性を示す値のひとつであるET(30)の値(kcal/mol)との関係をグラフとして示したものである。
【図8】図8は、THF中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の吸光スペクトルを示したものである。図8中の1は水の含有量が0wt%であることを、2は水の含有量が0.25wt%であることを、3は水の含有量が0.5wt%であることを、4は水の含有量が0.75wt%であることを、5は水の含有量が1.0wt%であることを、7は水分含有量が3.00wt%であることを、9は水分含有量が5.00wt%であることをそれぞれ示している。
【図9】図9は、THF中の種々の濃度のエチルアルコール含量についてのKD−F0010の吸光スペクトルを示したものである。図9中の1はエチルアルコールの含有量が0wt%であることを、2はエチルアルコールの含有量が0.25wt%であることを、3はエチルアルコールの含有量が0.5wt%であることを、4はエチルアルコールの含有量が0.75wt%であることを、5はエチルアルコールの含有量が1.0wt%であることをそれぞれ示している。
【図10】図10は、酢酸エチル中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の吸光スペクトルを示したものである。図10中の1は水の含有量が0wt%であることを、2は水の含有量が0.25wt%であることを、3は水の含有量が0.5wt%であることを、4は水の含有量が0.75wt%であることを、5は水の含有量が1.0wt%であることを、7は水分含有量が3.00wt%であることを、9は水分含有量が5.00wt%であることをそれぞれ示している。
【図11】図11は、ジクロロメタン中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の吸光スペクトルを示したものである。図11中の1は水の含有量が0wt%であることを、2は水の含有量が0.25wt%であることを、3は水の含有量が0.5wt%であることを、4は水の含有量が0.75wt%であることを、5は水の含有量が1.0wt%であることを、7は水分含有量が3.00wt%であることを、9は水分含有量が5.00wt%であることをそれぞれ示している。
【図12】図12は、アセトニトリル中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の吸光スペクトルを示したものである。図12中の1は水の含有量が0wt%であることを、2は水の含有量が0.25wt%であることを、3は水の含有量が0.5wt%であることを、4は水の含有量が0.75wt%であることを、5は水の含有量が1.0wt%であることを、7は水分含有量が3.00wt%であることを、9は水分含有量が5.00wt%であることをそれぞれ示している。
【図13】図13は、THF中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示したものである。
【図14】図14は、THF中の種々の濃度のエチルアルコール含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示したものである。
【図15】図15は、酢酸エチル中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示したものである。
【図16】図16は、DMF中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示したものである。
【図17】図17は、ジエチルエーテル中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示したものである。
【図18】図18は、ジクロロメタン中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示したものである。
【図19】図19は、アセトニトリル中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示したものである。
【図20】図20は、KD−F0010を用いたTHF中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図21】図21は、KD−F0010を用いた酢酸エチル中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図22】図22は、KD−F0010を用いたTHF中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図23】図23は、KD−F0010を用いたDMF中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図24】図24は、KD−F0010を用いたジエチルエーテル中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図25】図25は、KD−F0010を用いたジクロロメタン中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図26】図26は、KD−F0010を用いたアセトニトリル中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図27】図27は、ET(30)の値(kcal/mol)と1%での蛍光強度の減少の関係を示したものである。図27中の、1はTHFを、2は酢酸エチルを、3はアセトニリルを、4はジクロロメタンを、5はジエチルエーテルをそれぞれ示している。
【図28】図28は、ET(30)の値と0%と1%の間での最大蛍光波長の変化の関係を示したものである。図28中の、1はTHFを、2は酢酸エチルを、3はアセトニリルを、4はジクロロメタンを、5はジエチルエーテルをそれぞれ示している。
【図29】図29は、種々の水分含有量におけるTHF中でのKD−F0011の吸光スペクトルを示したものである。
【図30】図30は、404nmで励起した場合の種々の水分含有量(0.00v/v%〜5.00v/v%)におけるTHF中でのKD−F0011の蛍光スペクトルを示したものである。
【図31】図31は、THF中でのKD−F0011の蛍光スペクトルの相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図31の黒丸印は相対蛍光強度を示し、黒四角印は最大蛍光波長を示す。
【図32】図32は、PEGDMA膜に固定化されたKD−F0011の各種溶媒における吸光スペクトルを示したものである。
【図33】図33は、種々の水分含有量を有するTHFにおける、404nmで励起したPEGDMA膜に固定化されたKD−F0011の蛍光スペクトルを示したものである。
【図34】図34は、KD−F0011と固定化されたKD−F0011における各種水分含有量の場合の蛍光波長の変動を示したものである。図34の黒四角印は固定化されていないKD−F0011を示し、黒丸印は固定化されたKD−F0011を示す。
【図35】図35は、KD−F0011と固定化されたKD−F0011における各種水分含有量の場合の相対蛍光強度の変動を示したものである。図35の黒四角印は固定化されていないKD−F0011を示し、黒丸印は固定化されたKD−F0011を示す。
【図36】図36は、固定化されたKD−F0011を用いて水及びアルコールについて同様な検出、定量を試みてみた結果を示すものである。図36の黒四角印は水の場合を示し、黒丸印はメタノールの場合を示し、黒三角印はエタノールの場合を示す。
【図37】図37は、THF中の種々の水分濃度(0〜10%)におけるKD−F0020の吸光スペクトルを示したものである。
【図38】図38は、THF中の種々の水分濃度(0〜10%)におけるKD−F0021の吸光スペクトルを示したものである。
【図39】図39は、THF中の種々の水分濃度(0〜5%)におけるKD−F0022の吸光スペクトルを示したものである。
【図40】図40は、THF中の種々の水分濃度(0〜10%)におけるKD−F0020の蛍光スペクトルを示したものである。
【図41】図41は、THF中の種々の水分濃度(0〜10%)におけるKD−F0021の蛍光スペクトルを示したものである。
【図42】図42は、THF中の種々の水分濃度(0〜5%)におけるKD−F0022の蛍光スペクトルを示したものである。
【図43】図43は、本発明の種々の機能性色素についての水分濃度と相対蛍光強度の関係を示したものである。図43中の1はKD−F0020(励起波長436nm、蛍光波長522nm)、2はKD−F0021(励起波長429nm、蛍光波長598nm)、3はKD−F0022(励起波長432nm、蛍光波長592nm)、4はKD−F0010(励起波長398nm、蛍光波長532nm)についてのものである。
【図44】図44は、酢酸エチル中の種々の水分濃度(0〜10%)におけるKD−F0021の吸光スペクトルを示したものである。
【図45】図45は、酢酸エチル中の種々の水分濃度(0〜10%)におけるKD−F0021の蛍光スペクトルを示したものである。
【図46】図46は、ジクロロメタン中の種々の水分濃度(0〜5%)におけるKD−F0021の吸光スペクトルを示したものである。
【図47】図47は、ジクロロメタン中の種々の水分濃度(0〜5%)におけるKD−F0021の蛍光スペクトルを示したものである。
【図48】図48は、種々の溶媒中の水分濃度と相対蛍光強度の関係を示す。図48中の1はジクロロメタン、2は酢酸エチル、3はTHFの場合をそれぞれ示している。
【図49】図49は、水によるKD−F0021の消光のStern-Volmerプロットを示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリジン誘導体を用いた媒体中の微量水分を検出、定量するための方法、そのための組成物及びその装置に関する。また、本発明は新規なアクリジン誘導体及びそれからなる新規な化学センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】
検体中の水分を検出する方法としては、乾燥重量が変化しなくなるまで乾燥させる方法、蒸留する方法、検体の密度や電気伝導率などを測定方法などが古くから知られているが、いずれの方法も満足できるものではなかった。検体の水分含有量を定量するもっともよく利用されている方法はカールフィシャー法である。最新のカールフィシャー法の測定装置を使用すれば、1サンプルについて約1分という短時間で1μgオーダーの水分含有量を測定することができるが、この方法は強い還元又は酸化作用を有する検体やカールフィシャー試薬と反応する検体には使用することができない。また、カールフィシャー法には比較的大きな測定装置が必要であり、簡便に行うことができない。さらに、カールフィシャー法はバッチ式の測定法であり、検体を連続的に測定することができないという欠点がある。
【0003】
カールフィシャー法に代えて検体中の水分含有量を簡便にかつ連続的に測定するための方法として、水に対する化学センサーを用いる方法が提案されている。
例えば、水分子の大きさの1.2〜1.4倍程度の孔を多数有する多孔性の架橋ポリスチレンに第四級アンモニウム基を導入した陰イオン交換樹脂を用いる方法(M.Bai, et al.,Talanta, 41(6), 993-999(1994))のように水を物理的に捕捉する方法も知られているが、感度が充分でなくかつ数十%以上の水含量でないと測定することができないという欠点がある。
【0004】
また、溶媒の極性の大きさなどにより励起波長や蛍光波長が移動する(ソルバトクロミズム(Solvatochromism))物質が知られており、この性質を用いた水分含有量の測定法も報告されている。例えば、2,5−ビス−[3−(5−スルホ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−2−プロペニリデン]−シクロペンタノンを溶媒の極性に対する蛍光プローブ(Fluorescent solvent polarity (SP) probe)として用い、これを陰イオン交換膜に固定化させて溶媒中の水分含有量を測定する方法(M.A.Kessler, et al., Sensors and Actuators B., 3,267-272 (1991))、蛍光寿命に基づくセンサーとしてジピリドール[3,2−a:2”,3”−c]フェナジン,ジ[シス−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)−エチレン]オスミウム(II) ヘキサフルオロホスフェート[Os(dppz)(dppe)2](PF6)2というオスミウム錯体を用いた方法(Q.Chang, et al., Analytica Chimica, 350, 97-104(1997))、3−ヒドロキシ−4’−N,N−ジメチルアミノフラボン(HMAF)や4’−N,N−ジメチルアミノフラボン−3−イル−メタクリレート(DMAFMA)等のフラボノ染料を用いる方法(W.Liu, et al., Analytica Chimica Acta, 383, 299-307 (1999))などが報告されている。
【0005】
これらの方法は、前記したシクロペンタノン誘導体やオスミウム錯体やフラボン系化合物が化学センサーとしての可能性を示すものではあるが、化学センサーによる簡便でかつ連続的な測定を可能とするものではないし、かつ感度が十分ではなく微量水分の検出定量が不可能であったり、さらに、溶媒によりその吸収波長が大きく変動するなどの欠点がある。また、オスミウム錯体を用いる方法はオスミウムという毒性が強く高価な貴金属を使用するという欠点もあった。
【0006】
一方、4−(9−アクリジニル)−N,N−ジメチルアニリンのような分子内に電子供与基(D)と電子受容基(A)を有する化合物(A−D)のある種のものは、溶媒の極性の増加に伴って赤色シフトする低エネルギー電荷移動(CT)吸収を示すことが報告されている(J.Herbich, et al., J. Am. Chem. Soc., 120, 1014-1029(1998))。このような分子内電荷移動(ICT)は、大きなストークスシフト及び蛍光状態における大きな双極子モーメントを生起させる。そのために、溶媒の極性の増加に伴う大きなストークスシフトによるCT吸収よりも、その周囲の環境からの影響をより強く受けたこのICTによる蛍光スペクトルを示すことになる。
本発明者らは、このICTによる蛍光スペクトルを化学センサーとして利用できるか否かを検討してきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は検体中の微量水分を検出、定量することができる新規な化学センサーを提供するものである。また、本発明は簡便で、高感度でかつ連続的な測定が可能な検体中の微量水分の検出、定量方法を提供するものである。さらに、本発明は、分子内電荷移動(ICT)が可能な新規な化合物、及びそれを固定化した化合物及びその方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、アクリジン骨格を有する化合物が簡便で精度の高い微量水分測定方法に利用出来ることを見出した。さらに、この化合物を固定化する方法を見出すと共に、固定化されたアクリジン骨格を有する化合物も化学センサーとして十分機能できるものであることを見出した。
【0009】
本発明は、電子供与基となりうる含窒素化合物部分と電子受容基としてのアクリジン部分とから成るアクリジン誘導体、例えば一般式(I)
【化6】
(式中、Rは電子供与基となりうる含窒素化合物部分を示し、R4は水素原子又は有機残基を示す。)で示されるアクリジン誘導体を用いて媒体中の微量水分を検出又は定量する方法に関する。より詳細には、媒体中における前記アクリジン誘導体又は固定化されたアクリジン誘導体の蛍光強度を測定することからなる媒体中の微量水分を検出又は定量する方法に関する。また、本発明はそのための組成物及び装置に関する。
【0010】
また、本発明は、一般式(IV)
【化7】
(式中、R5は低級アルキル基を示し、R6は置換基を有してもよい不飽和炭化水素基又は高分子骨格に懸垂された基を示し、R7、R8はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を有してもよい炭化水素基を示す。)
で表されるアクリジン誘導体、又はその固定化された前記アクリジン誘導体に関する。より詳細には、本発明の固定化されたアクリジン誘導体は、R6の不飽和基とアクリル酸又はメタクリル酸の誘導体とからなる共重合体が好ましく、本発明はまた当該共重合体化による本発明のアクリジン誘導体を固定化する方法に関する。
【0011】
また、本発明は、一般式(V)
【化8】
(式中、R4、R9、R10、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して水素原子又は有機残基を示す。)
で表されるアクリジン誘導体に関する。
【0012】
さらに、本発明は前記アクリジン誘導体又は固定化されたアクリジン誘導体からなる化学センサーに関する。より詳細には媒体中の微量水分を検出又は定量するための化学センサーに関する。
【0013】
ソルバトクロミズムは色素分子の状態エネルギー変化によるクロミズムで、溶媒の性質(極性・水素結合性等)に依存したスペクトル変化を示す。これは溶媒分子が色素のn→π*あるいはπ→π*遷移の難易に影響して吸収スペクトルが変化する現象である。他のクロミズムが分子構造の変化による発色・消色であるのに対して、このクロミズムは色素分子の状態エネルギー変化によるものなので変色を示す。
【0014】
励起されて分極化される色素分子が極性溶媒で励起された場合には、図1に示すように分子が励起され分極化されるのが速い速度で行われ、それに続いて分極化された色素分子のまわりの極性溶媒がその分極を打ち消すようにゆっくりとした速度で動くことになる。これは、電子と分子の大きさや重さが大きく異なるため、励起により電子がまず動き次に溶媒のような分子が動くことになるからである。分子が励起され分極化された分子を周囲の極性溶媒が中和するまでの状態をフランクコンドン(Franck condon(FC))状態という。図1はこのようなフランクコンドン理論を説明するための図である。
【0015】
次に、溶媒の極性変化による吸光スペクトル変化について、その基底状態と励起状態のようすを図2及び図3に基づいて説明する。図2は、基底状態で分極化している分子の場合のもであり、このような分子の場合には溶媒の極性により基底状態も励起状態もともに変化する。そのため、吸光スペクトルは溶媒の極性によって変化し、同じく蛍光スペクトルも溶媒の極性によって変化する。
一方、基底状態で分極していない分子の場合には、基底状態・励起状態ともに溶媒によるエネルギー変化が少なく、そのために吸光スペクトルは、図3に示すように溶媒による変化は極めて少ない。このような分子の蛍光スペクトルは、溶媒に極性がない場合には、一度励起された電子はその後まわりの溶媒からの影響を受けないため、そのエネルギー状態が変わらないまま安定化され、蛍光スペクトルを出す。しかし、溶媒に極性がある場合は、一度励起された電子はその後まわりの溶媒からの影響を受け(図1参照)、エネルギー状態は下がり、その後蛍光スペクトルを出す。
【0016】
このため、このような分子では、溶媒の極性により吸光スペクトルは変化しないが、溶媒の極性により蛍光スペクトルは変化することになる。本発明者らは、この理論に基づいて吸光スペクトルの変化が少なく、かつ溶媒の僅かな極性に応じて敏感に蛍光スペクトルが変化する物質を探索した。
本発明者らは、このような分子として機能性色素の一種である4−(9−アクリジニル)−N,N−ジメチルアニリン(以下、KD−F0010という。)にまず着目した。
【0017】
実験に用いた溶媒は、基本的に全て蒸留し、モレキュラシーブの入った瓶に1日以上保存したものを用いた。ただし、アセトニトリルは蒸留を行わず、モレキュラシーブで乾燥させた特級溶媒を用いた。
このようにして調製したTHF、酢酸エチル、アセトニリル、DMF、ジクロロメタン及びジエチルエーテルの6つの溶媒において、KD−F0010を4.00×10−5mol/lの濃度で溶解させた。溶媒の調整が終わった後に、溶媒中に含まれる酸素による消光を避けるため超音波洗浄機で10分間脱気した後、蛍光光度計(HITACHI F−2000)を用いて、励起波長398nmにおける蛍光スペクトルを測定した。
【0018】
様々な溶媒の吸光スペクトル変化を図4に、その蛍光スペクトルの変化を図5に示す。図4及び5中の1は酢酸エチルを、2はアセトニリルを、3はジクロロメタンを、4はジエチルエーテルをそれぞれ示している。
また、その値を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
蛍光スペクトルの強度と溶媒の極性を示す値のひとつであるET(30)の値(kcal/mol)との関係を図6に、最大蛍光波長とET(30)の値の関係を図7に示した。図6及び7中の1はTHFを、2は酢酸エチルを、3はアセトニリルを、4はジクロロメタンを、5はジエチルエーテルをそれぞれ示している。
図4に示す結果から、非プロトン性の溶媒の場合は溶媒によってKD−F0010の吸光スペクトルは変化しないと考えられる。図5に示す結果から、非プロトン性の溶媒の場合は溶媒によってKD−F0010の蛍光スペクトルは変化すると考えられる。このことより、KD−F0010は、非プロトン性溶媒の場合は、溶媒によって吸光スペクトルは変化せず、蛍光スペクトルのみが変化するということがわかる。これにより、非プロトン性溶媒の場合には、KD−F0010は溶媒の種類によらず一定の励起波長(Excitation=398nm)で励起できることが分かった。
【0021】
図6および図7に示す結果より、蛍光強度はジエチルエーテルを除き極性が上がるにしたがって減少している。また、励起波長398nmの最大蛍光波長は溶媒の極性が上がるにしたがって高波長側にシフトし、そのシフトのしかたは、ET(30)値と直線的な関係が認められる。
蛍光強度がジエチルエーテルのみ減少量が少なかったのは、後で示すがこのKD−F0010が徴量の水に対して大きな蛍光強度を示す。しかし、このジエチルエーテルは水を0.02%含むまでしか混ざらないため、実験においてどうしても混ざってしまう微量の水と混ざりにくく、その他の有機溶媒に比べて蛍光強度の減少が少なくなったのだと思われる。
【0022】
以上よりKD−F0010は、吸湿しやすい有機溶媒においてはその蛍光強度は、溶媒の極性が上がるにしたがって減少し、最大蛍光波長は溶媒の極性にしたがって高波長側にシフトすることがわかった。
【0023】
次に、有機溶媒中の水又はエチルアルコールの濃度変化による吸光スペクトルの変化を検討した。図8にTHF中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを、図9にTHF中の種々の濃度のエチルアルコール含量についての吸光スペクトルを、図10に酢酸エチル中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを、図11にジクロロメタン中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを、図12にアセトニトリル中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを示す。図10〜図12において、図中の1は水又はエチルアルコールの含有量が0wt%であることを、2は水又はエチルアルコールの含有量が0.25wt%であることを、3は水又はエチルアルコールの含有量が0.5wt%であることを、4は水又はエチルアルコールの含有量が0.75wt%であることを、5は水又はエチルアルコールの含有量が1.0wt%であることを、7は水分含有量が3.00wt%であることを、9は水分含有量が5.00wt%であることをそれぞれ示している。
いずれの実験も、KD−F0010の濃度は4.00×10−5mol/lであり、溶媒の調製が終わった後に、溶媒中に含まれる酸素による消光を避けるため超音波洗浄機で10分間脱気した。
【0024】
次に、有機溶媒中の水又はエチルアルコールの濃度変化による蛍光スペクトルの変化を検討した。図13にTHF中の種々の濃度の水分含量についての蛍光スペクトルを、図14にTHF中の種々の濃度のエチルアルコール含量についての蛍光スペクトルを、図15に酢酸エチル中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを、図16にDMF中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを、図17にジエチルエーテル中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを、図18にジクロロメタン中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを、図19にアセトニトリル中の種々の濃度の水分含量についての吸光スペクトルを示す。
【0025】
図13〜図19において、図中の、1は水又はエチルアルコールの含有量が0wt%であることを、2は水又はエチルアルコールの含有量が0.25wt%であることを、3は水又はエチルアルコールの含有量が0.5wt%であることを、4は水又はエチルアルコールの含有量が0.75wt%であることを、5は水又はエチルアルコールの含有量が1.0wt%であることを、6は水又はエチルアルコールの含有量が2.0wt%であることを、7は水又はエチルアルコールの含有量が3.0wt%であることを、8は水又はエチルアルコールの含有量が4.0wt%であることを、9は水又はエチルアルコールの含有量が5.0wt%であることを、10は水又はエチルアルコールの含有量が6.0wt%であることを、11は水又はエチルアルコールの含有量が10.0wt%であることを、12は水又はエチルアルコールの含有量が20.0wt%であることをそれぞれ示している。
いずれの実験も、KD−F0010の濃度は4.00×10−5mol/lであり、溶媒の調製が終わった後に、溶媒中に含まれる酸素による消光を避けるため超音波洗浄機で10分間脱気した後、蛍光光度計を用いて、励起波長398nmにおける蛍光スペクトルを測定した。
【0026】
これらの実験から、様々な有機溶媒中の水またはアルコール(エタノール)の濃度変化と相対蛍光強度と最大蛍光波長を図20〜図26に示す。各図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
図20はTHF中における各種の水分濃度についてのものであり、図21はTHF中における各種のエチルアルコールの濃度についてのものであり、図22は酢酸エチル中における各種の水分濃度についてのものであり、図23はDMF中における各種の水分濃度についてのものであり、図24はジエチルエーテル中における各種の水分濃度についてのものであり、図25はジクロロメタン中における各種の水分濃度についてのものであり、図26はアセトニトリル中における各種の水分濃度についてのものである。
いずれの実験も、KD−F0010の濃度は4.00×10−5mol/lであり、溶媒の調製が終わった後に、溶媒中に含まれる酸素による消光を避けるため超音波洗浄機で10分間脱気した後、蛍光光度計を用いて、励起波長398nmにおける蛍光スペクトルを測定した。
【0027】
また、蛍光強度と各水分濃度変化における相対蛍光強度を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
最大蛍光波長と各水分濃度変化における最大蛍光波長を表3に示す。
【表3】
【0030】
さらに、ET(30)の値(kcal/mol)と1%での蛍光強度の減少の関係を図27に、ET(30)の値と0%と1%の間での最大蛍光波長の変化の関係を図28に示した。図27及び28中の、1はTHFを、2は酢酸エチルを、3はアセトニリルを、4はジクロロメタンを、5はジエチルエーテルをそれぞれ示している。
【0031】
これらの実験結果から、水またはアルコール(エタノール)増加に伴って吸光スペクトルの変化はさほど認められなかったが(図8〜図12参照)、水またはアルコール(エタノール)増加に伴って蛍光スペクトルの変化は大きく認められ(図13〜図19参照)、すべての系で水またはアルコール(エタノール)増加に伴って蛍光スペクトルの強度は減少した。以上より、プロトン性の水やアルコールを加えてもKD−F0010の吸光スペクトルは変化を示さないが、KD−F0010の蛍光スペクトルのみが変化することがわかった。
【0032】
図20と図21を比べてみると蛍光強度の減少と最大蛍光波長の変化は水に比べてエタノールの方が小さい。また、表2より、水のET(30)値が63.1、エタノールのET(30)値が51.9、THFのET(30)値が37.4であることから、この変化は、プロトン性によるものか溶媒の極性変化によるものか判断できない。さらに、図20〜図26よりほとんどすべての非プロトン性溶媒で、0〜1%の微量な水またはアルコール(エタノール)増加で大きな蛍光強度の減少と最大蛍光波長の高波長側へのシフトが見られる。DMFとジクロロメタンは、DMFは沸点が高いため蒸留しなかったため、ジクロロメタンはあまり水と混ざり合わないために、このような減少を顕著に示さなかった。
【0033】
表2及び図20、22、23、24、25、26の結果から、水と混ざりにくいジクロロメタンを除き水分濃度の増加に伴って蛍光強度は減少することがわかった。極性の高い水を加えると、極性の低い有機溶媒のほうが大きな蛍光強度の減少を示すと考えられるが、実際はそうならず、むしろアセトニトリルなどの極性の低い溶媒のほうが大きな蛍光強度の減少を示しました。これは、蛍光強度は溶媒の極性ではなくそのプロトン性によって減少するためと考えられる。
【0034】
表3及び図20、22、23、24、25、26の結果から、水分の増加に伴って最大蛍光波長は長波長側にシフトする。面白いのが、水がジクロロメタンに対して0.20%しか混ざり合わない為、0.50%以上の最大蛍光波長が一定である。また、0〜1%の水分濃度での最大蛍光波長の変化は、ET(30)値と関係しており、加える有機溶媒の極性に関係あると思われる。
以上をまとめると、非プロトン性で吸湿しやすい有機溶媒に水またはアルコール(エタノール)を加えると、蛍光強度は有機溶媒の極性に関係なく0〜1%で大きく減少し、最大蛍光波長の変化は有機溶媒の極性が大きくなるにつれて、大きくなるという傾向があることがわかった。換言すれば、最大蛍光波長は有機溶媒の極性によって変化の値が変わり、極性が低い溶媒になるほどその変化の大きさは小さいことがわかった。
【0035】
以上の実験結果から、KD−F0010の蛍光スペクトルを測定することにより溶媒中に微量存在する水やアルコールなどの極性分子を検出することができ、かつそれを定量することができることがわかった。本発明の微量水分などの検出方法は検体(溶媒など)の中にKD−F0010を添加してその蛍光スペクトルを測定する方法によるものであることから、複雑な装置を必要とせず、また連続的に検体中に微量存在する水などの極性分子を検出、定量することができる。
【0036】
本発明の分子は極性分子の存在状態において励起されて、次の化学式で示されるように、アニリンの窒素原子からアクリジン環系へ内部電荷移動(ICT)が生起し、この緩和により蛍光スペクトルが観察されることになる。
【0037】
【化9】
励起状態におけるこれらの分子のICTによる双極特性のために、発光エネルギーはこれらの化合物の溶媒和に強く依存し、強い正のソルバトフルオロクロミズム(溶媒の極性の増加により、発光は長波長側にシフトする。)を示す。
そして、前記した化学式で示されるように、励起状態のICTによりアクリジン環系の窒素原子における電子密度が増加するために、この窒素原子は水素結合の格好の受容体となる。水分子などの存在によるここにおける水素結合の生成は、励起状態におけるエネルギー状態を緩和するために、蛍光の量子収率を減少させることになり、結果として蛍光強度の低下が観察されることになる。
【0038】
次に、本発明者らは、前記の4−(9−アクリジニル)アニリン誘導体の固定化を検討するために、N−アルケニル誘導体を製造した。即ち、4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン(以下、KD−F0011という。)を製造し、まずこの化合物の光学特性を検討した。
N−アルケニル誘導体は、N−アルケニルアニリン誘導体とアクリドンとの反応により製造することができ、具体的には次の化学式で示される方法により製造することができる。
【0039】
【化10】
【0040】
図29に種々の水分含有量におけるTHF中でのKD−F0011の吸光スペクトルを示す。図29中の7本のスペクトルはそれぞれ、水分含有量が0.00容量%のもの、0.10容量%のもの、0.25容量%のもの、0.50容量%のもの、1.00容量%のもの、2.00容量%のもの、5.00容量%のものを示している。いずれの実験も、KD−F0011の濃度は4.00×10−5mol/lであり、溶媒の調製が終わった後に、溶媒中に含まれる酸素による消光を避けるため超音波洗浄機で10分間脱気した後、蛍光光度計を用いて、励起波長398nmにおける蛍光スペクトルを測定した。
404nm付近のCT−吸収バンドの強度は、水分含有量とは無関係にこの結果となっている。若干の正のソルバトクロミズムが水分含有量が5容量%の場合に観察されるが、それよりも低い水分含有量においては吸収位置に変化はみられなかった。
【0041】
図30に404nmで励起した場合の種々の水分含有量(0.00v/v%〜5.00v/v%)におけるTHF中でのKD−F0011の蛍光スペクトルを示す。図30に示されるように、水分含有量が増加するに従って溶媒の極性が増加するために最大蛍光波長は長波長側にシフトし、同時に蛍光強度はそれに応じて低下した。
これらの結果をまとめたものを図31に示す。図31の黒丸印は相対蛍光強度を示し、黒四角印は最大蛍光波長を示す。KD−F0011の水分含有量に対する感度は、0.00〜1.00v/v%において最大であり、約30v/v%まで減少を続けるが、5v/v%以上においては蛍光強度はほとんど変化を示さなくなる。最大蛍光波長は、純粋なTHFの532nmから568nm(水分含有量10%)へとシフトする。水分含有量が多くなると蛍光強度が非常に低くなるので、最大蛍光波長を確定することが困難になる。
【0042】
以上のようにN−アルケニル誘導体も前述したN−アルキル誘導体と同様に極めて高感度で検体中の微量水分を検出、定量するための分子として有用であることがわかった。そこで、本発明者らは、これを共重合体の一成分として重合させることにより、アクリジニルアニリン誘導体の固定化を行った。
共重合体の重合成分としては、共重合可能なモノマー成分であればよいが、前述したように本発明のアクリジニルアニリン誘導体は水素結合可能な水素原子に対する受容体として作用するためにモノマーやそれを重合してできる重合体が水素結合の可能な水素原子を有していないものが好ましい。また、蛍光測定の支障を生ずるものでないものが好ましい。好ましいモノマーとしてはアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルなどのアクリル系モノマーが挙げられる。
【0043】
固定化のために、重合後に架橋を行ってもよく、また予め三次元構造を形成し得るモノマーを使用することもできる。三次元構造にすることにより固定化が促進されるが、これにより重合体に懸垂される本発明のアクリジニルアニリン誘導体や検体(溶媒など)の自由度が制限されないように留意する必要がある。このために、本発明のアクリジニルアニリン誘導体と重合体の骨格とがある程度の距離を有するようにすることが好ましい。例えば、本発明のアクリジニルアニリン誘導体が重合体の骨格から原子数で3〜25、好ましくは3〜10程度の距離を隔てて自由に動けるようなリンカー部分を有する構造とすることが好ましい。リンカーを構成する原子としては、炭素原子、酸素原子、窒素原子などがあげられるが、炭素原子が極性の点から好ましい。
【0044】
本発明のアクリジニルアニリン誘導体と共重合体を形成するモノマー成分としては、例えばポリエチレングリコール−ジメタクリレート(以下、PEGDMAという。)(n≒9又は16)やポリエチレングリコール−モノメタクリレート(以下、PEGMMAという。)(n≒9又は23)等が挙げられる。これらの構造式を以下に示す。
【化11】
【0045】
(式中、nはエチレングリコール単位の繰り返し数を示す。)
これらのモノマー成分はそれぞれ単独であるいは2種以上適宜組み合わせて用いられるが、丈夫で良質の膜を作製するためにはPEGDMAを単独で用いるか、PEGDMAに少量のPEGMMA(n≒23)を組み合わせて用いるのが好ましい。
KD−F0011とPEGDMA及び/又はPEGMMAとの重合は、UVの照射による光共重合により行うことができる。KD−F0011の量は、PEGDMA等のモノマーに対して0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%程度であり、具体的にはPEGDMA単独、又はPEGDMA及びPEGMMAに対しKD−F0011が0.2重量%と1重量%の共重合体を得た。得られた、PEGDMA(n≒9)に対しKD−F0011が1重量%の共重合体の各種溶媒における吸光スペクトルを図32に示す。また、得られた共重合体の蛍光特性を検討した結果を図33に示す。
【0046】
図33は、種々の水分含有量を有するTHFにおける、404nmで励起したPEGDMA膜に固定化されたKD−F0011の蛍光スペクトルである。図33における各スペクトルは上から順に、水分含有量が0.00v/v%のもの、0.05v/v%のもの、0.10v/v%のもの、0.15v/v%のもの、0.25v/v%のもの、0.35v/v%のもの、0.50v/v%のもの、0.74v/v%のもの、0.99v/v%のもの、1.96v/v%のもの、2.91v/v%のもの、4.76v/v%のもの、6.54v/v%のもの、9.09v/v%のものをそれぞれ示している。
【0047】
固定化されていないKD−F0011と同様に、固定化したKD−F0011も、水分含有量の増加に応じて蛍光強度の低下が観察された。固定化されたKD−F0011が、固定化により水素結合の形成能やICT状態からの蛍光発生能に格別の影響を受けないことが明らかとなった。強いて固定化による相違点を挙げるとしたら、最大蛍光波長のシフトが固定化により小さくなったことである。図34は、水分の含有量と蛍光波長とを示したものである。図34の黒四角印は固定化されていないKD−F0011を示し、黒丸印は固定化されたKD−F0011を示している。この図から明らかなように固定化されたKD−F0011では発光バンドのシフトは固定化されていないものに比べてずっと少なくなっている。
水分の含有量の増加による発光バンドの長波長シフトは、溶媒の極性の増加によるものであるから、高分子骨格によって固定化された発光分子のミクロな環境における極性は、測定される位置の溶媒の状態による影響よりも、高分子骨格による影響を大きく受けていると考えられる。
【0048】
このような結果は、溶媒中の微量水分を検出、定量するための化学センサーとしては、実際的にはより好ましいものである。なぜならば、蛍光の波長が水分の含有量によりシフトしないので、一定の波長(例えば、404nm)で励起することにより、一定の波長の蛍光(例えば、図33、図34によれば532nm)を測定すれば相対蛍光強度により水分の含有量を知ることができるからである。このことはより簡便な測定装置により微量水分を検出、定量することができるということである。
【0049】
また、相対蛍光強度についてみれば、両者の比較を図35に示す。図35の黒四角印は固定化されていないKD−F0011を示し、黒丸印は固定化されたKD−F0011を示している。図35から、固定化により感度は少し低下しているようにみえるが、固定化によりより広範囲の測定が可能ということもできる。
【0050】
次に、アルコールについて水と同様な検出、定量を試みてみた。結果を図36に示す。図36の黒四角印は水の場合を示し、黒丸印はメタノールの場合を示し、黒三角印はエタノールの場合を示す。水、メタノール、エタノールの順に感度が低下してきている。これは、水素結合に関与する水素原子の酸性が脂肪族性のおおきなアルコールになるほど小さくなるからと考えられる。しかし、脂肪族性が余り大きくないアルコール(例えば、メタノールやエタノールなど)であれば、本発明の方法により検出、定量することができることを示している。
【0051】
以上の実験結果によれば、本発明の方法は、溶媒、好ましくは非プロトン性溶媒中における微量水分を極めて高感度でかつ簡便に測定できるものであり、本発明のアクリジニルアニリン誘導体が溶媒中の微量の水分又は低級アルコールを簡便に且つ高感度で検出、定量する化学センサーとして極めて有用であることがわかる。さらに、この実験では4個の炭素原子により高分子骨格との距離を取った(スペーサーとして炭素数4とした。)ものを使用したが、この結果、本発明の化学センサーとしてのアクリジニルアニリン誘導体を十分固定化することができることが示された。また、固定化により蛍光波長のシフトを少なくすることができ、単一の蛍光波長を測定することにより、水分の含有量を検出、定量することができることも示された。そして、KD−F0011は膜に固定化することで連続水分濃度測定を可能にした。
【0052】
また、以上の結果から、固定化されているいないに拘わらず、本発明のアクリジニルアニリン誘導体は水分含量0〜1%の測定に高い精度を示すことが明らかになった。
【0053】
本発明者らは、次に、水分に対する感度を更に高めるためには、分子内に強い電子吸引基または電子供与基を導入することにより、極性感度を向上させる必要があると考え、新たに6−(9−アクリジニル)−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(以下、KD−F0020という。)を分子設計した。KD−F0020はドナー性を高めたことにより、KD−F0010に比べ水分に対してより高感度になったであろうと考えられた。
KD−F0020の機能性評価を進めていく中で、極性感度は向上したものの、2級アミンによるKD−F0020どうしの分子間水素結合が起こり、それが原因で水分に対する感度が低下しているのではないかと考えられた。そこで、この問題を回避するためにKD−F0020をメチル化し、3級アミン型の6−(9−アクリジニル)−1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(以下、KD−F0021という。)を設計した。
KD−F0021は膜への固定化ができるサイトが導入されていない。そこでKD−F0021の特性や感度を保持し、単にオレフィン基を導入した6−(9−アクリジニル)−2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(以下、KD−F0022という。)を設計した。
これらの機能性色素を用いて各種有機溶媒中の水分濃度の測定を行った。
【0054】
実験に用いた溶媒は、THFは、特級THF溶液に薄く切り刻んだ金属ナトリウムと、指示薬であるベンゾフェノンを入れ、窒素置換下で蒸留したものを無水試薬として用いた。ジエチルエーテル、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトンについては、塩化カルシウムで脱水した後に蒸留し、モレキュラーシーブスの入った瓶に1日以上保存したものを無水試薬とした。アセトニトリルおよびエタノールについては蛍光分析用の特級試薬を使用し、塩化カルシウムで脱水したものを無水試薬とした。水はイオン交換水を使用した。
このようにして調製したTHFに、KD−F0020は1.8×10−4M、KD−F0021及びKD−F0022は6.0×10−5Mとなるように溶解し、溶液調製後、溶媒中に存在する酸素による消光を避けるため、超音波洗浄機で5分間脱気した溶液を試料として、これらの溶液の吸収スペクトルを測定した後、それぞれの励起波長における蛍光スペクトル変化を測定した。なお、吸光光度計及び蛍光光度計は先に使用したものと同じものを使用した。
【0055】
KD−F0020、KD−F0021、KD−F0022を溶解したTHF中の水分濃度変化による吸収スペクトルを図37,図38及び図39にそれぞれ示す。なお、THF中の水分濃度は、それぞれ以下のように変化させた。
水分濃度が増加しても、吸収スペクトルはほとんど変化しなかった。この理由はFranck-Condon理論によるものであると考えられる。つまり、色素分子のほとんどの分子は基底状態で分極しておらず、光吸収が起こることによって励起状態で分極する。この光で励起されたとき電子状態の変化に要する時間は約10〜15秒と瞬時である。このとき極性溶媒中であれば、溶媒分子は色素分子の分極を打ち消すように移動しようとするが、分子は電子に比べ動きが鈍いため瞬時の移動は不可能である。すなわち、基底状態で分極していない分子では、溶媒の極性変化による状態遷移エネルギーの変化はほとんどなく、吸収スペクトルに変化は見られないと言える。
【0056】
KD−F0020、KD−F0021、KD−F0022を溶解したTHF中の水分濃度変化による蛍光スペクトルを図40,図41及び図42にそれぞれ示す。これらのスペクトルから、水分濃度の増加に伴って蛍光強度が減少していることが分かる。3つの機能性色素は先に述べたように、光吸収によって分子内電荷移動が起こり、励起状態では分極した状態になり、多くの分子は蛍光発光によって基底状態に遷移する。しかし、有機溶媒中に水分子が存在すると、色素分子は水分子と分子間水素結合し、蛍光発光ではなく熱を放出して遷移する無輻射過程を生じる頻度が多くなるため蛍光消光が起こる。水分濃度が増加するほど蛍光強度が減少するのはこのためである。以下にこのメカニズムを化学式で示す。
【0057】
【化12】
【0058】
3種類の機能性色素についての水分濃度と相対蛍光強度の関係を図43に示す。また、比較のためKD−F0010の測定結果も図43に併せて示す。これにより、KD−F0020はKD−F0010に比べ水分に対する感度が低下していることが分かる。これは下式に示すようにKD−F0020の2級アミンによる色素分子同士の分子間水素結合が原因と考えられる。
【0059】
【化13】
【0060】
一方、メチル化したKD−F0021およびKD−F0022については、水分濃度0.00%のときに比べ0.01%では蛍光強度が約90%、0.05%では約75%へと減少していることから、ドナー性を高めたことでKD−F0010に比べ水分に対する感度が明らかに向上していると言える。
【0061】
また、有機溶媒を酢酸エチルおよびジクロロメタンに変え、機能性色素にはKD−F0021を用いて水分濃度変化に伴う吸収・蛍光スペクトル変化を測定した結果を図44、45及び図46、47にそれぞれ示す。なお、各溶媒中の水分濃度はそれぞれ下記の通りである。
これらの場合もやはり吸収スペクトル変化は、溶媒および溶媒中の水分濃度を変化させてもほとんど見られなかった。一方、微量水分濃度変化に伴う蛍光スペクトル変化は、酢酸エチルおよびジクロロメタン中でも顕著に見られた。THF、酢酸エチル、ジクロロメタン中の水分濃度と相対蛍光強度の関係を図48に示す。水分濃度が増加するにつれ、溶媒によって相対蛍光強度変化に差が出てくるのは、ジクロロメタンは0.17%(v/v)、酢酸エチルは2.94%(v/v)までの水としか混ざり合わないからであり、その値に達すると蛍光強度が一定になると考えられる。図48からは、0.00%〜0.10%あたりの微量水分では、3種類の溶媒中でほぼ同じ感度を示していると読み取れる。このことから、KD−F0021は様々な有機溶媒中での微量水分濃度測定が可能であると言える。
【0062】
これらの結果を用い、KD−F0021の各種有機溶媒中の水分検出限界を求めた。検出限界の求め方は以下に示すとおりである。
THF中にKD−F0021を6.00×10−5Mとなるよう溶解し、同じサンプルで10回蛍光スペクトルを測定した。10回の極大蛍光強度の平均値より、相対標準偏差を求めたところ約0.5104と得られた。検出限界をノイズの3倍と定め、水分濃度0.00%のときの相対蛍光強度を100とすると、検出限界の相対蛍光強度は
100−3×0.5104≒98.47
と求められた。実験結果をもとに、それぞれの溶媒で直線性が得られる水分濃度範囲において、Stern-Volmerプロットを作成した(図49)。これにより得られたStern-Volmerの式は
THF F0/F = 12.37 [H2O]+1
酢酸エチル F0/F = 11.30 [H2O]+1
ジクロロメタン F0/F = 6.755 [H2O]+1
であった。
ノイズは全ての溶媒中での測定で等しいと仮定すると、これらの式より検出限界はTHF中で0.0023%、酢酸エチル中で0.0025%、ジクロロメタン中で0.0042%と求められた。KD−F0022はKD−F0021にオレフィン基を導入した構造変化のみであるから、水分に対する感度つまり検出限界はKD−F0021とほぼ同じであると思われる。
即ち、これらのアクリジン誘導体を化学センサーとする本発明の方法によれば、蛍光光度計という簡便な装置を用い、様々な有機溶媒中で0.005%未満の微量水分濃度測定を行うことができることから、これらのアクリジン誘導体は、検体中の水分含有量を簡便に且つ高感度で検出、定量するための化学センサーとして極めて有用であると云うことが出来る。
【0063】
本発明は検体中の微量の水や低級アルコールなどを検出、定量するための化学センサーとしてのアクリジン誘導体を提供するものである。本発明のアクリジン誘導体は、電子供与基としての部分、例えばアニリン部分又は2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン部分等と電子受容基としてのアクリジン部分とを有するもので、これらのアニリン部分又は2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン部分等とアクリジン部分とが同じ平面構造を維持することができるもので有ればよく、より具体的には例えば前記の一般式(I)で示されるものが好ましい。
【0064】
一般式(I)におけるRとしては、例えば一般式(II)
【化14】
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素原子又は有機残基を示す。)で示される基や、例えば一般式(III)
【化15】
(式中、R9、R10、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して水素原子又は有機残基を示す。)で示される基等が挙げられる。
【0065】
一般式(I)、(II)及び(III)における、R1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して水素原子又は有機残基であり、有機残基としては検体中の極性の変化による蛍光強度の変化や吸収波長の変化に悪影響を与えない基であれば高分子量のものであっても低分子量のものであっても特に制限はないが、アクリジニルアニリン系又はアクリジニルペリミジン系の平面構造を阻害するような基やアクリジニルアニリン系又はアクリジニルペリミジン系に共役して吸収波長を大きくシフトさせるような基は好ましくない。また、水素結合が可能な水素原子を有さず、極性の大きな基を持たないものが好ましい。
【0066】
R1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、R12及びR13の好ましい有機残基としては、フェニルアクリジン骨格又はペリミジルアクリジン骨格に共役し得るπ電子系を形成しない有機基が挙げられ、より好ましい有機残基としては置換基を有していてもよい炭化水素基が挙げられる。また、好ましい炭化水素基としてはアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。フェニルアクリジン骨格又はペリミジルアクリジン骨格に共役し得るπ電子系を形成しない有機基としては、アニリン部分又はペリミジン部分の窒素原子の孤立電子対やベンゼン環又はペリミジン環のπ電子系に共役し得る隣接するπ電子を持たない基であればよい。アニリン部分又はペリミジン部分の窒素原子の孤立電子対やベンゼン環又はペリミジン環のπ電子系に共役し得る隣接するπ電子を持つ基であってもよいが、これにより吸収波長や蛍光波長が大きくシフトするものは好ましくない。
また、有機残基としては高分子量のものであってもよく、例えば高分子骨格に懸垂された基が挙げられ、当該高分子骨格としてはアクリル酸又はメタクリル酸の誘導体とアルケニル側鎖などとの共重合体が挙げられる。
さらに、ベンゼン環に置換する基R3やペリミジン環に置換する基R13並びにアクリジン環に置換する基R4においては、本発明の好ましい有機残基としては、炭化水素以外に、酸素や窒素などの炭素以外の原子を有するものでも良いし、また、必ずしも炭素原子を有するものでなくてもよい場合もある。このような基としては、例えば、メトキシ基,エトキシ基等のアルコキシ基、アセチルオキシ基,プロピオニルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチルアミノ基,プロピオニルアミノ基等のアシルアミノ基、アセチル基,プロピオニル基等のアシル基、シアノ基、アミド基、ニトロ基、例えば塩素,臭素等のハロゲン原子などの置換基が挙げられる。
【0067】
R1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、R12及びR13の炭化水素基として好ましい具体例を例示すれば、炭素数1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の直鎖状又は分枝状のアルキル基、より好ましくは低級アルキル基、炭素数3〜30、好ましくは5〜20、より好ましくは6〜20の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、より好ましくは低級アルケニル基、炭素数5〜30、好ましくは5〜20、より好ましくは6〜10の単環、多環又は縮合環式のシクロアルキル基、前記したシクロアルキル基であって少なくとも1個以上の不飽和結合を有するシクロアルケニル基、前記したアルキル基又はアルケニル基に炭素数6〜30、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜10の単環、多環又は縮合環式のアリール基が結合したアラルキル基などが挙げられる。これらの炭化水素基は相互に又は他の官能基で置換されていてもよい。
【0068】
また、R1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、R12及びR13の有機残基としてはそのいずれか一方または両方が高分子骨格に懸垂された基であってもよい。高分子骨格としては付加重合体の骨格であっても、縮合重合体の骨格であってもよい。好ましい高分子骨格としてはアクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体からなる共重合体の骨格が挙げられるがこれに限定されるものではない。したがって、高分子骨格に懸垂される基としては、前記した高分子骨格に原子数で3〜25、好ましくは3〜10程度の距離を隔てて自由に動けるようなリンカー部分を有する基が好ましい。リンカーを構成する原子としては、炭素原子、酸素原子、窒素原子などがあげられるが、炭素原子が極性の点から好ましく、より具体的には低級アルキレン基が好ましい。
【0069】
好ましいR1、R2、R3、R4、R9、R10、R11、R12及びR13の有機残基をより具体的に例示すれば、メチル基、エチル基、プロピル基などの低級アルキル基、3−ブテニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基などのアルケニル基などが挙げられる。また、前記したアルケニル基の不飽和基と重合性の炭素−炭素二重結合を有するモノマー(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなど)とが共重合して形成される高分子骨格に懸垂された基を挙げることができる。
【0070】
また、本発明は検体中の微量の水や低級アルコールなどを検出、定量するための化学センサーとして有用な新規なアクリジニルアニリン誘導体及び新規なアクリジニルペリミジン誘導体を提供するものである。より具体的には本発明の新規なアクリジニルアニリン誘導体は、前記した一般式(IV)で示される化合物であり、アクリジニルペリミジン誘導体は前記した一般式(V)で示される化合物である。
【0071】
一般式(IV)におけるR5は前記した低級アルキル基であり、例えばメチル基、エチル基などであり、R6は前記したフェニルアクリジン骨格に共役し得るπ電子系を形成しない不飽和結合を有する基又は高分子骨格に懸垂された基である。フェニルアクリジン骨格に共役し得るπ電子系を形成しない不飽和結合を有する基としては、前記したアルケニル基、シクロアルケニル基やこれらの基にアルキル基やたの官能基が置換していてもよい基などが挙げられる。また、高分子骨格に懸垂された基としては前記したもの等が挙げられる。また、R7、R8は水素原子又は炭化水素基であり、炭化水素基としては前記したアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基などが挙げられる。
【0072】
一般式(V)におけるR9、R10、R11は、好ましくは前記した低級アルキル基であり、例えばメチル基、エチル基などであり、R12は、好ましくは前記した、例えばメチル基、エチル基などの低級アルキル基又は前記したペリミジルアクリジン骨格に共役し得るπ電子系を形成しない不飽和結合を有する基又は高分子骨格に懸垂された基である。ペリミジルアクリジン骨格に共役し得るπ電子系を形成しない不飽和結合を有する基としては、前記したアルケニル基、シクロアルケニル基やこれらの基にアルキル基や他の官能基が置換していてもよい基などが挙げられる。また、高分子骨格に懸垂された基としては前記したもの等が挙げられる。また、R4、R13は水素原子又は有機残基であり、有機残基としては前記したアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基などの炭化水素基や先に挙げた如きその他の置換基が挙げられる。
【0073】
一般式(IV)で示される本発明の新規な化合物は前記した方法に準じて製造することが出来る。
また、一般式(V)で示される本発明の新規な化合物は例えば下記の化学式で示される方法により製造することが出来る。
【0074】
KD−F0020の合成
【化16】
【0075】
KD−F0021の合成
【化17】
【0076】
KD−F0022の合成
【化18】
【0077】
【実施例】
次に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0078】
実施例1(4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン(KD−F0011)の製造)
(1) 5−ヘキセン−1−オール(5.00g,49.9mmol)とトルエンスルホニルクロライド(7.93g,41.6mmol)の50mlクロロホルム溶液を氷冷下で攪拌しながら、ピリジン(7.58g,95.8mmol)を少しずつ加えた。すべてのピリジンを加えた後、室温に戻しさらに3時間攪拌反応させた。反応終了後、氷冷下で薄い塩酸を加えた。その後、分液ロートに移し水で3回分液をした後に、有機相を芒硝で乾燥させた後減圧乾燥させた。その後、ヘキサン:酢酸エチル=3:1でカラムから分離し、(6−トシルオキシ)−1−ヘキセンを8.72g、収率82%で得た。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR(270MHz,CDCl3) δ(ppm)=1.35-1.47(m,-CH2-,2H),
1.55-1.71(m,-CH2-,2H),1.96-2.05(m,-CH2-CH=,2H),
2.45(s,Ar-CH3,3H),4.03(t,-OCH2-,2H),4.92-5.00(m,=CH2,2H),
5.64-5.79(m,-CH=,1H),7.35(d,Ar-H,2H),7.81(d,Ar-H,2H).
【0079】
(2) N−メチルアニリン(2.53g,23.6mmol)を25mlのTHFに溶かし、滴下ロートで10mlTHF中のNaH(2.36g,59.0mmol)を加え、5分間攪拌させた後、滴下ロートで15mlのTHFに溶かした(6−トシルオキシ)−1−ヘキセン(6.00g,23.6mmol)を加え80℃で80分反応させた。
反応終了後、メタノールを加えNaHをつぶした後、芒硝で乾燥させた後、減圧乾燥させた
その後、ヘキサン:酢酸エチル=9:1でカラムにより分離し、N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンを3.45g、収率77%で得た。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR(270MHz,CDCl3) δ(ppm)=1.35-1.50(m,-CH2-,2H),
1.52-1.63(m,-CH2-,2H),2.02-2.12(m,-CH2-CH=,2H),
2.90(s,N-CH3,3H),3.29(t,N-CH2-,2H),4.92-5.04(m,=CH2,2H),
5.72-5.87(m,-CH=,1H),6.63-6.70(m,Ar-H,3H),7.17-7.24(m,Ar-H,2H).
【0080】
(3) N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン(0.68g,3.5mmol)と9(10H)−アクリドン(0.84g,5.5mmol)とオキシ塩化リンを触媒及び溶媒に使うため5mlほど加え20mlフラスコで、50℃から60℃で3時間反応させた。その後、pH1の薄い塩酸をゆっくり加えて余分のオキシ塩化リンをつぶした。その後、アンモニア水を加え溶液を中性にした後、クロロホルムを加えてNaHCO3溶液、NaCl溶液、水でそれぞれ一回づつ分液し、有機相を芒硝で乾燥させた後、減圧乾燥させた。ヘキサン:酢酸エチル=3:1でカラムから分離し、減圧乾燥させた後、リサイクロ液体クロマトグラムで分離精製し、4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンを357mg、収率27.8%で得た。なお、溶媒はクロロホルムで行った。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR(300MHz,CDCl3) δ(ppm)=1.48-1.53(m,-CH2-,2H),
1.70-1.75(m,-CH2-,2H),2.13-2.20(m,-CH2-CH=,2H),
3.07(s,N-CH3,3H),3.45(t,N-CH2-,2H),4.98-5.09(m,=CH2,2H),
5.81-5.90(m,-CH=,1H),6.87-6.90(m,Ar-H,2H),
7.30-7.33(m,Ar-H,2H),7.39-7.44(m,Ar-H,2H),
7.72-7.78(m,Ar-H,2H),7.89-7.92(m,Ar-H,2H),8.25(d,Ar-H,2H).
【0081】
実施例2(固定化KD−F0011の製造)
実施例1で得たKD−F0011(1wt%)と、ベンゾインメチルエーテル(3wt%)と、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(96wt%)とを前記の組成で混合した後、超音波洗浄機で溶解させた。カバーグラスを両サイドに置き混合した溶液を中心に一滴たらした後、石英ガラスをつけ窒素封入下でUVランプで3時間光共重合させた後、メタノール中に一晩つけ、重合しなかった色素を洗い流し、膜厚170μmぐらいの膜を得た。
【0082】
実施例3(4−(9−アクリジニル)−N,N−ジメチルアニリン(KD−F0010)の製造)
N,N−ジメチルアニリン(1)(16.6mmol、2.01g;東京化成;M=121.18)と9(10H)−アクリドン(2)(6.59mmol、1.01g;Aldrich製;M=195.22)とオキシ塩化りん(6.56mmol、0.6ml、純正化学製;M=153.35)を50mlフラスコに入れ3時間オイルバスで65℃で撹拌し反応させた。
反応終了後、pH1の薄い塩酸を約50mlをゆっくり加えて余分のオキシ塩化りんをつぶした後、飽和酢酸ナトリウム水溶液約100mlをpHが9以上になるまで加えると黄色い固体が析出した。これをろ過して黄色い結晶を得た。この結晶に酢酸を加えると赤色を示して溶解したが、これに水を加えpHが十分に低いことを確認した後、ろ過した。このろ液にアンモニア水を加えると黄色い固体が析出した。この結晶を12時間デシケーターで乾燥させた。
乾燥したこの結晶を500mlナスフラスコに入れ、まずへキサンを約300mlその後この結晶に対して溶解度の高い溶媒であるクロロホルムを約100ml加える形で再結晶化して4−(9−アクリジニル)−N,N−ジメチルアニリン(3.22mmol、0.961g;M=298.38)(KD−F0010)を収率48.9%で得た。
以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR(300MHz,CDCl3) δ(ppm)=3.03(s,N-CH3,6H) ,
6.92-6.95(d,Ar-H,2H),7.32-7.35(d,Ar-H,2H),7.40-7.44(m,Ar-H,2H),
7.72-7.78(m.Ar-H,2H),7.86-7.89(d,Ar-H,2H),8.24-8.27(d,Ar-H,2H).
【0083】
実施例4(KD−F0010を用いた吸光スペクトルの測定)
THF・アセトニトリル・酢酸エチル・ジエチルエーテル・ジクロロメタンの5つの溶媒に各々KD−F0010を4×10‐5mol/Lとなるように溶解させその水分濃度を変えて吸光光度計(HITACHI U‐2000)を用いて測定した。実験に用いた溶媒は、基本的に全て蒸留し、モルキュラシーブの入った瓶に一日以上保管したものを用いた。ただし、アセトニトリルは蒸留を行わず、モルキュラシーブで乾燥させた特級溶媒を用いた。
結果を図4及び表1に示す。
【0084】
実施例5(KD−F0010を用いた蛍光スペクトルの測定)
THF・アセトニトリル・酢酸エチル・ジエチルエーテル・ジクロロメタンの5つの溶媒に各々KDF−0010を4×10−5Mとなるように溶解させその水分濃度を変えて蛍光光度計(HITACHI F−2000)を用いて、励起波長398nmにおける蛍光スペクトル変化を測定した。実験に用いた溶媒は、基本的に全て蒸留し、モレキュラシーブの入った瓶に1日以上保存したものを用いた。ただし、アセトニトリルは蒸留を行わず、モレキュラシーブで乾燥させた特級溶媒を用いた。結果を図5に示す。
【0085】
実施例6(KD−F0011を用いた吸光スペクトルの測定)
一般式(IV)中のR5がメチル基で、R6がヘキセニルキ基で、R7及びR8が水素原子である4−(9−アクリジニル)−N―(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンをテトラヒドロフラン中4×10−5Mの濃度に溶解し、水分濃度0〜5%の吸光波長を測定した。結果を図29に示す。
【0086】
実施例7(KD−F0011を用いた蛍光スペクトルの測定)
一般式(IV)中のR5がメチル基で、R6がヘキセニルキ基で、R7及びR8が水素原子である4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンをテトラヒドロフラン中4×10−5Mの濃度に溶解し、404nmの光源で励起し、0〜5%の間で水分を変化した時の蛍光強度比と水分濃度を示す。結果を図30に示す。
【0087】
実施例8(固定化KD−F0011を用いた吸光スペクトルの測定)
実施例2で得られた4−(9アクリジニィル)−N―(5−ヘキセニィル)−N−メチルアニリンの共重合体中濃度は1%である。これをテトラヒドロフラン中で水分濃度約0〜10%の吸光スペクトルを測定した。
結果を図32に示す。
【0088】
実施例9(固定化KD−F0011を用いた蛍光スペクトルの測定)
実施例2で得られた4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンの共重合体中濃度は1%である。これをテトラヒドロフラン中で、404nmの光源で励起し、0〜5%の間で水分を変化した時の蛍光強度を測定した。種々の水分濃度における相対蛍光強度を算出して、結果を図33に示す。
【0089】
実施例10
実施例2で得られた4−(9−アクリジニル)−N―(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンの共重合体中濃度は1%である。これをテトラヒドロフラン中で励起波長404nmでの水分、メタノール、エタノール濃度約0〜5%の蛍光スペクトルを測定した。これらの蛍光波長532nmの相対蛍光強度を図36に示した。
【0090】
実施例11(4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン(KD−F0011)の製造)
(1)p−トルエンスルホニルクロライド(7.932g,41.1mmol)、5−ヘキセン−1−オール(6.00g,59.88mmol)をクロロホルム100ml中に加え、氷冷攪拌下でピリジン(9.58g,121.08mmol)をゆっくり滴下した。滴下後は室温に戻し、19時間攪拌した。反応終了後、室温攪拌下で蒸留水40ml、濃塩酸14mlを加えた。クロロホルム層を芒硝乾燥後、溶媒を減圧留去し、無色透明な液体を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分離精製し、(6−トシルオキシ)−1−ヘキセン9.897gを透明液体として得た(収率93.1%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.41(m, 2H, -CH2-),
1.67(m, 2H, -CH2-), 2.01(m, 2H, -CH2-),
2.45(s, 3H, Ar-CH3), 4.03(t, 2H, O-CH2-), 4.95(m, 2H, =CH2),
5.81(m, 1H, -CH=), 7.35(d, 2H, =CH2), 7.78(d, 2H, Ar-H).
【0091】
(2) N−メチルアニリン(2.53g,23.6mmol)にヘキサンで洗浄した水素化ナトリウム(2.36g,59.0mmol)を加え、蒸留済THF120ml、(6−トシルオキシ)−1−ヘキセン(6.00g,23.6mmol)を滴下し、窒素を流しながら70℃で22時間攪拌した。反応終了後、未反応の水素化ナトリウムを処理した後、蒸留水を加えてクロロホルムで抽出した。芒硝乾燥後、溶媒を減圧留去し、黄色の液体を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=12:1)で分離精製し、N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン3.8gを黄色液体として得た(収率84.8%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.41(m, 2H, -CH2-),
1.59(m, 2H, -CH2-), 2.92(m, 3H, N-CH3),
3.30(t, 2H, N-CH3), 4.98(m, 2H, =CH2), 5.81(m, 1H, CH2=),
6.69(m, 3H, Ar-H), 7.21(m, 2H, Ar-H).
【0092】
(3) N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン(2.14g、11.3mmol)にアクリドン(2.64g,17.3mmol)を加え、触媒としてオキシ塩化リンを用いて、50℃で2.5時間攪拌した。氷冷攪拌下でpH1の塩酸を加えてオキシ塩化リンを潰した後、アルカリ性になるまで25%アンモニア水溶液を滴下した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液を加えてクロロホルムで抽出し、芒硝乾燥した。溶媒を減圧留去し、黄色の固体を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分離精製後、さらにリサイクル液体クロマトグラフィーで分離精製し、4−(9−アクリジニル)−N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリン(KD−F0011)0.636gを黄色の固体として得た(収率48%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)= 1.54(m, 2H, -CH2-),
1.72(m, 2H, -CH2-), 2.17(m, 2H, -CH2-),3.08(s, 3H, N-CH3),
3.45(t, 2H, N-CH2-), 5.02(m, 2H, =CH2),5.86(m, 1H, -CH=),
6.89(m, 2H, Ar-H), 7.30(m, 2H, Ar-H),7.42(m, 2H, Ar-H),
7.75(m, 2H, Ar-H), 7.91(m, 2H, Ar-H),8.25(d, 2H, Ar-H).
【0093】
実施例12(6−(9−アクリジニル)−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(KD−F0020)の製造)
(1) 1,8−ジアミノナフタレン(40mmol,6.33g)をアセトン(150mmol,8.71g)及びジクロロメタン100ml中に加え、触媒としてp−トルエンスルフォン酸20mgを用い、24時間還流した。反応終了後、セライトを用いてモレキュラーシーブスを取り除いた後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣に飽和食塩水を加えてジクロロメタンで抽出した。芒硝乾燥後、有機層を吸引濾過し、溶媒を減圧留去後、紫色のオイル状化合物を得た。エタノールに溶解後、塩酸を少量加え塩を生成させ、エーテルを加えて濾過した。メタノールで再結晶し、水および水酸化ナトリウムを加えて酢酸エチルで抽出した。芒硝乾燥後、溶媒を減圧留去した。単品で紫色の固体である2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン2.72gを得た(収率34%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (270MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.49(s, 6H, -CH3),
3.66-3.79(br, 2H, -NH),6.47(d, 2H, Ar-H), 7.19(m, 4H, Ar-H).
【0094】
(2) 実施例11の(3)において、N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンの代わりに2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(2.20g,11.1mmol)を用い、実施例11の(3)と同様にして反応及び後処理を行い、オレンジ色の結晶を得た。酢酸エチルで洗浄した結晶を海砂に吸着させ、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で分離精製した後、さらにシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で分離精製し、最終目的化合物である6−(9−アクリジニル)−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(KD−F0020)47.4mgを得た(収率2.8%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.64(s, 6H, -CH3-),
4.46-4.47(br, 2H, -NH), 6.29(d, 1H, Ar-H), 6.48(d, 1H, Ar-H),
6.68(d, 1H, Ar-H), 6.99(t, 1H, Ar-H),7.22(d, 1H, Ar-H),
7.33(m, 2H, Ar-H), 7.63(d, 2H, Ar-H),7.75(m, 2H, Ar-H),
8.32(d, 2H, Ar-H).
【0095】
実施例13(6−(9−アクリジニル)−1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(KD−F0021)の製造)
(1) 1,8−ジアミノナフタレン(7.00g,44.3mmol)をアセトン(7.897g,96.3mmol)中に加え、触媒としてp−トルエンスルホン酸0.4gを用いて、50℃で1時間攪拌した後、室温に戻して一晩攪拌した。反応終了後、反応物を分離精製せずに、そのまま次の反応に用いた。
(2) 上記(1)の反応物にヨウ化メチル26.97g、炭酸カリウム26.97g、アセトン50ml、蒸留水10mlを加えて、60℃で2時間攪拌した後、ヨウ化メチル6.743g、アセトン20mlを加え、さらに2時間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、飽和食塩水および蒸留水を加えてエーテルで抽出した。芒硝乾燥後、赤黒いオイル状化合物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製分離し、1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン1.56gを深緑色の液体として得た(収率15.6%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.41(s, 6H, -CH3),
2.95(s, 6H, N-CH3), 6.60(d, 2H, Ar-H),7.21(d, 2H, Ar-H),
7.33(t, 2H, Ar-H).
【0096】
(3) 実施例11の(3)において、N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンの代わりに1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(1.35g,5.95mmol)を用い、実施例11の(3)と同様にして反応及び後処理を行い、紫色の固体を得た。後処理後、分離精製も実施例11の(3)と同様の手順で行い、(6−(9−アクリジニル)−1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(KD−F0021)0.38gをオレンジ色の固体として得た(収率61%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.55(s, 6H, -CH3),
3.03(s, 3H, N-CH3), 3.11(s, 3H, N-CH3),6.36(d, 1H, Ar-H),
6.61(d, 1H, Ar-H), 6.78(d, 1H, Ar-H),7.08(t, 1H, Ar-H),
7.81(m, 3H, Ar-H), 7.59(d, 2H, Ar-H)7.74(m, 2H, Ar-H),
8.29(d, 2H, Ar-H).
【0097】
実施例14(6−(9−アクリジニル)−2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(KD−F0022)の製造)
(1) 1,8−ジアミノナフタレン(7.00g,43.4mmol)、5−ヘキセン−2−オン(13.34g,96.3mmol)にp−トルエンスルホン酸0.35gを加え、50℃で1時間攪拌した後、室温に戻して一晩攪拌した。反応終了後、反応物を分離精製せずに、次の反応に用いた。
(2) 実施例13の(2)において、2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンの代わりに上記(1)の反応物を用い、実施例13の(2)と同様にして反応及び後処理を行い、赤黒いオイル状化合物を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製分離し、2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン0.97gを深緑色の液体として得た(収率21.2%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.28(s, 3H, -CH3),
1.98(m, 2H, -CH2-), 2.20(m, 2H, -CH2-),2.93(s, 6H, N-CH3),
5.00(m, 2H, =CH2), 5.80(m, 1H, -CH=),6.53(d, 2H, Ar-H),
7.15(d, 2H, Ar-H), 7.30(t, 2H, Ar-H).
【0098】
(3) 実施例11の(3)において、N−(5−ヘキセニル)−N−メチルアニリンの代わりに2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(1.35g,5.07mmol)を用い、実施例11の(3)と同様にして反応及び後処理を行い、紫色の固体を得た。後処理も実施例11の(3)と同様の手順で行い、オレンジ色の固体を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=3:2)で分離精製し、6−(9−アクリジニル)−2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジン(KD−F0022)0.77gをオレンジ色の固体として得た(収率94%)。以下に1H−NMRのデータを示す。
1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ(ppm)=1.40(s, 3H, -CH3),
2.16(m, 2H, -CH2-), 2.31(m, 2H, -CH2-),3.02(s, 3H, N-CH3),
3.08(s, 3H, N-CH3), 5.08(m, 2H, =CH2),5.90(m, 1H, -CH=),
6.33(d, 1H, Ar-H), 6.57(d, 1H, Ar-H),6.75(d, 1H, Ar-H),
7.08(t, 1H, Ar-H), 7.32(m, 3H, Ar-H),7.61(d, 2H, Ar-H),
7.74(m, 2H, Ar-H), 8.29(d, 2H, Ar-H).
【0099】
実施例15(KD−F0020を用いた吸光スペクトルの測定)
一般式(V)中のR4、R9、R10及びR13が水素原子で、R11及びR12がメチル基である6−(9−アクリジニル)−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン中1.8×10−4Mの濃度に溶解し、水分濃度0〜10%における吸収スペクトルを測定した。結果を図37に示す。
【0100】
実施例16(KD−F0020を用いた蛍光スペクトルの測定)
一般式(V)中のR4、R9、R10及びR13が水素原子で、R11及びR12がメチル基である6−(9−アクリジニル)−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン中1.8×10−4Mの濃度に溶解し、436nmの光源で励起し、0〜10%の間で水分を変化させた時の蛍光スペクトルの変化を測定した。結果を図40に示す。
【0101】
実施例17(KD−F0021を用いた吸光スペクトルの測定)
一般式(V)中のR4及びR13が水素原子で、R9、R10、R11及びR12がメチル基である6−(9−アクリジニル)−1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン中6×10−5Mの濃度に溶解し、水分濃度0〜10%における吸収スペクトルを測定した。結果を図38に示す。
【0102】
実施例18(KD−F0021を用いた蛍光スペクトルの測定)
一般式(V)中のR4及びR13が水素原子で、R9、R10、R11及びR12がメチル基である6−(9−アクリジニル)−1,2,2,3−テトラメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン中6×10−5Mの濃度に溶解し、429nmの光源で励起し、0〜10%の間で水分を変化させた時の蛍光スペクトルの変化を測定した。結果を図41に示す。
【0103】
実施例19(KD−F0022を用いた吸光スペクトルの測定)
一般式(V)中のR4及びR13が水素原子で、R9、R10及びR11がメチル基で、R12が3−ブテニル基ある6−(9−アクリジニル)−2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン中6×10−5Mの濃度に溶解し、水分濃度0〜5%における吸収スペクトルを測定した。結果を図39に示す。
【0104】
実施例20(KD−F0022を用いた蛍光スペクトルの測定)
一般式(V)中のR4及びR13が水素原子で、R9、R10、R11及びR12がメチル基である6−(9−アクリジニル)−2−(3−ブテニル)−1,2,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−ペリミジンをテトラヒドロフラン中6×10−5Mの濃度に溶解し、429nmの光源で励起し、0〜5%の間で水分を変化させた時の蛍光スペクトルの変化を測定した。結果を図42に示す。
【0105】
実施例21(KD−F0021を用いた吸光スペクトルの測定)
KD−F0021を酢酸エチル中6×10−5Mの濃度に溶解し、水分濃度0〜10%における吸収スペクトルを測定した。結果を図44に示す。
【0106】
実施例22(KD−F0021を用いた蛍光スペクトルの測定)
KD−F0021を酢酸エチル中6×10−5Mの濃度に溶解し、426nmの光源で励起し、0〜10%の間で水分を変化させた時の蛍光スペクトルの変化を測定した。結果を図45に示す。
【0107】
実施例23(KD−F0021を用いた吸光スペクトルの測定)
KD−F0021をジクロロメタン中6×10−5Mの濃度に溶解し、水分濃度0〜5%における吸収スペクトルを測定した。結果を図46に示す。
【0108】
実施例24(KD−F0021を用いた蛍光スペクトルの測定)
KD−F0021をジクロロメタン中6×10−5Mの濃度に溶解し、433nmの光源で励起し、0〜5%の間で水分を変化させた時の蛍光スペクトルの変化を測定した。結果を図47に示す。
【0109】
【発明の効果】
本発明のアクリジン骨格を有する化合物は簡便で精度の高い微量水分測定方法に有用である。また、本発明のアクリジン骨格を有する化合物からなる化学センサーは固定化することができ、固体状態で化学センサーとして使用することができる。さらに、本発明の化学センサーは繰り返してまた連続して使用することができるので、簡便かつ安価であるのみならず、微量水分の連続的な計測が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、励起されて分極化される色素分子が極性溶媒で励起された状態を模式的に示したものである。
【図2】図2は、分極化している分子の基底状態と励起状態のようすを示したものである。
【図3】図3は、基底状態で分極していない分子の基底状態と励起状態のようすを示したものである。
【図4】図4は、様々な溶媒中におけるKD−F0010の吸光スペクトル変化を示したものである。図4中の1はTHFを、2は酢酸エチルを、3はアセトニリルを、4はジクロロメタンを、5はジエチルエーテルをそれぞれ示している。
【図5】図5は、様々な溶媒中におけるKD−F0010の蛍光スペクトル変化を示したものである。図5中の1はTHFを、2は酢酸エチルを、3はアセトニリルを、4はジクロロメタンを、5はジエチルエーテルをそれぞれ示している。
【図6】図6は、蛍光スペクトルの強度と溶媒の極性を示す値のひとつであるET(30)の値(kcal/mol)との関係をグラフとして示したものである。
【図7】図7は、最大蛍光波長と溶媒の極性を示す値のひとつであるET(30)の値(kcal/mol)との関係をグラフとして示したものである。
【図8】図8は、THF中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の吸光スペクトルを示したものである。図8中の1は水の含有量が0wt%であることを、2は水の含有量が0.25wt%であることを、3は水の含有量が0.5wt%であることを、4は水の含有量が0.75wt%であることを、5は水の含有量が1.0wt%であることを、7は水分含有量が3.00wt%であることを、9は水分含有量が5.00wt%であることをそれぞれ示している。
【図9】図9は、THF中の種々の濃度のエチルアルコール含量についてのKD−F0010の吸光スペクトルを示したものである。図9中の1はエチルアルコールの含有量が0wt%であることを、2はエチルアルコールの含有量が0.25wt%であることを、3はエチルアルコールの含有量が0.5wt%であることを、4はエチルアルコールの含有量が0.75wt%であることを、5はエチルアルコールの含有量が1.0wt%であることをそれぞれ示している。
【図10】図10は、酢酸エチル中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の吸光スペクトルを示したものである。図10中の1は水の含有量が0wt%であることを、2は水の含有量が0.25wt%であることを、3は水の含有量が0.5wt%であることを、4は水の含有量が0.75wt%であることを、5は水の含有量が1.0wt%であることを、7は水分含有量が3.00wt%であることを、9は水分含有量が5.00wt%であることをそれぞれ示している。
【図11】図11は、ジクロロメタン中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の吸光スペクトルを示したものである。図11中の1は水の含有量が0wt%であることを、2は水の含有量が0.25wt%であることを、3は水の含有量が0.5wt%であることを、4は水の含有量が0.75wt%であることを、5は水の含有量が1.0wt%であることを、7は水分含有量が3.00wt%であることを、9は水分含有量が5.00wt%であることをそれぞれ示している。
【図12】図12は、アセトニトリル中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の吸光スペクトルを示したものである。図12中の1は水の含有量が0wt%であることを、2は水の含有量が0.25wt%であることを、3は水の含有量が0.5wt%であることを、4は水の含有量が0.75wt%であることを、5は水の含有量が1.0wt%であることを、7は水分含有量が3.00wt%であることを、9は水分含有量が5.00wt%であることをそれぞれ示している。
【図13】図13は、THF中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示したものである。
【図14】図14は、THF中の種々の濃度のエチルアルコール含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示したものである。
【図15】図15は、酢酸エチル中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示したものである。
【図16】図16は、DMF中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示したものである。
【図17】図17は、ジエチルエーテル中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示したものである。
【図18】図18は、ジクロロメタン中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示したものである。
【図19】図19は、アセトニトリル中の種々の濃度の水分含量についてのKD−F0010の蛍光スペクトルを示したものである。
【図20】図20は、KD−F0010を用いたTHF中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図21】図21は、KD−F0010を用いた酢酸エチル中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図22】図22は、KD−F0010を用いたTHF中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図23】図23は、KD−F0010を用いたDMF中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図24】図24は、KD−F0010を用いたジエチルエーテル中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図25】図25は、KD−F0010を用いたジクロロメタン中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図26】図26は、KD−F0010を用いたアセトニトリル中における各種の水分濃度についての相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図の黒四角印は相対蛍光強度(図の左側のスケール)を示し、黒菱形は最大蛍光波長(図の右側のスケール)を示す。
【図27】図27は、ET(30)の値(kcal/mol)と1%での蛍光強度の減少の関係を示したものである。図27中の、1はTHFを、2は酢酸エチルを、3はアセトニリルを、4はジクロロメタンを、5はジエチルエーテルをそれぞれ示している。
【図28】図28は、ET(30)の値と0%と1%の間での最大蛍光波長の変化の関係を示したものである。図28中の、1はTHFを、2は酢酸エチルを、3はアセトニリルを、4はジクロロメタンを、5はジエチルエーテルをそれぞれ示している。
【図29】図29は、種々の水分含有量におけるTHF中でのKD−F0011の吸光スペクトルを示したものである。
【図30】図30は、404nmで励起した場合の種々の水分含有量(0.00v/v%〜5.00v/v%)におけるTHF中でのKD−F0011の蛍光スペクトルを示したものである。
【図31】図31は、THF中でのKD−F0011の蛍光スペクトルの相対蛍光強度と最大蛍光波長を示したものである。図31の黒丸印は相対蛍光強度を示し、黒四角印は最大蛍光波長を示す。
【図32】図32は、PEGDMA膜に固定化されたKD−F0011の各種溶媒における吸光スペクトルを示したものである。
【図33】図33は、種々の水分含有量を有するTHFにおける、404nmで励起したPEGDMA膜に固定化されたKD−F0011の蛍光スペクトルを示したものである。
【図34】図34は、KD−F0011と固定化されたKD−F0011における各種水分含有量の場合の蛍光波長の変動を示したものである。図34の黒四角印は固定化されていないKD−F0011を示し、黒丸印は固定化されたKD−F0011を示す。
【図35】図35は、KD−F0011と固定化されたKD−F0011における各種水分含有量の場合の相対蛍光強度の変動を示したものである。図35の黒四角印は固定化されていないKD−F0011を示し、黒丸印は固定化されたKD−F0011を示す。
【図36】図36は、固定化されたKD−F0011を用いて水及びアルコールについて同様な検出、定量を試みてみた結果を示すものである。図36の黒四角印は水の場合を示し、黒丸印はメタノールの場合を示し、黒三角印はエタノールの場合を示す。
【図37】図37は、THF中の種々の水分濃度(0〜10%)におけるKD−F0020の吸光スペクトルを示したものである。
【図38】図38は、THF中の種々の水分濃度(0〜10%)におけるKD−F0021の吸光スペクトルを示したものである。
【図39】図39は、THF中の種々の水分濃度(0〜5%)におけるKD−F0022の吸光スペクトルを示したものである。
【図40】図40は、THF中の種々の水分濃度(0〜10%)におけるKD−F0020の蛍光スペクトルを示したものである。
【図41】図41は、THF中の種々の水分濃度(0〜10%)におけるKD−F0021の蛍光スペクトルを示したものである。
【図42】図42は、THF中の種々の水分濃度(0〜5%)におけるKD−F0022の蛍光スペクトルを示したものである。
【図43】図43は、本発明の種々の機能性色素についての水分濃度と相対蛍光強度の関係を示したものである。図43中の1はKD−F0020(励起波長436nm、蛍光波長522nm)、2はKD−F0021(励起波長429nm、蛍光波長598nm)、3はKD−F0022(励起波長432nm、蛍光波長592nm)、4はKD−F0010(励起波長398nm、蛍光波長532nm)についてのものである。
【図44】図44は、酢酸エチル中の種々の水分濃度(0〜10%)におけるKD−F0021の吸光スペクトルを示したものである。
【図45】図45は、酢酸エチル中の種々の水分濃度(0〜10%)におけるKD−F0021の蛍光スペクトルを示したものである。
【図46】図46は、ジクロロメタン中の種々の水分濃度(0〜5%)におけるKD−F0021の吸光スペクトルを示したものである。
【図47】図47は、ジクロロメタン中の種々の水分濃度(0〜5%)におけるKD−F0021の蛍光スペクトルを示したものである。
【図48】図48は、種々の溶媒中の水分濃度と相対蛍光強度の関係を示す。図48中の1はジクロロメタン、2は酢酸エチル、3はTHFの場合をそれぞれ示している。
【図49】図49は、水によるKD−F0021の消光のStern-Volmerプロットを示す。
Claims (34)
- 電子供与基となりうる含窒素化合物部分と電子受容基としてのアクリジン部分とから成るアクリジン誘導体を用いて媒体中の微量水分を検出又は定量する方法。
- R1、R2、R3及びR4がそれぞれ独立して水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基である請求項3に記載の方法。
- R1、R2、R3及びR4が、それぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアルケニル基である請求項3又は4に記載の方法。
- R1、R2、R3又はR4のいずれか1個又は2個が、高分子量の基である請求項3又は4に記載の方法。
- R2がアルキル基、アルケニル基又は高分子骨格に懸垂された基である請求項3〜6のいずれかに記載の方法。
- 高分子骨格に懸垂された基における高分子骨格が炭素−炭素多重結合の付加重合により誘導される重合体である請求項7に記載の方法。
- 炭素−炭素多重結合の付加重合により誘導される重合体が、アクリル酸又はメタクリル酸の誘導体との共重合体である請求項8に記載の方法。
- R1がメチル基で、R3及びR4が水素原子で、R2がメチル基、5−ヘキセニル基又はポリ(エチレングリコール)ジメタクリレートとの共重合体に懸垂された基である請求項3〜9のいずれかに記載の方法。
- R9、R10、R11、R12及びR13が、それぞれ独立して水素原子又は置換基を有してもよい炭化水素基である請求項11に記載の方法。
- R4、R9、R10、R11、R12及びR13が、それぞれ独立して水素原子、アルキル基又はアルケニル基である請求項11又は12に記載の方法。
- R9、R10及びR11がアルキル基で、R12がアルキル基又はアルケニル基で、R4及びR13が水素原子である請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
- 媒体が有機溶媒である請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
- 媒体中の水分の量が50重量%以下である請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
- 蛍光強度の測定による請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
- 請求項1〜14のいずれかに記載されたアクリジン誘導体を含有してなる媒体中の微量水分を検出又は定量するための組成物。
- 請求項1〜17のいずれかに記載の媒体中の微量水分を検出又は定量する方法を行うための装置。
- R7及びR8が水素原子である請求項20に記載のアクリジン誘導体。
- 不飽和炭化水素基の不飽和結合が、重合性の不飽和結合である請求項20又は21に記載のアクリジン誘導体。
- R7及びR8が水素原子で、R5がメチル基で、R6がアルケニル基である請求項20〜22のいずれかに記載のアクリジン誘導体。
- R6が5−ヘキセニル基である請求項23に記載のアクリジン誘導体。
- 固定化された請求項20〜24のいずれかに記載のアクリジン誘導体。
- R6の高分子骨格に懸垂された基における高分子骨格が、炭素−炭素多重結合の付加重合により誘導される重合体である請求項20〜25のいずれかに記載のアクリジン誘導体。
- 炭素−炭素多重結合の付加重合により誘導される重合体が、アクリル酸又はメタクリル酸の誘導体との共重合体である請求項26に記載のアクリジン誘導体。
- アクリル酸又はメタクリル酸の誘導体が、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレートである請求項27に記載のアクリジン誘導体。
- R4、R9、R10、R11、R12及びR13が、それぞれ独立して水素原子又は置換基を有してもよい炭化水素基である請求項29に記載のアクリジン誘導体。
- R9、R10及びR11がそれぞれ独立して低級アルキル基で、R12が低級アルキル基、アルケニル基又は高分子骨格に懸垂された基で、R4及びR13が水素原子である請求項29又は30に記載のアクリジン誘導体。
- R9、R10及びR11がメチル基で、R12がメチル基又は3−ブテニル基で、R4及びR13が水素原子である請求項29〜31のいずれかに記載のアクリジン誘導体。
- 請求項20〜32に記載のアクリジン誘導体からなる化学センサー。
- 化学センサーが媒体中の微量水分の検出又は定量するためのものである請求項33に記載の化学センサー。
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