JP3663310B2 - 光ビームスポット変換器及びこれを用いた光伝送モジュール並びに光伝送システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として光伝送システムあるいは光交換システムに使用される光伝送モジュールに係り、光伝送モジュールにおける発光または受光素子と光ファイバ、あるいは発光または受光素子と光回路、光回路と光ファイバと等の光結合を高効率にするとともに組立等の製作を容易にする光導波路、光ビームスポット変換器等の光結合技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報伝送路の光化が進展し、各種産業の事業所ビルのみならず、集合家屋や個別家屋にまで光ファイバを用いた情報伝送が計画されている。ここでの重要課題の1つは、言うまでもなく光伝送システムの低価格化であり、特に末端の一般加入者に接続される光伝送モジュールの低価格化が急務になっている。この加入者系光伝送モジュールの大幅低コスト化のため、近年光ビームスポット径変換器付き半導体レーザの実用化が進められてきた。これは1平面上に光部品を実装する実装方式と、レンズを除去することで低コスト化を狙うものであり、部品としてのレンズを除去するために半導体レーザにレンズ機能を持たせたものと解釈できる。この光ビームスポット径変換器は、ビームスポット径拡大器であり、レンズ機能としては必ずしも十分な性能ではないが、出射後の光ビームの広がりが小さくなり、光ファイバ等への直接光結合が従来型レーザに比べ大幅に改善されている。この結果、光モジュールの組立が容易になり実装も簡素化されて製造コストの低減が1歩前進した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の光ビームスポット径変換器においては、コア部の出射端側をテーパ状にするために、選択結晶成長技術が用いられている。このように選択結晶成長技術を用いてコア部の出射端側をテーパ形状にするため、所望のテーパ形状が得られず、ビームスポット径変換部をレーザ共振器の内か外に設けたとしても、いずれにしろレーザ自体の最適設計に影響し、あるいはレーザ特性に対する製作誤差の影響が敏感になる等の課題が生じることになる。このため従来型レーザに対し製造歩留りが劣化し、レーザ自体の価格を上昇させ、よって光伝送モジュールの価格低減の歩みを減速させる要因となっている。
また、選択結晶成長によるテーパ化でのスポット径拡大の限界は、ガウスビーム近似の遠視野像発散角で表現すれば、現状10度前後である。このため、スポット径拡大器付きレーザを用いる場合においても、光結合効率を高くかつ組立を更に容易するためには、半導体レーザ以外にも、これと組み合わせる新規の光結合技術に関する発明が必要になっている。ところで、光ビームスポットの変換は、本明細書で用いる座標系で説明すれば、y軸方向のみへの変換は比較的容易であるが、x軸およびy軸両方向への変換はかなり困難である。理論的にはx軸方向にコアをテーパにすればこれを実現でき、実際半導体レーザではこの方法で実用化されているが、既に述べたように選択結晶成長技術が必要で、例えば石英系光導波路等へそのまま導入することは困難なように、一般性のある安価な実現方法とは言えない。また、x軸およびy軸両方向へのビームスポット拡大法の他の公知例として、ガラスまたはシリコン基板上に形成され光導波路の端部を熱し、コア部のドーパントを熱拡散させてコア径を連続的に拡大させたものがあるが、1ウェハに複数の光回路があるような場合の光導波路端のみを一括して熱拡散することは極めて困難で、生産性が高い方法とは言えず低コスト化に適した手段とは言えない。
【0004】
また、アレー型の半導体レーザでは、光ビームスポット径変換器付きレーザの実用化そのものがまだ達成されておらず、アレー型半導体レーザを用いた光並列伝送モジュールではマイクロレンズアレー等の導入が必須で、このため光並列伝送モジュールの低価格化を一層困難にしている。
また、半導体レーザと光ファイバの間に光導波路で実現される光回路があるモジュールでは、半導体レーザの遠視野像発散角が光ファイバのそれとほぼ同等でない限り、半導体レーザと光回路及び光回路と光ファイバの間の光結合を同時に最適化することはできず、それぞれの最適化は犠牲にする条件下で光回路を設計せざるを得ない、という課題がある。あるいは、逆に、光結合効率を優先するために、光回路を小形にするというような課題を犠牲にする、という課題がある。
【0005】
本発明の目的は、上記課題を解決すべく、比較的任意の光部品の間に設置できる安価で、且つ小形の光導波路および光ビームスポット変換器を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、極めて単純なプロセスで実現して低価格化を図った光導波路および光ビームスポット変換器を提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、光導波路から成る光回路の両端と光素子および光ファイバ個別との間において最適な光結合を実現して光利用効率向上と製造の容易化を達成することができる光伝送モジュールを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、光ビームスポット変換器を、光回路や光素子を搭載する基板上に容易に製作できるようにして、低価格化を図った光伝送モジュールを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、光伝搬方向である光軸をz軸、これに直交する断面で垂直方向の軸をx軸、水平方向の軸をy軸とする光導波路であって、前記x軸およびy軸の原点をほぼ中心としてz軸方向に光を伝搬するように形成されたコア部と、該コア部を囲みコア部より低屈折率であり、x座標が原点でない正または負領域において境界を有して互いに接する屈折率の異なる少なくとも2層で構成されたクラッド層とを有し、前記コア部を前記光軸方向に不連続で形成したことを特徴とする光導波路である。
また、本発明は、光伝搬方向である光軸をz軸、これに直交する断面で垂直方向の軸をx軸、水平方向の軸をy軸とする光導波路であって、前記x軸およびy軸の原点をほぼ中心としてz軸方向に光を伝搬するように形成されたコア部と、該コア部を囲みコア部より低屈折率であり、x座標が原点でない正または負領域において境界を有して互いに接する屈折率の異なる少なくとも2層で構成されたクラッド層とを有し、前記コア部を、コアの幅およびコアの光軸方向の長さ、並びにコアの1部を除去した部分の長さを非周期的に変化させて光軸方向に不連続で形成したことを特徴とする光導波路である。
【0008】
また、本発明は、光伝搬方向である光軸をz軸、これに直交する断面で垂直方向の軸をx軸、水平方向の軸をy軸とする光導波路であって、前記x軸およびy軸の原点をほぼ中心としてz軸方向に光を伝搬するように形成されたコア部と、該コア部を囲みコア部より低屈折率であり、x座標が原点でない正または負領域において境界を有して互いに接する屈折率の異なる少なくとも2層で構成されたクラッド層とを有し、前記コア部を前記光軸方向に不連続で形成して光ビームスポットを変化させるように構成したことを特徴とする光ビームスポット変換器である。
また、本発明は、光伝搬方向である光軸をz軸、これに直交する断面で垂直方向の軸をx軸、水平方向の軸をy軸とする光導波路であって、前記x軸およびy軸の原点をほぼ中心としてz軸方向に光を伝搬するように形成されたコア部と、該コア部を囲みコア部より低屈折率であり、x座標が原点でない正または負領域において境界を有して互いに接する屈折率の異なる少なくとも2層で構成されたクラッド層とを有し、前記コア部を、コアの幅およびコアの光軸方向の長さ、並びにコアの1部を除去した部分の長さを非周期的に変化させて光軸方向に不連続で形成して光ビームスポットを変化させるように構成したことを特徴とする光ビームスポット変換器である。
【0009】
また、本発明は、前記光導波路または光ビームスポット変換器で、光軸断面において、コア部の一部をy軸方向に広げてコア部をリブ型で形成したことを特徴とする。
また、本発明は、前記光導波路または光ビームスポット変換器で、光軸断面において、コア部の下部をy軸方向に広げてコア部をリブ型で形成し、コア部の下部側に位置する下部クラッド層の屈折率をコア部の上部側に位置する上部クラッド層の屈折率より小さくしたことを特徴とする。
また、本発明は、前記光導波路または光ビームスポット変換器で、光軸断面において、コア部と同一材料またはほぼ同一屈折率の材料から成り、コア部の厚さより薄くしてy軸方向に広げて形成されたコア材をコア部に近接して設けたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、クラッド部とコア部とから成る光導波路において、コア部のパターンを特定の形状にし、クラッド部の屈折率を特定の値に設定した場合における光の伝搬現象のみを利用して光ビームスポット変換機能を実現することにある。即ち、本発明は、小形化のために光軸方向にコアを不連続にし、x軸方向のビームスポット変換のためにクラッド部を屈折率が異なる2層以上で構成し、クラッド部における屈折率の大小関係と不連続コア形状と組み合わでこれを達成する光導波路または光ビームスポット変換器である。
また、本発明は、前記光導波路または光ビームスポット変換器で、光軸断面において、コア部の下部側に位置する下部クラッド層の屈折率をコア部の上部側に位置する上部クラッド層の屈折率より小さくし、コア部と同一材料またはほぼ同一屈折率の材料から成り、コア部の厚さより薄くしてy軸方向に広げて形成されたコア材をコア部に近接して前記下部クラッド層に埋設したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、発光素子または受光素子と、光ファイバとを備え、発光素子または受光素子と光ファイバとの間に前記光導波路または光ビームスポット変換器を備えて構成したことを特徴とする光伝送モジュールである。
また、本発明は、前記光伝送モジュールを備え、該光伝送モジュールにより情報を伝送するように構成したことを特徴とする光伝送システムまたは光交換システムである。
【0012】
以上説明したように、前記構成によれば、半導体レーザ等の発光素子または受光素子とは独立に、小形で製作コストの低い光ビームスポット変換器を実現することができる。
また、前記構成によれば、特に光回路を含むような光伝送モジュールに対し、単独でも光回路の入出射部の両方あるいはいずれかに接続しても動作し、あるいは光回路と一体化して作製でき、かつ入出射それぞれの光結合を独立に最適化できる小形光ビームスポット変換器を実現することで、高性能で低価格の光伝送モジュールを実現することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る光導波路、光ビームスポット変換器、およびこれを用いた光伝送モジュールの実施の形態について、図面を用いて具体的に説明する。
先ず、本発明の基本的な考え方、および本発明の背景にある原理について説明する。
一般に、光導波路は単一モードの光導波路が用いられるため、コア断面積は小さく、コアとクラッドの屈折率差も小さい。コア断面積が小さいため、光導波路からの出射光は回折により大きな角度で広がり、このため他の光部品との光結合効率を下げ、また、極めて高い光部品の組立精度を必要としている。従って、組立を容易にして製造コストを下げるための最重要課題が出射光の広がりを低減することであり、このため光導波路内で光ビームスポットを拡大することが近年精力的に検討されてきた。このようにビームスポット変換はビームスポット拡大が基本であるから、ここではビームスポット拡大について説明する。
【0014】
光導波路ではその光導波路固有のモードで光は伝搬するが、このモード径を拡大するためには2方法がある。第1は、コア断面積を拡大する方法で、拡大したコアに沿ってモード径は広がる。第2は、逆にコア断面積を縮小する方法で、コア径が小さくなるとコアへの光の閉じ込めが弱くなり、コア外へ光の染み出しが大きくなる結果拡大するものである。
ところで、コア形状を変えるためには、y軸方向であれば単にマスク設計で可能であるが、x軸方向に変えるのは簡単ではない。前記した選択結晶成長のような特殊な方法、技術が必要である。
そこで、本発明における第1の特徴とする着目点は、x軸方向にコア形状を変えなくても、x軸方向にビームスポット径を拡大できるようにすることにある。本発明は、この第1の着目点を達成すべく、上記の原理を組み合わせて構成することにより成された。即ち、本発明における第1の構成要件は、図1および図3に示すように、コア11a(31)への光の閉じ込めが弱くなる領域を形成すると共に、クラッド12、13(32、33)を異なる屈折率(N1、N2)の多層で構成する点にある。この構成により、閉じ込めが弱くコア外へ染み出した光は屈折率の高いクラッド12(32)側へ引き寄せられる。一方、y軸に対し反対側への引き寄せは、屈折率の低いクラッド層に接する側のコア11b(34)のy軸方向長さを長くする、いわゆるリブ型コア11bによって行う。これらにより初めて、特殊なプロセスを導入することなく、あるいは工程数の大幅増大を招くこともなく、x軸方向のビームスポット拡大が可能になった。光の閉じ込めを部分的に弱くするには、光軸方向でコア11a(31)を部分的に除去し、クラッド材12(32)でこの部分を埋める、即ち、セグメント型のコアにする、という着想を得て実施した。
【0015】
これは、光ビームスポット変換器を小形にする(短くする)という第2の特徴点を達成するための重要な手段でもある。
図1は、上記の基本的な考え方の元にシミュレーションを行い、この結果に基づいて設計された本発明に係る小形の光ビームスポット変換器の第1の実施例を示すものである。図1(a)は断面図、(b)はx=0でのyーz平面図である。但し(b)はy軸を10倍に拡大してあり、y方向10μmに対しz方向は100μmの長さになっている。またこの例では、コア11の屈折率N0=1.46416、第1のクラッド12の屈折率N1=1.4586、第2のクラッド13の屈折率N2=1.4576としている。このように、光軸方向でコア11aを部分的に除去し、この部分をクラッド材12で埋める、即ち、セグメント型のコアにすることによって、コア11aへの光の閉じ込めが弱くなる領域を形成し、屈折率の低いクラッド層に接する側のコアのy軸方向長さを長くする、いわゆるリブ型コア11bによって形成し、第1のクラッド12と第2のクラッド13とを異なる屈折率(N1、N2)の多層で構成する。この構成により、閉じ込めが弱くコア外へ染み出した光は、屈折率の高いクラッド12側へ引き寄せられ、一方、リブ型コア11bによってy軸に対し反対側への引き寄せが行われて、y軸方向は元よりx軸方向についてもビームスポットを拡大することが可能となった。なお、コア11の屈折率は、第1および第2のクラッドの屈折率よりも僅か高くして構成する。また、第1のクラッド32の屈折率は、第2のクラッド33の屈折率よりも僅か高くする。
【0016】
図2は、本実施例における光ビームスポット拡大の性能を示すもので、xーy断面における光強度を等高線21を用いてこれを示した。図2(a)は、基本固有モードの導波光が本実施例の光ビームスポット変換器に入射した場合の、図1(b)に示す入射端から5μmの位置Aの光強度であり、図2(b)から図2(e)まではAから20μm毎の位置B〜Eの光強度を示している。図2(f)は入射端から100μmの位置Fの光強度を示している。これより、光の進行とともにビーム径が拡大していっているのが分かる。なお、この計算には3次元のFD(Finite Difference:差分)−BPM(Beam Propagation Method)を用いた。
図3は、本発明に係る小形の光ビームスポット変換器の第2の実施例を示すもので、第1の実施例のリブ型コア11bの替わりに、第2のクラッド層33の内部に屈折率の大きいコア材34を薄く成膜したものを挟み、その上に矩形断面のコア31を形成したものである。これを(a)の断面図を用いて示した。図3(b)は、図1(b)と同様に、第2の実施例を示すx=0でのyーz平面図である。それぞれの屈折率は、高屈折率層34がコア31と同じでN3=N0=1.4576、第1のクラッド32のN1=1.4589、第2のクラッド33は第1の実施例と同じでN2=1.4576である。このように、光軸方向でコア31を部分的に除去し、この部分をクラッド材32で埋める、即ち、セグメント型のコアにすることによって、コア31への光の閉じ込めが弱くなる領域を形成し、屈折率の低いクラッド層33内に埋設されたy軸方向長さを長くした薄膜状のコア34によって形成し、第1のクラッド32と第2のクラッド33とを異なる屈折率(N1、N2)の多層で構成する。この構成により、閉じ込めが弱くコア外へ染み出した光は、屈折率の高いクラッド32側へ引き寄せられ、一方、薄膜状コア34によってy軸に対し反対側への引き寄せが行われて、y軸方向は元よりx軸方向についてもビームスポットを拡大することが可能となった。なお、コア材34は、コア31と同じ材料で同じ屈折率してもよく、またほぼ同じ屈折率を有する材料で構成してもよい。しかし、コア31およびコア材34ともに屈折率を、第1および第2のクラッドの屈折率よりも僅か高くする。また、第1のクラッド32の屈折率は、第2のクラッド33の屈折率よりも僅か高くする。
【0017】
図4は、第2の実施例における光ビームスポット拡大の性能を示すもので、図2と同様、xーy断面における光強度を等高線41を用いてこれを示した。図4(a)から図4(e)は、図2(a)から図2(e)までと同様、入射端から5μmの位置Aより20μm毎の位置B〜Eの光強度を示している。図4(f)も同様に入射端から100μmの位置Fの光強度を示している。
第1の実施例においても第2の実施例においても、ある範囲でのビームスポット拡大率の選択ははコア形状の設計で可能であり、選択範囲は素子長を長くするほど広がるが、ここでは100μm程度という短かさで当面の要求に応えられるビームスポット拡大ができることを例示した。
【0018】
次に、本発明に係る小形の光ビームスポット変換器の製造方法について、図5を用いて説明する。図5は、図1に示す本発明に係る小形の光ビームスポット変換器の第1の実施例の製造プロセスを示す断面図である。
先ず、ガラスもしくはSi(シリコン)基板の上に、石英系または有機材料を用いる公知の光導波路作製法と同様の方法で製造する。例えば、Si等の基板55を用いた石英系の場合を説明すれば、石英系の光導波路作製とまったく同様、CVDやEB蒸着あるいは火炎堆積法等による石英系の膜の成膜が基本になる。図5(a)は、火炎堆積法による方法を示したもので、Si基板55の上に第2のクラッド層53とコア層51を、原料を酸水素炎中で加熱加水分解して得られるガラス微粒子として堆積する。但し、コア層51は酸化チタンや酸化ゲルマニウム等のドーパント濃度を高くしてある。次に、図5(b)に示すように、ガラス微粒子膜51、53を電気炉中で高温に加熱してこれを透明化する。このガラス微粒子51、53の堆積と透明化は、通常クラッド層53とコア層51をそれぞれ個別に行うが、ここでは一括して行う場合を示した。なお、ガラス微粒子膜53を透明化することによって、第2のクラッド層13(例えば屈折率N2=1.4576)が形成されることになる。
【0019】
続いて、図5(c)に示すように、コア層51のパターニングをフォトリソグラフィを用いて行う。即ち、レジストを塗布し、マスクパターンを転写後、所定の深さRIE(反応性イオンエッチング)によりエッチングして図1(a)、(b)に示すようなリブ型コア11(例えば屈折率N0=1.46416)を形成する。
その後、図5(d)に示すようにドーパント量により屈折率を調整した第1のクラッド層52を、ガラス微粒子として堆積させ、さらに図5(e)に示すように高温で加熱して透明化し、第2のクラッド層13より僅か屈折率を大きくした第1のクラッド層12(例えば屈折率N1=1.4585)を形成する。石英系の材料を用いる場合には、ガラス軟化温度や熱膨張係数の調整のために、補助的なドーパントを微量添加することが多い。
以上にして、Si等の基板55上に本発明に係る小形の光ビームスポット変換器の第1の実施例が形成されることになる。
【0020】
図3に示す本発明に係る小形の光ビームスポット変換器の第2の実施例の製造プロセスも、コア31と薄膜状のコア34とを僅か離す関係で、成膜回数が増加するものの第1の実施例の製造プロセスとほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0021】
次に、本発明に係る小形の光ビームスポット変換器を備えた並列光伝送モジュールの実施例について説明する。図6は、本発明に係るアレー型光素子を用いた並列光伝送モジュールの第1の実施例を示す概念図である。Si等の基板55に光ビームスポット変換器101を作成し、その後一方の入射端側に光素子102をはんだ接続するためのメタライズ(図示していない)と、位置合せ用のアライメントマーク(図示していない)を形成する。光素子102にも位置合せ用のアライメントマークを予め形成しておき、これらのマークを基準にしたいわゆるパッシブアライメント法により位置合せし、加熱によりはんだを溶融させて光素子101をSi等の基板55上に接続する。はんだは、基板55または素子102のどちら側かに数μm厚蒸着してパターニングし、はんだ膜パターンとして形成しておく。なお、Si等の基板55上には、光素子101に信号を入力するための配線が形成されている。また、この基板55上に送信信号を増幅して符号化して光素子101に入力するIC素子252(図8に示す。)を搭載してもよい。
【0022】
光ファイバ103(外形が約125μm程度)は、ガラスまたはSi等の基板104上にV溝107を形成し、これに約8μm程度の径を有するコア103aを埋め込んで保護板(図示していない)で蓋をした光ファイバ束のブロック(多芯光コネクタ部分)105aを作製しておく。この光ファイバ束のブロック(多芯光コネクタ部分)105aと、前記の光素子102と光ビームスポット変換器101を搭載する基板55とを、パッシブまたはアクティブアライメント法により位置合せし、接着剤106を用いて接着接続して並列光伝送モジュール100aを構成する。アクティブアライメントでは、基本的には両端のチャンネルを使って位置合せするが、更に中央のチャンネルも使って位置合せしてもよく、特定の方法に限定されるものではない。接着剤106はUV硬化型でも熱硬化型でもよいが、硬化時の変形が小さく、信頼性の高いものが望ましいことは言うまでもない。
【0023】
このように、各光素子(発光素子)101で発光された光は、光ビームスポット変換器101の約10μm程度以下のコア11a、31に入射され、図1(b)および図3(b)に示すZ方向に進む従って、図2および図4に示すようにX軸方向およびY軸方向にビーム径が拡大されて光ファイバの発散角を同程度で出射され、光ファイバ束103の約8μm程度の径を有する各コア103aに入射されて最適化された光結合を実現することができる。即ち、各光素子101で発光された光を損失を少なくして光ファイバ103の束を用いて伝送することができる。
また、逆に、光ファイバ束103の各コア103aによって伝送されてきた光を、最適化された光結合でもって光ビームスポット変換器101の約10μm程度以下のコア11a、31に入射させ、光ビームスポット変換器101を進むに従ってビーム径を縮小して出射して各光素子(受光素子)101で受光することができる。
【0024】
図7は、本発明に係るアレー型光素子を用いた並列光伝送モジュールの第2の実施例を示す概念図である。第1の実施例と異なるのは、V溝107を形成した基板55上に光ビームスポット変換器101を例えば図5に示す製造プロセスを用いて作製し、光素子102を搭載して並列光伝送モジュール100bを構成した点である。V溝107を形成した基板55を用いるため、光ビームスポット変換器101は有機材料を使用して作製するのが容易である。光導波路用の有機材料を用いれば、スピンコートとベークで成膜することができる。但し、V溝があるため平坦な膜を作製するのは困難なため、本実施例ではレジストを厚く塗布し、これを基板表面までエッチングで除去して先ずV溝部を埋めて平坦化しておくことが好ましい。V溝近傍部にはアライメントマークを形成しておき、これを基準に光ビームスポット変換器101を作製し、素子搭載用メタライズを形成すれば、マスク合せの精度で相互の位置精度が決まるパターニングができ、極めて効率の高い光結合が実現できる。光素子102は、パッシブアライメントで位置合せし、はんだで接続する。その後光ファイバ束103のコア103aをV溝107に挿入し、接着剤を塗布し保護板で蓋をするとともにUV照射または加熱により硬化させ接着し、光ファイバ束のブロック(多芯光コネクタ部分)105bを光ビームスポット変換器101および光素子102と一体で構成する。
モジュールとしては、さらに電気的接合をとり素子の封止等も必要であるが、これは公知の方法を適用すればよいので、あるいは、本発明に直接関わらないので、説明を省略する。
【0025】
以上説明したように、光伝送モジュール100における第1の実施例においても第2の実施例においても、光ビームスポット変換器101の設計は、光素子102が発光素子か受光素子かにより異なるが、ビーム発散型の発光素子の場合には、ビームスポット拡大と縮小を組合せて凸レンズ機能を持たせたとき、結合効率とトレランス両者の拡大を特に顕著に改善することが可能となる。
なお、光ビームスポット変換器を備えた光伝送モジュールとして、波長多重送受信モジュールへも適用することができる。
【0026】
次に、本発明に係る並列光伝送モジュール100を用いた交換機または計算機からなる光伝送システムの実施例について図面を用いて説明する。図8は、本発明に係る並列光伝送モジュールを用いた交換機または計算機からなる光伝送システムの実施例における信号接続の関係を示す概念図である。大形計算機のプロセッサ間や、プロセッサ・記憶装置間等での高速信号伝送、高密度な信号配線の軽量化、細径化、耐ノイズ性向上等の目的で用いられる。即ち、光伝送システムの基本構成は、情報源からの電気信号を送信端において光信号に変換し、光ファイバを介して伝送し、受信端で再び光信号を電気信号に戻す構成になっている。なお、光伝送システムとして、情報源からの信号の符号化の段階から直接光が用いられ、伝送系全体に亘って光信号が増幅、伝送、処理される構成でもよい。また、電気信号を光信号に変換する変調方式としては、光電力を変調する強度変調が用いられる。また、信号の符号としては、デジタル伝送方式の場合、光源の直線性を考慮して2値伝送が用いられる。
【0027】
そして、装置201、202には、装置間の信号接続用基板253a、253b、253c、253d等が内臓され、それぞれの信号接続用基板253a(55a)、253b(55b)、253c(55c)、253d(55d)上には、複数個の前述の並列光伝送モジュール251a(100)等とLSI部品252等が搭載されている。並列光伝送モジュール251a(100)では、情報は電気信号から光信号へ変換され、多芯光コネクタ254a(105)を介して光ファイバアレイ255a(103a)に伝送される。装置間は、同様な光ファイバアレイをまとめた光ファイバアレイ束256(103)を介して信号が伝送される。光ファイバアレイ255a(103)に接続される他方の装置の信号接続用基板253b(55b)上の並列光伝送モジュール251b(100)では、光信号から電気信号へ変換され、装置間の光による信号伝送が可能になる。
【0028】
なお、上記の説明では、並列光伝送モジュール251(100)等とLSI部品252等が搭載される信号接続用基板253と並列光伝送モジュール251(100)を構成する基板55とを同一基板で構成するように説明したが、並列光伝送モジュール251(100)を構成する基板55を、信号接続用基板253上に搭載して実装することが可能となる。その場合、信号接続用基板253上のLSI部品252に接続される配線と、基板55における光素子102に接続される配線とを接続する必要がある。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、光ビームスポット変換器をコア形状の設計でビーム拡大率を可変できるように構成することによって、例えば光素子と光ファイバおよびその間に光導波路から成る光回路とで構成される光伝送モジュールにおける光回路の両端と光素子および光ファイバ個別との間において最適な光結合を実現でき、光伝送モジュールの光利用効率向上と製造の容易化に大きな効果を発揮することができる。
また、本発明によれば、光ビームスポット変換器を容易に製造することができるため、光伝送モジュールとして低価格化にも大きく寄与することができる。
【0030】
また、本発明によれば、光ビームスポット変換器を、光回路や光素子を搭載する基板上に作製できるため、光伝送モジュールの構成が簡素で実装が容易になり、光伝送モジュールの低価格化にこの点からも効果を大きくすることができる。また、本発明によれば、x、y両方向にビームスポット変換が可能な光ビームスポット変換器を、極めて単純なプロセスで実現するものであるため、選択結晶成長のような方法を必要とするものに比べて光ビームスポット変換器自体の低コスト化が可能である。
また、本発明によれば、光ビームスポット変換器をセグメント状のコアで構成することにより、光ビームスポット変換器の小形化(素子長の短縮)を実現することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ビームスポット変換器(光導波路)の第1の実施例を示す断面図と平面図。
【図2】本発明に係る光ビームスポット変換器(光導波路)の第1の実施例における作用を示す光強度等高線図。
【図3】本発明に係る光ビームスポット変換器(光導波路)の第2の実施例を示す断面図と平面図。
【図4】本発明に係る光ビームスポット変換器(光導波路)の第2の実施例における作用を示す光強度等高線図。
【図5】本発明に係る光ビームスポット変換器(光導波路)の第1の実施例の製造プロセスを説明する断面図。
【図6】本発明に係る並列光伝送モジュールの第1の実施例を示す斜視図。
【図7】本発明に係る並列光伝送モジュールの第2の実施例を示す斜視図。
【図8】本発明に係る光伝送システムの一実施例を説明する図。
【符号の説明】
11、11a、11b、31…コア、12、32…第1のクラッド、13、33…第2のクラッド、34…コア材(高屈折率層)、21、41…光強度等高線、55…シリコン等の基板、100、100a、100b、251a、251b…光伝送モジュール、101…光ビームスポット変換器(光導波路)、102…アレイ型光素子、103、256…光ファイバ束、103a、255a…光ファイバのコア、104…基板、105、105a、105b、254a…光ファイバブロック(多芯光コネクタ)、106…接着剤、107…V溝、201、202…装置。
Claims (4)
- 光伝搬方向である光軸をz軸、これに直交する断面で垂直方向の軸をx軸、水平方向の軸をy軸とし、光ビームスポット変換機能を有する光導波路であって、
複数のコアを、前記x軸およびy軸の原点をほぼ中心としてx軸方向の厚さを変化させないで不連続で互いに離間させて並設し、前記x−y断面において下部をy軸方向に広げてリブ型で形成し、光ビームをz軸方向に伝搬するように形成されたコア部と、
該コア部より屈折率が低く、前記コア部のx軸方向の上部側に位置して前記コア部に接する上部クラッド層と該上部クラッド層よりも屈折率が低く、且つ前記コア部のx軸方向の下部側に位置して前記コア部の下部に接する下部クラッド層とで構成されたクラッド層とを有し、
前記コア部は、前記光軸上において前記上部クラッド層の材料が埋め込まれて光の閉じ込めを部分的に弱くする除去部を有するセグメント型のコアを含み、
さらに前記コア部を形成する複数のコアに亘って各コアにおけるy軸方向の幅、z軸方向の長さ及び前記除去部のz軸方向の長さを非周期的に変化させて形成したことを特徴とする光ビームスポット変換器。 - 光伝搬方向である光軸をz軸、これに直交する断面で垂直方向の軸をx軸、水平方向の軸をy軸とし、光ビームスポット変換機能を有する光導波路であって、
複数のコアを、前記x軸およびy軸の原点をほぼ中心としてx軸方向の厚さを変化させないで不連続で互いに離間させて並設して光ビームをz軸方向に伝搬するように形成されたコア部と、
該コア部より屈折率が低く、前記コア部のx軸方向の上部側に位置して前記コア部に接する上部クラッド層と該上部クラッド層よりも屈折率が低く、且つ前記コア部のx軸方向の下部側に位置して前記コア部の下部に接する下部クラッド層とで構成されたクラッド層とを有し、
前記x−y断面において前記コア部と同一材料またはほぼ同一屈折率の材料から成り、前記コア部の厚さより薄くしてy軸方向に広げて形成したコア材を前記コア部に近接して前記下部クラッド層に埋設し、
さらに前記コア部は、前記光軸上において前記上部クラッド層の材料が埋め込まれて光の閉じ込めを部分的に弱くする除去部を有するセグメント型のコアを含み、
さらに前記コア部を形成する複数のコアに亘って各コアにおけるy軸方向の幅、z軸方向の長さ及び前記除去部のz軸方向の長さを非周期的に変化させて形成したことを特徴とする光ビームスポット変換器。 - 発光素子または受光素子と、光ファイバとを備え、発光素子または受光素子と光ファイバとの間に請求項1又は2に記載された光ビームスポット変換器を備えて構成したことを特徴とする光伝送モジュール。
- 請求項3に記載の光伝送モジュールを備え、該光伝送モジュールにより情報を伝送するように構成したことを特徴とする光伝送システム。
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