JP3663321B2 - 磁気ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスク装置に係り、特に、情報の書き込みと読み出しを行うヘッドを情報が記憶される磁気円板上の所定の位置に高精度に位置決めするための機構・構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁気ヘッドをディスク上の所望の位置に移動するためのアクチュエータとしては、ボイスコイルモータが用いられてきた。しかし、この方法では、位置決め精度の向上を図るには限界がある。そのため、より高精度な位置決め動作を行うための方法として、ボイスコイルモータと磁気ヘッドとの間に、磁気ヘッドの位置を微調整するための第2のアクチェエータを配置する構成が提案されている。
【0003】
例えば、特開平9−73746号公報に記載された第2のアクチェエータの構造は、磁気ヘッドを支持する弾性部材の表面に圧電素子を上下に夫々2枚ずつ4枚貼り付け、圧電素子に電圧を印加することによって素子を伸縮させることによって、磁気ヘッドの位置を微調整させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来の技術の第2のアクチェエータには、次に説明する二つの課題がある。
【0005】
一つめは、磁気ヘッドの位置決め方向に第2のアクチュエータを変位させたときに、同時に発生するアクチュエータ表面に垂直な方向へのもれ変位である。このもれ変位は、弾性部材と圧電性平板とのひずみの差によって生じる。もれ変位は、磁気ヘッドと磁気円板の間隔を変化させてしまうので、磁気ディスク装置における読み出し感度や書き込み感度を変動させてしまったり、最悪の場合、磁気ヘッドと磁気円板の衝突をも引き起こすことになる。
【0006】
二つめは、磁気ヘッドを支持する弾性部材に4枚の圧電性平板をはりつけるという生産性に関する課題である。はりつけ作業は、特にミリサイズの微細な部品の場合生産性が低く、また、高精度にはりつける位置を規定することは非常に困難である。
【0007】
本発明は、これらの技術課題に鑑み、位置決め方向以外へのもれ変位が小さく、かつ、生産性の高い第2のアクチュエータを提供し、それにより高い記録密度を安価に実現できる磁気ディスク装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明の磁気ディスク装置は、以下の手段を備える。
【0010】
情報の書き込みと読み出しを行う磁気ヘッドと、情報が記憶される磁気円板と、前記ヘッドを支持する弾性部材と、前記弾性部材を支持する固定部材と、前記磁気ヘッドを磁気円板上の所定の位置に移動させるための粗動用第1のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータと前記磁気ヘッドとの間に配置された微動用第2のアクチュエータとを有する磁気ディスク装置において、前記第2のアクチュエータが、圧電性を有する材料から構成され上面と下面に電極を有する一枚のまたは積層された複数枚の圧電性平板からなる板状構造体であって、前記上面と下面にある電極のうちの少なくとも一方の面の電極は2個以上に分離されており、前記圧電性平板は、分極されていない領域と、前記分極されていない領域の一部によって分離され前記圧電性平板の厚さ方向に分極された2個以上の分極領域とを内部に有し、前記圧電性平板内の2個以上の分極領域に、前記圧電性平板の上面と下面にある前記電極を用いて前記圧電性平板の厚さ方向に電界を印加することによって、前記圧電性平板が、前記圧電性平板の面内方向に変位するようにしたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1実施例の磁気ディスク装置の構造を示す上面図である。
【0013】
本実施例では、磁性膜を表面に形成した情報が記憶される磁気記録円板310と、磁気記録円板310を回転させるためのスピンドルモータ300とを備えている。更に、磁気記録円板310の情報の読み出しと書き込みを行う電磁変換素子からなる磁気ヘッド(図示せず)を備え、磁気円板上に一定の間隔で浮上させるためのスライダ(図示せず)とを備えている。前記スライダは、磁気円板に対する姿勢を受動的に補正するジンバル210に設けられている。ジンバル210は、磁気ヘッド及びスライダを弾性的に支持する弾性部材であるサスペンション200の一端側に接続されている。サスペンション200の他端側は、固定部材であるサスペンション支持部材230に連接されている。
【0014】
サスペンション支持部材230には、磁気ヘッドを磁気円板上の所定の位置に移動させ、粗く位置決めするために、第1のアクチュエータが設けられている。この第1のアクチュエータは、ボイスコイルモータ250と、ボイスコイルモータを構成する磁石251と、コイル252と、ボイスコイルモータで磁気ヘッドを位置決めするときの回転中心となるサスペンション支持部材回転軸241と、軸受け240とからなる。また、ボイスコイルモータと磁気ヘッドの間には、高精度に位置決めするために微動用第2のアクチュエータ100が設けてある。
【0015】
図2(a)は、本発明の第1実施例のサスペンション支持部材230から磁気ヘッドまでの磁気ヘッド支持機構全体をさらに詳しく示した上面図である。図2(b)は図2(a)で示した磁気ヘッド支持機構全体のA断面を示す断面図である。図2(c)は、参考のために、第2のアクチュエータを有していない標準的磁気ヘッド支持機構全体を示す上面図である。
【0016】
第2のアクチュエータ100は、後述する圧電性平板を積層した板状構造体になっている。本実施例では、第2のアクチュエータ100の下面を用いて、サスペンション支持部材230とサスペンション200の上面同士を架橋するように配置している。第2のアクチュエータ100の下面とサスペンション200の上面とは、接着剤層501で固定している。同様に、第2のアクチュエータ100の下面とサスペンション支持部材230の上面とは接着剤層502で固定されている。本実施例において、接着は、エポキシ系の接着剤を用いている。なお、ここでは、サスペンション200に対して前記したスライダ220が固定されている側を下面、その反対側を上面として定義している。第2のアクチュエータ100の下面には、第2のアクチュエータに電力を供給するための接続用電極111、112が形成されており、サスペンション支持部材230上面に形成された引き出し電極261、262とはんだを用いて電気的に接続される。はんだによる接続は、第2のアクチュエータとサスペンション保持アームとの機械的接続にも寄与している。
【0017】
第2のアクチュエータを備えていない磁気ヘッド支持機構では、図2(c)に示すように、サスペンション200はサスペンション支持部材230に直接接合されている。
【0018】
図3(a)は、本実施例に用いる第2のアクチュエータ100の詳細な構造を示す上面図である。図3(b)は、図3(a)で示した第2のアクチュエータのB断面を示す断面図である。
【0019】
本実施例の第2のアクチュエータは、圧電性を有する材料で形成された板状構造の圧電性平板105となっている。圧電性平板105は、上面に2個の電極118a、118bを下面に2個の電極118c、118dを備えている。なお、ここでは、圧電性平板の厚さ方向で図3(b)の左側を上面側、右側を下面側とする。圧電性平板105は、電極118aと118cに挟まれた領域に分極された領域601を、また電極118bと118dに挟まれた領域に分極された領域602を有している。すなわち、一枚の圧電性平板の中に2個の分極領域を有している。
【0020】
このように、本実施例の第2のアクチュエータは、上面と下面に電極を備え、内部に2個の分極領域を有する圧電性平板105からなる板状構造体となっている。
【0021】
次に、本実施例の第2のアクチュエータの動作について説明する。
【0022】
図4は、第2のアクチュエータを構成する圧電性平板内の分極の向きと、本アクチュエータを駆動するときの電界の状態の一例を示す断面図である。
【0023】
圧電性平板105の2個の分極領域の分極の向きは、圧電性平板の厚さ方向で、かつ互いに反対向きである。このような分極状態にある圧電性平板に、図4に示すように電界を印加する。すなわち、分極領域601には、分極の向きと電界の向きが同じ向きになるように電界を印加し、分極領域602には、分極の向きと電界の向きが反対向きになるように電界を印加する。
【0024】
図5(a)は、このような電界を印加したときの、第2のアクチュエータ100の面内(位置決め方向)の変位の様子を示す上面図である。図5(b)は、図5(a)で示した第2のアクチュエータの厚さ方向(アクチュエータ上面に対し垂直方向)の変位を示すC断面図である。
【0025】
分極領域601は、分極の向きと電界の向きが同じなので、面内方向には縮み厚さ方向には伸びるように変位する。一方、分極領域602は、分極の向きと電界の向きが反対なので、面内方向には伸び厚さ方向には縮むように変位する。従って、第2のアクチュエータに上記した電界を印加することによって、第2のアクチュエータ100に固定されたサスペンション200を、サスペンション支持部材230に対し面内に(位置決め方向に)変位させることができる。印加する電界の強さと向きを変えることにより、サスペンション200の先端に固定された磁気ヘッドを高精度に位置決め方向に微動させることが可能となる。なお、このとき第2のアクチュエータ100は、図5(b)に示すように、アクチュエータの厚さ方向へも変位している。
【0026】
本実施例では、第2のアクチュエータはサスペンション200とサスペンション支持部材230の上面同士を架橋するように配置されているが、この効果について次に説明する。
【0027】
まず、従来の配置方法の問題点について図6を用いて説明する。
【0028】
図6(a)は、従来の配置構造で、第2のアクチュエータ100がサスペンション200の上面とサスペンション支持部材230の下面の間に挟まれるように配置された場合の、磁気ヘッド支持機構全体の断面図を示す。アクチュエータの固定には接着剤を用いている。図6(b)は、図6(a)の磁気ヘッド支持機構を同図の左側から見たときの側面図である。
【0029】
この場合、第2のアクチュエータを動作させて、例えば、スライダ220を図6(b)のように右側に変位させる。すると、図6(b)に示したように第2のアクチュエータ100の右側は厚さ方向に伸び、左側は厚さ方向に縮むように変位する。この時、サスペンション200は、第2のアクチュエータの上面に、サスペンション支持部材230は第2のアクチュエータの下面にそれぞれ固定されるため、この厚さ方向への変位が、サスペンション支持部材に対するサスペンションの上下方向の変位を発生させることになる。例えば、図6(b)に示した場合では、サスペンション200の右側が下に傾く。
【0030】
従って、第2のアクチュエータを動作させ、磁気ヘッドを磁気円板上の所定の位置に位置決めしたときに、スライダ220と磁気円板310の間隔が変化してしまう。よって、磁気ヘッドの安定した読み出しと書き込みを実現することができない。
【0031】
一方、本実施例の場合について図7を用いて説明する。図7(a)は、第2のアクチュエータ100がサスペンション200の上面とサスペンション支持部材230の上面を架橋するように配置された場合の、磁気ヘッド支持機構全体の断面図を示す。アクチュエータの固定には接着剤を用いている。図7(b)は、図7(a)の磁気ヘッド支持機構を同図の左側から見たときの側面図である。
【0032】
本実施例の場合、第2のアクチュエータを動作させ、例えばスライダ220を図7(b)の右側に変位させると、図7(b)に示したように第2のアクチュエータ100の右側は厚さ方向に伸び左側は厚さ方向に縮むように変位する。この時、サスペンション200とサスペンション支持部材230が、第2のアクチュエータ100の同一面側である下面側に固定されている。このため、この厚さ方向への変位が、サスペンション支持部材に対するサスペンションの上下方向の変位を発生させないことになる。従って、第2のアクチュエータを動作させ、磁気ヘッドを磁気円板310上の所定の位置に位置決めしたときにも、スライダ220と磁気円板の間隔を変化させることがない。よって、磁気ヘッドの安定した読み出しと書き込みを実現することができる。
【0033】
以上のように、本実施例の第2のアクチュエータはは圧電膜が単層で、電極が上面側と下面側に夫々2対設けた構成としたため、構造が簡単で素子間のバラツキが小さく、大量生産に好適な構成である。
【0034】
図8は、本発明の第2実施例の第2のアクチュエータの部品図である。
【0035】
本実施例における第2のアクチュエータは、図8(a)、(b)に示す圧電性を有する材料から構成される圧電性平板101、102を交互に積層した板状構造体になっている。圧電性の材料としては、鉛ジルコニアチタンの酸化化合物を用いている。図8(a)に示す圧電性平板101には、上面に銀パラジウム製の2個に分離された電極113、114が形成されている。同様に、図8(b)に示す圧電性平板102にも、上面に銀パラジウム製の2個に分離された電極115、116が形成されている。なお、図8(a)と図8(b)とでは、電極の形成される位置が図に示すように異なっており、それぞれ異なる辺に接するように形成されている。図8(c)は、図8(a)、(b)に示した圧電性平板を交互に積層してなる本第2のアクチュエータの最上面に配置される圧電性平板103を示している。最上層の圧電性平板103は、図8(c)に示すように、B面とC面で表示した対向する2面に接するように4個の電極1130、1140、1150、1160が形成されている。
【0036】
図9は、第2実施例の第2のアクチュエータの断面図を示したものである。
【0037】
図のように、第2のアクチュエータは、圧電性平板101を3枚、圧電性平板102を2枚、交互に積層し、最上層に圧電性平板103を積層した板状構造体になっている。圧電性平板101の上面には、2個の電極113と電極114が形成されており、圧電性平板102上面には、2個の電極115と電極116が形成されている。これら圧電性平板を交互に積層することで、圧電性平板101の下面に配置される圧電性平板102の上面の2個の電極115と電極116は、圧電性平板101の下面の電極として共用される。同様に、圧電性平板102の下面に配置される圧電性平板101の上面の2個の電極113と電極114は、圧電性平板102の下面の電極として共用される。
【0038】
従って、本実施例の第2のアクチュエータは、上面と下面に電極を有する圧電性平板を4枚積層した板状構造体であり、圧電性平板の、上面と下面にある電極は、すべて2個に分離されている構造になる。なお、本実施例の第2のアクチュエータでは、最上層に圧電性平板103が、最下層に圧電性平板101が配置されているが、これらは、内部の電極保護や内部の電極の接続に使われるもので、無くても良い。
【0039】
図10(a)は、第2実施例の第2のアクチュエータを構成する上面と下面に電極を有する4枚の圧電性平板の内部の分極状態と、各電極の接続状態を示す断面図である。図10(b)は、図10(a)の上面図である。
【0040】
上記した上面と下面に電極を有する4枚の圧電性平板すべての内部には、上面と下面に存在する電極には挟まれた領域に、互いに分離した2個の分極領域600が存在する。例えば、圧電性平板101には、上面電極113と下面電極115に挟まれれた領域と、上面電極114と下面電極116に挟まれた領域に、互いに分離した分極領域が存在する。また、圧電性平板102には、上面電極115と下面電極113に挟まれた領域と、上面電極116と下面電極114に挟まれた領域に、互いに分離した分極領域が存在する。これらの互いに分離した分極領域の間には、圧電性平板内の分極されていない領域の一部があり、圧電性平板内のこの未分極領域によって、前記した分極領域が2個に分離されることになる。これらの分極領域の分極の方向は、すべて圧電性平板の厚さ方向であり、本実施例の第2のアクチュエータでは、同じ圧電性平板内の2個の分極領域は、それぞれ反対の分極の向きを持っている。分極領域が圧電性平板内の未分極領域の一部によって分離されている様子を上面からみると、図10(b)に示したようになる。
【0041】
本実施例の第2のアクチュエータを構成する電極113、114、115、116は、図10に示したように、電極113は互いに接続され電極113cに、電極114は互いに接続され電極114cに、電極115は互いに接続され電極115cに、電極116は互いに接続され電極116cに、それぞれ統合される。
【0042】
図11は、上記した各電極の接続を具体的に実現するための構造を示す、第2実施例の第2のアクチュエータの側面図である。
【0043】
図11の(a)は、図8(c)で示したB面側の側面図を、図11の(b)は、図8
(c)で示したC面側の側面図をそれぞれ示す。なお、各圧電性平板上の電極は、図8(a)、図8(b)、図8(c)に示した通りである。
【0044】
各層に設けられた電極113は電極113cによって接続され、最上層の圧電性平板103に形成された電極1130(図示せず)に接続される。同じく各層に設けられた電極114は電極114cによって接続され、最上層の圧電性平板103に形成された電極1140に接続される。同様に各層に設けられた電極115は電極115cによって接続され、最上層の圧電性平板103に形成された電極1150(図示せず)に接続される。更に同様に、各層に設けられた電極116は電極116cによって接続され、最上層の圧電性平板103に形成された電極1160に接続される。
【0045】
次に、第2の実施例の第2のアクチュエータの動作について説明する。
【0046】
図12(a)は、第2のアクチュエータを構成する圧電性平板内の分極の向きと、アクチュエータを駆動するときの電界の状態の一例を示す断面図である。図12(b)は、上記した駆動を実現するための電極1130、1140、1150、1160の接続構造、および、サスペンション支持部材上の引き出し電極と第2のアクチュエータの電極を接続するための接続用電極111、112の構造を示す上面図である。
【0047】
第2のアクチュエータでは、すでに述べたように4枚の圧電性平板内の2個の分極領域の分極の向きは、すべて圧電性平板の厚さ方向である。さらに、互いに反対向きである。このような分極状態にある圧電性平板に、例えば図12(a)に示すように、圧電性平板の厚さ方向に電界を印加する。本実施例の場合は、電極113と電極115に挟まれた分極領域には、分極の向きと電界の向きが同じ向きになるように電界を印加し、電極114と電極116に挟まれた分極領域には、分極の向きと電界の向きが反対向きになるように電界を印加する。具体的には、電極113cと電極114cを接続して電源400の高電圧側に、電極115cと電極116cを接続して電源400の低電圧側に、接続する。
【0048】
具体的な電極の接続構造は、図12(b)に示した通りで、本第2のアクチュエータの最上層である圧電性平板103上で、電極113cと接続された電極1130と、電極114cと接続された電極1140とを電極111cで接続し、電極115cと接続された電極1150と、電極116cと接続された電極1160とを電極112cで接続し、さらに、電極111cを接続用電極111に、電極112cを接続用電極112に接続する。接続用電極111、112は、サスペンション支持部材230上の引き出し電極261、262にはんだで接続され、この引き出し電極を通して第2のアクチュエータに電界が印加される。
【0049】
図13は、第2実施例の第2のアクチュエータに上記した電界が印加されたときの面内の変位の状態を示す上面図である。
【0050】
接続用電極111に電源400の高電圧側を、接続用電極112に電源400の低電圧側を接続すると、接続用電極111側は、分極領域の分極の向きと印加される電界の向きが同じであるため面内には縮み、接続用電極112側は、分極の向きと印加される電界の向きが反対向きであるため面内には伸びる。従って、第2のアクチュエータは、面内には図のように変位し、第2のアクチュエータに固定されたサスペンションをサスペンション支持部材に対し、角度θの変位を発生する。印加する電界の大きさや向きを変えて、この変位量や変位方向を制御して、サスペンション200の先端に固定された磁気ヘッドを、所定の位置決め位置に高精度に微動させることが可能となる。
【0051】
本実施例の磁気ディスク装置は、サスペンションとサスペンション支持部材の間に、第2のアクチュエータを固定するだけでよいので、生産性の高い磁気ディスク装置とすることができる。もちろん、第2のアクチュエータを第1実施例のように配置すれば、信頼性が高いだけでなく、磁気ヘッドの読み出しや、書き込みが安定した磁気ディスク装置とすることもできる。また、本実施例では、圧電性平板を積層することで一層当たりの圧電性平板の厚さを薄くできるので、圧電性平板に印加される電界の強さ(第2のアクチュエータに印加される電圧/圧電性平板の厚さ)を大きくすることができる。第2のアクチュエータの変位は上記した電界の強さに比例するので、低い電圧で大きな変位を得ることができる。
【0052】
図14は、本発明の第3実施例の第2のアクチュエータの構造を示す断面図である。
【0053】
圧電性平板の構造、分極領域の構造、および各分極領域の分極の向きは第2実施例で説明した第2のアクチュエータと同じである。本実施例では、電極の接続方法と電界の印加状態が異なっており、電極115cと電極114cとがグランドに接続され、電極113cが+5Vに接続され、電極116cが・5Vに接続される。印加される電界はすべて圧電性平板の厚さ方向であり、電極113、115側は、分極の向きと電界の向きが同じで、電極114、116側は、分極の向きと電界の向きが反対である。この場合、図13で示す第2実施例の第2のアクチュエータと同じような面内変位をする。グランドを固定し、電極113cと電極116cに印加する電界を変化させて、磁気ヘッドを所定の位置に高精度に微動できる。
【0054】
本実施例の場合、第2実施例よりも、駆動回路を簡略化できる。
【0055】
図15は、本発明の第4実施例である磁気ディスク装置を構成する第2のアクチュエータの構造を示す断面図である。
【0056】
本実施例では、上面の電極が2個で下面の電極が1個の圧電性平板と、上面の電極が1個で下面の電極が2個の圧電性平板を、交互に積層した構造になっている。接触する面同士の電極は、接触する2個の圧電性平板で共用される。分極領域は、第2実施例の場合と同様で、上面の電極と下面の電極に挟まれた領域が分極領域600となる。上面と下面のうちのいずれか一方は、必ず2個の電極に分離されているため、圧電性平板内にある分極領域も2個に分離されている。この構造は、ちょうど第2の実施例の電極115と116が予め接続されている構造と考えることができる。圧電性平板内の2個の分極領域は、第2の実施例の場合と同じように、圧電性平板内の未分極領域の一部で分離された構造ななる。分極の方向は、圧電性平板の厚さ方向であり、分極の向きは圧電性平板内の2個の分極領域で同じ向きである。電極の接続は、図15に示したように、2個に分離した電極の一方をまとめて電極113cに、もう一方をまとめて114cとし、1個の電極はすべてまとめて115cとしてある。
【0057】
図16(a)は、本実施例の電界の印加方法の一例を示す断面図である。
【0058】
電極115cはグランドに接続され、電極113cは+5Vに接続され、電極114cは−5Vに接続される。電界の方向はすべて圧電性平板の厚さ方向であり、圧電性平板内の一方の分極領域では分極の向きと電界の向きが同じで、圧電性平板内のもう一方の分極領域では分極の向きと電界の向きが反対である。この場合も、第2のアクチュエータは、図13で示す第2実施例の第2のアクチュエータと同じような面内変位をする。グランドを固定し、電極113cと電極114cに印加する電界を変化させることにより、サスペンション200の先端に固定された磁気ヘッドを位置決め方向に高精度に微動させることが可能となる。
【0059】
本実施例の場合第2の実施例に比べて、電極数を片側だけでも半減できるので、電極形成のプロセスが簡単になる。特に、裏面は電極を1枚としたため、全面に電極を形成すれば良くパターン形成が不要となる。
【0060】
図16(b)も、本実施例での電界の印加方法の一例を示す断面図である。
【0061】
電極115cはグランドに接続され、電極113cは+10Vに接続され、電極114cは0Vに接続される。電界の方向はすべて圧電性平板の厚さ方向であり、圧電性平板内の分極領域では分極の向きと電界の向きが常に同じである。この場合も、第2のアクチュエータは、図13で示すように、第2実施例の第2のアクチュエータと同じような面内変位をする。グランドを固定し、電極113cと電極114cに印加する電界を変化させることにより、サスペンション200の先端に固定された磁気ヘッドを位置決め方向に高精度に微動させることが可能となる。
【0062】
この電界印加方法は、図16(a)の印加方法に5Vのバイアスをかけたことに相当し、分極領域の分極の向きと印加される電界の向きが常に同じであるため、圧電性平板の分極劣化がなく、第2実施例の効果に加えて、より信頼性の高い磁気ディスク装置とすることができる。
【0063】
図17は、本発明の第5実施例の第2のアクチュエータの構造を示す断面図である。
【0064】
圧電性平板の構造および分極領域600の構造は、第2実施例と同じであるが、各分極領域の分極の向きは第2実施例と異なっており、圧電性平板内の2個の分極領域の分極の向きは同じである。本実施例では、電極の接続方法は、第2実施例と同じである。すなわち電極115は電極115cに、電極114は電極114cに、電極115は電極115cに、電極116は電極116cに、それぞれ統合される。
【0065】
図18は、本実施例の第2のアクチュエータの動作を示す断面図である。
【0066】
電極113cと電極116cは接続され、電源400の高電圧側に、電極114cと電極115cは接続され、電源400の低電圧側に、それぞれ接続される。この場合も、第2のアクチュエータは、図13で説明した第2実施例の場合と同く面内変位をする。電極113cと電極114cに印加する電界を変化させることにより、サスペンション200の先端に固定された磁気ヘッドを位置決め方向に高精度に微動させることが可能となる。
【0067】
本実施例の効果は、第2実施例の場合と同じ効果の他に、分極が容易となり、2つの分極領域間の未分極領域での相互干渉がなく分極が安定し信頼性が高い。
【0068】
図19は、本発明の第6の実施例である磁気ディスク装置を構成する第2のアクチュエータの構造を示す上面図である。
【0069】
図19(a)は、本実施例の第2のアクチュエータの上面図を示しており、分極領域600をはさむように圧電性平板に幅dの切り込みが形成されている。従って、第2のアクチュエータとサスペンションとを接着する領域の幅aや、第2のアクチュエータとサスペンション支持部材とを接着する領域の幅bよりも、分極領域のある部分の幅cの方が短い。
【0070】
図19(b)、比較のため本実施例のような切り込みが無い第2のアクチュエータの上面図を示している。
【0071】
図20は、本実施例に固有の効果を示す実験結果を示すグラフである。
【0072】
横軸は切り込みの長さdを示し、縦軸は第2のアクチュエータの面内の変位量θ(図13に表示)を示している。図20は、第2の実施例で説明したアクチュエータを実際に試作し、切り込みの長さと面内の変位量を測定した結果である。駆動電圧は5Vと10Vで測定を行った。この結果、同じ駆動電圧の場合、切り込みがあるものの方が変位が大きいことがわかる。
【0073】
このように、切り込みを入れることで所定の変位を起こすのに必要な電圧を下げることができるという効果がある。ただし、切り込み長さを大きくしすぎると第2のアクチュエータの強度が低下しこわれ易くなるので、実際の切り込み量は信頼性と併せて最適化する必要がある。
【0074】
なお、ここで述べてきた実施例のほかにも、圧電性平板内の2個の分極領域に電界を印加する方法は、多数考えられる。2個の分極領域に異なる電界を印加すれば、すべて同様な面内変位を発生させることができる。
【0075】
また、ここで述べてきた実施例では、圧電性平板内の分極領域は2個であったが、3個以上設けてもよい。
【0076】
また、ここで述べてきた実施例では、第2のアクチュエータは、サスペンションとサスペンション支持部材の上面同士を架橋するように配置されるが、下面同士を架橋するように配置されていてもよい。
【0077】
また、ここで述べてきた実施例では、第2のアクチュエータとして圧電性平板である1個の素子をサスペンションとサスペンション支持部材の上面同士を架橋するように固定しているが、2個の素子でサスペンションとサスペンション支持部材の上面同士と下面同士を架橋するように固定してもよい。その場合は、1個の素子はサスペンションとサスペンション支持部材の上面同士を架橋するように固定され、もう1個の素子は、サスペンションとサスペンション支持部材の下面同士を架橋するように固定される。
【0078】
また、ここで述べてきた実施例では、サスペンションとサスペンション支持部材の間に第2のアクチュエータを配置しているが、サスペンション支持部材内に配置してもよいし、サスペンション内に配置してもよい。
【0079】
また、ここで述べてきた実施例は、すべて磁気ディスク装置に関するものであるが、複数の磁気ディスク装置をならべた磁気ディスクアレイ装置に用いても良いし、磁気ディスク以外の回転記録媒体を用いた記憶装置、例えば、光ディスク装置、光磁気記録装置などに用いてももちろん良い。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、低い電圧で駆動でき、駆動時にアクチュエータ上面に対し垂直方向の変位がないため磁気ヘッドの書き込み/読み出しの信頼性が高く、かつ生産性の高い磁気ディスク装置を提供することができ、それによって、回転ディスク型情報記憶装置の記録密度を格段に高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例である磁気ディスク装置の構造を示す上面図である。
【図2】本発明の磁気ディスク装置に用いる磁気ヘッド支持機構全体を示す上面図および断面図である。
【図3】第1の実施例の第2のアクチュエータの構造を示す上面図および断面図である。
【図4】第1の実施例の第2のアクチュエータの分極領域を示す断面図である。
【図5】第1の実施例の第2のアクチュエータの変位を示す上面図および断面図である。
【図6】従来の第2のアクチュエータを配置した磁気ヘッド支持機構の変位を示す断面図および側面図である。
【図7】第1の実施例の第2のアクチュエータを配置した磁気ヘッド支持機構の変位を示す断面図および側面図である。
【図8】第2の実施例の第2のアクチュエータの部品図である。
【図9】第2の実施例の第2のアクチュエータの断面図である。
【図10】第2の実施例の第2のアクチュエータの分極領域を示す断面図および上面図である。
【図11】第2の実施例の第2のアクチュエータの側面図である。
【図12】第2の実施例の第2のアクチュエータの電極構造を示す断面図および上面図である。
【図13】第2の実施例の第2のアクチュエータの変位を示す上面図である。
【図14】第3の実施例の第2のアクチュエータの構造を示す断面図である。
【図15】第4の実施例の第2のアクチュエータの構造を示す断面図である。
【図16】第4の実施例の第2のアクチュエータの電界の印加方法を示す断面図である。
【図17】第5の実施例の第2のアクチュエータの構造を示す断面図である。
【図18】第5の実施例の第2のアクチュエータの動作を示す断面図である。
【図19】第6の実施例の第2のアクチュエータの構造を示す上面図である。
【図20】第6の実施例の第2のアクチュエータの動作を示す実験結果である。
【符号の説明】
100…第2のアクチュエータ、111、112…接続用電極、111c、112c、113、113c、114、114c、115、115c、116、116c、1130、1140、1150、1160、118a、118b、118c、118d…電極、121、122…接続部、101、102、103、104、105…圧電性平板、200…サスペンション、210…ジンバル、220…スライダ、230…サスペンション支持部材、240…軸受け、241…サスペンション支持部材回転軸、250…ボイスコイルモータ、251…永久磁石、252…コイル、300…スピンドルモータ、261、262…引き出し電極、310…磁気円板、400…電源、501、502…接着剤層、600、601、602…分極領域。
Claims (6)
- 情報の書き込みと読み出しを行う磁気ヘッドと、情報が記憶される磁気円板と、前記ヘッドを支持する弾性部材と、前記弾性部材を支持する固定部材と、前記磁気ヘッドを磁気円板上の所定の位置に移動させるための第1のアクチュエータと、前記第1のアクチュエータと前記磁気ヘッドとの間に配置された第2のアクチュエータとを有する磁気ディスク装置において、
前記第2のアクチュエータは、上面と下面に電極を有する圧電性平板からなる板状構造体であり、前記圧電性平板の、前記上面と下面にある電極のうちの少なくとも一方の面の電極は2個以上に分離され、前記圧電性平板は、分極されていない領域と、前記分極されていない領域の一部によって分離され前記圧電性平板の厚さ方向に分極された2個以上の分極領域とを内部に有し、前記圧電性平板内の2個以上の分極領域に、前記圧電性平板の上面と下面にある前記電極を用いて前記圧電性平板の厚さ方向に電界を印加することによって、前記圧電性平板が、前記圧電性平板の面内方向に変位することを特徴とする磁気ディスク装置。 - 請求項1記載のディスク装置において、前記板状構造体は上面と下面に電極を有する圧電性平板を2枚以上積層した板状構造体であることを特徴とする磁気ディスク装置。
- 請求項1又は2記載のディスク装置において、前記第2のアクチュエータが、前記圧電性平板内の2個以上の分極領域の分極の方向が前記圧電性平板の厚さ方向であって、かつ向きが反対向きであるものを含むことを特徴とする磁気ディスク装置。
- 請求項1又は2記載の磁気ディスク装置において、前記第2のアクチュエータが、前記圧電性平板の一方の面の電極が1個、もう一方の面の電極が2個以上に分離され、少なくても2枚以上積層される前記圧電性平板が、1個の電極が形成されている面同士、もしくは2個以上の電極が形成されている面同士が接触するように積層されている、ことを特徴とする磁気ディスク装置。
- 請求項1又は2記載の磁気ディスク装置において、前記第2のアクチュエータが、少なくても2枚以上積層される前記圧電性平板の、互いに接触する面にある電極を、互いに接触する前記圧電性平板で共用するように積層されていることを特徴とする磁気ディスク装置。
- 請求項1又は2記載の磁気ディスク装置において、前記第2のアクチュエータが、前記圧電性平板内の2個以上の分極領域を挟むように、前記圧電性平板に切り込みが形成されていることを特徴とする磁気ディスク装置。
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