JP3663835B2 - 光拡散性積層押出樹脂板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光拡散性積層押出樹脂板、特に表面状態が奇麗でかつ良好な帯電防止性を持った光拡散性積層押出樹脂板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、押出成形法により帯電防止性を持った光拡散板を得るには、透明性樹脂に光拡散剤と帯電防止剤を均一分散させたものを押出機で溶融混練し、ダイに供給、賦型後、冷却固化させて押出板とすることが一般的に行われてきた。
また最近では、樹脂自体の種類が多様化した上に、光拡散性、難燃性、帯電防止性、艶消し性、耐熱性、剛性等、さまざまな機能性の調節をポリマーブレンドや基材樹脂への機能性微粒子、低分子量化合物の添加等の改質によって行われるようになってきた。
さらに、特定の樹脂同士を多層押出技術により積層一体化し、新しい機能を付与することも日常行われている。
【0003】
前述の材料改質技術と多層押出技術を組み合わせて、さらなる高機能性を持った積層押出板を得ることが近年、日常的に行われつつある。
この組み合わせによる技術としては、「機能性材料の表層集中分散」「帯電防止性付与」「光拡散性付与」が代表的な例として挙げられる。
帯電防止性付与の例として、特開平5−84875号公報には、透明なポリアミドエラストマー3重量%以上とアクリル系樹脂97重量%以下を含有するアクリル系樹脂組成物をアクリル系樹脂からなる基板に積層する帯電防止性に優れたアクリル系樹脂積層シートが開示されている。
また、帯電防止性と光拡散性を併せて付与する技術として、特開平6−91828号公報には、メタクリル系樹脂、燐系難燃剤、無機系および有機系光拡散剤から選ばれる少なくとも一種、および紫外線吸収剤からなる光拡散性メタクリル系樹脂層(I)の片面あるいは両面に、ポリエーテルエステルアミド5〜70重量%とメタクリル系樹脂30〜99重量%からなる被覆樹脂組成物(II)を5μm以上の厚みに積層した光拡散性メタクリル系樹脂積層板が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、帯電防止性と光拡散性の効果を同時に発現させるために、光拡散剤と帯電防止剤を共存させて単層板として押出成形すると、板の表面状態が非常に悪くなって光沢のムラが発生しやすくなる上に、ダイのリップ口に帯電防止剤と光拡散剤の濃縮凝集物が堆積し「焼け」、「異物」として板表面に付着して外観を損ねるケースが多い。
また先述の積層板の技術でも不十分であり、例えば、品種切替え等により長時間の押出機への滞留が伴う共押出成形においては、特開平5−84875号公報、特開平6−91828号公報の積層シートでは、表層に用いられる帯電防止成分が分解し、得られた板の表面状態を悪くする傾向がある。
【0005】
そこで、帯電防止性と光拡散性を同時に付与し、さらに長時間の滞留を伴う共押出成形を実施しても表面状態が良好に保持できる押出積層板を鋭意検討した結果、光拡散剤を分散した樹脂層と特定の帯電防止剤を分散した樹脂層を共押出成形法により積層一体化することによって光拡散性と帯電防止性を、さらに帯電防止剤を分散した樹脂層に不溶樹脂粒子を特定量分散することによって艶消し性をも付与できることを見出し、本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、透明性樹脂に光拡散剤を均一に分散させてなる樹脂層(A)の少なくとも片面に、透明性樹脂100重量部に対し、界面活性剤からなる帯電防止剤を0.1〜2.0重量部を均一に分散させてなり、無機粒子が分散していない樹脂層(B)を共押出成形法によって積層一体化してなる光拡散性積層押出樹脂板である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明における樹脂層(A)に用いられる透明性樹脂としては、溶融加工可能な樹脂なら特に制限はないが、例えば、スチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン系樹脂、メタクリル酸メチル系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン・ブタジエンブロックポリマーやアクリル系エラストマー等のエラストマー等が挙げられる。
もちろんこれらのブレンド物でも何ら問題はない。
この中でも樹脂自体の着色が少ない樹脂として、スチレン系樹脂、メタクリル酸メチル系樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましく、特にメタクリル酸メチル系樹脂を使用することにより、良好な光拡散性を付与することができる。
【0008】
メタクリル酸メチル系樹脂としては、その構成単位としてメタクリル酸メチル単位を50重量%以上、好ましくは70重量%以上含有するものであり、メタクリル酸メチル単位を50重量%以上含有する限りその一部がメタクリル酸メチルと共重合可能な単官能の不飽和単量体単位で置き換えられた共重合体であってもよい。
【0009】
該共重合可能な単官能不飽和単量体としては、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸、アクリル酸などの不飽和酸類;スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等である。
またこの共重合体には、無水グルタル酸単位、グルタルイミド単位をさらに含んでいても良い。
さらに前述の重合体、共重合体にゴム状重合体として、ジエン系ゴム、アクリル系ゴムをブレンドしたものでも良い。
【0010】
本発明における光拡散剤としては、基材の透明性樹脂と屈折率の異なる無機系または有機系の透明微粒子が挙げられる。
例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、硝子、タルク、マイカ、ホワイトカーボン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の無機粒子、架橋又は高分子量スチレン系樹脂粒子、架橋または高分子量アクリル系樹脂粒子、架橋シロキサン系樹脂粒子等の溶融押出の際にも溶け出さない樹脂粒子等が挙げられる。
【0011】
なおここで言う架橋樹脂粒子とは、アセトン中に溶解させた時のゲル分率が10%以上である粒子のことを、高分子量樹脂粒子とは重量平均分子量(Mw)が50万〜500万の粒子を指している。
【0012】
スチレン系樹脂粒子とは、(1)スチレン系単量体を重合して得られる高分子量の樹脂粒子、またはスチレン系単量体単位を50重量%以上含み、ラジカル重合可能な二重結合を分子内に1個有する単量体を重合して得られる高分子量の樹脂粒子、(2)スチレン系単量体とラジカル重合可能な二重結合を分子内に少なくとも2個有する単量体を重合して得られる架橋樹脂粒子、またはスチレン系単量体単位を50重量%以上含み、ラジカル重合可能な二重結合を分子内に1個有する単量体とラジカル重合可能な二重結合を分子内に少なくとも2個有する単量体を重合して得られる架橋樹脂粒子のことである。
【0013】
スチレン系単量体とは、スチレン及びその誘導体である。
スチレン誘導体としては、クロロスチレン、ブロムスチレンのようなハロゲン化スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンのようなアルキル置換スチレンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、上記スチレン系単量体は二種類以上併用しても良い。
【0014】
ラジカル重合可能な二重結合を分子内に1個有する単量体とは、前記のスチレン系単量体成分以外であれば特に制限はないが、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類;アクリロニトリルなどが挙げられる。
これらの中でも特にメタクリル酸メチルのようなアルキルメタアクリレート類が好ましい。
なお、上記単量体も二種類以上併用しても良い。
【0015】
ラジカル重合可能な二重結合を分子内に少なくとも2個有する単量体とは、先述の単量体と共重合可能で共役ジエンを除くものである。
例えば、1、4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートのようなアルキルジオールジ(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン、ジアリルフタレートのような芳香族多官能化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのような多価アルコールの(メタ)アクリレート類が挙げられる。
これらの単量体も二種類以上併用しても良い。
【0016】
またアクリル系樹脂粒子としては、(1)アクリル系単量体を重合して得られる高分子量の樹脂粒子、またはアクリル系単量体単位を50重量%以上含み、ラジカル重合可能な二重結合を分子内に1個有する単量体を重合して得られる高分子量の樹脂粒子、(2)アクリル系単量体とラジカル重合可能な二重結合を分子内に少なくとも2個有する単量体を重合して得られる架橋樹脂粒子、またはアクリル系単量体単位を50重量%以上含み、ラジカル重合可能な二重結合を分子内に1個有する単量体とラジカル重合可能な二重結合を分子内に少なくとも2個有する単量体を重合して得られる架橋樹脂粒子が挙げられる。
【0017】
アクリル系単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸、アクリル酸等が挙げられる。
これらの単量体は二種以上併用しても良い。
【0018】
ラジカル重合可能な二重結合を分子内に1個有する単量体としては、前記のアクリル系単量体成分以外であれば特に制限はないが、例えば、スチレン及びその誘導体が挙げられる。
スチレン誘導体としては、クロロスチレン、ブロムスチレンのようなハロゲン化スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンのようなアルキル置換スチレンなどが挙げられる。
これらの中でも特にスチレンが好ましい。なお、上記単量体も二種類以上併用しても良い。
【0019】
ラジカル重合可能な二重結合を分子内に少なくとも2個有する単量体としては、先述の単量体と共重合可能で共役ジエンを除くものであり、先に述べた単量体の中から適宜選択される。
【0020】
スチレン系樹脂粒子、アクリル系樹脂粒子は共に、これらの構成成分を懸濁重合法、ミクロ懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法等の方法により重合して得られる。
【0021】
架橋シロキサン系樹脂としては、一般的にシリコーンゴム、シリコーンレジンと呼ばれるものであり、常温で固体状のものである。
シロキサン系の重合体は主にクロロシランの加水分解と縮合によって製造される。
例えば、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシランに代表されるクロロシラン類を加水分解と縮合することにより、(架橋)シロキサン系重合体を得ることができる。
さらに、これらの(架橋)シロキサン系重合体を過酸化ベンゾイル、過酸化−2,4−ジクロルベンゾイル、過酸化−p−クロルベンゾイル、過酸化ジキュミル、過酸化ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンのごとき過酸化物により架橋させたり、ポリシロキサン化合物の末端にシラノール基を導入し、アルコキシシラン類と縮合・架橋させることによっても製造することができる。
この中でも、珪素原子1個あたりに有機基が2〜3個結合した架橋シロキサン系重合体が好ましい。
【0022】
架橋シロキサン系樹脂を粒子状とするには、前記架橋重合体を機械的に微粉砕する方法や、特開昭59−68333号公報に記載のごとく、特定の線状オルガノシロキサンブロックを含有する硬化性重合体または硬化性重合体組成物を噴霧状態で硬化させて球状粒子を得る方法や、特開昭60−13813号公報に記載のごとく、特定のアルキルトリアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物を、アンモニアまたはアミン類の水溶液中で、加水分解・縮合させて球状粒子とする方法等が利用できる。
【0023】
本発明の光拡散剤の屈折率は、基材となる透明性樹脂との屈折率の差の絶対値が0.02〜0.13であることが好ましい。
0.02未満の場合には、ある程度の光拡散性を付与させるには多量の粒子を添加することが必要となり、0.13を超える場合には、透過率の高い材料を作製する際に隠蔽性が悪くなる傾向がある。
【0024】
光拡散剤の粒子径は重量平均で1〜15μmが好ましく、2〜10μmが特に好ましい。
1μm未満であると隠蔽性が低下する傾向があり、15μmを超えると適度な光拡散性を出すために多量の光拡散剤を分散させる必要があり、板自体の耐衝撃性を低下させる傾向がある。
【0025】
これらの光拡散剤を単独または2種以上を組み合わせて、樹脂層(A)における透明性樹脂100重量部に0.1〜10重量部分散させる。
0.1重量部未満であると隠蔽性を付与するのに十分でなく、10重量部を超えると板自体の耐衝撃性を低下させる傾向がある。
【0026】
本発明における樹脂層(B)に用いられる透明性樹脂とは、先述の樹脂層(A)と同様な材料を選択することができる。
この場合、樹脂層(A)と樹脂層(B)の樹脂の組成はできるだけ近い方が積層一体化した際に両層の密着性が向上するため好ましいが、特に全く異なった樹脂組成でも構わない。
ただし、積層板の表層を構成することになる樹脂層(B)は、耐光性に優れているメタクリル酸メチル系樹脂を主成分としていることが好ましい。
【0027】
樹脂層(B)に分散させる帯電防止剤は、界面活性剤からなる帯電防止剤であり、ポリアミドエラストマー系帯電防止剤は好ましくない。
界面活性剤からなる帯電防止剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸やそれらのLi、Na、Ca、Mg、Zn塩等のオレフィン系硫酸エステルまたはその金属塩、高級アルコールの燐酸エステル類等のアニオン系界面活性剤;第3級アミン、第4級アンモニウム塩、カチオン系アクリル酸エステル誘導体、カチオン系ビニルエーテル誘導体等のカチオン系界面活性剤等のカチオン系界面活性剤;アルキルアミン系ベタインの両性塩、カルボン酸またはスルホン酸アラニンの両性塩等の両性系界面活性剤;脂肪酸多価アルコールエステル、アルキル(アミン)のポリオキシエチレン付加物等の非イオン系界面活性剤等の種類があり、用途や要求性能によって使い分けられる。
これらの界面活性剤を単独または2種以上を組み合わせて、樹脂層(B)を構成する透明性樹脂100重量部に0.1〜2重量部分散させる。
【0028】
樹脂層(B)に分散させる材料としては、前述の界面活性剤が必須であるが、該層に無機粒子を混在させることは避けなければならない。
界面活性剤と無機粒子を混在させた樹脂について押出成形を行うと、界面活性剤と無機粒子が溶融樹脂中で凝集し、押出工程中にかかる高剪断のためにこの凝集物が板表面に偏在してしまい、積層板の表面状態を著しく低下させてしまう傾向がある。
特に共押出法によって得られる積層板においては、被覆層は積層工程中で薄く広げる必要があるため、ダイ内スリット部で高剪断がかかりやすく表面状態は悪化しやすい。
【0029】
樹脂層(B)において界面活性剤と共存を避けるべき無機粒子としては、光拡散性や艶消し性、剛性や耐熱性を付与するために添加されるものであり、具体的には、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、硝子、タルク、マイカ、ホワイトカーボン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ガラス中空体、カーボンファイバー、グラスファイバー等が挙げられる。
これらの無機粒子は機能性付与のために樹脂層(A)に分散させることは可能である。
【0030】
最近の光拡散板は照明カバーに代表されるように板表面が艶消し状態になっていることが多く、本発明における光拡散性積層樹脂板においても艶消し化は十分可能である。
艶消し化は、樹脂層(B)に特定の大きさの不溶樹脂粒子を特定量均一分散させることにより達成される。
【0031】
ここでいう不溶樹脂粒子とは、該樹脂粒子を分散している透明性樹脂に、押出成形の際にも溶け出さない樹脂粒子であり、具体的には、架橋又は高分子量スチレン系樹脂粒子、架橋または高分子量アクリル系樹脂粒子、架橋シロキサン系樹脂粒子等が挙げられる。
【0032】
不溶樹脂粒子の中でも、重合後の粒子に水酸基やカルボキシル基が残っていない方が好ましい。
これらの親水基が残留していると、親水基が残留していない樹脂粒子と比較して、界面活性剤との凝集を発生しやすい傾向がある。ただし、無機粒子との混在に比べると程度は軽い。
【0033】
不溶樹脂粒子に水酸基やカルボキシル基を残留させない方法としては、単に重合後に水酸基やカルボキシル基が残留しない原料単量体を選択し、樹脂粒子化すればよく、この単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルやメタクリル酸等を除いた前述の単量体群がこれに該当する。
【0034】
本発明における不溶樹脂粒子の粒子径は、重量平均で10〜50μmである。10μm未満であると艶消し性が十分でなく、50μmを超えると板表面の凹凸が大きくなり、ノッチ効果で材料が割れやすくなる傾向がある。
【0035】
不溶樹脂粒子の樹脂層(B)への分散量は、透明性樹脂100重量部に対して、3〜20重量部である。
3重量部未満であると艶消し性を付与するには不十分で、20重量部を超えると樹脂層(B)が脆くなり、これもノッチ効果で材料が割れやすくなる傾向がある。
【0036】
また樹脂層(A)、樹脂層(B)には、染料、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤等、各層の樹脂に相溶しうる周知の添加剤を添加しても特に問題は無く、また機能性付与は1種だけでなく2種以上組み合わせることも可能である。
【0037】
本発明における積層樹脂板の厚みは特に制限されるものではないが、概ね0.1〜10mmの範囲である。
また層厚比率(樹脂層(A)/樹脂層(B))は、約99/1〜1.1/1の範囲である。
樹脂層(B)が樹脂層(A)の両表層を被覆している場合は、層厚比率(樹脂層(B)/樹脂層(A)/樹脂層(B))は、約1/198/1〜1/2.2/1の範囲である。
【0038】
透明性樹脂に光拡散剤や帯電防止剤、不溶樹脂粒子を分散させた組成物とするには、周知の方法が適用できる。
すなわち、これらをヘンシェルミキサー、タンブラー等で機械的に混合し、バンバリーミキサーや一軸または二軸の押出機で溶融混練する方法がある。
さらには、後述の成形方法を用いて一段で積層押出樹脂板とすることも可能である。
【0039】
得られた組成物を積層押出樹脂板とするには、周知の共押出成形法を用いる。共押出成形法は、2〜3基の一軸、二軸の押出機で樹脂層(A)、樹脂層(B)の組成物を溶融混練した後、フィードブロックダイやマルチマニホールドダイを介して積層する方法であり、積層一体化された溶融樹脂板をロールユニットを用いて冷却固化し積層押出樹脂板を得る。
【0040】
【発明の効果】
本発明の光拡散性積層押出樹脂板は、長時間の共押出成形を行って得られたものでも表面状態が良好でかつ帯電防止性と光拡散性を併せ持っている。
本発明の積層押出樹脂板は、光拡散性、帯電防止性、艶消し性が要求される照明カバー、ディスプレイの拡散板、照明看板等に好適に用いられる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら制限されるものではない。
【0042】
実施例で使用した押出装置は以下の通りである。
・押出機▲1▼:スクリュー径40mm、一軸、ベント付き田辺プラスチック(株)製
・押出機▲2▼:スクリュー径20mm、一軸、ベント付き田辺プラスチック(株)製
・フィードブロック:2種3層分配、田辺プラスチック(株)製
・ダイ:Tダイ、リップ幅250mm、リップ間隔6mm
・ロール:ポリシングロール3本、縦型
【0043】
また、評価方法は以下の通りである。
(1)重量平均粒子径
光回折散乱粒径測定機(日機装(株)製、マイクロトラック粒度分析計 Model 9220 FRA )で測定し、D50の値を平均粒子径とした。
(2)全光線透過率(Tt)
JIS K-7105に準拠して、ヘイズ・透過率計((株)村上色彩技術研究所製 HR-100 )により測定した。
(3)隠蔽性及び光拡散性
垂直入射光による透過角0度の透過光強度(I0)、垂直入射光による透過角5度の透過光強度(I5)、垂直入射光による透過角70度の透過光強度(I70)を((株) 村上色彩技術研究所製 GP-1Rを用いて測定し、I5/I0を隠蔽性とし、I70 /I0を光拡散性とした。
(4)表面光沢度
低光反射面をJIS Z-8741の光沢度測定に準拠して、光沢度計(スガ試験機製UGV-4D)により60度反射にて測定した。
(5)帯電防止性
試料を23℃、50%湿度の状態に24時間放置後、同雰囲気中でスタティックオネストメーター(宍戸商会製)を用いて、印加電圧10kv、印加時間1分、テーブル回転数1300rpmの条件で、帯電圧の半減期を測定した。
(6)目視判定
板表面の状態を目視判定した。
○:良好な表面状態(艶消し含む)
△:板の押出流れ方向のごく一部に光沢のムラが発生している
×:板の全面に光沢のムラが発生、または焼け及び着色発生
(7)層厚の確認
得られた積層押出板の端面を15倍拡大ルーペで観察し、積層部の厚みを調べた。
【0044】
実施例1
〔樹脂層(A)〕
透明性樹脂としてポリカーボネート樹脂(カリバー200、屈折率1.59:住友ダウ(株)製)100重量部に、光拡散剤として架橋アクリル系樹脂粒子(テクポリマーMBX8、粒子径8μm、屈折率1.49:積水化成品工業(株)製)2重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、押出機▲1▼にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。
〔樹脂層(B)〕
透明性樹脂としてメタクリル酸メチル樹脂(スミペックスEXA、屈折率1.49:住友化学工業(株)製)100重量部に、帯電防止剤としてステアリルスルホン酸ナトリウム1.0重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、押出機▲2▼にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。
樹脂層(A)を中間層、樹脂層(B)を表層として、押出樹脂温度280℃、層厚が0.2mm/2.6mm/0.2mmの3層構成で共押出成形を行い、幅20cmの帯電防止性と光拡散性を付与した積層押出樹脂板を作製した。
評価結果を表1に示す。
【0045】
比較例1
樹脂層(A)に光拡散剤を加えなかった以外は実施例1と同様に行った。
評価結果を表1に示す。
【0046】
実施例2
〔樹脂層(A)〕
透明性樹脂としてメタクリル酸メチル樹脂(スミペックスEXA、屈折率1.49:住友化学工業(株)製)100重量部に、光拡散剤として硫酸バリウム粒子(AD硫酸バリウム、粒子径3μm、屈折率1.64:日本化学(株)製)2重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、押出機▲1▼にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。
〔樹脂層(B)〕
透明性樹脂として樹脂層(A)と同じメタクリル酸メチル樹脂100重量部に、帯電防止剤としてセチルスルホン酸ナトリウム0.8重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、押出機▲2▼にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。
樹脂層(A)を中間層、樹脂層(B)を表層として、押出樹脂温度245℃、層厚が0.1mm/2.8mm/0.1mmの3層構成で共押出成形を行い、スタートから2時間後に幅21cmの帯電防止性と光拡散性を付与した積層押出樹脂板を得た。
評価結果を表1に示す。
【0047】
比較例2
樹脂層(B)に添加した帯電防止剤を樹脂層(A)に添加し、樹脂層(A)のみの3mm厚の単層板を作製した。
評価結果を表1に示す。
【0048】
実施例3
〔樹脂層(A)〕
透明性樹脂として実施例2と同じメタクリル酸メチル樹脂100重量部に、光拡散剤として炭酸カルシウム粒子(CS−D、粒子径3μm、屈折率1.61:カルシード(株)製)1.5重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、押出機▲1▼にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。
〔樹脂層(B)〕
透明性樹脂として樹脂層(A)と同じメタクリル酸メチル樹脂100重量部に、帯電防止剤としてセチルスルホン酸ナトリウム1.2重量部、不溶樹脂粒子として架橋メタクリル酸メチル系粒子(スミペックスXCIA、粒子径35μm、屈折率1.49、住友化学工業(株)製)10重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、押出機▲2▼にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。
樹脂層(A)を中間層、樹脂層(B)を表層として、押出樹脂温度250℃、層厚が0.1mm/2.8mm/0.1mmの3層構成で共押出成形を行い、幅21cmの帯電防止性と光拡散性と艶消し性を付与した積層押出樹脂板を作製した。
評価結果を表1に示す。
【0049】
比較例3
樹脂層(B)の組成物に樹脂層(A)と同じ炭酸カルシウムを同量添加した以外は実施例3と同様にして積層押出樹脂板を作製した。
評価結果を表1に示す。
【0050】
実施例4
〔樹脂層(A)〕
透明性樹脂として実施例2と同じメタクリル酸メチル樹脂100重量部に、光拡散剤として架橋シロキサン系樹脂粒子(トスパール120、粒子径2μm、屈折率1.43:東芝シリコーン(株)製)2重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、押出機▲1▼にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。
〔樹脂層(B)〕
透明性樹脂としてスチレン樹脂(スミブライトGP M183、屈折率1.59:住友化学工業(株)製)100重量部に、帯電防止剤としてドデシルベンゼンスルホン酸リチウム1.5重量部、不溶樹脂粒子として架橋スチレン系粒子(ファインパールPB3011、粒子径11μm、屈折率1.59:住友化学工業(株)製)15重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、押出機▲1▼にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。
樹脂層(A)を中間層、樹脂層(B)を表層として、押出樹脂温度255℃、層厚が1.9mm/0.1の2層構成で共押出成形を行い、幅20cmの帯電防止性と光拡散性と艶消し性を付与した積層押出樹脂板を作製した。
評価結果を表1に示す。
【0051】
実施例5
樹脂層(B)の不溶樹脂粒子を架橋アクリル系樹脂粒子(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル/メタクリル酸メチル/ジビニルベンゼン=30/65/5の単量体混合物を懸濁重合し分級したもの、粒子径40μm、屈折率1.50)10重量部に変更した以外は実施例4と同様にして積層押出樹脂板を作製した。
評価結果を表1に示す。
【0052】
実施例6〜8、比較例4〜6
〔樹脂層(A)〕
透明性樹脂として実施例2と同じメタクリル酸メチル樹脂100重量部に、実施例3と同じ炭酸カルシウム2重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、押出機▲1▼にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。
〔樹脂層(B)〕
透明性樹脂として樹脂層(A)と同じメタクリル酸メチル樹脂100重量部に、帯電防止剤としてステアリルスルホン酸ナトリウム、不溶樹脂粒子として実施例3と同じ架橋メタクリル酸メチル系粒子を表2に示す量をヘンシェルミキサーで混合した後、押出機▲1▼にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。
樹脂層(A)を中間層、樹脂層(B)を表層として、押出樹脂温度265℃、層厚が0.3mm/2.4mm/0.3mmの3層構成で共押出成形を行い、幅19cmの帯電防止性と光拡散性と艶消し性を付与した積層押出樹脂板を作製した。
評価結果を表1に示す。
【0053】
実施例9
〔樹脂層(A)〕
透明性樹脂として実施例2と同じメタクリル酸メチル樹脂100重量部に、光拡散剤として炭酸カルシウム粒子(シプロンA、粒子径8μm、屈折率1.61:シプロ化成(株)製)2重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、押出機▲1▼にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。
〔樹脂層(B)〕
透明性樹脂として樹脂層(A)と同じメタクリル酸メチル樹脂100重量部に、帯電防止剤としてセチルスルホン酸ナトリウム0.5重量部、不溶樹脂粒子として実施例3と同じ架橋メタクリル酸メチル系粒子10重量部をヘンシェルミキサーで混合した後、押出機▲2▼にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。
樹脂層(A)を中間層、樹脂層(B)を表層として、押出樹脂温度265℃、層厚が0.1mm/1.8mm/0.1mmの3層構成で共押出成形を行い、押出が安定したところで一旦両押出機を停止させ、1時間そのまま放置し、再度両押出機を起動させた。
押出機再起動から45分後に幅21cmの帯電防止性と光拡散性と艶消し性を付与した積層押出樹脂板を得た。
評価結果を表1に示す。
【0054】
比較例7
樹脂層(B)のセチルスルホン酸ナトリウムに代えて、ポリエーテルエステルアミド系帯電防止剤(ペレスタット6321:三洋化成工業(株)製)10重量部を用いた以外は実施例9と同様にして積層押出樹脂板を得た。
評価結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
Claims (3)
- 透明性樹脂に光拡散剤を均一に分散させてなる樹脂層(A)の少なくとも片面に、透明性樹脂100重量部に対し、界面活性剤からなる帯電防止剤を0.1〜2.0重量部を均一に分散させてなり、無機粒子が分散していない樹脂層(B)を共押出成形法によって積層一体化してなる光拡散性積層押出樹脂板。
- 樹脂層(B)に重量平均粒子径が10〜50μmの不溶樹脂粒子を3〜20重量部均一に分散させた請求項1記載の光拡散性積層押出樹脂板。
- 樹脂層(B)の透明性樹脂がメタクリル酸メチル系樹脂であり、該層に分散させる不溶樹脂粒子が水酸基またはカルボキシル基を含有しないアクリル系重合体粒子である請求項2記載の光拡散性積層押出樹脂板。
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