JP3663869B2 - 窒化ガリウム系化合物半導体素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光ダイオード等の光デバイスに利用される窒化ガリウム系化合物半導体素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
GaN、AlGaN、InGaN等の窒化ガリウム系化合物半導体は、緑色や青色等の可視光発光デバイスや高温動作電子デバイス用の半導体材料として注目されており、最近では2000mcdを超える高輝度の青色発光ダイオードも実用化されている。
【0003】
この窒化ガリウム系化合物半導体を用いた光デバイスの製造においては、専らサファイアが結晶成長用の基板として用いられている。このサファイアのような絶縁性の基板を用いる場合では、他のGaAsやInP等の導電性を有する半導体基板を用いた発光素子とは異なり、基板側から電極を取り出すことができないので、半導体層に設けるp側及びn側の電極は半導体層を積層させた基板の一面側に形成されることになる。
【0004】
一般に、窒化ガリウム系化合物半導体発光素子は、有機金属気相成長法や分子線エピタキシー法により、基板表面にn型層とp型層を積層させた後、p型層の一部の領域をエッチングにより除去してn型層を露出させ、この露出した部分のn型層の表面及びp型層の表面のそれぞれにn側電極及びp側電極を接合形成させたものとして得ることができる。
【0005】
このような半導体発光素子においては、n型層とp型層の積層を、n型のクラッド層と活性層とp型のクラッド層とからなるダブルヘテロ構造とすることで、発光出力の向上が可能であることは、既に広く知られている。また、p型不純物としてマグネシウム(Mg)がドープされたAlGaNからなるp型クラッド層とし、この層の上に電極が形成されるべき層としてMgがドープされたp型GaNコンタクト層を備えた構造とすれば、電極との良好なオーミック性が得られ、素子の順方向電圧を低下させ、発光効率を向上させることができる。このような構造の半導体発光素子は、例えば特開平6−268259号公報に開示されている。
【0006】
ところで、窒化ガリウム系化合物半導体のp型層はn型層に比べると、一般に電気的抵抗が高いため、電流が流れにくい。このため、p型層の表面にp側電極としてワイヤボンディング用のパッド電極を蒸着法等により形成すると、パッド電極から注入された電流はp型層の層方向へは広がらず、このパッド電極を形成した領域の下側にかけてしか電流が流れない傾向がある。したがって、発光部における発光はパッド電極の下側の領域に限られ、p型層側へ向かう光はこのパッド電極に遮られてしまい、発光効率が低下してしまう。
【0007】
これに対し、例えば特開平6−314822号公報にて開示されているように、パッド電極部分だけでなくp型層の全体に電流を注入しやすくするため、p型層の上面に導電性の薄膜を形成し、これを電極とすることが有効とされている。そして、導電性薄膜による電極を透光性としてp型層のほぼ全面に形成し、透光性電極とすれば、p型層の上面を発光部からの発光観測面とする構成が可能である。透光性電極としては、p型層とのオーミック接触が得られるAu及びNiが用いられる。
【0008】
図4は上述した従来の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の断面構造を示す図であり、近来では主流とされているものの典型的なものである。
【0009】
図4において、サファイア基板11上に、GaNバッファ層12と、n型GaN層13と、n型AlGaN層14と、InGaN活性層15と、p型AlGaN層16とp型GaN層17とが順に積層されたダブルヘテロ構造を有している。n型GaN層13の上面にはTiとAlよりなるn側電極18が形成されており、p型GaN層17の上面にはそのほぼ全面にAuとNiからなる透光性のp側電極19が形成されている。さらに、p側電極19の上面にはp側ボンディング電極20が形成されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
p側電極19としては、上記のようにNi及びAuが用いられ、Niの場合は1〜5nmの膜厚及びAuでは5〜20nmの膜厚として形成されるのが一般的である。すなわち、NiやAu等の金属を極めて薄い膜として形成し透光性を得ようとしたものであるが、発光層であるInGaN活性層15からの発光に対して、透光率は100%とはならない。例えば、青色の波長の発光に対しては、透光率は40%〜70%程度である。
【0011】
一方、透光率を上げるためにp側電極19を極端に薄く形成すると、その厚みばらつき等により、p型GaN層17との密着性やオーミック性が悪くなり、p型層に均一に電流を注入することができなくなる傾向がある。
【0012】
このようなことから、従来の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子においては、その平均的な発光特性は、順方向電流Ifが20mAにおいて順方向電圧Vfは3.6V程度となっている。
【0013】
一方、たとえば発光ダイオードを多数個並べてディスプレイパネルを組み立てるような場合、個々の発光ダイオードのそれぞれについては電圧降下が小さくなるので、ディスプレイパネルの全体にかける電圧を小さくできる。したがって、順方向電圧Vfの低減は電力の節減という点から重要であり、従来では順方向電圧が3.6V程度と大きいので、この値を更に低減することが有効である。
【0014】
本発明において解決すべき課題は、窒化ガリウム系化合物半導体素子において、p型窒化ガリウム系化合物半導体層の上に形成される透光性のp側電極の材質の転換により、順方向電圧Vfの低減と透光率の向上を図ることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の窒化ガリウム系半導体素子は、p型窒化ガリウム系化合物半導体層の上に形成されるp側電極が、Sb(アンチモン)またはSb(アンチモン)を含む合金からなる層を有することを特徴とする。
【0016】
p型窒化ガリウム系化合物半導体層に接するp側電極にSb(アンチモン)またはSb(アンチモン)を含む合金を使用することにより、オーミック性が良化して電極間抵抗が低下し、順方向電圧Vfを低減することができる。また、Sb(アンチモン)またはSb(アンチモン)を含む合金は、従来の半導体素子に使用されているNi(ニッケル)に比べ透光率が高いので、発光素子においては外部量子効率が向上し、さらに、従来の素子と同等の明るさとする場合、p側電極の膜厚を厚くすることができ、組立時のボンディング不良を低減し素子自体の信頼性を高めることができる。
【0017】
なお、本発明の窒化ガリウム系半導体素子を受光素子に応用した場合でも、発光素子と同様に順方向電圧Vfの低減が可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、p型窒化ガリウム系化合物半導体層を有し、前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層の表面ほぼ全体に透光性のp側電極が形成されてなる窒化ガリウム系化合物半導体素子において、前記p側電極が前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層に接するSb(アンチモン)またはSb(アンチモン)を含む合金からなる層を有するものであり、順方向電圧Vfを低減し、透光率を高めるという作用を有する。
【0019】
請求項2に記載の発明は、請求項1におけるp側電極が、Sb(アンチモン)またはSb(アンチモン)を含む合金の層の上にAu(金)が積層された少なくとも2層構造であるもので、Sbが露出した状態で大気中に取り出して再度ボンディング用のAuを蒸着するとその付着不良が発生するのに対し、次工程での金属材料との付着力を高めることができるという作用を有する。
【0020】
以下に、本発明の実施の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態における半導体発光素子の断面構造を示す図である。半導体発光素子は、サファイア基板1の表面にGaNバッファ層2、n型GaN層3、n型AlGaN層4、InGaN活性層5、p型AlGaN層6、p型GaN層7の順に積層したウエーハの、p型GaN層7の表面に所定の形状のパターンを形成してp型GaN層7側からドライエッチングを行い、n側電極を形成するべきn型GaN層3の一部を露出させ、その表面にn側電極8を形成する。ここまでは図4に示した従来の半導体発光素子と同じである。
【0021】
本実施形態の半導体発光素子においては、p側電極9として、p型GaN層7の表面ほぼ全体にSbを含む合金Au−Sbを100Åの膜厚で蒸着している。このp側電極9の上にp側ボンディング電極10を形成している。
【0022】
このようにp側電極9としてSbを含む合金Au−Sbを使用したことにより、p側電極としてNiやAuを使用した従来の半導体発光素子に比して、順方向電圧Vfが低減し、透光率の高い発光素子が得られた。
【0023】
図2は、本実施形態の半導体発光素子(A)と、p側電極としてNiを50Å、その上にAuを50Å蒸着した従来の半導体発光素子(B)についての、p電極とp電極の間の電流電圧特性を示す図である。同図に示すように、(A),(B)いずれの電極の場合もp型GaN層とオーミック接触を得ていることがわかる。
【0024】
さらに、図2の特性図から明らかなように、R=V/Iの関係により、特性を示す直線の勾配が大きいほど抵抗は小さいので、電極間抵抗は小さくなり、p型GaN層と良好な接触を得ていることがわかる。
【0025】
図3は、本実施形態の半導体発光素子(A)のp側電極と従来の半導体発光素子(B)のp側電極についての透光率を膜厚別に示す図である。同図の横軸はp側電極の膜厚であり、縦軸は波長450nmの光の透光率である。同図に示すように、合金Au−Sbを使用した本実施形態の半導体発光素子(A)のp側電極は、従来の半導体発光素子(B)のp側電極に比して透光率が約12%高く、それだけ外部量子効率が向上する。また、従来の半導体発光素子(B)と同等の明るさとする場合、本実施形態の半導体発光素子(A)においてはp側電極の膜厚を従来の半導体発光素子(B)のp側電極より約60Å厚くすることができ、組立時のボンディング不良を低減し素子自体の信頼性を高めることができる。
【0026】
【実施例】
(実施例1)
図1に示す半導体発光素子の断面構造において、サファイア基板1の表面にGaNバッファ層2を200Å、n型GaN層3を4μm、n型AlGaN層4を0.1μm、InGaN活性層5を0.05μm、p型AlGaN層6を0.1μm、p型GaN層7を0.5μmの膜厚で順に積層したウエーハを用意する。次に、このウエーハのp型GaN層7の表面に所定の形状のパターンを形成し、p型GaN層7側からドライエッチングを行い、n側電極8を形成するべきn型GaN層3の一部を露出させる。次に露出したn型GaN層3の表面にn側電極8としてTiを0.3μm、Auを2μmの膜厚で順に蒸着し、所定の形状にパターニングする。さらに、p側電極9としてp型GaN層7の表面ほぼ全体にSbを含む合金Au−Sbを100Å蒸着する。蒸着後、このウエーハを不活性ガス雰囲気中で熱処理を行う。ここで、p側電極9の一部分にAu線をボンディングするp側ボンディング電極10を形成する必要があるが、これは熱処理の前でも後でも構わない。こうして、電極形成を行ったウエーハを所定の形状にカットして得られた半導体発光素子を、LEDランプとして組み立てた。
【0027】
このLEDは順方向電流If20mAにおいて、順方向電圧Vf3.2vを達成した。したがって、この順方向電圧Vfを持つLEDを多数個配列してディスプレイパネルとする場合には、回路全体としての消費電力が大幅に低減されると同時に、LEDの単体では順方向電圧Vfに起因する発熱も抑制されるので信頼性が確保され寿命も長くなる。
【0028】
また、発光出力も、p側電極にNiを50Å蒸着し、その上にAuを50Å蒸着した従来の半導体発光素子を用いたLEDに比べ1.2倍となった。
【0029】
(実施例2)
p側電極9としてp型GaN層7の表面ほぼ全体にSbを50Å蒸着し、その上にAuを50Å蒸着するほかは実施例1と同様にしてLEDランプとして組み立てた。このLEDは順方向電流If20mAにおいて、実施例1と同じく順方向電圧Vf3.2vを達成した。また、発光出力も従来の半導体発光素子を用いたLEDに比べ1.2倍となった。
【0030】
(実施例3)
p側電極9としてp型GaN層7の表面ほぼ全体にSbを含む合金Au−Sbを150Å蒸着するほかは実施例1と同様にしてLEDランプとして組み立てた。このLEDは順方向電流If20mAにおいて、実施例1と同じく順方向電圧Vf3.2vを達成した。また、発光出力も従来の半導体発光素子を用いたLEDと同等であった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の窒化ガリウム系化合物半導体素子は、p型窒化ガリウム系化合物半導体層に接するp側電極にSb(アンチモン)またはSb(アンチモン)を含む合金を使用することにより、順方向電圧Vfを低減することができ、これによってLEDの効率向上を図ることがができる。また、Sb(アンチモン)またはSb(アンチモン)を含む合金は、従来の半導体素子に使用されているNi(ニッケル)に比べ透光率が高いので、発光素子においては外部量子効率が向上し、さらに、従来の発光素子と同等の明るさとする場合、p側電極の膜厚を厚くすることができ、組立時のボンディング不良を低減し素子自体の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における半導体発光素子の断面構造を示す図
【図2】本実施形態の半導体発光素子と従来の半導体発光素子についての電流電圧特性を示す図
【図3】本実施形態の半導体発光素子のp側電極と従来の半導体発光素子のp側電極についての透光率を示す図
【図4】従来の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の断面構造を示す図
【符号の説明】
1,11 サファイア基板
2,12 GaNバッファ層
3,13 n型GaN層
4,14 n型AlGaN層
5,15 InGaN活性層
6,16 p型AlGaN層
7,17 p型GaN層
8,18 n側電極
9,19 p側電極
10,20 p側ボンディング電極
Claims (2)
- p型窒化ガリウム系化合物半導体層を有し、前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層の表面ほぼ全体に透光性のp側電極が形成されてなる窒化ガリウム系化合物半導体素子において、前記p側電極が前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層に接するSb(アンチモン)またはSb(アンチモン)を含む合金からなる層を有することを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体素子。
- 前記p側電極が、Sb(アンチモン)またはSb(アンチモン)を含む合金の層の上にAu(金)が積層された少なくとも2層構造である請求項1記載の窒化ガリウム系化合物半導体素子。
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|---|---|---|---|
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