JP3666048B2 - プラスティックカード用ラミネーションテープ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ポリエチレンテレフタレート系樹脂(以下、PETという。)からなる多層基材上に、結合剤樹脂中に磁性粉が分散し形成された乾燥塗膜からなる磁性層を積層一体化した、加熱加圧により他のプラスチック基材に接合できるプラスティックカード用ラミネーションテープに関する。
【0002】
【従来の技術】
PET等のプラスチック基材上に、結合剤樹脂中に磁性粉が分散し形成された乾燥塗膜からなる磁性層を積層一体化した磁気記録媒体は、例えばビデオテープ、オーディオテープ、フロッピーディスク、クレジットカード等に利用されている転写型磁気テープ、銀行の通帳等に利用されている貼合型磁気テープ、磁気記録層を有するプリペイドカード、磁気記録層を有するラミネーティングテープなどとして、広く普及している。
【0003】
前記の磁気記録媒体のうち、加熱加圧により他の基材に接合することができるラミネーティングテープは加工装置が簡単なことから、カード製造用として、欧米において広く普及している。
【0004】
ラミネーティングテープは、紙カードを製造する場合には、ラミネーション加工直前に磁性層の反対側の基材上に粘着剤を塗工し加圧加工する場合も有るが、一般には磁性層の反対側の基材上に被ラミネーティング基材の材質に適したホットメルト接着剤を予め塗布し、加熱加圧加工してカードを作製する。プラスチックカード用ラミネーティングテープの場合は、このホットメルト接着剤層を予め設ける事は必須である。
【0005】
上記のプラスチックカード用ラミネーションテープのフィルム基材としては、強度、耐溶剤性、コストの点から、通常ポリエチレンテレフタレートフィルムが用いられる。
【0006】
ポリエチレンテレフタレートフィルムにホットメルト接着剤を塗工する場合、ポリエチレンテレフタレートフィルムとホットメルト接着剤間の接着強度を大きくするためには、ホットメルト接着剤は熱可塑性ポリエステル樹脂等に限定される。
【0007】
ホットメルト接着剤を塗工するには、有機溶剤にホットメルト接着剤を溶解させ基材にコーティングするが、一般に軟化点の低いポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂は汎用有機溶剤に易溶であるが、軟化点の高い同熱可塑性樹脂は汎用有機溶剤に難溶である。
【0008】
前述の記録媒体は、これらの理由から、ホットメルト接着剤として軟化点の低い熱可塑性樹脂が用いられるため、保存性能が悪くブロッキングし易いという欠点がある。
【0009】
また汎用溶剤に不溶であるポリエチレンテレフタレートフィルム基材と、汎用溶剤に溶解する熱可塑製ポリエステル樹脂は親和力が充分では無いために、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材上に磁気記録層を設け、もう一方の面に汎用溶剤に溶解する熱可塑製ポリエステル樹脂層を設けてラミネーションテープを作製し、或る条件での熱圧プレスを行って塩化ビニル樹脂性のカード等にラミネーション加工を行った際に、ポリエチレンテレフタレートフィルムと熱可塑性ポリエステル樹脂層の界面で剥離を生じてしまうことがある。
【0010】
またホットメルト接着剤を塗工することによって製造工程数が増えるためコストが高くならざるを得ないという問題もあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような欠点を改良し、保存性、接着強度に優れ且つ製造工程数の少ないプラスチックカード用ラミネーションテープを提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記実情に鑑みて鋭意検討したところ、基材として結晶化度の異なるPET系樹脂層が積層された多層フィルム基材を用い、その結晶化度の最も高いPET系樹脂層上に、結合剤樹脂中に磁性粉が分散し形成された乾燥塗膜からなる磁性層を積層一体化し、結晶化度の最も低いPET系樹脂層を、結晶化度を10%以下のPET系樹脂層にすることで、上記課題が解決されることを見出し本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明に用いられる多層フィルム基材(A)は、結晶化度の異なるPET系樹脂層が積層一体化された構造を有するフィルムである。結晶化度の高いPET、結晶化度の低いPETは、一般に、それぞれクリスタルPET、アモルファスPETと呼ばれているが、本発明に用いられる基材(A)は、クリスタルPET系樹脂層と、アモルファスPET系樹脂層とが、積層一体化された構造を有するフィルムである。
【0014】
本発明で用いるPET系樹脂は、エチレングリコール及びテレフタル酸、又はそれらのエステル形成性誘導体(テレフタル酸ジメチル等)を必須成分として、必要に応じて、その他のジオール、ジカルボン酸、3以上の水酸基を有するポリオール、又は3以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸等の副原料を併用して、触媒の存在下、共縮合反応やエステル交換反応等により容易に得られるものである。
【0015】
前記副原料としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物等の低分子ジオール、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等のジカルボン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、グルコース、ソルビトール、シュークローズ等の3以上の水酸基を有するポリオール、トリメリット酸、ピロメリット酸又はその無水物等の3以上の水酸基を有するポリカルボン酸等が挙げられる。
【0016】
勿論、ジオールとしては、前記エチレングリコールを含む前記ジオールの1種又は2種以上にプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等の1種又は2種以上を付加して得られるランダム構造又はブロック構造のポリエーテルジオール、及びポリオキシテトラメチレンジオール等も併用できるし、プロピオラクトン、カプロラクトン、バレロラクトン等の開環重合体ジオールも併用できる。
【0017】
エチレングリコール及びテレフタル酸とのみからなるPETは、通常クリスタルPET系樹脂の中で、最も結晶性が高いものである。PETのガラス転移温度は、69℃で、融点は256℃である。PETの結晶化は、100℃以上になると促進される傾向にある。
【0018】
一方、基材(A)において、相対的に結晶化度の低い層を形成するPET系樹脂は、エチレングリコール及びテレフタル酸、又はそれらのエステル形成性誘導体を必須成分として、PETの化学構造をより結晶性の低いものとしうる前記した副原料を、適宜必要量を、併用してランダム反応やブロック反応を行うことにより、任意の結晶性のアモルファスPET系樹脂を得ることが出来る。
【0019】
PETの結晶性を低下させる副原料を選択するに際しては、例えばジオール又はジカルボン酸として、直鎖のアルキレン基の両末端に水酸基を有している様な構造のものより、側鎖にアルキル基を有しているものを積極的に併用し、それに由来する骨格がランダム又はブロックで含まれる様にするのが、得られるポリエステルを低結晶性とするのに有効である。
【0020】
また、イソフタル酸を積極的に併用するのも有効であるし、予め低分子量の末端水酸基又はカルボキシル基のPETを得、これに結晶性を阻害しうる上記副原料を反応させて、結晶性PET部分に、非晶性部分を積極的に含むブロック共縮合体とするという方法も有効である。
【0021】
PET系樹脂には、例えば、無機充填剤や、結晶核剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を併用することもできる。無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、酸化カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、水酸化カルシウム、硫酸アルミニウム、カオリン、ゼオライト、硅そう土、ガラスバルーン等の無機化合物の粉粒体が挙げられる。その添加量は、PET系樹脂100重量部中0〜45重量%である。
【0022】
尚、PET系樹脂は、上記した通り、樹脂成分の原料組成及び分子骨格のみを工夫することで、その結晶性をかなり制御することもできるが、一方で、PET系樹脂組成物を得るに当たって結晶核剤を用いない様にしたり、それに親和性を有し、かつ結晶性を阻害する添加剤を、必要とする結晶性となる様に添加することにより、その結晶性又は最終的な基材(A)の結晶化度を制御することも出来る。
【0023】
本発明に用いられる基材(A)は、一般には、結晶性の異なるPET系樹脂の2種以上を溶融共押し出しして延伸することによって得ることができる。具体的には、先ず所望の厚みよりもやや厚めとなる様、結晶性の異なるPET系樹脂をフィルム状に成形した後、急冷する第1工程、これを用いた結晶性の最も高いPET系樹脂の融点+10〜15℃となる様に加熱し、1軸(縦又は横のいずれか一方向)或いは2軸(縦横両方向)に、1.2〜5倍に延伸を行い分子の配向をそろえる第2工程、さらにこれを、結晶性の最も高いPET系樹脂の結晶化速度が速い温度領域(通常180〜280℃)で、熱処理して結晶化させる第3工程により、多層フィルム基材(A)が得られる。
【0024】
結晶化を短時間で促進するためには、通常260〜280℃で熱処理を行うのが好ましい。PETは、290℃を越えると熱分解を開始するので、その温度未満で結晶化を行うのが好ましい。
【0025】
従って、一方のPET系樹脂又は組成物として、延伸した際に配向しやすいもの(結晶性がより高いもの)を用い、もう一方に、延伸した際に配向しにくいもの(結晶性がより低いもの)の1種以上を配向しやすい順に用いることによって、本発明に供する結晶度の異なるPET系樹脂層が積層一体化された基材(A)を形成することができる。
【0026】
本製法によれば、溶剤に不溶もしくは難溶なポリエステル樹脂同士を積層構造にすることが可能な為、PET系樹脂フィルムに、接着剤層の役割を有する熱可塑性ポリエステル樹脂を溶剤コートした場合に比較し、結晶化度の高いポリエチレンテレフタレート層と、接着剤層の役割を有する結晶化度の低いポリエチレンテレフタレート層との親和性を大きくすることが出来、それらの接着強度も、より大きくなる。
【0027】
層間接着強度は低下するが、別の機能性を付与する際に、必要であれば、中間接着層を介在させた押し出しラミネーション法により、PET系樹脂層とPET系樹脂以外のポリマー、例えばポリエチレン、ポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の積層フィルム基材を形成することができる。
【0028】
本発明で用いる基材(A)は、ラミネーションテープの用途に応じて任意の厚みの物を使用することができるが、通常5〜50μm、異なる結晶化度の各PET系樹脂層の厚みの割合は特に限定されるものではないが、結晶化度の高いPET系樹脂層の厚みが全体厚みの70〜95%に相当するものが好ましい。ラミネーションテープとして、磁気ストライプ付プラスチックカード作製用途の場合は、ツラ一加工する事を考えると35μm以下、更には6〜18μmの基材(A)を用いることが好ましい。
【0029】
基材(A)の最も結晶化度の高いPET系樹脂層には、結合剤樹脂中に磁性粉が分散し形成された乾燥塗膜からなる磁性層(B)が積層され一体化される。
【0030】
磁気層塗工面である、基材(A)の結晶化度の最も高いPET系樹脂層に、コロナ放電処理・プラズマ放電処理などの易接着処理を行うか、易接着処理層を予め塗工すれば前記磁性層の基材(A)への密着性を向上させる事が出来るので望ましい。
【0031】
コロナ放電処理・プラズマ放電処理は、磁気層(B)を塗工する直前に、基材(A)にインライン処理する事が可能であり、工程数を増やさずにコストの上昇もアウトラインでの易接着層塗工処理に比較し小さいので好ましい。
【0032】
次に磁性層(B)を形成するために用いる磁性層用塗料について説明する。磁性層(B)は、主として磁性粉と結合剤樹脂とからなる乾燥塗膜からなる。磁性層(B)形成に用いる磁性粉は、磁気により記録を行えるものであれば特に限定されず、従来より磁気記録媒体の記録素子として知られるものがいずれも使用可能である。
【0033】
磁性粉としては、具体的には、γ−Fe23、Fe34 、Co含有γ−Fe23、Co含有Fe34、CrO2、Baフェライト、Srフェライト、Pbフェライト等の酸化物系磁性粉、Fe、Ni、Co及びこれらの合金等の金属磁性粉、センダスト等が挙げられる。
【0034】
磁性層(B)形成に用いる結合剤樹脂としては、例えばポリエステルポリウレタン樹脂、ポリウレタンポリエーテル樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂等のポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニリデン樹脂等の塩化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体等のアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ウレタンエラストマー、合成ゴム系樹脂等があり、これらを1種類もしくは2種類以上適宜混合して用いることができる。
【0035】
磁性層用塗料に配合される溶剤或いは希釈溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エリレングリールモノアセテート等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が有り、これらを1種類もしくは2種類以上適宜混合して用いることができる。
【0036】
上記磁性層用塗料は、通常、磁性粉、結合剤樹脂、および溶剤を必須成分として混合してなる。結合剤樹脂には、硬化剤を併用して結合剤樹脂を架橋させたほうが、磁性層(B)の乾燥塗膜の基材(A)への密着性が増し、かつ塗膜硬度も高くなるので望ましい。この塗料には、更に必要に応じて分散剤、帯電防止剤、顔料、研磨剤、潤滑剤並びに触媒等を、塗料製造の任意の段階で配合する事ができる。
【0037】
架橋剤としてはトリレンンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を用いることが出来、一般にはこれらから誘導されるポリイソシアネートが用いられる。
【0038】
分散剤としては、例えばレシチン、スルホネート類、アミン化合物、脂肪酸エステル、高級アルコール等公知の界面活性剤及びこれらの塩等が使用可能であり、これらを1種類もしくは2種類以上適宜混合して用いることができる。これらの分散剤は、あらかじめ磁性粉を前処理するために用いてもよい。
【0039】
帯電防止剤としては、例えばグラファイト、カーボンブラック、カーボンブラックグラフト重合体、酸化錫−酸化アンチモン系化合物、酸化チタン−酸化錫−酸化アンチモン系化合物等の導電性微粉末、サポニン等の天然界面活性剤、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、多価アルコール、多価アルコールエステル等のノニオン界面活性剤、高級アルキルアミン類、環状アミン、アミド、アミン、エステルアミド、第4級アンモニウム塩類、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム等のカチオン界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、硫酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸及びリン酸エステル類等の両性界面活性剤が使用可能であり、これらを1種類もしくは2種類以上適宜混合して用いることができる。上記の帯電防止剤のうち界面活性剤は、帯電防止剤としての性能を有する外、分散剤、潤滑剤としての性能もあわせ有する。
【0040】
顔料は、主として磁性層(B)面の色調調整の目的で配合され、前述のカーボンブラックをはじめ、公知の有機及び無機顔料が使用可能でありこれらを1種類もしくは2種類以上適宜混合して用いることができる。
【0041】
研磨剤としては、例えばアルミナ(α−Al23)、溶融アルミナ、炭化珪素、酸化クロム、酸化チタン、コランダム等の無機粉末及びベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、フタロシアニン化合物粉末等の有機粉末を使用することが出来、これらを1種類もしくは2種類以上適宜混合して用いることができる。
【0042】
潤滑剤としては、例えば前述のカーボンブラック、グラファイトをはじめシリコーンオイル、変性シリコーンオイル、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、脂肪酸及び脂肪酸エステル等を使用することが出来、これらを1種類もしくは2種類以上適宜混合して用いることができる。
【0043】
触媒としては、公知慣用の3級アミン類や各種の有機金属化合物類等が使用可能であり、具体的にはジ−n−ブチル錫ラウレート、ジメチル2塩化錫、トリメチル錫ヒドロキシド、塩化第2錫、オクトエ酸錫、N−エチルモルフォリン、トリエチルアミン、テトラメチルブタンジアミン、トリエチレンジアミン2等が挙げられる。
【0044】
磁性層用塗料を調製するに当たっての、磁性粉粒子の重量割合は、前記塗料の不揮発分に対し65〜90重量%の範囲が好ましい。
【0045】
磁性層用塗料に硬化剤を併用する場合における、その重量割合は硬化剤の官能数や結合剤樹脂の活性水素含有量にもよるが、一般に磁性層用塗料中の結合剤樹脂100重量部に対し3〜50重量部の範囲が好ましい。
【0046】
磁性層用塗料は例えば次の様な工程で製造される。塗料成分の組成混練にあたっては、磁性粉及びその他の塗料成分を、同時にまたは個々に順次混練機に投入する。例えば磁性粉及びその他の塗料成分を所定時間混練し前処理を行った後、触媒及び硬化剤を除く残りの各成分を加えて、混練を行って磁性層用塗料とする。塗工前に触媒及び硬化剤を加えて混練し、この塗料を基材(A)に塗工する。
【0047】
混練分散にあたっては各種の混練機を使用することができる。例えば2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、ヘンシェルミル、サンドミル、コボルミル、プラネタリーミキサー、加圧ニーダー、トルネード、アトライター、高速ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機等が挙げられる。
【0048】
この様にして調製した磁性層用塗料は、公知の方法により基材(A)上に塗工される。本発明において用いることの出来る塗工方法としては、例えばダイコーティング、グラビアコーティング、リバースグラビアコーティング、ロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、ドクターブレードコーティング、ディップコーティング、エアナイフコーティング、キスコーティング、スロットコーティイング、スライドコーティング、スプレーコーティング等が挙げられる。
【0049】
磁性層(B)(乾燥塗膜)を得る際の、塗工時のオーブンの温度は、オーブンの長さと塗工速度にもよるが、概ね40℃以上100℃未満の範囲が望ましい。この範囲であれば、乾燥が充分に行われブロッキングを生じ難く、基材(A)中の結晶化度の低いPET系樹脂層の領域が熱変形を生じることも少なく、オーブン内の金属ロールと融着するといったトラブルを生ずる恐れも少なくなる。オーブンの温度は、更に好ましくは60℃から85℃の範囲である。
【0050】
上記の方法で前記塗料を基材(A)に塗工し乾燥後、必要に応じて熱カレンダーロール等で表面平滑化処理を施すことが出来る。また用途に応じて基材(A)の結晶化度の最も高いPET系樹脂層上に、2以上の異なる抗磁力の磁性層(B)をそれの低い順に設けるといった様に、複数の磁性層(B)を設ける事も出来る。具体的には、例えば基材(A)上に抗磁力2750エルステッド(Oe)の磁性層を設け、その磁性層上にさらに650Oeの磁性層を設けることが出来る。
【0051】
また耐熱性向上、走行耐久性向上、磁気ヘッドとの摩擦低減、外観向上等の為に、磁性層(B)上に、さらに保護層(C)を設けることができる。保護層(B)は、その目的に応じて任意の樹脂を単独または組み合わせて用いることが出来る。
【0052】
保護層(C)に用いる樹脂としては、例えば酢酸セルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース系樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、ホスファゼン樹脂等の耐熱性樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−アクリル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、シリコン−アクリル共重合体、シリコン−ウレタン共重合体、シリコン樹脂等のシリコン系樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられるがこれらに限定されるものでは無い。保護層には必要に応じてワックスやフッ素系樹脂、シリコン系樹脂等の耐熱性樹脂フィラーを配合する事で熱ユニットと磁気記録媒体間の熱融着を防止することが出来る。
【0053】
保護層(C)は、通常スペーシングロスが生じない程度の層厚、例えば0.1〜5μmとすることが好ましく、更には0.1−3μmとすることが特に好ましい。保護層には、必要に応じて、前述の帯電防止剤、研磨剤、潤滑剤、顔料等を配合することができる。
【0054】
保護層(C)を形成する塗料に顔料を添加することにより、磁性層(B)中に顔料を含有させた場合と同様に色調調整の効果を有する外、アルミニウム粉の如き隠蔽力の高い顔料を用いた場合は、磁性粉の色の影響を受けない異なった色調にすることが出来る。
【0055】
保護層(C)に用いる結合剤樹脂が活性水素を有する場合は、磁性層(B)形成の場合と同様に、前述の硬化剤で架橋することによって、磁性層(B)との密着性を向上させ、保護層(C)の塗膜硬度を高くすることが出来る。必要に応じて、前述の触媒を配合することが出来る。
【0056】
本発明のプラスティックカード用ラミネーションテープは、必要に応じて所望の形状に裁断した後、通常、別の支持体に熱ラミネートすることにより、例えばキャッシュカード、クレジットカード、テレホンカード、プリペイドカード、預金通帳等を得ることができる。
【0057】
【実施例】
以下の実施例で本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例、比較例において「部」は全て重量部を意味するものとする。
【0058】
実施例1
下記の組成からなる磁性層用塗料を調製した。
【0059】
γ−酸化鉄〔チタン工業(株)製「γ-MYD」〕 27.9部
塩化ビニル系樹脂〔日本ゼオン(株)製「MR-110」) 3.5部
ウレタン樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製「パンデックスT-5206」)3.5部
エポキシ化大豆油
〔大日本インキ化学工業(株)製「エポサイザ-W-100EL」〕 0.1部
メチルエチルケトン(MEK) 26.0部
トルエン 26.0部
シクロヘキサノン 12.8部
ジ−n−ブチル錫ジラウレートの8%MEK溶液 0.2部
硬化剤〔大日本インキ化学工業(株)製「バーノックD-750」) 1.4部
【0060】
次に下記の組成からなる保護層用塗料を調製した。
【0061】
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体
〔積水化学工業(株)製「エスレックA」) 7.0部
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体
(ユニオンカーバイド製「ビニライトVAGH」) 0.6部
ウレタン樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製「パンデックスT-R02」) 0.8部
アルミナ〔上村工業(株)製「メカノックスUB-40B」) 0.2部
低分子量ポリエチレン
〔三井石油化学工業(株)製「三井ハイワックス220MP」〕 1.0部
MEK 40.4部
トルエン 40.0部
シクロヘキサノン 4.4部
酢酸エチル 5.6部
「バーノックD−750」(前記) 2.9部
【0062】
前述の磁性層用塗料を、溶融押し出し法によって形成した、結晶化度が10%以下のPET系樹脂層(全厚の約15%)と、結晶化度が15%以上のPET系樹脂層(全厚の約85%)とが積層された層構成の、厚みが15μmの多層フィルム基材(ICI製「MELINEX MX850」)の、結晶化度のより高いPET系樹脂層上に、ミヤバーを用いて、80℃の恒温槽に1分間放置して、乾燥後の塗膜厚みが10μmとなるように塗工し、40℃の恒温槽中に72時間放置しエージングを行った。
【0063】
次に前述の保護層用塗料を、磁性層上にミヤバーで塗工し、80℃のオーブン中に1分間放置して、乾燥後の厚みが1.5μmの保護層を形成した。これを40℃ の恒温槽中に120時間放置しエージングを行いプラスティックカード用ラミネーションテープを作製した。
【0064】
実施例2
下記の組成からなる磁性層用塗料を調製した。
【0065】
バリウムフェライト〔戸田工業(株)製「MC-127」) 34.0部
「MR−110」(前記) 5.1部
「パンデックスT−5206」(前記) 4.9部
カーボンブラック(CABOT CORPORATION製「VULCAN XC72」) 1.7部
大豆レシチン 0.1部
MEK 23.9部
トルエン 22.6部
シクロヘキサノン 7.7部
硬化剤〔武田薬品工業(株)製「タケネートD-110N」〕 2.0部
【0066】
次に下記の組成からなる保護層用塗料を調製した。
【0067】
セルロースアセテートブチレート(イーストマンケミカル社製「CAB381-0.5」)7.1部
ウレタン樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製「パンデックスTS-03」) 0.8部
「ビニライトVAGH」(前記) 0.5部
「メカノックスUB−40B」(前記) 0.2部
「三井ハイワックス220MP」(前記) 1.0部
MEK 40.4部
トルエン 40.0部
シクロヘキサノン 4.4部
酢酸エチル 5.6部
「バーノックD−750」(前記) 2.9部
【0068】
実施例1と全く同様にして、前述の磁性層用塗料を、前記多層フィルム基材「MELINEX MX850」の結晶化度の高いPET系樹脂層上に、塗工し、エージングを行った。次に、やはり実施例1と全く同様にして、前述の保護層用塗料を磁性層上に塗工し、保護層を形成し、エージングを行いプラスティックカード用ラミネーションテープを作製した。
【0069】
比較例1
接着剤層用塗料として次に下記の組成からなる塗料を調製した。
【0070】
Figure 0003666048
【0071】
二軸延伸された、結晶化度が15%以上の一層構造の、15μmのPETフィルムを用いた他は実施例2と同様にしてプラスティックカード用ラミネーションテープを作製した。次に上記の接着剤層用塗料を、磁気層の反対面のPET面にミヤバーで塗工し、100℃のオーブン中に1分間放置して乾燥後の厚みが1.0μmの接着剤層を形成した。
【0072】
比較例2
接着剤層用塗料として次に下記の組成からなる接着剤塗料を調製した。
【0073】
「バイロン200」(前記) 22.0部
低分子量ポリエチレン
〔三井石油化学工業(株)「三井ハイワックス200PF」〕 1.0部
ニトロセルロース〔旭化成工業(株)「セルノバBTH1/16」〕 0.5部
MEK 38.5部
トルエン 38.0部
【0074】
二軸延伸された、結晶化度が15%以上の一層構造の15μmのPETフィルムを用いた他は、実施例2と同様にしてプラスティックカード用ラミネーションテープを作製した。次に上記の接着剤層用塗料を磁気層の反対面のPET面にミヤバーで塗工し、100℃のオーブン中に1分間放置して乾燥後の厚みが1.0μmの接着剤層を形成した。
【0075】
この様にして得られた各磁気記録媒体について、以下に示す「常温セロファンテープ剥離テスト」、「促進引張ピールテスト」及び「ブロッキング」をそれぞれ測定した。
【0076】
・常温セロファンテープ剥離テスト
まず、前述の実施例1、2及び比較例1、2で得た各プラスティックカード用ラミネーションテープを、それぞれ12mm幅にスリットしてテープを得た。
【0077】
アルミニウム板上に、厚みが100μmの透明塩化ビニル樹脂フィルム、厚みが290μmの白色塩化ビニル樹脂フィルム2枚、厚みが100μmの透明塩化ビニル樹脂フィルムをこの順に置き、更にこの上に、前記スリットされた各テープを個別に非磁性層塗工面を下にして置き、その上にアルミニウム板を置いてカード作成機(インターライン社製「EX−25」)にセットし145℃で加熱加圧加工して磁気記録層を有する各プラスチックカードをそれぞれ作成した。
【0078】
上記カードの磁気テープ上にセロテープを張りつけて、90°の角度で一気に引っ張りピールテストを行い、プラスティックカード用ラミネーションテープのプラスチックカードに対する接着性を評価した。結果を表1のAに記す。
【0079】
・促進引張ピールテスト
前記「EX−25」の代わりに、プレス板を温度制御できるようにヒーターを取りつけた平圧プレスを用い、35kg/cm2の圧力で、170℃で30分間加熱加温した後、圧力を35kg/cm2に保った状態で室温まで急冷した。次いで、アルミ板を取り外してテープと塩化ビニル樹脂フィルムの接着性を観察した。接着しているものに関しては前述のピールテストを行った。結果を表1のBに記す。
【0080】
・ブロッキング
実施例1、2及び比較例1、2で得た各プラスティックカード用ラミネーションテープを、それぞれ保護層とより低い結晶化度のPET系樹脂層(実施例の場合)、もしくは保護層と接着剤層(比較例の場合)が対向するように重ね合わせ、ブロッキングテスターにセットし、5kPa/cm2の圧力を加えた。次いで、ブロッキングテスターを50℃、90%RHの雰囲気中に72時間放置したあと取り出し、ブロッキング発生の有無を確認した。結果を表1のCに記す。
【0081】
【表1】
Figure 0003666048
【0082】
尚、表1中のブロッキングの評価基準は次の通りである。
○:ブロッキング発生無し
△:ブロッキング発生若干有り
×:ブロッキング発生大
【0083】
上記表1からわかる通り、本発明のプラスティックカード用ラミネーションテープは、比較例に示す従来のそれに比べて、高温における接着性及び耐ブロッキング性に優れていることがわかる。
【0084】
【発明の効果】
本発明は、結晶化度の異なる少なくとも2つのポリエチレンテレフタレート系樹脂層が積層され一体化した多層フィルム基材(A)の結晶化度の最も高いポリエチレンテレフタレート系樹脂層上に、結合剤樹脂中に磁性粉が分散し形成された乾燥塗膜からなる磁性層(B)がさらに積層一体化されたプラスティックカード用ラミネーションテープであって、前記基材(A)の結晶化度の最も低いポリエチレンテレフタレート系樹脂層の結晶化度が10%以下であることを特徴とするラミネーションテープであるので、従来のPETフィルムに熱可塑性ポリエステル樹脂を塗工した基材を用いて得たラミネーションテープに比べて、接着性及び/又は耐ブロッキング性に優れているという格別顕著な効果を奏する。
【0085】
また、本発明のプラスティックカード用ラミネーションテープは、プラスチックカードに対するラミネーション加工適性・保存性に優れ、且つ接着剤層を塗工する工程が不要なことから製造コスト低減にも寄与するものである。
【0086】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラスティックカード用ラミネーションテープの断面図である。
【図2】本発明のプラスティックカード用ラミネーションテープの断面図である。
【図3】従来のプラスティックカード用ラミネーションテープの断面図である。

Claims (4)

  1. 結晶化度の異なる少なくとも2つのポリエチレンテレフタレート系樹脂層が積層され一体化した多層フィルム基材(A)の結晶化度の最も高いポリエチレンテレフタレート系樹脂層上に、結合剤樹脂中に磁性粉が分散し形成された乾燥塗膜からなる磁性層(B)がさらに積層一体化されたプラスティックカード用ラミネーションテープであって、前記基材(A)の結晶化度の最も低いポリエチレンテレフタレート系樹脂層の結晶化度が10%以下であることを特徴とするプラスティックカード用ラミネーションテープ。
  2. 前記結晶化度の最も高いポリエチレンテレフタレート系樹脂層の結晶化度が、15%以上であることを特徴とする請求項1に記載のプラスティックカード用ラミネーションテープ。
  3. 前記多層フィルム基材(A)が、結晶化度の高い順に積層一体化される様に、溶融共押し出し法により形成されたものである請求項1または請求項2に記載のプラスティックカード用ラミネーションテープ。
  4. 前記磁性層(B)上に、少なくとも耐熱性及び/又は耐久性向上機能を有する保護層(C)が、さらに積層一体化されてなる請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のプラスティックカード用ラミネーションテープ。
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