JP3667100B2 - 除塵装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水路中に浮遊するゴミを捕捉し、取り除くための除塵装置に関し、特に、ゴミの回収を迅速かつ確実に行えるようにした除塵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
前記のような除塵装置として、図8に示すように、捕捉したゴミ類を機械的に除去する除塵装置Aが知られている。これは、水路Wを跨るように構築された支持構造体1と、この構造体1に駆動チェーン2を介して水路W内を上下に走行可能に支持されたバケットスクリーン3を備えている。
【0003】
バケットスクリーン3は、図9乃至図12に示すように、水路Wの下流に向かって膨らむ形状の通水性を有するかご状の複数のバケット4aの両端部を駆動チェーン2によって回動自在に支持して上下に走行させるようにしている。バケット4aは、除塵装置Aの前面を上昇する時にゴミGを捕捉し、上端の折り返し部Bで反転した時にゴミGを排出用のトラフ上に落下させ、さらに除塵装置Aの後面から下部押返し部Cを通って除塵装置Aの前面に戻るようになっている。バケット4aは、主に鋼材製で、溶接やボルト止めにより取付けられていた。図12に示すように、平板状の底板5と、通水性を保つために格子状に形成した背板6とを一体に連接した横断面略鉤状のバケット4bも用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
鋼材を素材とした除塵装置においては、以下のような解決すべき課題が残されていた。
(1) バケット4a,4bが重いので、これを支持する支持構造体1や駆動チェーン2の強度や、これを駆動する駆動モータの能力が大きくなり、全体として装置が大きくなって装置コストが嵩む他、メンテナンス及び現地での据付に多大な労力を要する。
(2) 使用環境上、耐食性や耐摩耗性が要求されるが、素材自体でその要求をカバーする場合には素材コストが上昇し、また、塗装等で対処する場合には、経年劣化、塵芥との接触等による塗膜剥脱部から腐食が進行しやすく、装置の強度・機能の低下をもたらすとともに、メンテナンスに手間を要した。
(3) 固いゴミや他の金属部分との接触によって騒音や振動が発生し、環境衛生上の問題となる。
(4) 従来の装置では、バケットスクリーンの表面が平坦であるため、ゴミの一部の濡れた紙、ダンボール箱、ビニール袋、ナイロン袋等が表面張力によりバケットスクリーンの平坦面に貼り付き、トラフへの落とし込みが困難となることがあった。このため、バケットスクリーンが装置の下流側で再び水中に入った後に、掻き上げられたゴミの一部が吸水路に戻ってしまい、取水口で用いられた場合は装置の下流にあるポンプ等の故障を招いていた。特に、ビニール袋、ナイロン袋等は長期にわたり分解されずに漂流し、これを誤って食べた海亀などの海洋生物に被害を与えることがあり、世界的な要対策課題となっている。
【0005】
また、従来のバケットスクリーンにあっては、バケットが曲面状または平面状に一体に形成されてかなり密に配置されているため、濾過面積率(開口率)に一定の限界があって、流路損失が大きくなるばかりでなく、バケットで捉えたゴミを上部折り返し部で排出用のトラフに落し込む際、この落し込みを早い段階で行うことができずに、ゴミの除去性に問題があった。
【0006】
本発明は前記課題に鑑みて為されたもので、軽量で耐食性が高く、騒音や振動が少なく、しかも流水損失が小さく、かつ掻き上げたゴミを良好に回収することができる除塵装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の除塵装置は、水路の近傍に構築された支持構造体と、この支持構造体に無端状駆動チェーンを介して水路内を走行可能に支持されたバケットスクリーンを備え、水路に流下する浮遊ゴミを掻き上げる除塵装置において、前記バケットスクリーンは、前記駆動チェーンの走行面から断面がV字状又はコ字状に突き出す掻き上げ部と、前記駆動チェーンの走行面に沿った背板部とが交互に前記駆動チェーンに取り付けられて、別部材で構成され、前記掻き上げ部には、前記駆動チェーンの走行面にほぼ直交する掻き上げ面とスクリーン面とが形成され、前記背板部にはスクリーン面が形成され、前記掻き上げ面およびそれぞれのスクリーン面は、複数の桟により形成され、前記掻き上げ部の掻き上げ面と、該掻き上げ面に隣接する背板部のスクリーン面と、該スクリーン面に隣接する掻き上げ部のスクリーン面とによりゴミを収容する収容空間が形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
これにより、ゴミを掻き上げる掻き上げ面どうしの間隔が大きくなって通水性が高められ、ゴミの流出損失を小さくすることができ、また、圧力損出をも低下させて駆動力を節約することができる。また、掻き上げ部と背板部とを別部材で構成することにより、これらの部材で構成される収容空間が大きくなるのでゴミの排出が容易になる。さらに、上部におけるゴミ排出の際に、これらの部材のなす角度が拡大しながら相対的に移動するので、付着していたゴミがこれらの表面から分離し、これによってもゴミの排出が容易になる。
【0009】
なお、素材としては、一般的な金属材料を用いることができるが、耐食性が高いものであることが好ましい。また、プラスチックやその複合材料を用いた成形品とすることで、軽量化が図れ、高い耐食性を付与することができ、騒音や振動を吸収し、しかも柔軟で変形しにくく、結果としてメンテナンスの手間の掛からない除塵装置を提供することができる。
【0010】
また、本発明は、前記掻き上げ部及び/又は前記背板部は、水路の幅方向に分割されたセグメントを複数個組み合わせて一体化したものであることを特徴とする。これにより、寸法の大きい部材を一度に成形する必要がなく、プラスチックを材料とする場合には成形型の組立や樹脂の注入などの作業が大幅に簡略化される。また、成形型を用いてセグメントを形成する作業は、別の場所で予め行うことができ、現場ではそのセグメントを組み立てを行えば良いから、作業性の悪い現場での作業の手間が軽減される。また、注文に応じてバケットスクリーンを成形したり、種々の長さの在庫を抱える等が不要であり、納品期間の短縮や製品の在庫の管理の簡易化が達成される。
【0011】
また、本発明は、前記掻き上げ部は、断面がV字状又はコ字状に形成され、端部を前記駆動チェーンに取り付けられていることを特徴とする。これにより、掻き上げ部の受水面積を広くして、掻き上げ部における濾過面積率を大きくすることができる。
【0012】
また、本発明は、前記背板部は、前記走行面より突出する形状に形成されていることを特徴とする。これにより、背板部の受水面積を広くして、掻き上げ部における濾過面積率を大きくすることができる。
【0013】
また、本発明は、前記バケットスクリーンの表面に凹凸が形成されていることを特徴とする。これにより、バケットスクリーンに、濡れた紙、ダンボール箱、ビニール袋、ナイロン袋等が密着するのが妨げられ、バケットスクリーンからのゴミの排出が円滑に行われる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1乃至図4は、本発明の第1の実施の形態の除塵装置Aであり、これは、水路Wの近傍に構築された支持構造体10と、この支持構造体10に駆動チェーン12を介して水路Wを上下に走行可能に支持されたバケットスクリーン14とから構成されている。この支持構造体10は、水路の脇の架台16上に設置したメインフレーム18と、水路底部に設置されたアンカー部20によって支持された左右一対のサイドフレーム22とから構成されている。
【0015】
両側の各サイドフレーム22には、駆動チェーン12を案内するガイド溝が長手方向に形成され、駆動チェーン12はメインフレーム18の上部に設けた駆動装置26(図8参照)に連結されたスプロケット24に係合して循環走行するようになっている。上流側の、すなわち、駆動チェーン12が上昇する側の、左右の駆動チェーン12が構成する面をチェーン走行面Sと呼ぶ。上部折り返しBの下部には、ゴミGを受けて排出するコンベア28が設けられている。
【0016】
バケットスクリーン14は、図2及び図3に示すように、掻き上げ部30と背板部32とが駆動チェーン12の走行方向に交互に配置されて構成され、それぞれ、複数のセグメント30a,32aがフランジ部34(図4参照)を介してボルト等により横方向に接続されて構成されている。各セグメント30a,32aは、断面積の大きい外枠体36,38と、その外枠体36,38の内側に内枠体40,41,42が一体に成形されて構成され、内枠体40,41,42には複数の桟46が形成されている。
【0017】
この実施の形態では、セグメント30a,32aはプラスチックで作製されており、まず内枠体40,41,42を樹脂成形し、これを中子として成形型に固定して外枠体36,38の樹脂成形を行なうことにより作製される。勿論、全体を一体に作製してもよく、板状の部材を結合して作製してもよい。また、通常の樹脂の他に、適当な素材で強化した樹脂や、金属で作製してもよい。
【0018】
掻き上げ部30は、図4に示すように断面V字状に形成され、その角部を走行面Sから突出させて駆動チェーン12に取り付けられており、これにより、走行面Sにほぼ直交する掻き上げ面48と、約45度傾斜した傾斜スクリーン面50とを形成している。背板部32は走行面Sに沿った平面状のスクリーン面52を形成している。これにより、上側の掻き上げ部30の傾斜スクリーン面50とその下の背板部32のスクリーン面52と、その下側の掻き上げ部30の掻き上げ面48によってゴミGを収容する収容空間54が形成されている。
【0019】
このように、バケットスクリーン14を、掻き上げ部30と背板部32の2つの部分から構成することにより、ゴミGを掻き上げる掻き上げ面どうしの間隔が大きくなって通水性が高められる。また、掻き上げ部30を支持する箇所を傾斜面としたので、これを走行面Sに沿った平面状にするよりも面積を大きくすることができ、全体として約80%以上濾過面積率を向上させることができた。従って、ゴミGの流出損失を小さくすることができ、また、圧力損出をも低下させて装置の駆動力を節約することができる。
【0020】
さらに、掻き上げ部30と背板部32とを別部材で構成することにより、上下3つの部材で構成される収容空間が大きく形成されるのでゴミGの掻き上げ能力が向上し、また、ゴミGの排出も容易になる。さらに、上部折り返し部BにおけるゴミG排出の際に、これらの部材がそのなす角度を拡大させながら相対的に移動するので、付着していたゴミGがこれらの表面から分離し、ゴミGの排出が容易になる。従って、ゴミGの回収を迅速かつ容易に行うことができる。
【0021】
この例では、予め所定寸法に作製したセグメント30a,32aを水路Wの幅に合わせて所定の数だけ組合わせることにより、バケットスクリーン14が成形される。このようにセグメント化することによって、寸法の大きい部材を一度に成形する必要がなく、成形型の組立や樹脂の注入などの作業が大幅に簡略化される。また、成形型を用いてセグメントを形成する作業は、別の場所で予め行うことができ、現場ではそのセグメントを組み立てを行えば良いから、作業性の悪い現場での作業の手間が軽減される。また、注文に応じてバケットスクリーン14を成形したり、種々の長さの在庫を抱える等が不要であり、納品期間の短縮や製品の在庫の管理の簡易化が達成される。
【0022】
外枠体36,38及び内枠体40,41,42は、プラスチックを成形型に注入することにより成形されている。材料としては、例えば、エラストマーで改質された三環体以上のノルボルネン系モノマーの開環重合体のようなプラスチック材料が用いられている。これは、常温かつ短時間で成形可能な2液混合成形材料であり、好ましくは成形後の破断時伸びが10〜100%である弾性に富んだものである。
【0023】
外枠体36,38の表面及び内枠体40,41,42の桟部46の表面には、複数の突起56が形成されている。この突起56の横断面は、この例では円形であるが、図5に示すような形状、すなわち、丸突起、角突起、角溝、三角溝、丸溝、波溝等のより複雑な形状でもよく、あるいは楕円、瓢箪型等任意の曲線形状でもよい。
【0024】
突起56の縦断面は、この例では上端が丸い半球状であるが、図5に示すような角を持つ形状にしてもよく、ゴミGが引っかからない程度にRを付けた形状としてもよい。突起56と表面の角度は90°に近いことが好ましいが、これを鈍角として突起を円錐体又は角錐体状としても、また、逆に鋭角として倒立錐体状としてもよい。
【0025】
突起56の平面配置は、図5のAのように整列配置しても、同図Cのように互い違いに配置してもよい。突起56の高さ、太さ、平面密度(単位面積当たりの数)などは、ゴミGの素材の厚さや変形性、あるいは水路Wを流れる水の性状などを考慮して、実験等により最適なものを求めるのが好ましい。
【0026】
図6は、本発明の除塵装置の第2の実施の形態を示すもので、これは、掻き上げ部30の外枠体58を断面コ字状に形成し、上面を掻き上げ面48、前面及び下面をスクリーン面60としたものである。他の構成は、第1の実施の形態と同様である。この実施の形態にあっては、掻き上げ部30におけるスクリーン面60の面積をより広くして、掻き上げ部30における濾過面積率をさらに大きくしている。
【0027】
図7は、本発明の除塵装置の第3の実施の形態を示すもので、これは、背板部32の内枠体62を、水路Wの流れ方向の上流側に湾曲して突出するように形成し、湾曲するスクリーン面64を形成したものである。他の構成は、第1の実施の形態と同様である。この実施の形態にあっては、背板部32のスクリーン面64の面積をより広くして、背板部32における濾過面積率をさらに大きくしている。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、掻き上げ部と背板部とを交互に配置することで、ゴミを掻き上げる掻き上げ面どうしの間隔が大きくなって通水性が高められ、ゴミの流出損失を小さくすることができ、また、圧力損出をも低下させて駆動力を節約することができる。また、掻き上げ部と背板部とを別部材で構成することにより、これらの部材で構成される収容空間が大きくなり、上部におけるゴミ排出の際に、これらの部材のなす角度が拡大しながら相対的に移動するので、ゴミの排出が容易になる。
【0029】
従って、ゴミが下流側に持ち越されることがなく、信頼性の高い塵芥除去が行えるので、取水口で用いられた場合は装置の下流にあるポンプ等の故障の発生を防止し、廃水口で用いられた場合は自然環境の汚染を防止することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態の除塵装置の全体構造を示す側面図である。
【図2】図1の除塵装置の上部折返し部を拡大して示す要部拡大図である。
【図3】図1の除塵装置のバケットスクリーンの要部の拡大図である。
【図4】図1の掻き上げ部を示す斜視図である。
【図5】突起の形状を示す図である。
【図6】この発明の第2の実施の形態のバケットスクリーンの要部の拡大図である。
【図7】この発明の第3の実施の形態のバケットスクリーンの要部の拡大図である。
【図8】従来の除塵装置の全体構成を示す斜視図である。
【図9】従来の除塵装置の側面図である。
【図10】図9の上部折り返し部を示す拡大図である。
【図11】図9のバケットスクリーンの一部を示す拡大図である。
【図12】他の従来例のバケットスクリーンの一部を示す拡大図である。
【符号の説明】
10 支持構造体
12 駆動チェーン
14 バケットスクリーン
30 掻き上げ部
32 背板部
30a,32a セグメント
36,38,58 外枠体
40,41,42,62 内枠体
46 桟
56 突起
A 除塵装置
B 上部折り返し部
C 下部折り返し部
G ゴミ
W 水路

Claims (4)

  1. 水路の近傍に構築された支持構造体と、この支持構造体に駆動チェーンを介して水路内を走行可能に支持されたバケットスクリーンを備え、水路に流下する浮遊ゴミを掻き上げる除塵装置において、
    前記バケットスクリーンは、前記駆動チェーンの走行面から断面がV字状又はコ字状に突き出す掻き上げ部と、前記駆動チェーンの走行面に沿った背板部とが交互に前記駆動チェーンに取り付けられて、別部材で構成され、
    前記掻き上げ部には、前記駆動チェーンの走行面にほぼ直交する掻き上げ面とスクリーン面とが形成され、前記背板部にはスクリーン面が形成され、
    前記掻き上げ面およびそれぞれのスクリーン面は、複数の桟により形成され、
    前記掻き上げ部の掻き上げ面と、該掻き上げ面に隣接する背板部のスクリーン面と、該スクリーン面に隣接する掻き上げ部のスクリーン面とによりゴミを収容する収容空間が形成されていることを特徴とする除塵装置。
  2. 前記背板部のスクリーン面は、前記駆動チェーンの走行面に沿った平面または該走行面から湾曲して突出した面であることを特徴とする請求項1に記載の除塵装置。
  3. 前記掻き上げ部及び/又は前記背板部は、水路の幅方向に分割されたセグメントを複数個組み合わせて一体化したものであることを特徴とする請求項1に記載の除塵装置。
  4. 前記バケットスクリーンの表面に凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の除塵装置。
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