JP3671394B2 - 車両用自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン出力を変速して車輪に伝達して車両の走行駆動を行わせるための車両用自動変速機に関し、さらに詳しくは、車両によりトレーラ等を牽引しながら走行するときにおける自動変速機の制御を行う装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用自動変速機としては、トルクコンバータと変速機構(例えば、ギヤ式変速機構)とを組み合わせて構成されたもの等が従来から実用に供されている。この自動変速機においては、例えば、エンジン(駆動源)のスロットル開度と車速とに応じて自動的に変速を行うような変速制御が行われ、低速変速段から発進して走行速度の上昇とともに漸次シフトアップがなされ、高速クルージング走行では最高速度段が設定されるような制御が一般的に行われている。
【0003】
このような自動変速機を有した車両の後部にトレーラ、キャンピングカー等を繋げて牽引走行すること(このように牽引する走行体を総称してトレーラ等と称する)がある。このようにトレーラ等を牽引して走行するときにはトレーラ等の牽引負荷が車両に加わるため、牽引走行時の変速制御が、通常の走行時の変速制御とは異なる制御を要求される。
【0004】
このようなことから、例えば、特開昭61−135881号公報には、トレーラ牽引用ヒッチにトレーラを連結したか否かを検出するスイッチからなる検出器を設け、この検出器により牽引用ヒッチにトレーラが連結されたことが検出されたときには、変速機の変速位置を低速側の所定の変速位置に制限するという変速制御装置が開示されている。また、特開平8−164832号公報には、トレーラを連結するカプラに牽引重量を検知するリミットスイッチを設け、このリミットスイッチにより検知された牽引重量に基づいてリターダ装置や、補助ブレーキ装置の作動力を制御することが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、トレーラ等を牽引した状態で車両が平坦な道路を高速走行(高速クルージング走行)を行うような場合には、牽引をしない状態に比べて走行負荷が大きくなる。このため、トルクコンバータの速度比が1.0より小さい状態で高負荷且つ高速回転運転するという状態が発生し、トルクコンバータ等からの発熱が増加し、変速機内部油温が高くなりやすいという問題がある。また、高負荷走行時の負荷変動の影響より、シフトダウンおよびシフトアップが頻繁に繰り返されたり、トルクコンバータのロックアップクラッチのオン・オフが頻繁に繰り返されたりして、変速機内部発熱が増加したり、走行フィーリングが低下したりするという問題もある。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みたもので、トレーラ等を牽引して高速クルージング走行するような場合にも、変速機油温の上昇を抑えるとともに快適な高速クルージング走行ができるような自動変速機の制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的達成のため、本発明においては、駆動源(例えば、実施形態におけるエンジンE)に繋がれたトルクコンバータと、このトルクコンバータの出力側に繋がれた自動変速機構とを有して車両用自動変速機が構成され、トルクコンバータおよび自動変速機構を介して変速された駆動源からの駆動力が車輪に伝達されて車両の走行駆動がなされる。この車両用自動変速機の制御装置は、車両の運転状態に基づいて車両が牽引走行状態となったことを推定する牽引状態推定手段と、この牽引状態推定手段により車両が牽引走行状態となったことが推定されたときに、トルクコンバータのロックアップクラッチの締結量を増加させるロックアップ締結増加機構とを有する。
【0008】
本発明に係る制御装置においてはさらに、牽引状態推定手段により車両が牽引走行状態となったことが推定されたときには自動変速機構が最高速度段に変速することを禁止し、また、最高速度段で走行中のときにはシフトダウンさせるように構成し、シフトダウンの後においても、牽引状態推定手段により車両が牽引走行状態となったことが推定されたときにはロックアップ締結増加機構によりロックアップクラッチの締結量を増加させるように構成される。
【0009】
なお、牽引状態推定手段は、車両の走行駆動負荷、変速頻度、ロックアップクラッチの作動頻度、車速変動、スロットル開度変動に基づいて牽引走行状態か否かの判断を行うように構成することができ、例えば、実施形態における牽引モード判定カウンタ積算値 STRCNT を算出する手段がこれに該当する。これにより、トレーラ等の牽引走行による牽引走行状態を正確且つ的確に判断することができる。
【0010】
このような構成の本発明に係る車両用自動変速機の制御装置によれば、例えば、トレーラ等を牽引して高速クルージング走行するような場合に、牽引負荷が加わることにより車両が牽引走行状態となったことが牽引状態推定手段により推定されるとトルクコンバータのロックアップクラッチの締結量が増加される(すなわちタイトな締結にされる)ので、トルクコンバータ内でのスリップ量が低下されてトルクコンバータからの発熱が抑えられ、変速機内部油温上昇が抑えられる。
【0011】
本発明によれば、さらに、車両が牽引走行状態になったことが推定されると最高速度段の設定が禁止され、少なくとも最高速度段より低速の速度段での走行となるため、トルクコンバータの駆動トルクが小さくなってその駆動負荷が低減され、トルクコンバータからの発熱が抑制される。そして、この後においてもまだ牽引走行状態であるときには、トルクコンバータのロックアップクラッチの締結量が増加されてトルクコンバータ内でのスリップ量が低下されて内部発熱が抑えられる。この結果、牽引走行等による牽引走行状態に対して、変速機の内部発熱を段階的に低下させて、変速機内部油温が過度に上昇することを効果的に抑制できる。
【0012】
車両が最高速度段で走行中のときに前記牽引状態推定手段により前記車両が牽引走行状態となったことが推定されてシフトダウンさせるときには、アクセルペダルの踏み込みもしくはシフトダウン指令を待ってシフトダウンを行わせるのが好ましい。これにより、シフトダウンを違和感無く行わせることができる。
【0013】
なお、牽引状態推定手段により車両が牽引走行状態となったことが推定されているときにこの車両を停止させ、その後にこの車両を再び走行させるときには、車両を停止させている間における変速機油温の低下状態に基づいて車両の牽引走行状態を推定するのが好ましい。これにより、車両を一時的に停止させた場合におけるその後の走行においても適切な制御が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。本発明に係る制御装置を有した車両用自動変速機の構成を図1に示している。この自動変速機TMを有する動力伝達装置は、エンジンEの出力回転を変速して左右のアクスルシャフト5a,5bから左右の車輪6a,6bに伝達し、車両を走行駆動するように構成されている。なお、この車両の後部にトレーラ等を連結し、このトレーラ等を牽引走行可能となっている。
【0015】
エンジンEに繋がって変速機TMが設けられており、エンジンEの出力軸Esの回転は変速機TMに伝達される。変速機TMは、エンジンEの出力軸Esに繋がれたトルクコンバータTCと、トルクコンバータTCの出力側に繋がるギヤ式変速機構とから構成される。ギヤ式変速機構は、トルクコンバータTCの出力側に繋がる変速機入力軸11と、この変速機入力軸11と平行に配設された変速機カウンタ軸12とを有し、変速機入力軸11と変速機カウンタ軸12との間に複数列のギヤ列が配設されて構成される。なお、トルクコンバータTCは入力部材(インペラ)と出力部材(タービン)とを直結可能なロックアップクラッチLCを有して構成されている。
【0016】
一般的に車両用の変速機においては変速段に対応した複数列のギヤ列(例えば、本実施形態では前進5速の変速段を有し、5列のギヤ列)が配設されるのであるが、このギヤ式変速機構においては説明の容易化のため、第1ギヤ列13a,13bと第2ギヤ列14a,14bのみを示している。これらギヤ列において、変速機入力軸11には駆動ギヤ13a,14aがそれぞれ回転自在に取り付けられるとともに変速クラッチ13c,14cにより変速機入力軸11に係脱自在となっている。変速機カウンタ軸12には駆動ギヤ13a,14aとそれぞれ噛合する従動ギヤ13b,14bが結合されている。このため、変速クラッチ13c,14cを選択的に係合させることにより、第1ギヤ列13a,13bもしくは第2ギヤ列14a,14bのいずれかを介した動力伝達が行われる。なお、両方の変速クラッチ13c,14cを解放させた状態では、変速機はニュートラル状態となり、変速機入力軸11と変速機カウンタ軸12との間の動力伝達は行われない。
【0017】
このような変速クラッチ13c,14cの係合制御のため変速制御バルブCVが設けられており、この変速制御バルブCVから変速クラッチ13c,14cに係合作動油圧の供給制御を行ってこれらクラッチの係合制御が行われる。変速制御バルブCVは内蔵の電磁バルブにより作動が制御される構成であり、電子制御装置ECUからの制御信号に基づいて電磁バルブの作動を制御し、変速クラッチ13c,14cへの係合作動油圧の供給制御が行われる。なお、本実施形態の自動変速機TMは前進用として5列のギヤ列が配設されており、変速制御バルブによりこれらギヤ列のいずれかを選択的に用いて前進5速の自動変速が行われるように構成されている。
【0018】
変速機カウンタ軸12には出力駆動ギヤ15aが結合され、この出力駆動ギヤ15aと噛合する出力従動ギヤ15b、この出力従動ギヤ15aと同軸上に配設されて一体回転するファイナル駆動ギヤ16aおよびこのファイナル駆動ギヤ16aと噛合するファイナル従動ギヤ16bからなる出力伝達ギヤ列が図示のように配設されている。ファイナル従動ギヤ16bはディファレンシャル機構17と一体に設けられており、ディファレンシャル機構17に繋がって外方に延びるアクスルシャフト5a,5bに駆動輪6a,6bが繋がっている。
【0019】
以上の構成の動力伝達装置において、コントロールバルブCVの作動を制御する電子制御装置ECUには、エンジンスロットル装置THのスロットル開度θTHを検出するスロットルセンサ4からの検出信号と、エンジン出力軸Esの回転(すなわち、トルクコンバータTCの入力回転)Neを検出するエンジン回転センサ1からの検出信号と、トルクコンバータTCの出力回転(すなわち、変速機入力軸11の回転)を検出する変速機入力回転センサ2からの検出信号と、変速機出力軸16の回転を検出する変速機出力回転センサ3からの検出信号とが入力される。
【0020】
コントロールバルブCVはギヤ式変速機構のクラッチの係脱制御を行って自動変速制御を行うとともにロックアップクラッチLCの係合制御を行うものであるが、このコントロールバルブCVの作動は電子制御装置ECUにより制御される。本発明においては、トレーラ等を牽引して高速クルージング走行を行っているときでの電子制御装置ECUによる制御内容に特徴があり、この制御内容について以下に説明する。
【0021】
この制御は、トレーラ等を牽引しながら高速クルージング走行をしたような場合に、変速機油温が高くなりすぎるのを防止するように変速制御およびロックアップ係合制御を行うものであり、その制御は図3のフローに従って行われる。まず、Dレンジ(D5,D4,D3レンジ)か否かを判断し(ステップS1)、これ以外のレンジ、例えば、2レンジ、Lレンジ、Nレンジ、Rレンジのときには牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTを所定量ずつ減算する処理を行う(ステップS8)。一方、Dレンジであれば、ステップS2に進み、現在の車速Vが所定車速以上か否か(例えば、時速80Km/H以上となる高速状態か否か)を判断し、所定車速未満のときにはステップS8に進み、牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTを所定量ずつ減算する処理を行う。なお、ステップS8における一回当たりの減算値は、算出された路面勾配値と車速との関係に基づいてテーブル(マップ)状に設定されており、算出路面勾配値および車速の移動平均値に対する減算値をこのテーブルから読み出して求められる。
【0022】
車速Vが所定車速以上であれば、Dレンジで高速クルージング走行していると判断し、ステップS3に進んで現在の変速機油温が規定油温以上か否かを判断する。規定油温未満の場合には変速機油温が高くなるすぎるおそれはないため、ステップS7に進み、牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTを零にリセットする。
【0023】
油温が規定油温以上のときには、ステップS4に進み、牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTの計算を行い、このように計算された牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTに基づいて、高負荷走行モード設定制御(ステップS5)および高負荷走行モード解除制御(ステップS6)が行われる。
【0024】
まず、ステップS4における牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTの計算制御内容について、図4を参照して説明する。ここでは、まず、登坂判断カウンタ値PNOの演算を行う(ステップS11)。この演算制御内容を図5に示しており、まず、ステップS21において現在の走行路面勾配が所定勾配以上であるか否かを判断する。この走行路面勾配の検出のため、エンジンスロットル開度および車速(および走行加速度)と走行路面勾配との関係を示すテーブルもしくはマップが予め測定もしくは計算されて設定されており、現在のスロットル開度および車速(走行加速度)に対応する路面勾配をこのテーブルから読み取って求める。
【0025】
但し、このように設定されている路面勾配テーブル(マップ)は車両が何も牽引することなく規定車両重量で走行する場合の値を示しており、トレーラ等を牽引している場合にはその牽引負荷を路面勾配として把握できる。例えば、トレーラ等を牽引した状態で平坦路を走行するときには、実際の路面が平坦でもトレーラ等の牽引負荷により所定の勾配の登坂路面を走行していると判断される。このため逆に、このように判断される路面勾配からトレーラ等の牽引の状態を推定することができる。そこで、ステップS21において路面勾配を検出し、トレーラ等を牽引して走行しているか否かの判断を行う。
【0026】
走行路面勾配が所定勾配以上と判断された場合、すなわち、トレーラ等を牽引して走行している可能性があると判断された場合には、ステップS22に進み、トルクコンバータTCのロックアップクラッチLCがタイト係合状態であるか否かを判断する。ロックアップクラッチLCがタイト係合状態であれば、トルクコンバータTCのスリップは無く、その内部発熱量は極く小さいため、ステップS24に進み登坂判断カウンタ値PNOを所定量だけ減算する減算処理(1)を行う。なお、この減算値は、算出された路面勾配値と車速との関係に基づいてテーブル(マップ)状に設定されており、算出路面勾配値および車速の移動平均値に対する減算値をこのテーブルから読み出して求められる。
【0027】
一方、ステップS22においてロックアップクラッチLCがタイト係合状態ではないと判断された場合には、トルクコンバータTCのスリップにより内部発熱が大きくなる可能性が高いため、ステップS23に進み、登坂判断カウンタ値PNOを所定量だけ加算する処理を行う。この加算値も、路面勾配値と車速との関係に基づいてテーブル(マップ)状に設定されており、算出路面勾配値および車速の移動平均値に対する加算値をこのテーブルから読み出して求められる。
【0028】
このようにして加算処理(ステップS23)もしくは減算処理(1)(ステップS24)が行われると、ステップS25においてカウント処理待機タイマTPOFFをセットする。
【0029】
一方、ステップS21において路面勾配が所定勾配未満であると判断された場合にはステップS26に進み、カウント処理待機タイマTPOFFの経過を待った後、ステップS27に進んで路面勾配が下り勾配か否かを判断する。下り勾配でない場合、すなわち、所定勾配未満の上り勾配であるときにはステップS28に示す減算処理(2)を行い、下り勾配のときにはステップS29に示す減算処理(3)を行う。両減算処理(2)および(3)はともに、路面勾配値と車速との関係に基づいて設定された減算値テーブル(マップ)から算出路面勾配値および車速の移動平均値に対する減算値を読み出して減算処理が行われるものであるが、両テーブルでは異なる減算値が設定されている。具体的には、ステップS29の減算処理(3)に用いられるテーブルの方により大きな減算値が設定されている。
【0030】
以上のように、登坂判断カウンタ値PNOはトレーラ等を牽引して走行して走行駆動負荷が大きい状態で、且つロックアップクラッチがタイト係合でなくてトルクコンバータTCからの発熱が大きくなるような状態のときに加算され、それ以外で減算されて演算される値である。このことから分かるように、登坂判断カウンタ値PNOが大きくなると、高負荷走行モードになると考えられる。
【0031】
以上のようにしてステップS11において登坂判断カウンタ値PNOが演算されると、ステップS12に進み、変速頻度カウンタ値FQSHの演算を行う。この演算内容を図6に示しており、まず、ステップS31において今回の変速段指令値SHが前回の変速段指令値SHOと一致しているか否か、すなわち、出力された変速指令に対応する変速が行われたか否かが判断される。SH≠SHOのとき、すなわち変速が行われたときには、ステップS32に進み、第1変速判断タイマTSOFF1が経過したか否か、すなわち前回の変速からこのタイマの設定時間以上経過したか否かが判断される。
【0032】
前回の変速から第1変速判断タイマTSOFF1が経過する前に今回の変速が行われるような高い頻度の変速指令の場合には、変速によるクラッチからの発熱が増大する可能性が高いため、ステップS33に進み、変速頻度カウンタ値FQSHを所定量だけ加算する処理を行う。この加算値は変速機油温との関係に基づいてテーブル(マップ)状に設定されており、現在の変速油温に対する加算値をこのテーブルから読み出して求められる。この後、ステップS34に進み、第1変速判断タイマTSOFF1および第2変速判断タイマTSOFF2をそれぞれ所定値にセットする。
【0033】
一方、ステップS31においてSH=SHOと判断された場合にはそのままステップS36に進む。また、ステップS32において前回の変速から第1変速判断タイマTSOFF1が経過した後に今回の変速が行われたと判断された場合には、第1変速判断タイマTSOFFF1を所定値にセットしてステップS36に進む。ステップS36においては、第2変速判断タイマTSOFF2が経過したか否かを判断する。この経過前である場合には現在変速中であるので、加算処理も減算処理も行わない。第2変速判断タイマTSOFF2が経過しているときには、変速頻度はあまり高くないため、ステップS37に進み、変速頻度カウンタ値FQSHを所定量だけ減算する処理を行う。この減算値は変速機油温との関係に基づいてテーブル(マップ)状に設定されており、現在の変速油温に対する減算値をこのテーブルから読み出して求められる。
【0034】
以上のようにしてステップS12において変速頻度カウンタ値FQSHの演算が行われると、ステップS13に進み、L/C頻度カウンタ値FQLCの演算を行う。この演算内容を図7に示しており、まず、ステップS41においてロックアップクラッチLCの係合制御信号が変化したか否かが判断される。係合制御信号が変化したときには、ステップS42に進み、第1ロックアップ判断タイマTLOFF1が経過したか否か、すなわち前回の係合制御信号変化の時点からこのタイマの設定時間以上経過したか否かが判断される。
【0035】
前回の信号変化の時点から第1ロックアップ判断タイマTLOFF1が経過する前に今回の信号変化が発生するような高い頻度のロックアップ係合制御変更指令の場合には、ロックアップ係合変化によるロックアップクラッチLCおよびトルクコンバータTC内からの発熱が増大する可能性が高いため、ステップS43に進み、ロックアップ頻度カウンタ値FQLCを所定量だけ加算する処理を行う。この加算値は変速機油温との関係に基づいてテーブル(マップ)状に設定されており、現在の変速油温に対する加算値をこのテーブルから読み出して求められる。この後、ステップS44に進み、第1ロックアップ判断タイマTLOFF1および第2ロックアップ判断タイマTLOFF2を所定値にセットする。
【0036】
一方、ステップS41においてロックアップクラッチ係合制御信号の変化が無いと判断された場合にはそのままステップS46に進む。また、ステップS42において前回の信号変化時から第1ロックアップ判断タイマTLOFF1が経過した後に今回の信号変化が発生したと判断された場合には、第1ロックアップ判断タイマTLOFFF1を所定値にセットしてステップS46に進む。ステップS46においては、第2ロックアップ判断タイマTLOFF2が経過したか否かを判断する。この経過前である場合には現在ロックアップ係合制御中であるので、加算処理も減算処理も行わない。一方、第2ロックアップ判断タイマTLOFF2が経過しているときには、係合制御の変更頻度はあまり高くないため、ステップS47に進み、ロックアップ変速頻度カウンタ値FQLCを所定量だけ減算する処理を行う。この減算値は変速機油温との関係に基づいてテーブル(マップ)状に設定されており、現在の変速油温に対する減算値をこのテーブルから読み出して求められる。
【0037】
以上のようにしてステップS13においてL/C頻度カウンタ値FQLCの演算が行われると、ステップS14に進み、車速変動判断カウンタ値DVの演算を行う。この演算内容を図8に示しており、まず、ステップS51において車速変動(車速変動の移動平均値)が小さいか否かが判断される。高速クルージング走行を行うような場合には車速変動が小さいと考えられ、この場合にはステップS52に進み、走行路面勾配が規定勾配以上か否か、すなわち、走行駆動負荷が大きいか否かが判断される。
【0038】
規定勾配以上であるときには、牽引状態での高速クルージング走行の可能性が高く、変速機内部発熱が増大する可能性が高いため、ステップS53に進み、車速変動判断カウンタ値DVを所定量だけ加算する処理を行う。この加算値は変速機油温との関係に基づいてテーブル(マップ)状に設定されており、現在の変速油温に対する加算値をこのテーブルから読み出して求められる。この後、ステップS54に進み、車速変動判断タイマTVOFFを所定値にセットする。
【0039】
一方、ステップS51において車速変動が大きいと判断された場合にはそのままステップS55に進む。また、ステップS52において規定勾配未満の路面勾配であると判断されたときにもステップS55に進む。ステップS55においては、車速変動判断タイマTVOFFが経過したか否かを判断する。この経過前である場合には車速変動が一時的に発生しただけの可能性があるため、この経過後においてもステップS55にくる場合にのみステップS56に進み、車速変動判断カウンタ値DVを所定量だけ減算する処理を行う。なお、この減算値は変速機油温との関係に基づいてテーブル(マップ)状に設定されており、現在の変速油温に対する減算値をこのテーブルから読み出して求められる。
【0040】
以上のようにしてステップS14において車速変動判断カウンタ値DVの演算が行われると、ステップS15に進み、スロットル変動判断カウンタ値DTHの演算を行う。この演算内容を図9に示しており、まず、ステップS61においてスロットル変動(スロットル変動の移動平均値)が大きいか否かが判断される。高速クルージング走行を行うような場合にはスロットル開度はほぼ一定のままで走行すると考えられ、この場合にはステップS62に進み、スロットル変動判断カウンタ値DTHを所定量だけ加算する処理を行う。この加算値は変速機油温との関係に基づいてテーブル(マップ)状に設定されており、現在の変速油温に対する加算値をこのテーブルから読み出して求められる。この後、ステップS54に進み、スロットル変動判断タイマTHOFFを所定値にセットする。
【0041】
一方、ステップS61において車速変動が大きいと判断された場合にはそのままステップS64に進み、スロットル変動判断タイマTHOFFが経過したか否かを判断する。この経過前である場合にはスロットル変動が一時的の可能性があるため、この経過後においてもステップS64にくる場合のみステップS65に進み、スロットル変動判断カウンタ値DTHを所定量だけ減算する処理を行う。なお、この減算値は変速機油温との関係に基づいてテーブル(マップ)状に設定されており、現在の変速油温に対する減算値をこのテーブルから読み出して求められる。
【0042】
以上のように、ステップS11〜S15において、登坂判断カウンタ値PNO、変速頻度カウンタ値FQSH、L/C頻度カウンタ値FQLC、車速変動判断カウンタ値DV、スロットル変動判断カウンタ値DTHが算出されると、これらカウンタ値を合計して牽引モード判定カウンタ値TRCNTが演算される(ステップS16)。さらに、このカウンタ値TRCNTを積算して牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTが演算される(ステップS17)。
【0043】
以上のようにして図3におけるステップS4に示す牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTが計算されると、この牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTの値に基づいて、ステップS5における高負荷走行モード設定制御が行われる。この制御内容を図10に示しており、この制御内容について図2のタイムチャートを併用して説明する。このタイムチャートは横軸に時間を示し、時間t0において牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTの加算が開始され、牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTが徐々に大きくなっていく場合における各値の時間変化特性を示している。
【0044】
この制御においては、まず、ステップS71において牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTが5TH禁止値TRCNT(1)以上であるか否かが判断される。上述の説明から分かるように、ステップS4において計算される牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTは、トレーラ等を牽引して高速クルージング走行を行うような場合に変速機油温が上昇する要因に応じてカウンタ値を加算して求められる積算値であり、この値が大きいほど変速機油温が高くなると判断できる。例えば、図2の場合には時間t0からステップS4における加算処理が開始されて牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTが徐々に大きくなり、時間t1においてこの値が5TH禁止値TRCNT(1)を越える。
【0045】
このため、時間t1までの間はステップS71からそのままこの制御は終了するが、時間t1以後はステップS71からステップS72に進み5TH設定禁止制御を行う。この制御内容を図11に示している。この制御は第5速(5TH変速段)の設定を禁止するもので、第5速で走行しているときには第4速にシフトダウンをさせるとともに第4速以下のときには第5速へのシフトアップを規制する制御がなされる。
【0046】
このため、まず、ステップS81において現在の変速段が第5速か否かが判断される。第5速ではないときにはステップS85に進み、これ以降は第5速へのシフトアップを規制する制御が行われる。また、第5速で走行中であるときには、ステップS82においてアクセルペダルが踏み込まれたか(スロットル開度が増加したか)の判断、より具体的には所定時間内に所定以上のスロットル開度増加があったかの判断がなされる。アクセルペダルが踏み込まれた場合にはステップS84に進み、第4速へのシフトダウンを行わせる。アクセルペダルが踏み込まれない場合でも、ステップS83においてシフトダウン指令があったか否か(例えば、シフトレバー操作によるシフトダウン指令、車速低下によるシフトダウン指令等があったか否か)の判断がなされ、シフトダウン指令が出された場合にはステップS84に進み、第4速へのシフトダウンを行わせる。
【0047】
以上のようにして5TH設定禁止制御(ステップS72)が開始されるとこの時点で5TH設定禁止フラグF(5TH)が立てられる(ステップS73)。このように時間t1においてこの牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTが5TH禁止値TRCNT(1)を越えた後、上記のようにアクセルペダル踏み込みもしくはシフトダウン指令を待って5TH設定禁止制御が開始されて5TH設定禁止フラグF(5TH)が立てられるため、タイムチャートでは時間t2において5TH設定禁止フラグF(5TH)が立てられている。
【0048】
このようにして5TH設定禁止制御が開始された後においてもトレーラ等を牽引して走行する状態(牽引走行状態)が継続して牽引モード判定カウンタ値TRCNTが正の値であれば、上述した各加算処理は継続され牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTは徐々に増加する。これに応じて、牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTがL/Cタイト判断値TRCNT(2)以上となったと判断されると(ステップS74)、ステップS75に進み、トルクコンバータTCのロックアップクラッチLCをタイト結合にする制御が行われる(タイムチャートの時間t3)とともに、L/Cタイト設定フラグF(L/C)が立てられる。
【0049】
この後、下り坂走行となって走行駆動負荷が小さくなるなどして牽引モード判定カウンタ値TRCNTが負の値となれば(時間t4)、変速機内部発熱が減少するモードとなるので、牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTの計算においても減算処理を行わせても良いのであるが、この減算処理はカウンタ減算ディレータイマの経過を待って時間t5から開始される。なお、牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTの最大値が予め設定されており、最大値以上となる加算処理は行われない。
【0050】
時間t5から減算処理が開始されると、図3のステップS6に示す高負荷走行モード解除制御に移行するが、これについて図12を参照して説明する。ここではまず、L/Cタイト設定フラグF(L/C)が立てられているか否か(F(L/C)=1か否か)が判断され(ステップS91)、F(L/C)=1のときにはステップS92に進み、牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTがL/Cタイト解除値TRCNT(3)以下となったか否かが判断される。図2に示すように、時間t6において上記減算処理により牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTがL/Cタイト解除値TRCNT(3)以下となる。このため、この時点からステップS93,S94に進み、ロックアップクラッチLCの係合制御を通常制御に戻すとともにL/Cタイト設定フラグF(L/C)を0に戻す。
【0051】
但し、ロックアップクラッチLCの係合制御を通常制御に戻すタイミングは、時間t6において牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTがL/Cタイト解除値TRCNT(3)以下となった後に、アクセルペダルが踏み込まれたり、シフトダウン指令があったりしたときに行われ、図2に示すように時間t7において通常制御に戻される。
【0052】
このようにしてロックアップクラッチLCの係合制御が通常制御に戻されてL/Cタイト設定フラグF(L/C)が0になると、次のフローではステップS91からステップS95に進み、牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTが5TH禁止解除値TRCNT(4)以下となったかが判断される。牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTが5TH禁止解除値TRCNT(4)以下となると(時間t8)、ステップS96,S97に進み、5TH設定禁止制御が解除されるとともに、5TH設定禁止フラグF(5TH)が0に戻される。
【0053】
以上説明した制御を行っているときに、牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTが所定値の状態で車両を停止させてイグニッションスイッチをオフにしてエンジンを停止することもある。このような場合に、イグニッションスイッチを再びオンにしてエンジンを始動させて走行を再開した場合での牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTの扱いが問題となる。このため、イグニッションスイッチオフ時に牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTおよび変速機油温を記憶しておく。そして、イグニッションスイッチオン時に変速機油温を検出して記憶された変速機油温と比較して油温の変化を求め、この油温変化に対応して牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTを減算処理して補正するように構成されている。これにより、一時的に停車して休憩するような場合にも、牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTを常にそのときの変速機油温に対応した適切な値に設定して、エンジン再始動後においても良好な制御が可能となる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る車両用自動変速機の制御装置は、車両の運転状態に基づいて車両が牽引走行状態となったことを推定する牽引状態推定手段と、この牽引状態推定手段により車両が牽引走行状態となったことが推定されたときに、トルクコンバータのロックアップクラッチの締結量を増加させるロックアップ締結増加機構とを有する。なお、この牽引状態推定手段は、例えば、車両がトレーラを牽引して走行することにより駆動負荷が増加して車両が牽引走行状態となったことを推定するように構成される。
【0055】
このような構成の本発明に係る車両用自動変速機の制御装置によれば、例えば、トレーラ等を牽引して高速クルージング走行するような場合に、牽引負荷が加わることにより車両が牽引走行状態となったことが牽引状態推定手段により推定されるとトルクコンバータのロックアップクラッチの締結量が増加される(すなわちタイトな締結にされる)ので、トルクコンバータ内でのスリップ量が低下されてトルクコンバータからの発熱が抑えられ、変速機内部油温上昇が抑えられる。
【0056】
本発明に係る制御装置ではさらに、牽引状態推定手段により車両が牽引走行状態となったことが推定されたときには自動変速機構が最高速度段に変速することを禁止し、また、最高速度段で走行中のときにはシフトダウンさせるように構成し、シフトダウンの後においても、牽引状態推定手段により車両が牽引走行状態となったことが推定されたときにはロックアップ締結増加機構によりロックアップクラッチの締結量を増加させるように構成している。
【0057】
このため、本発明の制御装置においては、車両が牽引走行状態になったことが推定されると最高速度段の設定が禁止され、少なくとも最高速度段より低速の速度段での走行となるため、トルクコンバータの駆動トルクが小さくなってその駆動負荷が低減され、トルクコンバータからの発熱が抑制される。そして、この後においてもまだ牽引走行状態であるときには、トルクコンバータのロックアップクラッチの締結量が増加されてトルクコンバータ内でのスリップ量が低下されて内部発熱が抑えられる。この結果、牽引走行等による牽引走行状態に対して、変速機の内部発熱を段階的に低下させて、変速機内部油温が過度に上昇することを効果的に抑制できる。
【0058】
なお、牽引状態推定手段は、車両の走行駆動負荷、変速頻度、ロックアップクラッチの作動頻度、車速変動、スロットル開度変動に基づいて牽引走行状態か否かの判断を行うように構成するのが好ましい。これにより、トレーラ等の牽引走行による牽引走行状態を正確且つ的確に判断することができる。
【0059】
車両が最高速度段で走行中のときに前記牽引状態推定手段により前記車両が牽引走行状態となったことが推定されてシフトダウンさせるときには、アクセルペダルの踏み込みもしくはシフトダウン指令を待ってシフトダウンを行わせるのが好ましい。これにより、シフトダウンを違和感無く行わせることができる。
【0060】
なお、牽引状態推定手段により車両が牽引走行状態となったことが推定されているときにこの車両を停止させ、その後にこの車両を再び走行させるときには、車両を停止させている間における変速機油温の低下状態に基づいて車両の牽引走行状態を推定するのが好ましい。これにより、車両を一時的に停止させた場合におけるその後の走行においても適切な制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用自動変速機およびその制御装置の構成を示す概略図である。
【図2】上記制御装置により上記自動変速機の制御を行う場合の種々の特性の時間変化を示すタイムチャートである。
【図3】上記制御装置による牽引モード走行制御内容を示すフローチャートである。
【図4】牽引モード判定カウンタ積算値STRCNTの計算制御内容を示すフローチャートである。
【図5】登坂判断カウンタ値の演算制御内容を示すフローチャートである。
【図6】変速頻度カウンタ値の演算制御内容を示すフローチャートである。
【図7】L/C頻度カウンタ値の演算制御内容を示すフローチャートである。
【図8】車速変動判断カウンタ値の演算制御内容を示すフローチャートである。
【図9】スロットル変動判断カウンタ値の演算制御内容を示すフローチャートである。
【図10】高負荷走行モード設定制御内容を示すフローチャートである。
【図11】 5TH設定禁止制御内容を示すフローチャートである。
【図12】高負荷走行モード解除制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
E エンジン
TM 変速機
TC トルクコンバータ
LC ロックアップクラッチ
CV 変速制御バルブ
Claims (3)
- 駆動源に繋がれたトルクコンバータと、前記トルクコンバータの出力側に繋がれた自動変速機構とを有して構成され、前記トルクコンバータおよび前記自動変速機構を介して変速された前記駆動源からの駆動力が車輪に伝達されて車両の走行駆動がなされる車両用自動変速機において、
前記車両の運転状態に基づいて前記車両がトレーラ等を牽引して走行する牽引走行状態となったことを推定する牽引状態推定手段と、
前記牽引状態推定手段により前記車両が牽引走行状態となったことが推定されたときに、前記トルクコンバータのロックアップクラッチの締結量を増加させるロックアップ締結増加機構とを有し、
前記牽引状態推定手段により前記車両が牽引走行状態となったことが推定されたときに、前記自動変速機構が最高速度段に変速することを禁止し、最高速度段で走行中のときにはシフトダウンさせるように構成され、
前記シフトダウンの後においても前記牽引状態推定手段により前記車両が牽引走行状態であることが推定されるときには、前記ロックアップ締結増加機構により前記ロックアップクラッチの締結量を増加させるように構成されていることを特徴とする車両用自動変速機の制御装置。 - 前記車両が最高速度段で走行中のときに前記牽引状態推定手段により前記車両が牽引走行状態となったことが推定されてシフトダウンさせるときには、アクセルペダルの踏み込みもしくはシフトダウン指令を待ってシフトダウンを行わせることを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の制御装置。
- 前記牽引状態推定手段により前記車両が牽引走行状態となったことが推定されているときに前記車両を停止させ、その後に前記車両を再び走行させるときには、前記車両を停止させている間における変速機油温の低下状態に基づいて前記車両の牽引走行状態を推定することを特徴とする請求項1もしくは2に記載の車両用自動変速機の制御装置。
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