JP3671405B2 - カメラ用絞り装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はカメラ用絞り装置に係り、特に小型の撮像素子を備えたビデオカメラ、電子スチルカメラ等に適用されるカメラ用絞り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のカメラ用絞り装置は、対向する2枚の絞り羽根を互いに近づく方向と離れる方向に直進移動させて絞り径を拡縮する構造から成り、最小絞り時に絞り径が著しく小さくなり回折現象の影響によって画質が劣化するのを防止するため、絞り羽根にNDフィルタを備えている(特開平4─345149号公報等)。
【0003】
また、最近ではCCD等の撮像素子の小型化に伴って、2枚の絞り羽根両方にNDフィルタを設け、上下方向に直進移動させて絞り径を拡縮する構造が用いられている。これにより、最小絞り時に2枚のNDフィルタが重なり、通過光量を大幅に低減することができるため、最小絞り時の絞り径が小さくなりすぎないようにすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上下2枚のアイリス羽根の両方にNDフィルタを設けると、上下2枚のNDフィルタが形成する隙間が小さくなった時(ND小絞り時)にその隙間による回折の影響が大きくなり、解像度の低下を招くという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ND小絞り時や最小絞り時に回折の影響を低減して良好な画像を得ることができ、また撮影画角外の上方から入射する有害光線によるゴーストの発生も防止することができるカメラ用絞り装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決する為の手段】
本発明は前記目的を達成するために、絞り開口を画成する切欠部を形成した2枚の絞り羽根を互いに上下方向に対向移動させて絞り径を拡縮する絞り装置において、上側絞り羽根の切欠部の上部に第1のNDフィルタを設け、下側絞り羽根の切欠部の下部に前記第1のNDフィルタよりも濃い濃度の第2のNDフィルタを設けたことを特徴としている。
【0006】
【作用】
本発明によれば、下側の絞り羽根には、上側の絞り羽根に設けた第1のNDフィルタよりも濃い濃度の第2のNDフィルタを設けたことにより、絞り羽根を対向移動して絞り径を縮小した場合、上側のND濃度が薄いので、従来の上下とも等しく濃いNDフィルタを用いる場合に比べて、上下の両NDフィルタが形成する隙間による回折の影響を低減することができ、解像度の著しい低下を防止することができる。そして、最小絞り時には、絞り羽根が画成する開口全面積を第1及び第2のNDフィルタが覆う。この時、上側のND濃度よりも下側のND濃度がより濃いために、従来の上下とも等しく薄い濃度のNDフィルタを用いる場合に比べて前記開口面積を大きくとることができ、最小絞り時の回折の影響を低減することができる。このように、全絞り値に応じて良好な解像度を得ることができる。
【0007】
また、下側の絞り羽根には、上側の絞り羽根に設けた第1のNDフィルタよりも濃い濃度の第2のNDフィルタを設けたことにより、絞り開口の下側の光量をより多く減少させている。これにより、撮影画角外の上方から入射する有害光線の光量を減少させることができ、ゴーストの発生を防止することができる。
【0008】
【実施例】
以下添付図面に従って本発明に係るカメラ絞り装置の好ましい実施例について詳説する。
図1は本発明に係るカメラ用絞り装置の構成を説明するための組立図である。同図に示すカメラ用絞り装置は、上下対向する2枚の絞り羽根12、14をガルバノメータ16に固着したアーム18を介して上下方向に移動して絞りの開口部19(図2参照)の口径を拡縮するものであり、ムービー用ビデオカメラ(不図示)等に適用される。
【0009】
上側の絞り羽根12は、図1上で下端部に前記開口部19を画成する略円弧状の切欠部12Aが形成されており、該切欠部12Aの上部には図に示すようにNDフィルタ20が貼り付けられている。また、上端部には長穴12Bが水平方向に形成され、この長穴12Bはアーム18の右端に植設されたピン18Aに係合される。
【0010】
他方、下側の絞り羽根14は、前記絞り羽根12と干渉しないように重ねられて配置されると共に、前記絞りの開口部19を画成する略円弧状の切欠部14Aが形成されており、該切欠部14Aの下部には図に示すようにNDフィルタ22が貼り付けられている。この切欠部14Aと前記絞り羽根12の切欠部12Aとで絞りの開口部19が画成される。また、上端部には長穴14Bが水平方向に形成され、この長穴14Bはアーム18の他端に植設されたピン18Bに係合される。
【0011】
ガルバノメータ16の回転軸16Aはアーム18の中央部に穿設された孔に嵌入されており、該ガルバノメータ16が駆動されアーム18が回転すると、前記絞り羽根12、14はともに図示しないベース板上で案内されて、互いに近づく方向又は離れる方向に上下に対向移動する。尚、ベース板には撮影光軸Lを中心とする透光孔23が形成されており(図2参照)、前記絞り羽根12、14は該透光孔23の後方で進退移動して開口面積を拡縮する。
【0012】
ガルバノメータ16でアーム18を軸16Aを中心に時計回り方向に回動させると、アーム18の回動力がピン18A、18Bを介して絞り羽根12、14に伝達され、絞り羽根12は同図下方向に平行移動し、他方絞り羽根14は上方向に平行移動することができる。
逆に、ガルバノメータ16でアーム18を軸16Aを中心に反時計回り方向に回動させると、アーム18の回動力がピン18A、18Bを介して絞り羽根12、14に伝達され、上側の絞り羽根12は同図上方向に平行移動し、他方下側の絞り羽根14は下方向に平行移動することができる。
【0013】
即ち、アーム18が時計回り方向に回動すると絞り羽根12、14とが互いに近づく方向に移動するので、前記開口部19は口径が小さくなり、アーム18が反時計回り方向に回動すると絞り羽根12、14とが互いに離れる方向に移動するので、前記開口部19の口径は大きくなる。
図2(A)乃至(C)は絞りの開口部19の様子を入射光軸Lに沿って見た場合の図であり、(A)は絞り全開放状態、(B)はやや絞り込んで上下2枚のNDフィルタが隙間dを形成している状態、(C)は更に絞り込んで2枚のNDフィルタが重なった最小絞り状態を示している。
【0014】
アーム18を反時計回り方向に回転すると図2(A)に示すようになり、図2(A)の状態からアーム18を時計回り方向に回転させると次第に図2(B)に示す状態に近づく。更にアーム18を同方向に回転させると図2(C)に示す状態となる。
図3は絞り値の変化と画質の解像度の関係を示すグラフである。横軸を絞り値、縦軸を画質の解像度とし、絞り値は横軸左端が開放状態を示し、同軸右側ほど小絞り(絞り値大)とする。他方、解像度は縦軸の上方ほど良好な解像度であることを示している。
【0015】
図3中の曲線(a)は、NDフィルタ20及び22を同じ濃度ND0.3とした場合のグラフである。尚、NDフィルタの濃度(OD:Optiocal density)は次式(1)
OD=log10(I0 /I)・・・・・(1)
但し、I0 は入射光量、Iは透過光量
で定義する。即ち、入射光量I0 の1/2を透過する(透過光量I=0.5I0 )NDフィルタの濃度は式(1)より、
Figure 0003671405
となり、これをND0.3と表示する。同様にND0.6は入射光量を1/4に、ND0.9は入射光量を1/8にするものである。
【0016】
図3上で絞り全開放状態▲1▼では絞り径が十分に大きく、回折の影響は殆ど無視できるので解像度は良好である(図2(A)参照)。
絞り値を大きくした状態▲2▼では絞り羽根12、14の切欠部12A、14Aが画成する開口部が狭まるとともに、2枚のNDフィルタ20、22間の隙間dが狭くなる。特に後者、即ち隙間dによる回折が支配的に影響し解像度が劣化する(図2(B)参照)。
【0017】
更に絞り値を大きくした状態ではNDフィルタ20、22が重なって前記隙間dがなくなるので、その隙間dによる回折の影響はなくなり、代わりに絞り羽根12、14の切欠部12A、14Aが画成する開口径による回折の影響が支配的になる。しかし、NDフィルタ20、22によって、光量を減少させているのでこの場合の開口径は比較的大きくとることができる(図2(C)参照)。従って、全体として回折の影響が緩和される。
【0018】
尚、曲線(a)と後述するND0.6の場合(曲線(b))とを最小絞り状態▲3▼において比較すると、ND0.3の場合は切欠部12A、14Aが画成する開口径がより小さいため、ND0.6の場合に比べて回折の影響が大きく、解像度が低下している。これに対して、ND0.6の場合(曲線(b))は濃い濃度のNDフィルタ20、22によって、光量をより大幅に減少させているので最小絞り状態の開口径をND0.3の場合よりも大きくとることができ、解像度も良くなっている。
【0019】
また、曲線(a)の場合はNDフィルタ20、22の濃度が小さいために(ND0.3)、NDフィルタ20、22を透過する光量が多く、ゴーストの原因となる有害光線(撮影画角外から入射する太陽光や室内照明光などの強い光)もその多くが透過してしまうので、ゴーストが発生するという問題が残る。
曲線(b)はNDフィルタ20及び22を同じ濃度ND0.6とした場合のグラフである。濃度ND0.6の場合は、NDフィルタ20、22を透過する光量が少なく、上下のNDフィルタ20、22が形成する隙間dによる回折の影響がND0.3に比べ大きくなり、それに応じて解像度の低下も著しくなる。
【0020】
しかし、更に小絞りにしてNDフィルタ間の隙間がなくなると、その回折の影響が急激に緩和されるので解像度は急激に良くなる。そして、前述したように最小絞り状態▲3▼ではNDフィルタの濃度が薄い場合(ND0.3、曲線(a))に比べて、切欠部12A、14Aが画成する開口径が大きくなる(図2(C)参照)。従って、回折の影響が小さいので、ND0.3と比べて解像度は良好になる。即ち、絞り値(Fナンバー)の大きい所で解像度を上げるためには、開口面積を大きく取れる濃いNDフィルタを用いるのが望ましい。
【0021】
直線(c)は、望まれる画質の解像度のしきい値を示す直線であり、この直線(c)が示す解像度以下の解像度では画質の劣化が顕著に現れることを意味する。即ち、曲線(b)はND小絞り付近で直線(c)を下回るので使用上容認されない。
しかし、濃い濃度のNDフィルタ(ND0.6)を用いれば、NDフィルタを透過する光量が少なくなるために、ゴーストの原因となる有害光線の透過光量も減少し、ゴーストは発生しにくくなる。
【0022】
そこで、本発明に係るカメラ絞り装置では、上下それぞれのNDフィルタ20、22の濃度を適切に選択している。即ち、上側のNDフィルタ20の濃度を薄く、下側のNDフィルタ22の濃度を濃くしている。具体的には上側のNDフィルタ20の濃度をND0.6、下側のNDフィルタ22の濃度をND0.8とするのが最も適している。尚、上下のNDフィルタ20、22の濃度の組み合わせは、これに限らず、上側の濃度に比べて下側の濃度が濃いものであれば、他の組み合わせでもよい。
【0023】
例えば、上側の濃度をND0.3〜ND0.6の範囲で選択し、選択した上側のNDフィルタ濃度に対し、該上側のND濃度よりも濃い下側のNDフィルタの濃度をND0.5〜ND0.9の範囲で選択することが可能である。具体的には、上側の濃度ND0.3に対し下側の濃度ND0.5、上側の濃度ND0.4に対し下側の濃度ND0.5など様々な組み合わせが可能である。しかし、上側の濃度に対し下側の濃度が小さくなる組み合わせ(上側の濃度ND0.6に対し下側の濃度ND0.5などの組み合わせ)、又は上下の濃度が等しくなる組み合わせは含まない。
【0024】
次に上記の如く構成されたカメラ用絞り装置の作用について説明する。
先ず、ガルバノメータ18で絞り羽根12、14を駆動して、開口部19の口径を縮小していくと、上下のNDフィルタ20、22が形成する隙間dが小さくなる。このとき、上側のND濃度が薄いので、従来の上下とも濃いNDを用いた場合に比べて、隙間dによる回折の影響を低減することができ、解像度の著しい低下を防止することができる。そして、最小絞り時には、NDフィルタ20、22の隙間が無くなりNDフィルタ20、22が絞り羽根12、14が画成する開口部19の全面積を覆う。これにより、最小絞り時の回折の影響を低減することができる。
【0025】
次にガルバノメータ18を反転して開口部19の口径を拡大していくと、NDフィルタ20、22は相互に離れる方向に移動する。このように変化する全絞り値に応じて、それぞれに適切な露光量を得ることができるとともに、解像度も高く維持できる。
また、絞り開口下側に位置する濃い濃度のNDフィルタ22によって、撮影画角外の上方から入射する有害光線の光量を大幅に減少することができ、ゴーストの発生を防止することができる。
【0026】
上記実施例では、ムービー用ビデオカメラに適用した場合について説明したが、これに限らず、電子スチル写真カメラに適用してもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るカメラ絞り装置によれば、下側の絞り羽根に設けた第2のNDフィルタの濃度を、上側の絞り羽根に設けた第1のNDフィルタの濃度より濃くしたので、従来の上下とも等しく濃い濃度のNDフィルタを用いる場合に比べて、上下の両NDフィルタが形成する隙間による回折の影響を低減することができ、解像度の著しい低下を防止することができるとともに、従来の上下とも等しく薄い濃度のNDフィルタを用いる場合に比べて最小絞りの開口面積を大きくとることができ、最小絞り時の回折の影響を低減することができる。このように、全絞り値に応じて良好な解像度を得ることができる。
【0028】
また、絞り羽根が画成する開口の下側を通過する光の光量を減少させることができるので、撮影画角外の上方から入射する有害光線を除去し、ゴーストの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカメラ用絞り装置の構成を説明するための組立図
【図2】図2(A)乃至(C)は図1のカメラ用絞り装置の開口状態の変化の様子を説明するための図
【図3】絞り値の変化と画質の解像度の関係を示すグラフ
【符号の説明】
12…上側絞り羽根
14…下側絞り羽根
16…ガルバノメータ
18…アーム
20、22…NDフィルタ
L…光軸

Claims (2)

  1. 絞り開口を画成する切欠部を形成した2枚の絞り羽根を互いに上下方向に対向移動させて絞り径を拡縮する絞り装置において、
    上側絞り羽根の切欠部の上部に第1のNDフィルタを設け、下側絞り羽根の切欠部の下部に前記第1のNDフィルタよりも濃い濃度の第2のNDフィルタを設けたことを特徴とするカメラ用絞り装置。
  2. 前記第1のNDフィルタの濃度をND0.3〜ND0.6とし、前記第2のNDフィルタの濃度をND0.5〜ND0.9としたことを特徴とする請求項1のカメラ用絞り装置。
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